ポップ のレビュー

ASIA / Omega

2010,UK

再結成オリジナルASIAの2010年第2弾Omega。

躍動感に溢れたハード・ポップ#1。
ハウ/ウェットン作のムーディな#2。
冒頭のシズル感あるピアノのアルペジオが印象的な#3。溌剌としたヴァースとメランコリックなサビの対比が見事です。
パッド系シンセやアコギの柔らかなタッチが心地良い、サビのクラシカルなコード進行に気品が漂うバラード#4。
流れるようなピアノのアルペジオがリードするポジティブなムードの#5。間奏での7拍子リフのフックが良いアクセントになってます。
シンセ・ストリングスやティンパニによる大仰なパートをサラっと溶け込ませた余裕のセンスに、メンバーの年輪を感じさせるバラード#6。
テクノ風リフにスティーヴ・ハウ得意のスライド・ギターが絡む#7。
ジョン・ウェットンの歌唱をフィーチャーしたセンチメンタルなバラード#8。
どこか郷愁を感じさせるメロディがELOっぽい、軽快なシャッフル・ナンバー#9。
エキゾチックなフレーヴァーをまぶしたフォークロア風バラード#10。
爽快なブラス・ストリングスのシンセ・リフを持つストレートなASIA王道ナンバー#11。
メロトロン風なクワイヤをうっすらと潜ませたドラマティックなバラード#12。

スティーヴ・ハウ(1947年)、ジョン・ウェットン(1949年)、カール・パーマー(1950年)、ジェフ・ダウンズ(1952年)、と平均年齢60歳超えとは思えない若々しいサウンドの中に、豊富な引き出しからの老獪なアレンジを忍ばせた各曲のキャラ立ちも見事。彼らにしか成し得ない極上のハード・ポップが全編を覆っています。
その上、#3におけるカール・パーマーのドラム・ソロ、随所で切れ味鋭いオブリガードを聴かせるスティーヴ・ハウなど、個人技も楽しめるんだから売れるのも納得です。

Track List

1. Finger On The Trigger
2. Through My Veins
3. Holy War
4. Ever Yours
5. Listen, Children
6. End Of The World
7. Light The Way
8. Emily
9. I'm Still The Same
10. There Was A Time
11. I Believe
12. Don't Wanna Lose You Now

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KULA SHAKER / Pilgrims Progress

2010,UK

復活KULA SHAKERの2010年通算4thアルバムPilgrims Progress。

アロンザ・ベヴァン(B)がベルギーの森の中に所有する納屋をスタジオに改装し、そこでレコーディングされました。

チェロを導入したメランコリックな#1。
マンドリンとリコーダーの素朴でかわいい音色が印象的な、どこか懐かしい感じのする#2。ハーモニカのソロもいい感じです。
従来よりちょっとレイドバックしてますが、典型的なKULA SHAKER風サイケでグルーヴィな#3。
牧歌的フォークからサイケ・ロックに展開する#4。
シタールとタブラをフィーチュアしたエキゾチックなフォーク#5。
クリスピアン・ミルズ(G/Vo)の生々しい歌唱が冴えるフォーク#6,#7。
テープ逆回転SEから始まるインド風味のサイケ・ポップ#8。
リバーヴの感じが60年代ビート・ポップっぽい#9。
冒頭のハープあるいはオートハープのような不思議な音色が印象的なインストゥルメンタル#10。エレキ・ギターが入ると西部劇のサントラみたいな雰囲気になって、これもちょっと懐かしい感じ。
マンドリンの音色が神秘的に響くミステリアスなナンバー#11。
モジュレーションを掛けたギターの浮遊感と、メロトロンか足踏みオルガンのようなサイケなトーンが耳に残るフォーク#12。終盤はチャーチ・オルガンが荘厳に物悲しいフレーズを提示。このフレーズがリフレインし、ドラマティックにアルバムの幕を引きます。

グルーヴィに弾けるロック・チューンやお馴染みインド風味がほとんど無くなり、欧風フォークロアなアコースティック路線の楽曲が多く収録されているのは、喧騒から遮断されたレコーディング環境にもあるのかもしれません。
今まで派手な楽曲の陰に隠れがちながらも確かに存在した、KULA SHAKERが持つアナザー・サイドに焦点を当てた作風で、フォーク&トラッドなテイストの3rdアルバムをウェールズのコテージで作曲したというLED ZEPPELINのエピソードを想起させます。クリスピアンによると次回作は思いっきりインド風味にする(こればっか訊かれる事にイヤになっての逆に皮肉かもしれませんが・・・)とのことですが、本アルバムもなかなか味があって良いですよ。

Track List

1. Peter Pan RIP
2. Ophelia
3. Modern Blues
4. Only Love
5. All Dressed Up
6. Cavalry
7. Ruby
8. Figure It Out
9. Barbara Ella
10. When A Brave Meets A Maid
11. To Wait Till I Come
12. Winters Call

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IT BITES / Map of the Past

2012,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドIT BITES再結成第2弾にして通算5thアルバムMap of the Pastは、バンドのキャリア初のコンセプト・アルバム。タイトル曲自体は昨年からライブで披露していたようなので、当時から構想はあったのかもしれません。

ラジオのチューニング・ノイズ~足踏オルガン風の素朴な伴奏から壮大なオーケストレーションに移行する序曲#1。
静・動の起伏、テンポの変化、鮮烈なシンセ・ソロなど、5分弱のコンパクトな中においしい要素が詰まった#2。
トリッキーなスネアの裏打ちが効いたポップかつプレグレッシブな#3。コーラスやカラフルなシンセが織り成す胸キュンなサビのアレンジがIT BITESらしい。
ジェントルなバラード#4。壮大な中間部での移動遊園地風(?)ペーソスのあるキラキラ・シンセのオブリガードがまたもやIT BITESというかジョン・ベック(Key)の真骨頂。
洒落ていながらキャッチーでアップ・テンポな#5。前作ではあえて前任者フランシス・ダナリーに似せていたかのような部分もあったジョン・ミッチェル(G/Vo)も、歌唱やスリリングなギター・ソロで個性を十分に打ち出しています。
ポルタメントがたっぷりかかった転調しまくりなシンセ・ソロが聴き所なミディアム・テンポの#6。
シタールの味付けが印象に残るポップ・チューン#7。オルガン・ソロがGENESIS風のコード進行。
シンフォニックなオーケストレーションを配した#8。屈折したムードがこれまたガブリエル期GENESIS風。
ブ厚いシンセがリードするイントロからボーカルにエフェクトを掛けたミステリアスな序盤、快活な7拍子へのリズム・チェンジ、ジョン・ベックお得意の浮遊シンセを交えたサビ前から壮大なサビへのドラマティックな移行、等々、場面転換の妙が光る#9。
アルバムを静かに締めくくるバラード#10と#11。

相変わらずの音色センスとさりげないが存在感のあるシンセを操るジョン・ベックを中心にして、ポップかつキャッチーながら、英国的屈折と翳りを適度に配合したIT BITESらしいサウンドは健在。特に#7~#9あたりの英国度は高く、アルバム最大のハイライトとなっています。

Track List

1. Man in the Photograph
2. Wallflower
3. Map of the Past
4. Clocks
5. Flag
6. The Big Machine
7. Cartoon Graveyard
8. Send No Flowers
9. Meadow and the Stream
10. The Last Escape
11. Exit Song

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FLYING COLORS / Flying Colors

2012,USA

スティーヴ・モーズ(G)、ケーシー・マクファーソン(Vo)、ニール・モーズ(Key)、デイヴ・ラルー(B)、マイク・ポートノイ(Dr)から成る5人組ロック・バンドFLYING COLORSの1stアルバムFlying Colors。

メンツや#1序盤の両モーズによるジャム風掛け合いで、テクニカルかつシンフォニックなプログレッシブ・ロックを期待してたんですが、一聴すると音は割と普通のメロディアスなアメリカン・ロックがメイン。
爽やかなサビがキャッチーな#1、#4、#5など王道アメリカン・ロックを軸に、ドラマティックな起伏、こもったトーンのギター・ソロやコーラスがQUEEN風な#6、ストリングス・アレンジが美しいバラード#7などでのバリエーションをつけたアルバム構成もオーソドックス。
しかしながら、パーカッシブなギター&ベースに華麗なタムのロールやツーバスなど余裕のプレイが楽しめる#5のインスト・パート、怒涛のテクニカル・リフが登場するプログレッシブ&ヘヴィな#10、12分超のエピック・チューン#11の中間部での2分半に及ぶインスト・パートではインスト陣の出自を垣間見せる場面も。特にスティーヴ・モーズとマイク・ポートノイの記名性はさすが。ニール・モーズはシンセ、アコピ、エレピ、オルガンと多彩なトーンを聴かせる#11以外はTRANSATLANTICでお腹いっぱいなのか少々おとなしい印象。
一方、全体的な没個性に加え、ヘヴィ・ロックでのパワー不足がミスマッチで気持ち悪い#2やシアトリカルな表現力が求められるべき#6でのシンガーの力量不足は明白。
このプロジェクトが今後継続するとしたら、シンガーをどうするかがポイントのような気がします。

Track List

1. Blue Ocean
2. Shoulda Coulda Woulda
3. Kayla
4. The Storm
5. Forever in a Daze
6. Love Is What I'm Waiting For
7. Everything Changes
8. Better Than Walking Away
9. All Falls Down
10. Fool in My Heart
11. Infinite Fire

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MOON SAFARI / The Gettysburg Address

2012,SWEDEN

スウェーデンのポップなプログレッシブ・ロックバンド MOON SAFARIのライブ盤 The Gettysburg Address。
2011年5月20日Rosfestでの模様を収録したCD2枚組。
ブレイクした3rdアルバムを中心に1st,2ndからも選曲され、現時点でのベスト・アルバム的なラインナップ。

MOON SAFARIについてはオフィシャルサイトも(2012年2月現在は)適当な感じでなかなか情報が入ってこないため、スタジオ・プロジェクトのような印象を持っていましたが、そこそこライブ活動も行っているようで、収録されている演奏もコーラス・ワークから伸びやかなボーカル、複雑なアンサンブルも完璧!
特にスタジオ盤ではシンセとユニゾンでメインのメロディを奏でる場面の多いギターが、ミックスの関係で良く聴こえ、想像以上に随所でキーボード的なパッセージを弾いている事が判明。サーカスのようなテクニックを使う訳では無いですが、相当大変ですよこれは。

また、改めて感じたのが、MOON SAFARIが使用している楽器音の種類が意外な程少ないと言うこと。
素晴らしいメロディとアレンジに耳を奪われてカラフルな印象を持ってましたが、エレキ、アコギ、ピアノ、アナログ風単音シンセ、メロトロン、オルガン、ベース、ドラム、とシンプルなものばかり。まぁ勿論、メロトロンやシンセ系はライブではMIDIのサンプル音源使用でしょうが。
これでここまでバラエティに富んだ楽曲を構築できるとは驚きです。

まさにライブを見据えたかのような楽器構成なので本作でも再現性はバッチリ。個人的に21世紀のNo.1キャッチー&プログレ・チューンと感じている#7で聴かせる一糸乱れぬ完璧なアンサンブルには惚れ惚れしますね。且つ、キャッチーにまとめるセンス・・・・。
素晴らしすぎます。

今後も今まで同様の楽器構成で行くのか、それとも新機軸を打ち出してくるのか?
4thアルバムが待ち遠しいです。

Track List

DISC.1
1. Moonwalk
2. Lovers End Pt.1
3. A Kid Called Panic
4.Yasgurs Farm
5. The Worlds Best Dreamers
6. Dance Across The Ocean

DISC.2
7. Heartland
8. New York City Summergirl
9. Other Half Of The Sky
10. Doorway

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MOON SAFARI / Lover’s End Pt.III Skellefteå Serenade

2012,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドMOON SAFARIのEP Lover’s End Pt.III Skellefteå Serenade。
アルバムLOVER’S END収録のパート1、パート2の続編にして完結編。

パート1、パート2の爽やかで甘酸っぱいムードはそのままに、珍しく少々ダークなパートや思いっきりエモーショナルなギターを付加。
お馴染みのテーマ・メロディの変奏でニヤリとさせ、壮大なスケール感、より巧みになった場面転換で駆け抜ける24分。
四季の移ろいを想起させる起伏に満ちた瑞々しい表現力は益々磨きがかかり、一人ひとりのキャラが個性的な多層コーラスも絶好調。
7分中盤のダークなムードからメジャーに移行する開放感。雫のようなピアノからの爽やかで疾走感あるボーカル・パート。
11分中盤からはお待ちかねアナログ・シンセのリフがリードするプログレ・パート。畳み掛ける展開の中、構築度の高い天駆けるギター・ソロ、そしてシンセのリフにギターがユニゾンで加わる部分のスリル。
19分中盤からはいよいよ名残惜しさを増幅する壮大なラス前の大盛り上がり。
ディレイが掛かったギター・ソロが泣きまくり。特に21分06秒からのスライドでポジションをハイに移動する部分が絶品。まるで涙を拭うかのようなタメが、胸を締め付けるセンチメンタルなメロディと相まって最高の感動をもたらします。

もはや完璧。
もしiPhoneに3曲しか入れてはいけないという法律ができたとしても確実に入れます。名曲。

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ASIA / XXX

2012,UK

再結成オリジナルASIAの3作目、XXX。

シンセがテーマメロディを提示する展開が80年代 -というかBUGGLES- を彷彿させる21世紀の今となってはダサさギリギリの躍動感溢れるオープニング・チューン#1。ジェフリー・ダウンズ(Key)によるハイブリット・シンセ風なキラキラ・トーンも懐かしさを通り越してむしろ新鮮。スティーヴ・ハウ(G)による2コーラス目のオブリガードやギター・ソロも個性的かつメロディアスで素晴らしいです。
ゆったりと落ち着いたリズムの#2。透明感あるボーカル・メロディ、シンフォニックかつクラシカルなシンセのパートが初期ASIAを想起させます。
ジョン・ウェットン(B/Vo)の男っぽいボーカルがシブい、シンプルなリフをベースにしたロックン・ロール#3。
これもどこかBUGGLESっぽい#4。サビはsus4を使い捲くりの得意なパターン。
イントロのひしゃげたようなエレピのトーンが印象的な#5。古今東西使い回された定番パターンのリフレインから楽曲を仕上げてしまうあたりはヴェテランの貫禄。
シンセ・ストリングスを纏った瑞々しいピアノで幕を開けるタイトな8ビートの#6。間奏はスティーヴ・ハウのアレンジされたソロ。分厚いシンセのアレンジが耳を惹きます。
シンプルなリズムに乗ったメランコリックなヴァースからキャッチーなサビに展開する#7。2コーラス目に登場するサイケなトーンのオルガンがいい味を出しています。
こちらもシンプルな80年代風ポップの#8。サビとコーラスが超キャッチー。
ピアノとボーカルのデュオで進行する感動のバラード#9。抑えたトーンのソロ、スライドのソロといったギター、シンセのオーケストレーションでスケール感たっぷりにアルバムを締めくくります。

ASIAもデビュー30周年。2008年再結成以降の順調な活動振りや、今作も手がけたロジャー・ディーンの変わらぬフレッシュでファンタジックなカヴァーの印象もあってか、30年の重みというよりも未だ現役感バリバリで溌剌としたイメージのASIA。

音の方も瑞々しさを湛えた躍動感あるASIAサウンドが健在。とにかくどの曲もサビが親しみやすく、すぐに馴染めてしまう。そこにはもはや意外性など無いのは勿論だが、普通に良質なメロディを産み出し続けているところが素晴らしいのだ。

懐メロ集金ツアーだけで創作能力を失ったレジェンド・バンド達に、見倣って欲しい。

Track List

1. Tomorrow The World
2. Bury Me In Willow 3. No Religion
4. Faithful
5. I Know How You Feel
6. Face On The Bridge
7. Al Gatto Nero
8. Judas
9. Ghost Of A Chance

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MOON SAFARI / Himlabacken vol.1

2013,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロックバンド MOON SAFARIの4thアルバムHimlabacken vol.1。

トレードマークのコーラス・ワークを活かしたコンパクトながら壮大でファンタジックな序曲#1。
MOON SAFARIがおそらく最も得意とするタイプの、変拍子入り爽快でキャッチーな実質オープニング・チューン#2。構築度の高いテクニカルなギター・ソロがカッコ良い。
QUEENのようなオペラティックなコーラス、何故かキダ・タローのプロポーズ大作戦のテーマを想起してしまったヒネリのあるパート、ダークなパートでのシンセやピアノの合いの手オブリガード、そして序盤は静かな4拍子で提示されたサビをドライブ感と高揚感溢れるアップテンポ3連のパートでリプライズする#3。フック満載で展開していく各パートや伏線からの解決がパーフェクト。エンディングをあっさり終わらせる潔さも何か清々しい感じ。
ヘヴィなリフと曇天のようなメロトロンがダークなムードを醸す序盤と対比するかのように歌唱パートはバラードのように甘い#4。スライド・ギターとELOのようなコーラスが感傷的なアクセントになっている。
静かな序盤からサビで一気にシンフォニックな広がりを見せるバラード#5。
ギター1本だけで歌う#6。幼い息子に対する父親の優しい目線が感じられるほのぼのとした小曲。
仄かに北欧フォークロアをまぶしたモチーフをキラキラしたピアノ、ギター、シンセなどで次々に提示する長めのイントロが既に名曲の#7。クラシカルなコード進行のサビやプログレ然とした器楽パートなどをコンパクトに内包させるアレンジも巧み。
じわじわと盛り上げるドラマティックな#8。3分半からはギターとシンセの絡むインスト・パートと爽やかに疾走する歌唱パートを配置。終盤のマイナー調パートが美しくも透明感があり、余韻を持たせてアルバムを締めくくります。

すっきりキャッチーなプログレを確立した前作やEPの流れを継続してファンの期待に応えつつ、往年のプログレを彷彿させる展開しまくり(ただしパーツはキャッチー)の#3で驚きをも提供。MOON SAFARIの代表曲となるであろう#3はアナログの時代ならA面ラストとかに配置するべき勝負曲のはずだが、あえてアルバム序盤のこのポジションに置くということは、他の曲にも自信があるからだろう。
まだまだアイディアには枯渇しないようだ。vol.1ということで続編にも期待大です。

Track List

1. Kids
2. Too Young To Say Goodbye
3. Mega Moon
4. Barfly
5. Red White Blues
6. My Little Man
7. Diamonds
8. Sugar Band

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FLYING COLORS / Second Nature

2014,USA

ニール・モーズ(Key)、スティーヴ・モーズ(G)、マイク・ポートノイ(Dr)というビッグ・スター3人を含む5人組アメリカン・バンド FLYING COLORSの2ndアルバムSecond Nature。

SPOCK’S BEARD風のフックと起伏ある展開を持つ12分超のプログレッシブ・チューン#1。テーマ・メロディにギターが絡む部分は、ギターの音色とフレージングにもう少し粘りがあればTRANSATLANTICのようだ。エンディングではプログレ然としたアンサンブルを展開。
キャッチーなフックを持つノリの良いロック・チューン#2。
左右チャンネルのギターによる掛け合いバッキング・リフがリードする#3。
ケイシー・マクファーソン(Vo)のファルセットがアクセントとなる美しいメロディの王道バラード#4。
本編4拍子に対する3拍子のリズムに乗せたユニークなメロディによるRUSH風のイントロから始まり、超キャッチーなサビへ展開する北米プログレッシブ・ハードの流れを汲む#5。
爽やかなポップ・チューン#6。
ケルトのダンス・ミュージックのようなリフレインが耳に残る新機軸プログレ・ポップ#7。終盤の5拍子が印象的なフックとなっている。
PINK FLOYDのDark Side of the MoonやDREAM THEATERのThe Spirit Carries Onを彷彿させる、The McCrary Sistersによるゴスペル風女性コーラスをフィーチュアした感動のバラード#8。
ミステリアスなI、落ち着いたムードのII、大陸的な雄大さを感じさせるIIIなど3パートから成る11分超の組曲#9。

プログレのテイストを滲ませたアメリカン・ロックに軸足を置いたデビュー・アルバムより、若干プログレかつシンフォニックな要素を増量。
しかし音像は湿った欧州風とは趣を異とする乾いたものであり、メロディに仄かにカントリーのテイストを感じさせる部分があったりするところはやはり北米ならではのもの。
メンツから期待されるプログレ感やテクニカル感を前面に出さず、ボーカルもこれといった特長が無いタイプなのでどうしても地味に聴こえるが、ベテランらしい堅実なアンサンブルで楽しくロックしている様子が伺えるので、つまりはそういう方向性なのだろう。
凡庸な楽曲もあるが、#1、#5、#8といった突出した曲を作れるあたりはさすがプロ中のプロ。
キャッチーでクールなジャケット・デザインは、RUSHや最近のDREAM THEATERでお馴染みのヒュー・サイムによるもの。

Track List

1. Open Up Your Eyes
2. Mask Machine
3. Bombs Away
4. The Fury of My Love
5. A Place in Your World
6. Lost Without You
7. One Love Forever
8. Peaceful Harbor
9. Cosmic Symphony
I. Still Life of the World
II. Searching for the Air
III. Pound for Pound

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ASIA / Gravitas

2014,UK

再結成オリジナルASIA 4枚目のアルバムGravitas。
脱退したスティーヴ・ハウに代わり、若きサム・クールソン(G)が加入。

教会音楽などのルーツを感じさせるメロディアスでキャッチーな歌メロと堂々ったる歌いっぷりにジョン・ウェットン(B/Vo)、冒頭にシンセによるオーケストレーションを配した#2やシンセのバッキング・フレーズが80年代ポップ風でBUGGLESを彷彿させる#7等にジェフ・ダウンズ(Key)、と双頭のカラーは顕著ながらスティーヴ・ハウによるクセのある一捻りが不在。その為、イントロやインスト・パートでのアレンジ面では割とあっさりとして工夫に欠ける分、ドラマティックさやシンフォニック度が減少。強力なサビを延々と繰り返す場面などでは退屈に感じることも。その独特のトーンと繰り出すフレーズ自体がフックとなっていたスティーヴ・ハウの存在感の大きさを、居なくなったことで逆に露呈した形。
女性ボーカルのゲスト起用などの自由度こそ無いが、全体的なサウンドはASIAというよりはWETTON DOWNESに近い印象だ。

スティーヴ・ハウ不在を埋めつつ自身のタッチで新風を吹き込んで欲しいサム・クールソンだが、単純なルート音8分刻みのバッキングや端正なアコギでステディな部分を見せる反面、彼らしさが感じられるオブリガードが聴けないのが残念。
ギター・ソロでは、少々浮いている感もあるもののハイゲイン・アンプを使用したファットなギター・サウンドや徐々にスピード・アップするテクニカルな巡回フレーズの速弾きに個性の片りんを見せ、現代的かつ流麗なフレージングで巧く楽曲に溶け込んでいる。
次回作があれば、今回は遠慮気味だったアレンジ面やバッキング面でのサム・クールソンの貢献に期待したい。

Track List

1. Valkyrie
2. Gravitas
3. The Closer I Get To You
4. Nyctophobia
5. Russian Dolls
6. Heaven Help Me Now
7. I Would Die For You
8. Joe Di Maggio's Glove
9. Till We Meet Again

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LONELY ROBOT / Please Come Home

2015,UK

IT BITESFROSTに在席するジョン・ミッチェル(G/Vo)の新プロジェクトLONELY ROBOTの1stアルバムPlease Come Home。
FROSTでの同僚クレイグ・ブランデル(Dr)をはじめ、ゲストとしてFROSTのジェム・ゴドフリー(Key)、スティーヴン・ウィルソンのバンドなどで活躍するニック・ベッグス(B)、MARILLIONのスティーヴ・ホガース(Vo)、GO WESTのピーター・コックス(Vo)、元MOSTLY AUTUMNのヘザー・フィンレイ(Vo)、TOUCHSTONEのキム・セヴィア(Vo)らが参加。

スペイシーで壮大なインストゥルメンタル#1。
ギターのヘヴィな単音リフがリード。#1のムードを引き継いだスペイシーな静寂パートとヘヴィなサビのギャップで聴かせる#2。
ピーター・コックスが歌うIT BITES風ポップ・ナンバー#3。
スティーヴ・ホガースがピアノとバッキング・ボーカルを担当。ジョン・ミッチェルとヘザー・フィンレイのデュエットによる美しいバラード#4。
ジェム・ゴドフリーが参加。クリーンなアルペジオに象徴される歌唱パートや中間部のインスト・パート冒頭の清涼感とFROSTを彷彿させる怒涛のインスト・パートが同居した#5。
神秘的な広がりを見せる思索系チューン#6。
可憐な歌声を聴かせるキム・セヴィアをフィーチュア。スケールの大きなインスト・パートを内包した壮大なバラード#7。
サビでのちょっとした変拍子がフックとなった、IT BITESのGhostを彷彿させるキャッチーなアップテンポ・ナンバー#8。
緊張感あるヴァースと叙情的なサビを持つ#9。
スティーヴ・ホガースの奏でる静寂のピアノをバックに、寂寥感や哀愁など様々な表情を見せるジョン・ミッチェルの歌唱をフィーチュアしたバラード#10。渋いトーンとフレージングのギター・ソロはニック・カーショウ。
アンビエントを効かせた浮遊するピアノをバックに語りかけるように歌う静かな小品#11。

ジョン・ミッチェルのギター/歌唱の安定した実力はもとより、ゲスト達の個性を活かしながらも自身のプロジェクトとしての一貫したカラーを保つソングライティング/アレンジやプロデュース能力の高さを示した好盤。
元々はジョン・ベックがフィッシュのツアーに参加するため、IT BITESの活動に休止期間ができたのがプロジェクト開始のきっかけらしいが、IT BITESの次回作も期待できそうだ。

Track List

1. Airlock
2. God Vs. Man
3. The Boy In The Radio
4. Why Do We Stay?
5. Lonely Robot
6. A Godless Sea
7. Oubliette
8. Construct/Obstruct
9. Are We Copies?
10. Humans Being
11. The Red Balloon

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KULA SHAKER / K2.0

2016,UK

英国のサイケでポップなラーガ・ロック・バンドKULA SHAKERの5thアルバムK2.0。

タイトルは1stアルバムのKから20周年であることと、その進化形としてのバージョン2.0を意味するものだろうか。

シタールの響きがムードを盛り上げるKULA SHAKERのパブリック・イメージを体現するラーガ・ロック#1。
サビでの豪快なギターとランニング・ベースがカッコ良いポップ・チューン#2。
意表を突いたフォークロア風ダンス・チューン#3。
ベース・ラインがリードするダンサブルな曲調にペーソスを織り込んだ#4。
メランコリックなフォークから骨太なギター・ロックに移行する#5。
シタールのソロをフィーチュアした素朴なカントリー・フォーク#6。
シタールと妖しげな女性コーラスが初期のサウンドを彷彿させるクールなラーガ・ロック#7。
印象的な口笛が西部劇風なテイストを漂わせた#8。
メランコリックなインド風フォーク#9。
リフとファンキーなカッティングによるクールネスとサビでのキャッチーなパッションが対比する#10。
マントラの怪しい響きが耳から離れないカッコ良いロック・チューン#11。

全体的には前作Pilgrims Progressのフォークロア路線を色濃く継承しつつ、初期の躍動感も復活。最大の持ち味であるインド及びサイケなテイストを適度にまぶしてKULA SHAKERにしかできない世界が表現されている。
ただし、従来のようなオルガンやメロトロン等のキーボード類は大幅に減少しカラフル度は低下。アコギやマンドリンなどのアコースティック楽器のフィーチャー度をアップさせた渋いサウンドに、楽曲に応じてクリスピアン・ミルズ(G/Vo)が多彩な歌唱を聴かせバラエティを加える大人な演出を施している。
フォーキーなテイストが初期のインド風味のカッコ良いロック・サウンドと融合、年輪を重ねたからこそ成し得た現在のKULA SHAKERサウンドこそがKULA SHAKERのバージョン2.0ということなのだろう。

Track List

1. Infinite Sun
2. Holy Flame
3. Death of Democracy
4. Love B (with U)
5. Here come my Demons
6. 33 Crows
7. Oh Mary
8. High Noon
9. Hari Bol (the sweetest sweet)
10. Get Right Get Ready
11.Mountain Lifter

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KARMAKANIC / Dot

2016,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドKARMAKANICの5thアルバム Dot。
宇宙において地球は単なる点=ドットでしかない、というのがアルバム・タイトルの意味らしい。

イントロ#1に続き、様々な起伏と展開を盛り込んだ23分超えの大作#2。メロウな歌唱パートを軸に、陰陽硬軟の転換にヨナス・レインゴールド(B)の子供達と思しきイノセントなコーラスやラレ・ラーション(Key)のハイセンスかつテクニカルなソロなども織り交ぜ、各場面をじっくり丁寧に聴かせる半面、長尺曲にありがちな荘厳さや大仰さは皆無でややカタルシスには欠けるのは大団円をPart.2の#6に譲ったからか。
ニルス・エリクソン(Key/Vo)の素朴な歌唱がポップな曲調にマッチした#3。端正なシンセ・ストリングスがキャッチーなフックとなっている北欧の木漏れ日のように爽やかでキャッチーな歌唱パートに対し、インスト・パートはダークな側面も見せながら次々に展開し手練れのソリスト達が円熟のプレイを聴かせる。
親しみやすいメロディでコンパクトに仕上がった、透明感あるコーラスが印象的なポップ・チューン#4。
スケールの大きなバラード#5。
Part.1を引き継ぎドラマティックな決着を付けつつ、アルバム全体に対しても心地よい余韻を残す#6。

アルバム通して明るくソフトなムードの中、産業ロック風な小品と2パートに分けた合計30分近い大作が違和感無く同居。メロディアスでポップな持ち味にベテランらしい渋味を加えたKARMAKANICならではのさじ加減が見事。隙の無い精緻なアレンジで抜群のチーム・ワークを見せる一方で、ヨラン・エドマン(Vo)の伸びやかな歌唱やヨナス・レインゴールドの歌心溢れるフレットレス・ベース、ラレ・ラーションのテクニカルな指捌きなど個人技もトップ・クラス。#2,#6では病気から復帰したアンディ・ティリソン(Key)をハモンドの客演で迎えるなど、プログレ界隈のフレンドシップ構築にも余念が無い。バンドとして着実に成長を見せる高品質作品。
アルバム・カヴァー・アートはヒュー・サイム。

Track List

1. Dot
2. God The Universe And Everything Else No One Really Cares About Part. 1
3. Higher Ground
4. Steer By The Stars
5. Travelling Minds
6. God The Universe And Everything Else No One Really Cares About Part. 2

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KINO / Radio Voltaire

2018,UK

フランシス・ダナリーに代えてジョン・ミッチェル(G/Vo)をフロントに据えた再結成IT BITESのプロトタイプとなった2004年結成プロジェクトKINOの2ndアルバムRadio Voltaire。

内省的なムードがジョン・ミッチェル個人プロジェクトLONELY ROBOTに近いメロウな#1。ダイナミックかつテクニカルなドラムを聴かせるのはFROST等でのジョン・ミッチェルのバンド・メイトであるクレイグ・ブランデル(Dr)。
ダークだがどこかユーモラスなギター・リフとピッチ・ベンドやポルタメントを駆使したジョン・ベック(Key)らしいカラフルなシンセが印象的な#2。
ジョン・ミッチェルの切々とした歌唱をフィーチュアした美バラード#3。
アンニュイなサビのコーラスに英国的ペーソスを含むキャッチーなバンド・チューン#4。
シンセのシーケンスがリードするモダン・ポップ・チューン#5。
爽やかで繊細なアコギ・バラード#6。
古き良きテイストの歌唱パートと対比するシンフォニックな中間インスト部を持つ#7。
ピアノとサウンドスケープをバックに配したバラード小品#8。
5拍子に乗せた奇妙なメロディからカッコ良い怒涛のサビに移行するプログレ・ポップ#9。
深みのあるメロディが染みるバラード#10。メロトロン風シンセの浮遊感やインスト・パートの壮大なオーケストレーションも良い。
神秘性を持った静寂の序盤から分厚い音像のインスト部に展開する#11。

テクニカルなモダン・プログに90年代風カラフルなシンセをコーティングしたIT BITESタイプでありながら、全体的にリラックスしたテイストで刺々しい緊張感は皆無。シリアスで緻密なIT BITES、モダンかつスタイリッシュなFROST、スペイシーで抒情的なジョン・ミッチェル個人プロジェクトLONELY ROBOTと意識的に差別化を図りKINO=プログ・ポップ・バンドとしての独自テイストを演出。

ジョン・ベックはゲスト扱いのため、今作ではユニークなサウンドの一端にその面影が浮かぶ程度でアレンジなどは予めジョン・ミッチェルがほぼほぼ作りこんでいたのではないかと思われる。
メンバー各人が色々と掛け持ちで忙しい人達なのでパーマネントな活動は難しそうだが、次があれば個人的にはジョン・ベックに昔のようなトンがったシンセ・サウンド及びプレイを期待したい。

Track List

1. Radio Voltaire
2. The Dead Club
3. Idlewild
4. I Don't Know Why
5. I Won't Break So Easily Any More
6. Temple Tudor
7. Out of Time
8. Warmth of the Sun
9. Grey Shapes on Concrete Fields
10. Keep the Faith
11. The Silent Fighter Pilot

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カテゴリー: KINO

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STEVEN WILSON / The Future Bites

2021,UK

STEVEN WILSONの6thアルバム。

ダークな内省的アンビエント小品の#1。
キャッチーな女性コーラスを配したエレクトロニカをベースとしたグルーヴィ・チューン#2。
シンセのアルペジオと幽玄なスキャットが印象的な#3。
ディミニッシュ・コードの箇所でSUPERTRAMPのようなペーソスを想起させる、端正でメロディアスなポップ・チューン#4。
ニック・ベッグス(B)によるズ太いスティックのリフが牽引するR&Bナンバー#5。
マシンによる静かで無機質なビートが寂寥感を増幅。ゆったりとしたサウンドスケープにジェントルな歌唱が乗った#6。
サビは一転して英国伝統の抒情メロディで強烈な印象を残す、ダークなリフレインがトリップ感を生む#7。
SNSに翻弄される現代社会の風刺を80年代のニューロマンティック風サウンドで送る#8。
持ち味の静謐な美しさで余韻を残す#9。

近作で勢いを増すメイン・ストリームへの接近。今回はプログラミングを駆使したエレクトロニカでソウルやR&Bを再構築することで提示。もはや何を演ってもスティーヴン・ウィルソンであることをその音楽的懐の深さで改めて証明。
ストレートな#2、#5に加え、持ち味のポップ・センスと新味を融合させた#7、バンド形式による#4、#8などバラエティにも富み、全41分を感じさせない程充実した音楽の旅を満喫させてくれるアルバム。

Track List

1. Unself
2. Self
3. King Ghost
4. 12 Things I Forgot
5. Eminent Sleaze
6. Man of the People
7. Personal Shopper
8. Follower
9. Count of Unease

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カテゴリー: STEVEN WILSON

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