プログレッシブ・メタル のレビュー

DREAM THEATER / When Dream and Day Unite

1989,USA

プログレッシブ・メタルを発明したDREAM THEATERの1989年1stアルバムWhen Dream and Day Unite。

デビュー作にしてプロデュースにバンド自らが名を連ねている。ヴィジョンがはっきりしていたんだろう。既に自信満々に、後に通じるメロディアスなプログレ・メタルを展開している。
今ほど変態っぽさは多くないし、ジョン・ペトルーシ(G)はたまにモロ イングヴェイなフレーズを弾いたり、シンガーが初代のチャーリー・ドミニシ(Vo)だったりしてちょいB級クサさも。ブックレットのメンバー写真の印象がまたB級クサ~。こんなやつらが後にBIGになるなんて誰も思わなかった。

Track List

1. Fortune in Lies
2. Status Seeker
3. The Ytse Jam
4. The Killing Hand
5. Light Fuse and Get Away
6. Afterlife
7. The Ones Who Help to Set the Sun
8. Only a Matter of Time

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SHADOW GALLERY / Shadow Gallery

1992,USA

マイク・バーニー主催のプログレ・レーベル「マグナ・カルタ」のMAGELLANに続く第2弾バンドSHADOW GALLERYの1992年1st。それほど複雑な展開は無く曲調はわりとストレートでメロディアスなハード・ロック、という所がいかにもアメリカン。たまにネオクラっぽくなったりするのもデビュー作故の試行錯誤なのか。演奏はまぁまぁ上手くてインスト・パートではHR/HM寄りのテクニカルなギターとアナログ風な太いシンセ音のスリリングなフレーズも聴ける。ドラム・パートが打ち込み(多分)の為かアンサンブルのダイナミクス面がいまいちだったりする。

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DREAM THEATER / Images and Words

1992,USA

1stアルバムでの唯一の弱点だったボーカルがチャーリー・ドミニシからジェイムズ・ラブリエ(Vo)にチェンジしたDREAM THEATERの1992年2ndアルバムImages and Words。

ヘヴィ・メタルとしてのカッコ良さとプログレッシブなテイストが高次元で融合した#1,#3、キャッチーなAORチューン#2など序盤で既に前作から数ランクもバージョン・アップした手応えが感じられます。
メロディとスケール感に息を呑む#4,#8を適所に配しながら、何といっても本アルバムのハイライトは#5。プログレッシブなアヴァンギャルドさ・変拍子などが、メタルの文脈の中でヘヴィネスと攻撃性を兼ね備えて表現されたこのテクニカルなエピック・チューンの登場を持って、いよいよDREAM THEATERが他に類を見ない独自のプログレッシブ・メタルを完成させたと言えるでしょう。
そして当時初来日公演を行った川崎クラブ・チッタでは、開演前、「本当にできるのか?」と値踏みするような表情で待っていたバンド・マン達中心のオーディエンスが、1曲目から口をポカーンと開けてアゴがはずれるほど驚愕することになります。その感慨深い曲も#5でしたね。

Track List

1. Pull Me Under
2. Another Day
3. Take the Time
4. Surrounded
5. Metropolis, Pt. 1: The Miracle and the Sleeper
6. Under a Glass Moon
7. Wait for Sleep
8. Learning to Live

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DREAM THEATER / Awake

1994,USA

前作 Images and Wordsで独自のプログレッシブ・メタルを確立したDREAM THEATERの1994年3rdアルバムAwake。

キャッチーで開放感や清涼感すら漂わせた前作の路線でそのまま行く事も可能であったろうに、彼らが選択したのはダーク&ヘヴィ路線。
ジョン・ペトルーシ(G)のダウン・チューニングしたギター、ケヴィン・ムーア(Key)のダーティなオルガン・サウンド、ジェイムズ・ラブリエ(Vo)のわざと潰した様なヴォイス・・・当時はかなり衝撃でしたが、バンドとして年月を経て豊富になったカタログのラインナップを振り返ると、ごく自然な流れにも思えてきますね。
真相が、飽くなき進化を求めてのことなのか、全米を席巻したグランジ・ブームの影響なのかはともかく。変態且つ屈折したムードの#4や弾きまくるペトルーシのプレイが熱い#5の前後を軽いタッチの#3や#6で繋ぎ、アルバムのハイライト#7~#8が登場。ヘヴィなリフがリードしつつもツボを心得たストリングスを中心としたシンセのアレンジが秀逸で、冷ややかな感触を楽曲にもたらし独特なムードを醸成しています。
このアルバムを最後にバンドを去るゲヴィン作詞作曲の絶望的ナンバー#11のテーマ・メロディを#7にさりげなく挿入するあたりも、マニアックなリスナーの知的好奇心をくすぐりますね。

Track List

1. 6:00
2. Caught in a Web
3. Innocence Faded
4. Erotomania [Instrumental]
5. Voices
6. Silent Man
7. Mirror
8. Lie
9. Lifting Shadows off a Dream
10. Scarred
11. Space-Dye Vest

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SHADOW GALLERY / Carved in Stone

1995,USA

SHADOW GALLERYの1995年2nd。セカンド・ギタリスト兼キーボード奏者とドラムの2人が加入し一気に6人編成に。曲間に配された5つの小曲がそれぞれの曲を上手く繋ぐブリッジとなっており全体のムードを統一しているので一気に最後まで聴けてしまう。ようやく方向性が定まったのか、歌パートはあくまでもキャッチーだが根はテクニカル・メタルという独自のスタイルを確立。曲の構成も適度に変拍子を交える等練られた跡が見られ、インスト・パートが一段とスリリングに。ギターも弾きまくってます。それでいて歌パートはストレートでメロディアスなのはやっぱりアメリカン。

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CONCEPTION / In Your Multitude

1995,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・メタル・バンドCONCEPTIONの1995年3rdアルバムIn Your Multitude。

シンセとパーカッションによる妖しげなSEを突如切り裂くギター・リフが鮮烈な、ドライヴ感抜群の強力なオープニング・ナンバー#1。
ポリリズムを取り入れたトリッキーなリフがリードするミディアム・テンポのヘヴィな#2。
休符とウラ拍のタイム感が心地良いグルーヴを生み出すソリッドな単音リフが印象的な#3。
ダークな#4。
繊細なアコギのアルペジオ、一瞬ディ・メオラ風な早弾きソロ、ロイ・S・カーン(vo)の情感溢れる歌唱が見事なバラード#5。
変拍子や凄まじいフルピッキングのギター・ソロ、フラメンコ風アコギ・ソロなど、インスト部が充実した7分超のプログレッシブ・チューン#6。
キャッチーなサビを持つ#7。
YESにインスパイアされたという#8。
ロイのスクリームをきっかけに静から動へドラマティクに変貌するメタル然とした#9。
パッド系シンセやストリングスを地味ながら効果的に使い壮大なスケール感を醸成した#10。

専任鍵盤奏者が脱退して4人編成となった為か、キーボードの使用が最小限に止まり、トゥーレ・オストゥビー(G)による小気味良いザクザクしたギターのリフを中心として、ダークでカッコ良いプログレッシブ・メタルが展開されています。

Track List

1. Under a Mourning Star
2. Missionary Man
3. Retrospect
4. Guilt
5. Sanctuary
6. Million Gods
7. Some Wounds
8. Carnal Comprehension
9. Solar Serpent
10. In Your Multitude

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DREAM THEATER / A Change of Seasons

1995,USA

プログレッシブ・メタルの祖 DREAM THEATERのミニ・アルバム。
IMAGES AND WORDS制作時のアウト・テイクを完成させた7部構成23分超の組曲#1を中心に、1995年1月ロンドンはロニー・スコット・ジャズ・クラブでのライブを収録したカヴァー曲集を加えた構成となっています。

#1はこの時期のDREAM THEATERらしいメロディアスで割りとストレートなプログレッシブ・メタル。前作AWAKEを最後にバンドを去ったケヴィン・ムーアの後任にデレク・シェレニアン(Key)が加入、ダーティなオルガン・サウンドで新機軸を発揮すると共に、ソロでは申し分無いテクニックを披露しています。
続く#2、#3、#4はそれぞれエルトン・ジョン、DEEP PURPLE、LED ZEPPELINのカヴァーで、捻った選曲が興味深いです。
#3でのジェイムズ・ラブリエ(Vo)の歌唱がシャウトを交え活き活きと伸びやかなのが象徴的で、バンドもリラックスして楽しみながらプレイしていたんでしょう。
#5はPINK FLOYDのIn The Fresh?、KANSASのCarry On Wayward Son、QUEENのBohemian Rhapsody、JOURNEYのLovin, Touchin, Squeezin、DIXIE DREGSのCruse Control、GENESISのTurn It On Again等彼らが影響を受けたバンド達の楽曲をメドレーでプレイしたもの。いわゆるプログレ期では無いGENESISの楽曲を取り上げたのもおもしろいですね。

Track List

1. Change of Seasons
2. Funeral for a Friend/Love Lies Bleeding
3. Perfect Strangers
4. Rover/Achilles Last Stand/The Song Remains the Same
5. Big Medley

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SYMPHONY X / The Divine Wings of Tragedy

1996,USA

アメリカのプログレッシブ・メタル・バンドSYMPHONY Xの3rdアルバム。

ギターとキーボードのバトルやユニゾン・プレイに初期イングヴェイの雰囲気というか上手なSILVER MOUNTAINというか、とにかく上手くてカッコ良いネオクラシカル・ヘヴィ・メタル。マイケル・ロメオ(G)は後年JOHANSSONに参加するくらいですからね。長尺の#4、超長尺の#8ではネオクラに収まらない音楽性とプログレッシブな要素も。#3がサビ中心にめちゃカッコ良い。

Track List

1. Of Sins and Shadows
2. Sea of Lies
3. Out of the Ashes
4. The Accolade
5. Pharaoh
6. The Eyes of Medusa
7. The Witching Hour
8. The Divine Wings of Tragedy
9. Candlelight Fantasia

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PAIN OF SALVATION / Entropia

1997,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンドPAIN OF SALVATIONのデビュー・アルバムEntropia。戦争によって分裂する家族をテーマにした、デビュー作でいきなりのコンセプト・アルバム。

ヘヴィで壮大なリフがリード、静と動を巧みに織り交ぜたハッとするアレンジで物語にグイグイ引き込む#1。
SEとサンプリングしたビートからなる第一章のイントロ#2。
#2のビートで提示されたテンポを引き継いだヘヴィなリフから、クリーンなギターのバッキングによるボーカル・パートへ移行するミディアム・スローな#3。中間部のミステリアスなパートとコーラスのリフレインが印象的。
自然に挿入された変拍子とリズムチェンジによる場面転換による3部構成の組曲#4。ダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)の慟哭のようなボーカルと泣きのギター・ソロが非常にエモーショナルで胸に突き刺さります。
クリーンなギターのアルペジオに抑揚を付けた歌唱が乗るメランコリックな#5。
マーチのリズムから一転、リディアン・モードによる新鮮な響きのメロディと2拍3連のアクセントによるリフが強烈に耳に残る#6。入り組んだアレンジのインスト・パートとキャッチーとも言えるボーカル・パートがシームレスに融合した個性的なプログレッシブ・チューン。
アグレッシグなリフがリードするスリリングな#7。時折挿入されたメロディック・パートが、ヘヴィなパートとの落差を生み出す老獪なアレンジが光ります。
エモーショナルなギター・ソロから3連リズムのエッジが立ったリフに移行するインスト#8。
メロディアスなテーマ・メロディを中心に配しながら、ラップ調の歌唱パートにジャジーなインスト・パートなどを交え、一筋縄では行かない変態的アレンジの#9。
ベースによるリフレインから叙情的なボーカル・パートに移行する小曲#10。
チョッパー・ベースがファンキーに迫るパートやギターが弾き捲くる疾走パートと、サビでシンフォニックに盛り上がるボーカル・パートが癒合した#11。
#2での波音のSEを冒頭に配し、叙情的に盛り上がる#12。終盤は突如ブルータルなリフが登場、苦悩と混沌の様相を見せる。
アコギをバックにダニエル・ギルデンロウの生々しくも祈るような歌唱をフィーチュアしたエピローグとなる#13。

様々な音楽的影響を消化したトリッキーなインスト・パートを印象的に使いながらも、主役はあくまでもエモーショナルな歌唱とメロディ。
既にPAIN OF SALVATIONとしての個性が確立されている脅威のデビュー・アルバムです。

Track List

1. ! (Foreword)
2. Welcome to Entropia
3. Winning a War
4. People Passing By
5. Oblivion Ocean
6. Stress
7. Revival
8. Void of Her
9. To the End
10. Circles
11. Nightmist
12. Plains of Dawn
13. Leaving Entropia (Epilogue)

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DREAM THEATER / Falling Into Infinity

1997,USA

DREAM THEATERの4thアルバムFalling Into Infinity。
ミニ・アルバムA Change of Seasonsより加わったデレク・シェリニアン(Key)が引き続き参加。

無機的なテーマ・リフを様々に変奏・発展させて構成したクールなプログレッシブ・チューン#1。
デズモンド・チャイルドが作曲に関わったキャッチーな#2。
ダークなAORといったテイストの序盤からヘヴィに発展する#3。
ジョン・ペトルーシ(G)の繊細なアコギが味わい深いSTING風なAORチューン#4。
ジョン・ミュング(B)の弾き出すダークなベース・ラインに歪みオルガンのバッキング、シンセ・ソロとデレク・シェリニアンの見せ場が多いアルバム随一のヘヴィ・チューン#5。
豊かなメロディとマイルドなサウンドにより、5拍子や7拍子が入り組んだ複雑さを感じさせないインストゥルメンタル#6。
サビのバッキングがTOTOのGirl Goodbyeみたいな12分超のハード・ロック#7。
ジェイムス・ラブリエ(Vo)の伸びやかな歌唱をフィーチュアしたAORチューン#8。
シンセとギターのテクニカルなソロ・パートを待つDREAM THEATER流ロックン・ロール#9。
ドラマティックで美しいバラード#10。
フュージョン風なコード進行でジョン・ペトルーシが弾き捲くるインスト部を挿入した3部構成の組曲#11。

デレク・シェリニアンがメインで弾くオルガンのトーン、複雑で変態的なハッとする切り返しの少ないアレンジ、#4,#8,#10等大人しい楽曲の多さと随所に漂うAOR風味、といったところから、プログレッシブ・メタルはおろか最早メタル的なカタルシスにも乏しく、随分オーソドックスなハード・ロックになったなぁ、という印象が濃いアルバム。
KISSやBON JOVIとの仕事で有名なヒット・メーカー デズモンド・チャイルドの起用、KING’S Xのダグ・ピニックが#7でゲスト・ボーカルで参加、ヒプノシスのストーム・トーガソンによる意味深でいて実は単にインパクト勝負なだけのジャケット・アート、という様々な違和感も含め、ヒットと話題性を求めるレコード会社からの圧力がかなりあったようです。#10なんかもゴリゴリに変態な楽曲群の中に存在した方が、よりその素晴らしさが映えると思うんですが・・・

Track List

1. New Millennium
2. You Not Me
3. Peruvian Skies
4. Hollow Years
5. Burning My Soul
6. Hell's Kitchen
7. Lines In The Sand
8. Take Away My Pain
9. Just Let Me Breathe
10. Anna Lee
11. Trial Of Tears:
i) It's Raining
ii) Deep In Heaven
iii) The Wasteland

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PAIN OF SALVATION / The Perfect Element, part I

2000,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンド PAIN OF SALVATIONの2000年3rdアルバム The Perfect Element, part I 。
児童虐待や青年時代の葛藤などをテーマとしたコンセプト・アルバム。

ヘヴィでダーク、怒りを感じさせるヴァースから、突然超メロディアス&メロウなサビに展開する#1。時にソウルフルなシャウトを交え、明暗を描く#2。終盤、印象的なボーカル・メロディがピアノでリフレインされ、聴き手の心に深く染み渡ります。
#2のラストからクロスフェードする悲しみに満ちたアルペジオのリフをベースに、苦悩を映した慟哭のサビに展開する#3。
ハンマーノイズの要素を強調することで寂寥感を表現したエレピによるリフが印象的な#4。
ストリング・セクションがバンド・サウンドに溶け込んだ後半がメロディアスで美しい。タッピングによるメカニカルな変拍子リフと、メロウなボーカル・パートでのオーガニックな情感を対比させた#5。疾走パターンに変化したリズム隊をバックに#3のサビがリプライズで登場し、テーマの関連性を示唆します。
時折ヘヴィな装飾を盛り込んだ、ピアノをバックにした繊細なバラードの前半から、5拍子でのエキゾチックなリフでリズム・コンシャスな後半に展開する#6。終盤にはストリングスとクワイヤで感動的なメロディがリフレインされます。
アコギやフレットレス・ベース、ピアノによる伴奏に清廉なボーカルが乗るメロウな#7。
チョーキングでシタールのような効果を出すギターが奏でるエスニックなメロディが深遠なムードと相まって、神秘性とトリップ感を生むヘヴィな叙事詩的ナンバー#8。
#4のリフ(今回はギターでプレイ)とサビがリプライズ、キャッチーとも言えるメロディアスなプログレッシブ・メタルに仕上った#9。
7拍子のクリーンなアルペジオによる静かな前半から、#6終盤で提示されたメロディがリプライズし盛り上がりを見せる後半に移行する#10。
パッド系シンセの白玉をバックに、ギターがルバートで切ないメロディを奏でるインスト小品#11。
7拍子のリフから始まり、重層的に様々なパートが織り込まれて壮大なフィナーレを飾る#12。

アルバム全体を覆うダークな色彩、ダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)による様々に声を使い分けてのボーカル、意表を突いた楽曲展開によって重いテーマを見事に表現。数種の印象的なテーマ・メロディを楽曲間でリプライズさせるアルバム構成の妙、必然性ある自然な変拍子、楽曲展開やインストゥルメンタル・パートにおけるコード進行などにインテリジェンスを感じさせます。

Track List

1. Used
2. In the Flesh
3. Ashes
4. Morning on Earth
5. Idioglossia
6. Her Voices
7. Dedication
8. King of Loss
9. Reconciliation
10. Song for the Innocent
11. Falling
12. The Perfect Element

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OPETH / Black Water Park

2001,SWEDEN

OPETHの2001年5thアルバムBlack Water Park。

前作Still Lifeを非常に気に入ったという英国のプログレ・マニア PORCUPINE TREEのスティーブン・ウィルソンがプロデュースしてます。
不条理変態リフと叙情アコギ、そして#2のコーラス部に代表される英国的な雰囲気すら漂わせる歌メロ。全てが計算されつくされつつ複雑に構築されているので何回聴いても飽きないし、その都度新たな発見があります。
メロディの扇情度は歴代OPETH作品の中で一番かも。
2008年の初単独来日公演ではアンコールでプレイされた名曲#4のイントロは美しさとトリップ感を併せ持つ新感覚メロディだし。
12分の叙事詩的大作であるタイトル曲#8も長尺を感じさせない巧みな構成がカッコ良くて最高。
禍々しいリフ、清廉なアコギ等OPETHの魅力がバランス良く満載された名盤です。

Track List

1. Leper Affinity
2. Bleak
3. Harvest
4. Drapery Falls
5. Dirge for November
6. Funeral Portrait
7. Patterns in the Ivy
8. Blackwater Park

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PAIN OF SALVATION / Remedy Lane

2002,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンド PAIN OF SALVATIONの2002年4thアルバムRemedy Lane。

パッド系シンセの静かな序盤から苦悩を感じさせるヘヴィなパートに移行する、アルバムのイントロダクション的なナンバー#1。
ダークでヘヴィな音像をバックに、ダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)がエモーショナルに歌い、弾く印象的なメロディが耳から離れない#2。
ギターとピアノがユニゾンで奏でる5拍子の精神分裂気味メロディのリフを軸に展開する#3。突如メロディアスになるサビにおけるピアノやギターのミュート・フレーズも5拍子の周到さ。
様々な表情を見せる歌唱が演出する叙情パートや爽快なパートを内包しつつ、キャッチーなサビ以外は基本的に7拍子で進行する#4。
クリーンなアルペジオをバックにしたマイルドな前半から、後半は激しさも加えた歌唱に展開する#5。
枯れたトーンのギターによって提示された悲痛なテーマ・メロディを徐々に力強く発展させていく#6。
16分音符の2拍目にアクセントを持ってくる特異なリフで耳を釘付けにし、その後リズムもキーも全く違うブリッジ・パートを挿入し意外な展開を見せるプログレッシブ・チューン#7。
エスニックなフレーバーをまぶしたフォークロア風ナンバー#8。
クリーンなエレキによるクラシック・ギターのようなフレージングが叙情を運ぶ前半、アルペジオがウラ打ちのリズム・トリックを使用している後半とギターがメインのインストゥルメンタル#9。
#1の右チャンネルにかすかに聴こえていたシンセのシーケンス・フレーズを発展させたようなインストゥルメンタル#10。
心地良い3拍子に乗せて歌唱パート中心に進行する、キャッチーな中にも深遠なムードの#11。ギター・ソロがエモーショナル。
抑えた歌唱が胸を打つ、メロディアスな感動の叙情バラード#12。
変拍子も交えて淡々と時にプリミティブな激情も迸らせるヴァースと、メランコリックなサビを対比させながら壮大に紡がれた10分近くの大曲#13。

ダークなムードや時折見せるアグレッションはヘヴィ・メタルのそれでありながら、実の所はディストーション・ギターも控え目だし、充分にテクニカルでありながらサーカスのようなこれ見よがしの超絶アンサンブルに頼る事も無い。
所々に仕掛けたリズムのトリックや予想不可能な意外な展開などで音楽的深みとインテリジェンスを醸し出す、どちらかというと王道プログレッシブ・ロックに近づいた作風。
そんな事もあって、同郷の現代プログレの旗手FLOWER KINGSのロイネ・ストルトとダニエル・ギルデンロウの交流も進んで行ったんでしょうか。
ダニエル・ギルデンロウは作詞作曲、アートワーク、個人的なものに基づいた重いコンセプト、ミックスにプロデュース、と全てにその才能を発揮しております。

Track List

1. Of Two Beginnings
2. Ending Theme
3. Fandango
4. Trace of Blood
5. This Heart of Mine (I Pledge)
6. Undertow
7. Rope Ends
8. Chain Sling
9. Dryad of the Woods
10. Remedy Lane
11. Waking every God
12. Second Love
13. Beyond the Pale

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OPETH / Deliverance

2002,SWEDEN

ミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)率いるスウェーデンのプログレッシブ・デス・メタル・バンドOPETHの6thアルバムDeliverance。
前作Blackwater Parkに続き、PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンがプロデュース。

ディストーション・ギターの轟音で奏でられるメロディの深遠なメロウネスが新鮮な#1。
ツーバス連打の激烈リフ、グロウル・ヴォイス、ノーマル・ヴォイスによる7拍子のメロウなパート、など、次々に展開していく#2。
アコースティカルな装いの鬱で静かな叙情と、ヘヴィなパートでのクールにたぎる激情が共存した#3。
アコギとマイルドなエレキで綴った寂寥感漂うインストゥルメンタル#4。
威厳すら感じさせる禍々しいリフがリードする暗黒ヘヴィネスに、リズムのトリックや複雑な音使いの不条理リフを経たフォーキーな安息を挿入した#5。
デス・ヴォイスが咆哮をあげるエクストリームなパートとアコギの深遠なパートが対比する#6。歌心を感じさせるスムーズなギターのフレージングも見逃せません。

静動・美醜・硬軟、といった様々な要素を具現化した音楽的アイディアが散りばめられた作風は相変わらずですが、それら高品位な各パーツがますますカッコ良く、あるいはミステリアス/叙情的な魅力を増しています。
さらにOPETHが驚異なのは、並のバンドなら1曲できそうなそういった魅力的アイディアが、惜しげも無く1曲の中にいくつも贅沢にブチ込まれているところ。割とやりっ放しで、伏線を張ってテーマに戻るといった構築性に乏しいところもありますが、それこそが個性と言わんばかりにアイディアを泉のごとく放出するミカエル・オーカーフェルトの才能に畏怖すら覚えます。

Track List

1. Wreath
2. Deliverance
3. A Fair Judgement
4. For Absent Friends
5. Master's Apprentices
6. By The Pain I See In Others

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DREAM THEATER / Six Degrees of Inner Turbulence

2002,USA

プログレ・メタルの先駆者DREAM THEATERの6thアルバムSix Degrees of Inner Turbulence。

全てを極めたかのような前作に続く新作ということでそれなりにプレッシャーはあったと思われますが、2枚組というボリュームでまずは度肝を抜かれます。
DISC1は従来通りのDREAM THEATERが楽しめるプログレ・メタル、DISC2は8つのパートからなる42分の組曲という構成。

前作のラストにおけるアナログ・レコードのノイズから幕を開け、ジョン・ペトルーシ(G)の7弦ギターによるロウBのヘヴィなリフに、マイク・ポートノイ(Dr)によるラップ風ボーカルやDJ風スクラッチ・ノイズ等の新機軸を加えたオープニング・チューン#1。
AOR風ボーカル・ナンバーの装いから徐々に疾走パートなどを加えて展開していく#2。
クリアなギターの優しいバッキングのキャッチーなパートからメロトロンのようなストリングスが絡み、ギターのハウリングをきっかけにヘヴィに移行する深遠でドラマティックな#3。不条理ヘヴィ・リフに乗った逆回転ギター・ソロの変態的な響きがナイス。
エフェクトを掛けたボーカルやパッド系シンセを中心としたバッキング・パートが今までに無いテイストの#4。
ミステリアスなフックを内包したメランコリックなナンバー#5。
と、DISC1は2ndで完成したDREAM THEATERのフォーマットに、若干の新しい要素を加えてアップデートしたかのような印象。
DISC2はジョーダン・ルーデス(Key)のシンセが大活躍する壮大なオーケストレーションを施したiでスタート。ポジティブなムードがまるでディズニーのようです。
軽やかなピアノを中心に爽やかにキャッチーに進行するメロディアスなii。
一転して不穏なムードでヘヴィなiii。
高速パッセージをきっかけに歯切れ良いリフがリードするivへ。疾走感の中挿入されたオリエンタルなムードが新鮮。
ジェイムス・ラブリエ(Vo)の伸びやかな美声が映えるメロウな序盤から、組曲のテーマ・メロディのリフレインを挟みマイナー調でのギター・ソロに移行するv。
アコギのカッティングがリードするアメリカン・フォーク・タッチのvi。しかしこれもそのまま終わるわけも無く終盤は入り組んだ得意の器楽アンサブルで締め。
続くviiもカラっとアメリカンなギター・リフが爽快なアップテンポのナンバー・・・・・なのは前半だけで、インスト・パートからは複雑に展開。
組曲の締めくくりは壮大なシンセのオーケストレーションから、抑えたボーカル・パートを経てジェイムス・ラブリエが歌い上げる感動の大団円へ。

若干変態な実験性を加味したDISC1、ストーリー作ながら前作とは違って爽快でポジティブな作風でまとめたDISC2と、2枚組にしたのもダテじゃありません。
アイディアの枯渇とは全く無縁であることを証明した、プログレ・メタルの第一人者らしい充実作です。

Track List

Disc 1
1. The Glass Prison
2. Blind Faith
3. Misunderstood
4. The Great Debate
5. Disappear
Disc 2
1. Six Degrees of Inner Turbulence
i) Overture
ii) About to Crash
iii) War Inside My Head
iv) The Test That Stumped Them All
v) Goodnight Kiss
vi) Solitary Shell
vii) About to Crash (Reprise)
viii) Losing Time/Grand Finale

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OPETH / Damnation

2003,SWEDEN

ミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)率いるスウェーデンのプログレッシブ・デス・メタル・バンドOPETHの7thアルバムDamnation。

グロウル/デス・ヴォイス、ディストーション・ギター、ツーバス連打、といったヘヴィ・メタリックな要素を一切排し、OPETHの楽曲のそこかしこに散在するメロウな要素にフォーカス。いつも通りでヘヴィな前作Deliveranceと対になった作品。PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンが、引き続きプロデュース及びピアノ/エレピ/メロトロンといった鍵盤関係とバッキング・ボーカルでも貢献しております。

6/8拍子から4/4拍子への自然な変化で緩急を無理無く表現した#1。ミカエル曰く「色々とパクった(笑)」という中期KING CRIMSON風暗黒不条理リフレインから一転しての、むせび泣くギター・ソロへの展開が秀逸です。
イコライジングを施したようなダークで無機的な序盤から、メロトロンの洪水と共にエモーショナルにクサメロを歌い上げるサビに展開する#2。
ミステリアスなムードの#3。
奇妙な音使いのアコギによるカッティングとエレキによる単音リフ、パーカッションをバックに繰り広げられるエキゾチックかつ悪夢のようなパートがLED ZEPPELINのFriendsを想起させる#4。
不安感を煽りつつも何故か心地良い#4終盤の悪夢パートが急に途切れてクリーンなアルペジオが登場するメロウな#5、とドラマティックなアルバム構成にもぬかり無し。
メロトロンの幽玄な響きにミカエルのクリーン・ヴォイスが溶け込む暗鬱メロウ・チューン#6。
どことなく演歌っぽい(?)泣きメロを、マイルドなトーンのエレキで奏でるインストゥルメンタル#7。
スティーヴン・ウィルソンからの薫陶が明らかな、モジュレーションを掛けたエレピがミステリアスでトリップ感を誘う静謐な#8。

ある種の制約の中でどこまでOPETHらしい起伏ある楽曲展開が表現できるか、という凡人の杞憂を軽く吹き飛ばすがごとくミカエルの才能とセンスが爆発。いつもながら感心してしまう、ミカエルのクリーン・ヴォイスによる素晴らしい歌唱と歌心溢れるギター・ソロも大いに堪能できます。
素敵なジャケット・アートは勿論トラヴィス・スミス。

Track List

1. Windowpane
2. In My Time of Need
3. Death Whispered a Lullaby
4. Closure
5. Hope Leaves
6. To Rid the Disease
7. Ending Credits
8. Weakness

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DREAM THEATER / Train of Thought

2003,USA

DREAM THEATERの7thアルバムTrain of Thought。

前作ラストのシンセストリングスのフェイドインを冒頭に配し、ルート音とオクターブ+フラットファイブによるBLACK SABBATHをオリジネイターとする不穏なリフで幕を開ける#1。
前作の1曲目As I Amの続編となる#2は「アルコール依存症を克服する12ステップ」の4,5ステップ目。
暗い叙情を漂わせたギターのアルペジオのバッキングから始まる#3。ハーモニクスを交えたヘヴィなリフから激しさを加え、複雑なアンサンブル・パートからシンセとギターによる超絶テクニカル・ソロ・バトルに展開。
マイク・ポートノイ(Dr)のロールからシンコペーションが印象的なリフへと至る疾走パート、ヘヴィなボーカル・パート、メロディアスなブリッジ、と巧みに構成された#4。ジョーダン・ルーデス(Key)のエキセントリックなトーンのソロが強烈。
ピアノにチェロを加えたバッキングに、ジェイムス・ラブリエ(Vo)の胸を締め付けるような歌唱が切ない#5。
#5のメロディを引き継ぎ、ヘヴィかつメロディアスに進行するドラマティックなインストゥルメンタル#6。テーマの反復と変奏がクラシカルな構築美を持っている。インストが多いDREAM THEATERの中でも出色の出来。ジョン・ペトルーシ(G)の鬼神のような弾き捲くりがカタルシスをもたらします。
#7はもはやその手法を完全に我が物にした壮大なエピック・チューン。バビロン風リフ、ヘヴィネスとメロディの融合、思索パート、テクニカルなアンサンブル・パート、変拍子、と全てが詰まった佳曲。

相当この時期、創作意欲が充実していたんでしょう。2枚組大ボリュームの前作から2年弱での新作リリースとなった本アルバム。シンセのオーケストレーションは姿を消し、徹底的にダークさとアグレッションに拘った結果、リフの印象度がかなり高くなっています。

Track List

1. As I Am
2. This Dying Soul
3. Endless Sacrifice
4. Honor Thy Father
5. Vacant
6. Stream Of Consciousness
7. In The Name Of God

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PAIN OF SALVATION / Be

2004,SWEDEN

ダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)率いるスウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンドPAIN OF SALVATIONの5thアルバムBe。

現代の天地創造の物語とダニエルが言うコンセプト・アルバムとなっており、男女による何やら哲学的な問答の#1から緊張感あるインストゥルメンタルに乗って年代と総人口数と思しき数が淡々とアナウンスされる#2に至るオープニングの段階で既に引き込まれていきます。
続く#3はパーカッションを活かしたトライバルなムードを漂わせたダークなフォークロア風チューン。リズムのトリッキーな仕掛けが耳から離れません。
雨のSEに続きピアノの美しくも沈鬱なソロにストリングが絡み、シンフォニックに発展していくインストゥルメンタル#4。
フレットレス・ベースが深遠なうねりを醸成する思索的な序盤から、タテ乗りのハードなパートに展開する#5。
再びフォークロア風な#6。
そしてアルバムのハイライトでもある、3部構成のプログレッシブ・チューン#7へ。
ミュージカルのような芝居がかったダニエルの歌唱、QUEENのようなコーラスに管弦楽を交えた国籍不明のシンフォニックなオーケストレーションでドラマティックに展開。
ファンから電話録音で公募した神に対するメッセージをピアノやアコギ、フルート等によるヒーリング・ミュージックに乗せた#8。
一転して、前半のリフと苦悩するボーカルによるヘヴィネスから、オーケストレーションによる神秘的パートの後半に移行する#9。
ストリングスも交えてヘヴィに進行するミディアム・テンポのパートに、#2のスリリングなパートを交えたプログレッシブ・チューン#10。
クリーンなギターのアルペジオを中心にピアノや管弦が絡み、やがて劇的に盛り上がるインスト#11。
荘厳なチャーチ・オルガンをバックに祈りにも似た歌唱が切迫感をつのらせる#12。
雫が滴るようなピアノと管弦によるバックにダニエル渾身の歌唱が乗るヘヴィなバラード#13。本アルバム中ほとんど唯一のギター・ソロがエモーショナル。
トライバルなリズムとフォークロアがリプライズする#14。
エンディングと隠しトラックが用意された#15。

曲中や曲間に何がしかの仕掛けが施されており、1曲だけサクッと聴くという行為を許さないトータル・アルバム。
#6や#8など、もはや楽曲とは言えないようなセリフ・パートを効果的に配し劇的に場面転換していく為、常に知的好奇心を刺激され一気に聴けます。
ブックレットに掲載された謎めいた写真を眺めながら、イマジネーションを働かせて聴いてみてください。

Track List

1. Animae Partus
2. Deus Nova
3. Imago
4. Pluvius Aestivus
5. Lilium Cruentus
6. Nauticus
7. Dea Pecuniae
I) Mr. Money
II) Permanere
III) I Raise My Glass
8. Vocari Dei
9. Diffidentia
10. Nihil Morari
11. Latericius Valete
12. Omni
13. Iter Impius
14. Martius/Nauticus II
15. Animae Partus II

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OPETH / Ghost Reveries

2005,SWEDEN

OPETHの2005年8thアルバムGhost Reveries。

前作・前々作は自らの可能性の限界に挑戦するという実験的意味合いもあったのだろう。わざと制約を設ける中で持ち味のブルータルなアグレッションやメロウ・サイドの各々にさらに磨きをかけることに成功した彼らがそれらを全て混ぜ合わせて再構築することによって、既に完成の域にあった音楽性のさらなるステップ・アップを実現させている。
新たに正式参加したSPIRITUAL BEGGARSでお馴染みペル・ヴィヴァリ(Key)によるハモンド/エレピ/メロトロンが彩りを加え、もはや他者の追随を許さない孤高の域に達した感がある。

#1は21世紀最高のプログレッシブ・メタル楽曲だと言い切ってしまいくらい完成度が高い、OPETHの魅力が最高レベルで発揮された名曲。

Track List

1. Ghost of perdition
2. The baying of the hounds
3. Beneath the mire
4. Atonement
5. Reverie/Harlequin forest
6. Hours of wealth
7. The grand conjuration
8. Isolation years

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DREAM THEATER / Octavarium

2005,USA

DREAM THEATERの8thアルバムOctavarium。

前作エンディングのピアノによるF音を冒頭に配したヘヴィな#1は、「アルコール依存症を克服する12ステップ」の6,7ステップ目。ラストでは#8のテーマ・メロディが提示され、コンセプト・アルバムのような体裁も。
切ないピアノに弦楽四重奏が絡む美しくメロウなバラード#2。ここでも#8のテーマがさりげなく挿入されています。
一転してひしゃげた重低音リフから始まる#3。しかし歌唱パートには透明感すら感じさせる静かなメランコリック・パートもあり、その起伏がドラマティック。
伸びやかでキャッチーな#4。
7弦あるいはバリトン・ギターによる重低音リフがリードする#5。全体的にヘヴィでありながら、叙情味を持ったメロディを共存させているDREAM THEATERらしいナンバー。インスト・パートではIRON MAIDEN風(?)3連パートと通常拍子を交互に持ってくる面白いアレンジもまた彼ららしい仕掛け。
開放的なサビメロが、小刻みにのたうつヘヴィな単音リフとのギャップを生んでいる#6。構築度の高いギター・ソロ、テクノ風シンセのシーケンスなど、アレンジのセンスも円熟の境地。
ミステリアスな歌唱パート、テクニカルなソロ・パート、メロディアスな器楽アンサンブルで構成された#7。
と、ここまで比較的コンパクトな楽曲にメロディとアレンジの妙を凝縮したトラックが続き、いよいよ5パートからなる大作#8へ。
PINK FLOYDのShine on You Crazy Diamondを彷彿させる序盤は、ジョーダン・ル-デス(Key)の独壇場。ペダル・スティールのようなポルタメントの効いた音色はContinuum fingerboardという機材を使っている模様。このアナログ・シンセ風トーンにはプログレ・ファンも大喜びでしょう。続く12弦アコギのアルペジオに乗るボーカル・パートはGENESISのようでもあります。
2パートはテーマ・メロディを中心にジェイムズ・ラブリエ(Vo)の歌唱をフィーチュアした優しく開放的なムード。
アナログ・シンセのスケール練習風ソロもGENESIS的。スピードはかなり速いですが。
緊張感を持った3パートは作詞者のマイク・ポートノイ(Dr)のコーラスが登場。はっきり言って下手ですね。
超絶アンサンブルにジャズ風も交えた器楽パートを経て激しい4パートへ。
そして壮大な5パートでは締めくくりに相応しく、歌い上げるボーカルにオーケストラも参加し大団円へ。ラストのピアノ音がアルバム冒頭への回帰を促す、というクラシックな手法も微笑ましいです。

5人で作った8作目のアルバムでタイトルもOctavarium。ヒュー・サイムによるジャケットやブックレットの至るところに8や5にまつわる図形やイラストが配され、コンセプト・アルバム風ではありますが、音楽そのものというよりもアートと連動した曲のキーや色々な仕掛けにテーマを隠したパッケージ・メディアとしてのトータル・コンセプトのようです。
ただ先人達がそうしてきたように、意味ありげな意匠に拘るところも又ファンの知的好奇心をくすぐる、ということをバンド(というかマイク・ポートノイとジョン・ペトルーシ)は良く解ってますね。
前作でヘヴィネスとアグレッションに一応の決着を付けたからか、本作には全体的に開放的ムードが感じられます。良いメロディをコンパクトに追求した結果でしょうか。アルバムのテーマ8=1オクターブ=8音というところに特に#2~#4あたりのメロディ志向が宣言されていると解釈しているんですが。

Track List

1. The Root Of All Evil
2. The Answer Lies Within
3. These Walls
4. I Walk Beside You
5. Panic Attack
6. Never Enough
7. Sacrificed Sons
8. Octavarium

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