DREAM THEATER のレビュー

DREAM THEATER / Distance Over Time

2019,USA

DREAM THEATERの14thアルバム Distance Over Time。

レーベルをINSIDEOUT MUSICに移籍しての第一弾。
アルバムごとに明確なテーマを持って制作にあたるDREAM THEATERらしく、前作の長編コンセプト・アルバムから一転して今作はトータル60分程度の尺にするというのが一つの意図だった模様。

メロウなアルペジオから畳みかける無慈悲なメタル・リフに場面転換するダークな#1。
ミステリアスな中にも微妙な音遣いでインテリジェンスを感じさせ、サビでは普遍的なメロディで感動を提供する#2。
オールドスクールなリフからスラッシーに移行しつつ、後半のギター・オーケストレーションではベタな泣きが意外な#3。
RUSHを彷彿させるカラっとした北米プログレ・ハードの序盤から、構築美とエモーションが融合したギターソロを含むメロウな後半へ展開する#4。
トライバルで粗暴なムードのリズムが目新しい#5。
バンド一体となって変拍子で押しまくるパートとメロディアスなサビが融合した#6。
どこかオリエンタルなムードのモチーフを執拗に繰り返す超絶変態プログレ・ナンバー#7。かといってゴリゴリ一辺倒ではなくメロディアスなサビや後半のエモーショナルなインスト・パートにキャッチーさを残すのもDREAM THEATERらしい。
ピアノとメロウなギターがリードする静謐な美バラード#8。
何かが起こりそうな序盤から漂う大作ムードはそれなりだが、アルバム総尺60分の縛りからか、展開していく各要素が収束するカタルシスが彼らにしてはイマイチな#9。
第2期DEEP PURPLE風をダウン・チューニングで再現したかのようなパーティ・ナンバー#10。

坂本龍一が所有していた郊外のスタジオにメンバーが集合。半ば合宿のような感じで作曲を進めたとあって、リフの元ネタやアレンジに各メンバーのアイディアが民主的に取り入れられているらしい。前作では2枚組の長編ストーリーをほぼジョン・ペトルーシ(G)一人で書き上げた事を考えると方向性は真逆で、緻密なDREAM THEATERらしさの中に生々しいライブ感がいつになく増量されているのもバンドとしての絆がより深まったことの結果であろう。
アルバムのプロモーションにSNSを積極的に利用し、楽曲の背景を垣間見せる手法もインテリジェントなバンドらしく、より深堀りしたいファンの特性にマッチ。アルバムを引っ提げてのツアーではリリース20周年となるMetropolis PT2 : Scenes from a Memoryのアルバム全曲再現をアナウンスするなど、商売とファン・サービスが見事に融合している点も見逃せない。

Track List

1. Untethered Angel
2. Paralyzed
3. Fall into the Light
4. Barstool Warrior
5. Room 137
6. S2N
7. At Wit's End
8. Out of Reach
9. Pale Blue Dot
10. Viper King

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