ASIA / XXX
2012,UK
再結成オリジナルASIAの3作目、XXX。
シンセがテーマメロディを提示する展開が80年代 -というかBUGGLES- を彷彿させる21世紀の今となってはダサさギリギリの躍動感溢れるオープニング・チューン#1。ジェフリー・ダウンズ(Key)によるハイブリット・シンセ風なキラキラ・トーンも懐かしさを通り越してむしろ新鮮。スティーヴ・ハウ(G)による2コーラス目のオブリガードやギター・ソロも個性的かつメロディアスで素晴らしいです。
ゆったりと落ち着いたリズムの#2。透明感あるボーカル・メロディ、シンフォニックかつクラシカルなシンセのパートが初期ASIAを想起させます。
ジョン・ウェットン(B/Vo)の男っぽいボーカルがシブい、シンプルなリフをベースにしたロックン・ロール#3。
これもどこかBUGGLESっぽい#4。サビはsus4を使い捲くりの得意なパターン。
イントロのひしゃげたようなエレピのトーンが印象的な#5。古今東西使い回された定番パターンのリフレインから楽曲を仕上げてしまうあたりはヴェテランの貫禄。
シンセ・ストリングスを纏った瑞々しいピアノで幕を開けるタイトな8ビートの#6。間奏はスティーヴ・ハウのアレンジされたソロ。分厚いシンセのアレンジが耳を惹きます。
シンプルなリズムに乗ったメランコリックなヴァースからキャッチーなサビに展開する#7。2コーラス目に登場するサイケなトーンのオルガンがいい味を出しています。
こちらもシンプルな80年代風ポップの#8。サビとコーラスが超キャッチー。
ピアノとボーカルのデュオで進行する感動のバラード#9。抑えたトーンのソロ、スライドのソロといったギター、シンセのオーケストレーションでスケール感たっぷりにアルバムを締めくくります。
ASIAもデビュー30周年。2008年再結成以降の順調な活動振りや、今作も手がけたロジャー・ディーンの変わらぬフレッシュでファンタジックなカヴァーの印象もあってか、30年の重みというよりも未だ現役感バリバリで溌剌としたイメージのASIA。
音の方も瑞々しさを湛えた躍動感あるASIAサウンドが健在。とにかくどの曲もサビが親しみやすく、すぐに馴染めてしまう。そこにはもはや意外性など無いのは勿論だが、普通に良質なメロディを産み出し続けているところが素晴らしいのだ。
懐メロ集金ツアーだけで創作能力を失ったレジェンド・バンド達に、見倣って欲しい。
Track List
1. Tomorrow The World
2. Bury Me In Willow 3. No Religion
4. Faithful
5. I Know How You Feel
6. Face On The Bridge
7. Al Gatto Nero
8. Judas
9. Ghost Of A Chance