YNGWIE MALMSTEEN / Trilogy
1986,SWEDEN
マーク・ボールズ(Vo)、イェンス・ヨハンソン(Key)、アンダーズ・ヨハンソン(Dr)を従え制作されたイングヴェイ・マルムスティーン(G)のソロ1986年3作目。
後に邪念のあまり(?)プレイ、サウンド、体型の全てが荒く醜くなっていくイングヴェイですが、この頃(22~23歳)の音楽に賭ける気持ちは(多分)相当に純粋だったんでしょう。そんなイングヴェイの情熱がそのまま形になったHR/HM史に残るネオ・クラシカル・メタルの金字塔。ビデオ・クリップにもなった#1は、キャッチーでメロディアスなボーカル・ラインに起承転結のはっきりしたソロが映える名曲。ザクザクしたルート音刻みにクワイヤが乗る疾走型ネオクラ・メタルの王道パターン#2。この筋の第一人者イェンス・ヨハンソンの短いながらも個性が際立つシンセ・ソロが見事です。続いてミディアム・テンポの王道パターン#3。マークの歌い上げるスタイルがマッチしています。ピッキングの強弱で微妙にコントロールされたトーンを聴かせる、アコギをフィーチャーした耽美なインストゥルメンタル#4。#2と同タイプの#5は、ユニークなベース・ラインとイングヴェイ、イェンスのバトルが聴き所。メジャーっぽいリフからマイナーな歌メロに移行する、これも王道パターンの#6。ALCATRAZZのIsland in the Sunのフレーズが一瞬飛び出すギター・ソロにニヤり。それにしても艶のあるギター・トーンが素晴らしいです。クラシカルなオブリガードが強力な#7。スローなテンポにスクリームするボーカルが乗るヘヴィでダークな#8も王道パターン。そして、ネオ・クラシカルの壮絶なインストゥルメンタル#9。エコノミー・ピッキングを駆使したスリリングでクラシカルなギターに耳が行きがちですが、ここは是非ベースも聴きこんで欲しいですね。対位法のごとくメインのメロディに対等に渡り合うラインが気持ち良いです。イングヴェイとイェンスのバトルも鳥肌ものの素晴らしさ。後のフォロワー達がパクり捲くったフックが満載の、まさにネオ・クラ・メタルの教科書。自動車事故で負傷する前のイングヴェイ最後の作品だけに、テクニック・エモーション・構築度の全てが最高のプレイを聴かせています。
Track List
1. You Don't Remember, I'll Never Forget
2. Liar
3. Queen in Love
4. Crying
5. Fury
6. Fire
7. Magic Mirror
8. Dark Ages
9. Trilogy Suite Op: 5