THIN LIZZY のレビュー

THIN LIZZY / Thunder and Lightning

1983,IRELAND

アイルランドのハード・ロック・バンドTHIN LIZZYの1983年12thにしてラスト・アルバム。

前作RENEGADEを最後に脱退したスノーウィー・ホワイトに代わり、元TYGERS OF PAN TANGのジョン・サイクス(G)を起用。既にバンドの解散がアナウンスされており、かなりの注目度の中でのリリースとなりました。大抜擢されたジョンはフィルの寵愛もあってか、あくまでもTHIN LIZZYというバンドのフォーマットを尊重しつつも伸び伸びと大活躍。ソング・ライティングでは#5のみながらプレイとサウンドで大きく貢献し、NWOBHMブームにあやかったバンドのヘヴィ・メタル路線を支えています。ザクザクした単音リフと攻撃的なバッキングにフィル・ライノット(B/Vo)のマシンガン・ボーカルが乗るメタリックなオープニング・チューン#1。ソロではオーソドックスなスコット・ゴーハム(G)、ダーレン・ワートン(Key)のシンセ・ソロ、早弾きやピッキング・ハーモニクスを多用した鮮烈なジョンのソロをフィーチュア。新たな血を導入したTHIN LIZZYの名詞代わりの会心の一撃となりました。前ノリで#1の勢いを引き継ぐ哀愁のサビを持つ#2。スコット=右CH、ジョン=左CHとパンニングされたギター・ソロでは、フレージングやトーンにそれぞれの個性が滲み出たギター・バトルが楽しめます。ブライアン・ダウニー(Dr)のリム・ショットが淡々と刻むリズムに、クリーンなギターとシンセがムーディなバッキングを加える叙情ナンバー#3。ロングトーンを活かした官能的なギター・ソロはジョンでしょうか。あのTYGERS OF PAN TANGのジョンが随分大人なプレイをするもんだ、と当時は感心したものです。ツイン・リードでの小刻みなハーモニーと緩急を使い分けたドラマティックなジョンのギター・ソロが印象的な、カッコ良いハード・ロック#4。ジョンとフィルが共作したHM/HRの定番、5度重音リフがリードする#5。バッキング時のアグレッシブなグリッサンドやソロでのライト・ハンド奏法など、自分の曲ということもありジョンが好き放題やっちゃってます。典型的なTHIN LIZZYパターンの楽曲に、おそらくダーレン・ワートンの持ち込んだものと思われる洒落たコード進行や変拍子がプラスされ、コンテンポラリーに仕上がったハード・ロック#6。ジョンのスムーズなフレージングもハマってます。アイディアの引き出しが豊富なジョンのギター・ソロをフィーチュアした、THIN LIZZYらしさが色濃く残る哀愁のシャッフル・ナンバー#7。スコットのメロディアスなギター・ソロをフィーチュアした、スコットとフィルの共作によるキャッチーな#8。途中からハモるツイン・リードがゾクゾクするハード・ロック#9。従来のTHIN LIZZYらしさにジョン・サイクスやダーレン・ワートンといった若い才能のもたらした新機軸が加わり、このメンツでしか成し得ない上質なハード・ロックが展開されています。ラスト・アルバムという付加価値を差し引いても、このアルバムが高品質な事に疑いは無く、THIN LIZZYが、というかフィルが最後の意地を見せつけた感じがしますね。

Track List

1. Thunder and Lightning
2. This Is the One
3. The Sun Goes Down
4. The Holy War
5. Cold Sweat
6. Someday She Is Going to Hit Back
7. Baby Please Don’t Go
8. Bad Habits
9. Heart Attack

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カテゴリー: THIN LIZZY

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