DREAM THEATER のレビュー

DREAM THEATER / Dream Theater

2013,USA

プログレッシブ・メタルの先駆者DREAM THEATERの12thアルバム、Dream Theater。

自らが切り開いたプログレッシブ・メタルというジャンル自体が既に爛熟し形式化して久しい中、DREAM THEATER自身もあれこれと模索をしつつもSystematic Caosのような自己模倣に陥ることもあった。しかし、ここ数作では妙なてらいを排した自然なスタイルでマイク・ポートノイの脱退という最大のピンチも乗り切り安定した活動を続けている。

マイク・マンジーニ(Dr)加入後2作目にしてバンド初のセルフタイトルということで注目された本アルバムもまたその流れに沿った原点回帰とも呼べる内容。プログレ・メタル云々以前に、むしろハード・ロックと呼称しても良いくらいのオーソドックスなスタイルの胸アツなリフやキャッチーなメロディを軸足にしている。

ミステリアスで大仰という良くあるタイプの序曲#1。
ギター・リフとドラムのタイトな16分ユニゾンが定番過ぎて意外な#2。しかし素直にカッコ良いし、アルバムの実質的なオープニングとしては最高の滑り出し。特にリズムのパターンを変化させてきた2コーラス目の疾走感がメタル王道で痺れる。ギター・ソロも構築度とスリルを兼ね備えたジョン・ペトルーシらしい素晴らしいプレイ。
#3は変拍子を織り交ぜた北米テイスト溢れるRUSHっぽいキャッチーなナンバー。メロウなパートでのジェイムズ・ラブリエの歌唱も2ndあたりのムードが漂う。
インスト#4はハイテク・アンサンブルとシンセやギターのソロが舞い踊る中、デレク・シェレニアンのプレイを彷彿させるダーティなオルガンが良い感じ。
静動のダイナミズム、開放感あるサビなどストレートでメロディアスなヘヴィ・バラード#5。
バスドラがリードするリフが印象的な#6。
彼らにしては短めの6分半に様々な展開を見せる#7。サビが非常にメロディアス。
清涼感あるサビを持つメランコリックなバラード#8。
22分超の大作#9はちょっと散漫な印象も。ロックな各パーツは邪悪なグルーヴに乗った序盤を筆頭にさすがの出来だが、ありきたりで冗長なシンフォック・パートはDREAM THEATERとしてやる必要性をあまり感じないし、組曲としての一体感もイマイチだ。このあたりに、もしかしたらファン目線を持ったプロデューサーだったマイク・ポートノイによる第三者的視点の不在が影響しているのかもしれない。

最初と最後のシンフォ・パートに蛇足感はあるものの、総合的な印象は無条件に感動した初期のムードに似ている。そういう意味でセルフタイトルは充分に納得のいくものだ。

Track List

1. False Awakening Suite
I. Sleep Paralysis
II. Night Terrors
III. "Lucid Dream
2. The Enemy Inside
3. The Looking Glass
4. Enigma Machine
5. The Bigger Picture
6. Behind the Veil
7. Surrender to Reason
8. Along for the Ride
9. Illumination Theory
I. Paradoxe de la Lumière Noire
II. Live, Die, Kill
III. The Embracing Circle
IV. The Pursuit of Truth
V. Surrender, Trust & Passion

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