LAメタル のレビュー

RATT / Out of the Cellar

1984,USA

LAメタルの代表的バンドRATTの1stアルバムOut of the Cellar。

プロデューサー ボー・ヒルによるかすかに空間系エフェクトを掛けた抜けの良いアメリカンなサウンド、強面のロビン・クロスビー(G)、スリムでルックス抜群のギター・ヒーロー ウォーレン・デ・マルティーニ(G)によるハギレ良く爽やかなツイン・ギター、好き嫌いを通り越してもはやRATTの顔となっているスティーブン・パーシー(Vo)のダミ声で繰り広げるRATT’N’ROLLで時代を席巻。カットTシャツや化粧を施したグラムなルックスをアピールしたプロモ・ビデオがMTVでオンエアされまくる恩恵も多大に受けましたが、ブレイクの要因は何と言ってもキャッチーなメロディを持つ楽曲の良さ、ギタリスト2人の絶妙なバッキング・アンサンブルとハーモニー、ウォーレンのハンマリングやプリング・オフを中心としたテクニカルな早弾きといった確かな音楽性そのもの。
特にウォーレンにはハマりましたね。
滑らかな早弾きをサラっとカマしちゃう#1、音使いが斬新な#2、人差し指から小指までを大股開きしてのプリングと師匠ジョージ・リンチ直伝のジャックオフ・ヴィブラートで鮮烈にソロを締める#3・・・。と言い出したらきりが無いくらいの名演のオンパレード。勿論楽曲も充実しており、LAメタルの代表曲#3に叙情も湛えた#7、これ又地味ながら左手大股開きを擁する疾走リフを持つ#8などカッコ良いリフと耳に馴染みやすいメロディが満載。
ジャクソンの「ロンドン」ギターとかヘビ皮を張った「パイソン」とか、憧れましたね。

Track List

1. Wanted Man
2. You're in Trouble
3. Round and Round
4. In Your Direction
5. She Wants Money
6. Lack of Communication
7. Back for More
8. Morning After
9. I'm Insane
10. Scene of the Crime

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RATT / Invasion of Your Privacy

1985,USA

RATTの2ndアルバムInvasion of Your Privacy。

引き続きボー・ヒルがプロデュース。
小気味良いリフとウォーレン・デ・マルティーニ(G)のセクシーなソロがカッコ良い#1、#2のエンディングから間髪置かず劇的に始まる#3は、アメリカンらしい爽やかなリフや起伏ある展開も挿入したLAメタル史に残る名曲。ウォーレンのソロもテクニック、スリル、メロディを兼ね備えた名演です。
スティーブン・パーシー(Vo)、ロビン・クロスビー(G)のペンになるストレートな#4、
アコギをあしらったパワー・バラード#5。
ウォーレンが作曲に絡んだクールなヴァースと叙情のサビを持つヒネリの効いた佳曲#6。コンパクトで印象的なギター・ソロも勿論最高なんですが、このくらいのゆったりしたテンポだとウォーレンの緩急の妙で聴かせるソロもより映えますね。
フォアン・クルーシェ(B)が書いた仄かに湿っぽい#7では、ロビンのブルース・フィーリング漂う正統的ソロがナイス。
#8、#9、ウラから入るトリッキーなリフを持つ#10の終盤は典型的なRATT’N’ROLLで畳み掛けます。

#1をはじめとする前作の勢いそのままのRATT’N’ROLLに、楽曲の練りが深化した#3、#6などを加え、安定感とさらなる成長を見せた好盤です。
アリーナでの華やかなライブ・シーンに数々の名画のラブ・シーンを挿入した権利関係が大変そうな#1、マセたスティーブン少年の妄想を描いた#3のビデオ・クリップも名作!
ウォーレンのアモーレとパイソンですよ!そういえば、ロッキンfでアモーレ・ギターのペイント特集とかやってたなぁ。

Track List

1. You're in Love
2. Never Use Love
3. Lay It Down
4. Give It All
5. Closer to My Heart
6. Between the Eyes
7. What You Give Is What You Get
8. Got Me on the Line
9. You Should Know by Now
10. Dangerous But Worth the Risk

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RATT / Dancin’ Undercover

1986,USA

ボー・ヒルのプロデュースによるRATTの1986年3rdアルバムDancin’ Undercover。

小刻みなギターのシーケンス・フレーズが新鮮な響きの#1。作曲に名を連ねたボー・ヒルによるエフェクトも効果的です。
タイトル通りの疾走するドライヴィング・ナンバー#3。リフがサビと一体化しコーラス・ハーモニーのハモリ・パートを微妙に異なるメロディで繰り返すパターンはRATTお得意の手法ですね。
問答無用にカッコ良いアップ・テンポのHR/HMナンバー#5。
ヘヴィなリフと爽やかでメロディアスなサビの対比が鮮やかな、ロビン・クロスビー(G)のセンスが溢れたキャッチーな#6。
ウォーレン・デ・マルティーニ(G)が書いた#7は、地味ながらもバッキング・ギターの練りとコード進行に合わせてスムーズかつスリリングに展開するギター・ソロが聴き所。
細かくスウィングする#9、クリーン・ギターのカッティングをあしらった#10などには、これまで無かったテイストが感じられます。

硬派なイメージのジャケット・アート、派手なフレージングを封印し正統派プレイを中心に音使いや構成の巧みさに焦点を絞ったウォーレンのプレイ・スタイルの変化、アレンジやリズム・パターンに盛り込んだ新要素、といった部分によく言えば安定悪く言うとマンネリな状況に甘んじないバンドの新境地を開く意気込みが感じられます。

Track List

1. Dance
2. One Good Lover
3. Drive Me Crazy
4. Slip of the Lip
5. Body Talk
6. Looking for Love
7. 7th Avenue
8. It Doesn't Matter
9. Take a Chance
10. Enough Is Enough

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RATT / Reach for the Sky

1988,USA

RATTの1988年4thアルバムReach for the Sky。

プロデュースは当初WHITESNAKEの1987年作を手がけたマイク・ストーンでしたが、制作途中で降板。作曲クレジットで6曲に顔を出すボー・ヒルが戻り、ボー・ヒルとマイク・ストーンの連名になりました。

スティーブン・パーシー(Vo)の独特のヴォイスと小気味良いサウンドからなるRATT’N’ROLLは健在ながら、かつてのアイディアに溢れたリフの切れやカッコ良さは減退。ウォーレン・デ・マルティーニ(G)のジョージ・リンチ色を払拭した正統派フレージングも通好みの地味なものになってしまってます。
あからさまなPOP路線が痛い#2や#9、スケールの大きな#5などでは表現力に乏しいスティーブンの歌唱が足枷となってしまってイマイチ突き抜けきらないもどかしさを感じます。
ホーン・セクションを導入しバンドが並々ならぬ意欲で勝負を賭けた#3もRATTがこういったテイストに挑戦する、といった意味でのインパクトこそあれ、楽曲の出来としてはまぁ並。
理屈抜きで楽しめるノリの良い#6、ウォーレンが素晴らしいソロをキメるキャッチーなサビがリフと融合した#8や#10など、RATTらしい佳曲もあるので、こういった曲でアルバムが占められていたら全体の印象もかなり変わったと思うんですが、でもそれだと単なる過去の焼き直しだし・・・といった何とも言えない閉塞感に満ちたアルバムです。

Track List

1. City to City
2. I Want a Woman
3. Way Cool Jr.
4. Don't Bite the Hand That Feeds
5. I Want to Love You Tonight
6. Chain Reaction
7. No Surprise
8. Bottom Line
9. What's It Gonna Be
10. What I'm After

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L.A. GUNS / L.A. Guns

1988,USA

1980年代後半のLAメタル・ブーム終盤に登場したL.A.GUNSの1988年1st。

先にメジャー・デビューしていたGUNS N’ ROSESに結成当時在籍していたトレイシー・ガンズ(G)を中心とした5人組で、シンガーは何と元GIRLのイギリス人 フィリップ・ルイス(Vo)。GUNS N’ ROSESがアクセル・ローズの表現力に基づいた多彩でキャッチーなロックン・ロールを展開していたのに対し、L.A.GUNSの音楽性はリフ主体の硬質でストレートなハード・ロック。これは当然フィリップ・ルイスのヘタウマ歌唱とも揶揄されるレンジの狭さが多分に影響しているものと思われます。しかしそんなフィリップの声が彼らのトレード・マークとなっていたのも事実で、バラードの#8ではフィリップの不器用ながらも魂のこもった歌唱が切なさを倍増させております。黒髪に黒い衣装といった男っぽいルックスと相まって、#1,#2,#4などの勢いを感じさせるハード・ロックが心地良いです。GIRLのカヴァー#9は残念ながら出来はオリジナルに軍配ですね。

Track List

1. No Mercy
2. Sex Action
3. One More Reason
4. Electric Gypsy
5. Nothing to Lose
6. Bitch Is Back
7. Cry No More
8. One Way Ticket
9. Hollywood Tease
10. Shoot for Thrills
11. Down in the City

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L.A. GUNS / Cocked & Loaded

1989,USA

L.A.GUNSの1989年2nd。

リフ主体のストレートなハード・ロックン・ロールな芸風はそのままに、キャッチーなハード・ロック#3や#5、ファンキーな#4、ヘヴィな#6、甘酸っぱいフォーク風バラード#7、メタリックな#11など音楽性の幅が広がりました。フィリップ・ルイス(Vo)の力量の限界を逆手に取り、ボーカル・パートはセクシーなテイストで演出。サビはコーラス・ハーモニーでバンド一丸となって弱点をカバー。これが功を奏しアルバム全体のナイスな空間処置とともにかなり聴きやすくなりました。何よりもトレイシー・ガンズ(G)ががんばってます。生々しいプレイを聴かせる#4や#5の鮮烈なオブリガードに加え、#6ではテルミン、#8ではシタールとバンド・サウンドにバリエーションを加える多彩なプレイ。そしてソング・ライティング面では、L.A.GUNSがストレートなだけのハード・ロックから脱却したこのアルバムの好印象を代表する#8。妖しいシタールが醸し出すエスニックなムードの冒頭、ミステリアスなボーカル・メロディと疾走するリズム・パターンに絡むアコギのアルペジオ、ドラマティックなギター・ソロ、と叙事詩的要素が満載。この1曲で彼らの才能を見直しましたよ。#7の次という配置も効いてますね。

Track List

1. Letting Go
2. Slap in the Face
3. Rip and Tear
4. Sleazy Come Easy Go
5. Never Enough
6. Malaria
7. The Ballad of Jayne
8. Magdalaine
9. Give a Little
10. I'm Addicted
11. 17 Crash
18. Showdown (Riot on Sunset)
19. Wheels of Fire
20. I Wanna Be Your Man

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RATT / Detonator

1990,USA

BON JOVI等の仕事で知られるデズモンド・チャイルドをエグゼクティブ・プロデューザーに迎え起死回生を狙ったRATTの1990年5thアルバムDetonator。

ウォーレン・デ・マルティーニ(G)によるブルーズ・キターのオープニングからピック・スクラッチを合図にザクザクしたリフに突入する#1~#2でドラマティックにスタート。
RATT版ブルーズ・ロックの#3。
ウォーレンのスライド・ギターが新たな息吹を送り込む縦ノリのグルーヴが躍動する#4、
爽やかな王道アメリカン・ハード・ロックをRATTらしく消化した#5。
ファンキーな#8。
このあたりの楽曲には、バンド・サウンドの進化をオーソドックスなロックへの原点回帰に求めた意図が感じられます。
全体的に意外と影の薄いデズモンド・チャイルドも、キャッチーな#9やシンセを取り入れたバラード#10ではかなり口出しした様子が伺えます。
そしてラストは初期の頃からのお蔵入りだったミステリアスでハードなナンバー#11。ロビン・クロスビー(G)の作曲クレジットが2曲のみと、この頃からドラッグの影響もあったのか生彩を欠いているのが気になりますが、ここに来てRATTは完全にプレイ/楽曲共にオーソドックス路線を目指すウォーレンのバンドになりましたね。
前作での迷いが吹っ切れたかのような、この時点での”ウォーレンによる”RATTらしさを表現した作品に仕上がりました。しかし、グランジ勢の台頭もありRATTは失速、1992年に解散します。

Track List

1. Intro to Shame
2. Shame, Shame, Shame
3. Lovin' You's a Dirty Job
4. Scratch That Itch
5. One Step Away
6. Hard Time
7. Heads I Win, Tails You Lose
8. All or Nothing
9. Can't Wait on Love
10. Givin' Yourself Away
11. Top Secret

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L.A. GUNS / Hollywood Vampires

1991,USA

L.A.GUNSの1991年3rd。

所属レコード会社のポリグラムが金を掛けさせてくれたからなのか、プロダクションがさらに向上。その反面、ヒットを求められたからなのかシンセによるストリングスやブラスのデコレーションが目立ち、ギターのハードなエッジも幾分控え目になったような感じで全体的にマイルドな音像に。 ところが、これで別に軟弱になったわけでは無く、前作で幅を広げた音楽性にさらに深みを加えた普遍的なロック・アルバムに仕上がっており個人的には大好きですね。冒頭の日本の能か何かの音が聴こえた瞬間、「CDの中身違うんじゃないの?」と一瞬たじろぐ衝撃のオープニングを持つ#1。妖しいムードで展開するマイナーなヘヴィ・ロックで、サビでのフィリップ・ルイス(Vo)の搾り出すような歌唱がエモーショナルです。アルバム・リリース後に行われた3度目の来日公演でも確かこの曲がオープニングでした。オープニングに勢いのある楽曲を持ってこないという、ある意味HR/HM界の常識にも背いたアルバム構成からも彼らの「今までとは違うよ」とのメッセージも読み取れます。実際、ハード・ロックな楽曲も、歪みを抑えたギターのカッティングが印象的な#2、軽目のディストーション・ギターによる空間を活かしたリフがLED ZEPPELINを彷彿させる#4、グルーヴィなヘヴィ・ロック#7など、以前と比べると勢いとメタリックな感触は随分と減少。むしろ王道ロックのテイストを強く感じます。他は、アメリカのバンドが必ずやるスウィングするビッグなグルーヴの#3、メランコリックでメロディアスなバラード#5、サビ前の「Oh~Oh」がキャッチーで耳に残る軽快なロックン・ロール#6、ファンキーなリフをブラス・セクションで装飾した#8、リラックスしたフォーク風ナンバー#9、ロカビリー風ナンバー#10、ゆったりとしたバラード#11、ルーズなシャッフル・ナンバー#12、等々バラエティに富んだ内容。肩の力を抜いて自らのルーツに自然に向き合ったような楽曲が並んでいます。トレイシー・ガンズ(G)の音楽的懐の深さがの一端がうかがい知れますね。

Track List

1. Over the Edge
2. Some Lie 4 Love
3. Kiss My Love Goodbye
4. Here It Comes
5. Crystal Eyes
6. Wild Obsession
7. Dirty Luv
8. My Koo Ka Choo
9. It's Over Now
10. Snake Eyes Boogie
11. I Found You
12. Big House

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RATT / Infestation

2010,USA

RATTの2010年復活作Infestation。

邪悪なYou’re in Loveといった風情のリフに乗ってスティーヴン・パーシー(Vo)がダミ声で歌う#1。もうこれ1曲でKOですワ。左に元QUIET RIOTのカルロス・カヴァーゾ(G)、右にウォーレン・デ・マルティーニ(G)と明確にパンニングされた布陣による一発録りかのようなライブ感で、ギターがソロとバッキングの熱い火花を散らすこのオープニング・ナンバー。RATTはこの曲で宣言しているわけですね。「ギターを聴いてくれ!」と。最近のメタルって、やれデスだ、プログレッシブだ、ゴシックだ、なんて何かと理屈っぽいというか、言い訳がましいというか、根源的なロックのカッコ良さが忘れ去られているんじゃないでしょうか。ギタリスト2人がカッコ良いプレイでロックする。やっぱりコレですよ。ギター・バトルの後ハモってアーミングをキメる所なんか、Round and Roundみたいでトリ肌ですよ。
PVにもなった#2はRATTらしいキャッチーなナンバー。いかにも80年代風なブリッジ~サビのメロディーは他のバンドだとちょっと恥ずかしいですが、RATTの看板があると不思議とカッコ良いですね。
アメリカン・バンドなら避けられないファンキーなノリの#4も3rdの頃なら背伸びした風だったのが、今や大人のムードすら感じさせる余裕の出来。
ツイン・リードのハーモニーが美しい#5。
センスの良い音使いが光るウォーレンのソロがカッコ良い、Luck of Communicationみたいなリフの#6。
左右チャンネルのギター・バトルから高速ハーモニーに移行するギター・ソロをフィーチャーした#9。
この辺りはギター・キッズなら要チェック・ポイントです。
全体的にアップテンポの楽曲中心の溌剌とした印象で、健在ぶりを見せ付けた快作です。
ストレートにロックするカルロス、モーダルなフレージングを織り交ぜた流麗なウォーレンというギタリスト2人の個性が際立つソロも聴き所です。

Track List

1. Eat Me Up Alive
2. Best of Me
3. A Little Too Much
4. Look Out Below
5. Last Call
6. Lost Weekend
7. As Good as it Gets
8. Garden of Ede
9. Take a Big Bite
10. Take Me Home
11. Don’t Let Go

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