ジャズ・ロック のレビュー

CARAVAN / Caravan

1968,UK

WILD FLOWERSから派生した初期カンタベリー・ミュージックのバンドSOFT MACHINEとCARAVAN。このCARAVANの1968年1stは、時折コード進行にSOFT MACHINE的クールなジャズ・テイストを漂わせつつも、全体的な印象は時代を反映したサイケ・ポップという感じ。CARAVAN特有のどこか牧歌的で叙情的な美しいメロディも既に聴かれます。

パイ・ヘイスティングス(G/B/Vo)の素直なヴォーカルが楽曲の陰影を際立たせる#1では、チープなローリー社製と思しきオルガンによるシングルノート中心のソロもこの時点では未だファズも未使用ながら、ワウを活用したオーガニックな音色コントロールによるフレージングが胸を打ちます。
インド的モーダルな#2やサイケ・ムード満載の#5でも活躍するこのオルガン。デイヴィッド・シンクレア(Org)のテクニックに走り過ぎない、あくまでも楽曲ありきの姿勢が好印象です。
長尺(と言っても9分)のラスト#8ではドラマティックな起伏を持つ楽曲構成力も発揮しており、デビュー作でこの完成度はさすがタダ者じゃありません。

Track List

1.Place of My Own
2.Ride
3.Policeman
4.Love Song With Flute
5.Cecil Rons
6.Magic Man
7.Grandma's Lawn
8.Where But For Caravan Would I?

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AFFINITY / Affinity

1970,UK

英国ジャズ・ロックバンド5人組AFFINITYの唯一作。
カヴァー曲を中心にフィンランド出身の女性シンガー リンダ・ホイル(Vo)のボーカルをフィーチャー。#1ではLED ZEPPELINのジョン・ポール・ジョーンズがブラス・セクションのアレンジを担当、リンダのパワフルな歌唱にマッチした独特なグルーヴを醸成しています。
ジャジーでムーディなパートとオルガンのリフに乗った高揚感ある展開に発展するパートとの対比が見事な#2では、リントン・ネイフ(Key)による軽く歪んだオルガンがクールなモード奏法から一転してメロディアスなフレーズを紡ぐソロプレイも聴き物。

ストリングスとコーラスをバックにクリーンな美声が堪能できる#3、ハスキーで力強い歌唱とクリーンで優しい歌唱を使い分ける#4、とデビュー作とは思えない表現力を見せるリンダ。
ブラス・セクションがヘヴィなグルーヴをもたらすブルーズ・ロックのオリジナル・ナンバー#5はリンダのパワフルな歌唱とマイク・ジョップ(G)のソロがハイライト。
ボブ・ディランのカヴァー#7では、スピード感あるオルガンのインプロビゼーションとリンダのパワフルな歌唱が交互に登場、11分超にわたって怒涛の演奏を聴かせます。ジャケット・アートはキーフ。

Track List

1. I Am and So Are Are You
2. Night Flight
3. I Wonder If I'll Care as Much
4. Mr. Joy
5. Three Sisters
6. Coconut Grove
7. All Along the Watchtower

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SOFT MACHINE / Third

1970,UK

SOFT MACHINEの1970年3rdアルバムThird。

アナログ時代はディスク2枚での4曲構成で歌入りは#3のみ。基本の3人にホーンセクションを加え、ジャズ風味もあるサイケでカラフルなロックだった前作から硬派なジャズ路線に進化してます。
とはいえ#1では、ホーンがテーマのメロディをクールに構築する傍ら、ソロタイムではマイク・ラトリッジのファズ・オルガンがこれでもかとシングル・ノートの反復フレーズを叩きつける所に熱いロックな息吹も感じられます。
全編シリアスでジャジーな印象なので堅苦しさすら覚えそうな所ですが、前作までの流れを継承したメロディアスでサイケPOPなヴォーカル曲#3の存在がナイスな気分転換となってます。
別の日のライブを繋げた#1やテープの逆回転エフェクトを駆使した#4にスタジオ・ワークとしてアルバム制作を捉えた実験的な姿勢が感じられます。ミニマルで浮遊感のある無機的な逆回転と、その後の7拍子パートでのオーガニックに爆発するインプロビゼーションとの対比が効果的なんですよね。

Track List

1.Facelift
2.Slightly All the Time
3.Moon in June
4.Out-Bloody-Rageous

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CRESSIDA / Asylum

1971,UK

キーフによるジャケット・アートで有名な、ジャズ風味を仄かに漂わせた英国プログレッシブ・ロック・バンドCRESSIDAの2ndアルバムAsylum。

歌モノではあるが、間奏でのオルガンを中心としたインプロビゼーションは聴き応えがあります。
オーケストラを導入し冷ややかな質感のストリングスが染み入る叙情大作#2では、緩急を自在に織り交ぜた楽曲構成力を発揮し9分超の長尺を飽きさせません。
11分超の#8は控え目なオーケストレーションがジャジーな歌唱パートをセンス良くデコレーションする叙情と、オルガンによる熱いインプロビゼーションの情熱が融合した傑作。

#2,#8以外は3~5分程度のコンパクトな尺ながら、適度にPOPな歌パートに対しマイルドな音色で流麗なプレイを聴かせるオルガンによるソロ・パートが良いアクセントとなっています。

Track List

1. Asylum
2. Munich
3. Goodbye Post Office Tower Goodbye
4. Survivor
5. Reprieved
6. Lisa
7. Summer Weekend of a Lifetime
8. Let Them Come When They Will

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MATCHING MOLE / Matching Mole

1972,UK

SOFT MACHINEを脱退したロバート・ワイアット(Dr/Vo)が元CARAVANのデイヴ・シンクレア(Org/P)、元DELIVERYのフィル・ミラー(G)、元QUIET SUNのビル・マコーミック(B)と結成したバンドの1972年1stアルバム。

メロトロンがリードする素朴で美しすぎるバラード#1から冒頭の3曲では構築された美を提示。
一転してテーマ・メロディだけ設定して後はやりたい放題の#4、#3の続きのようなスキャットから始まりデイヴ・シンクレアのファズ・オルガンが唸る#5、SEのような導入部から怒涛のソロ・パートに突入する#6では、インプロビゼーションを盛り込んだスリリングなジャズ・ロックを展開。
終盤は各楽器のノイズをSEのようにコラージュした(フリー・インプロビゼーション?)#7や、その流れのままメロトロンによる白玉即興で美しくも不穏かつスペイシーなムードを醸成する#8で実験的な試みも見せた野心作です。

Track List

1. O Caroline
2. Instant Pussy
3. Signed Curtain
4. Part of the Dance
5. Instant Kitten
6. Dedicated to Hugh, But You Weren't Listening
7. Beer as in Braindeer
8. Immediate Curtain

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HATFIELD AND THE NORTH / Hatfield and the North

1973,UK

HATFIELD AND THE NORTHの1973年1stアルバムHatfield and the North。

切れ目無く紡がれて行く各曲は、時にPOPで時にアヴァンギャルドと変幻自在ながら、一本芯の通った整合感あるアレンジがある種の安心感を聴き手にもたらし、いつまでも聴いていたい思いにさせてくれます。
勿論スリリングなオルガンとギターによるアドリブの応酬もあるが、それすらも爽やかな位心地良いです。
後にBRUFORDでシンセによる縦横無尽なアレンジを聴かせ、スチュワート&ガスキンではPOPなプロデューサーとして辣腕をふるう天才キーボーディストのデイヴ・スチュワート(Key)も、ここではエレピや歪み時々ワウなオルガンという手薄な機材の可能性の限界を超えたカラフル且つモダンな演奏で全体を優しく包み込んだかと思うと、一方では単音ファズ・オルガンでギンギンに攻めたりして大活躍してます。
そのバーバラ・ガスキンを含む女性3人組コーラス隊”ザ・ノーセッツ”の美声や、ヘンリー・カウから客演のジョフ・レイによるSAX が良いアクセントになっています。

Track List

1. Stubbs Effect
2. Big Jobs (Poo Poo Extract)
3. Going up to People and Tinkling
4. Calyx
5. Son of There's No Place Like Homerton
6. Aigrette
7. Rifferama
8. Fol de Rol
9. Shaving Is Boring
10. Licks for the Ladies
11. Bossa Nochance
12. Big Jobs No. 2 (By Poo and the Wee Wees)
13. Lobster in Cleavage Probe
14. Gigantic Land Crabs in Earth Takeover Bid
15. Other Stubbs Effect

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TEMPEST / Tempest

1973,UK

元COLOSSEUMのジョン・ハイズマン(Dr)が結成したTEMPESTの1973年1st。

ディストーション・ギターによるパワー・コードやブルーズ・ロック風な音使いのリフ、男臭くて暑苦しいヴォーカル、ヘヴィでラウドなドラムと、楽曲の構成パーツは基本ハード・ロック。しかし最大の聴きモノはスリリングなアンサンブルに加えて、ソロ・パートでのジャズ風味と超絶インプロビゼーション。特に当時27歳のアラン・ホールズワース(G/Vln)が後年の左手によるフィンガリング中心のレガートな変態フレーズはまだ控え目で、ピッキングによるオーソドックスな早弾きをメインに弾きまくっております。時折常人ギタリストには理解不能な変態的な音使いでヌルヌルッとハンマリングやスライドを使ったキメのフレーズも飛び出す所が超個性的。この時代のロック界でこのテクニックは異常ですね。ブッ飛んでます。シャープなカッティングもカッコ良すぎです。ホールズワースはヴァイオリンも披露しております。

Track List

1. Gorgon
2. Foyers of Fun
3. Dark House
4. Brothers
5. Up And On
6. Grey And Black
7. Strangerher
8. Upon Tomorrow

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カテゴリー: TEMPEST

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ARTI E MESTIERI / Tilt

1974,ITALY

イタリアの6人組ジャズ・ロック・バンドARTI E MESTIERIの1974年1stアルバムTilt。

フリオ・キリコ(Dr)の繰り出す手数の多いドラミングを中心に鍵盤とギターがバックを固め、ヴァイオリンとサックスがメインのメロディをクールに奏でるスタイルで統一されています。が、しかし、そのオーガニックな響きゆえに温かみをも同時に醸し出した独特のサウンドになっているのがポイント。そしてそのクールなインストゥルメンタル・パートと対比を成すのが、ボーカルが入った時の静かな叙情。特に#2の囁くようなボーカルとジワジワ染み入るメロトロンによる、もう反則っていうくらいの叙情味は印象に強く残ります。又、普段はバッキングに徹しているギターも、#4では突如スリリングな早弾きソロで前面に出てきます。そんなロック的熱さも魅力。クールなジャズ・ロックと優しい叙情を交差させた13分超の#7のドラマティックさは圧巻。

バンド名通り、芸術家の感性と職人の技術が高次元で融合。全9曲中インストゥルメンタル・ナンバーが7曲という構成でいながら、親しみ易く歌心を感じさせるアルバムです。

Track List

1. Gravità 9,81
2. Strips
3. Corrosione
4. Positivo / Negativo
5. In Cammino
6. Scacco Matto
7. Farenheit
8. Articolazioni
9. Tilt

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QUELLA VECCHIA LOCANDA / Il Tempo Della Gioia

1974,ITALY

イタリアのプログレッシブ・ロック・バンドQUELLA VECCHIA LOCANDAの2ndアルバムIl Tempo Della Gioia。

マッシモ・ロセリ(Key)のピアノとレイモンド・マリア・コッコ(G/Fl)のアコギが織り成す端整なムードに切れ込んでくるクラウディオ・フィリーチェ(Vln)のヴァイオリンで幕を開け、叙情的なパートの繊細さとボーカルが歌い上げるサビに続くクラシカルなストリングス・パートでの力強さとの対比がドラマティックな#1。
フルートとヴァイオリンに典雅なハープシコード、さらにクワイヤが加わり、マイナーなメロディでクラシカルに盛り上がるインストゥルメンタル#2。
イタリアらしい叙情メロディの序盤からクールなジャズ・ロック・パートを経て、シンセ、ヴァイオリン、フルート、ギターがそれぞれの見せ場を用意しながらスリリングなアンサンブルを聴かせる器楽パートに至るプログレッシブ・チューン#3。ベースがなかなかのグルーヴで底辺を支えています。
メロディ、バッキング、ソロと、ヴァイオリンが前面に出たクラシカルな序盤から、ブルージーなバッキングに乗ったクラリネットやピアノのソロ・パートを経て、叙情と熱情が交錯するボーカル・パートに発展する9分超の組曲的な大作#4。
異教の混声クワイヤのような妖しいムードのイントロ、枯れたアコギのアルペジオとフルートがもたらす何とも言えない寂寥感、不安感を煽るミステリアスなメロディのボーカル・パート等で構成されたプログレッシブ・ジャズ・ロック#5。

クラシカルな端整さと破天荒なジャズ・ロック的アンサンブル、静寂の中の叙情とラテンの血が騒ぐ情熱パート。全編一貫したトーンで様々な表情を見せる、確かなテクニックに裏打ちされた抜群のアンサンブルが素晴らしいです。

Track List

1. Villa Doria Pamphili
2. A Forma Di
3. Il Tempo Della Gioia
4. Un Giorno Un Amico
5. E Accaduto Una Notte

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TEMPEST / Living in Fear

1974,UK

TEMPESTの1974年2nd。

1stでギターを弾いていたアラン・ホールズワースに代わりオリー・ハルソールが参加。ギターは勿論、ヴォーカルやキーボードをこなすオリーのもたらしたカラーなのか、よりストレートでキャッチーなハード・ロックを展開。とはいえ、スライド・ギターによるオブリガードが印象的な#3をはじめ、印象的なリフ中心の楽曲構成の中で時折見せるジャズ風味のアレンジが新鮮。ソロ時の存在感はアランの圧倒的な超絶変態プレイに到底及ばないが、オリーも十二分にテクニカルでスリリング。各楽曲のキャラ立ちやアレンジの多彩さにタイトな演奏と、アルバムのトータルの出来としてはこちらが上かも。ハード・ロックを極めたリーダーのジョン・ハイズマン(Dr)はTEMPESTを解散しCOLUSSEUM Ⅱを結成、再びジャズ・ロックを追及します。

Track List

1. Funeral Empire
2. Paperback Writer
3. Stargazer
4. Dance To My Tune
5. Living In Fear
6. Yeah, Yeah, Yeah
7. Waiting For A Miracle
8. Turn Around

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カテゴリー: TEMPEST

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ARTI E MESTIERI / Giro di Valzer Per Domani

1975,ITALY

イタリアのプログレッシブ・ロック・バンドARTI E MESTIERIの2ndアルバムGiro di Valzer Per Domani。

新たに専任シンガーのジャンフランコ・ガーザ(Vo)が加わり出番は少ないもののハリのある歌唱を活かした#3などの歌モノと、よりフュージョンに接近した快活なジャズ・ロックを展開。その分、1stにあった繊細なボーカルとメロトロンが醸し出す叙情性は後退しています。

#5に代表されるようにギターが硬質な単音リフで底辺を支え、ヴァイオリンと管がユニゾン或いはハーモニーでテーマ・メロディを奏でるジャズ・ロックが基本スタイル。#7では管、ギター、ヴァイオリンが追いかけっこのようにフレーズを継承し心地良い流れを生み出したりもする発展形も披露。ここに、時折ヴィブラフォンがアクセントとを加えています。そして勿論フリオ・キリコ(Dr)の超絶ドラムは健在。
あまりに滑らかなロールはもはやフィルインの域を超え、メロディアスと言っても良いほど他のパートと融合しています。

全体的にカッチリとアレンジされた中、ギターとヴァイオリンが転調に対応したモーダルなフレーズの熱いソロ・バトルを繰り広げる#2や、サックスの官能的なソロが聴ける#9など、テクニックと表現力に長けた各人の演奏も堪能できます。

Track List

1. Valzer per Domani
2. MIrafiori
3. Saper Sentire
4. Nove Lune Prima
5. Mescal
6. Mescalero
7. Nove Lune Dopo
8. Dimensione Terra
9. Aria Pesante
10. Consapevolezza parte 1
11. Sagra
12. Consapevolezza parte 2
13. Rinuncia
14. Marilyn
15. Terminal

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GILGAMESH / Gilgamesh

1975,UK

後にHATFIELD AND THE NORTHとの混成バンドNATIONAL HEALTHに発展するGILGAMESHの1975年作。

アラン・ゴウエン(Key)を中心にジャズ方面のメンツで構成された為か、音使いや延々と続くアドリブがジャケットのPOPなイメージとは裏腹に難解。しかし、そこはデイヴ・スチュワートのプロデュース力でロックな耳にも耐えうる大衆性を確保。エレピとアコギによる美しいメロディにまろやかなムーグが絡む#4、フィル・リー(G)による優しいアコギのソロ#6などでホッとする瞬間もあり、難解なジャズ・ロックに対峙する聴き手の集中力を保ってくれてます。
各パートのプレイが上手過ぎて逆にクールに過ぎ去っていく中・長尺曲#1,#5では困惑する場面もあったりするが、8分弱の#7は別。比較的明快な変拍子メイン・テーマとアドリブ・パートの線引きがはっきりしており、スリリングな演奏を余裕で楽しめます。終盤のアマンダ・パーソンズ(Vo)によるコーラス部での音の質感はHATFIELDやNATIONAL HEALTHそのものです。

Track List

1. One and More/Phil's Little Dance-For Phil Millers Trousers/Worlds of Zin
2. Lady and Friend
3. Notwithstanding
4. Arriving Twice
5. Island of Rhodes/Paper Boat/As If Your Eyes Were Open
6. For Absent Friends
7. We Are All/Someone Else's Food/Jamo and Other Boating disasters-from the holiday of the same name
8. Just C

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HATFIELD AND THE NORTH / The Rotters’ Club

1975,UK

ロック、POP、サイケ等雑多な音楽性がジャズの感性と確かなテクニックによって奇跡の融合を果たしたカンタベリー・ミュージックの名盤。HATFIELD AND THE NORTHの1975年2ndアルバムThe Rotters’ Club。

ジャズ・ロックというほど構えてもおらず、かといって退屈なBGMとは程遠いこの感触。
小難しくは無いけどいかにも英国風な良質のメロディと軽快なインプロビゼーションは、身を委ねているだけでも充分な心地良さ。
エレピ、オルガン、アナログ・シンセとデイヴ・スチュワート(Key)が大活躍。フィル・ミラー(G)のギターも派手さは無いがテクニカルで、鍵盤とのユニゾンやハモリで適度なスリルを提供。

キメとインプロビゼーションを往き来する圧巻のアンサンブルと女性コーラスをオシャレにあしらったラストの組曲Mumpsはプログレ史に残る名曲。

Track List

1. Share It
2. Lounging There Trying
3. (Big) John Wayne Socks Psychology on the Jaw
4. Chaos at the Greasy Spoon
5. Yes No Interlude
6. Fitter Stoke Has a Bath
7. Didn't Matter Anyway
8. Underdub
9. Mumps

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COLOSSEUM II / Strange New Flesh

1976,UK

英国のジャズ・ロック・バンドCOLOSSEUM IIの1stアルバムStrange New Flesh。

元COLOSSEUM~TEMPESTのジョン・ハイズマン(Dr)を中心とした、ゲイリー・ムーア(G)、ドン・エイリー(Key)、ニール・マーレイ(B)、マイク・スターズ(Vo)の5人組。

PINK FLOYDの超名盤にひっかけたタイトルのインストゥルメンタル#1では、ジョン・ハイズマンの手数の多いビートをベースに、モーグ・シンセ中心に各種キーボードでカラフルなプレイを聴かせるドン・エイリーと負けじと高速フレーズで対抗するゲイリー・ムーアの超絶テクニックが激突。
エモーショナルな歌唱を活かしたメロディアスなバラードに、様々な表情を見せるキーボードを中心に繰り広げるインスト・パートを内包した#2。
クラビネットとギターによる小気味良いバッキングがファンキーな#3。
ゲイリー・ムーアの暑苦しいコーラス、ドンによるヴォコーダーがアクセントとなったポップな歌モノ#4。
エレピをバックに繊細なトーンで流麗なフレージングを聴かせるゲイリー・ムーアのギターをイントロと中間部に配したムーディでジャジーな#5。
小刻みなジョン・ハイズマンのドラム、それに完璧にシンクロしたニール・マーレイのベース、テクニカルなユニゾンやハーモニーを聴かせるキーボードとギターが織り成す、洒落たコード進行と複雑なリズムで展開するプログレッシブ・フュージョン#6。

インスト、歌モノ問わずコンテンポラリーに仕上げられた楽曲が古さを感じさせず、ゲイリー、ドン、ニールといった後にハード・ロックの世界で名を馳せる人達の確かなテクニックと幅広いセンスが堪能できます。

Track List

1. Dark Side Of The Moog
2. Down To You
3. Gemini And Leo
4. Secret Places
5. On Second Thoughts
6. Winds

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GOBLIN / Roller

1976,ITALY

イタリアン・ロック・バンドGOBLINの2ndアルバムRoller。

ダリオ・アルジェント監督作品Profondo Rosso(邦題「サスペリア2」)をはじめ、数々の映画サントラを手がけてきたバンド初のオリジナル作品。

14/8+15/8拍子のアルペジオ・リフに続き、重厚なチャーチ・オルガンをバックに硬質なエレキ・ギターによるメイン・メロディが紡がれる、厳かな中にもクールなスリルを感じさせるオープニング・ナンバー#1。
「ホラー映画サントラの人達」という先入観からか、水滴の滴るSEすらついつい不気味に聴こえてしまう#2。アコギのアルペジオとシンセ(+オルガン?)からなる神秘的なパートから一転してのエモーショナルなギター・ソロが素晴らしいタッチ。
クラビネットの4小節リフを軸にモーグのメイン・メロディ、モーダルなトーンを交えたハイセンスなエレピ・ソロで構成されたファンキーかつクールなクロス・オーバー風ナンバー#3。
ピアノとアコギによる穏やかで清廉なデュオ#4。終盤にクラリネットが登場しアクセントに。
不気味で耳障りなSEからピアノのアルペジオとパワー・コードのオープニングを経て、オーボエのようなモーグのメランコリックなメイン・メロディが登場するドラマティックな#5。弾き捲くるギター・ソロ、そのバックで裏ソロとも言えるグルーヴィで派手なプレイを繰り広げるベース、細かくロールするドラム・ソロなどメンバーの技を披露しながらも、静と動の起伏、シンセをはじめとした多彩な鍵盤群でバンドの音楽性をも集約したプログレッシブ・チューン。バンド名を冠するだけあって聴き所満載の11分超大作。
不条理メロディが狂気と不気味さを醸し出す#6。

意外な展開で聴き手の予想を手玉に取るかのようなドキドキ感を織り込みながらも、メロディをキッチリと印象に残させるあたりはサントラ仕事の経験を活かしたといったところでしょうか。
とにかく各メンバーの演奏が流麗でシャープなのでメロディが引き立っています。

Track List

1. Roller
2. Aquaman
3. Snip Snap
4. Il Risveglio Del Serpente
5. Goblin
6. Dr. Frankenstein

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カテゴリー: GOBLIN

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CAMEL / Rain Dances

1977,UK

CAMELの5thアルバムRain Dances。

ダグ・ファーガソンに代わり元CARAVANのリチャード・シンクレア(B/Vo)が加入。

飛翔感のあるシンセのメロディがThe Snow Gooseを想起させるインストゥルメンタル#1。時折顔を覗かせる叙情がCAMELらしい。終盤のリフレインでは元KING CRIMSONのメル・コリンズ(Sax/Fl)によるむせび泣くサックスでさらに叙情を増量。
リチャード・シンクレアのジェントルな歌唱をフィーチュアした#2。落ち着いたムードの歌唱パートと対照的なジャズ
・ロック的インスト・パートでは変拍子、テンポチェンジを交え躍動感あるアンサンブルを展開。
フレットレス・ベースの滑らかなプレイがアンニュイなムードを醸し出す#3。アンディ・ラティマー(G/Fl/Key)のフ
ルートも加わり静謐な空気の中、シンセのアレンジされたソロが徐々に盛り上げるアレンジでジーンとさせます。
シンセのリフやオブリガードがポップなメジャー・キーの歌物#4。少々くすんだエレピが英国的な佇まい。
緊張感あるイントロから洒落たヒネリを持ったノリの良い歌唱パートに続く#5。様々な音色を使用したシンセのソロが中間部でアクセントになっています。
グルーヴィなベースラインに乗ったマイルドなフュージョン・ナンバー#6。
アンディ・ラティマーがシンセやエレピ、ギターを重ねた、神秘的で美しく儚げなインストゥルメンタル#7。
クールなインスト・フュージョン#8。ギターが主導するメイン・パートに、ピーター・バーデンス(Key)による伸びやかなミニモーグのソロを包含。
#1終盤のメロディを奏でるシンセ・ストリングスのリフレインに泣きのフルートが乗った、アルバムを締めくくる感動のインスト#9。

大仰な演出も無く堅実で淡々とした中に必殺の叙情を持ち込み、楽曲を忘れ得ぬものにするCAMELの方程式にキャッチーなリチャード・シンクレアの声と、ドラマティックなメル・コリンズのサックスが加わり、よりポップで叙情的に。
同時に従来のジャジーなムードも取っ付きやすく変化してきています。

Track List

1. First Light
2. Metrognome
3. Tell Me
4. Highways Of The Sun
5. Unevensong
6. One Of These Days I'll Get An Early Night
7. Elke
8. Skylines
9. Rain Dances

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カテゴリー: CAMEL

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AL DI MEOLA / Elegant Gypsy

1977,USA

ギター少年だった僕は、あるギター雑誌に書かれていた究極のテクニカル・ギタリストを表現する言葉として「ディ・メオラの右手、ホールズワースの左手」という一節が頭から離れなくなってしまっていた。なにしろリッチーとかジミー・ペイジしか知らん中学生だ。一体何者!とおもいつつ、いつかは対決しなければならないと相手だと思っていた。そしてコレを買って、聴いて、ショックを受けました。ロックな世界とはまるで違う世界、そして整然としながらも炎のごときピッキングの嵐!4曲目なんて邦題「スペイン高速悪魔との死闘」だもんな。ワケのわからないスゴさが中学生に襲い掛かったワケだ。オススメは勿論「地中海の舞踏」。余裕のピッキングで指板上を上へ下への大騒ぎのディ・メオラVS歯を食いしばりながら手の生爪でがんばるパコ・デ・ルシアという、怪獣大戦争~南海の大決闘的なアツさがひと時も耳を休ませません。手に汗を握りつつ聴いていたあのころが懐かしいです。大人の人はワインでも片手にリラックスしてどうですか。

Track List

1. Flight Over Rio
2. Midnight Tango
3. Mediterranean Sundance
4. Race with Devil on Spanish Highway
5. Lady of Rome, Sister of Brazil
6. Elegant Gypsy Suite

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カテゴリー: AL DI MEOLA

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NATIONAL HEALTH / National Health

1978,UK

カンタベリー・ミュージックの重要バンドNATIONAL HEALTHの1978年作。

音楽性が幾分構築度の強いジャズ寄りで、一聴すると敷居が高そうだがところがどっこい、天才デイヴ・スチュワート(Key)の存在がそんな不安を吹き飛ばす大活躍。デイヴの凄いのはオルガンやエレピ等、常に何か弾いていながらも、それが出過ぎず引き過ぎず程よいバランスと抜群の音色選択でアレンジを構築している所。キッチリ構成されたアレンジの上をデイヴのカラフルなオルガン、フィル・ミラー(G)のオーガニックなギター、アラン・ゴウエン(Key)のムーグシンセがクールなバトルを繰り広げます。
後に白血病で亡くなるアラン・ゴウエンも楽器としての表現力ではオルガンやギターに一歩譲るムーグを主戦に使用しながらも、そのハンディを物ともしないフレージングの妙で2人のソリストに対抗。
HATFIELDのコーラス3人娘”ノーセッツ”の一人、アマンダ・パーソンズ(Vo)の可憐なスキャットもオシャレでクールでたまりません。

Track List

1. Tenemos Roads
2. Brujo
3. Borogoves [Excerpt from Pt. 2]
4. Borogoves, Pt. 1
5. Elephants

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NATIONAL HEALTH / Of Queues and Cures

1978,UK

NATIONAL HEALTHの1978年2ndアルバムOf Queues and Cures。

ニール・マーレイがブルーズ・ロックバンドWHITESNAKEに加入するため脱退し後任にHENRY COWのジョン・グリーヴス(B)が参加。元HATFIELDのデイヴ・スチュワート(Key)、フィル・ミラー(G)、ピップ・パイル(Dr)+新加入のグリーヴスといったメインの4人に管弦楽器をゲストに迎えた編成。緻密なアレンジの大所帯ジャズ・ロック路線はそのままに、ドライヴ感や高揚感を増したプログレ的な展開も相まってカッコ良い傑作に仕上がってます。
HATFIELDの系譜であるオシャレでキャッチーな要素も受け継ぎつつ、ダークなテイストも加味。#5でのグリーヴスによるヘタウマ(っていうかはっきり言ってヘボ!)ヴォーカルはちょっとどうかと思いますが・・・グルーヴィーでシンプルなリフをバックにデイヴがワウやファズ等のエフェクトを絡めてエキサイティングにオルガンソロを弾きまくる#4、緊張感あるイントロから怒涛のプログレッシブ・ジャズ・ロック ワールドに展開する#7が個人的にはツボですね。

Track List

1.Bryden Two-Step (For Amphibians), Pt. 1
2.Collapso
3.Squarer for Maud
4.Dreams Wide Awake
5.Binoculars
6.Phlakaton
7.Bryden Two-Step (For Amphibians), Pt. 2

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BILL BRUFORD / Feels Good to Me

1978,UK

YES~KING CRIMSONと渡り歩いたビル・ブラッフォード(Dr)のソロ・アルバム1978年作Feels Good to Me。

キーボードにはHATFIELD AND THE NORTHでの渋いオルガン・サウンドが印象的なデイブ・スチュワート。#5や#8にみられるミニマルなメロディ・ラインは彼ならではだ。しかしこのアルバムではアンサンブルに徹しています。
それは自分が頑張らなくてもこの人が居てくれたからでしょう。そう、ギターはアラン・ホールズワース。サックスのように滑らかな変態フレーズをハンマリング&プリング中心のプレイで次々と繰り出してきます。
個人的にはポップな#6がやっぱり良いですね。全編に渡りホールズワースの天翔るギターがカッコ良い!デイブもピアノ、シンセ、オルガンと大活躍でバックを固めてます。

Track List

1. Beelzebub
2. Back to the Beginning
3. Seems Like a Lifetime Ago, Pt. 1
4. Seems Like a Lifetime Ago, Pt. 2
5. Sample and Hold
6. Feels Good to Me
7. Either End of August
8. If You Can't Stand the Heat...
9. Springtine in Siberia
10. Adios a la Pasada

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