RENAISSANCE / Ocean Gypsy
1997,UK
マイケル・ダンフォード(G)がMICHAEL DUNFORD’S RENAISSANCE名義でステファニー・アドリントン(Vo)に往年の名曲を歌わせた1997年作。
カテゴリー: RENAISSANCE
1997,UK
マイケル・ダンフォード(G)がMICHAEL DUNFORD’S RENAISSANCE名義でステファニー・アドリントン(Vo)に往年の名曲を歌わせた1997年作。
カテゴリー: RENAISSANCE
1998,NORWAY
ノルウェーのゴシック・メタル・バンドTHEATRE OF TRAGEDYの1998年3rd。
端正な美旋律、醜と美、ドラマ性といった自らの特徴をよりコンパクトに纏め上げることに成功。曲タイトルもギリシア・ローマ神話から引用した単語1語でシンプルにし曲のイメージをはっきりさせている。シンセのアレンジがさらに向上し全体を覆う冷ややかでしっとりとした音像もアルバムの完成度アップに多大に貢献、彼らの最高傑作となった。ゴシック・メタルのファンなら常備すべき1枚。男性ボーカルが無理に歌わず淡々としたセリフ調のテイストで統一しており、その分リヴ・クリスティン(Vo)の歌うメロディとエンジェリック・ヴォイスが引き立てられている。端整で気品すら感じられる#6,#7はこのジャンルでの古今東西最高峰楽曲。
1. Cassandra
2. Lorelei
3. Angélique
4. Aœde
5. Siren
6. Samantha
7. Venus
8. Poppæa
9. Bacchante
10. Virago
カテゴリー: THEATRE OF TRAGEDY
1998,SWEDEN
ANEKDOTENのニクラス・バーカー(G)、ピーター・ノルディンズ(Dr)とLANDBERK/PAATOSのレイネ・フィスケ(G)、ステファン・ディムレ(B)によるホラー映画のサントラ曲をカヴァーしたプロジェクトMORTE MACABREの1998年作Symphonic Holocaust。
全員にメロトロンがクレジットされている通り、幽玄なメロトロンがアルバム通じて大活躍。暗鬱で寂寥感に満ちたサウンドを醸成しております。
暗黒ヘヴィ・グルーヴとメロトロンが織り成す悲しくも激しい#1。
メロトロンの不安定なサウンドが不穏な空気を高める#3。
YASSICA LINDKVISTなる女性シンガーのラララ・・・というスキャットが寂寥感満点な#4。
LANDBERKやPAATOSの1stでの枯れた味わいのギターを彷彿させるGOBLINのカヴァー#5。
美しいメロディーがメロトロンによって穏やかに奏でられる#6。
メンバーの趣味なのか?何故かポルノ映画からのカヴァーとなったマイルドなメロディーが美しい#7。
これらカヴァーに負けず劣らず暗鬱かつ、出身バンドのヘヴィネスを注入した17分超の渾身のオリジナル・ナンバー#8。
絞り込んだテーマとメロトロン等によるサウンドの統一感で、アルバム自体が何かの映画のサントラであるかの印象を受けます。
1. Apoteosi del Mistero
2. Threats of Stark Reality
3. Sequenza Ritmica E Tema
4. Lullaby
5. Quiet Drops
6. Opening Theme
7. Photosession
8. Symphonic Holocaust
カテゴリー: MORTE MACABRE
1998,NETHERLANDS
オランダの(元)ゴシック・メタル・バンドGATHERINGの5thは2枚組の大作How to Measure a Planet?。前作のツアーを最後にギタリスト イェルマー・ヴィールスマが脱退し5人編成となりました。
前作Nighttime Birdsで荘厳なゴシック・メタルを極めた彼らの次なるステップは、何とトリップ/アンビエント方面への方向転換。モーダルなボーカル・メロディがクールなアップテンポのハード・ロックDISC1 #5を除き、全編をダークで鬱なサウンドが覆っています。
そこにヘヴィ・メタルな激情はもはや無く、レネ・ルッテン(G)がテルミンを使用したDISC1 #3,DISC2 #2をはじめ、DISC1 #3,#7,#8,#9等に見られるシンセ他エレクトロニカな飛び道具を駆使したスペイシーなトリップ感で各楽曲が満たされています。
ところが、ヘヴィ・メタリックなギターをほぼ排除した冷たく無機質にも感じられるバックのサウンドが、前2作を経て表現力を増してきたアネク・ヴァン・ガースバーゲン(Vo)の歌唱の持つ温かみをより引き立たせ、無機的な中にもオーガニックな感触が混在した独特な質感のムードに仕上がっているのが面白いところ。
又、良く聴くとレネ・ルッテン(G)がディジュリドゥなるオーストラリア大陸の先住民族アボリジニの木管楽器を使用したDISC2 #1、超長尺のDISC2 #5など音響に拘ったインストゥルメンタル・ナンバーや、クリーンなギター・サウンドから滲み出た本質的な寂寥感は以前と変わらぬものである事に気づきます。
リリース当時はファンタジーでも荘厳でも無いジャケット・デザインと合わせて、一聴してそのあまりの変貌振りに衝撃を覚えましたが、バンドの歴史を俯瞰した現在の状況から見ると、ゴシック・メタルの荘厳な演出に頼らずにバンドの本質であるダークな美を表現しようとした意欲作である、との認識をあらたにします。
DISC1
1. Frail (You Might As Well Be Me)
2. Great Ocean Road
3. Rescue Me
4. My Electricity
5. Liberty Bell
6. Red Is A Slow Colour
7. The Big Sleep
8. Marooned
9. Travel
DISC2
1. South American Ghost Ride
2. Illuminating
3. Locked Away
4. Probably Built In The Fifties
5. How To Measure A Planet?
1998,USA
カッコいいイントロ#1に導かれて、ロズウェル空軍基地でのUFO事件を歌ったハード・ロック・ナンバー#2で幕を開ける1998年3rd。その#2やハイ・スピードかつズ太いアナログ・シンセ全開な#5が1stの頃の勢いを彷彿とさせる。
1998,NORWAY
ノルウェーのプログレッシブ・フォーク・バンドWHITE WILLOWの2ndアルバムEx Tenebris。
12弦アコギのアルペジオにシンセが絡む穏やかでドリーミーなイントロで始まる#1。残念なのはボーカルインしてからのメロディとヘボな男性ボーカル。ボーカルの空間処理もさほどされていないので粗が目立つ。楽曲はその後、シンフォニックなインスト・パートに展開するだけに惜しい。
こちらも男性ボーカルがメインながら、繊細なアコギのアルペジオと美麗な女性ボーカルのハーモニーに救われた感のある#2。フルートのソロやメロトロンの優しい装飾も良い感じです。
アコギとピアノで紡ぐメランコリックなメロディが胸を打つイントロから厳かなオルガンのパートを経て、清廉なソプラノ女性ボーカルが登場する神秘的で美しい#3。テイストは違いますが、RENAISSANCEのSistersを連想しました。
美しい女性ボーカルとピアノで綴る静かなフォークに、屈折した不条理インスト・パートを内包した9分超の大作#4。
アコギと女性ボーカルで切々と展開するメランコリックなフォーク#5。
バスドラのビートがトライバルなムードを醸し出す、オルガンやブ厚いパッド系シンセによるインスト#6。
少々屈折したインスト・パートとドリーミーな美声ボーカル・パートが対比した#7。ダークな中間部ではメロトロンが大活躍。
普遍的な美しいメロディの比率が高まり、新歌姫シルヴィア・エリクセン(Vo)の柔らかく透明感のある美声や聴かせ所をはっきりさせたアレンジと相まってバンドがスケールアップ。
特に#2,#3,#5あたりのコンパクトな楽曲は印象的なメロディが多くクオリティが高い。
後は男性ボーカルをやめて、時に冗長になる無意味なインスト・パートが整理されればメジャー級なんですが…。
1. Leaving the House of Thanatos
2. The Book of Love
3. Soteriology
4. Helen and Simon Magus
5. Thirteen Days
6. A Strange Procession...
7. A Dance of Shadows
カテゴリー: WHITE WILLOW
1999,NETHERLANDS
1999年の地元オランダでの公演を収録した、オランダの(元)ゴシック・メタル・バンドGATHERINGのライブ・アルバムSuperheat。
アンビエントに進化した最新作How To Measure A Planet ?から6曲(#1,#3,#4,#5,#6,#9)、ゴシック・メタル時代のNighttime Birdsから2曲(#2,#8)、Mandylionから2曲(#7,#10)と、アネク・ヴァン・ガースバーゲン(Vo)加入後3作品から選曲された全10曲を収録。
幽玄なシンセを中心に淡々としたバンドの演奏にアネクの艶やかな歌唱が乗る#1。
一転してゴシック・メタルな#2へ。強靭な歌声と繊細な歌声を場面に応じて完璧に使い分けるアネクの驚異の歌唱が見事です。
サビではアネクのパワフルな歌唱と相まってメタルなテイストが濃くなる、サンプルの無機質なビートに乗った#3。
程好く会場が暖まった所で、異色のノリノリ・ナンバー#4、内省的な#5,#6、とHow To Measure A Planet ?からの楽曲が続くも会場の反応は上々。
そして、アネクの威風堂々たる歌唱が堪能できる彼らの歴史を変えたゴシック・メタル・チューン#7。ギタリストが1人となったサウンドの穴を埋めるキーボードの多彩な演出がスタジオ盤以上に前に出ており、この時期のバンドの方向性とも巧くブレンドされています。
続いてゴシック・メタル期の名作#8と代表曲を続けてクライマックスを迎え、#9を挟んで、レネ・ルッテン(G)の操るテルミンをフィーチュアしたりとスタジオ・バージョンよりも大幅にトリップ感を増した#10。終盤に登場するアネクがエモーショナルな歌唱を聴かせます。
新作で大幅な音楽的変化があったにもかかわらず、ライブでは意外にも新旧のテイストが自然に融合しているのが面白いですね。
過渡期のバンドの生の姿を反映した記録的価値の高いライブです。
1. The Big Sleep
2. On Most Surfaces (Inuit)
3. Probably Built In The Fifties
4. Liberty Bell
5. Marooned
6. Rescue Me
7. Strange Machines
8. Nighttime Birds
9. My Electricity
10. Sand And Mercury
1999,UK
英国プログレッシブ・ロックの華RENAISSANCEの、1999年にリリースされたライブ・アルバムBBC Sessions。
収録曲は、75年5月8日、76年5月25日、77年1月6日、78年8月19日の4つの時期にBBCの放送用音源として録音されたマテリアルからセレクトされたものとなっています。
A Song for All Seasonsからの楽曲が収録されたのも、このライブ盤が初。
ライブというとオーケストラと共演したCarnegie HallやRoyal Albert Hallが思い浮かびますが、本作はオーケストラ無しで全てバンドのみの演奏。
やはりジョン・タウト(Key)がピアノ、シンセ、ソリーナと大活躍でオーケストラのパートを再現するのは当然としても、アニー・ハズラム(Vo)がスキャットで器楽パートを補完したり、テレンス・サリヴァン(Dr)がティンパニや銅鑼を轟かせたり、ジョン・キャンプ(B)がエフェクトで様々な音色を弾き出したり、スタジオ・バージョンでは気づかなかった男性陣のブ厚いコーラスなど、あの壮大な楽曲をバンドだけでどうやって再現していたのかという答えがここに。
オーディエンス・ノイズがカットされている部分があったりして、ライブとしての盛り上がりに欠けるきらいはありますが、オーケストラが排除されたことでメンバー個々のプレイが浮かび上がり、RENAISSANCEはライブ・バンドとしても凄かったという事を証明する資料的価値の高い作品です。
DISC 1
1. Prologue
2. Vultures Fly High
3. Midas Man
4. Day Of The Dreamer
5. Touching Once
6. Song Of Scheherazade
DISC 2
1. Can You Hear Me
2. Ocean Gypsy
3. Carpet Of The Sun
4. Mother Russia
5. Running Hard
6. Ashes Are Burning
カテゴリー: RENAISSANCE
2000,NETHERLANDS
オランダのゴシック・メタル・バンドWITHIN TEMPTATIONの2nd。
1stではダークなサウンドに男女ボーカルによる美醜の対比で展開する典型的なヨーロピアン・ゴシック・メタルをやっていた彼らですが、この2ndでは男声グロウル・ヴォイスを排除しシャロン・デン・アデル(Vo)の透き通ったソプラノ・ヴォイスと磨きの掛かった歌唱力を大フィーチュア。それを支えるバンド・サウンドもケルト風味やフォークロア風味を加えた雄大でポジティブなムードに大変身。
マタイン・ウェスターホルト(Key)によるシンセ・ストリングスの壮麗なオーケストレーションに、宗教的とすら言える厳かなクワイヤを配した堂々たるゴシック・メタル#1。
包容力をも感じさせるシャロンのソプラノ・ヴォイスが天空高くこだまするスケールの大きな#2。
ピアノと弦の美しい調べをバックに透明感溢れる歌声が映える美しいメロディのバラード#3。
ケルト風パイプの郷愁を誘う音色がアクセントとなったイントロから、力強さを交えたシャロンの幅広い歌唱表現が楽しめるゴシック・メタルに展開する#4。
エッジの立ったギター・リフにシンセのオーケストレーションが絡む壮大なインストゥルメンタル・パートを挿入した8分の大作#5。
ピアノの流れるようなアルペジオをバックに伸びやかな歌唱で綴る3拍子のバラード風ナンバー#6。
セルフ・ハーモナイズさせたシャロンの美声がストリングスの上をたゆたう序盤のボーカル・パートから、メロディアスなゴシック・メタルに移行する#7。
不協和音を交えた妖しいメロディが反復する小品#8。
#8をイントロに配し、スライドバーやツイン・ギターのハーモニーを使用した彼らにしては珍しいギター・ソロを盛り込んだ、壮麗で神秘的なムードの#9。
ハープのアルペジオをバックにマイルドで優しい歌唱を聴かせる#10は、もはやヒーリング・ミュージックの域。
実の所、ヘヴィな要素は#1や#4など所謂ゴシック・メタルらしい楽曲以外では各曲の特定パートにしか存在せず、全体としてはメロディを活かしたシンフォニックでソフトなテイストが濃くなり、メインストリームでも勝負できそうな仕上がりに。その為かヨーロッパで大ヒット。傑作となる次作でさらなる大ブレイクを果たす足場が固まりました。
1. Mother Earth
2. Ice Queen
3. Our Farewell
4. Caged
5. The The Promise
6. Never-Ending Story
7. Deceiver of Fools
8. Intro
9. Dark Wings
10. In Perfect Harmony
カテゴリー: WITHIN TEMPTATION
2000,NORWAY
THEATRE OF TRAGEDYの2000年作。
前作で美を極めた反動からか、突如エレクトロニックなサウンドに転換。曲タイトルも現代風というか何というか無機質なイメージだ。ベースとなるサウンドが全然違う方向に来てしまっっておりゴシック・メタルではもはや無く、ヘヴィなヨーロピアン・エロクトロニック・ポップという趣。一体この2年間に何があったんでしょうか?しかしながらリヴ・クリスティン(Vo)は今まで以上に普通に歌っており、#4の「アン、アアン、ア、アンアン、アアン」なんて部分では新味の萌えを発散している。歌唱スタイルはむしろ後のLEAVE’S EYESにより近くなっているくらいなので、彼女のファンとしてはこれはこれでありだ。
1. Machine
2. City Of Light
3. Fragment
4. Musique
5. Commute
6. Radio
7. Image
8. Crash/Concrete
9. Retrospect
10. Reverie
11. Space Age
カテゴリー: THEATRE OF TRAGEDY
2000,UK
女性ボーカルをフィーチャーした英国はウェールズのバンドKARNATAKAの2000年2ndアルバムThe Storm。
歌い上げるのでは無く、静かに情感を込めた切々とした感じのレイチェル・ジョーンズ(Vo)の歌唱が、ケルトやトラッドのフィーリングを仄かに漂わせつつも決して大仰にならない落ち着いたサウンドの中をたゆたう様が、美しくも儚げでグッときます。
波のSEから竪琴のアルペジオをバックに、神秘性と叙情を交えて端整なメロディを紡ぐ#1。
トラッド風味をロックなグルーヴに乗せてコンパクトに仕上げた#2。
シンセ・ストリングスとアコギのカッティングをバックに、しっとりとしたボーカルを聴かせるアルバムのハイライト#3。ドラマティックなサビが素晴らしいです。
竪琴のようなトーンによるアルペジオを軸にモーダルな響きを聴かせるトラッド風な#4。
エキゾチックなムードのボーカル・メロディが絶好のフックとなった#5。終盤にかすかに流れるシタールも効いてます。
パッド系シンセの白玉の海をアコギとレイチェルの美声が浮遊する#6。
モーダルなメロディでクールに展開する序盤からメランコリックなサビに移行する瞬間がドラマティックな#7。
これまたモーダルなメロディで展開し、エキゾチックなサビを持つコンテンポラリーなタッチのポップス#8。ギターのオブリガードが楽曲の印象度を高めてます。
レイチェルのオーバーダブによるコーラス・ハーモニーが蕩けるように美しいフォーク#9。
繊細な美声が竪琴のアルペジオと波のSEに乗る序盤から、ドラムがイン、エモーショナルなギター・ソロを経て再び序盤と同様の端整なパートに回帰する#10。ラストは波打ち際のSEで幕を引き、アルバム冒頭とリンクさせています。
1. Heaven Can Wait
2. Dreamer
3. The Journey
4. Hay
5. Love and Affection
6. I Should Have Known
7. Everything Must Change
8. Shine
9. Writing On The Wall
10. The Storm
2000,NETHERLANDS
オランダのゴシック・メタル・バンドTHE GATHERINGの6thアルバムIf Then Else。
スペイシーなシンセのSEに導かれるオープニング・チューン#1。往年の威厳を感じさせるミディアム・スローテンポのどっしりしたリズムとヘヴィなギターがリードする展開に、フレンチ・ホルンのまろやかなトーンがアクセントとなっています。
打って変わってアップテンポでグイグイ来るハード・ロックな#2。クレジットによると、サウンドの味付けにROLANDのグルーヴ・ボックスMC-505のループも使用しているようです。
MC-505のドラム・ループと音数の少ないキーボードのリフによる冷たい感触に、アネク・ヴァン・ガースバーゲン(Vo)の瑞々しい歌唱のダークながらも温かみある情感が対比した#3。生のヴァイオリンと霧のようなシンセ・ストリングスの白玉も良い感じです。
レネ・ルッテン(G)得意のクリーン・ギターのリフがリードする前半から、バンドインとともに盛り上がり、アネクの美しいハイトーンが映える後半に展開する優しいムードの#4。
引き摺るようなヘヴィなギター・リフにアネクの女帝ボーカルが乗るゴシック・メタル・タイプの#5。ではありますが、中間部でのギター・ソロ後の荘厳なパートもシンセのエレクトロニックな装飾により、依然とはまた違った新鮮な感触に仕上がっています。
バンドの演奏に、オーボエ、ホルン、トロンボーンが加わり、ヘヴィながらもウォームに仕上がったインストゥルメンタル#6。
フェンダー・ローズの少々ダーティなトーンによるリフと、アネクの表情豊かな歌唱でミステリアスかつクールに進行する#7。#5同様、中間部の荘厳なヘヴィ・リフとエレクトロニックのコラボが新鮮でカッコ良いです。
クリーンなギターをバックに、アネクがゆったりと伸びやかな歌唱を聴かせる#8。
MC-505のドラム・ループ、ヴァイオリンとチェロ、バンドのヘヴィな演奏が融合した#9。ピアノの叙情や耽美なメロディなど、GATHERING独自のゴシック・ロックに到達した感がありますね。
生の弦にハモンドやウーリッツァーなどヴィンテージ・キーボードを絡め、仄かな叙情を描いた#10。
キーボード、ヴィブラフォン、チェロ、ホルン、トロンボーンによる、スペイシーなトリップ感を漂わせるインストゥルメンタル#11。
アンビエントな装いの前作は衝撃でしたが、本作は若干ハードなテイストも復活。ところが、#5,#7に代表されるように、質感はありがちなゴシック・メタルとは別物。奇妙でインパクトあるSEを吐き出すシンセやドラム・ループの効果的な活用と、それに相反するかのような生の管や弦の導入が見事に溶け合って、GATHERINGが本来持っているヨーロッパ的な寂寥感の演出に多大な貢献を果たしています。勿論、モーダルなメロディを中心に艶やかな美声を聴かせるアネクは健在。他とは一線を画す高みに到達した、Mandylionに続くバンド2度目のピークと断言しちゃいます。サウンドの進化を追求する姿勢は、もはやプログレ。狭隘なゴシック・メタル・ファンではなく、プログレッシブ・ロック・ファンにこそ、聴いて欲しい傑作です。
1. Rollercoaster
2. Shot To Pieces
3. Amity
4. Bad Movie Scene
5. Colorado Incident
6. Beautiful War
7. Analog Park
8. Herbal Movement
9. Saturnine
10. Morphia's Waltz
11. Pathfinder
2000,NORWAY
ノルウェーのプログレッシブ・フォーク・バンドWHITE WILLOWの3rdアルバムSacrament。
シルヴィア・エリクセン(Vo)のソプラノ女性ボーカルを軸にした清廉で神秘的なフォークの前半から、ダークな情念を帯びたインスト・パート中心の後半に移行するプログレッシブ・フォーク#1。
可憐なボーカルでキャッチーなメロディを綴るフォークだが、ピアノが提示したメイン・メロディをシンセが継承するイントロや中間部のシンセによるスペイシーな表現など、インスト・パートにも印象的なフックが配置された#2。
アコギ、フルート、リコーダーが織り成すクラシカルなタッチのパートを前半に配し、吹き散らしフルートを合図にアナログ・シンセのソロをフィーチュアしたダークな7拍子のプログレ・パートに展開するインストゥルメンタル#3。
アコギのアルペジオをバックに男女ボーカルのデュエットを聴かせる、素朴で温かい感じのフォーク#4。
メロトロンと翳りを帯びたメロディで暗い側面を演出した中間パートを内包した、ハートフルな優しいフォーク#5。
くすんだエレピのバッキングが楽曲に沈鬱な影を落とす静かなパートと、7拍子で繰り広げられるフルートやシンセが絡み合うミステリアスなパートを対比させ、ダイナミズムを生み出す#6。
煮え切らないアレンジからの脱却と素人臭い男性ボーカルを排除したことにより、普遍的な良質メロディ導入でメジャー感の出てきた前作からさらに一段と垢抜けた印象に。時折見られる屈折した不条理感はもはや個性へと昇華され、#5,#6など10分超の大作でのドラマティックな構成に上手に溶け込ませています。
1. Anamnesis
2. Paper Moon
3. The Crucible
4. The Last Rose of Summer
5. Gnostalgia
6. The Reach
カテゴリー: WHITE WILLOW
2000,UK
再結成RENAISSANCEの第一弾アルバム2000年作Tuscany。
RENAISSANCEといってもジェーン・レルフの時代とアニー・ハズラム(Vo)の時代があるわけですが、この再結成はアニー期のもの。アニー、珠玉のメロディ・メイカー マイケル・ダンフォード(G)、テレンス・サリヴァン(Dr)のオリジナル・メンバーに、ミッキー・シモンズ(Key)を加えた4人を核に、ゲストでオリジナル・メンバーのジョン・タウト(Key)とアニーの昔の恋人ロイ・ウッド(B)らも参加。唯一ジョン・キャンプの不参加が残念です。
霧のように敷き詰められたパッド系シンセの中、アニーのクリスタルなスキャットが響くオープニングが感動的な#1。ピチカートを印象的に使用した本編の品のあるアレンジも良い感じです。
装飾音のタッチがジョン・タウトっぽいピアノだな、と思ってたらやっぱりジョン・タウトが弾いていた#2。リリカルなピアノと繊細なアコギのアルペジオに、一瞬ですがNovellaの頃のようなマジックを感じましたよ。
ミッキー・シモンズも負けじと良い仕事をしている#3は、彼とアニーによる叙情的で神秘的なコラボレーション。
仄かにエキゾチックな叙情を湛えたフォークから、キャチーにして壮大なサビに展開する#4。
希望的な美しいメロディにアニーの透明感ある歌声が良く合う#5。
アニーの中音域を中心とした優しい歌唱をフィーチュアしたバラード#6。
軽快なアップテンポのポップなナンバー#7。
ジョン・タウトのシンフォニックなキーボードとアニーのボーカルによる厳かなコラボレーション作#8。
アニーが大好きだというブラジルのサンバを取り入れた異色作#9。
起伏のある展開とRENAISSANCEらしいフックを織り込みながら、現代的シンセ・サウンドでモダンに仕上がったドラマティックな#10は70年代の彼らとはまた違った新鮮な魅力に溢れた佳曲。個人的にはこれが一番好きですね。
注目のアニーの歌唱は、中音域で震え気味な所に若干の衰えも感じますが、ハイトーンでのハリとクリスタル度は往年のそれを彷彿させる素晴らしさ。
サウンド面では、カギを握っていたジョン・タウトのフルタイム参戦がならなかった影響か、さすがにクラシカルで神秘的な往年のムードは望むべくもありませんが、マイケル・ダンフォードの紡ぎ出す気品を感じさせるメロディは相変わらず。
全体的には、大作度とオーケストラ度が低くなったA Song for All SeasonsやAzure D’orの頃のコンパクトでキャッチーな路線に近いものがありますね。
1. Lady From Tuscany
2. Pearls Of Wisdom
3. Eva's Pond
4. Dear Landseer
5. In The Sunshine
6. In My Life
7. The Race
8. Dolphins Prayer
9. Life In Brazil
10. One Thousand Roses
カテゴリー: RENAISSANCE
2000,UK
英国プログレッシブ・ロックの華RENAISSANCEの、2000年にリリースされたライブ・アルバムDay of the Dreamer。
クレジットが無いので推測ですが、曲目からいくと1978年のアルバムA Song for All Seasonsリリース後のライブを収録したものと思われます。
ライブ音源としては#4,#6が初出。この時期、Song of Scheherazadeは既にセットリストに入っていなかったのかも知れませんが、そのかわりに大作#3,#6が聴き応え充分。
全編オーケストラ無しでバンドのみの演奏ですが、ピアノを中心に多彩な鍵盤を操るジョン・タウト(Key)をはじめ、#3中間部の7拍子インストパートでアニー・ハズラム(Vo)がシンセとユニゾンのスキャットを決めたりとメンバーが奮闘。特に#3,#6でドライブ感抜群のプレイを聴かせるジョン・キャンプ(B)の様々なトーンが、あまり聴こえないマイケル・ダンフォード(G)のギター以上に存在感抜群で印象に残ります。
また、定番曲Can You Understandを冒頭2分少々のインストパートで切り上げ、The Vultures Fly Highに繋げる#5やジョン・タウトがピアノのイントロ・フレーズをトチっちゃう#9のように、ライブならではの演出やハプニングも興味深いです。
1. Can You Hear Me
2. Carpet of the Sun
3. Day of the Dreamer
4. Back Home Once Again
5. Can You Understand/The Vultures Fly High
6. Song for All Seasons
7. Prologue
8. Ocean Gypsy
9. Running Hard
カテゴリー: RENAISSANCE
2000,UK
1985年フィラデルフィアでのRENAISSANCE名義でのライブ。アニー・ハズラム(Vo)とマイケル・ダンフォード(G)以外はセッション・メンバー。曲目はまぁ往年のラインナップだが、音質悪いし、マニア向けの商品。
カテゴリー: RENAISSANCE
2001,UK
英国のプログレッシブ・ロック・バンドMAGENTAの2001年デビュー作Revolutions。
いきなり2枚組で、20分クラスの組曲を4つ含む7曲という構成ながら通して一気に聴けてしまう。それは曲作りが巧みだから。
サビの盛り上がりを連想させるキャッチーなオープニングでハートを鷲づかみにした後は、手を変え品を変えてのシンフォニックで痒いところに手が行き届いたアレンジで集中力を持続させます。
アコギ、シンセ、ローズ、オルガン等楽器の音色もカラフルでいながらケバケバしくならない上品なセレクトで楽曲の各パートに必然性を持って登場するので飽きない。そしてなんといってもクリスティーナ嬢の気品ある歌唱が英国産である事を高らかに主張。”動”の場面ではパワフルに”静”の場面ではしっとりと、表現力バッチリに聴かせます。
1. Children Of The Sun
2. Opus 1
3. The White Witch
4. Man The Machine
5. Opus 2
6. Genetesis
7. The Warning
2001,NORWAY
ノルウェーのゴシック・メタル・バンドTHEATRE OF TRAGEDYの2001年作ライブ。
初期のゴシックな雰囲気にエレクトロニック風味が共存していておもしろい、過渡期にあるバンドの姿をさらけ出したライブ。#5は原曲をアレンジしデジタル・ポップになっちゃったりして。でも不思議とそれなりに聴けてしまう。名曲#4もスタジオ・バージョンとは違う雰囲気のイントロでコレもなかなか良い。リヴ・クリスティン(Vo)の歌唱はウィスパーなスタジオ・バージョンよりも”歌っている”感じ。ハイライトは#7だ。エンジェリック・ヴォイスで煽るリヴたん。。
1. Intro/And When He Falleth
2. Der Spiegel
3. Cassandra
4. Venus
5. Black as the Devil Painteth
6. Siren
7. Poppæa
8. Bacchante
9. A Distance There Is
10. Der Tanz Der Schatten
カテゴリー: THEATRE OF TRAGEDY
2002,UK
再結成RENAISSANCEの2001年初来日公演、3月16日東京厚生年金大ホールの模様を収録したライブIn the Land of the Rising Sun。
オリジナル・メンバーのアニー・ハズラム(Vo)、マイケル・ダンフォード(G)、テレンス・サリヴァン(Dr)を含む6名体制。再結成での新作Tuscanyの楽曲をフィーチュアしつつ、往年の名曲も押さえたベスト選曲を2枚組で聴かせます。
Disc 1
1. Carpet of the sun
2. Opening out
3. Midas man
4. Lady from Tuscany
5. Pearls of wisdom
6. Dear Landseer
7. Northern lights
8. Moonlight shadow
9. Precious one
10. Ananda
Disc 2
1. Mother Russia
2. Trip to the fair
3. One thousand roses
4. I think of you
5. Ashes are burning
カテゴリー: RENAISSANCE
2002,SWEDEN
スウェーデンの鬱系アンビエント・プログレPAATOSの1stアルバムTimeloss。
メロディアスな女性ボーカルを中心に、KING CRIMSONのような静謐な詩情、現代的なアンビエント感、ジャジーなムード、サイケなテイストが渾然一体となった独特のサウンドが確立されてます。
オシャレなジャズかな?と思ったのもつかの間、ギターのカッティングからロック・モードに突入。叩きまくるロックなドラムがカッコいい#1。ギターとオルガンのトーンやフレーズがサイケなフィーリングも醸し出しておりナイスです。
#2は各パートの抑えた演奏とウィスパー気味のボーカルが暗鬱ながらも心温まるサウンドを醸成してます。枯れたGと影のようなメロトロン 、ゲストのフルートが良い。終盤はメロトロンを中心に大盛り上がり。
そして、Petronella(Vo)、Huxflux(Dr)夫妻の子供さんの名前を冠した#3は、スウェーデン語で切々と歌う静かでクールな前半と後半は激情メロトロン&スキャットに失神寸前の代表曲。
うっすらとしたメロトロン 、オフマイク気味のもやもやしたパーカッションに乗るウィスパー・ボーカルが心に染み渡る#4。
打ち込みエレクトロニック・ビートとオーガニックな熟練ミュージシャンのプレイが見事に融合した実験的な#5、
とデビュー作にして充実の内容。それもそのはず、中心メンバーのReine Fiske(G)、Stefan Dimle(B)の2人はスウェーデンの暗鬱土着プログレLANDBERKの元メンバー。
1.Sensor
2.Hypnotique
3.Téa
4.They Are Beautiful
5.Quits