PAIN OF SALVATION のレビュー

PAIN OF SALVATION / Scarsick

2007,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンドPAIN OF SALVATIONの6thアルバムScarsick。

3rdアルバムにしてプログレ・メタルの名盤The Perfect Element PartIの続編、待望のPartIIということらしいです。また、クリストファー・ギルデンロウが脱退、ベースはダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)が兼任しています。

といいつつ何ですが、ダニエルの才能の赴くまま自由にプログレッシブな作品を連発する彼らに、もはやプログレ・メタルなどという狭隘なレッテルは失礼かも。
演劇のようですらあった前作Beの衝撃は凄まじく、本アルバムも全ての音や展開に何か意味があると思い慎重に聴き入っていると、冒頭2曲もヘヴィなエッジが復活したギターやここのところの彼らの引き出しの一つでもあるフォークロア風味に耳が行って、問題のラップ調ボーカルもすんなり入ってくるから不思議です。並みのメタル・バンドなら違和感を感じるところなんでしょうが。
そしてダニエルの子供さんの声を使用した#3。愛らしい赤ん坊の声と物悲しいピアノのメロディの対比がドラマを感じさせます。
続いてポップな#4、ディスコ・ビートを取り入れた#5と、誰も予想しなかった展開で度肝を抜かれます。
にしても、バンジョー(それとも又もやマンドーラ?)の響きが新鮮なスパイスとなった#4や7拍子のダークなプログレ・パートを盛り込んだ#5など、単純に見せかけて実は丹念に作り込まれた所にインテリジェンスが滲み出ています。そんな裏読み無しでも#5のソウルフルな歌唱とか、ダニエルって本当に音楽が好きなんだなと思わせる本気度が素晴らしい。
とここまでが、Side1とのクレジット。勿論CDなのですが、音楽的コンセプトに基づいたものとのこと。こういった細部への拘りも彼ら・・・というかダニエルらしいですね。
確かにSIDE2冒頭となる#6はこれまでの破天荒路線から、一転してシリアスな思索路線。劇的に盛り上がる部分からの叙情的な展開が美しいです。
エフェクトを掛けたギターのリフにヴォコーダーから始まるクールな#7は、静から動へ幅広いレンジで聴かせるダニエルのボーカルが印象的なナンバー。
左右で微妙にフレーズのタイミングを変えたギター・リフがトリップ感を誘い、ミステリアスなヴァースと中間部のメロディアスなフォークロア風歌メロが対になった#8。
1コードに乗った熱病にうなされているかのような序盤から、サビでようやく開放感を味わえる緊張感に満ちた#9。
そしていよいよオーラスの#10は10分超のエピカルなナンバー。ムーディな序盤から壮大なサビまで丹念に描かれています。

Track List

1. Scarsick
2. Spitfall
3. Cribcaged
4. America
5. Disco queen
6. Kingdom of loss
7. Mrs modern mother mary
8. Idiocracy
9. Flame to the moth
10. Enter rain

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