ギター・ヒーロー のレビュー

UFO / Phenomenon

1974,UK

英国のハード・ロックバンドUFOの1974年3rd。

失踪したオリジナル・メンバーのミック・ボルトンに代わり、今作からギターがドイツ人のマイケル・シェンカー(ex.SCORPIONS)に。フォーキーな味わいの#2、#7やオーソドックスなロック・チューン#6、ブルーズのカヴァー#8と雑多な楽曲群が混在している所に試行錯誤の後も見られますが、フィル・モグ(Vo)のヴィブラートや歌いまわし、マイケルの艶のあるギター・サウンドは既に独特の個性を感じさせます。端整なインストゥルメンタル#9にはマイケル独特のヨーロッパ的翳りのあるマイナー・メロディも。そんな中異彩を放つのが、後々UFO及びマイケル自身の代表曲となる名曲#3,#5。これらの曲で見せた叙情性とハード・ロック的様式美が、UFOを他とは一線を画す存在たらしめます。独特な構図が印象的なジャケット・アートはヒプノシス。

Track List

1. Too Young to Know
2. Crystal Light
3. Doctor Doctor
4. Space Child
5. Rock Bottom
6. Oh My
7. Time on My Hand
8. Built for Comfort
9. Lipstick Traces
10. Queen of the Deep

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JEFF BECK / Blow by Blow

1975,UK

JEFF BECK GROUP、BECK,BOGERT&APPICEといったロック・バンドを経てジェフ・ベック(G)がリリースしたインストゥルメンタル・アルバム1975年作Blow by Blow。
BEATLESの仕事で有名なジョージ・マーティンがプロデュースとオーケストラのアレンジを担当。

旧友マックス・ミドルトン(Key)によるクラビネットのバッキングがファンキーな#1,#3。
ジェフによるトーキング・モジュレーターで有名なBEATLESのカヴァー#2。
テンポ・ダウンしてからのメロウなソロが艶っぽいフュージョン・ナンバー#4。
9/8拍子のスリリングなリフとそこから開放された伸びやかなソロが心地良い#5。
冒頭のボリューム奏法をはじめとしてチョーキングひとつひとつにも絶妙のトーン・コントロールが施された#6。
オクターヴァーをかけたヘヴィなテーマ・メロディが印象的な#7。
アーミングを活用したテーマ・メロディがシャッフルのリズムに乗った楽しい#8。
ストリングスが美しいしっとりとしたミステリアスな5拍子のナンバー#9。

一般リスナーも楽しめるキャッチーなメロディが紡がれる裏で、フレージングやトーン、特殊奏法、エフェクター活用の先進性でギタリストにとって永遠のバイブルとなった名作です。

Track List

1. You Know What I Mean
2. She's A Woman
3. Constipated Duck
4. Air Blower
5. Scatterbrain
6. Cause We've Ended As Lovers
7. Thelonious
8. Freeway Jam
9. Diamond Dust

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GARY MOORE / Back on the Streets

1975,UK

クレイジーな早弾きとメロディアスなフレージングでお馴染みのゲイリー・ムーア(G)の1stソロ・アルバムBack On The Streets。

イントロの超高速16分音符が往復ビンタ並みの破壊力を持つTHIN LIZZY風ハード・ロックな#1。
THIN LIZZYの楽曲を盟友フィル・ライノットとのツイン・ボーカルでスローにアレンジした#2。
曲中にドイツ国歌のメロをさりげなく挿入し皮肉ったハード・ロックな#3。
と、THIN LIZZYの名盤Black Roseと同時期の作品だけあって、ここまではTHIN LIZZYにも通ずるカッコ良いハード・ロック路線。
そして突如インストゥル・メンタルのジャズ・ロック#4。
バックのメンツもそれまでの3曲がLIZZYのメンバーで固められていたのとはうって変わり、ジョン・モール(B)、ドン・エイリー(Key)というCOLUSSEUM II繋がりに、サイモン・フィリップス(Dr)を加えたスゴ腕なメンツがドラマティックかつ壮大でテクニカルなジャズ・ロックを展開。
ゲイリー自身は多分ジェフ・ベックみたいな事をやりたかっただけだと思うが、そこら辺のハード・ロックの100倍は熱いゲイリーのプレイが、ジャズとかロックとかのジャンル云々を超越してキッズのハートを鷲掴みに。
そして続くアップ・テンポな#5とゲイリーのコンテンポラリーなセンスを表現する#6、ファンキーな#7もこのメンツ。
#5ではドンとゲイリーのバトルが手に汗握ります。
#6のアーミングによるヴィブラートはゲイリー独特の繊細なタッチ。
そしてこのアルバムのもうひとつのハイライトがラストの#8。
抑えたトーンで泣きまくるゲイリーの名演中の名演。
ちょっとしたグリッサンド・ノイズとかタメとか超ロング・トーンとか、派手な早弾きの対極にあるエモーショナルな味わいもまた素晴らしい。バックのマンドリンも良いですね。

Track List

1. Back On The Streets
2. Don't Believe A Word
3. Fanatical Fascists
4. Flight Of The Snow Moose
5. Hurricane
6. Song For Donna
7. What Would You Rather Bee Or A Wasp
8. Parisienne Walkways

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RAINBOW / Ritchie Blackmore’s Rainbow

1975,UK

元々はDEEP PURPLEのツアーの合間にリッチー・ブラックモア(G)がアメリカのバンドELFのメンバーをバックに制作したソロ・アルバムですが、RAINBOWの実質的な1975年1st。

DEEP PURPLE在籍最後のスタジオ・アルバムとなったStormbringerのレコーディング時に、QUATERMASSの#3をカヴァーする事を提案したリッチーのアイディアがメンバーから却下された事でリッチーの気持ちがDEEP PURPLE脱退に傾いた、というのが歴史上の通説です。が、本当はデイビッド・カヴァデールやグレン・ヒューズらが台頭しDEEP PURPLE内で求心力を失いつつあったリッチーがダダをコネただけなような気がしますね。

得意のキー=Gによるリフとクラシカルなアルペジオ、ロニー・ジャイムズ・ディオ(Vo)の堂々とした歌唱が後の様式美RAINBOWのプロトタイプとも言える#1。DEEP PURPLE時代の譜割がキレイなフレーズから一転して、フィーリング重視の独特なタイム感のソロが印象的です。
前述の曰く付きの#3はヘヴィ・サイケ風のオリジナルに比べると軽いキャッチーな仕上がり。#7にしてもそうですが、こういうリラックスしたロックン・ロールも”ソロ・アルバム”ならではな感じです。
叙情的な#4ではリッチーのボトルネック奏法によるメロウなソロが楽しめます。うっすらと叙情を醸し出すメロトロン風なストリングスもナイスです。
メロウな#6はロニーの抑揚の効いた歌唱がクラシカルな世界を気高く表現。

ロニーは、幅広く歌いこなす力量と、リッチーと共作した中世志向ハード・ロック#8のソングライティングで、完全にリッチーの信頼を獲得。次作から吹き荒れるリッチーの粛清の嵐を生き延び、ハード・ロック界随一のシンガーとして我々ファンに素晴らしい音楽を届けてくれることになります。

Track List

1. Man on the Silver Mountain
2. Self Portrait
3. Black Sheep of the Family
4. Catch the Rainbow
5. Snake Charmer
6. The Temple of the King
7. If You Don't Like Rock 'n' Roll
8. Sixteenth Century Greensleeves
9. Still I'm Sad

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RAINBOW / Rising

1975,UK

リッチー・ブラックモア(G)がDEEP PURPLEを脱退して結成したRAINBOWの1976年2ndアルバムRising。

前作がバック・バンドにELFを従えたソロ・アルバム風なテイストだったので、バンドとしては本作が実質1枚目と言えるでしょう。ロニー・ジェイムス・ディオ(Vo)以外のメンバーは全員解雇され、コージー・パウエル(Dr)、トニー・カレイ(Key)、ジミー・ベイン(B)という歴代最高のメンツが揃い、様式美ハード・ロックの古典ともなった名曲・名演が収録されています。

トニーのポルタメントを効かせたモーグによるミステリアスでスペイシーなイントロからドラマティックにギターのリフが切れ込んでくる#1。
ロニーの圧倒的な歌唱とコージーの独特のタイム感を持ったフィルインが単なるブルーズ・ロックをRAINBOW流ハード・ロックに昇華させた#2。
RAINBOWがやるシャッフル・ナンバーの典型ともなった#3。
キャッチーでストレートなハード・ロックにコージーのドラミングが映える#4。
そしてアナログB面となる#5、#6はセットで壮大な叙事詩となっています。
独特のシンコペーションがカッコ良いコージーによる怒涛のドラミングで幕を開ける#5はオリエンタルなムードを挿入し壮大な世界を描ききったRAINBOW流様式美の1つの頂点。
続く#6はジミーのナイスなオブリガード、コージーのツ-バスがドライブ感抜群にボトムを支え、トニーのアグレッシブなシンセ・ソロからギターとのクラシカルなハーモニーを経てリッチーのソロへ、そして再びクラシカルなハーモニーで絶頂を極める王道のハード・ロック。

DEEP PURPLE時代と比較してより緻密になったアレンジとそれでいて個性を発揮できるスゴ腕のミュージシャン、独特の世界観を表現可能なロニーの歌唱力を得てリッチーの目指したハード・ロックが完成した歴史に残る名盤です。

Track List

1. Tarot Woman
2. Run With the Wolf
3. Starstruck
4. Do You Close Your Eyes
5. Stargazer
6. Light in the Black

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JEFF BECK / Wired

1976,UK

天才ジェフ・ベック(G)がフィードバックまでも平然と自在に操る#1から全開の、よりロックな1976年作Wired。

ヤン・ハマー(Key)のベンダーを駆使した「ギタリスト」っぷりも後進に多大な影響を及ぼしている。ギターのトーンを曲に応じて7色に変化させながらも全てがジェフ・ベック以外の誰でもない、というところが既に奇跡。

Track List

1. Led Boots
2. Come Dancing
3. Goodbye Pork Pie Hat
4. Head for Backstage Pass
5. Blue Wind
6. Sophie
7. Play With Me
8. Love Is Green

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RAINBOW / On Stage

1977,UK

1976年の日本公演、ヨーロッパ・ツアーからの音源で構成されたRAINBOWのライブ・アルバムOn Stage。

様式美ハード・ロックを極めた後のスタジオ・バージョンよりもライブならではのカッコ良さが際立つ#1を含め、黄金メンバーの演奏が楽しめます。

Track List

1. Kill the King
2. Medley: Man on the Silver Mountain / Blues / Starstruck
3. Catch the Rainbow
4. Mistreated
5. Sixteenth Century Greensleeves
6. Still I'm Sad

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UFO / Lights Out

1977,UK

英国のハード・ロック・バンドUFOの1977年作。

ポール・レイモンド(Key/G)が加入。全体的によりハード・ロックっぽくなりドラマティックな構成力も増強。美しい#3ではマイケル・シェンカー(G)ならではのメロディアスなソロが聴けます。最大の聴き所はハモンドのグリッサンドが印象的なドライブ感満点のカッコ良いハード・ロック・チューン#4やプログレッシブかつドラマティックな#8でしょう。ポールのもたらした要素がバンドを数段レベル・アップさせると共にマイケルを大いに刺激、神レベルの魂全開激情プレイが炸裂しております。

Track List

1. Too Hot to Handle
2. Just Another Suicide
3. Try Me
4. Lights Out
5. Gettin' Ready
6. Alone Again Or
7. Electric Phase
8. Love to Love

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RAINBOW / Long Live Rock ‘n’ Roll

1978,UK

パリの古城でレコーディングしたというRAINBOWの1978年3rdアルバムLong Live Rock ‘n’ Roll。

脱退したジミー・ベイン(B)、トニー・カレイ(Key)に代わりボブ・デイズリー(B)、デヴィッド・ストーン(Key)が加入したものの、既にレコーディング済の素材にはリッチー・ブラックモア(G)がプレイしたベース・トラックもあったとか。

得意のシャッフル・ナンバー#1。オープニングにぴったりな勢いある楽曲なんですが、後の曲が超強力なので凡庸に感じますね。RAINBOWらしいメロディが印象的な#2は、単音リフの休符がもたらす音空間にコージーのドラミングが引き立つコンパクトなナンバー。
どっしりしたミディアム・スロウなテンポにロニーのパワフルかつ伸びやかな歌唱が映える#3。
続く#4はアナログA面のハイライト。
ストリング・セクションを加え中近東フレーズを使用したミステリアスなバビロン風ハード・ロック。トーン、フレージング共に素晴らしいリッチーのメロディアスなソロが聴けます。
そしてB面ハイライトは、いきなりの#5。
先にライブ盤On Stageにて披露されていたライブ・バージョンをさらにドラマティックに構成し直した、様式美ハード・ロックの名曲中の名曲。イントロと中間部に配されたクラシカルなハーモニー・フレーズ、ドライブ感満点のカッコ良いリフ、コージー・パウエル(Dr)のシンコーペーションにツーバス、ロニー・ジェイムス・ディオ(Vo)の歌う中世ファンタジーが一点の曇りも無く完璧に融合。#4とともに後世のHR/HMバンドのフォーミュラとなりました。
ブルージーなリフをベースに、ロニーのコブシの効いた歌唱が乗った#6。
RAINBOW流ロックン・ロール#7。
ラストはストラトのクリーン・トーン、リコーダー、フルート、ストリングス・カルテットを絡めたバッキングに、ロニーの抑えた美しいボーカルが加わり中世風叙情を紡ぐ感動的な#8。

RisingのB面のようなエピカルな大作は無くなりましたが、コンパクトな楽曲でもドラマティックな様式美ハード・ロックが可能な事を証明した名盤です。

Track List

1. Long Live Rock 'N' Roll
2. Lady of the Lake
3. L.A. Connection
4. Gates of Babylon
5. Kill the King
6. Shed (Subtle)
7. Sensitive to Light
8. Rainbow Eyes

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UFO / Obsession

1978,UK

英国のハード・ロック・バンドUFOの8th。

控え目でメロディアスなポール・レイモンド(Key/G)のオルガンが効いた、軽快なロックン・ロールにドラマティックなマイケル・シェンカー(G)のギター・ソロを配した#1、ソリッドなハード・ロック#2、素朴なリコーダーにヨーロッパの叙情が薫るマイケル作のインストゥルメンタル小品#3(後にソロ・デビュー作で歌入りのTales of Misteryとしてリメイク)、ハード・ロック然としたリフが牽引する#6、とマイケルがソング・ライティングに絡んだ楽曲では従来のUFOらしいテイストが。
その反面、ストリング・セクションを贅沢に配したドラマティックな#5や、ストリングス、チェンバロ、ハープを加えたポジティブなムードの中にクラシカルなテイストをまぶした#11といったバラードで新機軸を打ち出したり、フィル・モグ(Vo)、ピート・ウェイ(B)による楽曲に冴えが感じられなかったりと、アメリカ市場を意識し過ぎたのかスリリングさや叙情性が大きく後退し、どうも迷いのようなものが感じられる作品に。リリース後数ヶ月するとマイケルはバンドを脱退します。

意味不明なジャケット・アートは勿論ヒプノシス。芸術性よりもインパクト重視で、自己のパロディに陥り始めた頃の作品ですね。

Track List

1. Only You Can Rock Me
2. Pack It Up (And Go)
3. Arbory Hill
4. Ain't No Baby
5. Lookin' Out For No 1
6. Hot 'N' Ready
7. Cherry
8. You Don't Fool Me
9. Lookin' Out For No. 1 (Reprise)
10. One More For The Rodeo
11. Born To Lose

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RAINBOW / Down to Earth

1979,UK

RAINBOWの4thアルバムDown to Earth。

ロニー・ジェイムス・ディオを解雇、ジェームス・ディーンのようなルックスの短髪野郎グラハム・ボネット(Vo)が加入、さらに元ARGENTのラス・バラード作曲のポップな#5を収録するなど、アメリカ市場を狙ったリッチー・ブラックモア(G)の作戦は、キャッチーなラヴ・ソングをバンドに導入する事でした。
プロデューサーとして本アルバムに関わり、最終的にメンバーになったDEEP PURPLE時代の盟友ロジャー・グローヴァー(B)とリッチーの共作である#1からして歌詞が、”I wanna love you all night long”ですから、相当気合を入れてのイメージ・チェンジだったわけです。
ところが、単なるポップ・バンドに堕してしまわない所がリッチーの偉いところ。
ポップな楽曲もパワフルに歌いきってしまうグラハムの脅威の歌唱、RAINBOW歴代の名曲に決してひけを取らないドラマティックな#3やスピーディな#8など、ハード・ロックな要素もハイレベルに同居。
新加入のドン・エイリー(Key/元COLOSSEUM II)も#2でのクラシカルかつドラマティックなソロなど存在感あるプレイで曲を印象深いものにしていたり、コージー・パウエル(Dr)が得意のシンコペーションをキメまくる#8など、円熟したメンバーのプレイも最高。

中世風様式美ハード・ロックだけでは無い、ストレートでキャッチーなRAINBOWへと、バンドの可能性を広げたアルバムとなりました。
コージーとグラハムはこれを最後に惜しくも脱退、RAINBOWはさらに変化していきます。

Track List

1. All Night Long
2. Eyes of the World
3. No Time to Lose
4. Makin' Love
5. Since You Been Gone
6. Love's No Friend
7. Danger Zone
8. Lost in Hollywood

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UFO / Stranger in the Night

1979,UK

ロック史に燦然と輝くUFOの1979年発表のライブ。

全編で熱く神がかりなマイケルのプレイが炸裂。Lights Outでの「ロンドン」をライブ録音会場の「シカゴ」と歌詞を変えて歌った際のオーディエンスのリアクションや、ポールがオルガンからギターに持ち替える瞬間などトリ肌ポイント多数。各曲がスタジオ盤の10倍のカッコ良さと感動をもたらします。ヴォリュームを絞った繊細な#4のイントロ、#7や#9のソロ等々、ここに収録された憑かれたようなマイケルのプレイはもはや常人には再現不能な領域に。

Track List

1. Natural Thing
2. Out in the Street
3. Only You Can Rock Me
4. Doctor Doctor
5. Mother Mary
6. This Kid's
7. Love to Love
8. Lights Out
9. Rock Bottom
10. Too Hot to Handle
11. I'm a Loser
12. Let It Roll
13. Shoot Shoot

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JEFF BECK / There and Back

1980,UK

ジェフ・ベックの1980年作There and Back。

冒頭3曲はヤン・ハマー(Key)との”ギター・バトル”が楽しめます。
#1は当時、ジェフ・ベックがギター・シンセを使用!と話題になってましたが、実際のところはどうなんでしょうか?単にオクターヴァー使ってるだけだったりして。
この頃はジェフもまだピックで弾いていたので、落ち着いた雰囲気の#4では微妙なピッキングのニュアンスもバッチリ堪能できます。
しかし、このアルバムのお楽しみはなんと言ってもB面。
トニー・ハイマス(Key)の超絶ピアノに導かれ、エモーショナルなジェフのハイトーンが胸に突き刺さる#5。導入部から打って変わってノリノリなボトルネックによるメイン・メロディが最高にロックン・ロールしてます。
そしてムーディな#6に続く#7こそが本アルバム最大のハイライト。タイトル通り地球上のものとは思えない、超絶変態高速7拍子ブギーで宇宙感覚を味わえます。さすがの超絶ぶりにジェフのギターも息切れっぽいが、1分18秒を始めそこらじゅうで聴かれるスクラッチ・ノイズだけでも大興奮!ここだけでご飯おかわり3杯イケる位のカッコ良さ。やっぱりギターはカッコ良くなくちゃね。それにしても、宇宙の異次元ビートを平然と叩くサイモン・フィリップス(Dr)と余裕で渡り合うモ・フォスター(B)のリズム隊やトニー・ハイマスのハイテク・ピアノなど凄過ぎ!
絶妙なトーン・コントロールが神の領域の#8でしっとりと幕を引くアルバム構成も最高。

Track List

1. Star Cycle
2. Too Much to Lose
3. You Never Know
4. Pump
5. Becko
6. Golden Road
7. Space Boogie
8. Final Peace

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G-FORCE / G-Force

1980,UK

ゲイリー・ムーア(G/Vo)がTHIN LIZZY脱退後に結成したハード・ロック・バンドG-FORCEの1980年唯一作。

ハード・ロック然としたカッコ良いリフとキャッチーなサビを持つ代表曲#1は、当時BURRN!誌のラジオCMで使用されていました。ソロのフレーズはジョン・サイクスやジョン・ノーラムら、ゲイリーを師と仰ぐ連中が散々パクってますね。
続く#2は、ライブでのソロ・タイムでもお馴染みメチャ弾き無伴奏ギター・ソロからドライヴィンなロックン・ロールになだれ込むメドレー。
と序盤からパワー全開のところを、ソロでは得意の6連上昇フレーズも飛び出すパワー・バラード#3、ストリングスも交えたコンテンポラリーなコード進行を持つ美しいバラード#4でクール・ダウン。
続く中盤戦、クレイジーなギター・ソロが炸裂する#5、ストリングス・セクションによるデコレイトとドラマティックに構築されたギター・ソロが印象的なマイナー・キーの#6はハード・ポップ路線。
さらにポップな、ギター・ソロのハーモニーが美しい#7、サックス・ソロをフィーチャーした#8を挟みラストは、またもやドライヴィンなロックン・ロール#9で締め。

ゲイリー・ムーアの全カタログ中最もメタリックなギター・トーンと最もポップなメロディが楽しめるハード・ロック作品です。あり得ない程にツブれてコンプレッションの掛かったギター・トーンは多分ライン録りによるものと思われます。

Track List

1. You
2. White Knuckles/Rockin' and Rollin'
3. She's Got You
4. I Look at You
5. Because of Your Love
6. You Kissed Me Sweetly
7. Hot Gossip
8. The Woman's in Love
9. Dancin'

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MSG / The Michael Schenker Group

1980,GERMANY

英国のハード・ロック・バンドUFOから失踪したドイツ人ギタリスト マイケル・シェンカー(G)の1stソロ。

バックを固めるメンツは後々腐れ縁のような付き合いとなるゲイリー・バーデン(Vo)を筆頭に、ドン・エイリー(Key)、モ・フォスター(B)、サイモン・フィリップス(Dr)というかなりセッション的性格の濃い、しかし腕は確かな面々。
主役のマイケルの攻撃的で奔放、そして時に構築的で官能的な素晴らしいギター・ワークが味わえるギター・アルバムの逸品。
でありながら、トイ・ピアノのような音色で奏でられる冒頭のメロディからマイナー・キーのメロディアス・ハード・ロックに展開する#2や、長らくスポーツ番組等でのBGMの定番となった勇壮かつクラシカルな泣きのメロディが凝縮されたインストゥルメンタル#6、ドラマティックなエピック・チューン#9など、ストレートなハード・ロック以外にもバラエティに富んだ名曲が楽しめるHR/HM史に残る名盤でもあります。

UFO時代よりさらにストイックなハード・ロック色を強めた#1やその曲中のバッキング・パターンがメインリフに昇格した#3など、メタリックなイメージの楽曲がNWOBHMブームの影響もあってメタル・ファンの支持を集めると共に、クラシカルな欧州叙情を醸し出すインストゥルメンタル#4、当時みんな弾いたギターキッズのアンセム#6、アコギと繊細なエレキのボトルネック奏法で哀愁のメロディを奏でる#8など、無条件に心を打つ美しいメロディの存在がそれまでHR/HMとは無関係の一般人をも巻き込んだ一種の”現象”を起こしました。フライングⅤやワウ・ペダル=クライ・ベイビーもバカ売れ。購入したワウのポットに噛み合わせるギザギザの位置をずらして(すんません、説明かなり端折ってます)マイケル風トーンの研究に勤しんだりもしましたね。
精神的に問題有りといわれていたマイケルが治療を受けるかのような暗喩に満ちたジャケット・アートはヒプノシス。

Track List

1. Armed and Ready
2. Cry For The Nations
3. Victim Of Illusion
4. Bijou Pleasurette
5. Feels Like A Good Thing
6. Into The Arena
7. Looking Out From Nowhere
8. Tales of Mystery
9. Lost Horizons

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OZZY OSBOURNE / Blizzard of Ozz

1980,UK/USA

BLACK SABBATHを脱退したオジー・オズボーン(Vo)のソロ1st1980年作Blizzard of Ozz。

ボブ・デイズリー(B)、リー・カースレイク(Dr)とベテランを配しつつ、ギタリストは当時世界的には無名のランディ・ローズ(ex.QUIET RIOT)を抜擢。
彼の才能に後押しされ、オジーが本格的にシーンに復帰を飾ります。ライブでの定番曲#1、#2。ランディのクラシカルなフレージングが衝撃的な#6、#8など今やメタル・クラシックとも言える名曲満載。
母ドロレス捧げたクラシカルなアコギ小品#4にランディの優しさを、そして、炎の化身のように弾きまくる#6にランディの情熱を感じます。

Track List

1. I Don't Know
2. Crazy Train
3. Goodbye To Romance
4. Dee
5. Suicide Solution
6. Mr. Crowley
7. No Bone Movies
8. Revelation (Mother Earth)
9. Steal Away (The Night)

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MSG / MSG

1981,GERMANY

ゲイリー・バーデン(Vo)、コージー・パウエル(Dr)、クリス・グレン(B)、ポール・レイモンド(Key)というメンツでの正式なバンド構成となってのマイケル・シェンカー(G)というかMSGの2ndアルバムMSG。

何といってもコージ・パウエル!
#1のドコドコいうフレーズ1発で、ストレートで何の変哲も無いハード・ロックが威厳あるものに。
#1のラストから間髪置かず始まるのがカッコ良いドラマティックなメロディアス・ハード・ロック#2でもマイケルの哀愁メロディに絶妙なフィルで応えるコージー。4拍目ウラのハイハットも”らしい”です。
そしてUFO時代の盟友ポール・レイモンド。いかにも”仕事でやってます”的なソツの無いドン・エイリーも良かったが、やはりマイケルの全てを知り尽くした彼の的確なフレージングやトーン選択がバンドとしてのケミストリーを感じさせてナイスです。
冒頭の霧のようなパッド系トーン、ヴァースでの緊張感を煽るオルガン、サビでのハープシコードの厳かな響きが、コージーのドラミング、マイケルのリフと絡んでこのメンツでしか成し得ないドラマを生み出している#3。勿論マイケルのプレイも最高。艶のあるトーンで印象的なメロディを紡ぎつつ、プレイタイム4:00過ぎのチョーキング時に微妙にワウの加減を変えて少々マイルドに変化させるトーン・コントロールとそのトーンに合わせたスムーズなフレージングでのエモーションが素晴らしいです。
叙情とコージーのドラミングに触発されたかのようなクールでヘヴィな側面が融合した#4。
映画のサウンド・トラックのようなムーディなシンセ・サウンドに繊細なアルペジオとコーラスが絡み静かに幕を開ける#5。バンドインしてからのソリッドなハード・ロックとのギャップで意表を突きつつ、曲中でも叙情とハード・ロックで起伏をつけた巧みな構成がニクイです。ポール・レイモンドのクワイヤやパッド系シンセも楽曲のムード作りに大きく貢献しています。
ピアノとストリングスがリードするバラードも単に甘く終わらず、エモーショナルな泣きから開放的でスケールの大きな展開にもっていく#6。
コージーのツーバス、シンセのオブリガード、そしてマイケルのソリッドなバッキングとエモーショナルなギター・ソロで紡ぎ上げたメロディアス・ハード・ロックの名曲#7。むせび泣くダブル・チョーキングが悶絶必至です。
ゲイリーの抑えたファルセット歌唱によるセンチメンタルなサビがグっと来る#8。

正式なバンドとしてのバックボーンとポール・レイモンドという理解者を得てマイケルの精神状態も安定していたからか、プレイ面では神がかり的なトリ肌ものフレーズを連発。又、作曲面では意外性のあるメロディや起伏あるドラマ性など様々なアイディアに溢れたフックが満載の大名盤。

Track List

1. Ready To Rock
2. Attack Of The Mad Axeman
3. On And On
4. Let Sleeping Dogs Lie
5. But I Want More
6. Never Trust A Stranger
7. Looking For Love
8. Secondary Motion

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TYGERS OF PAN TANG / Spellbound

1981,UK

NWOBHMの末期に登場した英国のヘヴィ・メタル・バンドTYGERS OF PAN TANGの2nd。

TYGERS OF PAN TANGは1978年にニューカッスルで結成。当初は4人編成でNWOBHMの波に乗りアルバムWILD CAT でデビュー。その後にもう一人のギタリスト ジョン・サイクス(G)が加入。レディング・フェスティバル等で注目を浴びる。そしてさらにヴォーカルもチェンジ。表現力と甘い声質&ルックスのジョン・デヴァリル(Vo)が加入して制作されたのがこのSPELLBOUNDなのです。前述の2人の加入によってこのアルバムでNWOBHMの単なるB級バンドから突如脱却。シンプルながらインパクト絶大なリフにKOされた#1。サイクスの「ゲイリー・ムーアみたい」という前評判通りのコンパクトで強烈なギター・ソロと暴力的なまでにパワフルな曲調でグイグイ来ます。そんな#1やゲイリー・ムーアがゲスト参加したという#4、デヴァリルの叙情的なヴォーカルが冴えるメロディアスな#10がおすすめです。#10のソロはマイケル・シェンカーっぽいメロディアスなスケール弾きが泣かせます。ゲイリー・ムーアがG-FORCEのYouで弾いてたフレーズまんまですけど・・・まぁご愛嬌ということで。

Track List

1.Gangland
2.Take It
3.Minotaur
4.Hellbound
5.Mirror
6.Silver And Gold
7.Tyger Bay
8.The Story So Far
9.Blackjack
10.Don't Stop By

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TYGERS OF PAN TANG / Crazy Nights

1981,UK

NWOBHMバンドTYGERS OF PAN TANGの3rd。

ジョナサン・デヴァリル(Vo)、ジョン・サイクス(G)が加入した前作SPELLBOUNDによって同時期のNWOBHMバンド群から頭ひとつ抜け出た彼らですが、本アルバムでは前作にあった叙情性が失われ、割りと似たようなテンポの楽曲が続く凡庸な出来。
キャッチーでノリの良いHR/HMなのは良いんですが、バリエーションとアイディアに乏しいし、何と言っても決定的に強力な曲が無いのが痛い。
これではジョナサンの表現力も活きないし、白玉で流すだけで捻りの無いバッキング・ギターも退屈だ。
ジョン・サイクスの貴重な資料としての価値はあるかも知れませんが、自ら作曲したと思しき#4でゲイリー・ムーア風フレーズをはじめとする早弾きをキメている以外にコレといった見所は無し。
その後ジョンはTHIN LIZZYに引き抜かれ、バンドは外部ライターの曲を採用しさらにポップな方向にシフトしていきます。

Track List

1. Do It Good
2. Love Don't Stay
3. Never Satisfied
4. Running out of Time
5. Crazy Nights
6. Down and Out
7. Lonely Man
8. Make a Stand
9. Raised on Rock

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RAINBOW / Difficult to Cure

1981,UK

RAINBOWの5thアルバムDifficult to Cure。

脱退したコージー・パウエルの後任にボブ・ロンディネリ(Dr)が加入。後年の関係者インタビューによると、レコーディング中には一時新ボーカリスト ジョー・リン・ターナー(Vo)と前任のグラハム・ボネット(Vo)が同時に在籍するという異常な状況にもなっていたようですが、グラハムがバンドを離れたことで事態は収拾。ジョー、ボブの新加入組とリッチー・ブラックモア(G)、ロジャー・グローバー(B)、ドン・エイリー(Key)の既存メンバーによって制作されました。

前作に続いて元ARGENTのラス・バラード作曲の#1やブライアン・モーラン作曲の#4など、外部ライターのポップな楽曲を採用してますますアメリカ市場進出を狙った本作において、#2のような様式美ハード・ロックからブルージーな#8まで、甘い声質でいながら幅広く歌えるジョーの起用が大当たり。又、#1や#4にしても単に甘ったるいポップスに陥るのでは無く、リッチーの個性を活かしたクラシカルな気品やヨーロッパ的叙情が微かに従来のRAINBOWサウンドとの繋がりを感じさせ、作品としては非常にバラエティに富んだ印象的なアルバムに仕上がってます。
中でもハイライトは名曲ハード・ロック#2。
リフ主体の心地良いドライブ感、クラシカルなフレーズを繰り返すインスト部というRAINBOWの王道様式美にキャッチーな歌メロが加わった時点で既に満足なのに、そこにさらに当時最新鋭のシンセサイザー ヤマハCS-80のリボンコントローラーとポルタメントを駆使したドンによるスリリングなソロが最高のスパイスとして効いています。個人的にはロック界のシンセ・ソロ ベスト3に入ってますね。
ドンによるシンフォニックでクラシカルなアレンジをベースに、美しいボトルネック奏法やエモーショナルなソロでリッチーの独壇場と化した素晴らしい叙情チューン#5、ベートーベンの第九をアレンジした楽しい#9などインストゥルメンタル曲も充実。

Track List

1. I Surrender
2. Spotlight Kid
3. No Release
4. Magic
5. Maybe Next Time
6. Can't Happen Here
7. Freedom Fighter
8. Midtown Tunnel Vision
9. Difficult To Cure (Beethoven's Ninth)

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