プログレ のレビュー

PREMIATA FORNERIA MARCONI / Photos of Ghosts

1973,ITALY

イタリアのプログレッシブ・ロック・バンドPREMIATA FORNERIA MARCONIが、ELPのマンティコア・レーベルよりリリースした世界デビュー盤Photos of Ghosts。プロデュースはピート・シンフィールド。

基本的に2ndアルバムPer un Amicoを英語詩にしたもの(#5を除く)に、#4や1stより#2を追加で収録したコンピレーションの趣。

叙情シンフォニック・プログレの名曲#1でソリーナが増量されていたり、#2のギターが若干エッジの取れたサウンドに変わっていたり、#6でギター・サウンドが空間処理で膨らんでいたり、オリジナル・バージョンのインスト部に歌が入ったり、等々多少のアレンジを施して世界市場向けプレゼンテーション仕様となっております。

Track List

1. River of Life
2. Celebration
3. Photos of Ghosts
4. Old Rain
5. Il Banchetto
6. Mr. 9 'till 5
7. Promenade the Puzzle

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CERVELLO / Melos

1973,ITALY

OSANNAのダニーロ・ルスティッチを兄に持つコラード・ルスティッチ(G/Vo)のバンドCERVELLO唯一のアルバムMelos。
リリース当時、コラードは何と16歳。

ファルセットの男性コーラスがプリミティブな妖艶さを演出するオープニング・チューン#1。中盤の変拍子を盛り込ん
だジャズ・ロック的バッキングにエフェクトを掛けたボーカルが乗る場面は、KING CRIMSONの影響も伺わせます。
フルートやヴィブラフォンがアコギのアルペジオと美しくも妖しく織り成す静謐で神秘的なパート、うねるサックスと
ギターがボーカルと饗宴を繰り広げる暴虐パートとの真逆の対比が鮮烈な#2。
リコーダーの素朴な音色による爽やかさに、複雑な音使いのギターのアルペジオが混沌を付加しつつも均衡を崩さない、インテリジェンスを感じさせる#3。
激しく展開する変拍子にサックスとギターがユニゾンやハーモニーで絡み合うテクニカルな#4。
2本のフルートのハーモニーが叙情を呼ぶ序盤から、サックスを中心に壮大なスケールの後半に発展する#5。
サックスとギターのユニゾンが、リズム隊の繰り出す追い立てるようなグルーヴの上を乱舞する#6。
バックのギターのアルペジオに2本のフルートとボーカルが乗るエンディングの小品#7。

古代ギリシャの叙事詩メロスを題材にしたコンセプト・アルバムで、キリスト教的概念からすると邪教と言える多神教
のギリシャ神話の世界をヘヴィでインテンスなアンサンブルで禍々しく描く一方、ハッとする静謐さを湛えた神秘的なパートでは調和の取れた美をも表現。
イタリアのヘヴィ・シンフォにありがちなドラムのバタバタ感が無く、洗練された印象を受けます。

Track List

1. Canto del Capro
2. Trittico
3. Euterpe
4. Scinsione
5. Melos
6. Galassia
7. Affresco

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FANTASY / Paint a Picture

1973,UK

英国のフォーク寄りプログレ・バンドFANTASYの1973年1stアルバムPaint a Picture。

ジャケットのイメージ通りオルガン、アコギ、素朴な男性ヴォーカル・ハーモニーを中心とした牧歌的なサウンド。
しかしながら決して明るくなり過ぎず、適度に湿った叙情性と若干の緊張感を保ち続けている所に個性が感じられます。
ゲストのチェロやブラス、意外とハードエッジなエレキ・ギターが随所でアクセントとなっており、多彩なアレンジで各曲のキャラを立たせてます。又、あまり目立たないながらもメロトロンがうっすらと上品に使用されておりセンスの良さを伺わせます。
しかし何と言ってもオルガンとアコギを中心にファンタジックなサウンドでジワジワ来る叙情フォークの#1が最高。2コーラス目、右CHのオルガンによるフリジアン・モードを使用したフレーズにもうメロメロ。こういうモーダルな響きは大好きです。

Track List

1. Paint A Picture
2. Circus
3. The Award
4. Politely Insane
5. Widow
6. Icy River
7. Thank Christ
8. Young Man's Fortune
9. Gnome Song
10. Silent Mine

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CMU / Space Cabaret

1973,UK

アシッド・フォークを母体とするCMUの1973年2ndアルバムSpace Cabaret。

アコギをバックにヴォーカル・ハーモニーで迫る部分などはまさにフォーク由来ではあるが、しゃれたコード進行やアンニュイな女性ヴォーカル、カンタベリー・ミュージックを想起させるファズ・オルガンといったジャズ・ロック的要素も。
終盤の長尺2曲では、サイケ感覚やダークなテイストを盛り込みドラマティックな展開を見せる#6や、シンセやオルガンが大活躍の#7などで同時期に最盛期を迎えたプログレッシブ・ロックバンド達に引けを取らないスケールの大きさをも感じさせます。
バンドの中心人物ロジャー・オデール(Dr)は後に80年代になるとSHAKATAKを結成、その都会的でポップなフュージョン・サウンドは某トレンディ・ドラマの挿入歌になるなど日本でも大ブレイクしますが、その片鱗も既にかすかに感じさせるキャッチーなサウンドと流麗な演奏は聴いていて心地良さ抜群です。

Track List

1.Space Cabaret
2.Archway 272
3.Song From The 4th Era
4.Distant Thought A Point Of Light
5.Doctor Am I Normal
6.Dream
7.Lightshine

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カテゴリー: CMU

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PINK FLOYD / The Dark Side of the Moon

1973,UK

邦題「狂気」が言い得て妙なPINK FLOYDの1973年8th。

鼓動のSEがオープニングとエンディングに配され、各曲が微妙にクロスフェードしながら繋がったアルバム構成、大胆にベル音をあしらった#4、サンプラーが無い時代にレジの音を録音したテープの切り貼りで組み立てた#5のリズム、といった部分の実験的な要素と、ゲスト女性ボーカルによるソウルフルなゴスペル風スキャットやコーラス、キャッチーなボーカル・メロディがもたらすポピュラー音楽としての分かり易さが高次元で融合。それでいて、リラックスしたムードのヒット・シングル#7やスペイシーな#8などのゆったりとしたテイストがリスナーのイマジネーションを刺激するプログレッシブな精神性も。シド・バレットの暗喩とされた「月の暗い面」を日常の狂気という より普遍的なテーマに昇華させ、耳障りの良いポップスの意匠をまとった楽曲を実験的なSEで繋ぎトータル・コンセプト・アルバムとして完成させた、音楽性・商業性を両立した20世紀のロック史に刻まれた金字塔です。

Track List

1. Speak to Me
2. Breathe
3. On the Run
4. Time
5. The Great Gig in the Sky
6. Money
7. Us and Them
8. Any Colour You Like
9. Brain Damage
10. Eclipse

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OSANNA / Palepoli

1973,ITALY

イタリアのプログレッシブ・ロック・バンドOSANNAの3rdアルバムPalepoli。

バンドの出身地ナポリ近辺に実在した古代都市パレポリスをテーマとしたコンセプト・アルバム。
古代の息吹を感じさせる妖しいフルートのメロディをとっかかりにリスナーを幻想の世界に引きずり込むと、以降は様々なテーマ・メロディを提示しながら次々に展開し清廉と暴虐、静寂と喧噪が描かれていく。
主にギターがハード・ロック的な荒々しさで激しさを演出し、そこにサックスが絡んで猥雑さをも表現。
一方、メロトロンが神々しく降り注ぐ場面では、芸術的な美しさと制御された構築性も垣間見せる。
ボーカルは変幻自在。バンドが醸成するムードに合わせて叙情的にも扇情的にも変化し、楽曲に魂を吹き込んでいく。

プログレが本国英国を中心に商業的にメインストリーム化するとともに、音楽性的には洗練・重厚長大化していく中にあって、異なるベクトルで独自の世界を切り開いたイタリア勢の白眉といえるアルバム。

Track List

1. Oro Caldo
2. Stanza Citta
3. Animale Senza Respiro

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MUSEO ROSENBACH / Zarathustra

1973,ITALY

イタリアの5人組プログレッシブ・ロック・バンドMUSEO ROSENBACHの1973年唯一作Zarathustra。

ステファノ・ガリフィ(Vo)のパワフルで説得力あるボーカルを活かした歌唱パートは、叙情味を漂わせてメロディアスに。ヘヴィなギターと時にダーティなオルガンが中心となるインストゥルメンタル・パートは、ハード・ロック的なダイナミクスと若干不条理な混沌がもたらすヘヴィネス。というように両極端なテイストを縦横無尽に張り巡らせた楽曲展開が魅力。
#1~#5の組曲Zarathustraにそんな彼らの旨味が凝縮されています。時にしっとりと、又時にはブルド-ザーのようにパワフルに迫り来るメロトロンも、サウンドの起伏に多大に貢献しております。
続く単独の残り3曲もそれぞれドラマティックな要素を内包。
冷えびえとした質感のメロトロンによる白玉が不安感を増幅する冒頭から、躍動感あるハード・ロックなインストゥルメンタル・パートを経てパワフルな歌唱パートに展開する#6。
細かくビートを刻むドラムをバックに音色を微妙に変化させたオルガンのリフがヘヴィにリード、歌唱パートでは短いながらもドラマティックなメロディを聴かせる#7。クールに抑えたインスト・パートを経た激しいスキャットの部分ではメロトロンも参戦しサウンドに厚みを加えています。
ギターとオルガンによる精緻にアレンジされた不条理リフや、歌唱パートにおける疾走するユニゾン・リフがカッコ良いプログレッシブ・ハード・ロックな#8。センチメンタルな叙情も加えながら、あくまで熱い歌唱とラストのメロトロン大洪水も良い感じです。

Track List

1. Zarathustra: l'Ultimo Uomo
2. Zarathustra: Il Re de Ieri
3. Zarathustra: Al Di La'del Bene E del Male
4. Zarathustra: Superuomo
5. Zarathustra: Il Tempio Delle Clessidre
6. Degli Uomini
7. Della Natura
8. Dell'eterno Ritorno

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STACKRIDGE / The Man in the Bowler Hat

1973,UK

田園のBEATLESことSTACKRIDGEの1973年3rdアルバムThe Man in the Bowler Hat。

本家BEATLESでお馴染みのジョージ・マーティンがプロデュースし、#2,#4,#7,#10ではオーケストレーションも担当。それもあってか、従来の田園フォーク的な親しみやすいアレンジもより洗練され、洒落たサウンドに進化。しかし、ユーモラスでほのぼのとしたニュアンスも健在。
これら新旧のテイストが高次元で融合した#3では、甘くて切ないサビがもう病みつきになるくらい強力。コーラスが又良い。全員が歌えるバンドならではで、曲によってボーカルをとる人が代わったり、フルートやヴァイオリンの楽しいアレンジも手伝って、いつ聴いても新鮮で飽きがこないですね。
シリアスなオーケストレーションを聴かせる#10では、うなり、軋むヴァイオリンがハード・ロック並みのド迫力をも醸し出してます。インストゥルメンタルにも定評のあった彼らのポテンシャルがジョージ・マーティンによってさらに引き出された感じでしょうか。

Track List

1.Fundamentally Yours
2.Pinafore Days
3.Last Plimsoll
4.To the Sun and the Moon
5.Road to Venezuela
6.Galloping Gaucho
7.Humiliation
8.Dangerous Bacon
9.Indifferent Hedgehog
10.God Speed the Plough

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カテゴリー: STACKRIDGE

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KING CRIMSON / Larks’ Tongues in Aspic

1973,UK

KING CRIMSONの1973年5thアルバム Larks’ Tongues in Aspic。

一旦バンドを解散したロバート・フリップ(G)が新生CRIMSON立ち上げにあたり選出したメンバーは、ジョン・ウェットン(B/Vo)、ビル・ブラッフォード(Dr)という既に名の通った実力者に加え、前衛パーカッショニストのジェイミー・ミューア(Per)、デイヴィッド・クロス(Vln)というメンツ。
スタジオでの実験的サウンド・メイキングよりも、ライヴにおける丁々発止のインプロビゼーションを重視したようです。

このスタンスを形にしたのがヘヴィでメタリックな#1。ジェイミー・ミューアのパーカッションに挑発されたメンバーが、即興で次々にプレイを叩き付け合う様が緊張感に溢れております。セッション中、他メンバーの熱いプレイを聴きながら、手応えを感じたロバート・フリップはおそらくニヤッとほくそ笑んでいたのではないでしょうか。
初期CRIMSONの叙情とは違ったコンテンポラリーな感触のメロウなナンバー#2。
デヴィッド・クロスのヴァイオリンが端整な叙情を湛える#3。
この#2,#3そして続く#4は、ジョン・ウェットンの友人で元SUPERTRAMPのリチャード・パーマー=ジェイムズが詩を書いているようです。
泥水のイントロをはじめとするジェイミー・ミューアの様々なアイディアとキャッチーなサビが融合した#4。
理性的なベース・リフに乗って、ヴァイオリンとギターによる不安感を煽るようなフレーズが絡み合い、徐々に盛り上がっていく#5。ジェイミー・ミューアによるハエの飛んでいるような音が鬱陶しさを倍増させております。
5拍子のヘヴィ・メタリックなギター・リフとヴァイオリンの端整なテーマ・メロディが対比して、美しくもダークでメタリックでありながらもオーガニックなうねりを醸成する#6。

後にツアー中に失踪してしまうジェイミー・ミューアのエキセントリックなテンションが、ロバート・フリップの目指すメタリックなサウンドに多大に貢献した中期の代表作です。

Track List

1. Larks' Tongues in Aspic, Pt. 1
2. Book of Saturday
3. Exiles
4. Easy Money
5. Talking Drum
6. Larks' Tongues in Aspic, Pt. 2

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QUICKSAND / Home is Where I Belong

1973,UK

英国のプログレッシブ・フォーク・ロック・バンドQUICKSANDの唯一作。

ピアノとどっしりしたリズムに乗っておおらかなサビに移行するキャッチーなロック#1。
細かくロールするドラムをバックに、オルガンとギターがスリリングにユニゾンでメロディを展開するインスト志向の#2。
牧歌的なムードを漂わせたフォーク・ロック#3。
アコギのカッティングがリードしつつも、オルガンとギターのハーモニーによるメイン・メロディやシンセのカウンターメロディが印象的なプログレ風フォーク#4。
回転スピーカーのノイズから始まり、モジュレーションのかかったボーカルとメロトロンでミステリアスに展開する#5。
前曲の混沌から打って変わって、英国的翳りのあるポップさを持ったメロディアスな#6。
再び彼らのトレードマークのオルガンとギターのハーモニーが聴ける#7。
ハーモニーを活かしたボーカル・パートとセンチメンタルなサビの歌モノ#8。
シンセのリフレインが唸る哀愁のインストゥルメンタル#9。
イントロのくぐもったアコギのコード・ワークから既に泣ける、これまた哀愁たっぷりなエンディング・ナンバー#10。

ギター、ベース、キーボード、ドラムの4人組で、全員が歌えるのを活かしたコーラス・ワークがキャッチーな楽曲に彩を添えています。
カラフルでエモーショナルなバリエーションに富んだ曲調に、ムサいジャケから連想される野暮ったさも加えて独特の味わいに仕上がったなかなかの逸品です。

Track List

1. Hideway My Song
2. Sunlight Brings Shadows
3. Empty Street,Empty Heart
4. Overcome the Pattern
5. Flying
6. Time to Live
7. Home is Where I Belong
8. Season
9. Alpha Omega
10. Hiding it All

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BADGER / One Live Badger

1973,UK

元YESのトニー・ケイ(Key)を擁する英国の4人組ハードロック・バンドBADGERの1973年1stアルバムOne Live Badger。

デビュー作にしていきなりライブということで、よほど腕に自身があったのか、それとも制作予算が無かったのか・・・その辺は不明ですが演奏はタイト。
鍵盤はブルース・ロックを基盤としたオルガンのプレイが中心ながら、シンセやメロトロン を効果的に使用しプログレ風味を取り入れたオリジナリティを発揮しようとの意欲が汲み取れます。
メインのリフやバッキング、オブリガードなどの構築度が高い分、サビ以外の部分でのヴォーカル・メロディのラフさが気になりますね。ハードロックらしいと言えばその通りではありますが、メロディと歌唱にもう一工夫あれば#5みたいなキャッチーな曲も一段と輝きを増し、バンドそのものも違うステージに行っていたはず。

ともあれ、メロトロン度は高いし、ライブならではの熱さとタイトな演奏が楽しめる好盤ではあります。
ジャケット・アートはロジャー・ディーン。

Track List

1.Wheel of Fortune
2.Fountain
3.Wind of Change
4.River
5.Preacher
6.On the Way Home

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GENESIS / Selling England by the Pound

1973,UK

GENESISの1973年6thアルバムSelling England by the Pound。

前作までの寓話的ファンタジー色は薄れ、よりシンフォニック&テクニカル路線に転換。それを顕著に表すのがトニー・バンクス(Key)による鍵盤パートの充実。
スティーブ・ハケット(G)のファズ・ギターも影を潜め、#7前半のセンシティブなアルペジオや#3で聴かれるマイルドなトーンのソロに象徴されるように清廉な叙情性を増量。
その結果、適度にテクニカル&スリリングでメロディック&ドラマティックな傑作となった。長尺曲とボーカル主体のコンパクトな楽曲を交互に織り交ぜた展開で各々の曲調をより際立たせているアルバムの構成も見事。

アルバムのハイライトは#7の6分過ぎからの7拍子プログレッシブ・ワールド。トニー・バンクスがシンセ中心にメロトロンをジワジワ絡めたり、印象的なリフレインを連発させたりと大活躍。この余韻を引き摺りつつ#1のメロディをリプライズさせてアルバムを締めくくる#8が効いてます。

Track List

1. Dancing with the Moonlit Knight
2. I Know What I Like (In Your Wardrobe)
3. Firth of Fifth
4. More Fool Me
5. Battle of Epping Forest
6. After the Ordeal
7. Cinema Show
8. Aisle of Plenty

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STRAWBS / Bursting at the Seams

1973,UK

STRAWBSの1973年6thアルバムBursting at the Seams。

脱退したトニー・フーパー(G/Vo)に代わり、デイヴ・ランバート(G/Vo)が加入。ハード・ロックっぽいエレクトリック色が濃くなった。その反面、霧のようなメロトロンに絡む#1のバンジョーやインド風味なフォークの#2、ジプシー調の#7中盤といったエキゾチックかつアコースティックな要素も健在。
アルバムのクライマックスはロンドン・シンフォニー・オーケストラが参加したドラマティックなメドレーの#4~#5。
特に#5は、期待感が膨らむエレキギターとピアノのユニゾン・リフによるオープニング、アコギとメロトロンをバックにしたフォーキーなヴォーカルパート、一転してフィードバック寸前のディストーション・ギターによるコード・カッティングをバックにしたハード・ロックパート、そして最後は壮大な管弦楽でスケールの大きな盛り上がりを見せる、といった目まぐるしい展開のプログレッシブ大作に仕上がってます。
その他全体的には、#9をはじめソフィスティケイトされたキャッチーで美しいヴォーカル・ハーモニーに売れ線狙いも垣間見れますが、フォークをベースに様々なテイストによる楽曲がゴッタ煮状態で混在しつつも独特の牧歌的な雰囲気が醸し出すSTRAWBSのアイデンティティは隠しようも無い結局ブリティッシュな名作。

Track List

1. Flying
2. Lady Fuschia
3. Stormy Down
4. The River
5. Down By The Sea
6. Part Of The Union
7. Tears And Pavan
8. The Winter And The Summer
9. Lay Down
10. Thank You

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カテゴリー: STRAWBS

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CURVED AIR / Air Cut

1973,UK

妖艶な歌姫ソーニャ・クリスティーナ(Vo)率いる英国のプログレッシブ・ロック・バンドCURVED AIRの4thアルバムAir Cut。

新メンバー カービー・グレゴリー(G)による疾走感あるギターのカッティングがリードする#1。
トラッド風メロディをベースに少々ヒネリを加えた神秘的な#2。
フックとなるキャッチーなリフレインを複数配し静と動を交えた劇的な場面転換で進行する、後のスーパーバンドUKの薫り漂うプログレッシブ・チューン#3。VCS3の太い音色から構築度の高いオルガン・ソロ、リズミカルなピアノまで、多彩な鍵盤群を多彩な奏法で操るエディ・ジョブソン(Vln/Key)がアレンジ及び作曲能力をいかんなく発揮。
場末のバーかパブっぽい雰囲気の猥雑かつ洒落た小品#4。ソーニャ・クリスティーナの個性にマッチした独特のサウンドにエディ・ジョブソンの軽妙なヴァイオリンが絶妙なアクセントを加えている。
ヴァイオリンをフィーチュアしたロック・インストゥルメンタル#5。
ギターのリフがリードしつつも、メロトロンが登場する静謐なパートを中間部に配し、一筋縄ではいかないプログレッシブ・ハード・ロック#6。
マイク・ウェッジウッド(B)がリード・ボーカルを取るロック・ナンバー#7。
トリッキーなリズムのインスト・パートを内包し、ズ太いシンセ・ソロが吼えるヘヴィ・バラード#8。

前作で散々好き放題やらかしたインスト面の2枚看板であるダリル・ウェイとフランシス・モンクマンを含むオリジナル・メンバーが3人抜け、新メンバーを補充。
ダリル・ウェイのイメージを引き継ぎつつも、シンセだけで無くヴァイオリンでもクラシカルに止まらない攻撃的なフレーズを繰り出す若きエディ・ジョブソンが、躍動感あるプレイを繰り広げるカービー・グレゴリーとともにロック・オリエンテッドな本作に貢献。

Track List

1. The Purple Speed Queen
2. Elfin Boy
3. Metamorphosis
4. World
5. Armin
6. U.H.F.
7. Two-Three-Two
8. Easy

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RENAISSANCE / Ashes are Burning

1973,UK

RENAISSANCEの1973年4thアルバムAshes are Burning。

前作でギターを弾いていたロブ・ヘンドリーに代わりマイケル・ダンフォード(G)がアコギをプレイ。ゲスト扱いとはいえこれで黄金メンバーが揃い、新生RENAISSANCEの真の第一歩ともいえるアルバムに仕上がりました。

#1のオープニングからしてドラマティックにスケール・アップしたのが一目瞭然。そしてアコギにアニー・ハズラム(Vo)の美声、トラッド・フォークを思わせるエキゾチックな要素とオーケストラの導入。第2期RENAISSANCEの黄金パターンが既に完成しています。
一転して落ち着いたボーカル・ナンバー#2、ジム・マッカーティ作の起伏を持たせたフォーク#3、程良いオーケストラの装飾とジョン・タウト(Key)のハープシコードが気品を湛えた、アニーがお気に入りのキャッチーな#4、叙情的な#5でもアニーの美声が味わえます。
11分を超えるラストの#6はライブでも定番なフォーク&クラシカル&ドラマティックな名曲。アニー不在のインスト・パートもジョン・タウトがオルガン、ピアノと大活躍で聴き応えたっぷり。エンディングのギター・ソロはWISHBONE ASHのアンディ・パウエルが彼らのアルバムArgusでジョン・タウトが参加した返礼としてゲストでプレイしています。

Track List

1. Can You Understand
2. Let It Grow
3. On the Frontier
4. Carpet of the Sun
5. At the Harbour
6. Ashes Are Burning

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GREENSLADE / Greenslade

1973,UK

元COLOSSEUMのデイヴ・グリーンスレイドが中心となって結成されたツイン・キーボード、ギターレスの4人組GREENSLADEの1973年1st。

ロジャー・ディーンによる淡いグリーンを基調にしたジャケットがステキです。ロックン・ロールやブルーズをベースに変拍子やメロトロンのソロをフックに個性的に迫る序盤は、左右のオルガンの絡みつくような展開が少なくおとなしい感じ。
ところが、ユニークなメロディの歌モノ#3,#4を挟んだ後半は怒涛のプログレッシブ・ワールド。左右オルガンのアレンジが絶妙な上、メロトロンやモジュレーションをかけたベースソロで起伏ある展開を見せるインスト#5。
ダーティなオルガンが引き摺るようなヘヴィ・グルーヴをもたらす右CHと、白玉のメロトロンが緊迫感を煽る左CHの対比が見事な#6。
ミステリアスなピアノに導かれる序盤からメロトロンとオルガンが分厚く立ち込める中盤、エレピやオルガンのソロが舞い踊る終盤とカラフルに迫る#7。
やはりこの辺が一番の聴き物でしょう。
KING CRIMSONの3rdで叩いてたドラムのアンディ・マカロックもステディ且つテクニカルなプレイでサウンドを支えてます。

Track List

1. Feathered Friends
2. English Western
3. Drowning Man
4. Temple Song
5. Melange
6. What Are You Doin' to Me?
7. Sundance

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GREENSLADE / Bedside Manners Are Extra

1973,UK

GREENSLADEの1973年2ndアルバムBedside Manners Are Extra。

全6曲で歌モノ/インストが半々。歌モノ#1,#3#,5では美しいメロディを軸にヒネリや変拍子、ソロ・パートがアクセントに。インスト#2,#4,#6はタイトなアンサンブルとカラフルな鍵盤群が圧巻です。

#1はバラード・タイプのPOPな曲調ながら、シンセやメロトロンがアクセントとなり、歪ませたエレピがドリーミングなフレーズでソロを奏でます。
#2はメロトロンが霧のように埋め尽くすイントロから、オルガン主導の3連系ハード・ロックなインストに。終盤の左右CHで追いかけっこのようにメロディックなフレーズを応酬するダブル・オルガンとバックで神々しく鳴り響くメロトロンが高揚感抜群でトリ肌モンです!
#5はエレピ主導による変拍子の歌モノ。ジャジーなムードの中上手くは無いが囁くようなVoがイイ味出してます。

ダーティなエレピがクールなフレーズを連発して活躍。ジャズやブルースのフィーリングをセンス良く配したフックのあるハード・ロックが、カラフルなキーボードを中心にタイトな演奏で楽しめる1枚です。

Track List

1. Bedside Manners Are Extra
2. Pilgrims Progress
3. Time to Dream
4. Drum Folk
5. Sun Kissed You're Not
6. Chalk Hill

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HATFIELD AND THE NORTH / Hatfield and the North

1973,UK

HATFIELD AND THE NORTHの1973年1stアルバムHatfield and the North。

切れ目無く紡がれて行く各曲は、時にPOPで時にアヴァンギャルドと変幻自在ながら、一本芯の通った整合感あるアレンジがある種の安心感を聴き手にもたらし、いつまでも聴いていたい思いにさせてくれます。
勿論スリリングなオルガンとギターによるアドリブの応酬もあるが、それすらも爽やかな位心地良いです。
後にBRUFORDでシンセによる縦横無尽なアレンジを聴かせ、スチュワート&ガスキンではPOPなプロデューサーとして辣腕をふるう天才キーボーディストのデイヴ・スチュワート(Key)も、ここではエレピや歪み時々ワウなオルガンという手薄な機材の可能性の限界を超えたカラフル且つモダンな演奏で全体を優しく包み込んだかと思うと、一方では単音ファズ・オルガンでギンギンに攻めたりして大活躍してます。
そのバーバラ・ガスキンを含む女性3人組コーラス隊”ザ・ノーセッツ”の美声や、ヘンリー・カウから客演のジョフ・レイによるSAX が良いアクセントになっています。

Track List

1. Stubbs Effect
2. Big Jobs (Poo Poo Extract)
3. Going up to People and Tinkling
4. Calyx
5. Son of There's No Place Like Homerton
6. Aigrette
7. Rifferama
8. Fol de Rol
9. Shaving Is Boring
10. Licks for the Ladies
11. Bossa Nochance
12. Big Jobs No. 2 (By Poo and the Wee Wees)
13. Lobster in Cleavage Probe
14. Gigantic Land Crabs in Earth Takeover Bid
15. Other Stubbs Effect

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LATTE E MIELE / Papillon

1973,ITALY

イタリアの3人組プログレッシブ・ロック・バンドLATTE E MIELEの2ndアルバムPapillon。

オルガンの緊張感あるリフがELPのTurkusを彷彿させるオープンニング#1から#8までがアルバム・タイトルになっているPapillon組曲。題材は映画でもお馴染みの脱獄劇『パピヨン』。

管のアンサンブルで提示されるテーマ・メロディを叙情的なアコギのイントロとボーカルが引き継ぎ、やがてクラッシクやジャズのテイストを織り込んだインスト・パートに展開していく#2。
オルガンを中心にピアノやメロトロンを加え躍動感あるインスト・パートを繰り広げる#3。ティンパニや混声合唱団がシンフォニックな彩を加えています。
ピアノの伴奏にオーボエやメロトロン、シンセが絡む叙情的な序盤から、ドラマティックに盛り上がるメロディアスな#4。まろやかなボーカル・メロディにイタリア語の響きが良くマッチしています。
休符を巧みに場面転換とし、メロトロンの刻みやヴァイオリンの乱舞が目まぐるしく展開する#5。
ピアノをバックに沈痛な表情を見せる#6。
ギターのヘヴィなリフ、管とメロトロンによる壮大なファンファーレ、パーカッシブなオルガンがリードするマーチのようなパート、とシンフォニックに展開する#7。
メジャーに変換されたメイン・メロディを提示し、ハッピ-エンドを印象付ける#8。
#4,#5,#7あたりの映像的なタッチはまるで映画のサウンド・トラックのようです。
クラシカルなテーマをジャジーなピアノやメロトロンで発展させた#9。
#10~#12はクラシカルなテイストの組曲。
ピアノの静かでクラシカルなパートから、オルガンがリードするELPタイプのロック・アンサンブルに移行する#10。
#10のメロディをヴァイオリンで継承しヴィバルディの四季のメロディを挿入しながら、ジャズ・ロック的なスリリングなアンサンブルでまとめた#11。フランジング効果を掛けたドラム・ソロやメロトロンの白玉をバックにした洒落たピアノのソロなどメンバーのセンスと技も聴き所です。
12弦アコギのアルペジオによる瑞々しいイントロから、アコギのカッティングとメロトロンに乗せたジェントルなボーカル・パートに移行し、やがてオーケストラを交えてシンフォニックに盛り上がる爽やかでポジティブなムードの#12。
ピアノ、ベースと一体になってのアンサンブルの中、ジャジーなギターが主役の#13。

3人という制約の中、オーケストラや勿論オーバーダブも加えてスケール感を創出。
生々しくスリリングなジャズ・ロック的アンサンブルとクラシカルな要素を自然に融合させたELPのミニチュア版的な音楽性に、イタリアらしいおおらかさやメランコリックな叙情性を加味した独自のプログレッシブ・ロックを展開しています。

Track List

1. Papillon: Overture
2. Primo Quadro "La Fuga"
3. Secondo Quadro "Il Mercato"
4. Terzo Quadro L'Incontro (Rimani Nella Mia Vita)
5. Quarto Quadro "L'Arresto"
6. Quinto Quadro "Il Verdetto"
7. Sesto Quadro "La Trasformazione"
8. Settimo Quadro "Corri Nel Mondo"
9. Divertimento
10. Patetica: Parte Prima
11. Parte Seconda
12. Parte Terza
13. Strutture

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LE ORME / Felona e Sorona

1973,ITALY

イタリアのプログレッシブ・ロック・バンドLE ORMEの1973年5thは、フェローナとソローナという2つの惑星の物語を綴ったコンセプト・アルバム。
各曲が曲間無く繋げられ、アルバムとしての統一感があります。

元々4人組ビート・ポップ・バンドでスタートしたというLE ORMEですが、3rdの頃からトニ・パリュウカ(Key)を中心としたキーボード・トリオ編成になり音楽性も変化。ツアーで訪れた英国で、プログレッシブ・ロックの影響を持ち帰ったのかもしれません。

手数の多いドラムをバックにオルガン、シンセ、メロトロン(ソリーナ?)を駆使してシンフォニックに暗い叙情を紡ぎ出す#1。
イタリアン・レストランのBGMでかかっていてもおかしくない位、地中海情緒溢れる穏やかなムードの歌唱パートを持つ#2。かつてはシングル曲中心に活動していた名残を感じさせます。
雫のようなピアノが美しい#3からメドレーで妖しいムードの中盤を経て、スリリングな変拍子のシンセ・ソロからメロディアスな終盤へと起伏ある展開を見せるプログレッシブな#4。
切々としたボーカルが叙情を紡ぐ#5。
#5のムードを引き継いだ、5拍子の歌唱パートを持つ#6。
暗がりから一条の光が射すかのごとく、ポジティブなムードのメロディがエレキ・ギター、ピアノによって静かに継承される#7。
地中海風フォークにシンセのシンフォニックな味付けを施した明るいムードの#8は、終盤に#5の物悲しいフレーズがリプライズで挿入されています。
そして#8終盤のムードを引き継ぎながら、ブ厚いシンセが不安を煽るようなメロディを放射してクライマックスを迎える#9。

決してテクニカルではありませんが、独特の歌心を感じさせる歌唱パートと、叙情やスリル等様々な情景を描き出すシンセやオルガンを駆使したドラマティックなインスト・パートが融合した、独特のサウンドを聴かせます。

Track List

1. Sopesi Nell 'Incredible
2. Felona
3. Solitudine Di Chi Protegge Il Mondo
4. Equilibrio
5. Sorona
6. Attesa Inerte
7. Ritratto un Mattino
8. All 'Infuori del Tempo
9. Ritorno Al Nulla

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