WOBBLER のレビュー

WOBBLER / Rites at Dawn

2011,NORWAY

ヴィンテージ楽器のみで勝負するノルウェーのプログレッシブ・ロック・バンド WOBBLERの3rdアルバムRites at Dawn。

神秘的なイントロダクションの#1。
硬質でクールな7拍子リフに絡むメロトロン、YESの躍動感やGENTLE GIANT風コーラスなど70年代プログレの薫りを纏いつつ、各楽器が緻密に絡みつくアレンジとタイトな演奏力に現代的なインテリジェンスとテクニックも感じさせる#2。
ドライブするベース、シンセとギターのハーモニー、エレピやオルガン、シンセなど場面ごとに異なる多彩な鍵盤など、アンサンブルの妙を緩急と静動の起伏を付けた絶妙の展開で活かした12分超のプログレ大作#3。
アコギの7拍子アルペジオにフルートやメロトロンが絡む幽玄なパート、ピアノがリードするクールなジャズ風リフ、軋んだメロトロンがANGLAGARDANEKDOTENを彷彿させる北欧的慟哭激情メランコリー・パートなど、異質な要素を巧みに切り替えるドラマティックな#4。
トレモロ効果を持つ骨董楽器マクソフォンを使用した静かなイントロからメロトロンが唸る疾走パートに移行する#5。
ギター、ベース、サックスによる怒涛のユニゾン、メロトロンがむせび泣くメロウなパート、開放感あるテーマ・メロディ及びドラマティックなサビを持つ感動的な#6。
グロッケンをフィーチュアした神秘的なアウトロで#1に繋がる#7。

様々に展開しながらもやりっ放しで終わらず、きっちりと落とし所を用意した考え抜かれたアレンジ、それを可能にするプレイヤーの技量、ヴィンテージ・キーボードを活かしたダイナミクスある楽曲展開が魅力的なヴィンテージ・タイプのプログレ。
ボーカルはジョン・アンダーソン風なところもあるが、平坦で無機質なため表現力という部分では若干マイナスも、そのB級感が故の70年代っぽさで逆に奏功している。

Track List

1. Ludic
2. La Bealtaine
3. In Orbit
4. This Past Presence
5. A Faerie's Play
6. The River
7. Lucid Dreams

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WOBBLER / From Silence to Somewhere

2017,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・ロック・バンド WOBBLERの4thアルバム。

フォークロアなテイストやメロトロンがフックとなる抒情~激情歌唱パートを中心に、木管までもが唸りを上げる攻撃的器楽パートを内包したエピック・チューン#1。
ダークな抒情インストゥルメンタル小品#2。
エナジードリンクを注入したYESのようなアグレッシブなバンド一体器楽パートで度肝を抜く序盤から、メランコリックな歌唱パートではパーカッシブなオルガンが静かに、盛り上がるにつれファズを効かせたギターやベースという具合に各楽器がテーマを継承して起伏を演出する#3。勿論、白玉メロトロンはダダ漏れ。
アコギやグロッケン、木管等で静かに紡ぐアンサンブルが幽玄からドリーミングまで様々な表情を醸し出し、エレクトリック楽器がパワーを付加してそれを継承。北欧フォークロアも薫る#4。

Hammond C3, Mellotron, Minimoog Model D, Chamberlin, Hohner clavinet, Rhodes MKII, spinet, ARP Axxe/Pro Soloist, Solina String Ensemble, optigan, Wurlitzer 200, Marxophone, grand piano等のヴィンテージ楽器を惜しげもなく動員し、YES風の硬質アンサンブルを聴かせる。
普遍的なメロディの質が不足しているところは特徴的な土着メロディで補いつつ独自性を出しており、ヴィンテージ楽器のトーンとの相乗効果で強く印象に残る。

Track List

1. From Silence to Somewhere (20:59)
2. Rendered in Shades of Green (2:05)
3. Fermented Hours (10:10)
4. Foxlight (13:19)

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WOBBLER / Dwellers of the Deep

2020,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・ロック・バンド WOBBLERの5thアルバム。

オルガンを中心にメロトロンやピアノでリードする鍵盤を軸に、オルガンのリフに絡みつくようなギターをはじめバンド全体がタイトに進行する#1。
厳かなオルガンとコーラスで幕を開け、躍動する歌唱パート、オルガンとギターのスリリングなハーモニーなど、疾走感がカッコよい#2。
穏やかなアコギに妖しいメロトロンの白玉がアクセントで効いたまどろみフォーク#3。
エキゾチックなミステリアスさを湛えたメロディを緩急交えたアンサンブルで支え、不穏なムードを演出する大曲#4。

縦横無尽なアナログ楽器の薫りと緻密な演奏アンサンブルから硬質な印象を受けるが、#1後半にみられる北欧フォークロア風メロディや垢抜けない歌唱で中和してWOBBLER独特のヴィンテージ・サウンドを展開している。

Track List

1. By the Banks (13:49)
2. Five Rooms (8:28)
3. Naiad Dreams (4:24)
4. Merry Macabre (19:00)

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