L.A. GUNS のレビュー

L.A. GUNS / Hollywood Vampires

1991,USA

L.A.GUNSの1991年3rd。

所属レコード会社のポリグラムが金を掛けさせてくれたからなのか、プロダクションがさらに向上。その反面、ヒットを求められたからなのかシンセによるストリングスやブラスのデコレーションが目立ち、ギターのハードなエッジも幾分控え目になったような感じで全体的にマイルドな音像に。 ところが、これで別に軟弱になったわけでは無く、前作で幅を広げた音楽性にさらに深みを加えた普遍的なロック・アルバムに仕上がっており個人的には大好きですね。冒頭の日本の能か何かの音が聴こえた瞬間、「CDの中身違うんじゃないの?」と一瞬たじろぐ衝撃のオープニングを持つ#1。妖しいムードで展開するマイナーなヘヴィ・ロックで、サビでのフィリップ・ルイス(Vo)の搾り出すような歌唱がエモーショナルです。アルバム・リリース後に行われた3度目の来日公演でも確かこの曲がオープニングでした。オープニングに勢いのある楽曲を持ってこないという、ある意味HR/HM界の常識にも背いたアルバム構成からも彼らの「今までとは違うよ」とのメッセージも読み取れます。実際、ハード・ロックな楽曲も、歪みを抑えたギターのカッティングが印象的な#2、軽目のディストーション・ギターによる空間を活かしたリフがLED ZEPPELINを彷彿させる#4、グルーヴィなヘヴィ・ロック#7など、以前と比べると勢いとメタリックな感触は随分と減少。むしろ王道ロックのテイストを強く感じます。他は、アメリカのバンドが必ずやるスウィングするビッグなグルーヴの#3、メランコリックでメロディアスなバラード#5、サビ前の「Oh~Oh」がキャッチーで耳に残る軽快なロックン・ロール#6、ファンキーなリフをブラス・セクションで装飾した#8、リラックスしたフォーク風ナンバー#9、ロカビリー風ナンバー#10、ゆったりとしたバラード#11、ルーズなシャッフル・ナンバー#12、等々バラエティに富んだ内容。肩の力を抜いて自らのルーツに自然に向き合ったような楽曲が並んでいます。トレイシー・ガンズ(G)の音楽的懐の深さがの一端がうかがい知れますね。

Track List

1. Over the Edge
2. Some Lie 4 Love
3. Kiss My Love Goodbye
4. Here It Comes
5. Crystal Eyes
6. Wild Obsession
7. Dirty Luv
8. My Koo Ka Choo
9. It's Over Now
10. Snake Eyes Boogie
11. I Found You
12. Big House

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カテゴリー: L.A. GUNS

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