メロトロン特集

メロトロン


メロトロン・レジェンド

メロトロン・レジェンド


メロトロンは1960年代に発明された鍵盤楽器。

とはいえ鍵盤楽器にも色々あって、スチール弦をハンマーで叩いて音を出すピアノやパイプに風を送って音を出すオルガンといったアコースティック楽器とは全く別物であるのは勿論、回転させたトーンホイールの発振を増幅するハモンド・オルガン等の電気楽器とも違うユニークな音源であるのがメロトロンの面白いところ。

その音源とは何とストリングスやブラスなど楽器音を録音した磁気テープで、このテープが鍵盤の数だけセットされていたわけです。 なので、このメロトロン。サンプラーの元祖みたいに言われたりしてます。


メロトロンの仕組みはまさにメカニックな感じで、押鍵すると仕込まれたテープが再生を始め、離鍵すると再生が終了しテープをバネでもって強制的に巻き戻すという力技がスリリングです。さらにスリリングなのがテープの長さの関係で7~8秒しか連続再生できない所。白玉の演奏はドキドキもんでしょう。 さらに、押鍵してもテープ走行がすぐには安定せず音の立ち上がりが悪かったりして、これが逆にメロトロン独特の音色キャラクターになってたりするもんだから始末が悪いです。しかもテープや磁気ヘッドは基本的に消耗品な上、テープが熱に弱い為照明等で温度の上がるステージでの音程調整の難しさから、メロトロンがプレイヤー達に与えるストレスも相当あったようです。

実際メロトロンとエンドース契約していながら、腹を立てて燃やしてしまったリック・ウェイクマンみたいな豪傑もいます。

しかしその反面、プログレ系のミュージシャンにことのほか愛用されたのも、メロトロンのマニアックなメカから連想される先進性とチャレンジ精神が、そのサウンドと同等かそれ以上の魅力的なものとして彼らには映ったからではないでしょうか。

我々リスナーの立場からしても、メロトロンが醸し出す何ともいえない独特の味わいが何物にも代えがたい魅力なんですよね。


メロトロン のレビュー

PRETTY THINGS / S.F.Sorrow

1968,UK

ブリティッシュ・ビートバンドPRETTY THINGSの1968年4thアルバムS.F.Sorrow。

ビートルズのサージェント・ペパーズ以降の時代を反映したサウンドは一言で言えばビート・サイケになるんでしょうが、 アコギとコーラス・ワークによる極彩色サイケ・ポップの#1に突如メロトロンが登場したり、ファズ・ギターによるリフの質感が元祖ヘヴィ・メタルな#12など、ハード・ロックやプログレ黎明期の英国ロック・シーンの混沌としたムードを体現するがごとく様々な音楽的要素が原初的な姿でゴッタ煮のように盛り込まれています。長くても3分台にまとめられたコンパクトな楽曲群は、どこを切ってもキャッチーでイカすメロディとセンスの宝庫。色んな方向に拡散しながらも、メロディアスなコーラス・ハーモニーの存在がサウンドの統一感をキープしてます。音の定位やスカスカなサウンドに時代を感じさせもしますが、単純にカッコ良いんでCMやドラマで使われたら絶対ヒットすると思いますね。

Track List

1. S.F. Sorrow Is Born
2. Bracelets of Fingers
3. She Says Good Morning
4. Private Sorrow
5. Balloon Burning
6. Death
7. Baron Saturday
8. Journey
9. I See You
10. Well of Destiny
11. Trust
12. Old Man Going
13. Loneliest Person

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ZOMBIES / Odessey & Oracle

1968,UK

英国のサイケ・ポップ・バンドZOMBIESの1968年2nd。

2005年頃、日産のティーダという車のCMで#12が使用されていました。この曲がアメリカで大ヒットした1969年には実はバンドは既に解散。 中心人物のロッド・アージェント(Key/Vo)は、ZOMBIESを再結成してのツアーのオファーに大金を積まれるも、既に自らの名を冠したバンドARGENTの活動に歩を進めており、それを断ったという男気溢れるエピソードも。そのかわり偽者が堂々と集金ツアーをしてたとか。大らかな時代だったんですね。そんなロックなロッド・アージェントですが、このアルバムのサウンドの方は甘くて切ない胸キュン・ポップが満載。 アレンジも時代を反映してか総じてシンプルですが、アクセントとして多用されるメロトロンが甘酸っぱさを増強してますね。プログレ3種の神器みたいに言われるメロトロンですが、BEATLESが使ってからこの頃までは、割とサイケなアイテムだったんですね。

Track List

1. Care of Cell 44
2. A Rose for Emily
3. Maybe After He's Gone
4. Beechwood Park
5. Brief Candles
6. Hung Up on a Dream
7. Changes
8. I Want Her, She Wants Me
9. This Will Be Our Year
10. Butcher's Tale (Western Front 1914)
11. Friends of Mine
12. Time of the Season

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KING CRIMSON / In the Court of the Crimson King

1969,UK

ロバート・フリップ(G)率いるKING CRIMSONの1969年1stアルバム In the Court of the Crimson King。

衝撃のディストーション・ヴォイスとインストゥルメント・パートの構築されたスリリングな展開がエバーグリーンな魅力を持つロック史に残る名曲#1。
英国的で静謐な側面が魅力的な#2。
グレッグ・レイク(B/Vo)の叙情的なボーカルとメロトロンの洪水でお馴染みの#3。
叙情とアバンギャルドが両立した#4。
神々しいまでのメロディとそれを増幅するメロトロンのシャワーが快感の#5。

イアン・マクドナルド(Key等)がサックスやフルート、メロトロン、ヴィブラフォンとマルチに活躍し、バンドのアイディアを具現化。
ポップ・ミュージックのフィールドにおいて、全ミュージシャンと全リスナーに表現の可能性が無限である事を示したロック界永遠のバイブルです。

Track List

1. 21st Century Schizoid Man/Mirrors
2. I Talk to the Wind
3. Epitaph/March for No Reason/Tomorrow and Tomorrow
4. Moonchild/The Dream/The Illusion
5. Court of the Crimson King/The Return of the Fire Witch/The Dance of the Puppets

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MOODY BLUES / On the Threshold of a Dream

1969,UK

元々R&B色の濃いグループだったMOODY BLUESの1969年4thアルバムOn the Threshold of a Dream。

#2、#3に代表されるフォーク・ロックをベースにしたキャッチーなメロディと美しいコーラスで軽快に仕上がった楽曲が、クロスフェードしながら次々にメドレーの如く流れて行く様子は、ドライブしながらFMラジオを聴いているかのような印象で一気に聴けます。このあたりはアメリカ市場を狙った戦略的なものだったんでしょうか?実際ヒットチャートに入るくらい売れた模様で、後年立ち上げた自己レーベルの名前もこのアルバムから取ったThresholdだったあたり、バンドにとっても思い出深い作品ということなんでしょう。
そんな中、フルートが裏通りのペーソス感を醸し出す#2、コンパクトながらもスケールの大きなサウンドに仕上がった#6、あたりがメロトロンの活躍もあり特に耳を惹きますね。そして圧巻は、メロトロンの製造に関わっていたというマイク・ピンダー(Key)が書いたラストの3曲。メロトロンをシンフォニックに操り、ドラマティック&叙情的に盛り上げます。#12のピアノのリフレインが心に染み渡りますね。

Track List

1.In the Beginning
2.Lovely to See You
3.Dear Diary
4.Send Me No Wine
5.To Share Our Love
6.So Deep Within You
7.Never Comes the Day
8.Lazy Day
9.Are You Sitting Comfortably?
10.The Dream
11.Have You Heard, Pt. 1
12.Voyage
13.Have You Heard, Pt. 2

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CURVED AIR / Air Conditioning

1970,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドCURVED AIRの1stアルバムAir Conditioning。

可憐では無くかといってパワフルという程の凄みも無いが、どこかやさぐれた雰囲気と適度なお色気が妙に印象的な紅一点ソーニャ・クリスティーナ(Vo)の歌唱を、ダリル・ウェイ(Vln/Vo)のクラシカルなヴァイオリンとフランシス・モンクマン(G/Key)のハード・エッジなギターがカラフルなアレンジで盛り立てるサウンド。

ブルーズ・ロックがベースの前半と、突然天空から舞い降りたかのようなクラシカルかつ瑞々しいヴァイオリンがリードする後半のギャップが堪らない#1。
ハード・ブギに意外にヴァイオリンがマッチした#2。
ミステリアスな歌唱パートからシンフォニックなインスト・パートで盛り上がる#3。
牧歌的なフォークのバッキングとアンニュイなソーニャの歌唱という異質な要素が絶妙にブレンドされたキャッチーな#4。
ダリル・ウェイの独壇場となるクラシカルなインストゥルメンタル#5。
ドラマティックな展開を持ったサイケなハード・ロック#6。
ピアノを中心としたバックに優雅でクリアなヴァイオリンのメロディが響き渡る美しいインスト#7。
ブルーズ・ロックをベースとしながらも、ソーニャの独特な歌唱と起伏を付けたアレンジにメロトロンが加わることでプログレッシブなテイストに仕上がった#9。
ヴァイオリンのソロをSEで装飾した#5のリプライズ#10。

サイケからプログレへの移行期であった時代の英国にありがちな多ジャンルのごった煮状態ではありながら、ソーニャの存在感と華麗なヴァイオリンが何といっても耳を惹きます。

Track List

1. It Happened Today
2. Stretch
3. Screw
4. Blind Man
5. Vivaldi
6. Hide and Seek
7. Propositions
8. Rob One
9. Situations
10. Vivaldi WIth Cannons

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CZAR / Czar

1970,UK

英国のヘヴィ・サイケ・バンドCZARの1970年唯一作。

ヘヴィなオルガンと曇天を思い起こさせるくぐもったメロトロンが、歪んだギターとともに音の塊となって迫り来る迫力抜群のサウンド。
メロトロンというと「洪水」とか「霧のように」なんて良く言われますが、彼らの場合はあくまでもオルガンとの合わせ技ではあるが「土石流」とでも表現したら良いんだろうか。 #2の不条理系リフなんか元祖OPETHといっても良いくらいだ。
OPETHのミカエルあたりも相当参考にしたんだろうな、と思わせます。
反面、意外とキャッチーな#3や#5の歌メロとか散歩しながらハミングしそうだし、チェンバロなんかも効果的に使用して平坦にならない工夫も。

Track List

1. Tread Soflty on My Dreams
2. Cecelia
3. Follow Me
4. Dawning of a New Day
5. Beyond the Moon
6. Today
7. Day in September

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FAIRFIELD PARLOUR / From Home to Home

1970,UK

サイケデリック・ロックバンドKALEIDOSCOPEのメンバー3人を擁するプログレ・フォーク・サイケデリック・ロックバンドFAIRFIELD PARLOURの1970年1stアルバムFrom Home to Home。

キーフによる渋いトーンのジャケット・アートが味わい深いです。メロトロンのストリングスが非常に高い頻度で使用されており、#1のようなメジャーなナンバーでは神々しさを、ドラマティックな#4では荘厳さを、そして#7のようなマイナー調のナンバーでは叙情を増幅してます。 とはいえ、全体のムードはポップな#2,#5や素朴な#3に代表されるほのぼのと明るい感じがメイン。前述の叙情ナンバー#7やサイケなひねりの効いた#11が良いアクセントとなっており、リラックスして楽しめます。
田園ののどかさを漂わせながらも英国ならではの格調をキープした独特の美しいメロディーが、豊かなコーラスハーモニー、フルート、アコギ、そしてメロトロンによってカラフルに奏でられます。
日曜の朝にぴったりです。

Track List

1.Aries
2.In My Box
3.By Your Bedside
4.Soldier of the Flesh
5.I Will Always Feel the Same
6.Free
7.Emily
8.Chalk on the Wall
9.Glorious House of Arthur
10.Monkey
11.Sunny Side Circus
12.Drummer Boy of Shiloh

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GRACIOUS / Gracious!

1970,UK

英国のプログレ・バンドGRACIOUSの1970年1stアルバムGracious!。

繊細なハープシコードやオルガンによるクラシカル風味とヘヴィなギター、ハモンド、リズム隊が織り成すオリジナリティ抜群のサウンド。#2で見られるフォークなタッチも英国らしさを漂わせてます。17分近い長尺の#5では冒頭にベートーヴェンの「月光」を配し美しいコーラスを持つおとなしい展開から一転、ヘヴィ&不条理リフと歪んだエレピによるインプロヴィゼーションの後、天から降り注ぐようなメロトロンが混沌の中にあって一瞬の清涼感をもたらしてくれます。

Track List

1. Introduction
2. Heaven
3. Hell
4. Fugue In 'D' minor
5. The Dream

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KING CRIMSON / In the Wake of Poseidon

1970,UK

KING CRIMSONの1970年2ndアルバム In the Wake of Poseidon。

マルチ・プレイヤーで音楽的イニシアチブをロバート・フリップ(G)と分け合っていたイアン・マクドナルドが脱退し、新たにメル・コリンズ(Sax/Fl)、キース・ティペット(Pf)、ゴードン・ハスケル(Vo=#3の歌唱)が参加。

前作の延長上の方向性でアルバム・タイトルやヘヴィな#2、メロトロンをフィーチュアした#4など楽曲構成が1stと対を成している所も。
しかし叙情性という部分では、静謐なフォーク#1,#3,#5,#8やメロトロンの洪水サウンドがクリアになった#4のように難解なインプロビゼーションを配し、分かりやすくすっきりした作風で楽曲ごとの焦点が絞り込まれた事が奏功しています。
#6ではポップ・ソングをベースにキースのジャジーなピアノを盛り込み、#7ではホルストの火星をアレンジするなど新機軸も見せています。
メンバーが流動的な状態で制作された事で、収録各楽曲のテイストがバリエーション豊かに拡散してしまっている所を#1,#5.#8の三部作が上手に配置され、アルバムとしての統一感をギリギリでキープしています。

Track List

1. Peace-A Beginning
2. Pictures of a City/42nd at Treadmill
3. Cadence and Cascade
4. In the Wake of Poseidon/Libra's Theme
5. Peace - A Theme
6. Cat Food
7. Devil's Triangle: Merday Morn/Hand of Sceiron/Garden of Worm
8. Peace - An End

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KING CRIMSON / Lizard

1970,UK

KING CRIMSONの1970年3rdアルバム Lizard。

メンバーの相次ぐ脱退でロバート・フリップ(G)とピート・シンフィールド(Word)の2人だけになってしまったKING CRIMSONはメル・コリンズ(Sax/Fl)、ゴードン・ハスケル(Vo/B)、アンディ・マカロク(Dr)を新メンバーに迎えてアルバムを制作。準メンバーのキース・ティペット(Pf)や管楽器奏者ゲスト陣が、整然と構築された楽曲群に彩りを加えています。

アコギのアルペジオをバックに静かな叙情を湛えた歌唱パートとメロトロンによる不穏なリフがリードする混沌パートの対比が印象的な#1。
アンディ・マカロクの小刻みなビートと管楽器のインプロビゼーションがジャジーな#2。
キース・ティペットがアバンギャルドなフレーズを織り込み、他のパートもアドリブ的に好き放題やりつつも、整合感を保持する#3。
フルートが瑞々しい美しさを醸成する静かな歌物小品#4。
YESのジョン・アンダーソンが参加、序盤で美しい詩情に溢れた歌唱を披露した組曲#5。中間部では静かなボレロのリズムに乗ったメロディアスなインスト・パートでエキゾチックなムードを織り交ぜつつ展開。後半は、メロトロンの奏でるダークなメロディを皮切りにブラスセクションのヘヴィなリフをバックに管やピアノの混沌としたフリー・インプロビゼーションも登場。

アルバム通して整理された叙情とカオスなインプロビゼーションが融合し、静謐なヨーロピアン・テイスト薫る1枚となりました。

Track List

1. Cirkus
Including Entry of the Chameleons
2. Indoor Games
3. Happy Family
4. Lady of the Dancing Water
5. Lizard
i)Prince Rupert Awakes
ii)Bolero: The Peacock's Tale
iii)The Battle of Glass Tears
including Dawn Song,Last Skirmish,Peince Rupert's Lament
iv)Big Top

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T2 / It’ll All Work Out in Boomland

1970,UK

英国の3人組ハード・ロック・バンドT2の1970年唯一作。

キース・クロス(G/Key)のナチュラルにほど良く歪んだ轟音ギター・サウンドが爽快です。細かい反復フレーズでの多少の荒さも、勢いで聴かせてしまうパワーが眩しい。メロトロンがうっすらと立ち込める#2や#3、#4に見られる静寂パートのフォークっぽいタッチが、叩きまくるドラムと暴虐エレキ・ギターからなるハードなパートと絶妙の対比を見せ、ハード・ロックながら、あまりそのルーツたるブルーズ色を感じさせない独自の方法論でヘヴィなロックをやってます。 #1と#3が8分超で#4は何と21分超の超大作という規格外のアルバム構成が、実験精神に溢れた良き時代を象徴。意外とメロディアスなフォーク由来のハーモニーや、サウンドの隙間を埋めるベース・ライン等々聴き所が盛り沢山です。

Track List

1. In Circles
2. J.L.T.
3. No More White Horses
4. Morning

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カテゴリー: T2

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CIRKUS / One

1971,UK

英国プログレ CIRKUSの1971年1stアルバムOne。

割とキャッチー且つベタなマイナー・メロディをフィーチャーしたコンパクトな楽曲に、ELECTRIC LIGHT ORCHESTRAのようなオーケストレーションを施しドラマティックに迫るハード・ロック。
オルガンを中心とした鍵盤がバッキングに徹しており、派手なフレージングが一切無い為プログレ度は低目ですが、時折アコギやメロトロンを交えた静かな英国的叙情を見せたりと、実は芸が細かいです。
しっかりと歌えるヴォーカリストによる一般受けしそうな平易な歌メロとバンドによる丁寧なアンサンブルやアレンジにPOPなフィールドでの成功を狙った節も感じられますが、リリースがインディ・レーベルだった為かメインストリームに上り詰める事はありませんでした。それでも、今だに英国ロックの懐の深さを感じさせる名盤としてはずせない1枚です。

Track List

1.You Are
2.Seasons
3.April '73
4.Song For Tavish
5.A Prayer
6.Brotherly Love
7.Those Were The Days
8.Jenny
9.Title Track
ⅰ. Breach
ⅱ. Ad Infinitum

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カテゴリー: CIRKUS

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CURVED AIR / Second Album

1971,UK

CURVED AIRの2ndアルバム Second Album。

ダリル・ウェイ(Vln)のヴァイオリンやスペイシーなシンセが幻想的なムードを醸し出す壮大な#1。
ソーニャ・クリスティーナ(Vo)の歌唱が割りと一本調子ながら、アレンジによってアンニュイなAメロとカラフルなサビにムードが変化するのがおもしろい#2。
ピアノとストリングスのみをバックにソーニャが歌う優雅でシンフォニックなバラード#3。
ピアノと歪んだギターのユニゾン・リフがリードする#4。ブルーズ・ロック風な中、転調して登場するペンタトニックにモーダルなフレージングを交えたギター・ソロが意表を突く。
パーカッションの妖しいグルーヴ、端正なピアノ、深遠なメロトロンのストリングスが絡む、妖しくもファンタジックなバラード#5。終盤のスキャットが美しい。
ソーニャのセクシーな歌唱が活きたクールでスタイリッシュなナンバー#6。アレンジを牽引するダリル・ウェイのヴァイオリン、空間を埋めるロックなドラムのフィルもカッコ良い。
軽やかな3拍子が心地良い#7。チェンバロからの切り返し、ギターとヴァイオリンの掛け合いなどコンパクトながらフック満載。
ピアノ、ヴァイオリンを中心にした起伏あるアレンジで次々に場面転換していく演劇的なナンバー#8。映画のサウンドトラックのようにシンフォニックに響くストリングス・パート、スリリングなピアノ・ソロ、エスニックな場面や幻想的なシンセなど、12分超の長尺を飽くことなく聴かせます。

クラシカルな要素もある端正な気品と、ソーニャ・クリスティーナの持ち味である妖艶さが、意外に程よくブレンド。唯一無二の不思議なムードが病み付きになります。
ダリル・ウェイがA面(#1~#5)、フランシス・モンクマン(G/Key)がB面(#6~#8)で作曲のイニシアチブを取り、バラエティに富んだ各曲のキャラ立ちも良い感じ。

Track List

1. Young Mother
2. Back Street Luv
3. Jumbo
4. You Know
5. Puppets
6. Everydance
7. Bright Summer's Day
8. Piece Of Mind

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GENESIS / Nursery Cryme

1971,UK

英国の叙情派プログレGENESISの1971年3rdアルバムNursery Cryme。

このアルバムよりフィル・コリンズ(Dr)、スティーブ・ハケット(G)が加入。ピーター・ガブリエル(Vo)、トニー・バンクス(Key)、マイク・ラザフォード(B)による”クラシック”メンバーが揃いました。
不気味なジャケット・アートが象徴する寓話的世界観の中、演劇的ともいえるドラマティックなフックが計算されつくして配置されており、聴いていて自然にグイグイ引き込まれてしまいます。
ハード・ロック的カッコ良さもある#1、美しいコーラスと終盤のメロトロンが感動のハーモニーを奏でる#4、が好きです。
#3や#5のひねくれたPOP感も英国っぽくって良いです。これらアクの強い名曲達を主張し合ってケンカする事無く、品良く締めている#2と#6の小品が又最高。各曲の出来、曲順、全てが最高の名盤です。

Track List

1. Musical Box
2. For Absent Friends
3. Return of the Giant Hogweed
4. Seven Stones
5. Harold the Barrel
6. Harlequin
7. Fountain of Salmacis

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GIGANTI / Terra in Bocca

1971,ITALY

イタリアの4人組プログレッシブ・ロック・バンド I GIGANTIの1971年作Terra in Bocca。

マフィアを題材としたコンセプト・アルバムとなっており、ラジオ局で放送禁止になるほどの大胆な歌詞は実際に獄中の受刑者に取材して得られた素材を元にしたものという気合の入りよう。
場面に応じた複数のシンガーの起用、ナレーションや効果音、各曲が繋がった構成、など後世のロック・バンドが踏襲するコンセプト・アルバムの様式が既に70年代初頭のイタリアで完成していた事に驚きます。

妖しくもジャジーなピアノや叙情的メロディを聴かせるエレキ・ギターによる、壮大な序曲的インストゥルメンタル・チューン#1。
アコギの3フィンガーに乗った哀愁のテーマ・メロディ(後に#5冒頭や#7、#8終盤など各所にムードを換えて登場)が提示される#2。
軽快なアコギに乗ったほのぼのとした明るい地中海風パートから、低音ボーカル・パートを挟み、左右からメロトロンとピアノが押し寄せるドラマティックなサビに発展する#3。
アカペラの多層コーラスを冒頭に配し、左右交互にボーカルがやり取りする演劇的パートや軋んだメロトロンのリードするインスト・パートがスリリングな#4。
穏やかな中に叙情を潜ませたサイケな地中海風ポップスが、突如強烈な電子音で掻き消される#5。
メロウなパートと激しいパートが行き来するキャッチーな#6。
3拍子でクールな序盤、激しく盛り上がるサビ、静かなパートの随所でメロトロンが幽玄な彩を加える#7。
曲間でテープの走行エラーのような効果音で演奏が一瞬途切れ、混沌としたインスト・パートへ展開。ピアノとメロトロンをバックにしてのイタリア語のボーカル・メロディが哀愁を増幅する静かな序盤から、歌い上げるサビに発展する#8。
男女の会話シーンから、ピアノを中心にメロトロンやオルガンを加えたインストゥルメンタルに移行する#9。
モジュレーションを掛けたエレピをバックに浮遊感あるボーカルが乗る小品#10。
#2のアコギをバックにしたテーマがリプライズし、激しく盛り上がるサビを頂点に厳かなオルガンで静かに締めくくる#11。

楽曲それぞれに起伏とドラマが内包されており、先の予測できない展開が聴き手の集中力を持続させます。
しかし、特に難しい事をやっているわけでは無く、#5のサイケなメロディ感覚や#8サビ後に配された軽快なロックン・ロールのパートなどに垣間見られる60年代にビート・ロックを演っていた出自から来るおおらかさと、メロディアスなイタリア語歌唱の存在もあって非常に聴き易いです。

Track List

1. Largo Iniziale
2. Molto Largo
3. Avanti
4. Avanti Tutto-Brutto Momento - Plim Plim
5. Plim Plim Al Parossismo - Delicato Andante
6. Rumori - Fine Incombente
7. Fine Lontana - Allegro Per Niente
8. Tanto Va La Gatta Al Lardo- Su E Giu
9. Larghissimo - Dentro Tutto
10. Alba Di Note - Rimbalzello Triste
11. Rimbalzello Compiacente - Ossessivo Ma Non Troppo - Fine

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カテゴリー: GIGANTI

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GRACIOUS / This is … Gracious!!

1971,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドGRACIOUSの1971年2ndアルバムThis is … Gracious!!。

軋んだメロトロンとオルガンがブルーズ・ロック由来のギター・リフとともにヘヴィなグルーヴを生むb)、メロディアスなフォークに霧のようなメロトロンがかぶさるc)、ボーカル・ハーモニーと静かなオルガンを中心に希望的なムードで美しいクライマックスを迎えるd)といった多彩な表情を見せる21分超の組曲#1。
ファンキーなギターのリフとカッティングにダーティなメロトロン、ホンキー・トンク風ピアノが絡み、キャッチーかつクールに展開するサイケ・ロック#2。
深遠なメロトロンと英国的な翳りを感じさせるセンチメンタルなボーカル・メロディが良い感じの#3。
メロトロンのリフとギターのカッティングがリードするアップテンポのインストゥルメンタル・パートと、ピアノの伴奏に乗ってゆったり進行するボーカル・パートを対比させた#4。
ウエスト・コースト風な軽いムードに深みのあるメロトロンが加わり、ユニークなハード・ポップに仕上がった#5。
と、全編でメロトロンが大活躍。
1stでのクラシカルな要素やヘヴィなタテ乗りに変わり、ベースがランニングするグルーヴィな乗りやメロトロンを効果的に使用した独自のハード・ロックっぽさで、よりオリジナル且つメインストリームなテイストが濃くなってます。ジャケット・アートはロジャー・ディーン。

Track List

1. Super Nova
a)Arrival of The Traveller
b)Blood Red Sun
c)Say Goodbye to Love
d)Prepare to Meet Thy Maker
2. C.B.S
3. What's Come to Be
4. Blue Skies and Alibis
5. Hold Me Down

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KING CRIMSON / Islands

1971,UK

英国プログレッシブ・ロック・バンド KING CRIMSONの1971年4thアルバム Islands。

ボズ・バレル(Vo/B)、イアン・ウォレス(Dr)の新メンバーにキース・ティペット(Pf)のグループを加えて制作。

ボズ・バレルの繊細な歌声による東洋的なメロディとキース・ティペットのアバンギャルドな中にも美しいピアノが清楚なムードを醸し出す#1。メル・コリンズ(Sax/Fl)がフルートでは叙情的に、サックスではアバンギャルドに活躍してます。
#1のテーマ・メロディを継承したかのようなサックスのリフがリードする#2はサックスやギターのインプロビゼーションが繰り広げられるインストゥルメンタルで、中盤にはメロトロンが不穏なムードを煽り緊迫感あるバンド・アンサンブルに発展します。
繊細で叙情的なボーカル・パートとヘヴィなリフのパートが対比した#3。
ブルーズ・ロックをベースにしながらもジャジーなオブリガードやPOPなボーカル・ハーモニー、メタリックな不条理リフと様々なフックが公然一体となった#4。
室内管弦楽が美しく叙情を紡ぐ#6の序曲#5。静かで清楚な#6ではトランペットの物悲しくもどこか希望も感じさせるメロディが胸を打ちます。うっすらと切れ込んでくるメロトロンも秀逸。

構築されたアンサンブルよりも個人のインプロビゼーションを重視した楽曲構成でありながら、アルバム全体としては端整で静謐なイメージが残る不思議なアルバムです。これを最後に詩人ピート・シンフィールドが脱退します。

Track List

1. Formentera Lady
2. Sailor's Tale
3. Letters
4. Ladies of the Road
5. Prelude: Song of the Gulls
6. Islands

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MOODY BLUES / Every Good Boy Deserves Favour

1971,UK

MOODY BLUESの1971年7thアルバムEvery Good Boy Deserves Favour、邦題は「童夢」。

フォークをベースにした美しく親しみ易いメロディで紡がれた楽曲が切れ目無く心地良く綴られています。特にテクニカルでも複雑でも無いMOODY BLUESが、時にプログレ・バンドとして紹介されるのは音楽的な進歩を目指した姿勢もさることながら、やはりメロトロンでしょう。
Mike Pinder(マイク・ピンダー/Key)はメロトロンの出荷前検査の仕事をしていた人物で、その関係からメロトロンを知り尽くした演奏と独自のカスタマイズにより彼の使用していたメロトロンMkIIは俗に「ピンダートロン」と呼ばれたりなんかしています。
そんなメロトロンが惜しげもなく全編で登場。ドラマティックな#9なんかは メロトロンありきの壮大さだし、軽快なメロディック・ロック#2のサビで神々しく鳴り響くメロトロンはコーラス・ハーモニーとも相まって極上の美しさ。
当時英米で大ヒットしたアルバムですが、単にキャッチーなだけでは無い英国らしい”深み”がこのアルバムをエバー・グリーンな存在たらしめています。

Track List

1. Procession
2. The Story In Your Eyes
3. Our Guessing Game
4. Emily's Song
5. After You Came
6. One More Time To Live
7. Nice To Be Here
8. You Can Never Go Home
9. My Song

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SPRING / Spring

1971,UK

トリプル・メロトロンで有名な英国のフォーク・ロックバンドSPRINGの唯一作。音楽性は英国らしく端整で叙情味を湛えたメロディアスなフォーク・ロックで、まどろむような優しいボーカルがメロトロンに良くマッチしてます。

全編に使用された霧のようなメロトロン・ストリングスを筆頭にグロッケンなど小ネタも効いた#1。
#1とは違い、ここぞという場面で登場するメロトロンがアレンジに起伏をもたらす#2。
アコギがリードするフォーク小品#3。
マーチングのようなスネアが印象的な#4にも当然のようにストリングスや管のメロトロンが切り込んできますが、楽曲はファンキーな要素を持ったフォーク・ロック。独特な牧歌的テイストが堪りません。
続く#5は開放的なリフを持ったメジャー感覚なフォークなんですが、ボーカルのバックのくすんだメロトロンが英国的な翳りも感じさせます。中間部のオルガンとエレキのソロや、それに続くパートでのアコギを交えたアレンジも巧みで聴き所満載です。
#6はギターやオルガンがリードするロックですが、間奏のグロッケンとメロトロン・フルートが可愛いニュアンスをもたらす楽しいナンバー。
ピアノをバックに切々と歌うバラード小品#7を挟み、#8でも静かな序盤は霧のように、感動的に盛り上げるサビでは洪水に、ラストは神々しく、とメロトロンが大活躍しております。

Track List

1. Prisoner (Eight by Ten)
2. Grail
3. Boats
4. Shipwrecked Soldier
5. Golden Fleece
6. Inside Out
7. Song to Absent Friends (The Island)
8. Gazing

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STRAWBS / From the Witchwood

1971,UK

前身は”ストベリー・ボーイズ”というちょっと恥ずかしい名前のブルーグラス・バンドだったSTRAWBSの1971年4thアルバムFrom the Witchwood。
後にYESに加入するリック・ウェイクマン(Key)が在籍していた事で有名です。基本的には美しいハーモニーとアコギを中心とした素朴でメロディアスな田園フォークながら、そこにラテン、インド、サイケ等々様々なエッセンスを上手くトッピングし独自のカラフルな世界を構築しています。その立役者はリック・ウェイクマン(Key)でしょう。

レズリーが唸るグリッサンドからテンポアップし、クラシカルな格調高いハーモニーで締める#1のオルガン。
転がるように軽快な#4のピアノ。
クラシカルな#5冒頭のチャーチオルガン。
サイケな#6や#7のオルガン。
#8の優しくヴォーカルハーモニーを包み込むメロトロンと煌びやかな響きのオブリガードを奏でるピアノ。
厳かな#9のハープシコード。

場面に合わせて様々なキーボードがアレンジに上手く溶け込みサウンドに彩りを加えてます。バンジョーやシタールも効果的に使用されています。

Track List

1. A Glimpse Of Heaven
2. Witchwood
3. Thirty Days
4. Flight
5. The Hangman And The Paptist
6. Sheep
7. Cannondale
8. The Sheperd's Song
9. In Amongst The Roses
10. I'll Carry On Beside You
11. Keep The Devil Outside

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