DREAM THEATER

DREAM THEATER

バークリー音楽院出身のジョン・ペトルーシ(G)、ジョン・マイアング(B)、マイク・ポートノイ(Dr)を中心に1985年に結成されたアメリカのプログレッシブ・メタル・バンドDREAM THEATER。

アカデミックな音楽教育をバックボーンに、ドラマティックなヘヴィ・メタルと超絶技巧を活かしたテクニカルでスリリングなアンサンブルのRUSH的なプログレッシブ・ロックを融合し、プログレッシブ・メタルと呼ばれるジャンルを生み出した。特にボーカリストがジェイムズ・ラブリエに交代した2ndアルバム Images And Wordsの商業的成功以降、似たような音楽性の所謂DREAM THEATERフォロワーがシーンに続々と登場することになった。
しかし、切々とした歌唱からスクリームまでこなすジェイムズ・ラブリエ、テクニカルな中にもピッキングのニュアンスやヴィブラートでメロディアスな名演を多く残すジョン・ペトルーシ、変幻自在の変拍子にロック的なダイナミクスをまぶしたマイク・ポートノイのドラミングなど、無機質にも思えるサーカス的な技巧と本来は対極に存在するはずのエモーションを高次元で兼ね備えた音楽性で、小手先のフォロワー達が次々と脱落する中にあって、先鋭性とコマーシャリズムのバランスを巧みに取りながら作品ごとに作風を変え、常にシーンの先頭を走り続けている。

2010年には突如、バンドのスポークスマンであり音楽的方向性やビジネス面などを仕切っていたマイク・ポートノイが脱退を表明。
バンドは後任ドラマーを選ぶに当たって公開オーディションを実施。マルコ・ミンネマンやヴァージル・ドナティなど大物の参加も話題になる中、EXTREMEなどの活動で有名なマイク・マンジーニを迎え11thアルバムA Dramatic Turn of Eventsを発表した。


2016年1月新作リリース!
DREAM THEATER / Astonishing




DREAM THEATER のレビュー

DREAM THEATER / When Dream and Day Unite

1989,USA

プログレッシブ・メタルを発明したDREAM THEATERの1989年1stアルバムWhen Dream and Day Unite。

デビュー作にしてプロデュースにバンド自らが名を連ねている。ヴィジョンがはっきりしていたんだろう。既に自信満々に、後に通じるメロディアスなプログレ・メタルを展開している。
今ほど変態っぽさは多くないし、ジョン・ペトルーシ(G)はたまにモロ イングヴェイなフレーズを弾いたり、シンガーが初代のチャーリー・ドミニシ(Vo)だったりしてちょいB級クサさも。ブックレットのメンバー写真の印象がまたB級クサ~。こんなやつらが後にBIGになるなんて誰も思わなかった。

Track List

1. Fortune in Lies
2. Status Seeker
3. The Ytse Jam
4. The Killing Hand
5. Light Fuse and Get Away
6. Afterlife
7. The Ones Who Help to Set the Sun
8. Only a Matter of Time

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DREAM THEATER / Images and Words

1992,USA

1stアルバムでの唯一の弱点だったボーカルがチャーリー・ドミニシからジェイムズ・ラブリエ(Vo)にチェンジしたDREAM THEATERの1992年2ndアルバムImages and Words。

ヘヴィ・メタルとしてのカッコ良さとプログレッシブなテイストが高次元で融合した#1,#3、キャッチーなAORチューン#2など序盤で既に前作から数ランクもバージョン・アップした手応えが感じられます。
メロディとスケール感に息を呑む#4,#8を適所に配しながら、何といっても本アルバムのハイライトは#5。プログレッシブなアヴァンギャルドさ・変拍子などが、メタルの文脈の中でヘヴィネスと攻撃性を兼ね備えて表現されたこのテクニカルなエピック・チューンの登場を持って、いよいよDREAM THEATERが他に類を見ない独自のプログレッシブ・メタルを完成させたと言えるでしょう。
そして当時初来日公演を行った川崎クラブ・チッタでは、開演前、「本当にできるのか?」と値踏みするような表情で待っていたバンド・マン達中心のオーディエンスが、1曲目から口をポカーンと開けてアゴがはずれるほど驚愕することになります。その感慨深い曲も#5でしたね。

Track List

1. Pull Me Under
2. Another Day
3. Take the Time
4. Surrounded
5. Metropolis, Pt. 1: The Miracle and the Sleeper
6. Under a Glass Moon
7. Wait for Sleep
8. Learning to Live

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DREAM THEATER / Awake

1994,USA

前作 Images and Wordsで独自のプログレッシブ・メタルを確立したDREAM THEATERの1994年3rdアルバムAwake。

キャッチーで開放感や清涼感すら漂わせた前作の路線でそのまま行く事も可能であったろうに、彼らが選択したのはダーク&ヘヴィ路線。
ジョン・ペトルーシ(G)のダウン・チューニングしたギター、ケヴィン・ムーア(Key)のダーティなオルガン・サウンド、ジェイムズ・ラブリエ(Vo)のわざと潰した様なヴォイス・・・当時はかなり衝撃でしたが、バンドとして年月を経て豊富になったカタログのラインナップを振り返ると、ごく自然な流れにも思えてきますね。
真相が、飽くなき進化を求めてのことなのか、全米を席巻したグランジ・ブームの影響なのかはともかく。変態且つ屈折したムードの#4や弾きまくるペトルーシのプレイが熱い#5の前後を軽いタッチの#3や#6で繋ぎ、アルバムのハイライト#7~#8が登場。ヘヴィなリフがリードしつつもツボを心得たストリングスを中心としたシンセのアレンジが秀逸で、冷ややかな感触を楽曲にもたらし独特なムードを醸成しています。
このアルバムを最後にバンドを去るゲヴィン作詞作曲の絶望的ナンバー#11のテーマ・メロディを#7にさりげなく挿入するあたりも、マニアックなリスナーの知的好奇心をくすぐりますね。

Track List

1. 6:00
2. Caught in a Web
3. Innocence Faded
4. Erotomania [Instrumental]
5. Voices
6. Silent Man
7. Mirror
8. Lie
9. Lifting Shadows off a Dream
10. Scarred
11. Space-Dye Vest

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DREAM THEATER / A Change of Seasons

1995,USA

プログレッシブ・メタルの祖 DREAM THEATERのミニ・アルバム。
IMAGES AND WORDS制作時のアウト・テイクを完成させた7部構成23分超の組曲#1を中心に、1995年1月ロンドンはロニー・スコット・ジャズ・クラブでのライブを収録したカヴァー曲集を加えた構成となっています。

#1はこの時期のDREAM THEATERらしいメロディアスで割りとストレートなプログレッシブ・メタル。前作AWAKEを最後にバンドを去ったケヴィン・ムーアの後任にデレク・シェレニアン(Key)が加入、ダーティなオルガン・サウンドで新機軸を発揮すると共に、ソロでは申し分無いテクニックを披露しています。
続く#2、#3、#4はそれぞれエルトン・ジョン、DEEP PURPLE、LED ZEPPELINのカヴァーで、捻った選曲が興味深いです。
#3でのジェイムズ・ラブリエ(Vo)の歌唱がシャウトを交え活き活きと伸びやかなのが象徴的で、バンドもリラックスして楽しみながらプレイしていたんでしょう。
#5はPINK FLOYDのIn The Fresh?、KANSASのCarry On Wayward Son、QUEENのBohemian Rhapsody、JOURNEYのLovin, Touchin, Squeezin、DIXIE DREGSのCruse Control、GENESISのTurn It On Again等彼らが影響を受けたバンド達の楽曲をメドレーでプレイしたもの。いわゆるプログレ期では無いGENESISの楽曲を取り上げたのもおもしろいですね。

Track List

1. Change of Seasons
2. Funeral for a Friend/Love Lies Bleeding
3. Perfect Strangers
4. Rover/Achilles Last Stand/The Song Remains the Same
5. Big Medley

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DREAM THEATER / Falling Into Infinity

1997,USA

DREAM THEATERの4thアルバムFalling Into Infinity。
ミニ・アルバムA Change of Seasonsより加わったデレク・シェリニアン(Key)が引き続き参加。

無機的なテーマ・リフを様々に変奏・発展させて構成したクールなプログレッシブ・チューン#1。
デズモンド・チャイルドが作曲に関わったキャッチーな#2。
ダークなAORといったテイストの序盤からヘヴィに発展する#3。
ジョン・ペトルーシ(G)の繊細なアコギが味わい深いSTING風なAORチューン#4。
ジョン・ミュング(B)の弾き出すダークなベース・ラインに歪みオルガンのバッキング、シンセ・ソロとデレク・シェリニアンの見せ場が多いアルバム随一のヘヴィ・チューン#5。
豊かなメロディとマイルドなサウンドにより、5拍子や7拍子が入り組んだ複雑さを感じさせないインストゥルメンタル#6。
サビのバッキングがTOTOのGirl Goodbyeみたいな12分超のハード・ロック#7。
ジェイムス・ラブリエ(Vo)の伸びやかな歌唱をフィーチュアしたAORチューン#8。
シンセとギターのテクニカルなソロ・パートを待つDREAM THEATER流ロックン・ロール#9。
ドラマティックで美しいバラード#10。
フュージョン風なコード進行でジョン・ペトルーシが弾き捲くるインスト部を挿入した3部構成の組曲#11。

デレク・シェリニアンがメインで弾くオルガンのトーン、複雑で変態的なハッとする切り返しの少ないアレンジ、#4,#8,#10等大人しい楽曲の多さと随所に漂うAOR風味、といったところから、プログレッシブ・メタルはおろか最早メタル的なカタルシスにも乏しく、随分オーソドックスなハード・ロックになったなぁ、という印象が濃いアルバム。
KISSやBON JOVIとの仕事で有名なヒット・メーカー デズモンド・チャイルドの起用、KING’S Xのダグ・ピニックが#7でゲスト・ボーカルで参加、ヒプノシスのストーム・トーガソンによる意味深でいて実は単にインパクト勝負なだけのジャケット・アート、という様々な違和感も含め、ヒットと話題性を求めるレコード会社からの圧力がかなりあったようです。#10なんかもゴリゴリに変態な楽曲群の中に存在した方が、よりその素晴らしさが映えると思うんですが・・・

Track List

1. New Millennium
2. You Not Me
3. Peruvian Skies
4. Hollow Years
5. Burning My Soul
6. Hell's Kitchen
7. Lines In The Sand
8. Take Away My Pain
9. Just Let Me Breathe
10. Anna Lee
11. Trial Of Tears:
i) It's Raining
ii) Deep In Heaven
iii) The Wasteland

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DREAM THEATER / Metropolis PT2 : Scenes from a Memory

1999,USA

プログレ・メタルの先駆者DREAM THEATERの5thアルバムScenes From A Memory。

2ndアルバム収録曲で初来日公演のオープニングを飾ったプログレ・メタルの名曲Metropolis PART1に続くPART2を銘打った、悲劇と輪廻転生を描いたストーリー・アルバム。

イントロ的な#1からMetropolisの一節を挿入してフェードインしてくる#2のリフで既にワクワク感はMAX状態。大きな展開とテクニカルな素早いパッセージをバランス良く配した曲構成も見事なオープニング。
後にリプライズするピアノのアルペジオが印象的な#4から、新加入ジョーダン・ルーデス(Key)の超絶ソロが登場するダークな#5に移行するあたりから徐々に物語の深部へ。
メタリックな激しさとミステリアスな静寂が交互に押し寄せ、やがてメロディアスに昇華するドラマティックな#6。中間部のインスト・パートは、リフをバックにしたジョン・ペトルーシ(G)のソロ、目まぐるしく展開するシンセ・ソロ、ジョン・ペトルーシの鬼のような早弾きと息つくヒマも無いが、これだけ弾き倒されるとむしろ爽快。
ソウルフルな女性スキャットがアルバムの中間地点で良いアクセントとなった#7。ここはジェイムス・ラブリエ(Vo)の表現力豊かな歌唱も聴き所です。
熱にうなされるかのように息苦しくヘヴィな#8で物語はACT IIへ。ヘヴィネスからメロディアスに転換する意外性あるアレンジが秀逸。
ジョン・ミュング(B)によるフランジング効果の掛かった重いリフからプログレ・メタルらしい奇妙なリフに変化するインストゥルメンタルの#9。ホンキートンク・ピアノのソロがなかなか洒落ていて、ジョーダン・ルーデスの引き出しの多さを垣間見れます。
流れるように美しいピアノに導かれたバラード風の冒頭から、爽やかとも言えるくらいメロディアスなサビへ移行する#10。
#11はゴスペル風コーラスとジョン・ペトルーシの情感たっぷりなギター・ソロをフィーチュアした、普遍性を持ったメロディアスな名曲。
そして起伏あるドラマを締めくくるのが、アルバム全てを凝縮したかのようなドラマティックな12分超の感動大作#12。

随所にMetropolisの一部を登場させるニクい演出もさることながら、とにかく全曲の質が異常に高い。
場面転換してストーリーを紡ぎながらも各曲のキャラがちゃんと立っているのがもはや奇跡。
従来のテクニカルなプログレッシブ・メタルに、より一般受けするメロディアスな要素を加えつつ、それをさらにストーリー性を持たせてアルバム1枚を構築してしまうという偉業を成し遂げたロック史に残る名盤。
このアルバムでDREAM THEATERは往年の名バンド達と肩を並べたと言っても良いのではないでしょうか。
ストーリーのラストは音だけでは不可解なので、タネ明かしされるライブDVDの鑑賞もお勧めします。

Track List

1. Regression
2. Overture 1928
3. Strange Deja Vu
4. Through My Words
5. Fatal Tragedy
6. Beyond This Life
7. Through Her Eyes
8. Home
9. The Dance of Eternity
10. One Last Time
11. The Spirit Carries On
12. Finally Free

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DREAM THEATER / Six Degrees of Inner Turbulence

2002,USA

プログレ・メタルの先駆者DREAM THEATERの6thアルバムSix Degrees of Inner Turbulence。

全てを極めたかのような前作に続く新作ということでそれなりにプレッシャーはあったと思われますが、2枚組というボリュームでまずは度肝を抜かれます。
DISC1は従来通りのDREAM THEATERが楽しめるプログレ・メタル、DISC2は8つのパートからなる42分の組曲という構成。

前作のラストにおけるアナログ・レコードのノイズから幕を開け、ジョン・ペトルーシ(G)の7弦ギターによるロウBのヘヴィなリフに、マイク・ポートノイ(Dr)によるラップ風ボーカルやDJ風スクラッチ・ノイズ等の新機軸を加えたオープニング・チューン#1。
AOR風ボーカル・ナンバーの装いから徐々に疾走パートなどを加えて展開していく#2。
クリアなギターの優しいバッキングのキャッチーなパートからメロトロンのようなストリングスが絡み、ギターのハウリングをきっかけにヘヴィに移行する深遠でドラマティックな#3。不条理ヘヴィ・リフに乗った逆回転ギター・ソロの変態的な響きがナイス。
エフェクトを掛けたボーカルやパッド系シンセを中心としたバッキング・パートが今までに無いテイストの#4。
ミステリアスなフックを内包したメランコリックなナンバー#5。
と、DISC1は2ndで完成したDREAM THEATERのフォーマットに、若干の新しい要素を加えてアップデートしたかのような印象。
DISC2はジョーダン・ルーデス(Key)のシンセが大活躍する壮大なオーケストレーションを施したiでスタート。ポジティブなムードがまるでディズニーのようです。
軽やかなピアノを中心に爽やかにキャッチーに進行するメロディアスなii。
一転して不穏なムードでヘヴィなiii。
高速パッセージをきっかけに歯切れ良いリフがリードするivへ。疾走感の中挿入されたオリエンタルなムードが新鮮。
ジェイムス・ラブリエ(Vo)の伸びやかな美声が映えるメロウな序盤から、組曲のテーマ・メロディのリフレインを挟みマイナー調でのギター・ソロに移行するv。
アコギのカッティングがリードするアメリカン・フォーク・タッチのvi。しかしこれもそのまま終わるわけも無く終盤は入り組んだ得意の器楽アンサブルで締め。
続くviiもカラっとアメリカンなギター・リフが爽快なアップテンポのナンバー・・・・・なのは前半だけで、インスト・パートからは複雑に展開。
組曲の締めくくりは壮大なシンセのオーケストレーションから、抑えたボーカル・パートを経てジェイムス・ラブリエが歌い上げる感動の大団円へ。

若干変態な実験性を加味したDISC1、ストーリー作ながら前作とは違って爽快でポジティブな作風でまとめたDISC2と、2枚組にしたのもダテじゃありません。
アイディアの枯渇とは全く無縁であることを証明した、プログレ・メタルの第一人者らしい充実作です。

Track List

Disc 1
1. The Glass Prison
2. Blind Faith
3. Misunderstood
4. The Great Debate
5. Disappear
Disc 2
1. Six Degrees of Inner Turbulence
i) Overture
ii) About to Crash
iii) War Inside My Head
iv) The Test That Stumped Them All
v) Goodnight Kiss
vi) Solitary Shell
vii) About to Crash (Reprise)
viii) Losing Time/Grand Finale

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DREAM THEATER / Train of Thought

2003,USA

DREAM THEATERの7thアルバムTrain of Thought。

前作ラストのシンセストリングスのフェイドインを冒頭に配し、ルート音とオクターブ+フラットファイブによるBLACK SABBATHをオリジネイターとする不穏なリフで幕を開ける#1。
前作の1曲目As I Amの続編となる#2は「アルコール依存症を克服する12ステップ」の4,5ステップ目。
暗い叙情を漂わせたギターのアルペジオのバッキングから始まる#3。ハーモニクスを交えたヘヴィなリフから激しさを加え、複雑なアンサンブル・パートからシンセとギターによる超絶テクニカル・ソロ・バトルに展開。
マイク・ポートノイ(Dr)のロールからシンコペーションが印象的なリフへと至る疾走パート、ヘヴィなボーカル・パート、メロディアスなブリッジ、と巧みに構成された#4。ジョーダン・ルーデス(Key)のエキセントリックなトーンのソロが強烈。
ピアノにチェロを加えたバッキングに、ジェイムス・ラブリエ(Vo)の胸を締め付けるような歌唱が切ない#5。
#5のメロディを引き継ぎ、ヘヴィかつメロディアスに進行するドラマティックなインストゥルメンタル#6。テーマの反復と変奏がクラシカルな構築美を持っている。インストが多いDREAM THEATERの中でも出色の出来。ジョン・ペトルーシ(G)の鬼神のような弾き捲くりがカタルシスをもたらします。
#7はもはやその手法を完全に我が物にした壮大なエピック・チューン。バビロン風リフ、ヘヴィネスとメロディの融合、思索パート、テクニカルなアンサンブル・パート、変拍子、と全てが詰まった佳曲。

相当この時期、創作意欲が充実していたんでしょう。2枚組大ボリュームの前作から2年弱での新作リリースとなった本アルバム。シンセのオーケストレーションは姿を消し、徹底的にダークさとアグレッションに拘った結果、リフの印象度がかなり高くなっています。

Track List

1. As I Am
2. This Dying Soul
3. Endless Sacrifice
4. Honor Thy Father
5. Vacant
6. Stream Of Consciousness
7. In The Name Of God

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DREAM THEATER / Octavarium

2005,USA

DREAM THEATERの8thアルバムOctavarium。

前作エンディングのピアノによるF音を冒頭に配したヘヴィな#1は、「アルコール依存症を克服する12ステップ」の6,7ステップ目。ラストでは#8のテーマ・メロディが提示され、コンセプト・アルバムのような体裁も。
切ないピアノに弦楽四重奏が絡む美しくメロウなバラード#2。ここでも#8のテーマがさりげなく挿入されています。
一転してひしゃげた重低音リフから始まる#3。しかし歌唱パートには透明感すら感じさせる静かなメランコリック・パートもあり、その起伏がドラマティック。
伸びやかでキャッチーな#4。
7弦あるいはバリトン・ギターによる重低音リフがリードする#5。全体的にヘヴィでありながら、叙情味を持ったメロディを共存させているDREAM THEATERらしいナンバー。インスト・パートではIRON MAIDEN風(?)3連パートと通常拍子を交互に持ってくる面白いアレンジもまた彼ららしい仕掛け。
開放的なサビメロが、小刻みにのたうつヘヴィな単音リフとのギャップを生んでいる#6。構築度の高いギター・ソロ、テクノ風シンセのシーケンスなど、アレンジのセンスも円熟の境地。
ミステリアスな歌唱パート、テクニカルなソロ・パート、メロディアスな器楽アンサンブルで構成された#7。
と、ここまで比較的コンパクトな楽曲にメロディとアレンジの妙を凝縮したトラックが続き、いよいよ5パートからなる大作#8へ。
PINK FLOYDのShine on You Crazy Diamondを彷彿させる序盤は、ジョーダン・ル-デス(Key)の独壇場。ペダル・スティールのようなポルタメントの効いた音色はContinuum fingerboardという機材を使っている模様。このアナログ・シンセ風トーンにはプログレ・ファンも大喜びでしょう。続く12弦アコギのアルペジオに乗るボーカル・パートはGENESISのようでもあります。
2パートはテーマ・メロディを中心にジェイムズ・ラブリエ(Vo)の歌唱をフィーチュアした優しく開放的なムード。
アナログ・シンセのスケール練習風ソロもGENESIS的。スピードはかなり速いですが。
緊張感を持った3パートは作詞者のマイク・ポートノイ(Dr)のコーラスが登場。はっきり言って下手ですね。
超絶アンサンブルにジャズ風も交えた器楽パートを経て激しい4パートへ。
そして壮大な5パートでは締めくくりに相応しく、歌い上げるボーカルにオーケストラも参加し大団円へ。ラストのピアノ音がアルバム冒頭への回帰を促す、というクラシックな手法も微笑ましいです。

5人で作った8作目のアルバムでタイトルもOctavarium。ヒュー・サイムによるジャケットやブックレットの至るところに8や5にまつわる図形やイラストが配され、コンセプト・アルバム風ではありますが、音楽そのものというよりもアートと連動した曲のキーや色々な仕掛けにテーマを隠したパッケージ・メディアとしてのトータル・コンセプトのようです。
ただ先人達がそうしてきたように、意味ありげな意匠に拘るところも又ファンの知的好奇心をくすぐる、ということをバンド(というかマイク・ポートノイとジョン・ペトルーシ)は良く解ってますね。
前作でヘヴィネスとアグレッションに一応の決着を付けたからか、本作には全体的に開放的ムードが感じられます。良いメロディをコンパクトに追求した結果でしょうか。アルバムのテーマ8=1オクターブ=8音というところに特に#2~#4あたりのメロディ志向が宣言されていると解釈しているんですが。

Track List

1. The Root Of All Evil
2. The Answer Lies Within
3. These Walls
4. I Walk Beside You
5. Panic Attack
6. Never Enough
7. Sacrificed Sons
8. Octavarium

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DREAM THEATER / Systematic Chaos

2007,USA

DREAM THEATERの9thアルバムSystematic Chaos。

アルバム冒頭とラストにPART1とPART2の楽曲を配すると言うKING CRIMSONのような構成の#1。まずはテーマを提示という感じで特にクライマックスは無し。
メランコリックでキャッチーなメロディとヘヴィネスが理想的に融合した#2。
仕事中毒で音数の多い自分達自身を表現したかのようなタイトルの#3。
入り組んだ音使いのリフをベースにラップ調のボーカルを配した#4。インスト・パートはアヴァンギャルドな要素も含めて多様に展開。ジョン・ミュング(B)のパーカッシブなベースがアクセントになっています。
「アルコール依存症を克服する12ステップ」シリーズの8,9ステップとなる#5は、これまでと違って落ち着いたより内省的なムード。
シンセのシーケンス・パターンに乗せた、調子の悪いQUEENのようなコーラス・パートを含んだ#6。
イントロではっきりとしたテーマ・メロディを提示し、アコギのアルペジオから静かに展開していく15分近いエピック・チューン#7。予想通りサビで盛り上がるもののメロディが弱いのが難点。今イチ突き抜けた感が足りないんですよね。インスト・パートのクオリティは高く、スリリングなシンセとギターのソロ及びハーモニーが聴ける。
思索パートから始まる#1の続きである#8。疾走する和風音階のようなリフはなかなか面白いものの、#1のインパクトが弱かっただけに、あえて分断して配置した意図が成功しているとは思えない。

アトランティックからロードランナーに移籍した第一弾。ここ数作は綿密な計算の元、明確なテーマを持つ作品が続いたが、本作はテーマが無いのがテーマのような、とにかく心機一転、思いついたものをそのまま楽曲にしたかのような作風となっている。その結果、随所にDREAM THEATERらしさを感じられる反面、新鮮な驚きに欠けるきらいも。妙なラップや変てこなコーラスが耳に残るようではね・・・・・。前作ではキレ捲くっていたジョーダン・ルーデス(Key)の存在感が薄いのも残念。
自らの音楽性を見事に表現したタイトルが秀逸なだけに惜しい。

Track List

1. In The Presence of Enemies Pt.1
2. Forsaken
3. Constant Motion
4. The Dark Eternal Night
5. Repentance
6. Prophets Of War
7. The Ministry of Lost Souls
8. In The Presence of Enemies Pt.2

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DREAM THEATER / Black Clouds & Silver Linings

2009,USA

DREAM THEATERの2009年10thアルバムBlack Clouds & Silver Linings。

商売上手なRoadrunner移籍第2弾。何とビルボードのアルバム・チャート6位に!市場全体のアルバム・セールスが不振の中、アルバム・オリエンテッドなファンがこぞって購入した結果というのが背景にあるとは思うが、びっくりです。
長尺4曲を含む6曲構成で全体的に非常にメロディアスな印象。短い#2,#3ではキャッチーなDREAM THEATERらしさをコンパクトな楽曲にまとめるとともに、その他の大作ではそれぞれ違った個性でDREAM THEATERのプログレッシブ面を表現してます。
特に終盤。ジョン・ペトルーシ(G)のエモーショナルなフレーズが感動を呼ぶ、マイク・ポートノイ(Dr)が亡き父への想いを込めたスケールの大きな#5、ギターやポルタメントの効いたシンセのアルペジオを中心にプログレッシブに畳み掛ける序盤のインストパート、カッコ良い4拍子+5拍子による疾走パターンとヘヴィネス・パターンの対比でアレンジの冴えを見せるボーカルパートを持つ#6。この2曲は強力です。
とりわけ、メロディ・緊張感・プログレッシブな展開・メタル的なカタルシスを兼ね備えた#6は新たなマイ・アンセムになろうかという出来。

Track List

1. A Nightmare to Remember
2. A Rite of Passage
3. Wither
4. The Shattered Fortress
5. The Best of Times
6. The Count of Tuscany

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DREAM THEATER / A Dramatic Turn of Events

2011,USA

DREAM THEATERの11thアルバムA Dramatic Turn of Events。

バンドの創始者でありプロデューサー、スポークスマンでもあったマイク・ポートノイ脱退のニュースは衝撃的で意外だったが、後任を迎えてアルバム制作もするという報に接してまず感じたのは、「これで、下手なラップ調ボーカルを聴かなくて済む」という、後ろ向きな安堵感だった。

そして、新作発表が近づくにつれ期待感と共に不安感も起こってきた。マイク・ポートノイが一部のリフを書いたりといった事はあったようだが、メロディ面での才能はもう一人のプロデューサーであるジョン・ペトルーシ(G)やジョーダン・ルーデス(Key)が健在なので大丈夫として、曲の構成やコンセプトといった大局的な側面でのパワーダウンは避けられないだろうということ。確かに件の「ド下手ラップ」のように、強権的な手法が裏目に出たケースもあっただろうが、我々の気づかない部分で楽曲やアルバム構成にDREAM THEATERらしいプログレッシブな先取性やカッコ良さをもたらしていたのも実はマイク・ポートノイだったのかも知れない。

という前提で新作A Dramatic Turn of Eventsを聴きこんでみた。
まず感じるのは、手堅くまとめた安定感。
新加入のマイク・マンジーニ(Dr)のプレイ、Images and WordsやScenes from a Memoryを想起させるメロディアスなボーカル・パート、随所に見られるDREAM THEATERらしいテクニカルなアンサンブル、等々。どこにも破綻が無く非常にスムーズにDREAM THEATERの世界が展開されている。

しかし、スムーズすぎるが故にフックが少ない。
ボーカル・パートは確かにメロディアスだがほとんどがマイナー調のみでの展開で、例えば前作収録の名曲The Best of Timesのようなメジャー/マイナーの明暗があまり描かれていない為、メロディの良さがドラマティックに昇華しないのだ。また、インスト・パート以外ではミディアム・テンポが目立ち、リズム的な緩急もあまり感じられない。

これらの結果、手堅くまとまってはいるが意外性に乏しく新しさも感じられないのだ。
しかもまずいのが、#2のローファイ風ブレイク・ビートや#5におけるシャーマンのホーミー風SEなど、既に色んなバンドが取り入れてきた手垢の付いた手法をDREAM THEATERともあろうバンドが導入してしまっている事。
これにはもはや失望をも感じてしまった。

果たしてマイク・ポートノイが健在だとしたら、これらの要素はどうなっていたんだろうか。
DREAM THEATERもかつて70年代の名バンド達がそうだったように、自らが創り出した様式の中にはまり込んでいくことになるのか。

DREAM THEATERの新作ということでどうしてもハードルが高くなってしまうが、決して駄作な訳ではなく、アルバム随一のプログレッシブ・チューン#3のザクザクしたリフからの超絶インスト・パート、#4や#8でのジョン・ペトルーシの構築性とエモーションを兼ね備えたギター・ソロ、メロウなバラード#7でのジャエイムズ・ラブリエ(Vo)の表現力、#8の緊張感から開放される劇的なアレンジなどなど、さすがDREAM THEATERと唸らせるピンポイントでの聴き所が豊富なのは事実。
ただそれだけに、全体的な小ぢんまり感が残念。

Track List

1. On the Backs of Angels
2. Build Me Up, Break Me Down
3. Lost Not Forgotten
4. This is the Life
5. Bridges In The Sky
6. Outcry
7. Far From Heaven
8. Breaking All Illusions
9. Beneath The Surface

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DREAM THEATER / Dream Theater

2013,USA

プログレッシブ・メタルの先駆者DREAM THEATERの12thアルバム、Dream Theater。

自らが切り開いたプログレッシブ・メタルというジャンル自体が既に爛熟し形式化して久しい中、DREAM THEATER自身もあれこれと模索をしつつもSystematic Caosのような自己模倣に陥ることもあった。しかし、ここ数作では妙なてらいを排した自然なスタイルでマイク・ポートノイの脱退という最大のピンチも乗り切り安定した活動を続けている。

マイク・マンジーニ(Dr)加入後2作目にしてバンド初のセルフタイトルということで注目された本アルバムもまたその流れに沿った原点回帰とも呼べる内容。プログレ・メタル云々以前に、むしろハード・ロックと呼称しても良いくらいのオーソドックスなスタイルの胸アツなリフやキャッチーなメロディを軸足にしている。

ミステリアスで大仰という良くあるタイプの序曲#1。
ギター・リフとドラムのタイトな16分ユニゾンが定番過ぎて意外な#2。しかし素直にカッコ良いし、アルバムの実質的なオープニングとしては最高の滑り出し。特にリズムのパターンを変化させてきた2コーラス目の疾走感がメタル王道で痺れる。ギター・ソロも構築度とスリルを兼ね備えたジョン・ペトルーシらしい素晴らしいプレイ。
#3は変拍子を織り交ぜた北米テイスト溢れるRUSHっぽいキャッチーなナンバー。メロウなパートでのジェイムズ・ラブリエの歌唱も2ndあたりのムードが漂う。
インスト#4はハイテク・アンサンブルとシンセやギターのソロが舞い踊る中、デレク・シェレニアンのプレイを彷彿させるダーティなオルガンが良い感じ。
静動のダイナミズム、開放感あるサビなどストレートでメロディアスなヘヴィ・バラード#5。
バスドラがリードするリフが印象的な#6。
彼らにしては短めの6分半に様々な展開を見せる#7。サビが非常にメロディアス。
清涼感あるサビを持つメランコリックなバラード#8。
22分超の大作#9はちょっと散漫な印象も。ロックな各パーツは邪悪なグルーヴに乗った序盤を筆頭にさすがの出来だが、ありきたりで冗長なシンフォック・パートはDREAM THEATERとしてやる必要性をあまり感じないし、組曲としての一体感もイマイチだ。このあたりに、もしかしたらファン目線を持ったプロデューサーだったマイク・ポートノイによる第三者的視点の不在が影響しているのかもしれない。

最初と最後のシンフォ・パートに蛇足感はあるものの、総合的な印象は無条件に感動した初期のムードに似ている。そういう意味でセルフタイトルは充分に納得のいくものだ。

Track List

1. False Awakening Suite
I. Sleep Paralysis
II. Night Terrors
III. "Lucid Dream
2. The Enemy Inside
3. The Looking Glass
4. Enigma Machine
5. The Bigger Picture
6. Behind the Veil
7. Surrender to Reason
8. Along for the Ride
9. Illumination Theory
I. Paradoxe de la Lumière Noire
II. Live, Die, Kill
III. The Embracing Circle
IV. The Pursuit of Truth
V. Surrender, Trust & Passion

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DREAM THEATER / The Astonishing

2016,USA

DREAM THEATERの新作The Astonishingは、ジョン・ペトルーシ(G)による壮大なオリジナル・ストーリーを元にしたCD2枚組のコンセプト・アルバム。
アルバム発表後のツアーでは、アルバム丸ごと再現もアナウンスされている。

ミュージシャンやバンドがアルバムとして音楽をリリースすることの意義が薄まってきている、音楽がデジタル・コンテンツとしてファイル単位で購入・消費される現代。
音楽メディアの売上が右肩下がりの一方で、音楽を生で体験できるライブの動員は盛況だという。
一部のビッグなミュージシャンで、新曲を無料で配布しライブに集客する為のツールとして捉えるという動きもある。
そう、かつては『アルバムをリリースし、それをライブ・ツアーでプロモーション』というサイクルが、今や『新音源をプロモ的に使用、ライブ・ツアーに動員しグッズも合わせて大儲け』という図式にビジネス・モデルが変容してきている。

そんな潮流に沿って、コミックや小説あるいは映像作品と連動させたマルチ・メディア作品の一部として音楽をアルバムという形で世に問う、というフォーマットに挑戦する動きが出てきている。
DREAM THEATERの2016年新作The Astonishingもそんなムーブメントの中のひとつに数えることができる。
だが、DREAM THEATERの場合は、商売上手なレーベル Roadrunner Recordsのバックアップもあり、リリース前からWEB上で物語にまつわるマップや登場するキャラクターなどの視覚要素を情報発信する斬新さに加え、音楽についてもプラハ・フィルハーモニック・オーケストラを贅沢に使用する妥協の無さで一線を画している。

さて中身の方はというと、従来のプログレ・メタルな側面にオーケストラを導入したシンフォニックな側面が自然に融合、ドラマのワンシーンのようなSEも交えながら一気に描ききる手法が見事。CDのAct IとAct IIがアナログ・レコードでいうA面B面のように、丁度良いインターバルをリスナーに提供。トータル130分もの長大な音楽の旅をリスナーのスタイルに合わせて楽しめるようになっている。

まずはAct I。
物語の世界観を表すノイジーなSEの#1。
オーケストラからゴスペル風コーラスまで動員、重苦しいメロディから美麗メロディまで様々なテーマを提示、以降の物語の起伏を予感させる序曲#2。
北米プログレ・ハードなテイストを漂わせる#3。
フォーク・タッチの穏やかな#4。
軍靴と扇情的な演説のSEで始まるマイナー・キーのシリアスなナンバー#5。
不穏な空気を継承したミュージカル風#6。
マイルドなギターによるメロディアスなイントロからファンファーレを経てヘヴィに移行する#7。
壮大に盛り上がるバラード#8。
映画のサウンドトラックのようなストリングスを冒頭に配したバラード#9。終盤には#7のファンファーレのメロディがキーを変えて登場し再び不穏なムードへ。
スリリングに展開するミュージカル・ナンバー#10。
無機的なSEの#11。
軍靴SEと勇壮なファンファーレで戦いを暗示する冒頭からピアノ・バラードへ移行する#12。
コンテンポラリーなタッチのイントロとフックのあるメロディを持つ#13。
ピアノをバックに左右にパンニングされるリバーブたっぷりのボーカルで紡ぐ、ヘヴィなパートも内包した#14。
ジェイムズ・ラブリエ(Vo)のスウィートな歌唱とジョン・ペトルーシのエモーショナルなギター・ソロで酔わせるバラード#15。
神秘的なピアノと不穏なヘヴィ・リフがSEを交えて行き来する#16。
再び無機的なSEの#17。
穏やかな序盤からボーカル・メロディがアルバム冒頭のテーマをなぞりながらヘヴィに変化。バグパイプが奏でるメロディが希望を感じさせる#18。
アルバムのテーマ・メロディを巧みに融合したボーカル・パート。ギターとシンセの各ソロに続くハーモナイズ・プレイも出色の#19。フェードアウトで終了するのが意外な感じも。
オーケストレーションやクワイヤを総動員し物語前半を締めくくりつつAct IIへの期待もそそる中締めエンディング・チューン#20。メロトロンの音色が郷愁を誘う。

続いてAct II。
全体としては希望的ムードに包まれつつも、不穏なテーマが見え隠れするオープニング#1。
ヘヴィなギターのカッティングとツーバス連打がシンクロするリフ、ギター/ベース/シンセによるテクニカルなハーモナイズ・パートを配したインストもカッコ良い、メロディアスなメタル・チューン#2。
ガラスのように繊細な12弦アコギのアルペジオ、マイルドなシンセ、女性スキャットが神秘的なムードを醸成する前半からヘヴィなパートを挟み、雫のようなピアノで幕を閉じる#3。
ピアノとアコギにストリングス・セクションが絡み、ジェイムズ・ラブリエの歌声が伸びやかに響く美バラード#4。
オケとクワイヤがバンドのテクニカルなアンサンブルと見事に融合。スリリングなインスト・パートに被さる戦闘シーンのSEなどの仕掛けも含めて完成度の高いミュージカル的メタル・チューン#5。
不気味さを増した無機的SEの#6。
不条理リフと不穏なボーカル・メロディが不安を煽る#7。ラストの戦いに敗れたかのようなSEが次への期待をそそる。
ジョーダン・ルーデス(Key)によるインテンスなシンセ・ソロを配したダークなナンバー#8。
#7のラストは登場人物Faytheだったのか。むせび泣く人々のSEから始まる神々しいバラード#9。
ピアノとストリングス・セクションが包み込む、悲しくも美しいバラード#10。
郷愁を誘うフィドルがアクセントとなりクワイヤを中心に壮大に盛り上がる#11。
希望的メロディで満ちた、開放感あるメロディアスなハード・ロック#12。
ノイズ音の終焉を暗示するSE#13。
#1のポジティブなテーマが再登場。大団円を迎える#14。長尺アルバムのラストとしては意外とあさっりしているのが逆に好感。

演奏のベクトルがサーカス的な器楽要素よりも物語の進行に向けられ、感傷的な部分でのストリングス、戦いを暗示するブラスと、オーケストラのキャラクターを存分に活かしたアレンジとあいまって作品の完成度を高めている。

DREAM THEATERのコンセプト・アルバムというと、名盤 Metropolis PT2 : Scenes from a Memoryが想起される。しかし、Scenes from a Memoryがミステリアスな謎解きをリスナーに迫る知的好奇心をくすぐる現代劇だった一方で今作は中世風ファンタジーということで、同じことは繰り返さないというバンドとしてのプライドも覗く。
聴くほどに、この物語を生で味わいたいという欲求が高まってくる。つまり、この時点で既にDREAM THEATERの術中に嵌ってしまっていることになるわけで。
その一方でお腹いっぱいの反動か、Train of Thoughtのようなシンプルなアルバムも聞きたくなってくる不思議な効果もある。
どうころんでも勝者はDREAM THEATERということか。

Track List

Act I
1. Descent of the NOMACS
2. Dystopian Overture
3. The Gift of Music
4. The Answer
5. A Better Life
6. Lord Nafaryus
7. A Savior in the Square
8. When Your Time Has Come
9. Act of Faythe
10. Three Days
11. The Hovering Sojourn
12. Brother, Can You Hear Me?
13. A Life Left Behind
14. Ravenskill
15. Chosen
16. A Tempting Offer
17. Digital Discord
18. The X Aspect
19. A New Beginning
20. The Road to Revolution

Act II
1. 2285 Entr'acte
2. Moment of Betrayal
3. Heaven's Cove
4. Begin Again
5. The Path That Divides
6. Machine Chatter
7. The Walking Shadow
8. My Last Farewell
9. Losing Faythe
10. Whispers on the Wind
11. Hymn of a Thousand Voices
12. Our New World
13. Power Down
14. Astonishing

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