サイケ のレビュー

CARAVAN / Caravan

1968,UK

WILD FLOWERSから派生した初期カンタベリー・ミュージックのバンドSOFT MACHINEとCARAVAN。このCARAVANの1968年1stは、時折コード進行にSOFT MACHINE的クールなジャズ・テイストを漂わせつつも、全体的な印象は時代を反映したサイケ・ポップという感じ。CARAVAN特有のどこか牧歌的で叙情的な美しいメロディも既に聴かれます。

パイ・ヘイスティングス(G/B/Vo)の素直なヴォーカルが楽曲の陰影を際立たせる#1では、チープなローリー社製と思しきオルガンによるシングルノート中心のソロもこの時点では未だファズも未使用ながら、ワウを活用したオーガニックな音色コントロールによるフレージングが胸を打ちます。
インド的モーダルな#2やサイケ・ムード満載の#5でも活躍するこのオルガン。デイヴィッド・シンクレア(Org)のテクニックに走り過ぎない、あくまでも楽曲ありきの姿勢が好印象です。
長尺(と言っても9分)のラスト#8ではドラマティックな起伏を持つ楽曲構成力も発揮しており、デビュー作でこの完成度はさすがタダ者じゃありません。

Track List

1.Place of My Own
2.Ride
3.Policeman
4.Love Song With Flute
5.Cecil Rons
6.Magic Man
7.Grandma's Lawn
8.Where But For Caravan Would I?

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SOFT MACHINE / Soft Machine

1968,UK

カンタベリー・ミュージックの祖、SOFT MACHINEの1968年1st。

ジミ・ヘンドリックスのアメリカ・ツアー同行中に、ニューヨークで4日間でレコーディングしたという1stアルバム。ロバート・ワイアット(Dr,Vo)、ケヴィン・エアーズ(B,Vo)、マイク・ラトリッジ(Key)の3人が繰り出す音はまさにサイケデリック。ジャズへの憧れを隠そうともしない#5あたりでのアバンギャルドな即興ソロの応酬も、やりっ放し感が強く”若気の至り”的微笑ましさも。そんな青さの反面、サイケ風味は絶品です。#7,#9,#12あたりのポップなサビメロとチープな音質のオルガンが織り成す少々くすんだ感じのカラフルな雰囲気は、時代を超越したカッコ良さです。とにかく、既成概念に囚われない奔放さが魅力的でイカしてます。つたない部分も多々あるが、それがかえって嫉妬をも感じさせる、60年代後半における英国のムードを切り取ったかのような1枚です。

Track List

1. Hope for Happiness
2. Joy of a Toy
3. Hope for Happiness (reprise)
4. Why Am I So Short?
5. So Boot If At All
6. A Certain Kind
8. Save Yourself
9. Priscilla
10. Lullabye Letter
11. We Did It Again
12. Plus Belle qu'une Poubelle
13. Why Are We Sleeping?
14. Box 25/4 Lid

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ZOMBIES / Odessey & Oracle

1968,UK

英国のサイケ・ポップ・バンドZOMBIESの1968年2nd。

2005年頃、日産のティーダという車のCMで#12が使用されていました。この曲がアメリカで大ヒットした1969年には実はバンドは既に解散。 中心人物のロッド・アージェント(Key/Vo)は、ZOMBIESを再結成してのツアーのオファーに大金を積まれるも、既に自らの名を冠したバンドARGENTの活動に歩を進めており、それを断ったという男気溢れるエピソードも。そのかわり偽者が堂々と集金ツアーをしてたとか。大らかな時代だったんですね。そんなロックなロッド・アージェントですが、このアルバムのサウンドの方は甘くて切ない胸キュン・ポップが満載。 アレンジも時代を反映してか総じてシンプルですが、アクセントとして多用されるメロトロンが甘酸っぱさを増強してますね。プログレ3種の神器みたいに言われるメロトロンですが、BEATLESが使ってからこの頃までは、割とサイケなアイテムだったんですね。

Track List

1. Care of Cell 44
2. A Rose for Emily
3. Maybe After He's Gone
4. Beechwood Park
5. Brief Candles
6. Hung Up on a Dream
7. Changes
8. I Want Her, She Wants Me
9. This Will Be Our Year
10. Butcher's Tale (Western Front 1914)
11. Friends of Mine
12. Time of the Season

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PRETTY THINGS / S.F.Sorrow

1968,UK

ブリティッシュ・ビートバンドPRETTY THINGSの1968年4thアルバムS.F.Sorrow。

ビートルズのサージェント・ペパーズ以降の時代を反映したサウンドは一言で言えばビート・サイケになるんでしょうが、 アコギとコーラス・ワークによる極彩色サイケ・ポップの#1に突如メロトロンが登場したり、ファズ・ギターによるリフの質感が元祖ヘヴィ・メタルな#12など、ハード・ロックやプログレ黎明期の英国ロック・シーンの混沌としたムードを体現するがごとく様々な音楽的要素が原初的な姿でゴッタ煮のように盛り込まれています。長くても3分台にまとめられたコンパクトな楽曲群は、どこを切ってもキャッチーでイカすメロディとセンスの宝庫。色んな方向に拡散しながらも、メロディアスなコーラス・ハーモニーの存在がサウンドの統一感をキープしてます。音の定位やスカスカなサウンドに時代を感じさせもしますが、単純にカッコ良いんでCMやドラマで使われたら絶対ヒットすると思いますね。

Track List

1. S.F. Sorrow Is Born
2. Bracelets of Fingers
3. She Says Good Morning
4. Private Sorrow
5. Balloon Burning
6. Death
7. Baron Saturday
8. Journey
9. I See You
10. Well of Destiny
11. Trust
12. Old Man Going
13. Loneliest Person

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SOFT MACHINE / Volume Two

1969,UK

SOFT MACHINEの1969年2ndアルバム。脱退したエアーズにかわり、ヒュー・ホッパー(B)が加入。兄のブライアン(Sax)がゲスト参加。

オシャレなピアノと「Good Evening・・・」で始まる朗読?がファズ・ベースに乗って軽快に登場する#1~#2にかけての人をくったようなユーモア路線から、Saxのリフが緊張感溢れる#3への流れでリスナーのハートを鷲づかみ。
#5から#8まではピアノを軸に、サイケなPOP感覚を見せたかと思えば、ファズ・ベースが唸ってクールに展開と変幻自在。
リプライズ的な#9ときてアバンギャルドに締めくくる#10までのアナログ時代でのA面が怒涛の展開で一気に聴かせます。
7拍子が心地良いヘヴィでPOPな#11、トラッド・フォークを思わせるシンプルなアコギ伴奏とヒネリの効いた歌メロが素敵な#12あたりの、とっつき易い歌モノの構成力は前作からの成長を伺わせる。
#13からはアバンギャルド、高速7拍子が入り乱れるテクニカルにしてハイテンションな連作でリスナーを圧倒。イカしてます。

Track List

1. Pataphysical Introduction, Pt. 1
2. Concise British Alphabet, Pt. 1
3. Hibou, Anemone and Bear
4. Concise British Alphabet, Pt. 2
5. Hulloder
6. Dada Was Here
7. Thank You Pierrot Lunaire
8. Have You Ever Bean Green?
9. Pataphysical Introduction, Pt. 2
10. Out of Tunes
11. As Long as He Lies Perfectly Still
12. Dedicated to You But You Weren't Listening
13. Fire Engine Passing with Bells Clanging
14. Pig
15. Orange Skin Food
16. Door Opens and Closes
17. 10: 30 Returns to the Bedroom

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NIRVANA / All of Us

1969,UK

英国のサイケ・ポップ・バンドNIRVANAの1969年2ndアルバムAll of Us。

ブラス・セクションとストリングス・セクションが、甘いボーカル・ラインをタイトル通り色鮮やかにゴージャスに彩る#1。
チェンバロとチェロの端整なバックにティンパニのロールが仰々しさをアクセントで加えた#2。
美しいコーラス、くすんだオルガンとストリングス、チェンバロが気品を加えた#3。
女性コーラスとストリングス、ハープの幽玄な響きが印象的な#4。
ストリングスをアクセントにピアノとパーショションでリズミックに盛り上がるフォーク#5。
リコーダーの素朴な音色のメイン・メロディを中心とした、チェンバロ、アコギ、マンドリン、ストリングス等、アコースティック楽器によるメランコリックなインストゥルメンタル小品#6。
弾むリズムのボーカル・パートが楽しい#7。
妖しいイントロとキャッチーなボーカル・パートが対比した#8。
テナー・サックスと女性コーラスがフックとなったロックン・ロール#9。
ジャジーでアダルトなムードのワルツにメロトロンやチェンバロの厳かな演出が効いた#10。
テープ操作でボーカルのピッチを上げたコミカルな#11。
ランニング・ベースをバックにホンキートンク・ピアノを中心とした演奏が乗った、少々気怠い感じのロックン・ロール#12。

実態はパトリック・キャンベル=リオンズとアレックス・スパイロポロウスのプロジェクトながら、多彩なアレンジと多彩な楽器でカラフルで夢見心地の楽しいサイケ・ポップ・ワールドが展開されています。
ナポレオンが敵兵の死体を並べた通りを行進するPierre Fritel作の絵画をモチーフにしたモノクロでグロテスクなジャケット・アートが衝撃的ですが、音楽はジャケのイメージとは全く正反対の極彩色というこの落差。これも英国的センス・オブ・ユーモアなんでしょうか。

Track List

1. Rainbow Chaser
2. Tiny Goddess
3. The Touchables (All Of Us)
4. Melanie Blue
5. Trapeze
6. The Show Must Go On
7. Girl In The Park
8. Miami Masquerade
9. Frankie The Great
10. You Can Try It
11. Everybody Loves The Clown
12. St. John's Wood Affair

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DEEP PURPLE / Deep Purple

1969,UK

DEEP PURPLEの3rdアルバムにして第1期の最終作Deep Purple 1969年作。

パーカッションを多用したリズミカルなビートとメロディアスなニック・シンパー(B)のベース・ラインが印象的なサイケ・ロック・ナンバー#1。
ジョン・ロード(Key)のチェンバロがクラシカルな響きを加える#2。ドカドカしたイアン・ペイス(Dr)ドラムや、いかにもファズなトーンでのリッチー・ブラックモア(G)にソロにはアート・ロックの薫りが。
クリーンなエレキ・ギターでのバッキングにリッチー独特のテイストが漂うバラード・ナンバー#3。
テープ逆回転によるSE的なドラム・パートにファットでヘヴィなベース・リフが乗る実験的なインスト(a)と、リッチーの艶っぽいトーンのギターで幕を開けるスタジオ・ライヴっぽいグルーヴィな歌ものナンバー(b)との組曲#4。ソロではギブソンES335での細かいヴィブラートが中心のアーミングを多用するリッチー。後年のストラト程ではありませんが、なかなかダイナミック。ジョン・ロードもレズリーを活かしたグリッサンドで激しいプレイを聴かせます。
ブルーズのコード進行をベースにしたクールな#5。3連のノリでのギター・ソロや全体のムードは、ソフィスティケイトされたブルーズ・ロックを完成させる第2期DEEP PURPLEのプロトタイプと言えるかも。
7th(#9th)の通称ジミヘン・コードのリフがリードする#6。ペンタトニックにメジャーなトーンを交えたリッチーのフレージングが新鮮です。
荘厳なチャーチ風オルガンのイントロに続き、アコギとオルガンを中心に欧風フォークロアを紡ぐメランコリックな第一部、オーケストラ演奏の第二部、ボーカル入りバンドによるヘヴィ・サイケな第三部からなる12分超の組曲#7。

サイケでアート・ロックな中にも、インスト・パートではIn Rock以降で打ち出すハード・ロック的要素の萌芽がちらほらと垣間見れておもしろいですね。
また、ハード・ロックへの転換に当たってクビにされるロッド・エヴァンス(Vo)ですが、#2の甘いパートやラヴ・バラード#3などのハマリ具合は見事ですし、ヘヴィな曲での男らしい中域もカッコ良い。結局、シャウトできるシンガーが欲しかっただけなんですよね。
異端的なジャケット・アートはヒエロニムス・ボスの快楽の園の一部。

Track List

1. Chasing Shadows
2. Blind
3. Lalena
4. (a)Fault Line
(b)Painter
5. Why Didn't Rosemary?
6. Bird Has Flown
7. April

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カテゴリー: DEEP PURPLE

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NIRVANA / To Markos III

1969,UK

英国サイケデリアNIRVANAの1969年3rdアルバムTo Markos III。

パトリック・キャンベル=リオンズとアレックス・スパイロポロウスという実質2人のプロジェクトながら、ゲストの管弦楽を品良く取り入れたサイケ・ポップを構築。甘い歌メロ、優雅なオケによるオブリガード、女性ヴォーカル、等々全てが計算しつくされ、時に映画のワンシーンのようなドラマ性をも帯びた立体感を持って迫ってきます。ストリングスを中心にハープシコード、ブラスセクション、フルート、ハープと曲調や場面に応じてあしらわれた楽器の選択センスが抜群で、時代を超越したアレンジは今もなお魅力たっぷりです。
神秘的なハープのアルペジオから始まり、ジャジーでオシャレなムードを醸し出すピアノとウッドベースによるシンプルな伴奏に乗って女性ヴォーカルのアンニュイな歌唱が冴える#9が最高。

Track List

1. The World Is Cold Without You
2. Excerpt From 'The Blind & The Beautiful'
3. I Talk To My Room
4. Christopher Lucifer
5. Aline Cherie
6. Tres, Tres Bien
7. It Happened Two Sundays Ago
8. Black Flower
9. Love Suite
10. Illinois

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カテゴリー: NIRVANA

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FAIRFIELD PARLOUR / From Home to Home

1970,UK

サイケデリック・ロックバンドKALEIDOSCOPEのメンバー3人を擁するプログレ・フォーク・サイケデリック・ロックバンドFAIRFIELD PARLOURの1970年1stアルバムFrom Home to Home。

キーフによる渋いトーンのジャケット・アートが味わい深いです。メロトロンのストリングスが非常に高い頻度で使用されており、#1のようなメジャーなナンバーでは神々しさを、ドラマティックな#4では荘厳さを、そして#7のようなマイナー調のナンバーでは叙情を増幅してます。 とはいえ、全体のムードはポップな#2,#5や素朴な#3に代表されるほのぼのと明るい感じがメイン。前述の叙情ナンバー#7やサイケなひねりの効いた#11が良いアクセントとなっており、リラックスして楽しめます。
田園ののどかさを漂わせながらも英国ならではの格調をキープした独特の美しいメロディーが、豊かなコーラスハーモニー、フルート、アコギ、そしてメロトロンによってカラフルに奏でられます。
日曜の朝にぴったりです。

Track List

1.Aries
2.In My Box
3.By Your Bedside
4.Soldier of the Flesh
5.I Will Always Feel the Same
6.Free
7.Emily
8.Chalk on the Wall
9.Glorious House of Arthur
10.Monkey
11.Sunny Side Circus
12.Drummer Boy of Shiloh

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JUSTINE / Justine

1970,UK

女性ボーカル2名を擁する英国のフォーク・グループJUSTINEの1970年唯一作。

美しいハーモニーを活かしたドリーミーな序盤が印象的な3部構成の組曲#1。
ボーカル・メロディがシンプルでキャッチーなわりに、それをサポートするベース・パートが意外と練りこまれたラインを持つ#2。
美しい多層コーラスでクライマックスを迎える#3。
男女ボーカルとコーラスが穏やかなムードの#4。
左右CHアコギのシンプルなバックに女性ツイン・ボーカルの美声ユニゾンとハーモニーが素晴らしい#5。
ミュージカルのような場面転換を抜群のハーモニーで演出する10分超の組曲#6。
ファズ・ギターのソロから始まり静謐なムードのボーカル・パートを経て徐々に盛り上がり、ラストは女性コーラス・ハーモニーが壮大に締めくくるドラマティックな#8。

堅苦しいトラッド臭はほぼ皆無でウェスト・コースト風サイケの影響を感じさせつつ、ジャジーに迫ったり、2人の女性ボーカル・ハーモニーがMELLOW CANDLEを想起させる部分があったりと(リリースはJUSTINEが2年早い)、メジャー志向でコンテンポラリーな作風となっています。

Track List

1. Flying/Love You More Than Is Good for Me To/Nostrils
2. She Brings the Morning with Her
3. Back to Boulder
4. Traveller
5. See Saw
6. Mini Splurge/Mr. Jones/Is That Good. That's Nice
7. Clocks/Hey I Used to Know You
8. Unknown Journey

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CZAR / Czar

1970,UK

英国のヘヴィ・サイケ・バンドCZARの1970年唯一作。

ヘヴィなオルガンと曇天を思い起こさせるくぐもったメロトロンが、歪んだギターとともに音の塊となって迫り来る迫力抜群のサウンド。
メロトロンというと「洪水」とか「霧のように」なんて良く言われますが、彼らの場合はあくまでもオルガンとの合わせ技ではあるが「土石流」とでも表現したら良いんだろうか。 #2の不条理系リフなんか元祖OPETHといっても良いくらいだ。
OPETHのミカエルあたりも相当参考にしたんだろうな、と思わせます。
反面、意外とキャッチーな#3や#5の歌メロとか散歩しながらハミングしそうだし、チェンバロなんかも効果的に使用して平坦にならない工夫も。

Track List

1. Tread Soflty on My Dreams
2. Cecelia
3. Follow Me
4. Dawning of a New Day
5. Beyond the Moon
6. Today
7. Day in September

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カテゴリー: CZAR

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PRETTY THINGS / Parachute

1970,UK

ヒプノシスによるジャケットが美しい英国サイケデリック・ポップバンドPRETTY THINGSの5thアルバムParachute。

ブリティッシュ・ビートをベースに、メロトロンや美しいコーラス・ハーモニーを効果的に使って幅広い曲想をカバーしてます。ドラマティックに紡がれるメドレー形式の#4~#6、ギターとベースのユニゾン・リフにサビのメロディがカッコ良い#7、黒っぽいグルーヴにファズ・ギターのリフがクールな#8、哀愁を感じさせるムーディな#9、シャープナインスのリフがこれまたクールな#10、サビがキャッチーな#11、アルバムを締めくくるカラフルなバラード#13等々全曲穴無し。

Track List

1. Scene One
2. Good Mr. Square
3. She Was Tall, She Was High
4. In the Square
5. Letter
6. Rain
7. Miss Fay Regrets
8. Cries from the Midnight Circus
9. Grass
10. Sickle Clowns
11. She's a Lover
12. What's the Use
13. Parachute

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DANDO SHAFT / An Evening With

1970,UK

英国のフォーク・グループDANDO SHAFTの1970年1stアルバムAn Evening With。

アコギ、マンドリン、ヴァイオリン、フルート、ウッドベース、パーカッション等アコースティック楽器のみのアンサンブルに、朴訥ながらメロディアスな男性ボーカルが乗るスタイルで、特にマンドリンの煌びやかな響きが神秘的なムードを醸成しています。
高音部=マンドリン、低音部=アコギ、という分担でのアンサンブルも意外に精緻にアレンジされており、演奏テクニックの確かさも伺えます。
全体的なムードは、タイトル通り、田舎のお祭りで焚き火でも囲みながら夕べに演奏している感じ、とでも表現したら良いでしょうか。仄暗くも暖かい独特のサウンドが心地良いです。

エキゾチックな#3、フルートが美しい叙情的な#5、アコギとマンドリンの絡みが見事なインストゥルメンタル#6、ヴァイオリンがリードするカントリー風な楽しい#7、等々マルチプレイヤーで後にセッションマンとしてもフォーク界で活躍するマーティン・ジェンキンス(Vo/Vln/Mln/Fl)の才能が迸っております。

Track List

1. Rain
2. Cold Wind
3. September Wine
4. Cat Song
5. In the Country
6. Drops of Brandy
7. End of the Game
8. Lazily, Slowly

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PINK FLOYD / Meddle

1971,UK

PINK FLOYDの1971年6thアルバムMeddle。

70年代の人気プロレスラー アブドラ・ザ・ブッチャーのテーマ・ソングになった邦題「吹けよ風、呼べよ嵐」の#1は、オルガンやスライド・ギターをSE的にうまく使った勇壮なインスト。
英国的な翳りを帯びたアコースティックな#2、
サイケ感覚漂うリフが軽いトリップを誘うフォーク#3、
デヴィッド・ギルモア(G)の洒落たギター・ワークとリチャード・ライト(Key)のリラックスしたピアノ・ソロがPOPな小品#4、
犬の鳴き声とブルージーなアコギによる不思議なコラボ#5ときて、アナログ時代はB面を占めた#6は23分超の大作。
サイケやブルーズ色を仄かに残したムーディなアンサンブルをバックに、うっすらとハーモニーを付けたボーカル・ラインが淡々とした叙情を紡いで行きます。軽く歪んだオルガンの反復コード・カッティングに乗る奔放なギター・ソロに続く中間部では、曲タイトル通りの幽玄かつ壮大なSEが登場。スタジオワークに凝り、実験色を強めて行く過程を象徴してます。

Track List

1. One of These Days
2. Pillow of Winds
3. Fearless
4. San Tropez
5. Seamus
6. Echoes

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カテゴリー: PINK FLOYD

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FRESH MAGGOTS / Fresh Maggots

1971,UK

ミック・バーゴイン(G/Vo/Vln)とリー・ドルフィン(G/Vo)によるフォーク・デュオFRESH MAGGOTSの1971年唯一作。

アルペジオのフレーズを微妙に違うものにしたり、リズム楽器の不在を感じさせないミズミカルなコード・カッティングなど、2人のアコギによるコンビネーションが抜群な上に何とファズ・ギターのペンタトニックによる弾きまくりフレーズも飛び出す独特のサウンド。
時には、ぴったり息の合ったギター・アンサンブルによるテンポや拍子のチェンジも繰り出してプログレッシブに迫ってきます。曲想は非トラッドながら英国的な翳りを感じさせる美しく叙情味溢れるものから、爽やかなフォーク、疾走するフォーク・ロックなど幅広く、キーフによるジャケット・アートのイメージそのままの幻想的な雰囲気も。
#2のグロッケンや#5のホイッスル、又#2、#6、#9、#11ではストリングスが曲調に合わせて効果的に使用されており、1曲1曲のキャラを明確にしています。

Track List

1.Dole Song
2.Rosemary Hill
3.Quickie
4.Everyone's Gone to War
5.And When She Laughs
6.Spring
7.Balloon Song
8.Guzz Up
9.Who's to Die?
10.Elizabeth R
11.Frustration

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カテゴリー: FRESH MAGGOTS

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COMUS / First Utterance

1971,UK

英国アシッド・フォークCOMUSの1971年1stアルバムFirst Utterance。

アコギ、フルート、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、パーカッションと全てアコースティック楽器で繰り広げられる、呪術的で土着的でいながらドリーミーでメロディアスな暗黒フォーク。全編に漂うテンションの高さは相当です。
白眉は#2。中間部のアコギ・ソロが深遠な暗黒ムードを醸し出し、終盤は妖しくも儚げな女性Voがメロディを紡ぎます。これがこの世のものとは思えない美しさ。
完全にイッっちゃってる男性Voと軋むヴァイオリン、女性ヴォーカルの超高音スキャットがトライバルなパーカッションによるビートに乗って踊り狂う#3。
2本のアコギによるアンサンブルと男女Voのユニゾン、フルートとヴァイオリンのハーモニーによる緻密で理性的な構築美と、土着ビートとイカれた男性Voによる本能の叫びが奇跡の融合を見せるテーマ・ソング#4。
アヴァンギャルドなインスト#6。
牧歌的とも言える展開から土着パーカッションに導かれ狂気のシャウトで盛り上がる#7。
これら狂気の暗黒フォークがなぜか心地良く感じられるんですよね。

Track List

1. Diana
2. The Herald
3. Drip Drip
4. Song To Comus
5. The Bite
6. Bitten
7. The Prisoner

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カテゴリー: COMUS

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SPRING / Spring

1971,UK

トリプル・メロトロンで有名な英国のフォーク・ロックバンドSPRINGの唯一作。音楽性は英国らしく端整で叙情味を湛えたメロディアスなフォーク・ロックで、まどろむような優しいボーカルがメロトロンに良くマッチしてます。

全編に使用された霧のようなメロトロン・ストリングスを筆頭にグロッケンなど小ネタも効いた#1。
#1とは違い、ここぞという場面で登場するメロトロンがアレンジに起伏をもたらす#2。
アコギがリードするフォーク小品#3。
マーチングのようなスネアが印象的な#4にも当然のようにストリングスや管のメロトロンが切り込んできますが、楽曲はファンキーな要素を持ったフォーク・ロック。独特な牧歌的テイストが堪りません。
続く#5は開放的なリフを持ったメジャー感覚なフォークなんですが、ボーカルのバックのくすんだメロトロンが英国的な翳りも感じさせます。中間部のオルガンとエレキのソロや、それに続くパートでのアコギを交えたアレンジも巧みで聴き所満載です。
#6はギターやオルガンがリードするロックですが、間奏のグロッケンとメロトロン・フルートが可愛いニュアンスをもたらす楽しいナンバー。
ピアノをバックに切々と歌うバラード小品#7を挟み、#8でも静かな序盤は霧のように、感動的に盛り上げるサビでは洪水に、ラストは神々しく、とメロトロンが大活躍しております。

Track List

1. Prisoner (Eight by Ten)
2. Grail
3. Boats
4. Shipwrecked Soldier
5. Golden Fleece
6. Inside Out
7. Song to Absent Friends (The Island)
8. Gazing

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DANDO SHAFT / Dando Shaft

1971,UK

英国のフォーク・グループDANDO SHAFTの1971年2ndアルバムDando Shaft。

今作から女性シンガー ポリー・ボルトン(Vo)が参加。
デュオで軽やかに歌うダンス・ミュージック#1。
ポリーがソロで歌うヴァイオリンがリードする#2。
ポリーのしっとりとした歌唱をアコギ、ヴァイオリン、フルートが優しく包み込み、後半のスキャットもこの世の物とは思えない美しさの叙情フォーク#5。
デュオで歌うまどろみの美メロ・フォーク#9。
などなど、ポリーの澄み切った美声がバンドのサウンドに華やかさをもたらし、かなりとっつき易くなりました。

2本のギターのアンサンブルが見事な#3。
サビのボーカル・ハーモニーが美しい#4。
マンドリンの響きがエキゾチックな#6。
マンドリンの細かいフレージングが印象的な#7。
アコギとマンドリンによるインストゥルメンタル小品#8。
等、マーティン・ジェンキンス(Vo/Vln/Mln/Fl)が素晴らしいプレイを聴かせる1stの流れを汲んだ仄暗くも暖かい土着フォークも健在。
音楽性の幅を広げメジャー感を増したアルバムです。
朽ち果てたメリーゴーラウンドが儚くも美しいジャケット・アートはキーフ。

Track List

1. Coming Home To Me
2. Railway
3. Whispering Ned
4. Sometimes
5. River Boat
6. Kalyope Driver
7. Waves Upon The Ether
8. Dewet
9. Till The Morning Comes
10. Pass It On
11. Prayer

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STACKRIDGE / Stackridge

1971,UK

フォークがベースのポップなプログレ・バンドSTACKRIDGEの1971年1stアルバム。

ヴァイオリン奏者、フルート奏者を含む6人組で全編フックのあるキャッチーなメロディーが目白押し。演奏やヴォーカル・ハーモニーといったテクニック面が巧みな上、多彩な楽器構成を活かした絶妙のアレンジが施されており、幅広い引き出しを感じさせる雑多な音楽性と相まって飽きがこないアルバム構成となっています。それを象徴するのが、トラッドっぽい神秘的なアコギのアルペジオから始まり、ブギー、メキシカン・ロックと怒涛の展開を見せる#3。
フィドルがリードしハーモニウムも加わって田園ムード全開の#4をはじめ、歌モノは楽しいフォーク主体。
チェロやフルート、アコギが奏でる田舎の室内楽といった趣のプログレッシブなインスト曲#5では、弦による重厚なリフがシリアスでヘヴィな質感をも演出するなど、バンドの別の顔を見せるのがおもしろい。
ラストの#9は叙情的な前半とアバンギャルドな中間部、重厚な後半からなる集大成的な14分超の大作で、バンドとしてのポテンシャルを感じさせます。

Track List

1.Grande Piano
2.Percy the Penguin
3.Three Legged Table
4.Dora the Female Explorer
5.Essence of Porphyry
6.Marigold Conjunction
7.West Mall
8.Marzo Plod
9.Slark

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NIRVANA / Local Anaesthetic

1971,UK

キーフによる美しくも不気味なジャケットが有名なNIRVANAの1971年4thアルバムLocal Anaestheticはヴァーティゴから。

アレックス・スパイロポロウスと袂を分かち、パトリック・キャンベル=リオンズの個人プロジェクトとなった本作はアナログ各面1曲という構成。しかし実際は数曲が隙間無く繋がった組曲風でもあります。

#1は前作までのカラフル・サイケ路線とは異質な、ギター中心のブルージーとも言えるロックなテイスト。長尺のインプロビゼーションや会話を挿入するなどヒット狙いとは真逆のアーティスティックな狙いも垣間見られます。
#2は従来のような甘いメロディも若干顔を覗かせますが、オーケストレーションは控えめとなってます。
パトリックは同時期ヴァーティゴとプロデューサー契約もしていたようで、一歩下がって実験的な試みをしたかったんでしょうか。KING CRIMSON のメル・コリンズがSAXで参加。

Track List

1. Modus Operandi [Method of Work]
2. Home:
Salutation
Construction
Destruction
Reconstruction
Fanfare

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