シンフォニック のレビュー

SPOCK’S BEARD / The Kindness Of Strangers

1998,USA

アメリカのプログレッシブ・ロック・バンドSPOCK’S BEARDの3rdアルバムThe Kindness Of Strangers。

シンセストリングスとチェロによるスペイシーかつ厳かなイントロを配した#1。様々な音色のオルガンやギターで彩られたインスト・パートがやがて激しさを増し、アコースティック・ギターのカッティングからアメリカンなムードのチャッチーなボーカル・パートへ展開。メロトロンやチェロが絶妙に配置され、どこか郷愁を誘う歌メロを引き立てている。
奇妙なシンセ音による掛け合いで提示されたユーモラスなテーマが印象的な#2。メロトロンが入ってムードを変化させたりとコンパクトな中にもアイディアが詰め込まれています。
ウラから入るピアノのリフレインがトリッキーな#3。
アコギとコーラスワークで聴かせるフォーク・タッチのバラード#4。
メロトロンのクワイヤが唸る#5。ギターのオブリガードや足踏みオルガンのバッキングなど細部にもこだわりのアレンジが施されています。
プログレ然とした大仰なイントロ、ボーカルが入ってからの静かに浮遊するメロトロンがファンタジックな序盤、7拍子に乗って軽快に疾走する中盤、テンポを落として感動のフィナーレを迎えるエンディングと、ドラマティックな#6。
SPOCK’S BEARD節とも言えるミュージカルのような場面転換の連続で進行する#7。ユーモラスなテーマのリフレインで統一感を持たせると同時に、ハイライトとなるパートやクライマックスもキッチリ用意。彼らのソングライティング能力の高さを示す、3部構成15分超の大作。

長尺や小品問わず、ボーカル・パートはストレートにロックする場面が増え、キャッチーな歌メロとあいまってまさにアメリカンなシンフォニック・プログレを展開。
そんな中で、大量に使用されたメロトロンがもたらす深遠さがアメリカンな快活さの中にヨーロピアンな深みを与えています。

Track List

1. The Good Don't Last
I. Introduction
II. The Good Don't Last
III. The Radiant Is
2. In the Mouth of Madness
3. Cakewalk on Easy Street
4. June
5. Strange World
6. Harm's Way
7. Flow
I. True Believer
II. A Constant Flow of Sound
III. Into the Source

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VIENNA / Unknown

1998,JAPAN

手数王 菅沼孝三(Dr)が参加した、プログレッシブ・ロック・バンドVIENNAの1998年の再結成作。

藤村幸宏(G/Vo)の歌いっぷりが荒くなったのとギターのエッジが前面に出ている所からハード・ロック色が強くなった印象。勿論ド変態テクニカル変拍子がいたる所に配置されているので安心です。相変わらずズ太い永井敏巳(B)のフレットレス・ベースは健在だし、菅沼の音数の多さは採譜屋泣かせだ。再結成までの10年で一番発達したシンセ関係もデジタルとアナログを上手く使い分けてるようでブ厚く、それでいて息苦しくならない程度の空間的広がりをもたらすアレンジが絶妙。甘さを抑えたビターな大人向けの渋くてカッコ良いプログレッシブ・ハード・ロックです。

Track List

1. Entrance
2. Shesp ankh (Sphinx)
3. Legend
4. Open Sesame
5. Anubis
6. Melancholy of matador
7. Moonstone
8. The destruction day
9. For an illusion

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FLOWER KINGS / Flower Power

1999,SWEDEN

FLOWER KINGSの1999年4thアルバムFlower Power。2枚組。

DISC 1冒頭から約60分の組曲#1で聴き手を圧倒。得意の5拍子によるスリリングなパートや心地良いメロディ、往年のプログレを彷彿させるオルガンの響き、エキゾチックな要素、そしてユーモア・・・この組曲だけで十二分にFLOWER KINGSを味わえる。
DISC 2はバラエティに富んでます。緊張感あふれる7拍子でのサビがカッコ良い、エキゾチック&ドラマティックな#1。
定番のエキゾチックでPOPな#2。
オルガンが牽引する7拍子のプログレッシブPOP、#3。
トマス・ボ-ディン(Key)のオルガンが荘厳にしてセンチメンタルな#4。
POPなサビとドラマティックなインスト・パートの融合が見事な#5。
ミステリアスな#6。
メロディと左Chのメロトロンが印象的で美しい#7。
プログレッシブ&ドラマティックなイントロから一転して美しいサビを持つ思索ナンバー#8。
大仰なイントロで幕を開け様々な要素を内包しながら展開していく#9。
ポジティブなムードでシンフォニックに締めくくる#10。
等々、全体的に上手くまとめた印象です。

Track List

DISC 1
1.Garden Of Dreams
2.Captain Capstan
3.IKEA By Night
4.Astral Dog

DISC 2
1.Deaf, Numb and Blind
2.Stupid Girl
3.Corruption
4.Power of Kindness
5.Psychedelic Postcard
6.Hudson River Sirens Call
7.Magic Pie
8.Painter
9.Calling Home
10.Afterlife

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YES / The Ladder

1999,UK

プログレッシブ・ロック・バンドYESの16thアルバム The Ladder。
メンツはジョン・アンダーソン(Vo)、クリス・スクワイヤ(B)、スティーヴ・ハウ(G)、アラン・ホワイト(Dr)のクラシック・メンバーに、ビリー・シャーウッド(G)、イゴール・コロシェフ(Key)を加えた6人編成。

序盤のダークでアンニュイな部分ではどことなくレゲエっぽいグルーヴ。中間部の3連パートを経て徐々にプログレッシブ・ロックに移行し、終盤はシンセやオルガンが壮大に鳴り響くシンフォニック・ロックに展開する#1。
琴か三味線のような東洋的な楽器音が印象的なゆったりとしたナンバーの#2。優しく美しいメロディ、シンフォニックな盛り上がりなどコンパクトな中に旨味を凝縮。
ホーン・セクションを導入したトロピカル・ミュージックにアップテンポのタテ乗りアレンジを施したポップな#3。
パーカッションとスキャットのトライバルなムードをベースにしながらも、シンセの白玉やジョン・アンダーソンの美声により土着風にならず不思議な感触のインスト#4。
爽やかなギターのカッティングがリードする明るく開放的な#5。終盤に登場する、いかにもスティーヴ・ハウというギター・パートが短か過ぎて残念。
伸びやかで美しいボーカル・メロディが、ラップ・スティールやシンセの控えめながらも印象的なバッキングに溶け込んだキャッチーな#6。
なんとなく東洋風なメロディ、シタール風なサウンドなどエスニック要素をポップに昇華した#7。
ポップに飛ばす前半から、シンセ・ストリングスをバックにアコギ、ギター、ボーカルがゆったりとシンフォニックにメロディを奏でる後半に展開する#8。
ファンキーなベースのリフを軸に少々ダークに進行するも、壮大なコーラスを持つサビ前からはYESらしく開放的に進行する#9。
ウェイクマン風クラシカルなオルガンとミニマルなフレーズを繰り返すハウのギターのイントロ、バンド・インしての続く疾走パート、と序盤からスリリングな#10。ボーカル・パートは序盤こそ又もや南国風テイストを漂わせながらも、ミステリアスでダークなパートを経て、メロディが徐々に天高く上り詰めるような最高のサビを迎えるドラマティックな構成。個性的なアコギ・ソロ、メロトロンっぽい白玉など、中簡に配された器楽パートも充実。

全編通して非常にポップですが、ワールド・ミュージック風なスパイスも嫌味が無く、産業ロックという程のギラついたあざとさも無い、自然体の心地良さが楽しめるアルバム。長尺で起伏ある展開に往年のプログレ・テイストを想起させる#1や#10の出来も素晴らしい。

Track List

1. Homeworld (The Ladder)
2. It Will Be A Good Day (The River)
3. Lightning Strikes
4. Can I?
5. Face To Face
6. If Only I Knew
7. To Be Alive (He Yadda)
8. Finally
9. The Messenger
10. New Language
11. Nine Voices (Longwalker)

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RENAISSANCE / BBC Sessions

1999,UK

英国プログレッシブ・ロックの華RENAISSANCEの、1999年にリリースされたライブ・アルバムBBC Sessions。
収録曲は、75年5月8日、76年5月25日、77年1月6日、78年8月19日の4つの時期にBBCの放送用音源として録音されたマテリアルからセレクトされたものとなっています。

A Song for All Seasonsからの楽曲が収録されたのも、このライブ盤が初。
ライブというとオーケストラと共演したCarnegie HallやRoyal Albert Hallが思い浮かびますが、本作はオーケストラ無しで全てバンドのみの演奏。
やはりジョン・タウト(Key)がピアノ、シンセ、ソリーナと大活躍でオーケストラのパートを再現するのは当然としても、アニー・ハズラム(Vo)がスキャットで器楽パートを補完したり、テレンス・サリヴァン(Dr)がティンパニや銅鑼を轟かせたり、ジョン・キャンプ(B)がエフェクトで様々な音色を弾き出したり、スタジオ・バージョンでは気づかなかった男性陣のブ厚いコーラスなど、あの壮大な楽曲をバンドだけでどうやって再現していたのかという答えがここに。

オーディエンス・ノイズがカットされている部分があったりして、ライブとしての盛り上がりに欠けるきらいはありますが、オーケストラが排除されたことでメンバー個々のプレイが浮かび上がり、RENAISSANCEはライブ・バンドとしても凄かったという事を証明する資料的価値の高い作品です。

Track List

DISC 1
1. Prologue
2. Vultures Fly High
3. Midas Man
4. Day Of The Dreamer
5. Touching Once
6. Song Of Scheherazade

DISC 2
1. Can You Hear Me
2. Ocean Gypsy
3. Carpet Of The Sun
4. Mother Russia
5. Running Hard
6. Ashes Are Burning

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WITHIN TEMPTATION / Mother Earth

2000,NETHERLANDS

オランダのゴシック・メタル・バンドWITHIN TEMPTATIONの2nd。

1stではダークなサウンドに男女ボーカルによる美醜の対比で展開する典型的なヨーロピアン・ゴシック・メタルをやっていた彼らですが、この2ndでは男声グロウル・ヴォイスを排除しシャロン・デン・アデル(Vo)の透き通ったソプラノ・ヴォイスと磨きの掛かった歌唱力を大フィーチュア。それを支えるバンド・サウンドもケルト風味やフォークロア風味を加えた雄大でポジティブなムードに大変身。
マタイン・ウェスターホルト(Key)によるシンセ・ストリングスの壮麗なオーケストレーションに、宗教的とすら言える厳かなクワイヤを配した堂々たるゴシック・メタル#1。
包容力をも感じさせるシャロンのソプラノ・ヴォイスが天空高くこだまするスケールの大きな#2。
ピアノと弦の美しい調べをバックに透明感溢れる歌声が映える美しいメロディのバラード#3。
ケルト風パイプの郷愁を誘う音色がアクセントとなったイントロから、力強さを交えたシャロンの幅広い歌唱表現が楽しめるゴシック・メタルに展開する#4。
エッジの立ったギター・リフにシンセのオーケストレーションが絡む壮大なインストゥルメンタル・パートを挿入した8分の大作#5。
ピアノの流れるようなアルペジオをバックに伸びやかな歌唱で綴る3拍子のバラード風ナンバー#6。
セルフ・ハーモナイズさせたシャロンの美声がストリングスの上をたゆたう序盤のボーカル・パートから、メロディアスなゴシック・メタルに移行する#7。
不協和音を交えた妖しいメロディが反復する小品#8。
#8をイントロに配し、スライドバーやツイン・ギターのハーモニーを使用した彼らにしては珍しいギター・ソロを盛り込んだ、壮麗で神秘的なムードの#9。
ハープのアルペジオをバックにマイルドで優しい歌唱を聴かせる#10は、もはやヒーリング・ミュージックの域。

実の所、ヘヴィな要素は#1や#4など所謂ゴシック・メタルらしい楽曲以外では各曲の特定パートにしか存在せず、全体としてはメロディを活かしたシンフォニックでソフトなテイストが濃くなり、メインストリームでも勝負できそうな仕上がりに。その為かヨーロッパで大ヒット。傑作となる次作でさらなる大ブレイクを果たす足場が固まりました。

Track List

1. Mother Earth
2. Ice Queen
3. Our Farewell
4. Caged
5. The The Promise
6. Never-Ending Story
7. Deceiver of Fools
8. Intro
9. Dark Wings
10. In Perfect Harmony

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FLOWER KINGS / Alive on Planet Earth

2000,SWEDEN

2000年発表の2枚組ライブAlive on Planet Earth。

DISC1は1998年の北米ツアー、DISC2は1999年の日本公演を収録。
DISC1では正式メンバーのトマス・ボーディン(Key)の代打でロバート・エングストランドがプレイ。微妙なシンセのポルタメント感が違うので名曲#1のイントロに若干の違和感も。突き抜け感が微量だが少ないんですよ。
それはともかく初期の代表曲がセレクトされており、満足です。
GENESISのカヴァー#5は面白いですが、カヴァー入れるなら他にもっとライブで聴きたいオリジナル曲があるのになー。この辺りの評価は人それぞれでしょうか。

トマス・ボーディンのダーティなオルガンが活躍するDISC2は圧巻。
特にDISC2の#4はライブ向きの良い曲ですね。それに何と言ってもロイネ・ストルト(G/Vo)のギター・トーンが素晴らしい。官能的なトーンによるインプロビゼーションが生々しく味わえるのはライブならではです。

Track List

DISC 1
1. There Is More to This World
2. Church of Your Heart
3. Judas Kiss
4. Nothing New Under the Sun
5. Lamb Lies Down on Broadway

DISC 2
1. Big Puzzle
2. Sounds of Violence
3. Three Stories
4. In the Eyes of the World
5. Flower King
6. Stardust We Are, Pt. 3

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FLOWER KINGS / Space Revolver

2000,SWEDEN

ベースにメタル方面での活躍が有名なヨナス・レインゴールド(B)が新加入したFLOWER KINGSの2000年5thアルバムSpace Revolver。

このバンドの魅力であるシンフォニックさはそのままに、サウンドが若干ソリッドに。同時に無国籍風エキゾチックな感じやロイネ・ストルト(G/Vo)の中域を強調したネバリのあるギター・トーンも減退。
これまでの作品に感じられた、「何が飛び出してくるか分からないドキドキ感」、「緊張感から感動のメロディへの開放」「突き抜けた高揚感」といった曲毎のドラマ性やアルバム通しての起伏も少なくなってます。
あえてレンジを狭く絞って、ストレートにしたかのような作風です。いや、悪くはないんですよ。part1と2に分けてオープニングとラストに配した#1,#10とかね。前作までの2作連発ダブル・アルバムというフォーマットに慣れると、CD1枚ってのが少々物足りない感じも。

Track List

1. I Am the Sun, Pt. 1
2. Dream on Dreamer
3. Rumble Fish Twist
4. Monster Within
5. Chicken Farmer Song
6. Underdog
7. You Don't Know What You've Got
8. Slave to Money
9. King's Prayer
10. I Am the Sun, Pt. 2

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KARNATAKA / The Storm

2000,UK

女性ボーカルをフィーチャーした英国はウェールズのバンドKARNATAKAの2000年2ndアルバムThe Storm。

歌い上げるのでは無く、静かに情感を込めた切々とした感じのレイチェル・ジョーンズ(Vo)の歌唱が、ケルトやトラッドのフィーリングを仄かに漂わせつつも決して大仰にならない落ち着いたサウンドの中をたゆたう様が、美しくも儚げでグッときます。

波のSEから竪琴のアルペジオをバックに、神秘性と叙情を交えて端整なメロディを紡ぐ#1。
トラッド風味をロックなグルーヴに乗せてコンパクトに仕上げた#2。
シンセ・ストリングスとアコギのカッティングをバックに、しっとりとしたボーカルを聴かせるアルバムのハイライト#3。ドラマティックなサビが素晴らしいです。
竪琴のようなトーンによるアルペジオを軸にモーダルな響きを聴かせるトラッド風な#4。
エキゾチックなムードのボーカル・メロディが絶好のフックとなった#5。終盤にかすかに流れるシタールも効いてます。
パッド系シンセの白玉の海をアコギとレイチェルの美声が浮遊する#6。
モーダルなメロディでクールに展開する序盤からメランコリックなサビに移行する瞬間がドラマティックな#7。
これまたモーダルなメロディで展開し、エキゾチックなサビを持つコンテンポラリーなタッチのポップス#8。ギターのオブリガードが楽曲の印象度を高めてます。
レイチェルのオーバーダブによるコーラス・ハーモニーが蕩けるように美しいフォーク#9。
繊細な美声が竪琴のアルペジオと波のSEに乗る序盤から、ドラムがイン、エモーショナルなギター・ソロを経て再び序盤と同様の端整なパートに回帰する#10。ラストは波打ち際のSEで幕を引き、アルバム冒頭とリンクさせています。

Track List

1. Heaven Can Wait
2. Dreamer
3. The Journey
4. Hay
5. Love and Affection
6. I Should Have Known
7. Everything Must Change
8. Shine
9. Writing On The Wall
10. The Storm

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TRANSATLANTIC / SMPTe

2000,USA/UK/SWEDEN

ニール・モーズ(Key/Vo SPOCK’S BEARD)、ロイネ・ストルト(G/Vo FLOWER KINGS)、ピート・トレワヴァス(B/Vo MARILLION)、マイク・ポートノイ(Dr/Vo DREAM THEATER)によるプログレ・プロジェクトTRANSATLANTICの1st。
アルバム・タイトルのSMPTeは、メンバーのイニシャルを映像・音響機器で使用される同期信号に巧く引っ掛けたもの。
果たしてこの4人の同期具合はというと・・・

いきなり30分超の#1、メロディアスなバラード#2、変態捻くれプログレ#3は、ニール・モーズ主導で書かれた楽曲。とはいえ長尺の#1はロイネのアイディアも随所に感じられ、捻った劇的展開が持ち味のSPOCK’S BEARDと爽快に突き抜けるシンフォニックなFLOWER KINGSのテイストが巧く融合した感じで、ワクワクさせるスケールの大きなエピック・チューンに仕上がってます。
冒頭のストリングスが印象的な#4は、まさにロイネ節のメロディック・チューン。本家よりもこういったプロジェクトで往年の独特な歌唱とギター・プレイを聴かせる、近年のロイネの典型パターンですね。中盤でシンフォニックに盛り上がる部分の桃源郷っぷりはFLOWER KINGS以上かも。
PROCOL HARUMのカヴァー#5は割と原曲に忠実ながらも、元々こういった場面転換のある楽曲はSPOCK’S BEARDの得意なテイストなので違和感無いですね。ロイネのネバっこい歌唱とギター・プレイやPROCOL HARUMっぽいオルガン・パートで一部7拍子にアレンジしちゃったり、マイクのドラムが叩き捲くったりと楽しそうに料理してます。

忙しい人達がスケジュールの折り合いを付けて短時間で制作したものなので、バンドTRANSATLANTICとしての個性は希薄ですが、演奏はテクニック・フィーリング共に超一流だし、「おっSPOCK’S BEARDっぽいな」とか「ここってモロにFLOWER KINGSだな」、とか思いながら理屈抜きに楽しめば良いんじゃないでしょうか。

Track List

1. All of the Above
i)Full Moon Rising
ii)October Winds
iii)Camouflaged in Blue
iv)Half Alive
v)Undying Love
vi)Full Moon Reprise
2. We All Need Some Light
3. Mystery Train
4. My New World
5. In Held ('Twas) In I

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RENAISSANCE / Tuscany

2000,UK

再結成RENAISSANCEの第一弾アルバム2000年作Tuscany。

RENAISSANCEといってもジェーン・レルフの時代とアニー・ハズラム(Vo)の時代があるわけですが、この再結成はアニー期のもの。アニー、珠玉のメロディ・メイカー マイケル・ダンフォード(G)、テレンス・サリヴァン(Dr)のオリジナル・メンバーに、ミッキー・シモンズ(Key)を加えた4人を核に、ゲストでオリジナル・メンバーのジョン・タウト(Key)とアニーの昔の恋人ロイ・ウッド(B)らも参加。唯一ジョン・キャンプの不参加が残念です。

霧のように敷き詰められたパッド系シンセの中、アニーのクリスタルなスキャットが響くオープニングが感動的な#1。ピチカートを印象的に使用した本編の品のあるアレンジも良い感じです。
装飾音のタッチがジョン・タウトっぽいピアノだな、と思ってたらやっぱりジョン・タウトが弾いていた#2。リリカルなピアノと繊細なアコギのアルペジオに、一瞬ですがNovellaの頃のようなマジックを感じましたよ。
ミッキー・シモンズも負けじと良い仕事をしている#3は、彼とアニーによる叙情的で神秘的なコラボレーション。
仄かにエキゾチックな叙情を湛えたフォークから、キャチーにして壮大なサビに展開する#4。
希望的な美しいメロディにアニーの透明感ある歌声が良く合う#5。
アニーの中音域を中心とした優しい歌唱をフィーチュアしたバラード#6。
軽快なアップテンポのポップなナンバー#7。
ジョン・タウトのシンフォニックなキーボードとアニーのボーカルによる厳かなコラボレーション作#8。
アニーが大好きだというブラジルのサンバを取り入れた異色作#9。
起伏のある展開とRENAISSANCEらしいフックを織り込みながら、現代的シンセ・サウンドでモダンに仕上がったドラマティックな#10は70年代の彼らとはまた違った新鮮な魅力に溢れた佳曲。個人的にはこれが一番好きですね。

注目のアニーの歌唱は、中音域で震え気味な所に若干の衰えも感じますが、ハイトーンでのハリとクリスタル度は往年のそれを彷彿させる素晴らしさ。
サウンド面では、カギを握っていたジョン・タウトのフルタイム参戦がならなかった影響か、さすがにクラシカルで神秘的な往年のムードは望むべくもありませんが、マイケル・ダンフォードの紡ぎ出す気品を感じさせるメロディは相変わらず。
全体的には、大作度とオーケストラ度が低くなったA Song for All SeasonsやAzure D’orの頃のコンパクトでキャッチーな路線に近いものがありますね。

Track List

1. Lady From Tuscany
2. Pearls Of Wisdom
3. Eva's Pond
4. Dear Landseer
5. In The Sunshine
6. In My Life
7. The Race
8. Dolphins Prayer
9. Life In Brazil
10. One Thousand Roses

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RENAISSANCE / Day of the Dreamer

2000,UK

英国プログレッシブ・ロックの華RENAISSANCEの、2000年にリリースされたライブ・アルバムDay of the Dreamer。

クレジットが無いので推測ですが、曲目からいくと1978年のアルバムA Song for All Seasonsリリース後のライブを収録したものと思われます。
ライブ音源としては#4,#6が初出。この時期、Song of Scheherazadeは既にセットリストに入っていなかったのかも知れませんが、そのかわりに大作#3,#6が聴き応え充分。
全編オーケストラ無しでバンドのみの演奏ですが、ピアノを中心に多彩な鍵盤を操るジョン・タウト(Key)をはじめ、#3中間部の7拍子インストパートでアニー・ハズラム(Vo)がシンセとユニゾンのスキャットを決めたりとメンバーが奮闘。特に#3,#6でドライブ感抜群のプレイを聴かせるジョン・キャンプ(B)の様々なトーンが、あまり聴こえないマイケル・ダンフォード(G)のギター以上に存在感抜群で印象に残ります。

また、定番曲Can You Understandを冒頭2分少々のインストパートで切り上げ、The Vultures Fly Highに繋げる#5やジョン・タウトがピアノのイントロ・フレーズをトチっちゃう#9のように、ライブならではの演出やハプニングも興味深いです。

Track List

1. Can You Hear Me
2. Carpet of the Sun
3. Day of the Dreamer
4. Back Home Once Again
5. Can You Understand/The Vultures Fly High
6. Song for All Seasons
7. Prologue
8. Ocean Gypsy
9. Running Hard

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RENAISSANCE / Unplugged

2000,UK

1985年フィラデルフィアでのRENAISSANCE名義でのライブ。アニー・ハズラム(Vo)とマイケル・ダンフォード(G)以外はセッション・メンバー。曲目はまぁ往年のラインナップだが、音質悪いし、マニア向けの商品。

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MAGENTA / Revolutions

2001,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドMAGENTAの2001年デビュー作Revolutions。

いきなり2枚組で、20分クラスの組曲を4つ含む7曲という構成ながら通して一気に聴けてしまう。それは曲作りが巧みだから。
サビの盛り上がりを連想させるキャッチーなオープニングでハートを鷲づかみにした後は、手を変え品を変えてのシンフォニックで痒いところに手が行き届いたアレンジで集中力を持続させます。
アコギ、シンセ、ローズ、オルガン等楽器の音色もカラフルでいながらケバケバしくならない上品なセレクトで楽曲の各パートに必然性を持って登場するので飽きない。そしてなんといってもクリスティーナ嬢の気品ある歌唱が英国産である事を高らかに主張。”動”の場面ではパワフルに”静”の場面ではしっとりと、表現力バッチリに聴かせます。

Track List

1. Children Of The Sun
2. Opus 1
3. The White Witch
4. Man The Machine
5. Opus 2
6. Genetesis
7. The Warning

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FLOWER KINGS / The Rainmaker

2001,SWEDEN

FLOWER KINGSの2001年6thアルバムThe Rainmaker。

前作と同じメンツで同路線ながら、初期のポジティブなシンフォニック感も若干復活。
オープニングはディレイ・ラマのようなホーミーで始まり度肝を抜き、間髪置かずヘヴィなリフを畳み掛けて不安にさせるが、すぐにハッセ・フロベリ(Vo)の抜けるような美声によるサビメロが聴けてホっと一息。
#3では得意の5拍子で軽快に畳み掛ける序盤からゆったりとした後半へドラマティックに展開。キーボードとギターによるユニゾンのリフはリプライズ的に小品#10でも登場。
こうした仕掛けにより、アルバム通しての一貫したカラーが感じられる所が好きですね。
又、#8後半インスト部分のドラマティックなフックにハッとさせられる所なんかは初期の魅力そのまま。
4~6分のコンパクトな楽曲が中心で聴きやすく、且つ#3や#5のようなドラマも盛り込んだキャリア中盤の秀作です。

Track List

1. Last Minute on Earth
2. World Without a Heart
3. Road to Sanctuary
4. Rainmaker
5. City of Angels
6. Elaine
7. Thru the Walls
8. Sword of God
9. Blessing of a Smile
10. Red Alert
11. Serious Dreamers

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TRANSATLANTIC / Bridge Across Forever

2001,USA/UK/SWEDEN

プログレ・スーパー・プロジェクトTRANSATLANTICの2ndアルバムBridge Across Forever。長尺の組曲形式3曲を含む4曲で構成されています。

ストリングス・セクションによる厳かなイントロからシンフォニックに展開、メロトロンが叙情を引き立てるi、ロイネ・ストルト(G)が渋い歌声を聴かせるii、SPOCK’S BEARDみたいなムードのiii、AOR風なiv、iのメロディを様々に加工してリプライズさせ大団円を迎えるv、等々、キャッチーなボーカル・パートとアイディア満載のインストゥルメンタル・パートが繰り広げる起伏に富んだ26分超の大作#1。
続く#2は英国ビート・バンドのようなムードの組曲。
グルーヴィなジャム・セッションから、耳障りが良いわりに捻ったメロディでピート・トレワヴァス(B)とマイク・ポートノイ(Dr)のボーカルが聴けるi、ロイネが独特のコブシを回すii、英国っぽいメロディをニール・モーズ(Key)がパワフルに歌うiiiとiv、ジャジーなムードで#1のメロディを引き継いだロイネの歌唱パートが登場するv、という5部構成。
うっすらとしたメロトロンとピアノをバックに、ニールが抜群の歌唱力で切々と歌い上げる美しく感動的なバラード#3。長尺の組曲に挟まれて、丁度良いアクセントとなっています。
アルバム冒頭のストリングス・セクションをイントロに配した#4は又もや30分に及ぶ大作。
マイクが繰り出す肉弾ビートに乗ったオルガンによるリフから爽やかで明るいムードのボーカル・パートのi、ヘヴィな5拍子のリフに乗り全員がボーカルを分け合うii、ズ太いシンセに導かれて#2のiiiのパート2が登場する英国風なムードのiii、神秘的なムードからストリングス・セクションのメロディを挟んでiのテーマを繰り出すiv、ピートの繊細な歌唱とヘヴィなバンドの合いの手が対比したv、アルバム全てのムードを引継いで感動的に幕を引くvi。
おそらくニール・モーズによるものと思われる壮大なストーリーに沿って、アルバムのメインテーマ・メロディを随所に忍ばせたり、別の組曲の一節を挿入したりと縦横無尽に展開するインテリジェンスなコンセプト・アルバムです。これだけのアイディアを具現化してしまうテクニックとセンスに溢れたメンバーの才能が眩し過ぎます。

Track List

1. Duel With The Devil
i) motherless children
ii) walk away
iii) silence of the night
iv) you're not alone
v) almost home
2. Suite Charlotte Pike
i) if she runs
ii) mr. wonderful
iii) lost and found pt. 1
iv) temple of the gods
v) motherless children / if she runs (reprise)
3. Bridge Across Forever
4. Stranger In Your Soul
i) sleeping wide awake
ii) hanging in the balance
iii) lost and found pt. 2
iv) awakening the stranger
v) slide
vi) stranger in your soul

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FLOWER KINGS / Unfold the Future

2002,SWEDEN

FLOWER KINGSの2002年7thアルバムUnfold the Future。

#1はシンフォニックな大作でドラマティックな世界を構築。
いかにもプログレなシンセによるリフが楽しめる#3は、ヨナス・レインゴールド(B)のベースがメロディアスに大活躍、ヘヴィで妖しい雰囲気とファンタジーが同居した#5は後半サンバで盛り上がるなど、やりたい放題。

DISC 2もバリエーション豊か。
#1は得意のヒネクレた変拍子ロカビリーをバックにロイネ・ストルト(G/Vo)節が炸裂。ネバりのある生々しいギターも最高。ダーティなオルガンがGOODな#5ではPAIN OF SALVATIONからゲスト参加のダニエル・ギルデンロウが悪魔役で登場。
#7はウットリしちゃう叙情メロディが突然変態ジャジーに変化する意外性でノックアウトですね。
#9は25分超えのドラマティックな長尺曲で締めてます。得意の5拍子リフで畳み掛けるインスト部と美しすぎるサビを持つ歌部分の対比が見事。全体的にプレイ面でロイネ・ストルトの影がちょっと薄い気もするけど、その分もはや双頭といっても良いくらいのトマス・ボーディン(Key)が素晴らしいです。テクニカルなのに温かみのある音色選択とユーモアをまぶしたフレージングでサウンドを牽引してます。

Track List

DISC 1
1. Truth Will Set You Free, The
2. Monkey Business
3. Black And White
4. Christianopel
5. Silent Inferno
6. Navigator, The
7. Vox Humana

DISC 2
1. Genie In A Bottle
2. Fast Lane
3. Grand Old World
4. Soul Vortex
5. Rollin The Dice
6. Devils Danceschool,The
7. Man Overboard
8. Solitary Shell
9. Devils Playground

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KAIPA / Notes from the Past

2002,SWEDEN

KAIPAの2002年復活作。通算7thアルバムNotes from the Past。
一応バンド名義ながら、実質はオリジナル・メンバーであるハンス・ルンディン(Key)を中心としたロイネ・ストルト(G)とのプロジェクトで、全曲をハンスが書いてます。その他は専任Vo含めゲスト扱い。
キ-ボードによるユートピアのようなシンフォニック・サウンドに北欧フォークロア風味の捻ったメロディが絡む様は往年のKAIPAそのものだし、何と言っても盟友ロイネによる酸いも甘いも噛み分けた円熟のプレイが光ってます。フレージングが醸し出す感情移入の度合いが、ややもすると自分のバンドFLOWER KINGSの同時期作品以上かも?と思えるほど熱いです。
新機軸として、プログレッシブ・バラードの#9でAleena Gibsonなる女性シンガーによるエモーショナルな歌唱もフィーチュアされてます。

ハモンド・オルガンやメロトロンによるくすんだ往年の味わいも残しつつ、デジタル・シンセによってアップデートされたクリアなサウンドでまとめた新世紀KAIPAの出発作です。

Track List

1.Notes From The Past - Part I
2.Night Bike-Ride (On Lilac Street)
3.Mirrors Of Yesterday
4.Leaving The Horizon
5.In The Space Of A Twinkle
6.Folke's Final Decision
7.The Name Belongs To You
8.Second Journey Inside The Green Glass
9.A Road In My Mind
10.Morganism
11.Notes From The Past - Part II

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TOMAS BODIN / Pinup Guru

2002,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドTHE FLOWER KINGSのキーボーディスト トマス・ボディンの2ndソロ・アルバムPinup Guru。

全曲インスト(1部スキャットとかホーミーも)でメンツはTHE FLOWER KINGSのリズム隊ヨナス・レインゴールド(B)とゾルタン・チョース(Dr)のみという3人編成。
スウェーデン人らしく、メイン機材はCLAVIA社のNord Electro、Nord Lead。その他サンンプラーAKAI S-5000やデジタル・モデリング・オルガンROLAND VK-7やグルーヴ・ボックスMC-505もクレジットされています。ということで随所に聴かれるカビ臭いメロトロンも実はサンプルなんでしょう。
様式美ハード・ロック風な#2、同じく様式美っぽいが妖しげな#9、ポルタメントが心地良いシンセによる平易なメロディがキャッチーな#4等、突き抜けたシンフォニック感はTHE FLOWER KINGSにも通ずるところ。しかし一筋縄では終わらせず、テクニカルなアンサンブルや実験的な思索パートを絡める辺りは本家THE FLOWER KINGSへのフィードバックを考えた課外活動的ニュアンスなんでしょうか。THE FLOWER KINGSではオブリガードのワンパターン化が耳に付くヨナス・レインゴールドも#6では縛りが解けたかのように活き活きとしたフレーズで底辺をメロディアスに支えてます。
THE FLOWER KINGSで世界中をツアーした中で吸収した、様々な文化や音楽的影響の自然な発露としてのエスニック、クラシカル、ハード・ロック、フュージョンと多様な音楽性。そして、そんな楽曲群を多彩な音色で華麗に表現するトマス・ボディンのサウンド・クリエイターぶりが堪能できます。

Track List

1. Sodium Regale
2. What's Going On
3. Me And Liz
4. Harlem Heat
5. My Beautiful Neighbor
6. New In The 'Hood
7. Blood
8. The Ballerina Is Not Getting Closer
9. The Last Eagle
10. The Final Swig

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RENAISSANCE / In the Land of the Rising Sun

2002,UK

再結成RENAISSANCEの2001年初来日公演、3月16日東京厚生年金大ホールの模様を収録したライブIn the Land of the Rising Sun。

オリジナル・メンバーのアニー・ハズラム(Vo)、マイケル・ダンフォード(G)、テレンス・サリヴァン(Dr)を含む6名体制。再結成での新作Tuscanyの楽曲をフィーチュアしつつ、往年の名曲も押さえたベスト選曲を2枚組で聴かせます。

Track List

Disc 1
1. Carpet of the sun
2. Opening out
3. Midas man
4. Lady from Tuscany
5. Pearls of wisdom
6. Dear Landseer
7. Northern lights
8. Moonlight shadow
9. Precious one
10. Ananda

Disc 2
1. Mother Russia
2. Trip to the fair
3. One thousand roses
4. I think of you
5. Ashes are burning

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