STACKRIDGE のレビュー

STACKRIDGE / Stackridge

1971,UK

フォークがベースのポップなプログレ・バンドSTACKRIDGEの1971年1stアルバム。

ヴァイオリン奏者、フルート奏者を含む6人組で全編フックのあるキャッチーなメロディーが目白押し。演奏やヴォーカル・ハーモニーといったテクニック面が巧みな上、多彩な楽器構成を活かした絶妙のアレンジが施されており、幅広い引き出しを感じさせる雑多な音楽性と相まって飽きがこないアルバム構成となっています。それを象徴するのが、トラッドっぽい神秘的なアコギのアルペジオから始まり、ブギー、メキシカン・ロックと怒涛の展開を見せる#3。
フィドルがリードしハーモニウムも加わって田園ムード全開の#4をはじめ、歌モノは楽しいフォーク主体。
チェロやフルート、アコギが奏でる田舎の室内楽といった趣のプログレッシブなインスト曲#5では、弦による重厚なリフがシリアスでヘヴィな質感をも演出するなど、バンドの別の顔を見せるのがおもしろい。
ラストの#9は叙情的な前半とアバンギャルドな中間部、重厚な後半からなる集大成的な14分超の大作で、バンドとしてのポテンシャルを感じさせます。

Track List

1.Grande Piano
2.Percy the Penguin
3.Three Legged Table
4.Dora the Female Explorer
5.Essence of Porphyry
6.Marigold Conjunction
7.West Mall
8.Marzo Plod
9.Slark

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STACKRIDGE / The Man in the Bowler Hat

1973,UK

田園のBEATLESことSTACKRIDGEの1973年3rdアルバムThe Man in the Bowler Hat。

本家BEATLESでお馴染みのジョージ・マーティンがプロデュースし、#2,#4,#7,#10ではオーケストレーションも担当。それもあってか、従来の田園フォーク的な親しみやすいアレンジもより洗練され、洒落たサウンドに進化。しかし、ユーモラスでほのぼのとしたニュアンスも健在。
これら新旧のテイストが高次元で融合した#3では、甘くて切ないサビがもう病みつきになるくらい強力。コーラスが又良い。全員が歌えるバンドならではで、曲によってボーカルをとる人が代わったり、フルートやヴァイオリンの楽しいアレンジも手伝って、いつ聴いても新鮮で飽きがこないですね。
シリアスなオーケストレーションを聴かせる#10では、うなり、軋むヴァイオリンがハード・ロック並みのド迫力をも醸し出してます。インストゥルメンタルにも定評のあった彼らのポテンシャルがジョージ・マーティンによってさらに引き出された感じでしょうか。

Track List

1.Fundamentally Yours
2.Pinafore Days
3.Last Plimsoll
4.To the Sun and the Moon
5.Road to Venezuela
6.Galloping Gaucho
7.Humiliation
8.Dangerous Bacon
9.Indifferent Hedgehog
10.God Speed the Plough

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STACKRIDGE / Extravaganza

1974,UK

前作から大幅にメンバー・チェンジした田舎のBEATLESことSTACKRIDGEの4thアルバムExtravaganza。

レトロなムードのホンキートンク・ピアノのフレーズで幕を開けるポップで楽しい#1。クラリネットのオブリガードが印象的。
ほのぼのムードの中、田舎のダンスパーティ風フィドルのソロを盛り込んだ#3。
イナたくも甘酸っぱいメロディが素敵な#4。
捻りのある展開が耳に残る#5。
アップテンポと朴訥なボーカルの意外性が絶妙にマッチした#6。
グルーヴィなリズムに乗せた70年代クロスオーバー風のインスト#7。リズムのキメでのタイトなアンサンブル、フォークロア風メロディを取り入れての起伏などアレンジも凝っていてカッコ良い。
一時期バンドに在籍していたゴードン・ハスケル作の#8。ブルーズ・ロックをベースにした英国的翳りのあるセンチメンタルなナンバー。サビメロのどこか東洋的なエキゾチックさも非常に印象に残ります。
クールかつ牧歌的なインストゥルメンタル・ナンバー#9。
サックスと木琴によるユニゾンのメイン・メロディ、女性ボーカルのスキャット、スリリングで複雑な展開など、キャッチーかつテクニカルなインスト#10。

#1~#6のアナログA面でのポップで楽しい歌モノと、#7以降のインスト中心のクールでカッコ良い楽曲群の両極端が共存した雑食のSTACKRIDGEらしいアルバム。本作のみ参加のロッド・ボウケット(Key)がインスト曲の作曲から洒落たピアノ演奏まで良い仕事をしています。

Track List

1. Spin Round the Room
2. Grease Paint Smiles
3. The Volunteer
4. Highbury Incident (Rainy July Morning)
5. Benjamin's Giant Onion
6. Happy in the Lord
7. Rufus T. Firefly
8. No One's More Important Than the Earthworm
9. Pocket Billiards
10. Who's That Up There With Bill Stokes?

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STACKRIDGE / Mr.Mick

1976,UK

STACKRIDGEの1976年5thアルバムMr.Mick。
ミックという人物をテーマにしたコンセプト・アルバム・・・のはずだったんですが、前作から所属していたロケット・レコードの圧力でBEATLESのカヴァー#1をトップに収録させられたり、選曲や曲順に関してもかなりいじられたようです。

ゆったりとしたピアノとコーラスが環境音楽のようなムードを醸し出す中、エキゾチックなサックスのプレイが強烈なアクセントとなった#2。
#2ラストのナレーションから繋がったピアノのリズミカルなリフが印象的な#3。
シンセを中心としたSEからメロトロンの東洋的メロディに移行する#4。
ホンキートンク風ピアノとサックスがのどかなムードを演出する#5。
繊細なボーカルをフィーチャーした前半、ハープシコードや滑らかなクラリネットが上品で落ち着いたムードの後半に分かれる端整なワルツに乗った#6。
雫が滴り落ちるようなアンビエントなピアノが神秘的な冒頭から、メロトロンの洪水の中盤を経て物悲しいサックスで盛り上がるドラマティックな#7。
と、ここで突如軽いムードに英国的捻りを加えた#8が登場。何か違和感あるなー、と思っていたら2000年にバンドがリリースしたオリジナル版では、これが1曲目になってました。
洗練されたピアノの旋律にクラリネットのメイン・フレーズが絡むイントロダクションからペーソス感漂うボーカル・パートに発展する#9。

前作から参加した元AUDIENCEのキース・ゲメル(Sax/Cla)が要所で印象に残る味わい深いプレイを披露。AUDIENCE時代は彼のプレイが楽曲のカラーを決定付けていたくらいですからね。又、元GREENSLADEのデイヴ・ローソン(Key)の参加やヴァイオリン・プレイヤーをゲストで賄うなど、サウンドは益々鍵盤中心のプログレッシブ・ロック寄りになってきましたが、セールスが振るわずバンドは解散してしまいます。

Track List

1. Hold Me Tight
2. Breakfast with Werner Von Braun
3. Steam Radio Song
4. Dump
5. Save a Red Face
6. Slater's Waltz
7. Coniston Water
8. Hey! Good-Looking
9. Fish in a Glass

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