THE TANGENT のレビュー

THE TANGENT / The Music That Died Alone

2003,UK/SWEDEN

PARALLEL OR 90DEGREESのKey奏者Andy Tillisonのソロがバンド形態に発展したTHE TANGENTの2003年1st。

FLOWER KINGSのRoine Stolt(G),Jonas Reingold(B)、VAN DER GRAAF GENERATORのDavid Jackson(Sax,Flu)らが参加。20分の組曲#1の冒頭、オルガンの1フレーズだけで既にKO。その後ズ太いシンセやネバリあるギターがユニゾンで合流、推進力抜群のリズム隊と共に畳み掛けると追い討ちをかけるようにSaxも参戦。メロディ、スリル、ファンタジー、オシャレでジャジーとおいしい要素がごった煮状態ながら、オリジナリティ、センス、テクニックを兼ね備えた歴戦のメンツによるアンサンブルが一切破綻することなく完璧な音世界を構築。それでいて小難しく無く、フレンドリーなとっつき易さも魅力です。#2でのHatfield and the Northのカヴァーは現代的なサウンドで再現しながらも憧景を隠そうともしない潔さが、逆に先人達へのリスペクトを感じさせて好感が持てます。

Track List

1. In Darkest Dreams
2. The Canterbury Sequence
3. Up Hill from Here
4. The Music That Died Alone

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THE TANGENT / The World That We Drive Through

2004,UK/SWEDEN

THE TANGENTの2004年2nd。

リズム隊はFLOWER KINGS組のスウェーデン人で、いい味出しているSax/FluはPORCUPINE TREEのアルバムでも客演したりしている英国人Theo Travis。#2の終盤、フルートに絡むヴォーカル・パートがNATIONAL HEALTHのアマンダ・パーソンズを彷彿させてニヤリなSam Baineなる女性も英国人か?大仰で派手なオープニング・チューンにHATFIELDのカヴァー、VDGGのDavid JacksonのフリーキーなSaxとプログレッシブな飛び道具満載だった1stと比べると地味な感じもしますが、その分落ち着きと奥行きが感じられてゆったりと楽しめますね。ジャジーな要素を加味したクールでアダルト・オリエンテッドなプログレって感じでしょうか。勿論アグレッシブな変拍子&変態アンサンブルも登場しますが、スゴ腕ミュージシャン揃いなのでサラっと余裕で演っちゃってます。アンサンブルの背景はデジタル機材が目立つ事無く担い、RoineのネバっこいギターやマイルドなTheoのSaxといったオーガニックな音色が表に立つ事で、サウンドが程よく馴染んでマイルドな大人の感触のトーンに仕上げている所がニクイです。

Track List

1. The Winning Game
2. Skipping the Distance
3. Photosynthesis
4. The World We Drive Through
5. A Gap in the Night

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THE TANGENT / A Place In The Queue

2006,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドTHE TANGENTの2006年3rd。

ロイネ・ストルト(G)が脱退し、アンディ・ティリソン(Key/Vo)とテオ・トラヴィス(Sax/Flu)による双頭バンドの様相を呈してきました。ロイネの苦味ばしった独特の歌声とネバリのギターが聴けないのは寂しいですが、その分アンディがやってくれてます。ムーディな導入部にダイナミックなリフレイン、突き抜けるシンセ・ソロ、ギターによる叙情的なメロディなど盛りだくさんの要素で起伏ある展開を見せる20分超の大作#1。軽く歪んだオルガンとフルートがリードする、キャッチーでマイルドなジャズ・ロックの#2。テオ・トラヴィスがボーカルを取った、ド変態アバンギャルド・ジャズ・ロックの#3。親しみやすくもクールなオルガンのリフレインがカンタベリー風だなぁと思っていたら、長いソロ・パートの終盤にHATFIELD AND THE NORTH風というか、HATFIELDのコーラス隊 ザ・ノーセッツ風な美しい女声コーラスも登場する#4。中盤ではKANSASのCarry on Wayward Sonのようなリフも飛び出します。ロックなオルガンのリフ、ジャジーなボーカル・パート、ロカビリーのようなサビと展開し、エキサイティングなシンセ・ソロ、ヨナス・レインゴールド(B)の超絶ベース・ソロ、クリスター・ジョンソン(G)のエモーショナルなソロをフィーチャーした#5。イントロのドラム・パターンと重厚なムードがUKのDanger Moneyを彷彿させる#7は、アダルトなムードのボーカル・パートや、シンセによるプログレ大会、渋い音使いのギター・ソロ等インスト・セクションによって紡がれた25分に及ぶ超大作。などなど、リスペクトと遊び心を織り込んだプログレ風隠し味でニヤリとさせつつ、70年代ディスコ・ミュージックを完璧に再現しながら、アンディのとぼけた味わいのボーカルとのミスマッチが楽しい#6で楽しませたりと、聴き手のツボをガンガン突いてくるサービス精神がうれしいですね。全編に漂う落ち着いた大人のムードも良い感じです。

Track List

1. In Earnest
2. Lost in London
3. DIY Surgery
4. GPS Culture
5. Follow Your Leaders
6. The Sun in My Eyes
7. A Place in the Queue

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THE TANGENT / Not As Good As The Book

2008,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドTHE TANGENTの4thアルバムNot As Good As The Book。
ミッドライフ・クライシスをテーマにしたDisc1と長尺組曲2曲から成るDisc2との2枚組。

鮮烈なシンセのテーマ・リフに4つ打ちバスドラがキャッチーな#1。オルガンのちょっとしたオブリガードやジャジーなパートでのアダルトなムードから、ジャッコ・ジャクスジク(G)のタッピングを用いたテクニカルなギター・ソロをフィーチュアしたインスト・パートなど、器楽的要素も満載。
テオ・トラヴィス(Sax/Fl)のフルートが醸す落ち着いた雰囲気で統一された、洒落たカンタベリー風ナンバー#2。アンディ・ティリソン(Key/Vo)の流麗なピアノ・ソロ、ヘヴィなパートでのアンサンブルを持ち込み、スリリングに聴かせる起伏も。
静かな序盤から開放的に盛り上がるクライマックスまで終始リラックスしたムードが流れる#3。
サックスとオルガンがリードするイントロ、オルガンとベースのユニゾンによるミニマルなリフ、#5のイントロ的なクールな4分弱のインスト小品#4。
ズ太いシンセの単音メロディがプログレ然としていながらも、歌唱パートは弾むようなリズムに乗せてキャッチーに展開する#5。静かなパートでのアコギ、マンドリンを交えた叙情が英国っぽくて良い感じ。
幽玄なエレピにアコギ、フルートも加わった静のパートを中心に、少々ダークな動のパートを挿入した#6。
ギターのリフをベースにしたヘヴィなヴァースと、マイルドなサビの対比がおもしろい#7。

Disc2は女性シンガーをゲストに招きつつ、アンディ、ガイ、ジャッコが各曲でリード・ボーカルをとる#1。
GENESISの小品のような英国っぽい優しさと翳りを含んだメロディを軸に展開する#2。インスト・パートは、エキゾチックあり、テンポ・チェンジありで、多彩に聴かせます。

アンディ・ティリソンの味のあるボーカルを筆頭に、各パートが奏でる音にも余裕や優しさが感じられる大人のロック。
聴きやすさの中に玄人を唸らせる職人芸を忍ばせた、さすがの作品。

Track List

DISC 1
1. A Crisis in Mid-Life
2. Lost in London 25 Years Later
3. The Ethernet
4. Celebrity Purée
5. Not as Good as the Book
6. A Sale of Two Souls
7. Bat Out of Basildon

DISC 2
1. Part One - Four Egos One War
2. Part Two - The Full Gamut

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THE TANGENT / Down and Out in Paris and London

2009,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドTHE TANGENTの5thアルバムDown and Out in Paris and London。

アンディ・ティリソン(Kye/Vo)、テオ・トラヴィス(Sax/Fl)、ガイ・マニング(G)以外のメンバーは相変わらず落ち着かず、リズム隊の入れ替えで全員が英国人となった。

ギターの叙情的なメロディにシンセやサックス、フルートが絡み、ミニマルなオルガンフレーズに至る濃厚なイントロを持つ#1。カンタベリー風なインストパートやテオ・トラヴィスのマイルドなプレイが耳を捕らえて離さない、洒落たAORタッチのプログレ・チューン。
ジャジィなボーカル・パートを中心としつつ、鮮烈なシンセがフックとなった#2。
テーマ・メロディのリフレインとソロによる躍動感あるインスト・パートを内包した、ゆったりとレイドバックした#3。
マイルドなボーカル・パート、若干ヘヴィなパート、唸るシンセと滴るメロトロンの5拍子のインスト・パート、と意表を衝く展開を見せる#4。
叙情的なボーカル・チューン#5。
NATIONAL HEALTHのThe Collapsoを想起させる食器を落とした効果音にニヤリとさせられる#6。オルガンやエレピで繰り返されるミニマルなリフレイン、軽快なリズム、まろやかなシンセ、等々カンタベリーのオマージュで構成。

大人な落ち着きが全編を覆う少々地味な印象の中、カンタベリーとシンフォニック・プログレを融合させた独自路線が深化した佳作。

Track List

1. Where Are They Now?
2. Paroxetine - 20mg
3. Perdu Dans Paris
4. The Company Car
5. Everyman's Forgotten Monday
6. Canterbury Sequence Volume 2. Ethanol Hat Nail

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THE TANGENT / Comm

2011,UK

英国のプログレッシブ・ロックバンドTHE TANGENTの6thアルバム Comm。

タイタニック号が客船カルパチア号に送った遭難信号から現代のウィキペディアまで、コミュニケーション手段の様々な側面をテーマとしたコンセプト・アルバム。元IT BITESのフランシス・ダナリーからの影響が見て取れる若干21歳のルーク・マシン(G)が加入し、老獪なアンディ・ティリソン(Key/Vo)やテオ・トラヴィス(Sax/Fl)らと互角のインタープレイを披露。THE TANGENTに新鮮な息吹を注入しています。

ズ太いシンセのリフで幕を開け、ギターによる叙情的なテーマ・メロディ、シンフォニックなパートやハードなパートを織り交ぜた20分超の組曲#1。オブリガードでのさりげないスウィープ奏法やトーン・コントロールが見事なアコギ・ソロをキメるルーク・マシン、オルガンにシンセと変幻自在のプレイを聴かせるアンディ・ティリソンのプレイなど聴き所だらけの名曲。
ダークなムードの#2。ホールズワースやフランシス・ダナリーの系譜に連なるルーク・マシンの超絶変態フレージングが鮮烈なアクセントとなりつつ、朴訥なアンディ・ティリソンの歌唱とマイルドなテオ・トラヴィスのサックスでTHE TANGENTのテイストにまとめられています。
ジョナサン・バレット(B)のスムーズなフレットレス・ベースをフィーチュアしたメロウな#3。抑えたギター・ソロ、レズリーの回転をコントロールしたオルガンやペーソス漂うサックスなど味わい深い演奏が染み入ります。
オルガンのミニマルなリフにフルートが絡むカンタベリー・タッチの#4。お約束のファズ・オルガン単音ソロも登場。
叙情的なボーカル・メロディを中心に、静と動のダイナミズムを活かした起伏に富んだアレンジで構成した組曲の#5。

各パートが様々に表情を変えながら紡ぐアンサンブルと、確かなテクニックに支えられたギターやキーボードのツボを得たプレイが、静かなスリルを感じさせてくれる大人な作品です。名作!

ルーク・マシンは自身のプログレッシブ・メタル・バンドCONCRETE LAKE(PAIN OF SALVATIONからの影響モロ出しな微笑ましいネーミング。Tシャツも”BE”だし!)での作品リリースも予定している模様。
現代的なテクニックを活かした超絶技巧やアヴァンギャルドなフレージングから、少ない音数でセンス良く聴かせるプレイまで幅広くこなすこの男、今後注目されることになるかも。

Track List

1. The Wiki Man
2. The Mind's Eye
3. Shoot Them Down
4. Tech Support Guy
5. Titanic Calls Carpathia

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THE TANGENT / Le Sacre Du Travail

2013,UK

アンディ・ティリソン(Key/Vo)率いるプログレッシブ・ロックバンドTHE TANGENTの7thアルバムLe Sacre Du Travail。
盟友テオ・トラヴィス(Fl/Sax/Cl)以外のメンバーを一新。ヨナス・レインゴールド(B)、ジャッコ・ジャクスジク(G)、ギャヴィン・ハリソン(Dr)に加え、BIG BIG TRAINのデイヴィッド・ラングドン(Vo)も参加。

タイトルは、ストラヴィンスキーの春の祭典(The Rite Of Spring)をもじったThe Rite Of Workをフランス語にしたもののようだ。

ティンパニ連打から管と木琴によるシーケンス・フレーズが続くオーケストラのようなオープニングに意表を衝かれつつも、ファンファーレのようなシンセ、メロウなサックスがいつものTANGENTのムードを漂わせる序曲#1。
管が織り成す厳かな雰囲気のイントロから、中間部でのデイヴィッド・ラングドンが歌うIT BITESみたいなムードが漂うキャッチーなパート、メランコリックなパート、カンタベリー風ジャズロック・パート、そして勿論シンセが唸るプログレ・パートなど、緩急・静動と場面転換で22分超を紡ぐ大作#2。
再び趣を変えた管主体のシーケンス・フレーズを冒頭に配置、ジャム風ドラム・パートから一気にプログレ・ワールドに突入する#3。インスト・パートでは、クロスオーバーやフュージョンといった表現がぴったりなレトロで新鮮なヴァイヴを醸し出している。
#1のシーケンスをピアノでリプライズしたものから壮大なパートまで盛り込んだ3分のインスト小品#4。
オルガンの軽快なリフに乗ってズ太いシンセが突き抜ける、爽快でキャッチーなプログレ・チューン#5。

従来のカンタベリー風味シンフォをベースに、クラシックのような楽章形式で各曲を関連させながらも際立たせ、全体としてよりスケールの大きなロック・オーケストラとも言える作風に。
プログレ然とした迸るシンセからフルート等の静謐な詩情まで、幅広い表情を確かなテクニックと味わい深い演奏で聴かせつつ、マニアックな部分とキャッチーなメロディも混在させる卓越したセンス。
現在、最も高品質なプログレ作品を生み出すバンド。

Track List

1. 1st movement: Coming Up On The Hour (Overture)
2. 2nd movement: Morning Journey & The Arrival
3. 3rd movement: Afternoon Malaise
4. 4th movement: A Voyage Through Rush Hour
5. 5th movement: Evening TV

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THE TANGENT / A Spark In The Aether

2015,UK

アンディ・ティリソン(Key/Vo)率いる英国のプログレッシブ・ロック・バンドTHE TANGENTの8thアルバム A Spark In The Aether。The Music That Died Alone Volume Twoをサブタイトルとし、1stアルバムの続編であることを宣言。

シンセのテーマ・リフと7拍子を軸に進行する明るく躍動感あるオープニング・チューン#1。
イントロのミニマルなモチーフにコード・カッティングを絡めるオルガンがカンタベリーなようでUK風でもある#2。シンセが入ると一気に快活なシンフォニック・プログレへ展開。ヨナス・レインゴールド(B)のメロディアスかつドライブ感あるプレイがリード。ジャズ・ロック然としたインスト・パートでは、ハーモニクスとアーミングも交えてトリッキーなソロを聴かせるルーク・マシン(G)のインテンスなプレイが強烈なアクセントとなっている。
テオ・トラヴィス(Sax/Fl)のフルートが軽やかな装いをもたらす、リラックスした歌ものジャズ・ロック#3。
#3のテーマをスパニッシュ風アコギで引継ぎ、妖しいフルートからムーディなサックスのインプロヴァイズに移行するダークなインストゥルメンタル#4。
グルーヴィなメイン・テーマを中心に緩急と陰陽で彩った6パートからなる21分超の組曲#5。
#1のパート2。静寂からサックスやギターのソロ・パートを経て、より躍動感を増したテーマ・メロディをリプライズする#6。

アンディ・ティリソン独特の味わいの歌唱や随所に見せるカンタベリー・ミュージック由来の洒脱に、往年のプログレを彷彿させるシンフォニック感をまぶしたTHE TANGENTサウンドはもはや保証書付き。
現代プログレッシブ・ロック・バンドの中でも比較的安定した活動で常に水準以上のアルバムを制作するTHE TANGENTだが、今回は2011年のアルバムCOMMの制作やツアー・バンドで参加していたテクニカルでフラッシーなフレーズを聴かせる技巧派ギタリスト ルーク・マシンが復帰。全ギター・パートのアレンジやミックスにまで関与する活躍ぶりで、楽章形式でロック・オーケストラを展開した前作Le Sacre Du Travailから一転してのシンプルなロック回帰にフォーカスした新作に貢献している。

Track List

1. A Spark in the Aether
2. Codpieces and Capes
 a. We've Got The Music!
 b. Geronimo - The Sharp End Of A Legacy
 c. Trucks & Rugs & Prog & Roll
 d. A Night At Newcastle City Hall, 1971
 e. We've Got The Music! (Reprise)
3. Clearing The Attic
4. Aftereugene
5. The Celluloid Road
 a. The American Watchworld
 b. Cops And Boxes
 c. On The Road Again
 d. The Inner Heart
 e. San Francisco
 f. The American Watchworld (Reprise)
6. A Spark In The Aether (Part Two)

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THE TANGENT / The Slow Rust of Forgotten Machinery

UK,2017

アンディ・ティリソン(Key/Dr/Vo)率いるTHE TANGENTの9thアルバムThe Slow Rust of Forgotten Machinery。

ミニマルなオルガンのフレーズや女性コーラスがカンタベリーなテイストを漂わせる#1。ここぞで登場する突き抜けたシンセが爽快感抜群。アンディ・ティリソンの素朴な歌唱、スリリングなインスト・パート、抒情を帯びたメロディとTHE TANGENTらしいシンフォニック・ナンバーとなっている。
各パートが緻密に絡み合うアンサンブルと滑らかなインプロヴァイズで聴かせるジャズ・ロック#2。アームを巧みに駆使した官能的なフレージングから超絶シュレッドまで弾きまくるルーク・マシン(G)をフィーチュアしつつ、クールに抑えたプレイで支えるテオ・トラヴィス(Sax/Fl)の職人技も光る。
随所に印象的なフックを配して静と動、陰と陽の起伏を付けて進行する歌唱パート、シンフォニックなインスト・パートの2軸が交差する22分超の大作#3。
ヨナス・レインゴールド(B)のベース・ソロやアンディ・ティリソンによる40秒程のドラム・ソロを含むソロ・パートがテクニカルでスリリングな#4。
心地よいグルーヴと仄かな抒情を交えたAOR風ジャズ・ロック#5。ホルストの木星からの引用は色んな所で手垢が付き過ぎて今更感も。
4つ打ちのバスドラとハンドクラップで一瞬ダンス系?と驚くも柔らかな音色で舞うシンセのメロウネスにほっとするエンディング・ナンバー#6。

ヨナス・レインゴールド、テオ・トラヴィス、ルーク・マシンといったお馴染みのメンバーに、ルーク・マシンとはMASCHINEでのバンドメイトであるマリー・イヴ ド・ゴルティエ(Key/Vo)が参加。4thアルバムNot As Good As The Book以来の女性ボーカルが、NATIONAL HEALTHHATFIELD AND THE NORTHの可憐な女性コーラスを彷彿させ、シンフォニックなカンタベリー風ジャズ・ロックという独自路線の確立に貢献。
場面に応じて適材適所のプレイを披露するルーク・マシンはプロデュースも担当。多彩な技巧に加えエモーショナルな表現力も増し、バンド内での存在感を強めている。

Track List

1. Two Rope Swings 06:32
2. Dr. Livingstone (I Presume) 11:58
3. Slow Rust 22:31
4. The Sad Story Of Lead and Astatine 16:00
5. A Few Steps Down The Wrong Road 17:31

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