ALL ABOUT EVE のレビュー

ALL ABOUT EVE / All About Eve

1987,UK

紅一点のジュリアンヌ・リーガン(Vo)を擁する英国の4人組ロックバンドALL ABOUT EVEの1987年1stアルバムALL ABOUT EVE。

元YARDBIRDSのポール・サミュエル・スミスがプロデュースしてます。サイケ、フォークなどを幅広く包含しつつもキャッチーなメロディを有した音楽性は非常にポピュラリティのあるものです。
その多彩なバックグラウンドの源泉となっているのがティム・ブリッチェノ(G)。ソングライティングは勿論、モジュレーション系エフェクトをうっすらと掛けた独特のエレキによるカッティング、トラッドの影響も感じさせるアコギのアルペジオ、など曲調に合わせた引き出しの多いプレイでサウンドの土台を支えています。そこにジュリアンヌの憂いを秘めた美声による歌唱が乗ることで、冷ややかな湿り気を帯びたALL ABOUT EVE独特の個性が確立されています。

軽快な中にもサビが胸キュンなロックン・ロール#1。
ヴァイオリンをゲストに迎えエキゾチックなムードを醸し出すフォーク#2。
ゴシックなムードの序盤と開放感あるサビの起伏が堪らない#3。
アコギのミステリアスなアルペジオが美しいマイナーな叙情フォーク#4。
メロディックなゴシック・チューン#5。
モーダルな旋律が独特のムードの#6。サビのコーラス・ハーモニーが美しいエピック・チューン#7。
霧のようなストリングスをバックにジュリアンヌがモーダルな響きの歌唱を聴かせる#8。叙情POPな#9。
ピアノとストリングスが翳りを醸成する#10。
アコギがリードしリコーダーが美しく絡むトラッドっぽい雰囲気の#11。
アコギのコード・カッティングをストリングスとコーラスによるオブラートが包み込み幻想的なムードを湛えた#12。
ゴシックな質感を持つロックな#13。
叙情的にラストを締めくくる#14。

等々、陰影を帯びたフック満載の展開でプログレッシブに迫る全14曲。

Track List

1.Flowers in Our Hair
2.Gypsy Dance
3.In the Clouds
4.Martha's Harbour
5.Every Angel
6.Like Emily
7.Shelter from the Rain
8.She Moves Through the Fair
9.Wild Hearted Woman
10.Never Promise (Anyone Forever)
11.Apple Tree Man
12.What Kind of Fool
13.In the Meadow
14.Lady Moonlight

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ALL ABOUT EVE / Scarlet and Other Stories

1989,UK

歌姫ジュリアンヌ・リーガン擁する英国のロック・バンドALL ABOUT EVEの1989年2ndアルバムScarlet and Other Stories。

ティム・ブリッチェノ(G)がタイトル曲#4や#6でのアコギによるブルージーなアプローチ、メロディック叙情チューン#2,#8でのエレキによるメロディアスなプレイ等々、幅広いスタイルで才能を発揮しています。
そしてそれらの集大成が不滅のメランコリック・ゴシック・エピック・チューン#5。時代を超越した名曲です。メロディアスでいて風変わりなメロディ、ストリングスの冷ややかな質感、ジュリアンヌも繊細なコーラスのオーバーダブとか、かなりがんばってます。

ニュー・ウェイブやゴシック・ロックにカテゴライズされがちなALL ABOUT EVEですが、ジュリアンヌの少し鼻にかかった可憐な歌唱とトラッドやサイケのルーツを感じさせる楽曲の存在でプログレ・ファンにも評価が高い1枚です。

Track List

1. Road to Your Soul
2. Dream Now
3. Gold and Silver
4. Scarlet
5. December
6. Blind Lemon Sam
7. More Than the Blues
8. Tuesday's Child
9. Pieces of Our Heart
10. Hard Spaniard
11. Empty Dancehall
12. Only One Reason
13. Pearl Fisherman

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ALL ABOUT EVE / Touched by Jesus

1991,UK

英国の4人組ロックバンドALL ABOUT EVEの1991年3rdアルバムTouched by Jesus。

ジュリアンヌ・リーガン(Vo)と恋仲だったソングライターのティム・ブリッチェノ(G)が恋の破局とともに傑作2ndアルバム”Scarlet and Other Stories”を最後に脱退。バンドは存続を危ぶまれましたが、オーストラリアのサイケ・バンドTHE CHURCHのマーティ・ウィルソン・パイパー(G)がTHE CHURCHとの掛け持ちでALL ABOUT EVEに加入、早速ソングライティングにも関わり新風を送り込みました。
仄かなトラッド風味や湿っぽい叙情味など前作まで存在した要素が大きく減退し、軽やかなポップ・フィーリングがアルバム全体を覆っています。この辺りにはレコード会社からのプレッシャーもあったのかも知れませんが、ジュリアンヌの憂いを含んだ歌声に意外とフィットしていると思いますね。

「あなたのギターの調べと一緒の時しか歌わないなんて言ったのは嘘をついただけ」なんていう強烈な歌詞を含むティムとの日々を揶揄した#2、あれこれと口を挟むレコード会社を批判した#4など題材もファンタジー的なものから現実をテーマにしたものに変化してきています。
そんな中、ゴシックなムードを感じさせる#1や#9、しっとりとした#7や#11等のメランコリックなナンバー、ゲストのヴァイオリンをフィーチャーしたエキゾチックな#10など従来のALL ABOUT EVEらしいテイストの楽曲も存在し、バランス良い仕上がりになっています。
又、#3、#11にはPINK FLOYDのデヴィッド・ギルモア(G)がゲスト参加しております。

Track List

1. Strange Way
2. Farewell Mr. Sorrow
3. Wishing the Hours Away
4. Touched by Jesus
5. Dreamer
6. Share It with Me
7. Rhythm of Life
8. Mystery We Are
9. Hide Child
10. Ravens
11. Are You Lonely

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ALL ABOUT EVE / Ultraviolet

1992,UK

前作”Touched by Jesus”がセールス的に振るわず、レコード会社をフォノグラムからMCAに移籍。プロデュースもバンドのセルフ・プロデュースとなり、勝負を掛けたALL ABOUT EVEの1992年4thアルバムUltraviolet。

サイレンのようなSEがリードするジュリアンヌ・リーガン(Vo)のウィスパー歌唱が衝撃の#1。
モジュレーションを掛けたギターのアルペジオがもたらす浮遊感にウィスパー歌唱が絶妙のマッチングを見せるゴシックなムードの#4。
サビが神秘的な美しさを持つ、沈み込むような#6。
ジュリアンヌがシタールやメロトロンもプレイし、モーダルで独特なムードを醸成する#7。
静と動を行き来し、動のパートでは英国ハード・ロック風ダイナミズムも感じさせる#8。
とても英国的な翳りを湛えた8分超の大作#11。
等、バラエティに富みつつも全体のイメージはアンニュイなムードで統一。
そしてそんな中にもALL ABOUT EVEらしいキャッチーなメロディとフックがキラリと光り、深みを増した音楽性により時代を超越した普遍的な魅力を持ったアルバムに仕上がりました。
しかし、ビデオ・クリップではジュリアンヌが濃い目のメイクに露出度の高いドレスを着用するなど、かなりのイメージ・チェンジと作風の違いで初期からのファンは戸惑ったのか、セールスも芳しく無くバンドは解散してしまいます。

Track List

1. Phased
2. Yesterday Goodbye
3. Mine
4. Freeze
5. The Things He Told Her
6. Infrared
7. I Don't Know
8. Dream Butcher
9 Some Finer Day
10. Blindfolded Visionary
11. Outshine the Sun

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