カナダのプログレッシブ・ロック・バンドRUSHの19thアルバムClockwork Angels。
2010年のタイム・マシーン・ツアーで披露されていた#1,#2を含む、スチームパンクと錬金術に基づいたコンセプト・アルバム。
#4,#6,#9などでストリングス・セクションが付加されているものの、ギミックは最小限。ライブでの再現を想定したであろう、リフを中心に構築されたストレートな楽曲が中心となっている。
ただし、リフの音使いは比較的オールド・スクールでありながら、キャッチーな歌メロを軸に、広がりのあるバッキング・ギター、硬質なベースと重いドラムが一体となり、時折挿入される変拍子も交えてソリッドで開放的な現代的RUSHサウンドに昇華している所が素晴らしい。
思索風味が入った#1、スティックでのカウントからバンド一丸となり怒涛のヘヴィ・パートに突入する#3、エキゾチックなムードを交えた#4やスリリングな#10などのエネルギッシュなファスト・チューン等々、インテリジェンスとエモーションのどちらにも訴えるカッコ良さ。
#9に代表される抜群の抜けの良さを持つアレックス・ライフソン(G)のギター、リフで主導する#6やランニングするフレーズが印象的な#10でのゲディ・リー(B/Vo)のベース、様々なフィルとヘヴィなヒットで楽曲を牽引するニール・パート(Dr)のドラムと、個々のプレイにも思わず耳に残るフックが満載。
時刻で2112を暗示したカヴァー・アートはRUSHの他、近年のDREAM THEATER作品などの仕事でも有名なヒュー・サイム。