女性ボーカル のレビュー

KARNATAKA / Delicate Flame of Desire

2003,UK

ウェールズの女性ボーカル シンフォニック・ロック・バンドKARNATAKAの2003年3rdアルバムDelicate Flame of Desire。

朝霧のような柔らかな感触のシンセのオーケストレーションに、新メンバー アン=マリー・ヘルダー(Fl/Vo)によるケルティックなメロディのフルートとレイチェル・ジョーンズ(Vo)の美声スキャットがたゆたう序曲的なインストゥルメンタル#1から早くも独特のムードが全開。
続く美しいコーラス・ハーモニーで幕を開ける瑞々しいタッチの#2。
竪琴のような音色のアルペジオにモーダルな歌メロが乗る#3。
穏やかなAメロから少々マイナーなフックを挟んで美しく爽やかなサビのコーラスでサウンドがパッと広がる#4。
ミステリアスなメロディがコンテンポラリーなテイストを醸し出す、サビの節回がエキゾティックな#7。
サビの胸を締め付けるようなメロディが堪らない、アコギのカッティングをバックにレイチェルが落ち着いたトーンで歌う#8。
自然な7/8拍子に乗って神秘的な清廉さを感じさせるボーカル・パートを中心に、SEによるアンンビエントなパートを交えてドラマティックに展開する#9。
等々、前作よりも透明感とメロディのレンジを増したレイチェルのボーカルが、優雅なパッド系トーンを中心としたシンセのオーケストレーションと優しい女声コーラスによるシンフォニック度増量のアレンジに抜群の相性を見せ、穢れの無い蕩けるような至福のひと時を味わわせてくれます。

Track List

1. Karnataka
2. Time Stands Still
3. Delicate Flame Of Desire
4. After The Rain
5. Strange Behaviour
6. The Right Time
7. One Breath Away
8. Out Of Reach
9. Heart Of Stone

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GATHERING / Souvenirs

2003,NETHERLANDS

オランダのゴシック/トリップ/アンビエント・バンドTHE GATHERINGの7thアルバムSouvenirs。

少ない音数で荒涼としたムードを演出するピアノ、無機質なドラムのビートに、アネク・ヴァン・ガースバーゲン(Vo)によるますます表現力を増したボーカルが乗る#1。
歪んだトーンでの16分単音刻みやノイズなど、フレーズというよりはもはやパーツと化したギターが印象的な暗鬱チューン#2。
中低域が中心だった前2曲から打って変わり、アネクのレンジの広く優しい歌唱が楽しめる#3。レネ・ルッテン(G)の寂寥感を感じさせる枯れたトーンのアルペジオが良い感じです。
アネクのロングトーン中心の伸びやかな美声をフューチュアした#4。ここまでのダークなムードから一転して、清涼感が感じられるフォーク・タッチのオーガニックなナンバー。
枯れたアルペジオと印象的なリフレインがリードするダークでクールな中にも、ボーカル・メロディに温かみの感じられるタイトル・チューン#5。
オクターブ違いの歌唱をダブルトラックでユニゾンしたボーカル・パートが、何となくオリエントっぽいエキゾチックなメロディにマッチして不思議なムードを醸し出す#6。
全体的にはアンビエントな空気ではあるが、エモーショナルなサビに往年のゴシック・メタルの薫り漂う#7。
浮遊するシンセと深い残響効果のギターが妖しいトリップ感を演出する#8。
シンプルなギターやピアノ以外に、ゴースト・ノイズや様々なサウンドスケープをコラージュした#9。
スペイシーなイントロに続いて、ノルウェーのバンドULVERのTrickster Gとアネクがデュエットを聴かせるダークな#10。

長らく在籍したCentury Mediaを離れ、自己のレーベルPsychonaut Recordsからのリリースとなっています。
作風は、前作”If Then Else”でのややゴシック・メタルに回帰しつつ管弦楽を取り入れたオーガニックな作風から一転、改めてアンビエント方面の追求を目指したテイストに。先行シングル”Black Light District”に引き続いて、プロデューサーにSONIC YOUTHなどを手がけたZlaya Hadzichを迎えて制作した事が大いに影響しているようです。

Track List

1. These Good People
2. Even The Spirits Are Afraid
3. Broken Glass
4. You Learn About It
5. Souvenirs
6. We Just Stopped Breathing
7. Monsters
8. Golden Ground
9. Jelena
10. A Life All Mine

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GATHERING / Sleepy Buildings

2003,NETHERLANDS

2003年8月オランダでのセミ・アコースティック・ライブを収録した2004年作Sleepy Buildings。

デビュー作からIf Then ElseまでのCENTURY MEDIA期作品からの楽曲をセミ・アコ・アレンジで演奏。いわゆる契約消化作だろう。シンプルな演奏だからこそ光るメロディ・センスとアネク・ヴァン・ガースバーゲン(Vo)の珠玉の歌唱が楽しめます。

Track List

1. Locked Away
2. Saturnine
3. Amity
4. The Mirror Waters
5. Red Is a Slow Colour
6. Sleepy Buildings
7. Travel
8. Shrink
9. In Motion #2
10. Stonegarden
11. My Electricity
12. Eléanor
13. Marooned
14. Like Fountains

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陰陽座 / 鳳翼麟瞳

2003,JAPAN

男女ボーカルを擁し妖怪ヘヴィ・メタルを標榜する陰陽座の2003年4thアルバム鳳翼麟瞳。

自らもマニアとしてヘヴィ・メタル・ファンの心理に応えたリーダー瞬火(B/Vo)の粋な計らいによる#1~#2のドラマティックな構成で、オープニングからリスナーのハートをがっちり鷲掴み。
ゴリゴリの疾走チューン#3。
キー=Aでボーカルは黒猫(Vo)のみというフォーマットがお約束の忍法帖シリーズ#4。
ムーディな瞬火/叙情的な黒猫の歌唱が交差し、招鬼(G)のギター・ソロが冴えるドラマティックな9分超の和風プログレッシブ・チューン#5。
オールドスクールなリフとサビの黒猫のスクリームがカッコ良い#6。
ヘヴィなシャッフルに乗った#7。
メタル・ファンならガッツポーズしそうなカッコ良いオープニングから叙情パートも盛り込みつつ展開するメロディアスな#8。
三柴 理がピアノで客演し黒猫のしっとりとしたボーカルが堪らない#9。
お約束ラストのパーティ・チューン#10。

一分の隙も無いアルバム構成で、オーソドックスかつメロディアスなHR/HMをベースに和風・妖怪という切り口で自らのアイデンティティを示しつつ、ありきたりには終わらないプログレッシブなスパイスも効かせた傑作です。

Track List

1. 焔ノ鳥
2. 鳳翼天翔
3. 麒麟
4. 妖花忍法帖
5. 鵺
6. 叢原火
7. 飛頭蛮
8. 面影
9. 星の宿り
10. 舞いあがる

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MAGENTA / Seven

2004,UK

女性ボーカルをフィーチュアした英国シンフォ・バンドMAGENTAの2ndアルバムSeven。

YESやRENAISSANCEが引き合いに出されるようだが、どうなんでしょう?
確かにコーラスはYESっぽいけど、それほどテクニカルで複雑でもないし、RENAISSANCE云々に至っては女性ボーカルだけが唯一の共通点って感じも。
それより、そんな形容が不要なほどMAGENTAとしてのスタイルが確立されていると思います。
細かいヴィブラートが独特で澄み切ったクリスティーナ嬢の歌声、英国らしい落ち着いた雰囲気と叙情性、現代のバンドらしいデジタル・シンセのクリアなサウンド。
「七つの大罪」をタイトルに戴く楽曲は、そのほとんどが10分クラスの長尺でじっくり、しっとり聴かせます。
シンセ等と生の弦が織り成すオーケストレーションが、凛とした空気感と適度なウェット感の絶妙なバランスで独特の音場を醸成。しっとりした#2や#5は女性ボーカル・ファンなら必聴です。

Track List

1. Gluttony
2. Envy
3. Lust
4. Greed
5. Anger
6. Pride
7. Sloth

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WITHIN TEMPTATION / The Silent Force

2004,NETHERLANDS

オランダのゴシック・メタル・バンドWITHIN TEMPTATIONの3rd。
ドラムとキーボードがステファン・ファン・ハストレット(Dr)、マーティン・スピーレンブルグ(Key)にそれぞれ交代。

宗教的とすら言える大仰なクワイヤが感動的に盛り上げた後の余韻の部分に、シャロン・デン・アデル(Vo)のソプラノによるスキャットが優しく浮遊するイントロ#1。
そして間髪置かずバンドと共にオーケストラとクワイヤが荘厳なリフを奏でる#2が登場。ストリングス、まろやかな管が静かなパートでのシャロンの可憐な歌唱を彩り、サビではヘヴィなギターもオーケストラの一部と化したかのような融合ぶりで、シャロンの歌唱が乗ると歌劇のようなドラマティックさで圧倒的に迫ります。
クワイヤを中心としたリフで畳み掛ける#3。荘厳なメロディのサビはもはやシンフォニーの領域。
ゴシック・メタルな質感とサビでの壮大な管を中心としたシンフォニックな要素が互いを引き立てる名曲#4。
前作のケルト風味を継承した笛の音色が印象的な#5は、シャロンの艶やかな歌声がストリングス・セクションの雲の上をたゆたうバラード。
キャッチーなサビを中心にオーケストラのデコレーションが自然に溶け込んだ#6。
タイトル通りシャロンの天使のような美声をフィーチュアした#7。
ピアノのアルペジオとストリングス、典雅なハープをバックにシャロンが優しく歌い上げる#8。
オーケストラとエレクトリカルなサンプルを融合させて、悲劇的なメロディを紡ぎ上げた#9。
管弦楽のインストゥルメンタル・セクションをフィーチュアした#10。
雄大なスケールのボーカル・メロディを切々と歌うシャロンをオーケストラが包み込む#11。

シャロンの圧倒的な表現力と、何度もトリ肌が立つ劇的なオーケストレーションにより、聴いた後に心地好い疲労感すら覚えます。シャロンはソプラノの美しさも良いですが、中音域での母性をも感じさせる柔らかな感触も魅力です。本作はそんなシャロンの美しいボーカルを活かしたシンフォニックなスタイルをさらに推し進め、ケルトなメロディをヒントにメロディアスさを打ち出した前作とは打って変わり、完全にオリジナルな扇情力抜群のマイナー調メロディを大幅増量。よりスケールが大きく、ドラマティックなシンフォニック・ゴシック・メタルに進化を遂げた超名盤です。

Track List

1. Intro
2. See Who I Am
3. Jillian
4. Stand My Ground
5. Pale
6. Forsaken
7. Angels
8. Memories
9. Aquarius
10. It's The Fear
11. Somewhere

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MOSTLY AUTUMN / Passengers

2004,UK

美声女性ボーカルを擁するシンフォニックなフォーク・ロック・バンドMOSTLY AUTUMNの5thアルバム Passengers。

躍動感ある#1、ブライアン・ジョシュ(G/Vo)の朴訥な歌唱が良くも悪くも印象に残るロックなナンバー#2、と軽快に飛ばすコンテンポラリーな序盤。
一転して#3はヘザー・フィンレイ(Vo)の滑らかな美声が堪能できる叙情バラード。ヴァイオリンとチェロの端整な調べが気品を加えています。
ヘザーの書いた#4,#5は前半のハイライト。トラッド風な#4での優しい歌唱、フォーク・ロックやブルーズ・ロックの影響を感じさせる#5でのレンジの広い力強い歌唱など様々な魅力が堪能できます。#3でのフォークロア調フィドル、#4のフルートなど脇を固める小技も効いています。
荒涼とした中にヘザーの抑えた歌唱が染み入るトラッド風な#6。ラストのシンセによるシンフォニックな叙情リフレインも聴き所。
転調による場面転換が劇的なコンテンポラリー・チューン#7。
壮大に盛り上がるバラード#8。
ゲストのトロイ・ドノックリーが奏でるイリアン・パイプなどのエスニックな音色がアクセントとなったインスト#9。
ピアノのアルペジオとジョシュのお経ボーカルによる2コーラス目Aメロが何となく初期THEATRE OF TRAGEDYみたいなゴシック・メタル風な#10。サビでのヘザーの美麗歌唱とラストの叙情リフレインがドラマティック。
#11は3部構成。ジョシュとヘザーがデュエット、ホイッスルやイリアン・パイプの味付けが素敵なフォーク・チューンのPart1。アップ・テンポに疾走する中、イリアン・パイプとヴァイオリンのソロが郷愁を誘いつつもカッコ良いPart2。ダンス・チューンを現代的に解釈した開放的なPart3。

現代的な音像に、トラッドやケルト的フォークロア風味、クラシック・ロックなどの影響を巧みにミックスさせた、素朴ながらもドラマティックなアルバム。ヘザーの表現力抜群な歌唱も素晴らしいです。

Track List

1. Something In Between
2. Pure White Light
3. Another Life
4. Bitterness Burnt
5. Caught In A Fold
6. Simple Ways
7. First Thought
8. Passengers
9. Distant Train
10. Answer The Question
11. Pass The Clock

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陰陽座 / 夢幻泡影

2004,JAPAN

妖怪ヘヴィ・メタルを標榜する陰陽座の5thアルバム夢幻泡影。

ムーディなイントロ#1からスピーディなメタル・チューン#2へ繋がる王道パターンで、又もやリスナーの心を鷲掴みのアルバム冒頭。もうこれだけで傑作の予感がビンビン伝わってきますね。
その#2は練られたメロディや展開もさることながら、サビでの黒猫(Vo)、瞬火(B/Vo)による歌詞を微妙に違えた演出が面白いです。
さらに、#2のエンディングからクロスフェードして畳み掛ける、IRON MAIDENのような単音ハーモニー・リフを持つ#3。黒猫の威厳をも感じさせるハリのある歌声とサビのファルセットが堪りません。
カッコ良くグイグイくる序盤から一呼吸置き、キャッチーに仕上げた#4は狩姦(G)作曲のナンバー。
瞬火と招鬼(G)によるデス声合戦と和風メロディのギター・ソロがカッコ良い#5。挿入された狂言風パートも馴染んでいるし、これは陰陽座でしかできない楽曲ですね。
続く招鬼作の#6も黒猫の演歌風ボーカルが印象的。コブシ回しが完璧で、疾走する和風リフとの相性も抜群。中間部の展開も見事なプログレッシブ和風メタルの傑作です。
COVERDALE PAGEのTake Me For A Little Whileをまんまパクったクリーンなギターのアルペジオがご愛嬌な#7は、黒猫の透明感あるハイトーンが蕩ける様に美しいポップなバラード。
忍法帖シリーズ#8はシンプルなリフをベースにしながらも、7拍子の不条理リフをバックにした台詞パートから黒猫の透き通る歌唱をフィーチャーした広がりのあるプログレッシブ・パートに展開する部分が、昇天しそうな程ドラマティック。
童謡のような懐かしさと優しさを感じさせるメロディーに、しっとりとしたボーカルが映える黒猫作のバラード#9。
そして締めはお約束パーティ・ソング#10。瞬火のソウルフルな歌唱と黒猫のチャーミングな歌唱が絶品です。

王道ヘヴィ・メタル、和風な装い、プログレッシブな展開、美メロが渾然一体となりながら、メタル然としたカッコ良さをあくまでも軸に据えた陰陽座の面目躍如たる大傑作です。

Track List

1. 夢幻
2. 邪魅の抱擁
3. 睡
4. 鼓動
5. 舞頚
6. 輪入道
7. 煙々羅
8. 涅槃忍法帖
9. 夢虫
10. 河童をどり

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WHITE WILLOW / Storm Season

2004,NORWAY

ノルウェーの鬱系プログレッシブ・ロック・バンドWHITE WILLOWの2004年4th。

シルヴィア・エリクセン(Vo)嬢の可憐な女性ボーカルをメロトロン、ハモンド、モーグ、フェンダー・ローズ、ウーリッツァーといったヴィンテージ・キーボードやフルート、チェロといったアコースティック楽器が織り成す暗黒グルーヴによって包み込むメランコリックなサウンド。ヘヴィに迫る場面ではゴシック・メタルのようなムードも感じさせます。デジタル・シンセも効果的に使用されており、アコースティック楽器と絶妙のマッチングを見せています。木漏れ日フォークのような序盤から優しい歌唱をフィーチュアした#3。ディストーション・ギターとハモンドのリフに導かれヘヴィに展開する暗黒シンフォ#4。グロッケンがミステリアスなムードを醸し出すプログレッシブ暗黒チューン#5。7拍子に乗るオルガン・ソロやモーグによるシンセ・ソロを含むヘヴィな#7。等々、どれも暗鬱な静寂パートや屈折したインストパートが用意されており一筋縄ではいきません。

Track List

1. Chemical Sunset
2. Sally Left
3. Endless Science
4. Soulburn
5. Insomnia
6. Storm Season
7. Nightside of Eden

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PAATOS / Kallocain

2004,SWEDEN

スウェーデンの鬱系メランコリック・プログレPAATOSの2ndアルバムKallocain。

オリジナルメンバーで元LANDBERKのReine Fiskeが脱退し、Peter Nylander(G)が加入。レーベル(INSIDEOUT) ・メイトのスティーヴン・ウィルソンPORCUPINE TREE)がミックスを担当しています。

衝撃のヴァイオリン・ソロから7拍子中近東風リフが淡々と繰り返され、サビで爆発する緊張感抜群なオープニング・チューンの#1。
一転して、モーダルなチェロが印象的でサビ・メロとコーラスが胸に染み入る#2。
無機質な打ち込みビートにPetronella Nettermalm(Vo)のウィスパー・ヴォイスによる美メロが乗る、もの悲しくも爽やかで清涼感のある#3。サビの変拍子とメロトロンによる味付けが効いています。
ラジオ風エフェクトをかけたボーカルが生声になる瞬間がトリ肌の静かな#4。この曲も中盤以降のメロトロンが効いてます。
さりげなく自然で優しい7拍子の#5は、ボーカル・メロディやコーラス、中間部の展開も完璧で美しさの中に溶けて行きそうです。
絶望的な暗鬱感漂うイントロ~中間部から一転、後半にかけての場面転換で一瞬一筋の光が射したと思いきや超哀メロで畳み掛ける後半で涙する#6。でも、なんか暖かいんですよね。
続くジャジーな雰囲気の暗鬱バラード#7は切ないボーカル・メロディとサビが美しすぎます。後半にかけては超ド級の哀しいメロトロンが涙腺を攻撃。もう反則です。
3拍子系のリフ(エレピが良い!)から4拍子に入る定番なトリッキー・テクの罠にはまってハッとさせた後はエキゾティックなメロディから段々盛り上がり、哀メロのサビでメロトロンと一緒に泣ける#8。
ラストは何層も重ねた霧のようなボーカル・ハーモニーを中心に切々と紡がれるエンディングにピッタリな雰囲気の#9で締めています。

ジャズをも咀嚼したセンス抜群のミュージシャン達が紡ぐ、女性ボーカル、メロトロン、叙情メロディーをフィーチュアした現代的プログレの大推薦盤です。

Track List

1. Gasoline
2. Holding On
3. Happiness
4. Absinth Minded
5. Look At Us
6. Realty
7. Stream
8. Won't Be Coming Back
9. In Time

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RETROHEADS / Retrospective

2004,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・ロック・バンドRETROHEADSの1stアルバムRetrospective。

NASAの交信音SEに覆いかぶさる叙情的なメロトロン・ストリングスのイントロがプログ・ファンの心を鷲掴みにするオープニングナンバー#1。さらにメロトロン・フルートのレトロな音色によるアルペジオへと続き、男女混声ボーカルの優しく穏やかな歌メロパート、変拍子歌メロ、少々ダークなパート、スリルとトリップ感を味わえるスペイシーなインスト・パートなどめくるめく展開しのっけから度肝を抜きます。
一転して#2は爽やかなアコギ・リフのイントロがポップなナンバー。叙情的なボーカル・パートに続くインスト・パートではマイルドなヴィンテージ・シンセ・ソロをフィーチュア。
ミステリアスなムードの中、洒落た女声パートや女声スキャットのフックがカッコ良く決まる#2。中間部はフリーフォームな女声スキャットとサスティンの効いたスライド・ギターを配したPINK FLOYD風トリップ・パート。
イントロの繊細なピアノとジェントルな男声ボーカルでバラード・ナンバーかと思いきや、ジャジーな女声コーラスやメロトンをバックにしたモーグの滑らかなソロなどを盛り込み落ち着いたAOR風ナンバーに仕上げた#4。
ヴィンテージ・キーボード群が活躍する温かみのあるスペイシーなパートと変拍子ジャズ・ロックのインスト・パート、コンテンポラリー・ポップなボーカル・パートから成る#5。終盤はシンセの叙情シンフォニックで締める。
メランコリックなボーカル・パートを主軸に、その叙情をさらに盛り上げるメロトロン・クワイヤ、メロトロン・ストリングスが印象的な#6。
捻った7拍子不条理リフやキメの多いリズムに乗ったスリリングなヴァースからポップなサビに移行する#7。メロトロン・クワイヤをバックにしたギター・ソロの泣き具合も絶品。
美しく透明感溢れるバラードの序盤から、数種類のメロトロン・サウンドなどプログレ度が高いインスト・パートを含むプログレ・チューンに発展する#8。
全体的なポジティブ・ムードとどこか北欧的なメロディがFLOWER KINGSを想起させるプログレッシブ・インストゥルメンタル・チューン#9。

TVやラジオのCM音楽などを手掛けるトーレ・ボ・ベンディクセン(Vo/Key/G/B)が中心となり、メロトロン、ハモンドB3、アープシンセ、ミニモーグなど、ヴィンテージ・キーボードを使用しながら、音楽的にはジャズやポップの要素を盛り込んだ独自のコンテンポラリーなプログレッシブ・ロックを展開。
特に、随所で決まる洒落たジャジィな女声コーラスやスキャットが、他の70年代回顧バンドとの違いを明確にしている。

楽曲は良く言えば変幻自在、悪く言えばやりっ放し。曲の最初に提示したテーマを終盤にリプライズするようなありがちな展開が無く最初は戸惑うが、慣れればその整合感ギリギリの展開が快感になります。

Track List

1. Earthsong
2. Man
3. Judgement Day
4. Dreams
5. World Reveal
6. Starry Night
7. Urban Flight Delight
8. Taking my Time
9. The Fool

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陰陽座 / 臥龍點睛

2005,JAPAN

妖怪ヘヴィ・メタルを標榜する陰陽座の6thアルバム臥龍點睛。

瞬火(B/Vo)のボーカルで始まるオーソドックスなハード・ロック#1。
招鬼(G)と狩姦(G)によるハーモナイズ・ソロをフィーチュアした#2。
オールド・スクールなリフがリードする#3。
と、序盤のここまでがアレンジ、プロダクション共々アッサリし過ぎでいつものドラマ性に欠けますね。バスドラのビーターのアタック音が妙に浮いてる感じでどうも気になります。

TVアニメの主題歌にもなった、黒猫(Vo)の瑞々しい歌唱が染み渡るメロディアスでカッコ良いハード・ロック#4。
クリーン・ギターのアルペジオに瞬火と黒猫のツイン・ボーカルで物語を紡ぐ#5。
ブルータルなリフと男性陣によるデス・ヴォイスでゴリゴリ押し捲り、サビでは黒猫の伸びやかな歌唱でアクセントを付ける#6。
イントロがBON JOVIのRun Awayみたいなコード進行の#7。瞬火と可憐な黒猫の歌唱がムード歌謡のような陰陽座ならではのテイストを醸し出しています。
と中盤戦は徐々に持ち直し、黒猫が作曲したメロディック・スピード・メタル・チューン#8でひとつの頂点を極めます。メタル・クイーン然としたサビの黒猫の熱唱と、斗羅(Dr)のツーバスなど典型的スピード・メタルの楽曲展開及びアレンジがカッコ良すぎる、本アルバム最初のハイライト。

#9~#11は源義経の悲劇を描いた組曲。
義経が兄・頼朝の為にとその天才的な才能を奮い、戦勝を重ねる姿を描いた勇壮な#9。徐々に義経の存在が疎ましくなり、彼を排除しようとする頼朝の策謀をお馴染み和風リフを軸にプログレッシブでダークなムードで表現したドラマティックな13分超の大作#10。自然な場面転換、必然性のある台詞パートなど、陰陽座のプログレッシブ・チューンの最高傑作と言っても良いでしょう。そして、義経と生き別れた静御前の哀切を黒猫が艶やかな歌声で紡ぐバラード#11。
#12は黒猫のチャーミングな歌唱が萌え萌えな、お約束のパーティ・ソング。

前年秋にシングルとして3ヶ月連続でリリースされた壮大なスケールの歴史絵巻#9,#10,#11が本作の最大のハイライトであることは間違いないが、先にシングルで全部揃えた者の立場からすると12曲中3曲が既に聴き馴染みの楽曲というのは少々ガッカリ。この組曲やTV主題歌の存在もあってアルバムとしてはどこかチグハグな印象(特に序盤が低調)。#4や#8のような傑作があるだけに惜しい。

Track List

1. 靂
2. 龍の雲を得る如し
3. 彷徨える
4. 甲賀忍法帖
5. 不知火
6. 鬼ころし
7. 月花
8. 蛟龍の巫女
9. 組曲「義経」 悪忌判官
10. 組曲「義経」 夢魔炎上
11. 組曲「義経」 来世邂逅
12. 我が屍を越えてゆけ

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VASHTI BUNYAN / Lookaftering

2005,UK

英国のフォーク・シンガー バシュティ・バニヤン35年ぶりの2nd。

一聴するとシンプルなアレンジによるバックに、バシュティ・ブニヤンのウィスパー・ヴォイスとアコギが乗るオーガニックなスタイルは不変。じわじわ浸透するストリングスとオーボエのメイン・メロディが美しい#1。ワイン・グラス(濡れたコップの淵を指でこすると音が出るあれ)とハルモニウムにグロッケンスピルのかわいい音色が乗る#2。リコーダーとピアノが優しい#4。ワイン・グラスやハープがアコギにマッチした翳りを持つ#5。メロトロンにコーラングレ(アルト・オーボエ)、ダルシマーで神秘的なムードを醸しだす#6。フェンダー・ローズにアコギとハープが絡む#7。リコーダーの素朴な音がストリングス・セクションに溶け込んだ#8。オーボエ、フレンチホルンがストリングスと相まって広がりある空間を演出する#10。などなど、聴きこむと実は様々な楽器が実に効果的に使用されていることに気づきます。これらの愛すべき楽器達が、過剰なエフェクトやギミック抜きの彼女の音楽が本来持つ暖かみを演出しているんですね。

Track List

1. Lately
2. Here Before
3. Wayward
4. Hidden
5. Against the Sky
6. Turning Backs
7. If I Were
8. Same But Different
9. Brother
10. Feet of Clay
11. Wayward Hum

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MAGENTA / Home

2006,UK

MAGENTAの2006年3rdアルバムHome。

自分のHOME=心の拠り所を求めてアメリカを旅する、英国女性の心象風景が描かれたコンセプト・アルバム。
場面転換を促す小曲によって軸となる4~7分の各曲が有機的に繋がり、物語が進行していく。前作の名盤「Seven」程レンジの広いドラマ性は無く、強弱の振幅が狭く絞り込まれている印象。しかし、その分静かに語られるストーリーがより心に染み渡る効果をもたらしている。
アレンジ面も派手なオーケストレーションや変拍子は控えめで、エレピやオルガンにアコギといった素材の良さが活かされている。クリスティーナ嬢の歌唱も又しかりで、切々と歌われるメロディに気品あるしっとりした歌声が絶妙なマッチングを見せている。

Track List

1. This Life
2. Hurt
3. Moving On
4. My Home Town (Far Away)
5. Brave New Land
6. The Journey
7. Towers of Hope
8. Demons
9. Morning Sunlight
10. Joe
11. A Dream
12. The Visionary
13. Journey’s End
14. The Travellers Lament
15. Home

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THEATRE OF TRAGEDY / Storm

2006,NORWAY

THEATRE OF TRAGEDYの2006年6th。

前作Assemblyでデジ・ロックな方向性を進めるバンドと音楽性の相違により脱退したリヴ・クリスティンに替わり、ネル・シグランド(Vo)が新たな歌姫の座に。エンジェリック度はややリヴ嬢に劣るものの水準以上の実力の持ち主で、歌唱は完璧。こんな声好きですね。曲調もデジ・ロックで鍛えたリズム面を強調しながら、メタル風味も復活。かつてのダークで耽美だがともすると一本調子だったゴシック・メタルから、新境地を切り開いた感がある。そう考えると最近2作の寄り道も無駄ではなかった。曲調、メロディのバリエーションも豊富。#1以外にも強力な曲が欲しいがそれは今後に期待するか。

Track List

1. Storm
2. Silence
3. Ashes and Dreams
4. Voices
5. Fade
6. Begin and End
7. Senseless
8. Exile
9. Disintegration
10. Debris

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GATHERING / Home

2006,NETHERLANDS

THE GATHERINGの2006年8thアルバムHome。

アネク・ヴァン・ガースバーゲン(Vo)在籍ラスト・アルバム。ゴシック・メタルからアンビエント方面へ徐々にサウンドを変化させてきた彼らの到達点。
思えばアネクの歌は時代を問わず最高だった。Mandylionに始まるゴシックの頃は女帝のような威厳と格調に満ちた歌いっぷりで。そしてこのHomeを含む近作では母性をも感じさせる慈愛に満ちた優しくなめらかなテイストも漂わせて。
表現力では当代No.1だと思います、個人的に。#3,#4,#7あたりを聴いてるとうっとりします。 全体のサウンドもゴシック期から持っていたクールな物悲しさをエレクトロニックな装飾を使用してシンプルに、それでいてより深く表現できており、アネクの今の歌唱とも相性抜群。なお、アネクは新バンドAGUA DE ANNIQUEを結成。

Track List

1. Shortest Day
2. In Between
3. Alone
4. Walking Hour
5. Fatigue
6. Noise Severe
7. Forgotten
8. Solace
9. Your Troubles Are Over
10. Box
11. Quiet One
12. Home
13. Forgotten (Reprise)

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DELAIN / Lucidity

2006,NETHERLANDS

元WITHIN TEMPTATIONのKeyマタイン・ウェスターホルトによるゴシック・メタル・プロジェクトDELAINの2006年作。マタインのシンセによるオーケストレーションが現WITHINとは又違うニュアンスでの壮麗なサウンドを醸成し、無名の新人シャルロット嬢(19才!)によるクセの無い美声がその上をたゆたう。ただ、若干淡白な印象も。ゲストのシャロン嬢が4で現在のWITHINでのそれよりも繊細な歌声を聴かせる。表現力はさすがに彼女の方がはるかに上だ。さらにLEAVE’S EYESのリヴ・クリスティーンが#5,#10に参加。#5の2番を歌っているのはリヴ嬢。独特のエンジェリック・ヴォイスはさすがにムードあります。#10でも浮遊感たっぷりでウットリします。と思ったらマルコ・ヒエタラのパワフルな歌唱で突如現実に引き戻されたりして・・・

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WHITE WILLOW / Signal To Noise

2006,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・フォーク・バンドWHITE WILLOWの5thアルバムSignal To Noise。

メロトロンやフルートが織り成すダークなバッキングに、中低音域を中心にした情感たっぷりの女性ボーカルが乗る暗鬱ゴシック・チューン#1。サビでは激しさを増すバッキングに合わせてハリのあるトーンに声を変化させ、抑えた感情を一気に開放するかのレンジの広さも披露。
暗い叙情を漂わせた変拍子リフレインから優しいムードに一転、静かなパートでのウィスパー風歌唱を中心にしたセルフ・ハーモニーが美しい#2。終盤ではエンジェリック・ヴォイスによる美麗スキャットも登場。
ギターを中心に屈折したメロディで綴るダークで妖しいインストゥルメンタル#3。
爽やかと言っても良いくらい軽やかなサウンドにキュートな歌唱が乗るキャッチーなナンバー#4。くすんだオルガンやメロトロンが巧みに挿入されており、単なるポップに止まらない不思議な心地良さを演出しています。
中間部にヴィンテージ風シンセのソロを中心にしたプログレッシブなインスト・パートを内包した、ピアノのメランコリックなテーマ・メロディが印象的な9分超のドラマティックな叙情ナンバー。ここぞのクライマックスではメロトロンを惜しげもなく大放出。
アコギとエレキのダブルトラックによるアルペジオが透明感たっぷりな、ゆったりしたテンポのフォーク・ナンバー#6。メロトロンの清涼感が良い感じです。
悲哀に満ちたギターのメロディをメロトロン・ストリングスが支えるメランコリックなインストゥルメンタル#7。転調しまくるバックに合わせたテクニカルなシンセ・ソロと表情を変えるメロトロンのトーンも聴き所です。
エキゾチックなメロディや叙情メロディを上手く融合させた、コンテンポラリーな感触を持つ#8。
ドローン音をベースに枯れたエレキ・ギターがモーダルなメロディを爪弾くインスト小品#9。

前作ではゴシック・メタル風なテイストも加味しながらより普遍的なサウンドに変化してきたWHITE WILLOW。今回も看板は女性ボーカルですが、Sylvia ErichsenからTrude Eidtangにメンバー・チェンジ。彼女の時にコケティッシュな幅広い表現力が、より洗練されたバンド・サウンドと見事にマッチしています。

Track List

1. Night Surf
2. Splinters
3. Ghosts
4. Joyride
5. The Lingering
6. The Dark Road
7. Chrome Dawn
8. Dusk City
9. Ararat

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RENAISSANCE / British Tour ’76

2006,UK

2006年リリースされたRENAISSANCEの1976年1月24日ノッティンガム大学でのライブBritish Tour ’76。

オーケストラ無しでバンドのみの演奏ということでジョン・タウト(Key)が奮闘。また、多彩な音色で#5ではソロも聴かせるジョン・キャンプの貢献度の高さも浮き彫りに。曲間のMCも収録されており、ほぼ当日の流れそのままだろう。定番ラインナップの曲目で臨場感抜群。ブックレットが貴重な写真多くてうれしい。

Track List

1. Can You Understand
2. Running Hard
3. Ocean Gypsy
4. Prologue
5. Song Of Scheherazade
6. Ashes Are Burning

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PAATOS / Silence of Another Kind

2006,SWEDEN

女性ボーカルをフィーチャーしたスウェーデンのメランコリックなプログレッシブ・ロック・バンドPAATOSの3rdアルバムSilence of Another Kind。

Huxflux Nettermalm(Dr)のロックなドラミングやヘヴィなグルーヴ、サビの変拍子がカッコいい#1。フェイザーをかけたエレピやフィードバック音を挿入するセンスが秀逸です。
ジャジーなサビを持つ暗鬱バラード#2ではPetronella Nettermalm(Vo)がしっとりと歌い上げます。
トレモロ・ギターに導かれ、暗鬱な中にも仄かな明かり射す#3は、サビメロが醸し出す炭火のような暖かさを是非感じて欲しいですね。メロトロンも切り込んできて何度聴いても感動でジーンとします。
吐息すらエフェクティブに使用するセンスと徐々に切り込むメロトロンが素敵で、静と動の対比が見事なコントラストを見せるクールな佳曲#4。
優しいボーカルに絡みつくコーラスが癒し効果抜群の序盤から一転、サビでは激情を迸らせる最高にロックなヒーリング・ミュージックの#5。打ち込みのSE風小曲#6。
一瞬カーディガンズ?と思っちゃうようなオシャレでPOPな曲調ながら、サビで「奇跡なんて起こらないわ」と絶望を歌う#7。ジャズのテクニックでロックなフレーズを爆発させるドラムが最高にカッコ良いです。
実質のラスト曲#8ではゲストのヴァイオリンやバリトン・サックスがメロトロンと共に盛り上がる暗黒バラード。胸が締め付けられて苦しい程に感動します。
アルバムを締めくくるSEの#9がナイスな余韻を与えてくれます。

暗鬱なのに何故か暖かさを感じさせ、ジャズのクールさとロックの熱さが共存。テクノロジーを活用しつつもオーガニックな優しさを併せ持つ、より完成度を高めたPAATOS流プログレッシブ・ワールドが一瞬のムダも無く展開された最高のアルバムです。

Track List

1.Shame
2.Your Misery
3.Falling
4.Still Standing
5.Is That All?
6.Procession Of Fools
7.There Will Be No Miracles
8.Not A Sound
9.Silence Of Another Kind

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