DREAM THEATER のレビュー

DREAM THEATER / Octavarium

2005,USA

DREAM THEATERの8thアルバムOctavarium。

前作エンディングのピアノによるF音を冒頭に配したヘヴィな#1は、「アルコール依存症を克服する12ステップ」の6,7ステップ目。ラストでは#8のテーマ・メロディが提示され、コンセプト・アルバムのような体裁も。
切ないピアノに弦楽四重奏が絡む美しくメロウなバラード#2。ここでも#8のテーマがさりげなく挿入されています。
一転してひしゃげた重低音リフから始まる#3。しかし歌唱パートには透明感すら感じさせる静かなメランコリック・パートもあり、その起伏がドラマティック。
伸びやかでキャッチーな#4。
7弦あるいはバリトン・ギターによる重低音リフがリードする#5。全体的にヘヴィでありながら、叙情味を持ったメロディを共存させているDREAM THEATERらしいナンバー。インスト・パートではIRON MAIDEN風(?)3連パートと通常拍子を交互に持ってくる面白いアレンジもまた彼ららしい仕掛け。
開放的なサビメロが、小刻みにのたうつヘヴィな単音リフとのギャップを生んでいる#6。構築度の高いギター・ソロ、テクノ風シンセのシーケンスなど、アレンジのセンスも円熟の境地。
ミステリアスな歌唱パート、テクニカルなソロ・パート、メロディアスな器楽アンサンブルで構成された#7。
と、ここまで比較的コンパクトな楽曲にメロディとアレンジの妙を凝縮したトラックが続き、いよいよ5パートからなる大作#8へ。
PINK FLOYDのShine on You Crazy Diamondを彷彿させる序盤は、ジョーダン・ル-デス(Key)の独壇場。ペダル・スティールのようなポルタメントの効いた音色はContinuum fingerboardという機材を使っている模様。このアナログ・シンセ風トーンにはプログレ・ファンも大喜びでしょう。続く12弦アコギのアルペジオに乗るボーカル・パートはGENESISのようでもあります。
2パートはテーマ・メロディを中心にジェイムズ・ラブリエ(Vo)の歌唱をフィーチュアした優しく開放的なムード。
アナログ・シンセのスケール練習風ソロもGENESIS的。スピードはかなり速いですが。
緊張感を持った3パートは作詞者のマイク・ポートノイ(Dr)のコーラスが登場。はっきり言って下手ですね。
超絶アンサンブルにジャズ風も交えた器楽パートを経て激しい4パートへ。
そして壮大な5パートでは締めくくりに相応しく、歌い上げるボーカルにオーケストラも参加し大団円へ。ラストのピアノ音がアルバム冒頭への回帰を促す、というクラシックな手法も微笑ましいです。

5人で作った8作目のアルバムでタイトルもOctavarium。ヒュー・サイムによるジャケットやブックレットの至るところに8や5にまつわる図形やイラストが配され、コンセプト・アルバム風ではありますが、音楽そのものというよりもアートと連動した曲のキーや色々な仕掛けにテーマを隠したパッケージ・メディアとしてのトータル・コンセプトのようです。
ただ先人達がそうしてきたように、意味ありげな意匠に拘るところも又ファンの知的好奇心をくすぐる、ということをバンド(というかマイク・ポートノイとジョン・ペトルーシ)は良く解ってますね。
前作でヘヴィネスとアグレッションに一応の決着を付けたからか、本作には全体的に開放的ムードが感じられます。良いメロディをコンパクトに追求した結果でしょうか。アルバムのテーマ8=1オクターブ=8音というところに特に#2~#4あたりのメロディ志向が宣言されていると解釈しているんですが。

Track List

1. The Root Of All Evil
2. The Answer Lies Within
3. These Walls
4. I Walk Beside You
5. Panic Attack
6. Never Enough
7. Sacrificed Sons
8. Octavarium

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