YES のレビュー

YES / Close to the Edge

1972,UK

YESの1972年5thアルバムClose to the Edge。

時に小説単位で行われたレコーディングの断片をテープの切り・貼りによって再構築したという#1がもう最高。川のせせらぎと鳥のさえずりのSEを導入部に仕込むことで牧歌的なイメージを与えておきながら、バンド演奏が始まるとともに突然のフリージャズ寸前の展開に当時の全リスナーが腰を抜かしたであろう衝撃のオープニングでつかみはOK。そして忍耐強く聴き続けた者だけに訪れる緊張からの爽やかな開放感。まさに「アメ」と「ムチ」。この曲は基本的にこのパターンを繰り返しながらオーラスの大団円に向かって徐々に感動の度合いが高まるように構成されています。後世の多くのバンドがこうした手法を模倣しながら未だにこのオリジナルの完成度を越える事ができていない、という事実がいかにこの30年以上前の作品が凄いものであるかを証明しています。
リック・ウェイクマン(Key)が多彩なトーンでチーム・プレーに徹しつつ幻想的雰囲気を醸し出す#2、
各パートの演奏が有機的に絡み合った#3も素晴らしいです。

スリリングでドラマティック、メロディアスでインテレクチュアルなロック史に燦然と輝く名盤。偏執狂的制作スタイルに疲れたビル・ブラッフォード(Dr)はレコーディング後脱退、KING CRIMSONに加入します。

Track List

1. Close To The Edge
(i)The Solid Time Of Change
(ii)Total Mass Retain
(iii)I Get Up, I Get Down
(iv)Seasons Of A Man
2. And You And I
(i)Cord Of Life
(ii)Eclipse
(iii)The Preacher, The Teacher
(iv)Apocalypse
3. Siberian Khatru

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