サイケ のレビュー

STRAWBS / From the Witchwood

1971,UK

前身は”ストベリー・ボーイズ”というちょっと恥ずかしい名前のブルーグラス・バンドだったSTRAWBSの1971年4thアルバムFrom the Witchwood。
後にYESに加入するリック・ウェイクマン(Key)が在籍していた事で有名です。基本的には美しいハーモニーとアコギを中心とした素朴でメロディアスな田園フォークながら、そこにラテン、インド、サイケ等々様々なエッセンスを上手くトッピングし独自のカラフルな世界を構築しています。その立役者はリック・ウェイクマン(Key)でしょう。

レズリーが唸るグリッサンドからテンポアップし、クラシカルな格調高いハーモニーで締める#1のオルガン。
転がるように軽快な#4のピアノ。
クラシカルな#5冒頭のチャーチオルガン。
サイケな#6や#7のオルガン。
#8の優しくヴォーカルハーモニーを包み込むメロトロンと煌びやかな響きのオブリガードを奏でるピアノ。
厳かな#9のハープシコード。

場面に合わせて様々なキーボードがアレンジに上手く溶け込みサウンドに彩りを加えてます。バンジョーやシタールも効果的に使用されています。

Track List

1. A Glimpse Of Heaven
2. Witchwood
3. Thirty Days
4. Flight
5. The Hangman And The Paptist
6. Sheep
7. Cannondale
8. The Sheperd's Song
9. In Amongst The Roses
10. I'll Carry On Beside You
11. Keep The Devil Outside

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CMU / Space Cabaret

1973,UK

アシッド・フォークを母体とするCMUの1973年2ndアルバムSpace Cabaret。

アコギをバックにヴォーカル・ハーモニーで迫る部分などはまさにフォーク由来ではあるが、しゃれたコード進行やアンニュイな女性ヴォーカル、カンタベリー・ミュージックを想起させるファズ・オルガンといったジャズ・ロック的要素も。
終盤の長尺2曲では、サイケ感覚やダークなテイストを盛り込みドラマティックな展開を見せる#6や、シンセやオルガンが大活躍の#7などで同時期に最盛期を迎えたプログレッシブ・ロックバンド達に引けを取らないスケールの大きさをも感じさせます。
バンドの中心人物ロジャー・オデール(Dr)は後に80年代になるとSHAKATAKを結成、その都会的でポップなフュージョン・サウンドは某トレンディ・ドラマの挿入歌になるなど日本でも大ブレイクしますが、その片鱗も既にかすかに感じさせるキャッチーなサウンドと流麗な演奏は聴いていて心地良さ抜群です。

Track List

1.Space Cabaret
2.Archway 272
3.Song From The 4th Era
4.Distant Thought A Point Of Light
5.Doctor Am I Normal
6.Dream
7.Lightshine

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カテゴリー: CMU

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PINK FLOYD / The Dark Side of the Moon

1973,UK

邦題「狂気」が言い得て妙なPINK FLOYDの1973年8th。

鼓動のSEがオープニングとエンディングに配され、各曲が微妙にクロスフェードしながら繋がったアルバム構成、大胆にベル音をあしらった#4、サンプラーが無い時代にレジの音を録音したテープの切り貼りで組み立てた#5のリズム、といった部分の実験的な要素と、ゲスト女性ボーカルによるソウルフルなゴスペル風スキャットやコーラス、キャッチーなボーカル・メロディがもたらすポピュラー音楽としての分かり易さが高次元で融合。それでいて、リラックスしたムードのヒット・シングル#7やスペイシーな#8などのゆったりとしたテイストがリスナーのイマジネーションを刺激するプログレッシブな精神性も。シド・バレットの暗喩とされた「月の暗い面」を日常の狂気という より普遍的なテーマに昇華させ、耳障りの良いポップスの意匠をまとった楽曲を実験的なSEで繋ぎトータル・コンセプト・アルバムとして完成させた、音楽性・商業性を両立した20世紀のロック史に刻まれた金字塔です。

Track List

1. Speak to Me
2. Breathe
3. On the Run
4. Time
5. The Great Gig in the Sky
6. Money
7. Us and Them
8. Any Colour You Like
9. Brain Damage
10. Eclipse

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SPIROGYRA / Bells,Boots and Shambles

1973,UK

ブリティッシュ・フォーク・ロックの名バンドSPIROGYRAの1973年3rdアルバムBells,Boots and Shambles。
この時点で正式メンバーは全曲を手がけたマーティン・コッカーハム(Vo/G)、バーバラ・ガスキン(Vo)の2名のみで、過去の在籍メンバーやゲストのヴァイオリン、フルート等のプレイヤーを加えて制作されています。

アコギのアルペジオからフルートやチェロが幽玄に絡みドラマティックに展開するプログレッシブ・フォークの#1。
バーバラの天使のような歌声がアコギ、フルート、チェロによる厳かな伴奏の中に映える英国叙情満点の#2。
マーティンが歌うアメリカンなムードのフォークにバーバラの雲間から光差すような神々しいスキャットが清涼感をもたらす#3、後半は一転してバーバラがメインの叙情フォークになってます。
ピッコロ・フルートとアコギのシンプルな伴奏にバーバラのボーカルが乗る美しすぎる小品#4。
ドリーミーな中に屈折したムードを織り込んだ#5。
マーティンの歌う穏やかな#6。
疾走するアコギのパートからトランペットとバーバラのスキャットによるメイン・テーマのリフレインでドラマティックに幕を引く組曲形式の#7。

マーティンのアクの強いボーカルは好き嫌いが分かれそうな部分ではありますが、その存在がバーバラの儚げな美声をより一層輝かせると共に絶妙な陰影と起伏をアルバムにもたらしています。

Track List

1. Furthest Point
2. Old Boot Wine
3. Parallel Lines Never Seperate
4. Spiggly
5. Everyday Consumption Song
6. Sergant Says
7. In the Western World

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CAPABILITY BROWN / Voice

1974,UK

英国の6人組アート・ロック・バンドCAPBILITY BROWNの1974年2nd。

コーラス・ハーモニーとファンキーなアレンジでデコレイトしたAFFINITYもやっていた#1。
アコギのリッチな響きとブ厚いコーラス・ハーモニー、甘酸っぱい歌メロが堪らない叙情フォーク・ポップ#2。
キャッチーなSTEELY DANの#3。
シャッフルに乗ったブルーズ・ロックがベースの#4。
リュートやバラライカ等の古楽器にメロトロン、ARP等当時の最新電子楽器を取り入れたアンサンブルで4部構成の組曲に仕上げた20分超の#5。

ツボを心得たアレンジとタイトな演奏、全員が歌えるところが強みの素晴らしいコーラス・ハーモニーによって、バラエティに富んだアルバム構成ながら一本芯の通った所を感じさせるハイ・クオリティなアルバムです。
ヒプノシスによる不気味なアルバム・カヴァーで有名ですが、内容は時代を超えたポピュラリティを有しています。

Track List

1. I am and so are You
2. Sad am I
3. MIdnight Cruiser
4. Keep Death Off the Road
5. Circumstances(In Love,Past,Present,Future Meet)

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COMUS / To Keep From Crying

1974,UK

COMUSの2ndアルバムTo Keep From Crying。

1stでの呪術的なムードや土着的トライバルなリズムが影を潜め、新機軸としてシンセやドラムスを本格導入することでフォーク・ロックとしての型も整いアレンジがスッキリと洗練されました。
そのことにより本来持ち合わせていたドリーミーでメロディアスな要素が前面に出ており、ポップと言っても良い仕上がりになってます。
前作の名残は少々エキセントリックなニュアンスの男女ヴォーカルに若干感じられる程度で、幽玄だったアコギも構築されたアンサンブルの一部として昇華され機能。理性的に制御された曲展開はコンパクトながらもドラマティック。
プログレにかなり接近した出来で、1stとは180度異なった頂点を極めたアルバムです。

Track List

1.Down (Like a Movie Star)
2.Touch Down
3.Waves and Caves
4.Figure in Your Dreams
5.Children of the Universe
6.So Long Supernova
7.Perpetual Motion
8.Panophany
9.Get Yourself a Man
10.To Keep from Crying
11.After the Dream

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CELESTE / Principe di un Giorno

1976,ITALY

イタリアの4人組プログレッシブ・フォークCELESTEの1976年1st。

メロトロンのストリングスにヴァイオリンが絡み、アコギのアルペジオとフルートのハーモニーをバックにジェントルなボーカルが乗る清涼感溢れる#1。後半はアコギのアルペジオが作り出す神秘的なムードの中、フルートやサックスがドリーミーなソロを展開。バックの雫のようなピアノの音色が又良い感じです。
アコギ、ピアノの伴奏にフルートのハーモニーと牧歌的なボーカルが乗る#2。
3声コーラスと重々しいメロトロンがダークなムードを醸成する#3。ホルンやオーボエ風のシンセが登場する中間部で暗闇の中に一筋の光明が射し込む端整なナンバー。
スペイシーなシンセのSEと妖しいスキャットを引き裂き、KING CRIMSONの宮殿風な神々しいメロトロンが登場する#4。深遠なムードのフルート・ソロからチャーチ・オルガンとクワイヤで荘厳なクライマックスを迎えるインスト部を包み込むボーカル・パートは、ダークなムードに牧歌的なテイストも。
地中海風な明るいメロディの、ほのぼのとしたフォーク小品#5。
壮大で物悲しいメロトロン・ストリングスを軸に、フルートのハーモニーでホッとさせる静寂パートを盛り込んだ#6。
アコギとピアノ、メロトロンをバックにフルートが舞う田園フォークに、5度で硬質にハモったサックスのジャシーな響き、胸が締めつけられるほど美しいメロディのピアノ・ソロ、といったインスト・パートをフィーチュアした#7。

アコギ、ピアノ、フルート、ヴァイオリンといったアコースティック楽器の素朴なトーンにメロトロンが自然に溶け込み、まどろむようなサウンドを聴かせてくれます。各楽器がそれぞれ重要な役割を持ちつつ紡がれていくアレンジが、音数は少ないながらも非常に練られており、上品で端整な仕上がりとなっています。時折登場するシンセもSEっぽい使い方やピッチ・ベンドのこなれなさが新鮮で面白いアクセントになっています。

Track List

1. Principe Di Un Giorno
2. La Danza Del Fato
3. Eftus
4. Favole Antiche
5. L’imbroglio
6. La Grande Isola
7. Giochi Nella Notte

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KINGSTON WALL / Kingston Wall

1992,FINLAND

フィンランドの3人組ハード・ロック・バンドKINGSTON WALLの1992年1stアルバムKingston Wall。

60~70年代風サイケなムードを中心にしたグルーヴ感抜群のハード・ロックを展開。3ピースならではのサウンドの隙間を逆に上手に使い、LED ZEPPELINのようなダイナミズムとビッグなグルーヴを醸成しています。バリエーション豊富なフレーズで底辺を支えるSami Kuoppamaki(Dr)とJukka Jylli(B)のリズム隊、シャキシャキしたカッティングやスリリングなソロ・ワークを聴かせるPetri Walli (G/Vo)による確かなテクニックに裏打ちされたタイトなアンサンブルも見事。 ジャケット・アート通りのアラビア風味でモーダルなム-ドな#7、エスニックな#8を絡め、キャッチーな9-Ⅱのフレーズを繰り返し登場させながら連綿と一大叙事詩を綴る21分超の組曲#9で締めるアルバム構成もブッ飛んでいます。

Track List

1. With My Mind
2. Used to Feel Before
3. I'm Not the One
4. Fire
5. Waste of Time
6. Nepal
7. And I Hear You Call
8. Tanya
9. Mushrooms
I Prelude
II On My Own
III the Weep
IV Mushrooms
V Circumstances
VI Captain Relief
VII More Mushrooms
VIII the Answer

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KINGSTON WALL / Kingston Wall II

1993,FINLAND

KINGSTON WALLの1993年2ndアルバムKingston Wall II。

当時これを先に聴いたんだけど、ブっ飛びました。アラビアンなのはジャケで想像できるとして何かLED ZEPPELIN風なニュアンスもあったりして。しかも3人ですよ!すげェ。でも結構意外にストレートなハード・ロックで、フックとして上手くアラブ風味を効かせてる所が賢い。モロな#2あたりもZEPファンなら余裕じゃないですか?他に類を見ない独自のサウンドです。
その後3rd発表後1995年にバンドのブレイン的な存在であったG/Voのペトリが亡くなってしまう。

Track List

1. We Cannot Move
2. Istwan
3. Could It Be So?
4. And It's All Happening
5. Love Tonight
6. Two Of a Kind
7. I Feel Love
8. Shine On Me
9. You
10. Palékastro

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SPIRITUAL BEGGARS / Spiritual Beggars

1994,SWEDEN

デスメタル・バンドCARCASSを脱退したスウェーデン人ギタリスト マイケル・アモット(G)、少々ダミ声で王道ハード・ロック的歌唱のスパイス(Vo/B)、3ピースならではのサウンドの隙間を活かしたグルーヴィなリズムを刻むルディック・ヴィット(Dr)の3人組HR/HMバンドSPIRITUAL BEGGARSの1stミニ・アルバム。

ジミヘンを重厚でメタリックにしたかのようなリフでグイグイ押しつつ、終盤は3拍子の変態ジャジーなジャムでフェイド・アウト、と意外なヒネリを加えた#1。邪悪なブギーでグルーヴィに展開、サビのバッキングが何となくTHIN LIZZYっぽいムードの#2。またもやジミヘン風リフのヘヴィ・ロック#3。ミディアム・スローなテンポの#4。ズ太い単音ユニゾン・リフが牽引する#5。軽めのディストーション・サウンドによるファンキーなリフからサビでは邪悪でヘヴィ・メタリックなサウンドに発展する#6。歪み+トレモロをかけたギター・サウンドも良い感じです。

3ピースというバンド構成最小単位の利点であるタイトなアンサンブルと音の密度の濃淡を活かしたダイナミクス表現が巧み。リフで構成されたオールド・スクールな70年代風ハード・ロックがモデルですが、ブルーズ臭さは皆無でむしろサイケな感じ。ダウン・チューニングによる重低音や現代的なディストーション・サウンドでこういった音楽を演るのが新鮮でした。

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KULA SHAKER / K

1996,UK

奇才クリスピアン・ミルズ(G/Vo)率いる英国の4人組サイケ・ポップ・ロック・バンドKULA SHAKERの1stアルバムK。

インド風味を絶好のフックとして押し出しつつも、その実サイケでグルーヴィなロックをやっております。単なるPOPSと切り捨てる事が不可能な、細かいアレンジや練りこまれたコード進行とそれを感じさせないキャッチーな楽曲構成力が天才的です。
お香でも焚いて聴くと雰囲気抜群なインド風サイケ・ナンバー#4、#7。
国籍不明な妖しいトリップ・チューン#6。
シタールによるインスト#8。
メロトロンのカウンター・メロディがサイケ/インド風味に溶け込んだ#9。
60年代モノのようなセンスが文句無しにカッコ良いグルーヴ感満点の#10。等々、次から次へとキャッチー且つ濃いナンバーが目白押し。歌もギターも巧いクリスピアンの存在感が抜群なのは勿論、ジェイ・ダーリングトン(Key)のオルガンもテイストはサイケデリックだし、グルーヴ感に溢れたリズム隊も含めて演奏もタイトで素晴らしいです。

Track List

1. Hey dude
2. Knight on the town
3. Temple of everlasting light
4. Govinda
5. Smart dogs
6. Magic theatre
7. Into the deep
8. Sleeping Jiva
9. Tattva
10. Grateful when you're dead
11. 303
12. Start all over
13. Hollow man

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KULA SHAKER / Peasants,Pigs & Astronauts

1999,UK

英国のサイケ・ロック・バンドKULA SHAKERの2ndアルバムPeasants,Pigs & Astronauts。ノリノリなギター・ポップの楽曲が少なくなり、内省的とも言える神秘性が増して来ました。

メランコリックなアルペジオに導かれKULA SHAKER独特のグルーヴにゴスペル風コーラスを加えた#1。
トレモロを掛けたギターを中心とした浮遊感あるヴァースからブラス・セクションでブ厚くゴージャスに仕上がったサビに展開する#2。
スリリングな5拍子をフックにしたミステリアスなムードのサイケ・ロック#3。
インド風メロディのリフレインを繰り返す#4。
アコギ1本をバックにクリスピアン・ミルズ(G/Vo)の澄んだ歌声の歌唱が乗った小品#5。
インドの民族楽器シェナイのエキゾチックなテイストとストリングス・セクションのオーケストレーション、トレモロ・ギターが融合したキャッチーな#6。
ジェイ・ダーリングトン(Key)によるDOORSみたいなサイケなオルガンが印象的なタテ乗りサイケ・ポップ#7。
インド風な歌メロ、ギターのリフにサイケ・オルガンのナイスなオブリガードが加わり1stの楽曲に近いムードに仕上がった#8。
無機質なサンプルとパーカッションによるビートにシャナイの1/4音階フレーズが妖しく踊る#9。
#1のメロディをリプライズさせた、ムーディかつメランコリックな#10。
インド風メロディを織り交ぜた開放感あるギター・ロック#11。
ヒンドゥー教の寺院で流れていそうなくらい宗教的な高尚さをも感じさせる#12。

1stでのインド風味をより深化させつつも、それをコンテンポラリーなポップスに自然な形で融合・昇華させてしまうKULA SHAKERの(といかクリスピアン・ミルズの)才能が光ります。

Track List

1. Great hosannah
2. Mystical machine gun
3. SOS
4. Radhe radhe
5. I'm still here
6. Shower your love
7. 108 battles
8. Sound of drums
9. Timeworn
10. Last farewell
11. Golden avatar
12. Namami nanda nandana

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CATHEDRAL / The Garden of Unearthly Delights

2005,UK

英国のドゥーム・メタル・バンドCATHEDRALの2005年8thアルバムThe Garden of Unearthly Delights。

この頃からMySpaceではMetal / Progressive / Experimentalと自称し始めた彼ら。70年代ロック好きなリー・ドリアン(Vo)の趣味が高じてのものなのか、それとも本気なのか。リーのヘタウマ・ムード重視ボーカルを中心に据えた4人編成の限界なのか、わりと似たり寄ったりの楽曲が多いCATHEDRALですが、本作は良く練られてますね。

不気味なSEのオープニング#1から雪崩れ込む#2の音塊がもたらす野蛮なヘヴィ・グルーヴは、思わずヘッド・バンギングを誘発するカッコ良さ。中盤の沈み込む暗鬱パートもナイスです。
オールド・スクールな単音リフが牽引する#3も躍動感たっぷりで序盤から飛ばしてます。ギャズ・ジェニングス(G)が久々に冴えたリフを書き、底辺を支えるレオ・スミー(B)、ブライアン・ディクソン(Dr)のコンビもヘヴィ&グルーヴィ。特にうねるレオのベース・ラインが素晴らしいです。
続く#4はバンド一丸となってブルドーザーのように突き進む得意のシャッフル・ナンバー。今までも良くあったパターンなんですが、馴染みやすいフックが盛りだくさんで楽曲のキャラが立ってますね。
70年代風グルーヴのキャッチーな#5、アコギのアルペジオによるムーディなインスト#6を挟み、超強力な#7が登場。
静かな#6との対比で殺傷力も倍増の3連で刻むリフがカッコ良いアップ・テンポのナンバーです。
典型的CATHEDRALパターンのヘヴィなシャッフルに、生気の欠けた不気味な子供のコーラスを交え新機軸を見せる#8。
そして、女性ボーカルや多彩な展開で26分超!の長尺に挑んだ問題作の#9。
緩急、静動、清濁など様々なムードの小曲が連なる組曲形式。部分部分で思わずハッとする聴き所もあるんですが、全体的な構成度は今イチでしょうか。でも、ベテランとなった今でも新たな境地に挑戦する気概が感じられて嬉しいです。

約5分のブランク後に突如始まる隠しトラックや、青リンゴがデザインされた匂い付きのCDレーベルといった楽しいオマケも最高。さすがリー・ドリアン、ツボを心得てます。

Track List

1. Dearth AD 2005
2. Tree Of Life and Death
3. North Berwick Witch Trials
4. Upon Azrael's Wings
5. Corpsecycle
6. Fields Of Zagara
7. Oro The Manslayer
8. Beneath A Funeral Sun
9. The Garden

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KULA SHAKER / Strange Folk

2007,UK

英国のサイケデリック・ポップ・ロックバンドKULA SHAKERの11年ぶりとなる3rdアルバムStrange Folk。

とかくインド云々で語られる事の多いKULA SHAKERですが、そんな論調はまさに「木を見て森を見ず」ですね。本質的な音楽性は古き良き時代のサイケデリアにこそあり、インド的な要素もそこに包含される事を踏まえれば、この再結成アルバムも相変わらず極上のサイケ・ポップと言えるんではないでしょうか。

ギターのグリッサンドに掛けたディレイとサビでのスキャットとギターによるオブリガードのフレーズだけで、10年以上のブランクを吹き飛ばす#1。
リコーダーを絡めたストレンジな風合いのリフから突入する最初のヴォーカル・パートが、60年代ビート・サイケっぽくてクールな#2もオルガンがグリスで盛り上げるサビになるとグルーヴィ&カラフルに展開。
3連ロッカ・バラードの#3ではメロトロンの味付けもナイス。
先行ミニ・アルバムにも収録されていた#4はオルガンのバッキングに乗った王道サイケなサビが最高にイカしてます。
アルバム中盤はゲストのホーン等をフィーチャーしたエキゾチックなナンバー#6やバラード#7、メロトロンの白玉とヴォーカル・ハーモニーがサイケなムードを醸成しサビのオルガンが#4のマイナー・バージョンのような雰囲気で迫る#8でしっとり聴かせます。
続いて5拍子がクールな#9で目先を変え、田園フォークにオルガンやメロトロンの装飾でカラフルに仕上がった#10で一息入れ、エッジの立ったギター・リフがリードする#11で引き締め、サイケで幽玄な#12がラストを飾ります。

年齢を重ねたせいか弾けるようなエナジーは減少してますが、それを補って余りある深みとコクがKULA SHAKERサウンドのさらなる熟成を感じさせる好盤です。

Track List

1. Out on the Highway
2. Second Sight
3. Die for Love
4. Great Dictator (Of the Free World)
5. Song of Love/Narayana
6. Strangefolk
7. Shadowlands
8. Fool That I Am
9. Hurricane Season
10. Ol' Jack Tar
11. 6 Ft. Down Blues
12. Dr Kitt

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MASTODON / Crack the Skye

2009,USA

アメリカはアトランタ出身のヘヴィ・メタル・バンドMASTODONの2009年4thアルバムCrack the Skye。

たった3音で人を不安な気分にさせる秀逸なリフで軽く「オッ」と思わせつつ、その後のめくるめく変拍子攻撃にさらされた頃には既にハマってしまっている#1をはじめ、現代的なヘヴィネスの意匠を巧みに纏った深遠な音楽がここにはありますね。
プログレッシブな薫り漂うメタルではありますが、これ見よがしなテクニックに走るわけでは無く、あくまでも楽曲展開の妙とリフの音使いで聴かせ切ってしまうところが凄いです。
例えば同じくプログレッシブなメタルだとOPETHなんかが思い浮かびますが、OPETHがメロトロンやハモンドといった機材の持ち味やアコギやクリーン・ヴォイスによる叙情フレーバーの挿入で陰影を浮かび上がらせているのとは対照的に、MASTODONはギター2本とリズム隊による轟音パート中心の外連味無い展開だけでここまでの起伏を表現しているのが素晴らしい。
メタル然としてカッコ良い#2などは良く聴けばかなり凝った方なのに、この#2が霞むくらいの濃厚な楽曲で満たされております。
4部構成の組曲#4は勿論、5分程度の#6にしてもエキゾチックな要素を巧く消化して楽曲のキャラを立たせた濃密な時間が味わえます。
#2を除いて中長尺な楽曲中心ながら、冗長なパートが全くといって良い程無いのも珍しいですね。アメリカのバンドだと思って甘く見てましたが驚きました。

Track List

1. Oblivion
2. Divinations
3. Quintessence
4. The Czar
I. Usurper
II. Escape
III. Martyr
IV. Spiral
5. Ghost of Karelia
6. Crack the Skye
7. The Last Baron

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CATHEDRAL / The Guessing Game

2010,UK

英国のメタル/プログレッシブ/エクスペリメンタル・バンドCATHEDRALの2010年9thは怒涛のCD2枚組。

前作The Garden of Unearthly Delightsから顕著になりだしたプログレッシブ&サイケ風味が、いよいよアルバム全体を覆ってきました。もはや出自のドゥームやヘヴィネスも彼らにとっては音楽性の単なる一要素となり、BLACK SABBATH同様に(っていうか本家をマネて)これまでアルバム中の1~2曲で見せてきたメロウであったりグルーヴィであったり70年代風であったり、という実験的なテイストを各楽曲に練りこんだ芳醇な作りになっております。
勿論御大リー・ドリアン(Vo)のヘタウマ歌唱の限界もありますが、そこは、コーラスでDISC1#2及びDISC1#7に参加したMELLOW CANDLEのアリソン・オドネル(Vo)をはじめとした弦やシタール奏者などのゲスト陣、70年代マニアのレオ・スミー(B)のプレイするモーグ・タウラス、ARP、コルグPoli Six等ヴィンテージ・シンセの豊かなサウンドでカヴァー。
さらに、現代のリフ・マスター ギャズ・ジェニングス(G)のリフ・ワークもかなりの冴えを見せており、ヘヴィにドライヴするDISC1#2、引き摺るDISC1#6、典型的CATHEDRALタイプのDISC2#2、抜けの良いコード・ストロークがシャープなDISC2#3、ドゥーミーなDISC2#5、などなどバラエティに富みつつも強力なフックとなる逸品揃い。
又、ヘヴィなリフが溶け合ったDISC1#4、オートハープ等を隠し味にしつつ楽曲全体をリードするインストゥルメンタルDISC1#5などメロトロンも枯れた良い味を出しています。

売れ線狙いとは真逆の、ロックが最高にカッコ良かった70年代の「何やってもOK!」なムード満載のアルバムです。
ジャケット・アートはお馴染みデイヴ・パチェット。12面折のブックレットを広げると、いつもと同様の美しくも妖しく奇妙な異形の世界が広がります。

Track List

DISC 1
1. Immaculate Misconception
2. Funeral Of Dreams
3. Painting In The Dark
4. Death Of An Anarchist
5. The Guessing Game
6. Edwige's Eyes
7. Cats, Incense, Candles & Wine
DISC 2
1. One Dimensional People
2. Casket Chasers
3. Ghost Galleon
4. The Running Man
5. Requiem for the Voiceless
6. Journeys Into Jade

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KULA SHAKER / Pilgrims Progress

2010,UK

復活KULA SHAKERの2010年通算4thアルバムPilgrims Progress。

アロンザ・ベヴァン(B)がベルギーの森の中に所有する納屋をスタジオに改装し、そこでレコーディングされました。

チェロを導入したメランコリックな#1。
マンドリンとリコーダーの素朴でかわいい音色が印象的な、どこか懐かしい感じのする#2。ハーモニカのソロもいい感じです。
従来よりちょっとレイドバックしてますが、典型的なKULA SHAKER風サイケでグルーヴィな#3。
牧歌的フォークからサイケ・ロックに展開する#4。
シタールとタブラをフィーチュアしたエキゾチックなフォーク#5。
クリスピアン・ミルズ(G/Vo)の生々しい歌唱が冴えるフォーク#6,#7。
テープ逆回転SEから始まるインド風味のサイケ・ポップ#8。
リバーヴの感じが60年代ビート・ポップっぽい#9。
冒頭のハープあるいはオートハープのような不思議な音色が印象的なインストゥルメンタル#10。エレキ・ギターが入ると西部劇のサントラみたいな雰囲気になって、これもちょっと懐かしい感じ。
マンドリンの音色が神秘的に響くミステリアスなナンバー#11。
モジュレーションを掛けたギターの浮遊感と、メロトロンか足踏みオルガンのようなサイケなトーンが耳に残るフォーク#12。終盤はチャーチ・オルガンが荘厳に物悲しいフレーズを提示。このフレーズがリフレインし、ドラマティックにアルバムの幕を引きます。

グルーヴィに弾けるロック・チューンやお馴染みインド風味がほとんど無くなり、欧風フォークロアなアコースティック路線の楽曲が多く収録されているのは、喧騒から遮断されたレコーディング環境にもあるのかもしれません。
今まで派手な楽曲の陰に隠れがちながらも確かに存在した、KULA SHAKERが持つアナザー・サイドに焦点を当てた作風で、フォーク&トラッドなテイストの3rdアルバムをウェールズのコテージで作曲したというLED ZEPPELINのエピソードを想起させます。クリスピアンによると次回作は思いっきりインド風味にする(こればっか訊かれる事にイヤになっての逆に皮肉かもしれませんが・・・)とのことですが、本アルバムもなかなか味があって良いですよ。

Track List

1. Peter Pan RIP
2. Ophelia
3. Modern Blues
4. Only Love
5. All Dressed Up
6. Cavalry
7. Ruby
8. Figure It Out
9. Barbara Ella
10. When A Brave Meets A Maid
11. To Wait Till I Come
12. Winters Call

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KULA SHAKER / K2.0

2016,UK

英国のサイケでポップなラーガ・ロック・バンドKULA SHAKERの5thアルバムK2.0。

タイトルは1stアルバムのKから20周年であることと、その進化形としてのバージョン2.0を意味するものだろうか。

シタールの響きがムードを盛り上げるKULA SHAKERのパブリック・イメージを体現するラーガ・ロック#1。
サビでの豪快なギターとランニング・ベースがカッコ良いポップ・チューン#2。
意表を突いたフォークロア風ダンス・チューン#3。
ベース・ラインがリードするダンサブルな曲調にペーソスを織り込んだ#4。
メランコリックなフォークから骨太なギター・ロックに移行する#5。
シタールのソロをフィーチュアした素朴なカントリー・フォーク#6。
シタールと妖しげな女性コーラスが初期のサウンドを彷彿させるクールなラーガ・ロック#7。
印象的な口笛が西部劇風なテイストを漂わせた#8。
メランコリックなインド風フォーク#9。
リフとファンキーなカッティングによるクールネスとサビでのキャッチーなパッションが対比する#10。
マントラの怪しい響きが耳から離れないカッコ良いロック・チューン#11。

全体的には前作Pilgrims Progressのフォークロア路線を色濃く継承しつつ、初期の躍動感も復活。最大の持ち味であるインド及びサイケなテイストを適度にまぶしてKULA SHAKERにしかできない世界が表現されている。
ただし、従来のようなオルガンやメロトロン等のキーボード類は大幅に減少しカラフル度は低下。アコギやマンドリンなどのアコースティック楽器のフィーチャー度をアップさせた渋いサウンドに、楽曲に応じてクリスピアン・ミルズ(G/Vo)が多彩な歌唱を聴かせバラエティを加える大人な演出を施している。
フォーキーなテイストが初期のインド風味のカッコ良いロック・サウンドと融合、年輪を重ねたからこそ成し得た現在のKULA SHAKERサウンドこそがKULA SHAKERのバージョン2.0ということなのだろう。

Track List

1. Infinite Sun
2. Holy Flame
3. Death of Democracy
4. Love B (with U)
5. Here come my Demons
6. 33 Crows
7. Oh Mary
8. High Noon
9. Hari Bol (the sweetest sweet)
10. Get Right Get Ready
11.Mountain Lifter

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