YES のレビュー

YES / The Yes Album

1971,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドYESの1971年3rdアルバムThe Yes Album。

本作よりスティーヴ・ハウ(G)が加入。早速、バッキング、オブリガード、ソロと縦横無尽にカラフルなプレイを披露。メンバーもそんな彼の才能に敬意を表してか、ライブ・レコーディングによるアコギのソロ#2を収録。これが又、クラシック、カントリー、スパニッシュ、ブルーズなど様々な影響を融合した、「これだけ弾けたらさぞ楽しいだろうな」、と感じさせる素晴らしい演奏で奏でられた軽快なインストゥルメンタルに仕上がってます。
クリス・スクワイヤ(B)とビル・ブラフォード(Dr)の叩き出すドライブ感抜群のビートに、スティーヴ・ハウによる華麗なギターのオブリガードが舞う#1。
アコギの見事なバッキング・パートに乗る美しいコーラス・パート、エレキのカッティング・リフをベースにした思索的インストパートなど、スティーヴ・ハウのギターが舵を取る組曲形式の#3。
アコギと素朴なリコーダーに美しい多層コーラスが乗る序盤とリズミックなシャッフルのロックン・ロールの後半の2部構成の組曲#4。
少々サイケなムードの中に英国っぽい妖しいヒネリが加わったポップな小品#5。
緊張感あるリフとゆったりした歌唱・アンサンブル・パートが繰り返す中に、突如シンセとベースのユニゾン・リフが登場しカオスなインスト・パートに発展するスリルを持ち込んだ#6。

組曲形式の楽曲構成に後の緻密なアンサンブルによる長大なシンフォニック・ロックの萌芽も読み取れますが、全体的には牧歌的なムードも漂わせる箇所も多々存在する、プログレ風味のポップ・ロックといったテイスト。
本作がラストとなるトニー・ケイ(Key)もオルガンやピアノ中心にシンセも操り奮闘してはいますが、楽曲に彩を加えるスティーヴ・ハウの派手なプレイと比較するとバンド・サウンドの中に埋もれている印象。
バンドが楽曲の組曲・長尺化によって目指すスケール感を表現する上では役不足かも。脱退も止む無しといったところでしょうか。

Track List

1. Yours Is No Disgrace
2. The Clap
3. Starship Trooper
i)Life Seeker
ii)Disillusion
iii)Wurm
4. I've Seen All Good People
i)Your Move
ii)All Good People
5. A Venture
6. Perpetual Change

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YES / Fragile

1972,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドYESの1972年4thアルバムFragile。

本作から加入したリック・ウェイクマン(Key)のオルガンが印象的な超有名曲#1から各メンバーの全開プレイが楽しめます。
大作主義的な#1,#4,#6,#9以外は各メンバーの個性を前面に出したソロのような作風でコンパクトに仕上げられています。このように大作と小品がバランス良く配置されたアルバム構成に対して、考え過ぎた当時のファンが勝手にこの作品をコンセプトアルバムだと誤解しました。
ただ、あくまでもロック的なアンサンブルの中でのメンバー同士の激突がこのバンドの魅力だと思うんで、ちょっと物足りない感じもしますね。

Track List

1. Roundabout
2. Cans and Brahms
3. We Have Heaven
4. South Side of the Sky
5. Five Per Cent of Nothing
6. Long Distance Runaround
7. Fish (Schindleria Praematurus)
8. Mood for a Day

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YES / Close to the Edge

1972,UK

YESの1972年5thアルバムClose to the Edge。

時に小説単位で行われたレコーディングの断片をテープの切り・貼りによって再構築したという#1がもう最高。川のせせらぎと鳥のさえずりのSEを導入部に仕込むことで牧歌的なイメージを与えておきながら、バンド演奏が始まるとともに突然のフリージャズ寸前の展開に当時の全リスナーが腰を抜かしたであろう衝撃のオープニングでつかみはOK。そして忍耐強く聴き続けた者だけに訪れる緊張からの爽やかな開放感。まさに「アメ」と「ムチ」。この曲は基本的にこのパターンを繰り返しながらオーラスの大団円に向かって徐々に感動の度合いが高まるように構成されています。後世の多くのバンドがこうした手法を模倣しながら未だにこのオリジナルの完成度を越える事ができていない、という事実がいかにこの30年以上前の作品が凄いものであるかを証明しています。
リック・ウェイクマン(Key)が多彩なトーンでチーム・プレーに徹しつつ幻想的雰囲気を醸し出す#2、
各パートの演奏が有機的に絡み合った#3も素晴らしいです。

スリリングでドラマティック、メロディアスでインテレクチュアルなロック史に燦然と輝く名盤。偏執狂的制作スタイルに疲れたビル・ブラッフォード(Dr)はレコーディング後脱退、KING CRIMSONに加入します。

Track List

1. Close To The Edge
(i)The Solid Time Of Change
(ii)Total Mass Retain
(iii)I Get Up, I Get Down
(iv)Seasons Of A Man
2. And You And I
(i)Cord Of Life
(ii)Eclipse
(iii)The Preacher, The Teacher
(iv)Apocalypse
3. Siberian Khatru

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YES / Tales From Topographic Oceans

1973,UK

ドラムがビル・ブラッフォードからアラン・ホワイトにチェンジしてのYESの1973年6thアルバムTales From Topographic Oceans。

ジョン・アンダーソン(Vo)の呪文のようなボーカルから始まり、寄せては引き引いては返す波のように緩急が程よく繰り返されるシンフォニックな#1。雄大な場面をメロトロン、鋭いオブリガードをピアノ、ソロではモーグ、とリック・ウェイクマン(Key)が場面に応じてカラフルにプレイし長尺の緊張感を保ってます。
桃源郷のような緩いムードが大半を支配する中、7拍子に乗ったアグレッシヴ・パートのテンションが心地良い#2。
小刻みなパーカッションをバックにしたアバンギャルドなスライド・ギター、スパニッシュ風なアコギのプレイ等スティーヴ・ハウ(G)がテクニックとアイディアを見せ付けた#3。
スティーヴ・ハウのシタールやアラン・ホワイトの叩き出すプリミティブな感じのビートがエスニックなムードを醸し出す#4。

アナログ時代はLP2枚各面毎に20分クラスの1曲を収録した合計4曲という超大作です。壮大なYES流シンフォニーに浸れます。

Track List

1. The Revealing Science Of God
/Dance Of The Dawn
2. The Remembering
/High The Memory
3. The Ancient
/Giants Under The Sun
4. Ritual
/Nous Sommes Du Soleil

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YES / Relayer

1974,UK

YESのスタジオ1974年7thアルバムRelayer。
1973年の前作「Tales From Topographic Oceans」を最後にリック・ウェイクマン(Key)が脱退、1974年の今作からスイス人のパトリック・モラーツ(Key)が加入。

22分にも及ぶ大作#1では、早速モラーツのカラフルなキーボード群によるジャズの素養を感じさせるクールなフレージングが聴き所となっています。8分過ぎからのインスト・パートでは分厚いシンセ・サウンドと独特の攻撃的なフレージングでスティーヴ・ハウ(G)を挑発、手に汗握る緊迫したバトルを展開しています。
ギターとベースによる速いパッセージのユニゾンがスリリングな#2。
ハイテンションな前2曲とは打って変わってゆったりした#3では、良く聴くと各々のパートが絶えず紡ぎだすフレーズが絶妙な融合を見せている事に気づきます。
YESに新鮮な風を送り込んだパトリック・モラーツでしたが、自身のソロ作の成功もあり、この1枚で脱退してしまいます。

Track List

1. The Gates of Delirium
2. Sound Chaser
3. To Be Over

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YES / Going for the One

1977,UK

YESの1977年8thアルバムGoing for the One。

前作Relayer1枚のみでYESを去ったパトリック・モラーツの穴を埋めるべく何とリック・ウェイクマン(Key)が復帰。1973年の超大作Tales from Topographic Oceans(海洋地形学の物語)と同じメンツながら時代はパンクの嵐吹き荒れる1977年ということもあってか、難解な長尺曲は姿を消しコンパクトな楽曲中心に構成されたキャッチーなアルバムとなりました。

冒頭のスティーヴ・ハウ(G)によるラップ・スティールのフレーズが一瞬サーフ・ロックか?と耳を疑うが、良く聴けば絡み付くようなギターとキーボードで紡がれたアレンジにジョン・アンダーソン(Vo)の無垢なボーカルが乗るYESらしいナンバーとなった#1。
トーン、フレージング共に素晴らしいアコギと美しいピアノの調べにオートハープの装飾音が加わりファンタジックに盛り上がる#2。
重厚なチャーチ・オルガンのリフに乗ってクリス・スクワイア(B)のベースが唸るスクワイア作のPOPな#3。
瑞々しい美しさに溢れたヒット・ナンバー#4。
緊張感と桃源郷的ファンタジーが絶妙のバランスで融合した、往年の大作を彷彿させる15分超のシンフォニックな#5。

ジャケット・アートもこれまでのロジャー・ディーンによる有機的ファンタジック路線からヒプノシスによる無機的、幾何学的なものになり、バンドの前進しようとする意欲を感じさせます。

Track List

1. Going for the One
2. Turn of the Century
3. Parallels
4. Wonderous Stories
5. Awaken

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YES / Tormato

1978,UK

YESのスタジオ9thアルバムTormato。

出戻りのリック・ウェイクマン(Key)を含めた前作と同じラインナップで、ジャケット・アートも引き続きヒプノシスが担当。

シンフォニックなアンサンブルとポップなボーカル・パートが同居した#1。
何とクジラをテーマにしたキャッチーな#2。
ハープシコードの典雅な響きを基調に、スティーブ・ハウ(G)のクラシカルなアコギやコーラスが繊細な美しさを醸し出す小品#3。
アラン・ホワイト(Dr)のドラム・ソロ(オーディエンス・ノイズ入り)をフィーチュアした、スリリングなYES流ロックン・ロールの#4。アレンジ面で面白い部分はあるものの、性急で軽いリズムと薄っぺらいシンセ・サウンドが難点。
未知との遭遇などSF映画からの影響なのか、UFOがテーマの#5。これも厚みの無いシンセが曲の印象を何とも安っぽいものにしてしまっているのが残念。
独特のオブリガードのギターとメロディアスなベースラインがボーカルと絡み、素朴で明るいムードから叙情パートに展開する#6。
オーケストラとスティーブ・ハウのミュートしたギターによるミニマル・リフをバックに、希望的な優しいボーカル・メロディが乗ったバラード#7。
ベース・リフにガチャガチャしたギターが絡む即興風な序盤から、軽快なリズムのボーカル・パートに移行する#8。

現実的なテーマを取り入れた#2、コンパクトな楽曲や軽いサウンドなどに、従来の壮大なプログレを奏でたバンドの面影は無い。
独自の創造性で時代を切り開いてきたバンドがいつしかマンネリに陥り、時代に迎合することでチグハグな印象になってしまった惜しい作品。

Track List

1. (i)Future Times
(ii)Rejoice
2. Don't Kill The Whale
3. Madrigal
4. Release, Release
5. Arriving UFO
6. Circus Of Heaven
7. Onward
8. On The Silent Wings Of Freedom

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YES / Drama

1980,UK

YESのスタジオ1980年10thアルバムDrama。

ジョン・アンダーソンとリック・ウェイクマンが脱退したYESでしたが、その大ピンチを救ったのは何とテクノなポップ・グループTHE BUGGLESの2人、トレヴァー・ホーン(Vo)とジェフ・ダウンズ(Key)。前作がシングル・ヒットを狙ったかのようなポップと従来のYESらしさが融合しきらず、まだら模様のような中途半端な作風だったのがウソのように、心機一転、スッキリしたサウンドが耳に心地良いです。

ダークなテーマ・メロディから始まり、ギターのトリッキーな3連フレーズで桃源郷メジャー・サウンドに変貌するオープニング・チューン#1。明暗、動静、緩急、など相反する要素を巧みに織り込み、キャッチーでありつつもプログレッシブな意匠も忘れない見事なトラックです。
神秘的な中にスケール感も感じさせる小曲#2。
ベース・リフに絡むシンフォニックなシンセとタイトなリズム、そこに変拍子のヒネリを加えた#3。
ヴォコーダーと歌メロが醸し出すムードがBUGGLESのようにポップな#4は、そこにYESならではのドラマティックな展開とスティーヴ・ハウ(G)のガチャガチャしたプレイが絶妙に融合したプログレッシブ・ポップな傑作。
ジェフ・ダウンズのカラフルなシンセとスティーヴ・ハウのマンドリンやギターのオブリガードで紡ぐ#5。
ランニングするベース・リフ、THE POLICEのようなシャープなカッティングがリードする#6は、オルガンが鋭く切れ込みバンドが一体となって迫るプログレ・パートがカッコ良いコンパクトなナンバー。

ジョン・アンダーソンのような無垢なフィーリングにはほど遠いながら、なかなか健闘しているトレヴァー・ホーンに、ソツ無くチーム・プレイに徹しつつも各曲で必ず印象的な素晴らしい鍵盤群を聴かせるジェフ・ダウンズ。
クラシック・ラインナップのYESと産業ロック路線で大ヒットした90125YESの狭間にたった1枚で終わったメンツ、と言うことで地味な扱いを受けてますが、キャッチーなプログレという誰も成し得なかった金字塔を打ち立てたエポック・メイキングなアルバムですよ、これは。ジャケット・アートも久しぶりにロジャー・ディーンに回帰しております。

Track List

1. Machine Messiah
2. White Car
3. Does It Really Happen?
4. Into The Lens
5. Run Through The Light
6. Tempus Fugit

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YES / 90125

1983,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドYESの11thアルバム90125。

THE BUGGLESの2人を加入させて名盤Dramaを制作し危機を乗り越えたYESですが、ツアーでは不評だったようで解散状態に。
ところが、クリス・スクワイア(B)、アラン・ホワイト(Dr)がトレーヴァー・ラビン(G)と始めたバンドCINEMAに、3rdアルバムまで在籍していたトニー・ケイ(Key)、そしてジョン・アンダーソン(Vo)が加わりおそらくビジネス的思惑も絡んで新生YESが誕生。
トレヴァー・ホーンのプロデュースで制作されたアルバムは、#1のシングル・ヒットもあり大成功。トレヴァー・ホーンは見事にリベンジを果たす事に成功しました。

時代を席巻した#1や#6の鮮烈なオーケストラ・ヒットは、世の中の一歩先を行くという意味ではプログレッシブとも言えるものの、全体的には往年のシンフォニックなプログレとも、Dramaのニューウェイブ感覚を取り入れたポップなプログレとも違う、アーミングやピッキング・ハーモニクスなど派手なギターがリードするハード・ポップにサウンドは変化。
昔は地味なオルガンのバッキングを聴かせていたトニー・ケイも、プレイは相変わらず地味ながらキラキラした80年代風シンセ・サウンドでアンサンブルの一部に溶け込み、才気溢れるトレヴァー・ラビンの多彩なプレイとキャッチーなメロディをお馴染みの無垢な声で歌うジョン・アンダーソンをフォローしています。

そんな中、トリッキーな変拍子イントロから叙情ポップなボーカル・パートへ予測不能の展開を見せる#4、スペイシーでスリリングなインストゥルメンタル#5、ドラマティックな#9あたりに何となくYESっぽさを感じさせる所がおもしろいですね。

Track List

1. Owner of a Lonely Heart
2. Hold On
3. It Can Happen
4. Changes
5. Cinema
6. Leave It
7. Our Song
8. City of Love
9. Hearts

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YES / Union

1991,UK

ABWHと権利上の本家YESが合体し、8人YESとしてリリースされたアルバムUNION。

無垢で気まぐれなジョン・アンダーソン(Vo)の行動に、金の匂いを嗅ぎつけたレコード会社やプロモーター等ビジネス面が乗った結果、複数のプロデューサー、スタジオミュージシャン(中にはスティーヴ・ポーカロのような大御所も)が入り乱れ、タイトルのUNIONに反してバンド・メンバーの体温が伝わってこない散漫なアルバムに。
特に、ギターやキーボードの大部分をバンドメンバー以外の演奏に頼ったのがまずかった。
ジョン・アンダーソンの声が唯一らしさを発揮するだけで、サウンドの鍵の部分がこれではバンドっていう感じが乏しいのも仕方が無い。これはバンド・メンバーの不和に端を発したプロデューサー苦肉の策らしい。
しかし、個々の楽曲には光るものもあり、さすがと唸らせます。

スティーヴ・ハウ(G)のガチャガチャしたギター、カラフルなキーボード群、重層コーラスなど、YESらしいパーツをふんだんに盛り込んだポップな#1。
重厚なリズムにブルーズ・ロック風リフが乗る#2。勿論、ジョン・アンダーソンのモード旋律に沿った歌唱と各種オブリガートによりドロ臭さは皆無。流麗なギター・ソロはスティーヴ・ハウっぽく無いのでもしかしたらゲスト・プレイヤーか。
スティーヴ・ハウのアコギ・ソロ小品#3。
トレヴァー・ラビン(G)によるメカニカルかつスピーディなパッセージのリフがカッコ良い、ゴージャスなハード・プログレ・ポップの#4。
メランコリックで静かな前半部分、9拍子の緊張感あるサビが印象的な後半部分から成る#5。
レゲエ風グルーヴを取り入れたポップな#6。
オルガンやマンドリンによる変拍子リフがギターのミニマルなリフと絡む、緊張感とポピュラリティを兼ね備えた#7。
変拍子が心地良いズレを生む#8。
思索バラードの#9。
神秘的な#10。
トニー・レヴィン(B)のパーカッシブなベースがリードするリズムコンシャスな#11。
エキゾチックなビートを織り交ぜた#12や#14。

シリアスで変拍子を中心とした迷彩を施しながらも意外とポップなABWH陣営、ゴージャスでポップな本家YES陣営。
ともに楽曲はそれぞれの特長を発揮して面白いだけに、演奏にロック・バンドそしての温度が感じられないのが惜しい。

Track List

1. I Would Have Waited Forever
2. Shock To The System
3. Masquerade
4. Lift Me Up
5. Without Hope You Cannot Start The Day
6. Saving My Heart
7. Miracle Of Life
8. Silent Talking
9. The More We Live - Let Go
10. Angkor Wat
11. Dangerous
12. Holding On 13. Evensong
14. Take The Water To The Mountain

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YES / The Ladder

1999,UK

プログレッシブ・ロック・バンドYESの16thアルバム The Ladder。
メンツはジョン・アンダーソン(Vo)、クリス・スクワイヤ(B)、スティーヴ・ハウ(G)、アラン・ホワイト(Dr)のクラシック・メンバーに、ビリー・シャーウッド(G)、イゴール・コロシェフ(Key)を加えた6人編成。

序盤のダークでアンニュイな部分ではどことなくレゲエっぽいグルーヴ。中間部の3連パートを経て徐々にプログレッシブ・ロックに移行し、終盤はシンセやオルガンが壮大に鳴り響くシンフォニック・ロックに展開する#1。
琴か三味線のような東洋的な楽器音が印象的なゆったりとしたナンバーの#2。優しく美しいメロディ、シンフォニックな盛り上がりなどコンパクトな中に旨味を凝縮。
ホーン・セクションを導入したトロピカル・ミュージックにアップテンポのタテ乗りアレンジを施したポップな#3。
パーカッションとスキャットのトライバルなムードをベースにしながらも、シンセの白玉やジョン・アンダーソンの美声により土着風にならず不思議な感触のインスト#4。
爽やかなギターのカッティングがリードする明るく開放的な#5。終盤に登場する、いかにもスティーヴ・ハウというギター・パートが短か過ぎて残念。
伸びやかで美しいボーカル・メロディが、ラップ・スティールやシンセの控えめながらも印象的なバッキングに溶け込んだキャッチーな#6。
なんとなく東洋風なメロディ、シタール風なサウンドなどエスニック要素をポップに昇華した#7。
ポップに飛ばす前半から、シンセ・ストリングスをバックにアコギ、ギター、ボーカルがゆったりとシンフォニックにメロディを奏でる後半に展開する#8。
ファンキーなベースのリフを軸に少々ダークに進行するも、壮大なコーラスを持つサビ前からはYESらしく開放的に進行する#9。
ウェイクマン風クラシカルなオルガンとミニマルなフレーズを繰り返すハウのギターのイントロ、バンド・インしての続く疾走パート、と序盤からスリリングな#10。ボーカル・パートは序盤こそ又もや南国風テイストを漂わせながらも、ミステリアスでダークなパートを経て、メロディが徐々に天高く上り詰めるような最高のサビを迎えるドラマティックな構成。個性的なアコギ・ソロ、メロトロンっぽい白玉など、中簡に配された器楽パートも充実。

全編通して非常にポップですが、ワールド・ミュージック風なスパイスも嫌味が無く、産業ロックという程のギラついたあざとさも無い、自然体の心地良さが楽しめるアルバム。長尺で起伏ある展開に往年のプログレ・テイストを想起させる#1や#10の出来も素晴らしい。

Track List

1. Homeworld (The Ladder)
2. It Will Be A Good Day (The River)
3. Lightning Strikes
4. Can I?
5. Face To Face
6. If Only I Knew
7. To Be Alive (He Yadda)
8. Finally
9. The Messenger
10. New Language
11. Nine Voices (Longwalker)

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YES / Fly From Here

2011,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドYESの2011年作、Fly From Here。

80年代以降、目まぐるしくメンバー・チェンジを繰り返しながらバンドとしての看板を守り続けたYES。
今作Fly From Hereは、YESのトリビュート・バンドに在籍していたカナダ人 べノワ・デイヴィッド(Vo)以下、クリス・スクワイヤ(B)、アラン・ホワイト(Dr)、スティーヴ・ハウ(G)、ジェフ・ダウンズ(Key)というDrama以来となるジョン・アンダーソン不在のメンバー編成。そして何と、プロデュースはトレヴァー・ホーン、さらにDramaのアウトテイクだったFly From Hereを収録ということで、Dramaを名盤と信じる個人的には思わずニヤリの条件が揃いました。

中高音部ではジョン・アンダーソンに似た感じのべノワ・デイヴィッド、全体的にはジョン程の透明感や無垢なニュアンスには及ばないものの無難に違和感無くこなしています。

#1~#6の組曲は変拍子も交えた程良い緊張感をベースに、叙情や爽快感で起伏をもたせたドラマティックな佳曲。70年代の大作を彷彿させる構成に思わず頬を緩めるとともに、スティーヴ・ハウの独特な単音オブリガードが入ると、やはりYESらしさが増幅されます。
落ち着いた雰囲気のAORチューン#7。
アルペジオやコード・カッティングなどアコギがリードする洗練されたプログレッシブ・チューン#8。
ジェントルな歌唱がフォーク・タッチの伴奏に溶け込んだ#9。シンセ・ソロの上品なフレージングが、出しゃばらないジェフ・ダウンズらしいセンスを醸し出し、良いアクセントになっています。
ラテンなムードを漂わせたアコギによるインストゥルメンタル#10。エレキでは何かガチャガチャしたイメージのスティーヴ・ハウですが、アコギでは音楽的バックグラウンドの深みを感じさせるのは70年代から不変。
キャッチーでリラックスした中に、疾走感と7拍子のプログレ的展開を織り込んだ#11。

地味ながらツボを心得たジェフ・ダウンズのプレイと音色選択が、シンフォニックからポップ・チューンまでバラエティに富んだ楽曲群を上手くオブラートで包み込み、Drama期にAOR風味を加えたかのような上質な作品に仕上がっています。当然そこにはトレヴァー・ホーンの舵取りもあったわけで、一般的に低く評価されているDrama期YESのリベンジは大成功。
懐古でも前衛でも無い自然体のロック・バンドYESの姿がここに。

Track List

1. Fly From Here - Overture
2. Fly From Here pt I - We Can Fly
3. Fly From Here pt II - Sad Night At The Airfield
4. Fly From Here pt III - Madman At The Screens
5. Fly From Here pt IV - Bumpy Ride
6. Fly From Here pt V - We Can Fly Reprise
7. The Man You Always Wanted Me To Be
8. Life On A Film Set
9. Hour Of Need
10. Solitaire
11. Into The Storm

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YES / Heaven & Earth

2014,UK

シンガーにアメリカのプログレ・バンドGLASS HAMMERのジョン・デイヴィソン(Vo)を迎えたYESの21stアルバムHeaven & Earth。

スティーヴ・ハウ(G)によるボリューム奏法のテーマ・メロディにジェフ・ダウンズ(Key)らしい軽やかなシンセのバッキングが続く緩いポップ・チューン#1。歌の出だしがジョン・アンダーソン風メロディで一瞬オッとなる。インスト・パートのキメ・フレーズを弾くスティーヴ・ハウのトーンが、抑えたというよりは弱々しく聴こえるのは老いたルックスの先入観があるからだろうか。自身が脱退したASIAが若いギタリストを加えて溌剌とした音像のアルバムをリリースしたばかりなのでどうしても対比が目立ってしまう。
イントロのサスティナーを使用したスムーズなフレーズが耳を惹く、穏やかでキャッチーな#2。
シンセによる朗らかなメロディのシーケンス・パターンがリードする#3。
フォーク・タッチのバラード#4。
3連なのに弾む感じが無い、気だるいムードの#5。
スティーヴ・ハウのスライド・ギターが陰影を付ける#6。
リフレインが童謡のような緩いメロディのポップ・ソング#7。
緊張と緩和のドラマティックな対比や変拍子のアクセントなど、ファンが求めるプログレッシブなYESを体現した#8。ジェフ・ダウンズらしいクラシカルなシンセのオーケストレーションや叙情性も含め、アルバム随一の佳曲だがエンディングは淡泊。

呼吸不全でバンドを離れた前任者のブノワ・デイヴィッド同様、ジョン・デイヴィソンもYESフォロワー・バンドを出自とするだけに声質はジョン・アンダーソンに似ているが、本家特有の無垢なニュアンスまでは出し切れておらず全体的に表現力不足。それをバンドも認識した上であえてそうしたのか、それとも単にアイディア不足なのか、明るいムードで統一された楽曲群には神秘性や奥深さが不足し、凡庸なメロディのポップスに止まっている。
YESというバンドの個性のひとつである、各パートのせめぎあいと収束によるアンサンブルの妙も、#8で微かに感じられる程度。ほとんどの楽曲で単なる歌モノのバック・バンドと化してしまっているのが痛い。#6あたりはアレンジ次第でもう少し深みが出たと思う。特にリズム隊の覇気の無さが致命的ですらある。

往年の傑作と比較するのは酷としても、前作がDRAMA期YESを継承した良作だっただけに、連綿と続くバンドの歴史上位置付けが難しいアルバムになってしまった。こうして現役バンドとして新作をリリースするクリエイティブな姿勢は賞賛に値するが・・・。

Track List

1. Believe Again
2. The Game
3. Step Beyond
4. To Ascend
5. In A World Of Our Own
6. Light Of The Ages
7. It Was All We Knew
8. Subway Walls

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