プログレ のレビュー

CARAVAN / Caravan

1968,UK

WILD FLOWERSから派生した初期カンタベリー・ミュージックのバンドSOFT MACHINEとCARAVAN。このCARAVANの1968年1stは、時折コード進行にSOFT MACHINE的クールなジャズ・テイストを漂わせつつも、全体的な印象は時代を反映したサイケ・ポップという感じ。CARAVAN特有のどこか牧歌的で叙情的な美しいメロディも既に聴かれます。

パイ・ヘイスティングス(G/B/Vo)の素直なヴォーカルが楽曲の陰影を際立たせる#1では、チープなローリー社製と思しきオルガンによるシングルノート中心のソロもこの時点では未だファズも未使用ながら、ワウを活用したオーガニックな音色コントロールによるフレージングが胸を打ちます。
インド的モーダルな#2やサイケ・ムード満載の#5でも活躍するこのオルガン。デイヴィッド・シンクレア(Org)のテクニックに走り過ぎない、あくまでも楽曲ありきの姿勢が好印象です。
長尺(と言っても9分)のラスト#8ではドラマティックな起伏を持つ楽曲構成力も発揮しており、デビュー作でこの完成度はさすがタダ者じゃありません。

Track List

1.Place of My Own
2.Ride
3.Policeman
4.Love Song With Flute
5.Cecil Rons
6.Magic Man
7.Grandma's Lawn
8.Where But For Caravan Would I?

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SOFT MACHINE / Soft Machine

1968,UK

カンタベリー・ミュージックの祖、SOFT MACHINEの1968年1st。

ジミ・ヘンドリックスのアメリカ・ツアー同行中に、ニューヨークで4日間でレコーディングしたという1stアルバム。ロバート・ワイアット(Dr,Vo)、ケヴィン・エアーズ(B,Vo)、マイク・ラトリッジ(Key)の3人が繰り出す音はまさにサイケデリック。ジャズへの憧れを隠そうともしない#5あたりでのアバンギャルドな即興ソロの応酬も、やりっ放し感が強く”若気の至り”的微笑ましさも。そんな青さの反面、サイケ風味は絶品です。#7,#9,#12あたりのポップなサビメロとチープな音質のオルガンが織り成す少々くすんだ感じのカラフルな雰囲気は、時代を超越したカッコ良さです。とにかく、既成概念に囚われない奔放さが魅力的でイカしてます。つたない部分も多々あるが、それがかえって嫉妬をも感じさせる、60年代後半における英国のムードを切り取ったかのような1枚です。

Track List

1. Hope for Happiness
2. Joy of a Toy
3. Hope for Happiness (reprise)
4. Why Am I So Short?
5. So Boot If At All
6. A Certain Kind
8. Save Yourself
9. Priscilla
10. Lullabye Letter
11. We Did It Again
12. Plus Belle qu'une Poubelle
13. Why Are We Sleeping?
14. Box 25/4 Lid

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PRETTY THINGS / S.F.Sorrow

1968,UK

ブリティッシュ・ビートバンドPRETTY THINGSの1968年4thアルバムS.F.Sorrow。

ビートルズのサージェント・ペパーズ以降の時代を反映したサウンドは一言で言えばビート・サイケになるんでしょうが、 アコギとコーラス・ワークによる極彩色サイケ・ポップの#1に突如メロトロンが登場したり、ファズ・ギターによるリフの質感が元祖ヘヴィ・メタルな#12など、ハード・ロックやプログレ黎明期の英国ロック・シーンの混沌としたムードを体現するがごとく様々な音楽的要素が原初的な姿でゴッタ煮のように盛り込まれています。長くても3分台にまとめられたコンパクトな楽曲群は、どこを切ってもキャッチーでイカすメロディとセンスの宝庫。色んな方向に拡散しながらも、メロディアスなコーラス・ハーモニーの存在がサウンドの統一感をキープしてます。音の定位やスカスカなサウンドに時代を感じさせもしますが、単純にカッコ良いんでCMやドラマで使われたら絶対ヒットすると思いますね。

Track List

1. S.F. Sorrow Is Born
2. Bracelets of Fingers
3. She Says Good Morning
4. Private Sorrow
5. Balloon Burning
6. Death
7. Baron Saturday
8. Journey
9. I See You
10. Well of Destiny
11. Trust
12. Old Man Going
13. Loneliest Person

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MOODY BLUES / On the Threshold of a Dream

1969,UK

元々R&B色の濃いグループだったMOODY BLUESの1969年4thアルバムOn the Threshold of a Dream。

#2、#3に代表されるフォーク・ロックをベースにしたキャッチーなメロディと美しいコーラスで軽快に仕上がった楽曲が、クロスフェードしながら次々にメドレーの如く流れて行く様子は、ドライブしながらFMラジオを聴いているかのような印象で一気に聴けます。このあたりはアメリカ市場を狙った戦略的なものだったんでしょうか?実際ヒットチャートに入るくらい売れた模様で、後年立ち上げた自己レーベルの名前もこのアルバムから取ったThresholdだったあたり、バンドにとっても思い出深い作品ということなんでしょう。
そんな中、フルートが裏通りのペーソス感を醸し出す#2、コンパクトながらもスケールの大きなサウンドに仕上がった#6、あたりがメロトロンの活躍もあり特に耳を惹きますね。そして圧巻は、メロトロンの製造に関わっていたというマイク・ピンダー(Key)が書いたラストの3曲。メロトロンをシンフォニックに操り、ドラマティック&叙情的に盛り上げます。#12のピアノのリフレインが心に染み渡りますね。

Track List

1.In the Beginning
2.Lovely to See You
3.Dear Diary
4.Send Me No Wine
5.To Share Our Love
6.So Deep Within You
7.Never Comes the Day
8.Lazy Day
9.Are You Sitting Comfortably?
10.The Dream
11.Have You Heard, Pt. 1
12.Voyage
13.Have You Heard, Pt. 2

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SOFT MACHINE / Volume Two

1969,UK

SOFT MACHINEの1969年2ndアルバム。脱退したエアーズにかわり、ヒュー・ホッパー(B)が加入。兄のブライアン(Sax)がゲスト参加。

オシャレなピアノと「Good Evening・・・」で始まる朗読?がファズ・ベースに乗って軽快に登場する#1~#2にかけての人をくったようなユーモア路線から、Saxのリフが緊張感溢れる#3への流れでリスナーのハートを鷲づかみ。
#5から#8まではピアノを軸に、サイケなPOP感覚を見せたかと思えば、ファズ・ベースが唸ってクールに展開と変幻自在。
リプライズ的な#9ときてアバンギャルドに締めくくる#10までのアナログ時代でのA面が怒涛の展開で一気に聴かせます。
7拍子が心地良いヘヴィでPOPな#11、トラッド・フォークを思わせるシンプルなアコギ伴奏とヒネリの効いた歌メロが素敵な#12あたりの、とっつき易い歌モノの構成力は前作からの成長を伺わせる。
#13からはアバンギャルド、高速7拍子が入り乱れるテクニカルにしてハイテンションな連作でリスナーを圧倒。イカしてます。

Track List

1. Pataphysical Introduction, Pt. 1
2. Concise British Alphabet, Pt. 1
3. Hibou, Anemone and Bear
4. Concise British Alphabet, Pt. 2
5. Hulloder
6. Dada Was Here
7. Thank You Pierrot Lunaire
8. Have You Ever Bean Green?
9. Pataphysical Introduction, Pt. 2
10. Out of Tunes
11. As Long as He Lies Perfectly Still
12. Dedicated to You But You Weren't Listening
13. Fire Engine Passing with Bells Clanging
14. Pig
15. Orange Skin Food
16. Door Opens and Closes
17. 10: 30 Returns to the Bedroom

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KING CRIMSON / In the Court of the Crimson King

1969,UK

ロバート・フリップ(G)率いるKING CRIMSONの1969年1stアルバム In the Court of the Crimson King。

衝撃のディストーション・ヴォイスとインストゥルメント・パートの構築されたスリリングな展開がエバーグリーンな魅力を持つロック史に残る名曲#1。
英国的で静謐な側面が魅力的な#2。
グレッグ・レイク(B/Vo)の叙情的なボーカルとメロトロンの洪水でお馴染みの#3。
叙情とアバンギャルドが両立した#4。
神々しいまでのメロディとそれを増幅するメロトロンのシャワーが快感の#5。

イアン・マクドナルド(Key等)がサックスやフルート、メロトロン、ヴィブラフォンとマルチに活躍し、バンドのアイディアを具現化。
ポップ・ミュージックのフィールドにおいて、全ミュージシャンと全リスナーに表現の可能性が無限である事を示したロック界永遠のバイブルです。

Track List

1. 21st Century Schizoid Man/Mirrors
2. I Talk to the Wind
3. Epitaph/March for No Reason/Tomorrow and Tomorrow
4. Moonchild/The Dream/The Illusion
5. Court of the Crimson King/The Return of the Fire Witch/The Dance of the Puppets

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NIRVANA / All of Us

1969,UK

英国のサイケ・ポップ・バンドNIRVANAの1969年2ndアルバムAll of Us。

ブラス・セクションとストリングス・セクションが、甘いボーカル・ラインをタイトル通り色鮮やかにゴージャスに彩る#1。
チェンバロとチェロの端整なバックにティンパニのロールが仰々しさをアクセントで加えた#2。
美しいコーラス、くすんだオルガンとストリングス、チェンバロが気品を加えた#3。
女性コーラスとストリングス、ハープの幽玄な響きが印象的な#4。
ストリングスをアクセントにピアノとパーショションでリズミックに盛り上がるフォーク#5。
リコーダーの素朴な音色のメイン・メロディを中心とした、チェンバロ、アコギ、マンドリン、ストリングス等、アコースティック楽器によるメランコリックなインストゥルメンタル小品#6。
弾むリズムのボーカル・パートが楽しい#7。
妖しいイントロとキャッチーなボーカル・パートが対比した#8。
テナー・サックスと女性コーラスがフックとなったロックン・ロール#9。
ジャジーでアダルトなムードのワルツにメロトロンやチェンバロの厳かな演出が効いた#10。
テープ操作でボーカルのピッチを上げたコミカルな#11。
ランニング・ベースをバックにホンキートンク・ピアノを中心とした演奏が乗った、少々気怠い感じのロックン・ロール#12。

実態はパトリック・キャンベル=リオンズとアレックス・スパイロポロウスのプロジェクトながら、多彩なアレンジと多彩な楽器でカラフルで夢見心地の楽しいサイケ・ポップ・ワールドが展開されています。
ナポレオンが敵兵の死体を並べた通りを行進するPierre Fritel作の絵画をモチーフにしたモノクロでグロテスクなジャケット・アートが衝撃的ですが、音楽はジャケのイメージとは全く正反対の極彩色というこの落差。これも英国的センス・オブ・ユーモアなんでしょうか。

Track List

1. Rainbow Chaser
2. Tiny Goddess
3. The Touchables (All Of Us)
4. Melanie Blue
5. Trapeze
6. The Show Must Go On
7. Girl In The Park
8. Miami Masquerade
9. Frankie The Great
10. You Can Try It
11. Everybody Loves The Clown
12. St. John's Wood Affair

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NIRVANA / To Markos III

1969,UK

英国サイケデリアNIRVANAの1969年3rdアルバムTo Markos III。

パトリック・キャンベル=リオンズとアレックス・スパイロポロウスという実質2人のプロジェクトながら、ゲストの管弦楽を品良く取り入れたサイケ・ポップを構築。甘い歌メロ、優雅なオケによるオブリガード、女性ヴォーカル、等々全てが計算しつくされ、時に映画のワンシーンのようなドラマ性をも帯びた立体感を持って迫ってきます。ストリングスを中心にハープシコード、ブラスセクション、フルート、ハープと曲調や場面に応じてあしらわれた楽器の選択センスが抜群で、時代を超越したアレンジは今もなお魅力たっぷりです。
神秘的なハープのアルペジオから始まり、ジャジーでオシャレなムードを醸し出すピアノとウッドベースによるシンプルな伴奏に乗って女性ヴォーカルのアンニュイな歌唱が冴える#9が最高。

Track List

1. The World Is Cold Without You
2. Excerpt From 'The Blind & The Beautiful'
3. I Talk To My Room
4. Christopher Lucifer
5. Aline Cherie
6. Tres, Tres Bien
7. It Happened Two Sundays Ago
8. Black Flower
9. Love Suite
10. Illinois

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RENAISSANCE / Renaissance

1969,UK

元YARDBIRDSのキース・レルフ(G/Vo)とジム・マッカーティ(Dr/Vo)を中心に結成されたオリジナルRENAISSANCEの1stアルバム。

フォークを基本にジョン・ホウクン(Key)のピアノやハープシコードがクラシカルなフレイバーを持ち込んだサウンド。キースの実妹ジェーン・レルフもボーカルで参加してます。#3のデュエットや#4で、くぐもった独特の美声を聴かせています。

Track List

1. Kings and Queens
2. Innocence
3. Island
4. Wanderer
5. Bullet

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AFFINITY / Affinity

1970,UK

英国ジャズ・ロックバンド5人組AFFINITYの唯一作。
カヴァー曲を中心にフィンランド出身の女性シンガー リンダ・ホイル(Vo)のボーカルをフィーチャー。#1ではLED ZEPPELINのジョン・ポール・ジョーンズがブラス・セクションのアレンジを担当、リンダのパワフルな歌唱にマッチした独特なグルーヴを醸成しています。
ジャジーでムーディなパートとオルガンのリフに乗った高揚感ある展開に発展するパートとの対比が見事な#2では、リントン・ネイフ(Key)による軽く歪んだオルガンがクールなモード奏法から一転してメロディアスなフレーズを紡ぐソロプレイも聴き物。

ストリングスとコーラスをバックにクリーンな美声が堪能できる#3、ハスキーで力強い歌唱とクリーンで優しい歌唱を使い分ける#4、とデビュー作とは思えない表現力を見せるリンダ。
ブラス・セクションがヘヴィなグルーヴをもたらすブルーズ・ロックのオリジナル・ナンバー#5はリンダのパワフルな歌唱とマイク・ジョップ(G)のソロがハイライト。
ボブ・ディランのカヴァー#7では、スピード感あるオルガンのインプロビゼーションとリンダのパワフルな歌唱が交互に登場、11分超にわたって怒涛の演奏を聴かせます。ジャケット・アートはキーフ。

Track List

1. I Am and So Are Are You
2. Night Flight
3. I Wonder If I'll Care as Much
4. Mr. Joy
5. Three Sisters
6. Coconut Grove
7. All Along the Watchtower

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EMERSON LAKE & PALMER / Emerson,Lake and Palmer

1970,UK

英国の3人組プログレッシブロック・バンドEMERSON,LAKE and PALMERの1970年1st。

この当時、オルガンを主体にしたロックというアイディアは誰しも考え付いたと思うが、それをギターレスでのトリオでやってのけた事こそ、このバンドの勝因であろう。折りしもムーグ・シンセサイザー等の新機材の登場もあり、それをいち早く導入したばかりか既に模範的な演奏を聴かせているという先見性にも注目。全編に渡りキース・エマーソンによるクラシックやジャズを背景にしたセンスとそれを具現化する各種鍵盤のプレイが中心ではあるが、グレッグ・レイクのメロディと美声が冴え渡る#6、カール・パーマーのドラム・ソロを配した#5、等々、3人それぞれをフィーチャーする曲も目立ち、メンバー個々の名詞代わりの1発的位置付けという意味では分かり易い仕上がりになってます。でも、やっぱりバンド・サウンドとして完成度の高いアンサンブルを見せ付ける、ダーティ・オルガンのリフがヘヴィな#3が好きですね、1番。中間部のクラシカルな展開がもたらす落差も、印象的なフックとなっています。

Track List

1. The Barbarian
2. Take a Pebble
3. Knife-Edge
4. The Three Fates
5. Tank
6. Lucky Man

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カテゴリー: EMERSON LAKE & PALMER

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CARAVAN / If I Could Do It All Over Again I’d Do It All Over You

1970,UK

CARAVANの1970年2ndアルバムIf I Could Do It All Over Again I’d Do It All Over You。

パイ・ヘイスティングス(G/Vo)の飄々としたヴォーカルがユーモラスなリフに乗る#1や、リチャード・シンクレア(B/Vo)の優しい歌声が英国の気品を感じさせる#2,#5 などでは変拍子を自然に消化、耳障りの良いメロディの影では緻密なアレンジが施されており、既に大物の風格すら感じさせます。
ムーディな序盤から始まり、畳み掛ける中盤と一旦落とす叙情パートとの緩急が痺れる#3も、メロディ、タイトな演奏、エキサイティングなオルガン・ソロが渾然一体の名曲です。
組曲#7ではブラザー・ジェイムズ(Fl/Sax)が寂寥感を煽るフルートとマイルドなサックスでデイヴ・シンクレアと熱いインプロビゼーションを展開しミュージシャン・シップの高さも感じさせます。
仄かに漂うサイケなムードの中、3rdの頃のSOFT MACHINEのようなクールなジャズ・ロック テイストと持ち前の叙情性が融合。デイヴ・シンクレア(Org/P/harpsichord)の単音ファズ・オルガンもいよいよ全開の名盤です。

Track List

1.If I Could Do It All Over Again, I'd Do It All Over You
2.And I Wish I Were Stoned/Don't Worry
3.As I Feel I Die
4.With an Ear to the Ground You Can Make It/Martinian/Only Cox/Reprise
5.Hello, Hello
6.Asforteri
7.Can't Be Long Now/Francoise/For Richard/Warlock
8.Limits

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カテゴリー: CARAVAN

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PINK FLOYD / Atom Heart Mother

1970,UK

PINK FLOYDの5thアルバムAtom Heart Mother。

バンドのオルガンやスライド・ギターが、管楽器を中心とするオケや混声コーラスに溶け込み、あるいは場面ごとに交互に見せ場を担当することで23分超を紡ぎあげた#1。オーケストラといっても各パートがフルに演奏している訳ではなくシンプルにアレンジされた結果、あくまでもロック・ミュージックとしてのPINK FLOYDの音楽として成立。ブルージーなバンド主体の演奏が次第にシンフォニックに移行していく様子やSEを織り交ぜた前衛的なパートなど、ロックとオーケストラの単純な融合に止まらない意欲と冒険に満ちている。オケのアレンジを担当したという現代音楽家ロン・ギーシンのバンドの意図を汲んだ仕事ぶりが光る。
ロジャー・ウォーターズ(B)による牧歌的なムードに内包された内省的な弾き語りフォーク#2。
サイケの薫り漂う緩めのフォークに、ブラス・セクションで印象的なフックを付加したリック・ライト(Key)作の#3。
デイヴ・ギルモア(G)作のレイドバックしたラブソング#4。
朝食の風景のSEにピアノやアコギの端正な演奏を軸にした音楽を挿入した#5は、実験的でいながらポップな親しみやすさも併せ持っている。

ヒプノシスが担当したジャケット・アートや邦題「原始心母」のインパクトとも相まって、プログレの代表作として永遠に語り継がれるであろう作品。

Track List

1. Atom Heart Mother
I. Father's Shout
II. Breast Milky
III. Mother Fore
IV. Funky Dung
V. Mind Your Throats Please
VI. Remergence
2. If
3. Summer '68
4. Fat Old Sun
5. Alan's Psychedelic Breakfast

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SOFT MACHINE / Third

1970,UK

SOFT MACHINEの1970年3rdアルバムThird。

アナログ時代はディスク2枚での4曲構成で歌入りは#3のみ。基本の3人にホーンセクションを加え、ジャズ風味もあるサイケでカラフルなロックだった前作から硬派なジャズ路線に進化してます。
とはいえ#1では、ホーンがテーマのメロディをクールに構築する傍ら、ソロタイムではマイク・ラトリッジのファズ・オルガンがこれでもかとシングル・ノートの反復フレーズを叩きつける所に熱いロックな息吹も感じられます。
全編シリアスでジャジーな印象なので堅苦しさすら覚えそうな所ですが、前作までの流れを継承したメロディアスでサイケPOPなヴォーカル曲#3の存在がナイスな気分転換となってます。
別の日のライブを繋げた#1やテープの逆回転エフェクトを駆使した#4にスタジオ・ワークとしてアルバム制作を捉えた実験的な姿勢が感じられます。ミニマルで浮遊感のある無機的な逆回転と、その後の7拍子パートでのオーガニックに爆発するインプロビゼーションとの対比が効果的なんですよね。

Track List

1.Facelift
2.Slightly All the Time
3.Moon in June
4.Out-Bloody-Rageous

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CURVED AIR / Air Conditioning

1970,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドCURVED AIRの1stアルバムAir Conditioning。

可憐では無くかといってパワフルという程の凄みも無いが、どこかやさぐれた雰囲気と適度なお色気が妙に印象的な紅一点ソーニャ・クリスティーナ(Vo)の歌唱を、ダリル・ウェイ(Vln/Vo)のクラシカルなヴァイオリンとフランシス・モンクマン(G/Key)のハード・エッジなギターがカラフルなアレンジで盛り立てるサウンド。

ブルーズ・ロックがベースの前半と、突然天空から舞い降りたかのようなクラシカルかつ瑞々しいヴァイオリンがリードする後半のギャップが堪らない#1。
ハード・ブギに意外にヴァイオリンがマッチした#2。
ミステリアスな歌唱パートからシンフォニックなインスト・パートで盛り上がる#3。
牧歌的なフォークのバッキングとアンニュイなソーニャの歌唱という異質な要素が絶妙にブレンドされたキャッチーな#4。
ダリル・ウェイの独壇場となるクラシカルなインストゥルメンタル#5。
ドラマティックな展開を持ったサイケなハード・ロック#6。
ピアノを中心としたバックに優雅でクリアなヴァイオリンのメロディが響き渡る美しいインスト#7。
ブルーズ・ロックをベースとしながらも、ソーニャの独特な歌唱と起伏を付けたアレンジにメロトロンが加わることでプログレッシブなテイストに仕上がった#9。
ヴァイオリンのソロをSEで装飾した#5のリプライズ#10。

サイケからプログレへの移行期であった時代の英国にありがちな多ジャンルのごった煮状態ではありながら、ソーニャの存在感と華麗なヴァイオリンが何といっても耳を惹きます。

Track List

1. It Happened Today
2. Stretch
3. Screw
4. Blind Man
5. Vivaldi
6. Hide and Seek
7. Propositions
8. Rob One
9. Situations
10. Vivaldi WIth Cannons

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CZAR / Czar

1970,UK

英国のヘヴィ・サイケ・バンドCZARの1970年唯一作。

ヘヴィなオルガンと曇天を思い起こさせるくぐもったメロトロンが、歪んだギターとともに音の塊となって迫り来る迫力抜群のサウンド。
メロトロンというと「洪水」とか「霧のように」なんて良く言われますが、彼らの場合はあくまでもオルガンとの合わせ技ではあるが「土石流」とでも表現したら良いんだろうか。 #2の不条理系リフなんか元祖OPETHといっても良いくらいだ。
OPETHのミカエルあたりも相当参考にしたんだろうな、と思わせます。
反面、意外とキャッチーな#3や#5の歌メロとか散歩しながらハミングしそうだし、チェンバロなんかも効果的に使用して平坦にならない工夫も。

Track List

1. Tread Soflty on My Dreams
2. Cecelia
3. Follow Me
4. Dawning of a New Day
5. Beyond the Moon
6. Today
7. Day in September

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PRETTY THINGS / Parachute

1970,UK

ヒプノシスによるジャケットが美しい英国サイケデリック・ポップバンドPRETTY THINGSの5thアルバムParachute。

ブリティッシュ・ビートをベースに、メロトロンや美しいコーラス・ハーモニーを効果的に使って幅広い曲想をカバーしてます。ドラマティックに紡がれるメドレー形式の#4~#6、ギターとベースのユニゾン・リフにサビのメロディがカッコ良い#7、黒っぽいグルーヴにファズ・ギターのリフがクールな#8、哀愁を感じさせるムーディな#9、シャープナインスのリフがこれまたクールな#10、サビがキャッチーな#11、アルバムを締めくくるカラフルなバラード#13等々全曲穴無し。

Track List

1. Scene One
2. Good Mr. Square
3. She Was Tall, She Was High
4. In the Square
5. Letter
6. Rain
7. Miss Fay Regrets
8. Cries from the Midnight Circus
9. Grass
10. Sickle Clowns
11. She's a Lover
12. What's the Use
13. Parachute

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KING CRIMSON / In the Wake of Poseidon

1970,UK

KING CRIMSONの1970年2ndアルバム In the Wake of Poseidon。

マルチ・プレイヤーで音楽的イニシアチブをロバート・フリップ(G)と分け合っていたイアン・マクドナルドが脱退し、新たにメル・コリンズ(Sax/Fl)、キース・ティペット(Pf)、ゴードン・ハスケル(Vo=#3の歌唱)が参加。

前作の延長上の方向性でアルバム・タイトルやヘヴィな#2、メロトロンをフィーチュアした#4など楽曲構成が1stと対を成している所も。
しかし叙情性という部分では、静謐なフォーク#1,#3,#5,#8やメロトロンの洪水サウンドがクリアになった#4のように難解なインプロビゼーションを配し、分かりやすくすっきりした作風で楽曲ごとの焦点が絞り込まれた事が奏功しています。
#6ではポップ・ソングをベースにキースのジャジーなピアノを盛り込み、#7ではホルストの火星をアレンジするなど新機軸も見せています。
メンバーが流動的な状態で制作された事で、収録各楽曲のテイストがバリエーション豊かに拡散してしまっている所を#1,#5.#8の三部作が上手に配置され、アルバムとしての統一感をギリギリでキープしています。

Track List

1. Peace-A Beginning
2. Pictures of a City/42nd at Treadmill
3. Cadence and Cascade
4. In the Wake of Poseidon/Libra's Theme
5. Peace - A Theme
6. Cat Food
7. Devil's Triangle: Merday Morn/Hand of Sceiron/Garden of Worm
8. Peace - An End

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QUATERMASS / Quatermass

1970,UK

DEEP PURPLEを脱退したリッチー・ブラックモアがRAINBOWのデビュー・アルバムで#2をカヴァーした事でおなじみ、オルガンを中心にした英国の3ピース・バンドQUATERMASSの1970年唯一作。

クリーンからヘヴィなディストーションまで変幻自在のハモンドが縦横無尽に暴れまくるジャズ・ロック風味のハード・ロックを展開。例えば、有名なBlack Sheep of the Familyはブルドーザーのようなオルガンがグイグイ引っ張る、RAINBOWバージョンよりも数段ヘヴィなハード・ロックだったりする。10分超の#8ではストリングスもまじえたプログレッシヴでスリリングな展開も見せる。何でもありだった時代の濃密な空気が味わえる1枚です。

Track List

1. Entropy
2. Black Sheep of the Family
3. Post War Saturday Echo
4. Good Lord Knows
5. Up on the Ground
6. Gemini
7. Make up Your Mind
8. Laughin Tackle
9. Entropy

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KING CRIMSON / Lizard

1970,UK

KING CRIMSONの1970年3rdアルバム Lizard。

メンバーの相次ぐ脱退でロバート・フリップ(G)とピート・シンフィールド(Word)の2人だけになってしまったKING CRIMSONはメル・コリンズ(Sax/Fl)、ゴードン・ハスケル(Vo/B)、アンディ・マカロク(Dr)を新メンバーに迎えてアルバムを制作。準メンバーのキース・ティペット(Pf)や管楽器奏者ゲスト陣が、整然と構築された楽曲群に彩りを加えています。

アコギのアルペジオをバックに静かな叙情を湛えた歌唱パートとメロトロンによる不穏なリフがリードする混沌パートの対比が印象的な#1。
アンディ・マカロクの小刻みなビートと管楽器のインプロビゼーションがジャジーな#2。
キース・ティペットがアバンギャルドなフレーズを織り込み、他のパートもアドリブ的に好き放題やりつつも、整合感を保持する#3。
フルートが瑞々しい美しさを醸成する静かな歌物小品#4。
YESのジョン・アンダーソンが参加、序盤で美しい詩情に溢れた歌唱を披露した組曲#5。中間部では静かなボレロのリズムに乗ったメロディアスなインスト・パートでエキゾチックなムードを織り交ぜつつ展開。後半は、メロトロンの奏でるダークなメロディを皮切りにブラスセクションのヘヴィなリフをバックに管やピアノの混沌としたフリー・インプロビゼーションも登場。

アルバム通して整理された叙情とカオスなインプロビゼーションが融合し、静謐なヨーロピアン・テイスト薫る1枚となりました。

Track List

1. Cirkus
Including Entry of the Chameleons
2. Indoor Games
3. Happy Family
4. Lady of the Dancing Water
5. Lizard
i)Prince Rupert Awakes
ii)Bolero: The Peacock's Tale
iii)The Battle of Glass Tears
including Dawn Song,Last Skirmish,Peince Rupert's Lament
iv)Big Top

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