DREAM THEATER のレビュー

DREAM THEATER / Six Degrees of Inner Turbulence

2002,USA

プログレ・メタルの先駆者DREAM THEATERの6thアルバムSix Degrees of Inner Turbulence。

全てを極めたかのような前作に続く新作ということでそれなりにプレッシャーはあったと思われますが、2枚組というボリュームでまずは度肝を抜かれます。
DISC1は従来通りのDREAM THEATERが楽しめるプログレ・メタル、DISC2は8つのパートからなる42分の組曲という構成。

前作のラストにおけるアナログ・レコードのノイズから幕を開け、ジョン・ペトルーシ(G)の7弦ギターによるロウBのヘヴィなリフに、マイク・ポートノイ(Dr)によるラップ風ボーカルやDJ風スクラッチ・ノイズ等の新機軸を加えたオープニング・チューン#1。
AOR風ボーカル・ナンバーの装いから徐々に疾走パートなどを加えて展開していく#2。
クリアなギターの優しいバッキングのキャッチーなパートからメロトロンのようなストリングスが絡み、ギターのハウリングをきっかけにヘヴィに移行する深遠でドラマティックな#3。不条理ヘヴィ・リフに乗った逆回転ギター・ソロの変態的な響きがナイス。
エフェクトを掛けたボーカルやパッド系シンセを中心としたバッキング・パートが今までに無いテイストの#4。
ミステリアスなフックを内包したメランコリックなナンバー#5。
と、DISC1は2ndで完成したDREAM THEATERのフォーマットに、若干の新しい要素を加えてアップデートしたかのような印象。
DISC2はジョーダン・ルーデス(Key)のシンセが大活躍する壮大なオーケストレーションを施したiでスタート。ポジティブなムードがまるでディズニーのようです。
軽やかなピアノを中心に爽やかにキャッチーに進行するメロディアスなii。
一転して不穏なムードでヘヴィなiii。
高速パッセージをきっかけに歯切れ良いリフがリードするivへ。疾走感の中挿入されたオリエンタルなムードが新鮮。
ジェイムス・ラブリエ(Vo)の伸びやかな美声が映えるメロウな序盤から、組曲のテーマ・メロディのリフレインを挟みマイナー調でのギター・ソロに移行するv。
アコギのカッティングがリードするアメリカン・フォーク・タッチのvi。しかしこれもそのまま終わるわけも無く終盤は入り組んだ得意の器楽アンサブルで締め。
続くviiもカラっとアメリカンなギター・リフが爽快なアップテンポのナンバー・・・・・なのは前半だけで、インスト・パートからは複雑に展開。
組曲の締めくくりは壮大なシンセのオーケストレーションから、抑えたボーカル・パートを経てジェイムス・ラブリエが歌い上げる感動の大団円へ。

若干変態な実験性を加味したDISC1、ストーリー作ながら前作とは違って爽快でポジティブな作風でまとめたDISC2と、2枚組にしたのもダテじゃありません。
アイディアの枯渇とは全く無縁であることを証明した、プログレ・メタルの第一人者らしい充実作です。

Track List

Disc 1
1. The Glass Prison
2. Blind Faith
3. Misunderstood
4. The Great Debate
5. Disappear
Disc 2
1. Six Degrees of Inner Turbulence
i) Overture
ii) About to Crash
iii) War Inside My Head
iv) The Test That Stumped Them All
v) Goodnight Kiss
vi) Solitary Shell
vii) About to Crash (Reprise)
viii) Losing Time/Grand Finale

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