GATHERING のレビュー

GATHERING / If Then Else

2000,NETHERLANDS

オランダのゴシック・メタル・バンドTHE GATHERINGの6thアルバムIf Then Else。

スペイシーなシンセのSEに導かれるオープニング・チューン#1。往年の威厳を感じさせるミディアム・スローテンポのどっしりしたリズムとヘヴィなギターがリードする展開に、フレンチ・ホルンのまろやかなトーンがアクセントとなっています。
打って変わってアップテンポでグイグイ来るハード・ロックな#2。クレジットによると、サウンドの味付けにROLANDのグルーヴ・ボックスMC-505のループも使用しているようです。
MC-505のドラム・ループと音数の少ないキーボードのリフによる冷たい感触に、アネク・ヴァン・ガースバーゲン(Vo)の瑞々しい歌唱のダークながらも温かみある情感が対比した#3。生のヴァイオリンと霧のようなシンセ・ストリングスの白玉も良い感じです。
レネ・ルッテン(G)得意のクリーン・ギターのリフがリードする前半から、バンドインとともに盛り上がり、アネクの美しいハイトーンが映える後半に展開する優しいムードの#4。
引き摺るようなヘヴィなギター・リフにアネクの女帝ボーカルが乗るゴシック・メタル・タイプの#5。ではありますが、中間部でのギター・ソロ後の荘厳なパートもシンセのエレクトロニックな装飾により、依然とはまた違った新鮮な感触に仕上がっています。
バンドの演奏に、オーボエ、ホルン、トロンボーンが加わり、ヘヴィながらもウォームに仕上がったインストゥルメンタル#6。
フェンダー・ローズの少々ダーティなトーンによるリフと、アネクの表情豊かな歌唱でミステリアスかつクールに進行する#7。#5同様、中間部の荘厳なヘヴィ・リフとエレクトロニックのコラボが新鮮でカッコ良いです。
クリーンなギターをバックに、アネクがゆったりと伸びやかな歌唱を聴かせる#8。
MC-505のドラム・ループ、ヴァイオリンとチェロ、バンドのヘヴィな演奏が融合した#9。ピアノの叙情や耽美なメロディなど、GATHERING独自のゴシック・ロックに到達した感がありますね。
生の弦にハモンドやウーリッツァーなどヴィンテージ・キーボードを絡め、仄かな叙情を描いた#10。
キーボード、ヴィブラフォン、チェロ、ホルン、トロンボーンによる、スペイシーなトリップ感を漂わせるインストゥルメンタル#11。

アンビエントな装いの前作は衝撃でしたが、本作は若干ハードなテイストも復活。ところが、#5,#7に代表されるように、質感はありがちなゴシック・メタルとは別物。奇妙でインパクトあるSEを吐き出すシンセやドラム・ループの効果的な活用と、それに相反するかのような生の管や弦の導入が見事に溶け合って、GATHERINGが本来持っているヨーロッパ的な寂寥感の演出に多大な貢献を果たしています。勿論、モーダルなメロディを中心に艶やかな美声を聴かせるアネクは健在。他とは一線を画す高みに到達した、Mandylionに続くバンド2度目のピークと断言しちゃいます。サウンドの進化を追求する姿勢は、もはやプログレ。狭隘なゴシック・メタル・ファンではなく、プログレッシブ・ロック・ファンにこそ、聴いて欲しい傑作です。

Track List

1. Rollercoaster
2. Shot To Pieces
3. Amity
4. Bad Movie Scene
5. Colorado Incident
6. Beautiful War
7. Analog Park
8. Herbal Movement
9. Saturnine
10. Morphia's Waltz
11. Pathfinder

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