VAN DER GRAAF GENERATOR のレビュー

VAN DER GRAAF GENERATOR / H to He Who Am the Only One

1970,UK

ピーター・ハミルによる人間の内面を深く抉る独特の歌詞世界をオルガンとSAXを中心としたバンド・アンサンブルで包み込むように表現したVAN DER GRAAF GENERATORの3rd。

あくまでもボーカルが軸でありながらも、インストパートでは時に狂気を孕んだかのようなフレーズを聴かせるデヴィッド・ジャクソンのSAXやフルートがサウンドの主要なキャラクターを担っています。英国的な翳りのある#2,#3での叙情とアグレッションの見事な場面転換もこの人のSAXとフルートが主導し、他に類を見ない独特のブリティッシュ・ロックを構築。その孤高性に賛同したのか、KING CRIMSONのロバート・フリップがゲスト参加。#3中間部で硬質かつクールなフレーズを決めてます。12分超えの#5でもSAXが大活躍。アバンギャルドな中間部ソロとボーカル部バックでの熱病にうなされているかのようなフレーズがトリップ感抜群でハマります。一般的にプログレッシブ・ロックの範疇で語られるバンドですが、その音楽性は型通りのプログレとは一線を画す非常にユニークなものです。

Track List

1. Killer
2. House With No Door
3. Emperor In His War-room
4. Lost
5. Pioneers Over C

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VAN DER GRAAF GENERATOR / Pawn Hearts

1971,UK

VAN DER GRAAF GENERATORのサウンドは非常にユニークです。和音楽器は鍵盤(オルガンとピアノ)とほぼコードカッティングのみのアコギ。その他SAX or フルートのみ、というシンプルな構成でいながらにしてのこのシンフォニックさ。サウンドの鍵はオルガン、SAXがピーター・ハミルの歌メロをユニゾンでなぞって行く事による音の層の厚さ。そして、押しと引きのドラマティックな構成美。そこに突如、不条理アバンギャルドなインストパートが絡む事で唯一無二のサウンドが醸成されるんです。この4thアルバムは、そんな独特の個性が大作3曲というフォーマットで遺憾無く発揮された傑作です。アコギとフルートの幽玄な調べが導入部のボーカルを導く#1。一転してSAXの攻撃的なリフにオルガン、続いてボーカルと次々とユニゾンで厚みを帯びる所がゾクゾクしますね。インクルードされた、5分半位からの引き摺るようなSAXが主導する不条理インストパートと清廉なボーカルパートの対比も見事です。#2では、ピアノとオルガンによる伴奏が印象的で英国っぽい端正な序盤から狂気のような中間部アバンギャルド・パートへの流れが、他の追随を許さない独創性に溢れています。この落差が効いて、再び端正なパートに戻る頃には神々しささえ湛えるようになっています。そしてそこに再び切り込んでくるヘヴィなSAX。これほどまでに対照的な要素を1曲の中に共存させるセンスがもうぶっ飛んでます。#3は23分超の組曲形式。シアトリカルなボーカル・パフォーマンスとそれを最大限に際立たせるアレンジ。そして、シンフォニックな美とカオティックな混沌パートのスムーズな融合。これら豊富すぎるアイディアをまとめあげるという困難な作業を、抜群なストーリーテリングぶりで達成した奇跡の大作です。このユニークなサウンドと予測不能な展開、誰にも真似できませんね。

Track List

1. Lemmings (Including Cog)
2. Man-Erg
3. A Plague of Lighthouse Keepers
a)Eyewitness
b)Pictures
c)Lighthouse
d)SHM
e)Presence Of The Night
f)Kosmos Tours
g)(Custard's) Last Stand
h)The Clot Thickens
i)Land's End
j)We Go Now

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VAN DER GRAAF GENERATOR / Still Life

1976,UK

1972年に一旦解散し1975年に再結成したVAN DER GRAAF GENERATORの再結成後第2弾となる6th。

ドラマティックに盛り上がるメロディアスな#1。暗い叙情を湛えた序盤から力強い中盤に発展し、静かに収束する#2。オルガン、サックス、ボーカルが一体となって重厚に展開する#3。タメとトーン・コントロールが見事なサックスが滑らかにリードする静かな#4。様々な表情を見せるボーカルを様々な音色のオルガンを軸に管を絡めてタイトにサポートしながら展開する#5。と、12分超の#5をはじめ、全て7分以上の長尺曲で構成された力作に仕上がってます。初期の暴力的とも言える突拍子も無い楽曲展開は鳴りをひそめ、すっかり端整でドラマティックな音楽性に変化。凄みを増したピーター・ハミル(Vo/G)のシアトリカルなボーカルをオルガンやサックスあるいはフルートが支える構図は不変ながら、楽曲展開上のカギを握っていたデイヴィッド・ジャクソン(Sax/Fl)のプレイが大人のムードを漂わせた整合性あるものに変化しており、例えば#5終盤のちょっとした混沌パートなどは以前ならアナーキーにどんどん発展させて行った所ですが、今や巧みに計算されコントロールされたアンサンブルとなっています。

Track List

1. Pilgrims
2. Still Life
3. Rossa
4. My Room (Waiting for Wonderland)
5. Childlike Faith in Childhood's End

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