プログレッシブ・メタル のレビュー

DREAM THEATER / Systematic Chaos

2007,USA

DREAM THEATERの9thアルバムSystematic Chaos。

アルバム冒頭とラストにPART1とPART2の楽曲を配すると言うKING CRIMSONのような構成の#1。まずはテーマを提示という感じで特にクライマックスは無し。
メランコリックでキャッチーなメロディとヘヴィネスが理想的に融合した#2。
仕事中毒で音数の多い自分達自身を表現したかのようなタイトルの#3。
入り組んだ音使いのリフをベースにラップ調のボーカルを配した#4。インスト・パートはアヴァンギャルドな要素も含めて多様に展開。ジョン・ミュング(B)のパーカッシブなベースがアクセントになっています。
「アルコール依存症を克服する12ステップ」シリーズの8,9ステップとなる#5は、これまでと違って落ち着いたより内省的なムード。
シンセのシーケンス・パターンに乗せた、調子の悪いQUEENのようなコーラス・パートを含んだ#6。
イントロではっきりとしたテーマ・メロディを提示し、アコギのアルペジオから静かに展開していく15分近いエピック・チューン#7。予想通りサビで盛り上がるもののメロディが弱いのが難点。今イチ突き抜けた感が足りないんですよね。インスト・パートのクオリティは高く、スリリングなシンセとギターのソロ及びハーモニーが聴ける。
思索パートから始まる#1の続きである#8。疾走する和風音階のようなリフはなかなか面白いものの、#1のインパクトが弱かっただけに、あえて分断して配置した意図が成功しているとは思えない。

アトランティックからロードランナーに移籍した第一弾。ここ数作は綿密な計算の元、明確なテーマを持つ作品が続いたが、本作はテーマが無いのがテーマのような、とにかく心機一転、思いついたものをそのまま楽曲にしたかのような作風となっている。その結果、随所にDREAM THEATERらしさを感じられる反面、新鮮な驚きに欠けるきらいも。妙なラップや変てこなコーラスが耳に残るようではね・・・・・。前作ではキレ捲くっていたジョーダン・ルーデス(Key)の存在感が薄いのも残念。
自らの音楽性を見事に表現したタイトルが秀逸なだけに惜しい。

Track List

1. In The Presence of Enemies Pt.1
2. Forsaken
3. Constant Motion
4. The Dark Eternal Night
5. Repentance
6. Prophets Of War
7. The Ministry of Lost Souls
8. In The Presence of Enemies Pt.2

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OPETH / The Roundhouse Tapes

2007,SWEDEN

OPETHの2006年11月9日ロンドン公演を収録したライヴThe Roundhouse Tapes、2007年リリース。

当日の模様がMCも含め忠実に再現されており臨場感抜群。Mikaelのクリーンとグロウルを見事に使い分けたヴォーカル・パフォーマンスが静と動を見事に表現し、Peterのナイスなギター・ワークが彼らの楽曲の複雑なアレンジをライヴでも破綻無く再現。
Perはディストーション・オルガンを中心としたKeyによるサポートとバッキングVoでもサウンドに厚みを持たせる事に多大に貢献している。
素晴らしくタイトな演奏はメンバーのミュージシャン・シップの高さとバンドの充実ぶりを伺わせる。しかし残念ながらPeterは既に脱退。この事が2008年春にリリースが予定されている新作にどう影響するか注目です。

Track List

Disc 1
1. When
2. Ghost of Perdition
3. Under the Weeping Moon
4. Bleak
5. Face of Melinda
6. The Night and the Silent Water

Disc 2
1. Windowpane
2. Blackwater Park
3. Demon of the Fall

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PAIN OF SALVATION / Scarsick

2007,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンドPAIN OF SALVATIONの6thアルバムScarsick。

3rdアルバムにしてプログレ・メタルの名盤The Perfect Element PartIの続編、待望のPartIIということらしいです。また、クリストファー・ギルデンロウが脱退、ベースはダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)が兼任しています。

といいつつ何ですが、ダニエルの才能の赴くまま自由にプログレッシブな作品を連発する彼らに、もはやプログレ・メタルなどという狭隘なレッテルは失礼かも。
演劇のようですらあった前作Beの衝撃は凄まじく、本アルバムも全ての音や展開に何か意味があると思い慎重に聴き入っていると、冒頭2曲もヘヴィなエッジが復活したギターやここのところの彼らの引き出しの一つでもあるフォークロア風味に耳が行って、問題のラップ調ボーカルもすんなり入ってくるから不思議です。並みのメタル・バンドなら違和感を感じるところなんでしょうが。
そしてダニエルの子供さんの声を使用した#3。愛らしい赤ん坊の声と物悲しいピアノのメロディの対比がドラマを感じさせます。
続いてポップな#4、ディスコ・ビートを取り入れた#5と、誰も予想しなかった展開で度肝を抜かれます。
にしても、バンジョー(それとも又もやマンドーラ?)の響きが新鮮なスパイスとなった#4や7拍子のダークなプログレ・パートを盛り込んだ#5など、単純に見せかけて実は丹念に作り込まれた所にインテリジェンスが滲み出ています。そんな裏読み無しでも#5のソウルフルな歌唱とか、ダニエルって本当に音楽が好きなんだなと思わせる本気度が素晴らしい。
とここまでが、Side1とのクレジット。勿論CDなのですが、音楽的コンセプトに基づいたものとのこと。こういった細部への拘りも彼ら・・・というかダニエルらしいですね。
確かにSIDE2冒頭となる#6はこれまでの破天荒路線から、一転してシリアスな思索路線。劇的に盛り上がる部分からの叙情的な展開が美しいです。
エフェクトを掛けたギターのリフにヴォコーダーから始まるクールな#7は、静から動へ幅広いレンジで聴かせるダニエルのボーカルが印象的なナンバー。
左右で微妙にフレーズのタイミングを変えたギター・リフがトリップ感を誘い、ミステリアスなヴァースと中間部のメロディアスなフォークロア風歌メロが対になった#8。
1コードに乗った熱病にうなされているかのような序盤から、サビでようやく開放感を味わえる緊張感に満ちた#9。
そしていよいよオーラスの#10は10分超のエピカルなナンバー。ムーディな序盤から壮大なサビまで丹念に描かれています。

Track List

1. Scarsick
2. Spitfall
3. Cribcaged
4. America
5. Disco queen
6. Kingdom of loss
7. Mrs modern mother mary
8. Idiocracy
9. Flame to the moth
10. Enter rain

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SYMPHONY X / Paradise Lost

2007,USA

SYMPHONY Xの2007年7thアルバム。

プログレッシブかつダークなムードに覆われた楽曲群をヘヴィなリフと超絶技巧ネオクラシカル・ギターが華やかに彩るカッコ良いヘヴィ・メタル。変拍子が地味に、それでいながら効果的に使用されている所にこのバンドの・・・っていうかマイケル・ロメオ(G)の知性を感じさせる。細部まで練りこまれた長尺曲中心のアルバム構成で何度聴いても飽きがこない。ヘヴィネスとメロウネスのバランス感覚も見事。繊細なピアノがリードする#5なんかもアレンジに隙が見当たりません。

Track List

1. Oculus ex Inferni
2. Set the World on Fire (The Lie of Lies)
3. Domination
4. Serpent's Kiss
5. Paradise Lost
6. Eve of Seduction
7. The Walls of Babylon
8. Seven
9. The Sacrifice
10. Revelation

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OPETH / Watershed

2008,SWEDEN

OPETHの2008年9thアルバムWatershed。

彼らの魅力は何と言ってもギャップ。
不条理暴虐リフと70年代サイケ&プログレッシブ風味の奇跡的な共存。デス声とクリーンなプログレ声。そして予測不能な曲展開とふいに見せる叙情性。これらに加え、KeyのPerによるメロトロン・ハモンド・エレピ・アコピによるセピアな彩りが、OPETHの孤高性をフォロワー達の追随を許さぬレヴェルにまで高めています。
実際、#3,#4,#5あたりでのキーボードの使用法は際立って個性的で、これらの曲を唯一無二の存在に。勿論、Mikaelのソング・ライティングもキレキレです。
OPETH風フォークな#1が意表を突きながらも、次に来る怒涛の展開を逆に予想させ聴き手を身構えさせる絶好のウォームアップとなっている所が憎いですねー。
そして変態アグレッション&プログレな#3。これは誰にもマネできませんね。
続く暗黒叙情フォーク?の#4の奇妙なコード進行はALL ABOUT EVEあたりを彷彿させます。サウンドやバンドの格といった部分での広がりと奥行きを感じさせるアルバムです。

Track List

1. Coil
2. Heir Apparent
3. Lotus Eater
4. Burden
5. Porcelain Heart
6. Hessian Peel
7. Hex Omega

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DREAM THEATER / Black Clouds & Silver Linings

2009,USA

DREAM THEATERの2009年10thアルバムBlack Clouds & Silver Linings。

商売上手なRoadrunner移籍第2弾。何とビルボードのアルバム・チャート6位に!市場全体のアルバム・セールスが不振の中、アルバム・オリエンテッドなファンがこぞって購入した結果というのが背景にあるとは思うが、びっくりです。
長尺4曲を含む6曲構成で全体的に非常にメロディアスな印象。短い#2,#3ではキャッチーなDREAM THEATERらしさをコンパクトな楽曲にまとめるとともに、その他の大作ではそれぞれ違った個性でDREAM THEATERのプログレッシブ面を表現してます。
特に終盤。ジョン・ペトルーシ(G)のエモーショナルなフレーズが感動を呼ぶ、マイク・ポートノイ(Dr)が亡き父への想いを込めたスケールの大きな#5、ギターやポルタメントの効いたシンセのアルペジオを中心にプログレッシブに畳み掛ける序盤のインストパート、カッコ良い4拍子+5拍子による疾走パターンとヘヴィネス・パターンの対比でアレンジの冴えを見せるボーカルパートを持つ#6。この2曲は強力です。
とりわけ、メロディ・緊張感・プログレッシブな展開・メタル的なカタルシスを兼ね備えた#6は新たなマイ・アンセムになろうかという出来。

Track List

1. A Nightmare to Remember
2. A Rite of Passage
3. Wither
4. The Shattered Fortress
5. The Best of Times
6. The Count of Tuscany

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MASTODON / Crack the Skye

2009,USA

アメリカはアトランタ出身のヘヴィ・メタル・バンドMASTODONの2009年4thアルバムCrack the Skye。

たった3音で人を不安な気分にさせる秀逸なリフで軽く「オッ」と思わせつつ、その後のめくるめく変拍子攻撃にさらされた頃には既にハマってしまっている#1をはじめ、現代的なヘヴィネスの意匠を巧みに纏った深遠な音楽がここにはありますね。
プログレッシブな薫り漂うメタルではありますが、これ見よがしなテクニックに走るわけでは無く、あくまでも楽曲展開の妙とリフの音使いで聴かせ切ってしまうところが凄いです。
例えば同じくプログレッシブなメタルだとOPETHなんかが思い浮かびますが、OPETHがメロトロンやハモンドといった機材の持ち味やアコギやクリーン・ヴォイスによる叙情フレーバーの挿入で陰影を浮かび上がらせているのとは対照的に、MASTODONはギター2本とリズム隊による轟音パート中心の外連味無い展開だけでここまでの起伏を表現しているのが素晴らしい。
メタル然としてカッコ良い#2などは良く聴けばかなり凝った方なのに、この#2が霞むくらいの濃厚な楽曲で満たされております。
4部構成の組曲#4は勿論、5分程度の#6にしてもエキゾチックな要素を巧く消化して楽曲のキャラを立たせた濃密な時間が味わえます。
#2を除いて中長尺な楽曲中心ながら、冗長なパートが全くといって良い程無いのも珍しいですね。アメリカのバンドだと思って甘く見てましたが驚きました。

Track List

1. Oblivion
2. Divinations
3. Quintessence
4. The Czar
I. Usurper
II. Escape
III. Martyr
IV. Spiral
5. Ghost of Karelia
6. Crack the Skye
7. The Last Baron

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PAIN OF SALVATION / Road Salt One

2010,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドPAIN OF SALVATIONの7thアルバムRoad Salt One。

ブルーズ・ロック風な#1,#2、ドラマティックで悲痛なバラード#3、シンプルなオルガンの白玉をバックにトライバルなムードのボーカルとコーラスで構成された#4、アコースティック・ブルーズ・チューン#5、音楽的な懐の深さを感じさせる、レトロでヨーロピアンな風情漂う哀愁のワルツ#6。と、ダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)の情感豊かなボーカルをフィーチュアした楽曲が続く前半戦。
ここで一旦アナログ・レコード・プレイヤーの針が上がる音が入るので、ここまでが”A面”ということなのだろう。

従来からのファンを試すかのような前半戦に対して、後半は幾分プログレッシブ。
静動の起伏を持ったミステリアスなサウンドに屈折した歌唱が乗る#7。
くすんだエレピが主導する中間パートを持つ、ジャムから発展したようなハード・ロック#8。
アルバム中随一のキャッチーなハード・ロック#9。
軽く歪んだエレピによる沈み込んだパートと埃っぽいギターのリフを対比させた#10。深遠なコーラスとツインリードのハーモニーが加わり独特なプログレッシブ風味を醸し出しています。
またもや古いエレピの音色が印象的なバラード#11。メロトロンっぽいクワイヤとストリングスがレトロなムードを増強。
ペダル・トーンにモーダルなメロディを被せ、エスニックで混沌としたなムードに仕上げたPAIN OF SALVATIONらしいプログレッシブ・チューン#12。

これまでの緻密に作りこまれた先進的なサウンドから一転して、70年代風ロックやブルーズ・ロックを下敷きにしたような生々しい作風が衝撃。メンバーのポートレイトを使用したジャケット・アートワーク、アナログ盤のトラッキング・ノイズの挿入、空間系エフェクトのフィーリング、レトロなエレピ/ドラム/ギターなど楽器音、等々、細部にも”70年代風”が貫かれており、作品としての統一性を醸成。
人生における様々な”道”をテーマにした2部作の1枚目ということで、2枚目のRoad Salt TwoはOneの前半路線なのか後半路線なのか、それとも予想もつかない新機軸を提示してくるのか。

Track List

1. No Way
2. She Likes to Hide
3. Sisters
4. Of Dust
5. Tell Me You Don't Know
6. Sleeping Under the Stars
7. Darkness of Mine
8. Linoleum
9. Curiosity
10. Where it Hurts
11. Road Salt
12. Innocence

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DREAM THEATER / A Dramatic Turn of Events

2011,USA

DREAM THEATERの11thアルバムA Dramatic Turn of Events。

バンドの創始者でありプロデューサー、スポークスマンでもあったマイク・ポートノイ脱退のニュースは衝撃的で意外だったが、後任を迎えてアルバム制作もするという報に接してまず感じたのは、「これで、下手なラップ調ボーカルを聴かなくて済む」という、後ろ向きな安堵感だった。

そして、新作発表が近づくにつれ期待感と共に不安感も起こってきた。マイク・ポートノイが一部のリフを書いたりといった事はあったようだが、メロディ面での才能はもう一人のプロデューサーであるジョン・ペトルーシ(G)やジョーダン・ルーデス(Key)が健在なので大丈夫として、曲の構成やコンセプトといった大局的な側面でのパワーダウンは避けられないだろうということ。確かに件の「ド下手ラップ」のように、強権的な手法が裏目に出たケースもあっただろうが、我々の気づかない部分で楽曲やアルバム構成にDREAM THEATERらしいプログレッシブな先取性やカッコ良さをもたらしていたのも実はマイク・ポートノイだったのかも知れない。

という前提で新作A Dramatic Turn of Eventsを聴きこんでみた。
まず感じるのは、手堅くまとめた安定感。
新加入のマイク・マンジーニ(Dr)のプレイ、Images and WordsやScenes from a Memoryを想起させるメロディアスなボーカル・パート、随所に見られるDREAM THEATERらしいテクニカルなアンサンブル、等々。どこにも破綻が無く非常にスムーズにDREAM THEATERの世界が展開されている。

しかし、スムーズすぎるが故にフックが少ない。
ボーカル・パートは確かにメロディアスだがほとんどがマイナー調のみでの展開で、例えば前作収録の名曲The Best of Timesのようなメジャー/マイナーの明暗があまり描かれていない為、メロディの良さがドラマティックに昇華しないのだ。また、インスト・パート以外ではミディアム・テンポが目立ち、リズム的な緩急もあまり感じられない。

これらの結果、手堅くまとまってはいるが意外性に乏しく新しさも感じられないのだ。
しかもまずいのが、#2のローファイ風ブレイク・ビートや#5におけるシャーマンのホーミー風SEなど、既に色んなバンドが取り入れてきた手垢の付いた手法をDREAM THEATERともあろうバンドが導入してしまっている事。
これにはもはや失望をも感じてしまった。

果たしてマイク・ポートノイが健在だとしたら、これらの要素はどうなっていたんだろうか。
DREAM THEATERもかつて70年代の名バンド達がそうだったように、自らが創り出した様式の中にはまり込んでいくことになるのか。

DREAM THEATERの新作ということでどうしてもハードルが高くなってしまうが、決して駄作な訳ではなく、アルバム随一のプログレッシブ・チューン#3のザクザクしたリフからの超絶インスト・パート、#4や#8でのジョン・ペトルーシの構築性とエモーションを兼ね備えたギター・ソロ、メロウなバラード#7でのジャエイムズ・ラブリエ(Vo)の表現力、#8の緊張感から開放される劇的なアレンジなどなど、さすがDREAM THEATERと唸らせるピンポイントでの聴き所が豊富なのは事実。
ただそれだけに、全体的な小ぢんまり感が残念。

Track List

1. On the Backs of Angels
2. Build Me Up, Break Me Down
3. Lost Not Forgotten
4. This is the Life
5. Bridges In The Sky
6. Outcry
7. Far From Heaven
8. Breaking All Illusions
9. Beneath The Surface

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OPETH / Heritage

2011,SWEDEN

OPETHの10thアルバムHeritage。

リリース前の試聴会からの噂が、グロウル・ヴォイスやブルータルなリフが無いアルバムという事で密かに期待していたが、やってくれましたよミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)。
ミカエルが70年代ロックのコレクターであることは有名で、これまでのアルバムでも幽玄なアコギ・パートなどにヴィンテージ・ロックの薫りを漂わせてはいましたが、それをアルバム単位でやってしまったという感じ。
この路線、メロウかつ暗鬱なアルバムDamnationと似てはいますが、もっとバラエティに富んでいて躍動感もあるしロックしてもいる。何というか70年代ロック風なゴッタ煮感が良い。

メロウなピアノのソロ#1で静かに幕を開け、ガツーンと来るだろうなという予想通りの#2ではありますが、以前のような無慈悲で怜悧なリフでは無く、歪んだオルガンを絡めたオールド・スクールなテイスト。ギター・リフも相変わらず不条理系の奇妙な音使いですが、サウンドも今風なディストーションというよりはもっとウォームな感じ。幽玄パートやサイケ風なパートも絡めての起伏に富んだアレンジはさすがOPETH。
メロトロンの白玉とアコギをバックにミカエルの艶やかな美声が乗るメロウな序盤から、ヘヴィなパートを交えつつ神秘的なムードで展開する#3。
DEEP PURPLE風な#4は(多分)シングル・コイルの単音バッキングがまんまリッチー・ブラックモアな疾走チューン。OPETHらしい音使いのリフがアクセントになり、オールド・スクールな曲調に見事に融合しています。アコギ・パートに突入してそのままフェード・アウトする意外な展開はBLACK SABBATHのようでもあります。
マーティン・アクセンロット(Dr)のゴースト・ノートを活かしたグルーヴィなドラミング、ペル・ヴィヴァリ(Key)によるエレピのリフ、エキサイティングなフレドリック・オーケソン(G)のソロなど、ジャム的な要素をフィーチュアした不思議な浮遊感を持った#5。
静謐でメランコリックな序盤からメロトロンとアコギをバックに7拍子の歌唱パートに移行するプログレッシブ・フォーク#6。間を有効活用した枯れたギター・ソロも又絶品。現存するバンドでこのサウンドを出せるのはOPETHだけでしょう。
静かな序盤から独特の音使いによるリフを境にバンド・インする#7。妖しいパーカッションや吹き散らすフルートが70年代風暗黒ムードたっぷり。
マーティン・メンデス(B)のベースがリードする#8。メロトロンにフェンダー・ローズなどヴィンテージ・キーボード、テルミン風SEを要所に散りばめたコンパクトながら起伏あるナンバー。
OPETH風暗黒エレクトリック・フォークから、メロウなアコギ・パートを経て、抑えた泣きのギター・ソロで締める#9。
アコギのアルペジオをバックにしたマイルドなツイン・リードのハーモニーが美しい#10。

はっきり言って70年代風テイストはOPETHのオリジナルでは無いし、新鮮なアイディアというわけでも無い。
それでもこのアルバムが素晴らしいのは、そういった先人達のアイディアを吸収し我が物とした上でしっかりとOPETHの持ち味に融合させてしまっているところ。
特に、何でも詰め込み過ぎの昨今の音楽シーンにあって、「無音」を活かした音作りが巧み。
このあたりはミックスを担当したスティ-ヴン・ウィルソンからの影響かも。

ジャケット・アートはお馴染みのトラヴィス・スミス。サイケな色調が珍しいですね。右下の落ちかかった顔は本アルバムがラストとなるペル・ヴィヴァリでしょうか。ここ数作で良い仕事をしていただけに残念です。

Track List

1. Heritage
2. The Devil's Orchard
3. I Feel The Dark
4. Slither
5. Nepenthe
6. Häxprocess
7. Famine
8. The Lines In My Hand
9. Folklore
10. Marrow Of The Earth

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PAIN OF SALVATION / Road Salt Two

2011,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドPAIN OF SALVATIONの8thアルバムRoad Salt Two。

リフ中心のオールド・スクールなブルーズ・ロック/ハード・ロックのスタイルを取り入れた#2,#3,#11、マンドーラなど民族楽器を導入したフォーキーな#4,#5,#9、意表を突くレトロ風味のワルツ#6、そこにダークでドラマティックな要素を持った#10や7拍子のリフがリードする#13などのプログレッシブ・チューンが絡む構成は、#8の最後と#9の最初に挿入されたアナログ・レコード風スクラッチ・ノイズのエフェクトと合わせて、前作Road Salt One同様のスタイルでシリーズ通じての統一感を醸成。
ただ、ハード・ロックにエスニックな要素をLED ZEPPELIN並みのセンスで融合した#2の練りこみ具合、オリエンタルなムードのアルバム・テーマ#1とエンディング・チューン#14を配した構成などを見ると、単なる続編というよりはより完成度を高めた単独作と捉えても良さそう。
このあたりは2作の制作において方向性を突き詰める中で、ダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)の豊富なアイディアが整理された結果と言えるんではないでしょうか。
初期の頃のプログレ・メタル然としたテクニカルなインスト・パートやアグレッションは影を潜めましたが、雄大なフォークロア#5、ブレイク・ビーツとフォークが溶け合った#8などの郷愁を誘うメロディは絶品だし、様々なスタイルの楽曲を巧みに繋げたアルバム構成で約60分の音楽の旅に浸れる所が素晴らしい。
多分この路線は今回で終了し、次作ではより音楽性を広げた新しいPAIN OF SALVATIONを見せてくれるだろう。

Track List

1. Road Salt Theme
2. Softly She Cries
3. Conditioned
4. Healing Now
5. To the Shoreline
6. Break Darling Break
7. Eleven
8. 1979
9. Of Salt
10. The Deeper Cut
11. Mortar Grind
12. Through the Distance
13. The Physics of Gridlock
14. End Credits

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DREAM THEATER / Dream Theater

2013,USA

プログレッシブ・メタルの先駆者DREAM THEATERの12thアルバム、Dream Theater。

自らが切り開いたプログレッシブ・メタルというジャンル自体が既に爛熟し形式化して久しい中、DREAM THEATER自身もあれこれと模索をしつつもSystematic Caosのような自己模倣に陥ることもあった。しかし、ここ数作では妙なてらいを排した自然なスタイルでマイク・ポートノイの脱退という最大のピンチも乗り切り安定した活動を続けている。

マイク・マンジーニ(Dr)加入後2作目にしてバンド初のセルフタイトルということで注目された本アルバムもまたその流れに沿った原点回帰とも呼べる内容。プログレ・メタル云々以前に、むしろハード・ロックと呼称しても良いくらいのオーソドックスなスタイルの胸アツなリフやキャッチーなメロディを軸足にしている。

ミステリアスで大仰という良くあるタイプの序曲#1。
ギター・リフとドラムのタイトな16分ユニゾンが定番過ぎて意外な#2。しかし素直にカッコ良いし、アルバムの実質的なオープニングとしては最高の滑り出し。特にリズムのパターンを変化させてきた2コーラス目の疾走感がメタル王道で痺れる。ギター・ソロも構築度とスリルを兼ね備えたジョン・ペトルーシらしい素晴らしいプレイ。
#3は変拍子を織り交ぜた北米テイスト溢れるRUSHっぽいキャッチーなナンバー。メロウなパートでのジェイムズ・ラブリエの歌唱も2ndあたりのムードが漂う。
インスト#4はハイテク・アンサンブルとシンセやギターのソロが舞い踊る中、デレク・シェレニアンのプレイを彷彿させるダーティなオルガンが良い感じ。
静動のダイナミズム、開放感あるサビなどストレートでメロディアスなヘヴィ・バラード#5。
バスドラがリードするリフが印象的な#6。
彼らにしては短めの6分半に様々な展開を見せる#7。サビが非常にメロディアス。
清涼感あるサビを持つメランコリックなバラード#8。
22分超の大作#9はちょっと散漫な印象も。ロックな各パーツは邪悪なグルーヴに乗った序盤を筆頭にさすがの出来だが、ありきたりで冗長なシンフォック・パートはDREAM THEATERとしてやる必要性をあまり感じないし、組曲としての一体感もイマイチだ。このあたりに、もしかしたらファン目線を持ったプロデューサーだったマイク・ポートノイによる第三者的視点の不在が影響しているのかもしれない。

最初と最後のシンフォ・パートに蛇足感はあるものの、総合的な印象は無条件に感動した初期のムードに似ている。そういう意味でセルフタイトルは充分に納得のいくものだ。

Track List

1. False Awakening Suite
I. Sleep Paralysis
II. Night Terrors
III. "Lucid Dream
2. The Enemy Inside
3. The Looking Glass
4. Enigma Machine
5. The Bigger Picture
6. Behind the Veil
7. Surrender to Reason
8. Along for the Ride
9. Illumination Theory
I. Paradoxe de la Lumière Noire
II. Live, Die, Kill
III. The Embracing Circle
IV. The Pursuit of Truth
V. Surrender, Trust & Passion

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OPETH / Pale Communion

2014,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンドOPETHの11thアルバムPale Communion。

単音リフやダーティな音色のバッキングを奏でるオルガン、静かなピアノ、エンディングを神々しく飾るメロトロンなど、キーボードが場面転換をリードするOPETHではこれまでに無いテイストのオープニング・ナンバー#1。
ペダルポイント風単音リフに無国籍エスニックなメロディのサビが印象的な#2。
ミステリアスなパート、幽玄アコギ・パートなど様々に展開、後半はOPETHらしい邪悪な音使いのリフと叙情メロディのサビを巧みに融合した10分超の#3。
冷気漂うメロトロンの白玉にゾクゾクするダークなフォーク・チューン#4。
パーカッシブなエレピやオルガンなどキーボードが活躍するグルーヴィなインストゥルメンタル#5。
爽やかなフォークから始まり、2人のギタリストのバトル~メロディアスなツインリード、ヘヴィなリフにメロトロンと要素が盛りだくさんの#6。
ミステリアスなストリングスのリフがリードする深遠パートとヘヴィなリフのパートの対比で聴かせる#7。
KING CRIMSONのStarlessを想起させる、悲哀感たっぷりのストリングスをバックにミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)のエモーショナルな歌唱が乗るドラマティックな叙情ナンバー#8。

デス・ヴォイスを一切排除して70年代王道ロックのテイストに接近した前作Heritageの路線を推し進め、より耽美でマニアックな領域に。
不条理・無慈悲なアグレッションから静謐・神秘的な側面までがこれまでのOPETHの幅広い音楽性だとすると、Pale Communionではレンジの幅はそのままに軸足をより静謐・神秘方面に傾けさらにそこに70年代ヴァーティゴ系のくすんだオルガン・ロック風味を加味した作風。また、これまでも曲中で経過的には使用されていたメジャー・コードを楽曲の印象を決めるラストで使用するなど、斬新とも言える変化が見て取れる。アルバムの基準を測る上で重要なオープニング・チューン#1のボーカル第一声がメロウなコーラスというのも意表を突いており、ミカエル・オーカーフェルトからすると「してやったり」というところだろう。
ペル・ヴィバリの頃よりも歪み度を幾分下げたヨアキム・スヴァルベリ(Key)のオルガンは、グリッサンドを多用するロックでダイナミックな前任者よりもむしろCRESSIDA寄りと言っても良いくらい堅実かつ多彩なプレイ・スタイルで音楽性の変化に対応。
ミックスはかつてのOPETH作品でも制作に関わった、ユニットSTORM CORROSIONでのミカエルの僚友スティーヴン・ウィルソンが担当。KING CRIMSONやYESなどのリミックス・ワークを通じてプログレ界レジェンド達の奥儀に触れたスティーヴンの起用も今作の方向性にマッチしている。
ジャケット・アートは勿論トラヴィス・スミス。

Track List

1. Eternal Rains Will Come
2. Cusp of Eternity
3. Moon Above, Sun Below
4. Elysian Woes
5. Goblin
6. River
7. Voice of Treason
8. Faith in Others

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DREAM THEATER / The Astonishing

2016,USA

DREAM THEATERの新作The Astonishingは、ジョン・ペトルーシ(G)による壮大なオリジナル・ストーリーを元にしたCD2枚組のコンセプト・アルバム。
アルバム発表後のツアーでは、アルバム丸ごと再現もアナウンスされている。

ミュージシャンやバンドがアルバムとして音楽をリリースすることの意義が薄まってきている、音楽がデジタル・コンテンツとしてファイル単位で購入・消費される現代。
音楽メディアの売上が右肩下がりの一方で、音楽を生で体験できるライブの動員は盛況だという。
一部のビッグなミュージシャンで、新曲を無料で配布しライブに集客する為のツールとして捉えるという動きもある。
そう、かつては『アルバムをリリースし、それをライブ・ツアーでプロモーション』というサイクルが、今や『新音源をプロモ的に使用、ライブ・ツアーに動員しグッズも合わせて大儲け』という図式にビジネス・モデルが変容してきている。

そんな潮流に沿って、コミックや小説あるいは映像作品と連動させたマルチ・メディア作品の一部として音楽をアルバムという形で世に問う、というフォーマットに挑戦する動きが出てきている。
DREAM THEATERの2016年新作The Astonishingもそんなムーブメントの中のひとつに数えることができる。
だが、DREAM THEATERの場合は、商売上手なレーベル Roadrunner Recordsのバックアップもあり、リリース前からWEB上で物語にまつわるマップや登場するキャラクターなどの視覚要素を情報発信する斬新さに加え、音楽についてもプラハ・フィルハーモニック・オーケストラを贅沢に使用する妥協の無さで一線を画している。

さて中身の方はというと、従来のプログレ・メタルな側面にオーケストラを導入したシンフォニックな側面が自然に融合、ドラマのワンシーンのようなSEも交えながら一気に描ききる手法が見事。CDのAct IとAct IIがアナログ・レコードでいうA面B面のように、丁度良いインターバルをリスナーに提供。トータル130分もの長大な音楽の旅をリスナーのスタイルに合わせて楽しめるようになっている。

まずはAct I。
物語の世界観を表すノイジーなSEの#1。
オーケストラからゴスペル風コーラスまで動員、重苦しいメロディから美麗メロディまで様々なテーマを提示、以降の物語の起伏を予感させる序曲#2。
北米プログレ・ハードなテイストを漂わせる#3。
フォーク・タッチの穏やかな#4。
軍靴と扇情的な演説のSEで始まるマイナー・キーのシリアスなナンバー#5。
不穏な空気を継承したミュージカル風#6。
マイルドなギターによるメロディアスなイントロからファンファーレを経てヘヴィに移行する#7。
壮大に盛り上がるバラード#8。
映画のサウンドトラックのようなストリングスを冒頭に配したバラード#9。終盤には#7のファンファーレのメロディがキーを変えて登場し再び不穏なムードへ。
スリリングに展開するミュージカル・ナンバー#10。
無機的なSEの#11。
軍靴SEと勇壮なファンファーレで戦いを暗示する冒頭からピアノ・バラードへ移行する#12。
コンテンポラリーなタッチのイントロとフックのあるメロディを持つ#13。
ピアノをバックに左右にパンニングされるリバーブたっぷりのボーカルで紡ぐ、ヘヴィなパートも内包した#14。
ジェイムズ・ラブリエ(Vo)のスウィートな歌唱とジョン・ペトルーシのエモーショナルなギター・ソロで酔わせるバラード#15。
神秘的なピアノと不穏なヘヴィ・リフがSEを交えて行き来する#16。
再び無機的なSEの#17。
穏やかな序盤からボーカル・メロディがアルバム冒頭のテーマをなぞりながらヘヴィに変化。バグパイプが奏でるメロディが希望を感じさせる#18。
アルバムのテーマ・メロディを巧みに融合したボーカル・パート。ギターとシンセの各ソロに続くハーモナイズ・プレイも出色の#19。フェードアウトで終了するのが意外な感じも。
オーケストレーションやクワイヤを総動員し物語前半を締めくくりつつAct IIへの期待もそそる中締めエンディング・チューン#20。メロトロンの音色が郷愁を誘う。

続いてAct II。
全体としては希望的ムードに包まれつつも、不穏なテーマが見え隠れするオープニング#1。
ヘヴィなギターのカッティングとツーバス連打がシンクロするリフ、ギター/ベース/シンセによるテクニカルなハーモナイズ・パートを配したインストもカッコ良い、メロディアスなメタル・チューン#2。
ガラスのように繊細な12弦アコギのアルペジオ、マイルドなシンセ、女性スキャットが神秘的なムードを醸成する前半からヘヴィなパートを挟み、雫のようなピアノで幕を閉じる#3。
ピアノとアコギにストリングス・セクションが絡み、ジェイムズ・ラブリエの歌声が伸びやかに響く美バラード#4。
オケとクワイヤがバンドのテクニカルなアンサンブルと見事に融合。スリリングなインスト・パートに被さる戦闘シーンのSEなどの仕掛けも含めて完成度の高いミュージカル的メタル・チューン#5。
不気味さを増した無機的SEの#6。
不条理リフと不穏なボーカル・メロディが不安を煽る#7。ラストの戦いに敗れたかのようなSEが次への期待をそそる。
ジョーダン・ルーデス(Key)によるインテンスなシンセ・ソロを配したダークなナンバー#8。
#7のラストは登場人物Faytheだったのか。むせび泣く人々のSEから始まる神々しいバラード#9。
ピアノとストリングス・セクションが包み込む、悲しくも美しいバラード#10。
郷愁を誘うフィドルがアクセントとなりクワイヤを中心に壮大に盛り上がる#11。
希望的メロディで満ちた、開放感あるメロディアスなハード・ロック#12。
ノイズ音の終焉を暗示するSE#13。
#1のポジティブなテーマが再登場。大団円を迎える#14。長尺アルバムのラストとしては意外とあさっりしているのが逆に好感。

演奏のベクトルがサーカス的な器楽要素よりも物語の進行に向けられ、感傷的な部分でのストリングス、戦いを暗示するブラスと、オーケストラのキャラクターを存分に活かしたアレンジとあいまって作品の完成度を高めている。

DREAM THEATERのコンセプト・アルバムというと、名盤 Metropolis PT2 : Scenes from a Memoryが想起される。しかし、Scenes from a Memoryがミステリアスな謎解きをリスナーに迫る知的好奇心をくすぐる現代劇だった一方で今作は中世風ファンタジーということで、同じことは繰り返さないというバンドとしてのプライドも覗く。
聴くほどに、この物語を生で味わいたいという欲求が高まってくる。つまり、この時点で既にDREAM THEATERの術中に嵌ってしまっていることになるわけで。
その一方でお腹いっぱいの反動か、Train of Thoughtのようなシンプルなアルバムも聞きたくなってくる不思議な効果もある。
どうころんでも勝者はDREAM THEATERということか。

Track List

Act I
1. Descent of the NOMACS
2. Dystopian Overture
3. The Gift of Music
4. The Answer
5. A Better Life
6. Lord Nafaryus
7. A Savior in the Square
8. When Your Time Has Come
9. Act of Faythe
10. Three Days
11. The Hovering Sojourn
12. Brother, Can You Hear Me?
13. A Life Left Behind
14. Ravenskill
15. Chosen
16. A Tempting Offer
17. Digital Discord
18. The X Aspect
19. A New Beginning
20. The Road to Revolution

Act II
1. 2285 Entr'acte
2. Moment of Betrayal
3. Heaven's Cove
4. Begin Again
5. The Path That Divides
6. Machine Chatter
7. The Walking Shadow
8. My Last Farewell
9. Losing Faythe
10. Whispers on the Wind
11. Hymn of a Thousand Voices
12. Our New World
13. Power Down
14. Astonishing

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OPETH / Sorceress

2016,SWEDEN

OPETHの12thアルバムSorceress。

アコギにメロトロンやハープが絡む、ギリシャ神話に登場するゼウスの娘ペルセフォネをタイトルに戴く抒情インストゥルメンタル#1。
跳ねるリズムでオルガンが躍動する70年代風ヘヴィ・ロック#2。屈折したメロディのリフと終盤の静寂パートからの展開にOPETHの真骨頂を見せるも全体的には凡庸。
フレドリック・オーケソン(G)の弾きまくりソロをフィーチュアしたヘヴィなナンバー#3。中間部からはクリーンなパートで神秘性を演出。
ミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)の表現力豊かな歌唱が際立つ、アコギの空気感が美しい絶品のフォーク・チューン#4。
インスト・パートにギターとオルガンのバトルを挿入した、スペイシーなシンセがアクセントとなった古典的ハード・ロック#5。中盤以降はメロウなパートに移行してガラっとムードを変化させるお得意の手法。
抒情的なアコギのアルペジオに対するモーダルな歌メロにセンスを感じさせるフォーク#6。
呪術的なパーカッションと中近東的エキゾチックなヒネリを交えたメロディがLED ZEPPELINのFriendsを彷彿させる暗黒フォークの前半から静謐フォークに劇的転換する#7。
従来のOPETHが持つエッセンスを70年代ロックの手法で再構築した、ムーディなメロウネスと屈折ヘヴィネスが融合した#8。
どこか郷愁を誘うアコギのメロディが印象的なイントロから薄明り射すサビに至る構成が見事なメロディアス・ナンバー#9。
アンビエントなピアノが#9を継承し寂寥感を漂わせるイントロから一転、アップテンポのハード・ロックに移行する#10。
再びアンビエントなピアノと女性のモノローグで締める#11。

バンドの70年代テイスト化を推し進めるミカエル・オーカーフェルトの試みは今作も継続。
特にアコースティック系楽曲において顕著で、良い意味で70年代のカビ臭い本格的なムードを感じる。
一方で、ハードな楽曲では以前は存在したエッジがますます減退。
OPETHならではの奇妙ではあるが冷たく深遠な暗黒ムードはもはや消滅。展開しまくりの奔放で豪快な楽曲構成が魅力の一つでもあったが、今作の各楽曲は尺がコンパクトになったのもあるが、方法論の70年代化とともに全体的に意外性に欠ける予定調和的な展開が目立つ。
結果的にメロウな部分での本格化と引き換えに、デス・ヴォイスをはじめ奇想天外なメロディや豪放な楽曲展開などOPETHの軸ともいえる特長が薄くなってしまった。
それでも本作が駄作かというとそうでも無く、#1、#4、#6、#7、#9など佳曲も多く、趣味を実益に反映させたミカエル・オーカーフェルトの手腕で統一感のある作品に仕上がってはいる。

音楽的な深化・進化は認める。認めるがしかし、幽玄かつ暗黒なメタル度の後退は少々寂しいものがある。。

Track List

1. Persephone
2. Sorceress
3. The Wilde Flowers
4. Will O the Wisp
5. Chrysalis
6. Sorceress 2
7. The Seventh Sojourn
8. Strange Brew
9. A Fleeting Glance
10. Era
11. Persephone (Slight Return)

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PAIN OF SALVATION / In The Passing Light of Day

2017,SWEDEN

連鎖球菌感染症から復帰したダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)率いるスウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドPAIN OF SALVATIONの9thアルバム。

ギターによる奇数音シークエンスがメインのリズムとシンクロしたりズレたりするポリリズム展開が気持ち悪くも心地よい#1。10分超えの長尺だが、メロトロンやオーボエを使用した静謐パートから怒涛のヘヴィ・パートへのドラマティックな移行、メロディアスなサビと魂を振り絞るような熱いダニエルの歌唱など、スリリングかつ感動的に聴かせる。
寂寥感溢れるピアノ・バラードから一転してヘヴィなリフがのたうち回る#2。
屈折したムードのヴァースとメロディアスなサビが対比、重低音リフとスクリームが強烈な印象のパワー・バラード#3。
くぐもったピアノと生々しいダニエルの歌唱で綴るメロウなバラード#4。
ポリリズムをフックにした静と動の起伏ある展開とキャッチーなコーラスが融合、初期のサウンドを彷彿させるプログレッシブ・メタル・チューン#5。
メロディアスなコーラス、重低音リフ、メロウ・パートなど様々な要素が絡み合う唯一無二のサウンドを持つ#6。
メロウネスにリズムのトリックを交えた序盤~中盤とエモーショナルなギター・ソロが舞う後半からなる#7。
エレピをバックに淡々としたヴァースからジワジワと盛り上げ、サビで一気にヘヴィに変化する#8。
オートハープがフォークな彩を加える郷愁を誘うバラード#9。
#9のムードを引継いだ温かみのあるプログレッシブ・フォークの前半からスケールの大きなロック・パートに移行する#10。

尺の長短を問わずしっかりと楽曲にドラマ性を持たせ、一筋縄ではいかないポリリズムでリスナーの好奇心を煽る。プログレッシブな感触ではあるが、初期の表層的なものとはまた次元の違う深みに到達した感がある。
生々しいサウンドは前2作の傾向を継承しながも、ダニエルの感性から自然と湧き出てきたものにSFや土着フォークロアなどキャリアを通じて得たエッセンスをそこかしこに滲ませた素晴らしい復活作。

Track List

1. On a Tuesday
2. Tongue of God
3. Meaningless
4. Silent Gold
5. Full Throttle Tribe
6. Reasons
7. Angels of Broken Things
8. The Taming of a Beast
9. If This Is the End
10. The Passing Light of Day

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