YES のレビュー

YES / The Ladder

1999,UK

プログレッシブ・ロック・バンドYESの16thアルバム The Ladder。
メンツはジョン・アンダーソン(Vo)、クリス・スクワイヤ(B)、スティーヴ・ハウ(G)、アラン・ホワイト(Dr)のクラシック・メンバーに、ビリー・シャーウッド(G)、イゴール・コロシェフ(Key)を加えた6人編成。

序盤のダークでアンニュイな部分ではどことなくレゲエっぽいグルーヴ。中間部の3連パートを経て徐々にプログレッシブ・ロックに移行し、終盤はシンセやオルガンが壮大に鳴り響くシンフォニック・ロックに展開する#1。
琴か三味線のような東洋的な楽器音が印象的なゆったりとしたナンバーの#2。優しく美しいメロディ、シンフォニックな盛り上がりなどコンパクトな中に旨味を凝縮。
ホーン・セクションを導入したトロピカル・ミュージックにアップテンポのタテ乗りアレンジを施したポップな#3。
パーカッションとスキャットのトライバルなムードをベースにしながらも、シンセの白玉やジョン・アンダーソンの美声により土着風にならず不思議な感触のインスト#4。
爽やかなギターのカッティングがリードする明るく開放的な#5。終盤に登場する、いかにもスティーヴ・ハウというギター・パートが短か過ぎて残念。
伸びやかで美しいボーカル・メロディが、ラップ・スティールやシンセの控えめながらも印象的なバッキングに溶け込んだキャッチーな#6。
なんとなく東洋風なメロディ、シタール風なサウンドなどエスニック要素をポップに昇華した#7。
ポップに飛ばす前半から、シンセ・ストリングスをバックにアコギ、ギター、ボーカルがゆったりとシンフォニックにメロディを奏でる後半に展開する#8。
ファンキーなベースのリフを軸に少々ダークに進行するも、壮大なコーラスを持つサビ前からはYESらしく開放的に進行する#9。
ウェイクマン風クラシカルなオルガンとミニマルなフレーズを繰り返すハウのギターのイントロ、バンド・インしての続く疾走パート、と序盤からスリリングな#10。ボーカル・パートは序盤こそ又もや南国風テイストを漂わせながらも、ミステリアスでダークなパートを経て、メロディが徐々に天高く上り詰めるような最高のサビを迎えるドラマティックな構成。個性的なアコギ・ソロ、メロトロンっぽい白玉など、中簡に配された器楽パートも充実。

全編通して非常にポップですが、ワールド・ミュージック風なスパイスも嫌味が無く、産業ロックという程のギラついたあざとさも無い、自然体の心地良さが楽しめるアルバム。長尺で起伏ある展開に往年のプログレ・テイストを想起させる#1や#10の出来も素晴らしい。

Track List

1. Homeworld (The Ladder)
2. It Will Be A Good Day (The River)
3. Lightning Strikes
4. Can I?
5. Face To Face
6. If Only I Knew
7. To Be Alive (He Yadda)
8. Finally
9. The Messenger
10. New Language
11. Nine Voices (Longwalker)

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