メロトロン のレビュー

ENGLAND / Garden Shed

1977,UK

英国のプログレ・バンドENGLANDの1977年デビュー作Garden Shed。

GENESISの叙情とYESっぽいシンフォニックな感じが高次元で融合。哀愁の美メロと起伏ある曲展開で飽きずに一気に聴かせます。メロトロンは勿論のこと場面場面で音色を微妙に変えたオルガンが非常に効果的に大活躍してます。
特に、息つく暇も無くドラマティックに展開していくタイトル通りに組曲構成の#3はもう鳥肌モノ。それでいて口ずさめる程にキャッチーな歌メロやリフがてんこ盛り。各所に計算しつくされたフックの数々を配置するアレンジのセンスも完璧。

Track List

1. Midnight Madness
2. All Alone (Introducing)
3. Three Piece Suite
4. Paraffinalea
5. Yellow
6. Poisoned Youth

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ANTHONY PHILLIPS / The Geese And The Ghost

1977,UK

GENESISの初代ギタリスト アンソニー・フィリップスがGENESIS脱退後に発表した1stアルバムThe Geese And The Ghost。

アルバム全体の序曲的な#1に続く、フィル・コリンズの歌唱をフューチュアした#2。ジェントルなフォーク・タッチの中にハッとするコード進行を織り交ぜ、各種ギターの控え目ながらも効果的なアンサンブルも秀逸。
チューダー朝をテーマにした厳かでドラマティックな組曲#3。ナイロン弦やスティール弦アコギ、12弦など各種ギターが織り成す神秘的なアルペジオと繊細かつ威厳のあるファンファーレ、クワイヤがクラシカルで叙情的な物語を紡ぐ。
ヴィヴィアン・マコーリフの可憐な歌唱がドリーミー度を増幅するフォーク#4。
イントロ的な#5に続き、ギターやダルシマー、ブズーキなどが煌びやかに響く組曲#6。リズムが入るパート2の前半はGENESISのようなムードも。
オーケストラも加えた優しくセンチメンタルな#7。
アルバムを締めくくる優しいアウトロ#8。

GENESISの音楽性に多大な影響を与えた12弦ギターはここでも効果的に使われており、数本のギターによるアンサンブルだけで繊細さや広がりを醸し出すところにフルートなどの管が絶妙にブレンドされ、英国の良心ともいえる幻想的なサウンドを聴かせる。
フィル・コリンズ、作曲も手伝ったマイク・ラザフォードの参加もあり、むしろGENESISよりも純粋な英国情緒やファンタジーに溢れた名盤。

Track List

1. Wind-Tales
2. Which Way The Wind Blows
3. Henry: Portraits From Tudor Times
i Fanfare
ii Lute's Chorus
iii Misty Battlements
iv Lute's Chorus Reprise
v Henry Goes To War
vi Death of A Knight
vii Triumphant Return
4. God If I Saw Her Now
5. Chinese Mushroom Cloud
6. The Geese And The Ghost
i Part I
ii Part II
7. Collections
8. Sleepfall: The Geese Fly West

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BARCLAY JAMES HARVEST / Gone to Earth

1977,UK

BARCLAY JAMES HARVESTの1977年10thアルバムGone to Earth。

甘く優しいメロディと美しいハーモニーが絶妙な空間処理によるプロダクションでさらに引き立てられ、全編瑞々しいサウンドで全く古さを感じさせません。
#3等アメリカンなテイストを感じさせる曲もあるが、単にC調なPOPに陥らないのはきっちり構築されたアレンジと独特の間が醸し出す英国ならではの気品が健在だからだと思います。

凛としたアコギのカッティングに導かれる序盤から、いつしか雄大なシンフォニック・チューンへと変貌する#1。
メロトロンがむせび泣く思いっきり叙情的なナンバー#4。
甘いヴォーカルが胸キュンな#5。
オーケストレーションがヴォーカル・ハーモニーと見事に溶け合う荘厳な#6。
静けさの中に暖かみのあるハーモニーが心に染み入る#9。
等々、捨て曲一切無しの良く練られたアルバム構成も見事。
冬の澄んだ空気の中で聴くと体中が浄化されるかのような清涼感が味わえます。

Track List

1.Hymn
2.Love Is Like a Violin
3.Friend of Mine
4.Poor Man's Moody Blues
5.Hard Hearted Woman
6.Sea of Tranquility
7.Spirit on the Water
8.Leper's Song
9.Taking Me Higher

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GENESIS / Wind & Wuthering

1977,UK

GENESISの1977年9thアルバムWind & Wuthering。

意地を見せ付けた前作に感じられた硬さが抜け、本来の英国叙情をアップデートさせた形でキーボード大増量のシンフォニック・サウンドによって具現化。

シンセのテーマ・メロディから始まり、フィル・コリンズ(Dr)のドラム中心にドラマティックかつダイナミックに展開する#1。
歌メロ部分は翳りを伴った叙情を漂わせながら、インストパートではトニー・バンクス(Key)が鍵盤群を駆使した怒涛のシンフォニック攻撃で壮大に迫る#2。
キャッチーなバラード#3。
トニー・バンクス得意のシンセによる反復フレーズも聴かれるスペイシーで爽快なインストゥルメンタル小曲#4。
ちょっとした変拍子を交え、3連中心に緩急と静動でダイナミズムを生み出す#5。
イントロ部でのスティーヴ・ハケット(G)が奏でるクラシック・ギターの美しい詩情に続き、霧のように敷き詰められたストリングスがリスナーを英国叙情に耽溺させる#6。
そして#7~#9のメドレーが終盤のハイライト。静かな#7に続きバンドが一体となってタイトかつシンフォニックに迫るインストゥルメンタル#8。アルバム冒頭でも登場したメイン・テーマを盛り込み、スケールの大きい圧巻のシンセ・ソロが高揚感をもたらしています。
そしてフィナーレに相応しく壮大に締めるバラード#10。

とにかく全編トニー・バンクスの見せ場。
スタインウェイ、アープ、ハモンド・オルガン、メロトロン、ローランド・シンセ、フェンダー・ローズと鍵盤大集合で使い放題使っております。
機材の発達をいち早く応用し、楽曲や場面に応じて音色を使い分けるセンスも素晴らしいです。音色のバリエーションは豊かなんですが、トーンやムードは統一されているんですよね。

Track List

1. Eleventh Earl of Mar
2. One for the Vine
3. Your Own Special Way
4. Wot Gorilla?
5. All in a Mouse's Night
6. Blood on the Rooftops
7. Unquiet Slumbers for the Sleepers...
8. ...In That Quiet Earth
9. Afterglow

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ANGLAGARD / Hybris

1992,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドANGLAGARDの1992年1stアルバムHybris。

KING CRIMSON初期の叙情と中期のメタリックな質感をベースに、北欧独特の寂寥感と屈折した仄暗い情念をまぶした暗黒叙情シンフォニック・プログレ。
Mattias Olsson(Dr)が叩き出すドライヴ感抜群のドラミングにリードされた緊張感あるアンサンブルは、巧みに変拍子を織り交ぜつつも、それを感じさせないソリッドでタイトな暗黒グルーヴを醸成。と同時に、Anna Dolmgren嬢(Fl)の息遣いも生々しいフルートや静寂パートでのギターやオルガンのちょっとしたトーン・コントロール加減も見事で、メロトロンの洪水パートとのダイナミックな対比が楽曲のドラマ性を高めてます。

押しと引きのバランスに優れたソング・ライティング、他に類を見ない独特のムードを確立した各パートのプレイも老獪。LANDBERKと並び同郷のANEKDOTENPAATOSに絶大な影響を与えたであろう、鬱系スウェディッシュ・ネオ・プログレのバイブル的アルバムです。

Track List

1.Jordrok
2.Vardrirgar I Vilserhet
3.I Frar Klarhet Till Klarhet
4.Burg Bore

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LANDBERK / Riktigt Äkta

1992,SWEDEN

スウェーデンの暗黒プログレ・バンドLANDBERKの1992年1stアルバムRiktigt Äkta。

後のPAATOS結成時メンバーであるReine Fiske(G)と Stefan Dimle(B)が在籍。霧のようにうっすらと、そして時に洪水のようなメロトロンとReineの繊細なトーンによるギターが寂寥感抜群の北欧白夜のように静謐でダークで冷えびえとした音空間を醸成。それにスウェーデン語の歌詞とヘタウマなオッサン声ボーカルが土着的エキゾチックな要素を加え、独特の暗黒世界が完成している。Redの頃のKING CRIMSONから洗練とヘヴィネスを取り除き、絶対零度でフリーズ・ドライしたかのような純粋な音楽。

Track List

1. I Nattens Timma
2. Skogsrået
3. Trädet
4. Vår Häll
5. Visa Från Kallsedet
6. Undrar Om Ni Ser

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ANEKDOTEN / Vemod

1993,SWEDEN

スウェーデンのKING CRIMSONフォロワーANEKDOTENの1993年1stアルバムVemod。
メタリックな質感は中期KING CRIMSONって感じだが、このバンドがエラいところはちゃんと現代風なヘヴィさにアップグレードされているところ。
#3のイントロのベースにKOされました。又そのあとすぐ叙情パートを持ってくるあたりが非常に巧み。アコースティックな#6や本編ラストの#7の不条理反復リフの怪しい雰囲気も良いが、日本盤ボーナスの「SAD RAIN」のメロトロン大洪水には、イントロからただただ絶句。ジャケットもいいなぁ。

Track List

1. Karelia
2. Old Man and the Sea
3. Where Solitude Remains
4. Thoughts in Absence
5. Flow
6. Longing
7. Wheel
8. Sad Rain

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ANGLAGARD / Epilog

1994,SWEDEN

スウェーデンの暗黒叙情プログレANGLAGARDの1994年2ndアルバムEpilog。

フルートやゲストのヴァイオリン等弦楽器が醸し出すミステリアスで荒涼とした静の部分と、不条理系メタリックな質感のヘヴィ・リフが暴れる動の部分の対比を軸に、メロトロンを効果的に絡ませた独自の音世界を構築。
Redの頃のKING CRIMSONから、ある意味キャッチーな歌部分を排除した上で暗黒叙情とメタリックなヘヴィさを抽出し、北欧の極寒で結晶化させたような混じりっけ無しのサウンド。
歌や甘いメロディーといったケレン味が一切無いストイックな楽曲群で綴られたにもかかわらず、メロディアスで耳に残るこの不思議な感触は、もはや唯一無二。孤高の世界ですね。

Track List

1.Prolog
2.Höstsejd
3.Rösten
4.Skogsranden
5.Sista Somrar
6.Saknadens Fullhet

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LANDBERK / One Man Tell’s Another

1994,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドLANDBERKの2ndアルバムOne Man Tell’s Another。

仄かに歪ませたギターのカッティングがリードし、幽玄なグルーヴにメロトロンも絡む#1。
7/8拍子のオルガン・シークエンスが心地よいズレを生み出し、レイネ・フィスケ(G)の独特のタッチによる繊細かつ荒々しいギターが暴発寸前の狂気を滲ませる屈折チューン#2。
枯れたギターがリードし霧のようなメロトロンが叙情を加味する、クールさとメランコリーが同居した#3。全体的なムードはレイネ・フィスケとステファン・ディムレ(B)が後に結成するPAATOSに繋がるものがある。
イントロや各部に挿入されるギターによる7拍子のアルペジオをアクセントに、淡々としながらも妖しく叙情も交えて進行する#4。
幽玄なメロトロンをバックにギターのアルペジオとパーカッションの反復がトリップ感を生み出す#5。
沈み込む3拍子のバラードからリズム隊が合流して淡々としたジャジーなムードへ移行、繊細なタッチのギターが寂寥感を醸成する#6。
これまで控え目だったメロトロンが唸りをあげる(それでもまだ控え目)シンフォニックな#7。フィードバックやハウリング・ノイズまでをも巧みにコントロールした狂気のギター・ソロと端正でメロディアスなメロトロンの白玉とのギャップが強烈。

全編スウェーデン語で歌われた1stアルバムで見られた土着の妖しさとハード・ロック的な激しさは後退し、コンテンポラリーで静かな音像に移行。
そんな中、枯れたトーンと独特の微妙なタッチにより繊細な寂寥感から暴虐の狂気までを演じ分けるレイネ・フィスケのギターが孤高の輝きを放つ北欧暗黒シンフォ。決して多くを弾くことは無いものの、雄弁に各曲のカラーを表現する独創的なフレージング(とノイズ)が耳を捉えて離さない。

Track List

1. Time
2. Kontiki
3. Mirror man
4. You are
5. Rememberence
6. Valentinsong
7. Tell

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FLOWER KINGS / Back in the World of Adventures

1995,SWEDEN

KAIPAのロイネ・ストルト(G)のソロ・プロジェクトから発展したスウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドFLOWER KINGSの1995年1stアルバムBack in the World of Adventures。

全10曲でインスト曲が半分。ヴォーカル曲では#1や#8のように非常にキャッチーなメロディを主軸にしながらも、場面に応じたキーボードの音色チョイスやグルーヴ感、練りこまれ、時に緊張感あるアレンジ等で注意を逸らさせないインストパートがドラマティック度アップに貢献、楽曲に深みを持たせている。
勿論インスト曲でも魅力は健在。というかむしろ色々とイマジネーションをかきたてられます。
#6に代表される、ちょっと切ない半面希望に満ちたメロディが彼らの最大の魅力。何度でも聴きたくなるシンフォニックな音のシャワー。

Track List

1. World of Adventures
2. Atomic Prince/Kaleidoscope
3. Go West Judas
4. Train to Nowhere
5. Oblivion Road
6. Theme for a Hero
7. Temple of the Snakes
8. My Cosmic Lover
9. Wonder Wheel
10. Big Puzzle

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ANEKDOTEN / Nucleus

1995,SWEDEN

スウェーデンの鬱系プログレッシブ・ロック・バンドANEKDOTENの1995年2ndアルバムNucleus。

鋼鉄のように重厚なベースがうねる現代的暗黒ヘヴィ・グルーヴが突然耳を襲う#1で単なる懐古趣味バンドで無いことを強烈にアピール。
静かな中での反復フレーズによるポリリズムのずれが心地良いトリップ感を生む#3の前半もKING CRIMSONの影響丸見えながら、後半では同郷のANGLAGARDにも通ずる不条理濁音によるカオティックな展開で今を生きるバンドとしてのアイデンティティを主張しています。
アンナ・ソフィ(Cello/Mellotron)のチェロがレトロな叙情を醸しだす#6。
メロディアスな叙情と不条理ヘヴィネスが融合した#7。
チェロが終始楽曲をリードし、男女ボーカルによるユニゾン歌唱が官能的な#8。
等々、メロトロンを中心にフェンダー・ロ-ズ、クラビネット、ポンプ・オルガンなどアナログ・キーボードが場面ごとに効果的に使用されており、時に寂寥感を演出しながら、又別の時には重量感抜群なリズム隊の醸し出す凶暴なグルーヴを後押ししています。

Track List

1. Nucleus
2. Harvest
3. Book of Hours
a) Pendulum Swing
b) The Book
4. Raft
5. Rubankh
6. Here
7. This Far from the Sky
8. In Freedom

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カテゴリー: ANEKDOTEN

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SPOCK’S BEARD / The Light

1995,USA

アメリカの4人組プログレッシブ・ロックバンドSPOCK’S BEARDの1995年1stアルバムThe Light。

デビュー作ながら、いきなり組曲形式の2曲を含む4曲を収録。メンバーはそれぞれLA周辺でのセッション等で活躍していた人達のようです。ニール・モーズ(Key/Vo)のペンになる各楽曲は、彼がミュージカルの仕事もしていたというだけあって、場面転換とフックに溢れた小曲が止めどなく流れて組曲を構成する様は見事の一言。唐突な展開にGENTLE GIANT、ゴスペル風女性コーラスにPINK FLOYDを思わせる所もありますが、この辺は偉大なる先人への敬意を込めたオマージュと言ったところでしょうか。

古臭くも無ければ、かといって最新シンセのような軽さも無い不思議なムードを醸し出すキーボード群のセンス良いアレンジも素晴らしいです。せっかくのメロトロンも味付け程度なのが奥ゆかしいですね。

Track List

1. The Light
ⅰthe dream
ⅱone man
ⅲgarden people
ⅳlooking straight into the light
ⅴthe man in the mountain
ⅵsenor valasco's voodoo love dance
ⅶthe return of the horrible catfish man
ⅷthe dream
2. Go the Way You Go
3. The Water
ⅰintroduction/the water
ⅱwhen if all goes to hell
ⅲa thief in the night
ⅳFU/I'm sorry
ⅴthe water(revisited)
ⅵrunnin' the race
ⅶreach for the sky
4. On the Edge

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STANDARTE / Standarte

1995,ITALY

キーボード、ドラム、ベースによるイタリアのハード・ロック3人組STANDARTEの1995年1st。
キーフが手がけたヴァーティゴ・レーベルのAFFINITYやBLACK SABBATHのジャケット・アートを彷彿させるくすんだ色調のカヴァー・デザイン、メロトロンやオルガン、故ヴィンセント・クレイン(Key, ex ATOMIC ROOSTER)に捧ぐのクレジット等からも明らかな70年代ブリティッシュ・ロックのスタイルを踏襲したサウンド。
一応メンバーのクレジットではギターレスながら、歪んだリフやクリーントーンでのアルペジオにソロ、といった具合で結構頻繁にギターが登場し大活躍しているのはご愛嬌か。
ATOMIC ROOSTER風なオルガン主導のリフ中心に構成されたインスト部に野暮ったいヴォーカルが乗るハード・ロックではあるが、メロトロンの効果的な導入や組曲形式での結構唐突な場面転換が非常にプログレ的でもありドラマティック。 本家イギリスからでは無く周辺国からこういったバンドが出てくるのがおもしろいですね。

Track List

1. Dream Love Sequence Nr 9
2. One Strange December Evening
3. As I Wandered
4. Tolerance Town
5. Beat Pimp Muzak
6. A War Was Declared
7. In My Time of Dying
8. Traumland
9. I Want You

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LANA LANE / Love is an Illusion

1995,USA

GENESISみたいな#1で始まるアメリカの歌姫ラナ・レーンの1995年デビュー・アルバム。

基本的にハード・ロックだが、旦那でもあるエリク・ノーランダー(Key)の全編を占めるプレグレ趣味が作風を他のバンドとは一風違うものにしている。#3のあざとすぎるメロトロンは本物なのでしょうか?大きなグルーブが70年代ロック風で好きです。

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WHITE WILLOW / Ignis Fatuus

1995,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・フォーク・バンドWHITE WILLOWの1stアルバムIgnis Fatuus。
アコギやフルートによる静かなバッキングに清楚な女性ボーカルが乗り、シンセやメロトロンが幽玄な装飾を施すダークなフォークを展開しています。

冒頭の物悲しいアコギのアルペジオとハープシコードで心を鷲づかみ。続く美声ソプラノ女性ボーカルの登場で一気に引き込まれる#1。
美声ボーカルをフィーチュア、終盤のイリアン・パイプやシタールがエキゾチックなテイストの#2。
リコーダーを中心に北欧トラッド風メロディを展開する#3。
フルートとヴァイオリン、素朴な男性ボーカルの#4。
中間部のインスト・パートに土着フォークロア部を挿入したメロトロン白玉が儚げな#5。
アコギ、コントラバス、リコーダー、ハープシコードなど、場面ごとに推移する多彩な楽器による演奏に女性のソプラノ・スキャットが。フルートが絡む部分では初期KING CRIMSONのような神秘性も感じさせる#6。
ハープシコードの厳かな調べに可憐なボーカルが映える#7。後半のアコギのカッティングとシンセ・ソロの場面では明るいムードも。
アコギのアルペジオとメロトロンのフルートに美しいスキャットが乗る小品#8。
モーダルなボーカル・メロディが神秘的な中にもコンテンポラリーなムードを醸し出す#9。
不条理なコード進行とメジャー/マイナーの調性があいまいなメロディがフックとなった前半、若干ヘヴィなパートを経てスペイシーなシンセ・ソロに展開する後半からなる11分超の#10。
女性ボーカルが中音域で歌う暗鬱フォーク#11。
ディストーション・ギターが登場する中間部などで暗黒ゴシック路線を垣間見せる#12。

おそらく土着フォークに根ざしたものであろう独特の暗いメロディによるボーカル・パートに、メロトロンをバックにしたシンセのソロなど幻想的な展開を見せるインスト・パートが絡みユニークな世界を醸成。適度に各楽器が聴こえる、必要以上に分厚くなることの無いアレンジも良い感じです。
#4,#5,#12などでの男性ボーカルは意図があってのものだろうが、はっきり言って素人レベル。女性ボーカルで統一した方が良いと思うぞ。

Track List

1. Snowfall
2. Lord of Night
3. Song
4. Ingenting
5. The Withering of the Boughs
6. Lines on an Autumnal Evening
7. Now in These Fairy Lands
8. Piletreet
9. Till He Arrives
10. Cryptomenysis
11. Signs
12. John Dee's Lament

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FLOWER KINGS / Retropolis

1996,SWEDEN

FLOWER KINGSの2ndアルバムRetropolis。

テーマ曲である#2冒頭の古臭いメロトロンの調べから、もう雰囲気抜群。インストパートにおいて展開されるいくつかの印象的なメロディ・ラインが各曲に所々顔を出し、このアルバムがコンセプト・アルバムであることを印象付けています。あるときはエキゾチックに、又あるときはコンテンポラリーな響きで。いつのまにか時間も場所も超越した架空の都市=RETROPOLISを旅しているような気分にさせてくれます。賑やかな雑踏に迷い込んだり、発展を象徴する巨大な建造物におののいたり、といった風にどんどん想像力を掻き立ててくれるアルバムです。
シンセによるテーマの上昇フレーズが高揚感を煽るシンフォニックな#3。
サックスの哀愁フレーズがエキゾチックなムードを醸しだす#6。
ボーカルのリバーブ処理にロカビリーなムードを漂わせつつ、シンセのカウンター・フレーズがシンフォニックなフックとして印象的な#7。等々、ロイネ・ストルト(G)の味のある歌唱、ネバリあるギターのトーン、クリケット奏法などやワウを絡めたメロディアスなプレイが、ドラマティックに場面転換する楽曲群にオーガニックな息吹を与えています。
キーボードでサポートするトマス・ボ-ディン(Key)の音色選択のセンスも見事で、バリエーション豊かでいながらアルバムとして統一された色彩にまとめあげています。

Track List

1. Rhythm of Life
2. Retropolis
3. Rhythm of the Sea
4. There Is More to This World
5. Romancing the City
6. Melting Pot
7. Silent Sorrow
8. Judas Kiss
9. Retroplis by Night
10. Flora Majora
11. Road Back Home

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SPOCK’S BEARD / Beware of Darkness

1996,USA

アメリカのプログレッシブ・ロック・バンドSPOCK’S BEARDの1996年2ndアルバムBeware of Darkness。
日本人キーボーディスト奥本亮が参加、オルガンとメロトロンをプレイ。ライブでのニール・モーズ(Key/Vo)の負担を軽減すると共に表現力もアップ。日本版ボーナス・トラック#8のオルガン・ソロでの個性的なフレージングは本編でも随所に聴かれます。

奇妙でシンフォニックなSPOCK’S BEARDワールドを展開する#1は、何とジョージ・ハリスンのカヴァー。原曲を知らなかったので、クレジットをちゃんと読むまではオリジナルだと思ってました。
場面転換がミュージカル風な#2もまさしく彼ら独特の世界。古めかしいトーンのメロトロンが良い味を出しています。
テーマフレーズが、瑞々しいピアノ、シンセと曲中に様々な表情で引き継がれ、キャッチーな歌メロとともに展開していく#3。
クラシカルなタッチにコンテンポラリーなセンスをまぶしたアコギのソロ#4は楽器と作曲クレジットからすると、ニール・モーズ(Key/Vo)によるものでしょうか。落ち着いた叙情と流麗な演奏が素晴らしい小曲です。
オルガンがリードする序盤から、爽快でポジティブなムードの歌パート、フレットレス・ベースが浮遊する静かなパートを経てシンフォニックな広がりを見せる#5。
アコギをバックにした内省的な歌モノが、バンド演奏が加わる事でスケール感を増す#6。
随所にユニゾンやハーモニーにる印象的なメロディのフックを配し、何となくレトロなムードで16分超を紡ぎあげていく#7。

1stアルバムで見せた演劇的スタイルのSPOCK’S BEARDらしい楽曲展開がますます増量、独特のスタイルが確立されたアルバムです。

Track List

1. Beware of Darkness
2. Thoughts
3. Doorway
4. Chatauqua
5. Walking on the Wind
6. Waste Away
7. Time Has Come
8. On the Edge(LIVE)

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カテゴリー: SPOCK'S BEARD

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LANDBERK / Indian Summer

1996,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドLANDBERKの3rdアルバムIndian Summer。

物憂げなボーカルとメロトロンも交えつつ暗く屈折したバッキングで淡々と進行する#1。
さらに沈んだトーンからスタートし、エフェクトを掛けたボーカルや静謐かつ幽玄なメロトロン、サイケな凶暴性と繊細なタッチを見事にコントロールしたレイネ・フィスケ(G)のギターが耽美な彩りを添える暗黒シンフォ#2。
暴発寸前に歪んだギターによるタテ乗りサイケ風リフからメランコリックな歌唱パートに移行する#3。
アコギや控え目なメロトロンがたゆたう霧のようなバッキングをベースに、優しい歌メロをフィーチュアした#4。
グルーヴィなリズムが陶酔感をもたらすダークなサイケ・ポップ#5。
急かすようなスネアのヒットが息苦しい緊張感を聴き手に与える#6。
殆ど弾かないのに存在感あるギターと沈鬱なボーカルによるユニゾンに妖しくカラフルなフックを交えて展開。後半のゲスト女性ボーカルをフィーチュアしたクールでメランコリックなリフレインは、後のPAATOSのプロトタイプのようでもある耽美シンフォ・チューン#7。
Indian Summer=小春日和でありながら、孤独に凍えるようなギターと消え入るようなボーカルによる寂寥感に満ちたデュオ#8。

メロディはメランコリックなのに決して大仰にならず、クールな一線を越えないストイックさはニュー・ウェーヴを通過したものにしか出せない独特のプログレ。
暗く凍てつく北欧の冬を想起させながら、何故か炭火のような暖かさも内包した独特のオーガニックなサウンドは、レイネ・フィスケとステファン・ディムレ(B)が後に結成するPAATOSに継承されることになる。

Track List

1. Humanize
2. All Around Me
3. 1st Of May
4. I Wish I Had A Boat
5. Dustgod
6. Dreamdance
7. Why Do I Still Sleep
8. Indian Summer

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カテゴリー: LANDBERK

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KULA SHAKER / K

1996,UK

奇才クリスピアン・ミルズ(G/Vo)率いる英国の4人組サイケ・ポップ・ロック・バンドKULA SHAKERの1stアルバムK。

インド風味を絶好のフックとして押し出しつつも、その実サイケでグルーヴィなロックをやっております。単なるPOPSと切り捨てる事が不可能な、細かいアレンジや練りこまれたコード進行とそれを感じさせないキャッチーな楽曲構成力が天才的です。
お香でも焚いて聴くと雰囲気抜群なインド風サイケ・ナンバー#4、#7。
国籍不明な妖しいトリップ・チューン#6。
シタールによるインスト#8。
メロトロンのカウンター・メロディがサイケ/インド風味に溶け込んだ#9。
60年代モノのようなセンスが文句無しにカッコ良いグルーヴ感満点の#10。等々、次から次へとキャッチー且つ濃いナンバーが目白押し。歌もギターも巧いクリスピアンの存在感が抜群なのは勿論、ジェイ・ダーリングトン(Key)のオルガンもテイストはサイケデリックだし、グルーヴ感に溢れたリズム隊も含めて演奏もタイトで素晴らしいです。

Track List

1. Hey dude
2. Knight on the town
3. Temple of everlasting light
4. Govinda
5. Smart dogs
6. Magic theatre
7. Into the deep
8. Sleeping Jiva
9. Tattva
10. Grateful when you're dead
11. 303
12. Start all over
13. Hollow man

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FLOWER KINGS / Stardust We Are

1997,SWEDEN

FLOWER KINGSの1997年3rdアルバムStardust We Areは初の2枚組。

オルガンのリフやサビの歌メロがカッコ良い、ドライブ感抜群のシャッフル・ナンバー#1からアクセル全開。高揚感あふれるギターのメロディや少々屈折した不条理アンサンブルのパートなど、のっけから彼らの魅力が満載された10分38秒で早くも鳥肌。
その他、POPな高速5拍子がカッコ良い#12、ゆったりとした3連に乗ったポジティブなメロディのボーカル・ナンバー#16あたりが好きですね。
勿論ラストの3部構成25分に及ぶタイトル曲も必聴。祈るようなボーカルが切ないパート1、ミステリアスな雰囲気のパート2、サビメロが大団円を感じさせる感動のパート3という一大叙事詩となっています。

正直、アルバム通して聴くと散漫な印象もありますが、一曲一曲が各々別のドラマを持っていて飽きが来ないですね。
とにかく、メロディ・リズム・ハーモニーという音楽の三要素全てにおいて、技巧と親しみやすさが高次元で融合した極上の楽曲群に圧倒されます。1度ハマると抜けられませんね。

Track List

DISC 1
1. In the Eyes of the World
2. Room With a View
3. Just This Once
4. Church of Your Heart
5. Poor Mr. Rain; S Ordinary Guitar
6. Man Who Walked With Kings
7. Circus Brimstone
8. Crying Clown
9. Compassion

DISC 2
10. Pipes of Peace
11. End of Innocence
12. Merry-Go-Round
13. Don of the Universe
14. Day at the Mall
15. Different People
16. Kingdom of Lies
17. If 28
18. Ghost of the Red Cloud
19. Hotel Nirvana
20. Stardust We Are

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