シンフォニック のレビュー

TOMAS BODIN / Sonic Boulevard

2003,SWEDEN

FLOWER KINGSのキーボーディスト トマス・ボディンの3rdソロアルバムSonic Boulevard。

当初はネット経由のみの販売を考えていたというが、僚友ロイネ・ストルトにデモを聴かせた所、正式にCDでリリースすべきだ!と励まされ完成したらしい。
ということで、その気にさせた責任を取るべくロイネ・ストルトもギターで参加の他、いつものFLOWER KINGS人脈に菅やパーカッションもゲストで加えての制作となった。

本家FLOWER KINGSにも共通するポジティブな桃源郷シンフォニック路線のサウンドは、今や保証付きのクオリティ。
前作はリズム隊以外は自分のキーボードだけという編成の関係で気負いもあったのか、埋め尽くされたキーボード・サウンドに多少の息苦しさも感じさせたが、今回はギターやサックスの存在がオーガニックな空気感をもたらしており、サウンド全体もリラックス且つバンドっぽくなっていて好印象です。
やはりこの人はチームの中でこそ活きる人なんでしょう。
#7 にFLOWER KINGS のSimple Song(Flower Power #2)のフレーズを引用したりする遊び心も良い感じ。

Track List

1. Prayer
2. Hero from Cloud City
3. Back to the African Garden
4. Picture
5. Walkabout
6. Horses from Zaad
7. Beautiful Mind
8. Happy Frog
9. Morning Will Come
10. Night Will Fall

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KARNATAKA / Delicate Flame of Desire

2003,UK

ウェールズの女性ボーカル シンフォニック・ロック・バンドKARNATAKAの2003年3rdアルバムDelicate Flame of Desire。

朝霧のような柔らかな感触のシンセのオーケストレーションに、新メンバー アン=マリー・ヘルダー(Fl/Vo)によるケルティックなメロディのフルートとレイチェル・ジョーンズ(Vo)の美声スキャットがたゆたう序曲的なインストゥルメンタル#1から早くも独特のムードが全開。
続く美しいコーラス・ハーモニーで幕を開ける瑞々しいタッチの#2。
竪琴のような音色のアルペジオにモーダルな歌メロが乗る#3。
穏やかなAメロから少々マイナーなフックを挟んで美しく爽やかなサビのコーラスでサウンドがパッと広がる#4。
ミステリアスなメロディがコンテンポラリーなテイストを醸し出す、サビの節回がエキゾティックな#7。
サビの胸を締め付けるようなメロディが堪らない、アコギのカッティングをバックにレイチェルが落ち着いたトーンで歌う#8。
自然な7/8拍子に乗って神秘的な清廉さを感じさせるボーカル・パートを中心に、SEによるアンンビエントなパートを交えてドラマティックに展開する#9。
等々、前作よりも透明感とメロディのレンジを増したレイチェルのボーカルが、優雅なパッド系トーンを中心としたシンセのオーケストレーションと優しい女声コーラスによるシンフォニック度増量のアレンジに抜群の相性を見せ、穢れの無い蕩けるような至福のひと時を味わわせてくれます。

Track List

1. Karnataka
2. Time Stands Still
3. Delicate Flame Of Desire
4. After The Rain
5. Strange Behaviour
6. The Right Time
7. One Breath Away
8. Out Of Reach
9. Heart Of Stone

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THE TANGENT / The Music That Died Alone

2003,UK/SWEDEN

PARALLEL OR 90DEGREESのKey奏者Andy Tillisonのソロがバンド形態に発展したTHE TANGENTの2003年1st。

FLOWER KINGSのRoine Stolt(G),Jonas Reingold(B)、VAN DER GRAAF GENERATORのDavid Jackson(Sax,Flu)らが参加。20分の組曲#1の冒頭、オルガンの1フレーズだけで既にKO。その後ズ太いシンセやネバリあるギターがユニゾンで合流、推進力抜群のリズム隊と共に畳み掛けると追い討ちをかけるようにSaxも参戦。メロディ、スリル、ファンタジー、オシャレでジャジーとおいしい要素がごった煮状態ながら、オリジナリティ、センス、テクニックを兼ね備えた歴戦のメンツによるアンサンブルが一切破綻することなく完璧な音世界を構築。それでいて小難しく無く、フレンドリーなとっつき易さも魅力です。#2でのHatfield and the Northのカヴァーは現代的なサウンドで再現しながらも憧景を隠そうともしない潔さが、逆に先人達へのリスペクトを感じさせて好感が持てます。

Track List

1. In Darkest Dreams
2. The Canterbury Sequence
3. Up Hill from Here
4. The Music That Died Alone

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MAGENTA / Seven

2004,UK

女性ボーカルをフィーチュアした英国シンフォ・バンドMAGENTAの2ndアルバムSeven。

YESやRENAISSANCEが引き合いに出されるようだが、どうなんでしょう?
確かにコーラスはYESっぽいけど、それほどテクニカルで複雑でもないし、RENAISSANCE云々に至っては女性ボーカルだけが唯一の共通点って感じも。
それより、そんな形容が不要なほどMAGENTAとしてのスタイルが確立されていると思います。
細かいヴィブラートが独特で澄み切ったクリスティーナ嬢の歌声、英国らしい落ち着いた雰囲気と叙情性、現代のバンドらしいデジタル・シンセのクリアなサウンド。
「七つの大罪」をタイトルに戴く楽曲は、そのほとんどが10分クラスの長尺でじっくり、しっとり聴かせます。
シンセ等と生の弦が織り成すオーケストレーションが、凛とした空気感と適度なウェット感の絶妙なバランスで独特の音場を醸成。しっとりした#2や#5は女性ボーカル・ファンなら必聴です。

Track List

1. Gluttony
2. Envy
3. Lust
4. Greed
5. Anger
6. Pride
7. Sloth

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WITHIN TEMPTATION / The Silent Force

2004,NETHERLANDS

オランダのゴシック・メタル・バンドWITHIN TEMPTATIONの3rd。
ドラムとキーボードがステファン・ファン・ハストレット(Dr)、マーティン・スピーレンブルグ(Key)にそれぞれ交代。

宗教的とすら言える大仰なクワイヤが感動的に盛り上げた後の余韻の部分に、シャロン・デン・アデル(Vo)のソプラノによるスキャットが優しく浮遊するイントロ#1。
そして間髪置かずバンドと共にオーケストラとクワイヤが荘厳なリフを奏でる#2が登場。ストリングス、まろやかな管が静かなパートでのシャロンの可憐な歌唱を彩り、サビではヘヴィなギターもオーケストラの一部と化したかのような融合ぶりで、シャロンの歌唱が乗ると歌劇のようなドラマティックさで圧倒的に迫ります。
クワイヤを中心としたリフで畳み掛ける#3。荘厳なメロディのサビはもはやシンフォニーの領域。
ゴシック・メタルな質感とサビでの壮大な管を中心としたシンフォニックな要素が互いを引き立てる名曲#4。
前作のケルト風味を継承した笛の音色が印象的な#5は、シャロンの艶やかな歌声がストリングス・セクションの雲の上をたゆたうバラード。
キャッチーなサビを中心にオーケストラのデコレーションが自然に溶け込んだ#6。
タイトル通りシャロンの天使のような美声をフィーチュアした#7。
ピアノのアルペジオとストリングス、典雅なハープをバックにシャロンが優しく歌い上げる#8。
オーケストラとエレクトリカルなサンプルを融合させて、悲劇的なメロディを紡ぎ上げた#9。
管弦楽のインストゥルメンタル・セクションをフィーチュアした#10。
雄大なスケールのボーカル・メロディを切々と歌うシャロンをオーケストラが包み込む#11。

シャロンの圧倒的な表現力と、何度もトリ肌が立つ劇的なオーケストレーションにより、聴いた後に心地好い疲労感すら覚えます。シャロンはソプラノの美しさも良いですが、中音域での母性をも感じさせる柔らかな感触も魅力です。本作はそんなシャロンの美しいボーカルを活かしたシンフォニックなスタイルをさらに推し進め、ケルトなメロディをヒントにメロディアスさを打ち出した前作とは打って変わり、完全にオリジナルな扇情力抜群のマイナー調メロディを大幅増量。よりスケールが大きく、ドラマティックなシンフォニック・ゴシック・メタルに進化を遂げた超名盤です。

Track List

1. Intro
2. See Who I Am
3. Jillian
4. Stand My Ground
5. Pale
6. Forsaken
7. Angels
8. Memories
9. Aquarius
10. It's The Fear
11. Somewhere

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FLOWER KINGS / Adam & Eve

2004,SWEDEN

シンフォニック、アバンギャルド、スリル、叙情、時折ロカビリー!・・・様々な音楽的要素がごった煮感覚で味わえるのがTHE FLOWER KINGSの最大の魅力だと個人的に感じてますが、この2004年8thアルバムAdam & EveはCD1枚ということもあってかハッセ・フロベリ(Vo)のクリーンな歌唱を活かしたストレートで爽やかなシンフォニック路線にカラーが統一されてます。
その分、叙情性が減少。お家芸とも言えるテクニカルなのにキャッチーな高速変拍子も皆無。
雑多な要素を有機的に繋ぎ合わせてTHE FLOWER KINGSというひとつのテイストに昇華させていたロイネ・ストルト(G/Vo)のネバりあるギターのトーンや味わいある歌唱もこの8thアルバムでは控え目です。
プロデュースもしてるんで、一歩下がり俯瞰するようなスタンスで制作に関わったからかもしれません。
前作に続き客演のPAIN OF SALVATIONのダニエル・ギルデンロウがシアトリカルな歌唱でアクセントとなってたりしますが、やはりロイネ・ストルトにもうちょいがんばって欲しかったですね。他のプロジェクト(色々やり過ぎ!)で忙しかったんでしょうか?

Track List

1. Love Supreme
2. Cosmic Circus
3. Babylon
4. Vampires View
5. Days Gone By
6. Adam & Eve
7. Starlight Man
8. Timelines
9. Drivers Seat
10. The Blade of Cain

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MOSTLY AUTUMN / Passengers

2004,UK

美声女性ボーカルを擁するシンフォニックなフォーク・ロック・バンドMOSTLY AUTUMNの5thアルバム Passengers。

躍動感ある#1、ブライアン・ジョシュ(G/Vo)の朴訥な歌唱が良くも悪くも印象に残るロックなナンバー#2、と軽快に飛ばすコンテンポラリーな序盤。
一転して#3はヘザー・フィンレイ(Vo)の滑らかな美声が堪能できる叙情バラード。ヴァイオリンとチェロの端整な調べが気品を加えています。
ヘザーの書いた#4,#5は前半のハイライト。トラッド風な#4での優しい歌唱、フォーク・ロックやブルーズ・ロックの影響を感じさせる#5でのレンジの広い力強い歌唱など様々な魅力が堪能できます。#3でのフォークロア調フィドル、#4のフルートなど脇を固める小技も効いています。
荒涼とした中にヘザーの抑えた歌唱が染み入るトラッド風な#6。ラストのシンセによるシンフォニックな叙情リフレインも聴き所。
転調による場面転換が劇的なコンテンポラリー・チューン#7。
壮大に盛り上がるバラード#8。
ゲストのトロイ・ドノックリーが奏でるイリアン・パイプなどのエスニックな音色がアクセントとなったインスト#9。
ピアノのアルペジオとジョシュのお経ボーカルによる2コーラス目Aメロが何となく初期THEATRE OF TRAGEDYみたいなゴシック・メタル風な#10。サビでのヘザーの美麗歌唱とラストの叙情リフレインがドラマティック。
#11は3部構成。ジョシュとヘザーがデュエット、ホイッスルやイリアン・パイプの味付けが素敵なフォーク・チューンのPart1。アップ・テンポに疾走する中、イリアン・パイプとヴァイオリンのソロが郷愁を誘いつつもカッコ良いPart2。ダンス・チューンを現代的に解釈した開放的なPart3。

現代的な音像に、トラッドやケルト的フォークロア風味、クラシック・ロックなどの影響を巧みにミックスさせた、素朴ながらもドラマティックなアルバム。ヘザーの表現力抜群な歌唱も素晴らしいです。

Track List

1. Something In Between
2. Pure White Light
3. Another Life
4. Bitterness Burnt
5. Caught In A Fold
6. Simple Ways
7. First Thought
8. Passengers
9. Distant Train
10. Answer The Question
11. Pass The Clock

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WHITE WILLOW / Storm Season

2004,NORWAY

ノルウェーの鬱系プログレッシブ・ロック・バンドWHITE WILLOWの2004年4th。

シルヴィア・エリクセン(Vo)嬢の可憐な女性ボーカルをメロトロン、ハモンド、モーグ、フェンダー・ローズ、ウーリッツァーといったヴィンテージ・キーボードやフルート、チェロといったアコースティック楽器が織り成す暗黒グルーヴによって包み込むメランコリックなサウンド。ヘヴィに迫る場面ではゴシック・メタルのようなムードも感じさせます。デジタル・シンセも効果的に使用されており、アコースティック楽器と絶妙のマッチングを見せています。木漏れ日フォークのような序盤から優しい歌唱をフィーチュアした#3。ディストーション・ギターとハモンドのリフに導かれヘヴィに展開する暗黒シンフォ#4。グロッケンがミステリアスなムードを醸し出すプログレッシブ暗黒チューン#5。7拍子に乗るオルガン・ソロやモーグによるシンセ・ソロを含むヘヴィな#7。等々、どれも暗鬱な静寂パートや屈折したインストパートが用意されており一筋縄ではいきません。

Track List

1. Chemical Sunset
2. Sally Left
3. Endless Science
4. Soulburn
5. Insomnia
6. Storm Season
7. Nightside of Eden

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IQ / Dark Matter

2004,UK

IQの2004年8thアルバムDark Matter。

4~5分台のコンパクトな楽曲#2,#3,#4を曲間無く繋ぎ長尺曲#1,#5でサンドイッチするアルバム構成は、コンセプト・アルバムかと見紛うほどの統一性で時間があっという間に過ぎて行きます。
コンパクトな楽曲群は、叙情的な#2、緊張感ある序盤とキャッチーなサビを持つ#3、思索ナンバー#4とそれぞれが明快なキャラクターを持ち、デジタル・シンセによるシンフォニックなストリングス系サウンドやサンプラーと思しきモーグ、コルグCX3によるハモンド等のヴィンテージ・サウンドによるアクセントが効いたアレンジに、キャッチーでフック満載のヴォーカルやギターのメロディが乗る全く隙の無い完璧な構成。
それに輪をかけて完璧なのがポジティブで高揚感溢れる#1や、緩急織り交ぜた組曲形式で24分超の物語を紡ぐ#5。

豊富なアイディアによるプログレッシブ・ロック的なおいしいパーツが随所に点在しながらも、最終的には明快な楽曲キャラクターにまで昇華する手腕が見事な素晴らしいアルバムです。

Track List

1. Sacred Sound
2. Red Dust Shadow
3. You Never Will
4. Born Brilliant
5. Harvest Of Souls

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RETROHEADS / Retrospective

2004,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・ロック・バンドRETROHEADSの1stアルバムRetrospective。

NASAの交信音SEに覆いかぶさる叙情的なメロトロン・ストリングスのイントロがプログ・ファンの心を鷲掴みにするオープニングナンバー#1。さらにメロトロン・フルートのレトロな音色によるアルペジオへと続き、男女混声ボーカルの優しく穏やかな歌メロパート、変拍子歌メロ、少々ダークなパート、スリルとトリップ感を味わえるスペイシーなインスト・パートなどめくるめく展開しのっけから度肝を抜きます。
一転して#2は爽やかなアコギ・リフのイントロがポップなナンバー。叙情的なボーカル・パートに続くインスト・パートではマイルドなヴィンテージ・シンセ・ソロをフィーチュア。
ミステリアスなムードの中、洒落た女声パートや女声スキャットのフックがカッコ良く決まる#2。中間部はフリーフォームな女声スキャットとサスティンの効いたスライド・ギターを配したPINK FLOYD風トリップ・パート。
イントロの繊細なピアノとジェントルな男声ボーカルでバラード・ナンバーかと思いきや、ジャジーな女声コーラスやメロトンをバックにしたモーグの滑らかなソロなどを盛り込み落ち着いたAOR風ナンバーに仕上げた#4。
ヴィンテージ・キーボード群が活躍する温かみのあるスペイシーなパートと変拍子ジャズ・ロックのインスト・パート、コンテンポラリー・ポップなボーカル・パートから成る#5。終盤はシンセの叙情シンフォニックで締める。
メランコリックなボーカル・パートを主軸に、その叙情をさらに盛り上げるメロトロン・クワイヤ、メロトロン・ストリングスが印象的な#6。
捻った7拍子不条理リフやキメの多いリズムに乗ったスリリングなヴァースからポップなサビに移行する#7。メロトロン・クワイヤをバックにしたギター・ソロの泣き具合も絶品。
美しく透明感溢れるバラードの序盤から、数種類のメロトロン・サウンドなどプログレ度が高いインスト・パートを含むプログレ・チューンに発展する#8。
全体的なポジティブ・ムードとどこか北欧的なメロディがFLOWER KINGSを想起させるプログレッシブ・インストゥルメンタル・チューン#9。

TVやラジオのCM音楽などを手掛けるトーレ・ボ・ベンディクセン(Vo/Key/G/B)が中心となり、メロトロン、ハモンドB3、アープシンセ、ミニモーグなど、ヴィンテージ・キーボードを使用しながら、音楽的にはジャズやポップの要素を盛り込んだ独自のコンテンポラリーなプログレッシブ・ロックを展開。
特に、随所で決まる洒落たジャジィな女声コーラスやスキャットが、他の70年代回顧バンドとの違いを明確にしている。

楽曲は良く言えば変幻自在、悪く言えばやりっ放し。曲の最初に提示したテーマを終盤にリプライズするようなありがちな展開が無く最初は戸惑うが、慣れればその整合感ギリギリの展開が快感になります。

Track List

1. Earthsong
2. Man
3. Judgement Day
4. Dreams
5. World Reveal
6. Starry Night
7. Urban Flight Delight
8. Taking my Time
9. The Fool

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THE TANGENT / The World That We Drive Through

2004,UK/SWEDEN

THE TANGENTの2004年2nd。

リズム隊はFLOWER KINGS組のスウェーデン人で、いい味出しているSax/FluはPORCUPINE TREEのアルバムでも客演したりしている英国人Theo Travis。#2の終盤、フルートに絡むヴォーカル・パートがNATIONAL HEALTHのアマンダ・パーソンズを彷彿させてニヤリなSam Baineなる女性も英国人か?大仰で派手なオープニング・チューンにHATFIELDのカヴァー、VDGGのDavid JacksonのフリーキーなSaxとプログレッシブな飛び道具満載だった1stと比べると地味な感じもしますが、その分落ち着きと奥行きが感じられてゆったりと楽しめますね。ジャジーな要素を加味したクールでアダルト・オリエンテッドなプログレって感じでしょうか。勿論アグレッシブな変拍子&変態アンサンブルも登場しますが、スゴ腕ミュージシャン揃いなのでサラっと余裕で演っちゃってます。アンサンブルの背景はデジタル機材が目立つ事無く担い、RoineのネバっこいギターやマイルドなTheoのSaxといったオーガニックな音色が表に立つ事で、サウンドが程よく馴染んでマイルドな大人の感触のトーンに仕上げている所がニクイです。

Track List

1. The Winning Game
2. Skipping the Distance
3. Photosynthesis
4. The World We Drive Through
5. A Gap in the Night

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MOON SAFARI / A Doorway To Summer

2005,SWEDEN

スウェーデンのポップなプログレッシブ・ロック・バンド MOON SAFARIの1stアルバム A Doorway To Summer。

プロデューサーは同郷のプログレッシブ・ロック・バンド FLOWER KINGSの鍵盤奏者トマス・ボーディン。

オープニングのピアノとアコギに絡むハーモニカが甘酸っぱい印象の#1。メロトロンやまろやかなシンセもオーガニックなサウンドに溶け合ってロマンティックなムードを醸成。終盤の転調7拍子インスト・パートでは一転してテクニカルなシンセ・ソロも聴かせ、プログレな出自も垣間見せます。
5拍子をここまでポップかつキャッチーに演奏してしまうのか!と驚愕のフォーク風プログレ・ナンバー#2。このあたりはFLOWER KINGSの影響もかなり受けている模様。シンセとギターの一糸乱れぬユニゾン・パートなど器楽的な聴き所も満載。
キャッチーな歌メロを中心としたバラード・ナンバー#3。インスト・パートではいくつものテーマ・メロディを様々に変奏し、楽曲の印象度を高める老獪なアレンジが秀逸。
長尺24分超の#4では5拍子をそれと感じさせない自然なアレンジ力と起伏に富んだ構成力も見せつつ、透明感あるアコギやヴィンテージ・シンセの滑らかなトーン、メロトロン・フルートなど音色選びのセンスも感じさせます。
歌うようにメロディアスなピアノの独奏を冒頭に配した、メロウな#5。

親しみやすい普遍的な良質メロディ、コーラスやシンプルな楽器音による暖かみのあるサウンド、確かな演奏技術、これらが高次元で融合したシンフォニック・ロックを展開。聴き終わった後にポジティブな印象を残す爽やかなアルバム。

Track List

1. Doorway
2. Dance Across the Ocean
3. A Sun of Your Own
4. We Spin the World
5. Beyond the Door

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WETTON DOWNES / Icon

2005,UK

オリジナル・メンバーが離散していったASIAの看板を守り続けたジェフ・ダウンズ(Key)と、そのASIAのオリジナル・メンバーだったジョン・ウェットン(B/Vo)が再会して始動したプロジェクトの1st。

イアン・マクドナルド(Fl/ ex.KING CRIMSON)、ジョン・ミッチェル(G/ ARENA,IT BITES,FROST)、アニー・ハズラム(Vo/ RENAISSANCE)、ヒュー・マクドウェル(Cello/ ex.ELO)など豪華メンバーが参加。ASIAと比べるとプログレ風な器楽的要素は少なく、イントロのチェロが印象的な#1やクラシカルな展開のメイン・メロディだけで1曲を仕上げた#2、チャーチオルガンをイントロに配した#3など、2人が子供時代から影響を受けていたという教会音楽のテイストをコンテンポラリーなロックに溶け込ませた上質なメロディアス・ロックとなっています。
サウンド面では、ジェフ・ダウンズのブ厚いシンセによるオーケストレーションを中心に、ジョン・ミッチェルによる構築性の高い#3、エモーショナルな#8などのギター・ソロ、イアン・マクドナルドによる#2や#10での叙情味溢れるフルートなど、素晴らしいプレイが楽曲をより印象深くしています。
そして何といっても#10でジョン・ウェットンとのデュエットを聴かせるアニー・ハズラム!
ジョン・ウェットンの歌唱にクロスして、クラシカルなメロディを歌うアニーのクリスタル・ヴォイスが登場する場面の神々しさときたら・・・・もう、絶品です。

Track List

1. Overture: Paradoxx ~ Let Me Go
2. God Walk With Us
3. I Stand Alone
4. Meet Me At Midnight
5. Hey Josephine
6. Far Away
7. Please Change You Mind
8. Sleep Angel
9. Spread Your Wings
10. In The End

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THE TANGENT / A Place In The Queue

2006,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドTHE TANGENTの2006年3rd。

ロイネ・ストルト(G)が脱退し、アンディ・ティリソン(Key/Vo)とテオ・トラヴィス(Sax/Flu)による双頭バンドの様相を呈してきました。ロイネの苦味ばしった独特の歌声とネバリのギターが聴けないのは寂しいですが、その分アンディがやってくれてます。ムーディな導入部にダイナミックなリフレイン、突き抜けるシンセ・ソロ、ギターによる叙情的なメロディなど盛りだくさんの要素で起伏ある展開を見せる20分超の大作#1。軽く歪んだオルガンとフルートがリードする、キャッチーでマイルドなジャズ・ロックの#2。テオ・トラヴィスがボーカルを取った、ド変態アバンギャルド・ジャズ・ロックの#3。親しみやすくもクールなオルガンのリフレインがカンタベリー風だなぁと思っていたら、長いソロ・パートの終盤にHATFIELD AND THE NORTH風というか、HATFIELDのコーラス隊 ザ・ノーセッツ風な美しい女声コーラスも登場する#4。中盤ではKANSASのCarry on Wayward Sonのようなリフも飛び出します。ロックなオルガンのリフ、ジャジーなボーカル・パート、ロカビリーのようなサビと展開し、エキサイティングなシンセ・ソロ、ヨナス・レインゴールド(B)の超絶ベース・ソロ、クリスター・ジョンソン(G)のエモーショナルなソロをフィーチャーした#5。イントロのドラム・パターンと重厚なムードがUKのDanger Moneyを彷彿させる#7は、アダルトなムードのボーカル・パートや、シンセによるプログレ大会、渋い音使いのギター・ソロ等インスト・セクションによって紡がれた25分に及ぶ超大作。などなど、リスペクトと遊び心を織り込んだプログレ風隠し味でニヤリとさせつつ、70年代ディスコ・ミュージックを完璧に再現しながら、アンディのとぼけた味わいのボーカルとのミスマッチが楽しい#6で楽しませたりと、聴き手のツボをガンガン突いてくるサービス精神がうれしいですね。全編に漂う落ち着いた大人のムードも良い感じです。

Track List

1. In Earnest
2. Lost in London
3. DIY Surgery
4. GPS Culture
5. Follow Your Leaders
6. The Sun in My Eyes
7. A Place in the Queue

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MAGENTA / Home

2006,UK

MAGENTAの2006年3rdアルバムHome。

自分のHOME=心の拠り所を求めてアメリカを旅する、英国女性の心象風景が描かれたコンセプト・アルバム。
場面転換を促す小曲によって軸となる4~7分の各曲が有機的に繋がり、物語が進行していく。前作の名盤「Seven」程レンジの広いドラマ性は無く、強弱の振幅が狭く絞り込まれている印象。しかし、その分静かに語られるストーリーがより心に染み渡る効果をもたらしている。
アレンジ面も派手なオーケストレーションや変拍子は控えめで、エレピやオルガンにアコギといった素材の良さが活かされている。クリスティーナ嬢の歌唱も又しかりで、切々と歌われるメロディに気品あるしっとりした歌声が絶妙なマッチングを見せている。

Track List

1. This Life
2. Hurt
3. Moving On
4. My Home Town (Far Away)
5. Brave New Land
6. The Journey
7. Towers of Hope
8. Demons
9. Morning Sunlight
10. Joe
11. A Dream
12. The Visionary
13. Journey’s End
14. The Travellers Lament
15. Home

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FLOWER KINGS / Paradox Hotel

2006,SWEDEN

FLOWER KINGSの2006年9thアルバムParadox Hotel。

2枚組アルバム全体のトーンはもはや初期のようなスリリングなインストパートや叙情性はかなり後退し、ここ数作と同様な爽やかシンフォニック路線。
レイドバックとまではいかないものの何か”角が取れた”かのような落ち着いたサウンドは正直物足りないですね。
そんな中、ロイネ・ストルト(G/Vo)がヴォーカルを取る楽曲では自らメロトロンも弾いたりと味わい深い印象を残します。
その極め付けが、ロイネお得意のアダルト&叙情フレーバーが堪らないDISC1の#8。この味のある渋いヴォーカルにアコギの爪弾き、ゾワっと忍び寄るメロトロン、そしてギターによるメランコリックな必殺のリフレイン・フレーズ。ヨナス・レインゴールド(B)のフレットレス・ベースによるソロやトマス・ボーディン(Key)の翳りの有るエレピなどアンサンブルも最高。
説得力や聴き手を引き込む歌唱力はさすがロイネ。ロイネのヴォーカル曲だけに絞り込んで曲数も減らした方がアルバムとしての焦点がスッキリまとまって出来が良くなったと思いますね。

Track List

DISC 1
1.Check In
2.Monsters & Men
3.Jealousy
4.Hit Me With A Hit
5.Pioneers Of Aviation
6.Lucy Had A Dream
7.Bavarian Skies
8.Selfconsuming Fire
9.Mommy Leave The Light On
10.End On A High Note

DISC 2
1.Minor Giant Steps
2.Touch My Heaven
3.The Unorthodox Dancinglesson
4.Man Of The World
5.Life Will Kill You
6.The Way The Waters Are Moving
7.What If God Is Alone
8.Paradox Hotel
9.Blue Planet

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WETTON DOWNES / Icon II – Rubicon

2006,UK

ジョン・ウェットン(B/Vo)とジェフ・ダウンズ(Key)によるユニットWETTON DOWNESの2ndアルバムIcon II – Rubicon。

勇壮なハード・ポップにシンセ・ストリングスの80年代風アレンジがマッチした#1。
後に再結成ASIAのアルバムでも取り上げられたカッコ良いハード・ポップ#2。DURAN DURANのHungry Like the Wolfを彷彿させるシンセの”ポップコーン”風シーケンス・フレーズを筆頭に、これも80年代風アレンジが懐かしくも良い感じ。
クラシカルな盛り上がりを見せる、ピアノとチェロが印象的なバラード#3。
そして今回の目玉はオランダのゴシック・メタル/アンビエント・バンドGATHERINGのアネク・ヴァン・ガースバーゲン(Vo)を招いてのデュエット・ナンバー#4,#5。
特に#4は、GATHERINGではなかなか聴けないベタな哀愁の美メロを情感たっぷりにクリアな美声で歌うアネクが素晴らしい。よくぞアネクを抜擢しそれどころかさらに、ファンが聴いてみたかったであろう曲調を選択したジョン・ウェットンに、感謝すると共にその慧眼に感服。その後も、アネクがGATHERINGを脱退後にリリースした作品にジョン・ウェットンが参加したりと、2人の交流は続いているようでファンとしてもうれしい限りです。
フィドルが牧歌的フレーバーを醸し出すリラックスしたポップス#6。
淡々としたリズムをバックにシリアスなムードで統一した#7。
サビのブ厚いコーラス・ハーモニーが美しいパワー・バラード#8。ジョン・ミッチェル(G)がギター・ソロで良い仕事をしています。
クラシカルで大仰なオープニング、スケールの大きなサビを持つ#9。終盤にかけてどんどんシンフォニニックに上り詰めていきます。
雄大なサビのバラードで締めくくる#10。

2人が少年時代から馴染んだ教会音楽由来の端整なメロディを軸にしたハード・ポップに、元BUGGLESの出自を物語るジェフ・ダウンズによる80年代テイスト溢れるシンセ・アレンジ、元ELOのヒュー・マクドウェル(Cello)の艶やかなチェロ、そしてゲストの歌姫とジョン・ウェットンのデュエット、というWETTON DOWNESのフォーマットが固まってきました。

Track List

1. The Die is Cast
2. Finger on the Trigger
3. Reflections (of my life)
4. To Catch a Thief
5. Tears of Joy
6. Shannon
7. The Hanging Tree
8. The Glory of Winning
9. Whirlpool
10. Rubicon

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WHITE WILLOW / Signal To Noise

2006,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・フォーク・バンドWHITE WILLOWの5thアルバムSignal To Noise。

メロトロンやフルートが織り成すダークなバッキングに、中低音域を中心にした情感たっぷりの女性ボーカルが乗る暗鬱ゴシック・チューン#1。サビでは激しさを増すバッキングに合わせてハリのあるトーンに声を変化させ、抑えた感情を一気に開放するかのレンジの広さも披露。
暗い叙情を漂わせた変拍子リフレインから優しいムードに一転、静かなパートでのウィスパー風歌唱を中心にしたセルフ・ハーモニーが美しい#2。終盤ではエンジェリック・ヴォイスによる美麗スキャットも登場。
ギターを中心に屈折したメロディで綴るダークで妖しいインストゥルメンタル#3。
爽やかと言っても良いくらい軽やかなサウンドにキュートな歌唱が乗るキャッチーなナンバー#4。くすんだオルガンやメロトロンが巧みに挿入されており、単なるポップに止まらない不思議な心地良さを演出しています。
中間部にヴィンテージ風シンセのソロを中心にしたプログレッシブなインスト・パートを内包した、ピアノのメランコリックなテーマ・メロディが印象的な9分超のドラマティックな叙情ナンバー。ここぞのクライマックスではメロトロンを惜しげもなく大放出。
アコギとエレキのダブルトラックによるアルペジオが透明感たっぷりな、ゆったりしたテンポのフォーク・ナンバー#6。メロトロンの清涼感が良い感じです。
悲哀に満ちたギターのメロディをメロトロン・ストリングスが支えるメランコリックなインストゥルメンタル#7。転調しまくるバックに合わせたテクニカルなシンセ・ソロと表情を変えるメロトロンのトーンも聴き所です。
エキゾチックなメロディや叙情メロディを上手く融合させた、コンテンポラリーな感触を持つ#8。
ドローン音をベースに枯れたエレキ・ギターがモーダルなメロディを爪弾くインスト小品#9。

前作ではゴシック・メタル風なテイストも加味しながらより普遍的なサウンドに変化してきたWHITE WILLOW。今回も看板は女性ボーカルですが、Sylvia ErichsenからTrude Eidtangにメンバー・チェンジ。彼女の時にコケティッシュな幅広い表現力が、より洗練されたバンド・サウンドと見事にマッチしています。

Track List

1. Night Surf
2. Splinters
3. Ghosts
4. Joyride
5. The Lingering
6. The Dark Road
7. Chrome Dawn
8. Dusk City
9. Ararat

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RENAISSANCE / British Tour ’76

2006,UK

2006年リリースされたRENAISSANCEの1976年1月24日ノッティンガム大学でのライブBritish Tour ’76。

オーケストラ無しでバンドのみの演奏ということでジョン・タウト(Key)が奮闘。また、多彩な音色で#5ではソロも聴かせるジョン・キャンプの貢献度の高さも浮き彫りに。曲間のMCも収録されており、ほぼ当日の流れそのままだろう。定番ラインナップの曲目で臨場感抜群。ブックレットが貴重な写真多くてうれしい。

Track List

1. Can You Understand
2. Running Hard
3. Ocean Gypsy
4. Prologue
5. Song Of Scheherazade
6. Ashes Are Burning

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RETROHEADS / Introspective

2006,NORWAY

オシャレなプログレという新ジャンルを生み出したノルウェーのプログレッシブ・ロック・バンドRETROHEADSの2ndアルバムIntrospective。

歌える専任男性ボーカルが加入。彼が歌い上げる妙にアッパーなムードに最初驚くが、女声コーラスとメロトロンが出てくるとやはりRETROHEADS。3連刻みの5拍子に乗り、叙情と屈折した明るさが交錯する#1。
ポルタメントの効いたシンセと壮大なシンセ・ストリングスによるシンフォニックでスペイシーな中間部インスト・パートと、爽やかな女声コーラスが印象的な#2。
美しい女性スキャットで幕を開けるバラード#3。勿論単なるバラードで終わるはずも無く、3連刻み7拍子をバックに1パッセージ4音で繰り返すポリリズム風アルペジオがポルタメントの効いたトーン共々トリップ効果を誘うインスト・パートが最高にカッコ良い。
基本、7拍子のコンテンポラリーなポップスだが、メロトロンにシンセ、ジャジィな女声コーラス・パートとRETROHEADSらしさ爆発の#4。
ローファイなイントロに続いて提示されたテーマ・メロディが、シンセやコーラスで繰り返し登場する珍しく構築度の高い#5。クールビューティなコーラスがHATFIELDのノーセッツを彷彿させる。
メランコリックなアコギの爪弾きがリードするヨーロピアン・ムード漂うAOR風ナンバー。のはずが、テンポアップしてキャッチーになったり、インスト・パートではうねるシンセ・ソロを中心にスペイシーに迫ったりと変幻自在の#6。
ゆったりとした4拍子の思索系パート、7拍子のシンセ・ソロ、ミニマルなシンセのアルペジオなどのパーツが混在する#7。この未完成さというか雑多な感じが良い。
正統派メロディのポップスがどんどん屈折していくドラマティックなプログレ・チューン#8。
ボーカル・パートの中にシンセのアルペジオとコーラス被せるなど、強力な持ち技を単独では無く併せて使用。豊富なアイディアと卓越したセンスを感じさせるアルバム最長9分半の#9。

ヴィンテージ・キーボードが活躍するシンフォニックでスペイシーなプログレ・パートに、アン=クリスティン・ベンディクソン(Vo)とデボラ・ジニアス(Fl/Vo)によるオシャレな女声コーラスのジャジィなパートと、多少のやりっ放し感を交えた予測不能な展開を見せつつも耳に残るキャッチーさが全てを解決してしまう脅威の21世紀型プログレ。

Track List

1. Rainy day
2. Living in a bubble
3. Black hole eyes
4. One world
5. Be aware
6. I turn to you
7. Slaves of gold
8. Tidal wave
9. Karma

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