PAIN OF SALVATION のレビュー

PAIN OF SALVATION / Remedy Lane

2002,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンド PAIN OF SALVATIONの2002年4thアルバムRemedy Lane。

パッド系シンセの静かな序盤から苦悩を感じさせるヘヴィなパートに移行する、アルバムのイントロダクション的なナンバー#1。
ダークでヘヴィな音像をバックに、ダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)がエモーショナルに歌い、弾く印象的なメロディが耳から離れない#2。
ギターとピアノがユニゾンで奏でる5拍子の精神分裂気味メロディのリフを軸に展開する#3。突如メロディアスになるサビにおけるピアノやギターのミュート・フレーズも5拍子の周到さ。
様々な表情を見せる歌唱が演出する叙情パートや爽快なパートを内包しつつ、キャッチーなサビ以外は基本的に7拍子で進行する#4。
クリーンなアルペジオをバックにしたマイルドな前半から、後半は激しさも加えた歌唱に展開する#5。
枯れたトーンのギターによって提示された悲痛なテーマ・メロディを徐々に力強く発展させていく#6。
16分音符の2拍目にアクセントを持ってくる特異なリフで耳を釘付けにし、その後リズムもキーも全く違うブリッジ・パートを挿入し意外な展開を見せるプログレッシブ・チューン#7。
エスニックなフレーバーをまぶしたフォークロア風ナンバー#8。
クリーンなエレキによるクラシック・ギターのようなフレージングが叙情を運ぶ前半、アルペジオがウラ打ちのリズム・トリックを使用している後半とギターがメインのインストゥルメンタル#9。
#1の右チャンネルにかすかに聴こえていたシンセのシーケンス・フレーズを発展させたようなインストゥルメンタル#10。
心地良い3拍子に乗せて歌唱パート中心に進行する、キャッチーな中にも深遠なムードの#11。ギター・ソロがエモーショナル。
抑えた歌唱が胸を打つ、メロディアスな感動の叙情バラード#12。
変拍子も交えて淡々と時にプリミティブな激情も迸らせるヴァースと、メランコリックなサビを対比させながら壮大に紡がれた10分近くの大曲#13。

ダークなムードや時折見せるアグレッションはヘヴィ・メタルのそれでありながら、実の所はディストーション・ギターも控え目だし、充分にテクニカルでありながらサーカスのようなこれ見よがしの超絶アンサンブルに頼る事も無い。
所々に仕掛けたリズムのトリックや予想不可能な意外な展開などで音楽的深みとインテリジェンスを醸し出す、どちらかというと王道プログレッシブ・ロックに近づいた作風。
そんな事もあって、同郷の現代プログレの旗手FLOWER KINGSのロイネ・ストルトとダニエル・ギルデンロウの交流も進んで行ったんでしょうか。
ダニエル・ギルデンロウは作詞作曲、アートワーク、個人的なものに基づいた重いコンセプト、ミックスにプロデュース、と全てにその才能を発揮しております。

Track List

1. Of Two Beginnings
2. Ending Theme
3. Fandango
4. Trace of Blood
5. This Heart of Mine (I Pledge)
6. Undertow
7. Rope Ends
8. Chain Sling
9. Dryad of the Woods
10. Remedy Lane
11. Waking every God
12. Second Love
13. Beyond the Pale

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