ジャズ・ロック のレビュー

BRUFORD / One of a Kind

1979,UK

ビル・ブラッフォード(Dr)がソロ作品に参加していたメンツでバンドBRUFORDを結成。1979年作でオール・インストのアルバムOne of a Kind。

何と言ってもデイヴ・スチュワート(Key)の独壇場。 まろやかな感触で敷き詰められたパッド系シンセ音がベースとなり、アクセントとしてアラン・ホールズワース(G)がギター・ソロを弾き倒し、ジェフ・バーリン(B)がフレットレス・ベースで鋭く、そして時に甘く切り込んでくる。
HATFIELD AND THE NORTHの時は単音歪みオルガンが印象的だったが、時代とともに機材の進化にも適応してシンセを十二分に使いこなし、それでいてエレピ等従来の機材とも上手く融合させるデイヴ・スチュワートのアレンジ・センスが冴えまくっている。
変拍子やミニマルなメロディのユニゾン等テクニカルでありながら、耳障りの良いサウンドがリスナーに余計な緊張感を与えない優れたアルバム。

Track List

1. Hell's Bells
2. One of a Kind, Pt. 1
3. One of a Kind, Pt. 2
4. Travels With Myself -- and Someone Else
5. Fainting in Coils
6. Five G
7. Abingdon Chasp
8. Forever Until Sunday
9. Sahara of Snow, Pt. 1
10. Sahara of Snow, Pt. 2

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BRUFORD / Gradually Going Tornado

1980,UK

ビル・ブラッフォード(Dr)のジャズ・ロック・バンドBRUFORDの1980年2ndアルバムGradually Going Tornado。

脱退したアラン・ホールズワースの後任として、”無名の”ジョン・クラーク(G)が加入。前任者ほどの変態度は無いものの、なかなかテクニカルなプレイを披露しております。
5曲の作曲を手がけるサウンドのキーマン、デイヴ・スチュワート(Key)は時代を背景にしたシンセによるバッキング・プレイにますますプロデューサー的才能を発揮。
ジェフ・バーリン(B/Vo)のヘタウマ・ボーカルを中心にトリッキーなリズムをあしらったポップな#1や#5などの歌モノでアレンジの冴えを見せています。
また、フレットレス・ベースのメロディアスなプレイが光る#3でのHATFIELD AND THE NORTH当時とはまた違った質感の歪みトーンによるアグレッシブなプレイや、音使いがHATFIELDやNATIONAL HEALTH時代を彷彿させる#4などオルガン・ソロでも相変わらずセンスの良いプレイを聴かせています。
そして、本アルバムのハイライトは何といってもバーバラ・ガスキン(Vo)、アマンダ・パーソンズ(Vo)が参加した#8。全体的にフュージョンっぽい印象の本アルバムではありますが、ノーセッツの2人による洒落た美声コーラスやNATIONAL HEALTHの楽曲 The Bryden 2-Stepのフレーズが飛び出したりと、HATFIELD/NATIONAL HEALTHのテイストが程よく溶け込んでカンタベリー風味いっぱいに仕上がっています。

Track List

1. Age of Information
2. Gothic 17
3. Joe Frazier
4. Q.E.D.
5. Sliding Floor
6. Palewell Park
7. Plans for J.D.
8. Land's End

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KAZUMI BAND / Ganaesia

1982,JAPAN

BRUFORDに対する日本からの回答がコレ。って、ジャズ方面専門家の方、スミマセン。
個人的にそう感じてるだけなんです、ご了承下さい。
渡辺香津美(G)が率いるバカテク・変態・変拍子・フュージョン・バンドKAZUMI BANDの2ndアルバムGanaesia。

エキゾチックなアコギ3連系フレーズからスムーズに4拍子に流れて行く#1からもう耳は釘付け。
随所に#2や#5のような分かりやすいキャッチーでポップな曲を配している所が嬉しい。
そのポップな曲にしてもキメでの変態アンサンブル&変拍子は欠かさないのがエライ。
そして泣きの#4。
この渡辺香津美、バカテクなのは勿論ですが、音色のコントロール具合やフレージングのタメとかも上手くて心に響くんですよね。単に耳あたりの良いフュージョンとは違うこの感じ。ノリノリの変拍子が病みつきです。

Track List

1. Riboj
2. Return of the Bolivian Soong Soong Man
3. Ganaesia
4. Moon Drops
5. Racoon Roll
6. Moenega
7. Jazoo
8. Kago No Nyuansu

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NATIONAL HEALTH / Missing Pieces

1996,UK

NATIONAL HEALTHの1stアルバム以前の音源をまとめた1996年リリースのコンピレーションMissing Pieces。

デイヴ・スチュワート/アラン・ガウエン(Key)、フィル・ミラー/スティーヴ・ヒレッジ(G)、モント・キャンベル/ニール・マーレー(B)、ピップ・パイル/ビル・ブラッフォード(Dr)というカンタベリー・ミュージックの錚々たるメンツによる1975~1976年にかけてのセッション。様々なメンバーが出入りしながらも、構築美と変態とユーモアが同居する#5をはじめとして、あくまでもきちんとしたアレンジありきな部分に、後のレギュラー・アルバムで聴かれるNATIONAL HEALTHらしさが既に感じられます。個人的なハイライトは、やはりアマンダ・パーソンズ(Vo)の美声が堪能できる#3。何故アルバムから漏れたのか理解不能な美しいメロディの名曲です。フィル・ミラー(G)の独特の甘いトーンがアマンダのヴォーカルに絡みつく所なんて堪らないですね。繊細なエレピとまろやかなシンセのオブリガードも、この曲の美しい世界観の構築に欠かせないパートです。アレンジはスチュワートでしょうか、さすがです。

Track List

1.Bourée
2.Paracelsus (Inc. Bourée Reprise)
3.Clocks and Clouds
4.Agrippa
5.Lethargy Shuffle and The Mind-Your-Backs Tango
6.Zabaglione
7.Lethargy Shuffle, Pt. 2
8.Croquette for Electronic Beating Group
9.Phlâkatön
10.Towplane and the Glider
11.Starlight on Seaweed
12.Walking the Dog

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THE TANGENT / A Spark In The Aether

2015,UK

アンディ・ティリソン(Key/Vo)率いる英国のプログレッシブ・ロック・バンドTHE TANGENTの8thアルバム A Spark In The Aether。The Music That Died Alone Volume Twoをサブタイトルとし、1stアルバムの続編であることを宣言。

シンセのテーマ・リフと7拍子を軸に進行する明るく躍動感あるオープニング・チューン#1。
イントロのミニマルなモチーフにコード・カッティングを絡めるオルガンがカンタベリーなようでUK風でもある#2。シンセが入ると一気に快活なシンフォニック・プログレへ展開。ヨナス・レインゴールド(B)のメロディアスかつドライブ感あるプレイがリード。ジャズ・ロック然としたインスト・パートでは、ハーモニクスとアーミングも交えてトリッキーなソロを聴かせるルーク・マシン(G)のインテンスなプレイが強烈なアクセントとなっている。
テオ・トラヴィス(Sax/Fl)のフルートが軽やかな装いをもたらす、リラックスした歌ものジャズ・ロック#3。
#3のテーマをスパニッシュ風アコギで引継ぎ、妖しいフルートからムーディなサックスのインプロヴァイズに移行するダークなインストゥルメンタル#4。
グルーヴィなメイン・テーマを中心に緩急と陰陽で彩った6パートからなる21分超の組曲#5。
#1のパート2。静寂からサックスやギターのソロ・パートを経て、より躍動感を増したテーマ・メロディをリプライズする#6。

アンディ・ティリソン独特の味わいの歌唱や随所に見せるカンタベリー・ミュージック由来の洒脱に、往年のプログレを彷彿させるシンフォニック感をまぶしたTHE TANGENTサウンドはもはや保証書付き。
現代プログレッシブ・ロック・バンドの中でも比較的安定した活動で常に水準以上のアルバムを制作するTHE TANGENTだが、今回は2011年のアルバムCOMMの制作やツアー・バンドで参加していたテクニカルでフラッシーなフレーズを聴かせる技巧派ギタリスト ルーク・マシンが復帰。全ギター・パートのアレンジやミックスにまで関与する活躍ぶりで、楽章形式でロック・オーケストラを展開した前作Le Sacre Du Travailから一転してのシンプルなロック回帰にフォーカスした新作に貢献している。

Track List

1. A Spark in the Aether
2. Codpieces and Capes
 a. We've Got The Music!
 b. Geronimo - The Sharp End Of A Legacy
 c. Trucks & Rugs & Prog & Roll
 d. A Night At Newcastle City Hall, 1971
 e. We've Got The Music! (Reprise)
3. Clearing The Attic
4. Aftereugene
5. The Celluloid Road
 a. The American Watchworld
 b. Cops And Boxes
 c. On The Road Again
 d. The Inner Heart
 e. San Francisco
 f. The American Watchworld (Reprise)
6. A Spark In The Aether (Part Two)

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