女性ボーカル のレビュー

OPIUM CARTEL / Night Blooms

2009,NORWAY/SWEDEN

WHITE WILLOWのヤコブ・ホルム・ルポ(G/Key/Vo)を中心としたANGLAGARDのマティアス・オルセン(Dr)、WOBBLERのラース・フォレデリク・フロイスリー(Key)らのプロジェクトOPIUM CARTELの1stアルバムNight Blooms。

ライス・マーシュ(Vo)の繊細な歌唱をアコギやメロトロンで優しく包み込むフォーク#1。
ギター・ポップ風のリフを加えたエレクトリック・フォーク#2。
ステファン・ベネット(Vo)とWHITE WILLOWのシルヴィア・エリクセン(Vo)のデュエットによる木漏れ日フォーク#3。中間部のシルヴィアによるウィスパー気味のソロ・パートが可憐。
ティム・ボウネス(Vo)とレイチェル・ヘイデン(Vo)のデュエットによる、美しく儚げなブライアン・イーノのカヴァー#4。
シルヴィアのオーバー・ダブによる美声天上ハーモニーにチェロやメロトロンが絡む、フォーキーな中にもエレクトロニカなビートを微かに交えたドリーミー・ポップ#5。
ヤコブ・ホルム・ルポによると思われるヘタウマ・ボーカルをフィーチュアしたポップ・ロック#6。
沈痛なメロトロンのイントロからヘヴィなサビに展開する、中期CRIMSON風ダークネスを纏った8分超のプログレッシブ・チューン#7。
レイチェル・ヘイデンをフィーチュアしたドリーミーなフォーク#8。
WHITE WILLOWの3rdアルバムSacrament収録の同名曲をカヴァーした#9。オリジナルは男女デュエットだったが、こちらはシルヴィアの無垢な美声ボーカルのみでより透明感が増量。

朗らかな音像のそこかしこに仄かに北欧的な暗さを潜ませた、プログレッシブ・フォーク。
エレクトロニカとオーガニックな管弦を巧みに融合させた温かみのあるサウンド。
メロディはあくまでも耽美で、女性ボーカルが絡む楽曲は女性ボーカル・ファン必聴。

Track List

1. Heavenman
2. Better Days Ahead
3. Skinnydip
4. By This River
5. Three Sleepers
6. Honeybee
7. Beach House
8. Flicker Girl
9. The Last Rose of Summer

OPIUM CARTEL / Night Blooms のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

KARNATAKA / The Gathering Light

2010,UK

ウェールズ出身のシンフォニック・ロック・バンドKARNATAKAの4thアルバムThe Gathering Light。

前作発表後、メンバー達が各々自らのバンド結成に向かいバンドは解散状態になるも、イアン・ジョーンズ(B)を中心に新たなメンバーでバンドが復活。ゲストでIONAのマルチプレイヤー トロイ・ドノックリーが参加。イリアン・パイプやホイッスルで瑞々しいケルト風味を加えています。

イリアン・パイプがパッド系シンセの海と雷鳴のSEをバックに、滑らかな音色を響かせる厳かな小曲#1でアルバムはスタート。
枯れた味わいのギターが#1のムードを引き継ぎ、シンセのオーケストレーションを中心にドラマティックに盛り上がる#2。と、冒頭2曲はインストゥルメンタル。
ミクソリディアン・モードを使用した神秘的な美メロを女性シンガー リサ・フュリィ(Vo)がしっとり歌うシンフォニック・ロック#3。
ピアノとアコギ、ストリング・カルテットをバックに伸びやかに歌い上げるバラード#4。ここでもイリアン・パイプがナイスに味付けされてます。
サビの開放的ムードが心地良い、ケルト風メロディをコンテンポラリーに昇華した10分超の#5。
ストリング・カルテットにリサの美声が乗る静かな序盤から、リズム・インして一気に広がりのあるインストゥルメンタル・パートへ劇的に展開する12分超の#6。
中近東風メロディのオブリガードを取り入れたメロディアスな#7は、メインストリームでのヒットも狙えそうなポピュラリティ抜群の佳曲。もう一聴して気に入りましたね。
そして、再びイリアン・パイプやストリングスをフィーチャーし、伸びやかな歌唱が美メロを紡ぐ14分超の#8でしっとりと余韻を残してエンディング。

特に難しい事はやってないし、コード進行や展開もオーソドックスなんですが、憂いを保ちつつもポジティブな希望的メロディが美声と優美なサウンドと相まって爽やかな感動を呼ぶ傑作です。

Track List

1. The Calling
2. State Of Grace
3. Your World
4. Moment In Time
5. Serpent And The Sea
6. Forsaken
7. Tide to Fall
8. The Gathering Light

KARNATAKA / The Gathering Light のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

PANIC ROOM / Satellite

2010,UK

PANIC ROOMの2ndアルバムSatellite。

メンバーが過去に在籍したMOSTLY AUTUMNKARNATAKAが得意とするケルティックなテイストは皆無。
そんな装飾に頼らずとも勝負できるという矜持が漂う佳作。

軽快なロック・ナンバー#1。
くぐもったエレピが印象的な、コンテンポラリーなタッチのブルース風ナンバー#2。
ネコの鳴き声を模したギターで幕を開ける#3。コミカルなヴァースのムードから一転してシリアスかつミステリアスになるサビへの展開が巧妙。
アン=マリー・ヘルダー(Vo/G)がウィスパー気味に迫るムーディな#4。抑えたドラミングや霧のようなパッド・シンセが美声を引き立てています。
ザクザクしたリフがリードするハード・ロック#5。
幽玄なムードとヘヴィネスが融合したクールな#6。
12弦アコギが煌くコンテンポラリー・フォーク・ナンバー#7。耳元で囁くようなウィスパー・ヴォイスが素敵。
優しい歌唱がバックのサウンドに溶け込む、コンテンポラリー・ポップス#8。
チャーチオルガンの荘厳なアルペジオがドラマティック。ロング・トーン中心に堂々と歌い上げるハード・ロック#9。
雫が滴るようなピアノをバックに、しっとりと歌うバラード小品#10。
サビにおける絹のような美声が染み渡る、センチメンタルなエンディング・チューン#11。

アン=マリーの伸びやかな中に若干のハスキーさと憂いを含む美声をフィーチュア。
ソフトなポップスからハード・ロックまで、幅広い曲調がアン=マリーの多彩な歌唱表現を引き出し、ギミックやアクロバット的インスト・パートに頼らない普遍的なロックとしての完成度を高めている。

Track List

1. Freedom to Breathe
2. Picking Up Knives
3. I Am a Cat
4. The Fall
5. Black Noise
6. Yasuni
7. Sunshine
8. Into the Fire
9. Dark Star
10. Muse
11. Satellite

PANIC ROOM / Satellite のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

RENAISSANCE / The Mystic and the Muse

2010,UK

アニー・ハズラム(Vo)、マイケル・ダンフォード(G)を中心とし、2009年に40周年を記念したツアー活動を再開したRENAISSANCEのミニアルバムThe Mystic and the Muse。

ツアーでは過去の名曲オンパレードになるのは仕方が無いとしても、せっかく現在進行形で活動するのであればクリエイティブな部分を見せて欲しいところ。
そんなファンの期待に見事に応えてくれました。

8分弱の大作#1は、マイケル・ダンフォードならではのミステリアスかつメロディアスなメロディが印象的な、往年の名曲達を彷彿させるドラマティックな佳曲。アニー・ハズラムの超高音スキャットに現役バリバリの迫力を、シンセ中心のシンフォニックなアンサンブルにコンテンポラリーな感触を感じます。ツアーをこなすことで昔のケミストリーが蘇ったんでしょうか。2000年の再結成アルバムTuscanyの楽曲テイストよりも、新旧の魅力が自然に融合された感じがあります。
#2,#3はアニー・ハズラムの歌唱をフィ-チュア。
叙情的な曲調に合わせて優しく歌うバラード・タッチの#2。
Scheherazadeの一節を引用しながらシンフォニックに歌い上げる#3。
気品とキャッチーさを両立させた見事な仕上がりは、マイケル・ダンフォードの作曲センスによるところ大です。
欲を言えば、ここにジョン・タウトのリリカルなピアノとジョン・キャンプのバキバキしたベースがあれば最高なんだけどなぁ。
曲線とグラデーションが特徴的なジャケット・アートはアニー画伯によるものです。

Track List

1. The Mystic and the Muse
2. Immortal Belpved
3. Tonight

RENAISSANCE / The Mystic and the Muse のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

MAGENTA / Chameleon

2011,UK

ロブ・リード(G/Key)率いるウェールズの女性ボーカル シンフォ・バンドMAGENTAの6thアルバム Chameleon。

シンセのリフからスタートしスケールの大きな展開の中、クリスティーナ・ブース(Vo)の柔らかい声質の歌唱が響く#1。
イントロでしっとりシンフォニックなストリングス・セクションにシンセ・ストリングスが絡み、流行の(?)オート・チューンを掛けたボーカルで意表を突く#2。歌唱パートはコンテンポラリーなテイストでメロディック&キャッチーに進行。ストリングスのオブリガードやクリス・フライ(G)による叙情的なアコギの間奏が強力なフックとなっています。
アコギのアルペジオをバックにした叙情パートとハード・エッジなギターがリードするヘヴィなパートを劇的に対比させた#3。サビにおけるピアノのアルペジオが初期ゴシック・メタル風でもあります。
クリスティーナの美声をフィーチュアしたバラード#4。中間部の静謐なシンセ・ソロからバンド・インし壮大に盛り上がります。
6拍子+4拍子パターンのリズムの仕掛けが耳を惹く#5。ピアノやクワイヤによる荘厳な中間部が、全体に漂う叙情ムードを増強。
Sevenの名バラードAngerを彷彿させる、クリス・フライのアコギ1本による叙情的なインスト・ナンバー#6。
エッジの効いたギターがリードするダークなテイストの#7。
しっとりした中にも爽やかさを感じさせる、コンテンポラリーな質感の#8。

雄大な演奏をバックにクリスティーナの伸びやかな歌唱とスライド・ギターが映える#9。クワイヤにチャイムを絡めたエンディングに向けてのリフレインが感動的。

20分クラスの大作2曲を含む4曲構成に加えヘヴィなエッジとダークな色彩で重苦しさすら感じられた2008年の前作Metamorphosisから一転し、幾分コンパクトにまとめた9曲構成となった新作。
コンパクトな中にキャチーさとプログレッシブな要素を巧く凝縮し、各曲の起承転結がはっきりとまとめられています。
名盤Sevenと同等の出来じゃないですか、これは。

Track List

1. Glitterball
2. Guernica
3. Breathe
4. Turn the Tide
5. Book of Dreams
6. Reflections
7. Raw
8. The Beginning of the End
9. Red

MAGENTA / Chameleon のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

陰陽座 / 鬼子母神

2011,JAPAN

妖怪ヘヴィ・メタルを標榜する陰陽座の10thアルバム鬼子母神。

瞬火(B/Vo)書き下ろしの戯曲「絶界の鬼子母神」をベースにしたコンセプト・アルバム。
初期から組曲を手掛けてきた陰陽座というか瞬火からすると意外だが、コンセプト・アルバムというスタイルは10作目にして初の試み。

従来のアルバムではお約束とも言えたキー=Aで歌は黒猫(Vo)単独の「忍法帖」シリーズやラストを締める黒猫の萌え声パーティ・ソングなどの楽曲を排除、毎回 瞬火が担当するカヴァー・アートの題字を書道家の武田双雲に依頼、さらに別売りで戯曲「絶界の鬼子母神」を書籍出版するという異例づくしの展開でバンドの意気込みが伝わってきます。

内容も期待に違わぬ素晴らしい出来。
物語のオープニングに打ってつけのアップテンポなハード・ロック#1~#2、巧みな拍子チェンジを交えたインテリジェントな展開を見せる至高のプログレッシヴ・メタル#8、#1と同様のピアノのテーマから怒涛の王道疾走メタルに移行し黒猫のメタル・クイーン歌唱が乗るメタル・ファンならガッツポーズ必至の#12といったメタル・チューンを軸に、#6,#11といった瑞々しい叙情バラードや、キャッチーな#7、黒猫のこぶしが効きまくった演歌スタイル歌唱とファンキーなグルーヴを融合させ物語の肝となる村の異様な風習の狂気を描く#5など、キャラの立った楽曲が揃い聴き手のイマジネーションを刺激します。

余韻を残さず突如終わるエンディングも逆にドラマティックさを演出、プロデューサー瞬火の仕掛けたワナにハマりっ放しの61分超大作。
パッケージ・メディアの売上が右肩下がりで、頼みの「サクッとダウンロード」でもカバーしきれない状態の音楽業界にあって、音楽を”作品”として聴かせようという真摯な姿勢が伝わってくる良い作品ですね。

Track List

1. 組曲「鬼子母神」~啾啾
2. 組曲「鬼子母神」~徨
3. 組曲「鬼子母神」~産衣
4. 組曲「鬼子母神」~膾
5. 組曲「鬼子母神」~鬼拵ノ唄
6. 組曲「鬼子母神」~月光
7. 組曲「鬼子母神」~柘榴と呪縛
8. 組曲「鬼子母神」~鬼子母人
9. 組曲「鬼子母神」~怨讐の果て
10. 組曲「鬼子母神」~径
11. 組曲「鬼子母神」~紅涙
12. 組曲「鬼子母神」~鬼哭

陰陽座 / 鬼子母神 のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

PAATOS / Breathing

2011,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドPAATOSの4thアルバムBreathing。

2006年の前作Silence of Another Kind以降、ライブ・アルバムSensorsをベースのStefan Dimleが経営するレコード・ショップ/レーベルのMellotronenからアナログでリリース(2008年)、ギタリストのPeter NylanderにRicard Huxflux Nettermalm(Dr)、Petronella Nettermalm(Vo)夫妻が参加した新ユニットELEPHANT CULTURE結成と、新作のリリースこそ無いものの順調に見えたPAATOSでしたが、2008年11月に衝撃が。

何と、オリジナル・メンバーのStefan DimleとJohan Wallén(Key)の脱退がMyspaceのブログで発表されたのだ。
しかも、この記事がしばらくすると削除されてしまうという不可解な状況もあり、遠く極東の1ファンとしては一体何がPAATOSに起こっているのか解る術も無く前途が心配された状況が続きました。
そして2009年4月に改めてブログで2人の離脱を報告、と共に新作に向けて作業を開始しているという嬉しいニュースも。
しかしバンドはここからさらに沈黙。
しばらくの間オフィシャル・サイトまでもが「工事中」で閲覧できず。でもこれは、新作リリースと同時にサイトをリニューアルするのだな、と好意的に受け取ることもできた。

そしてようやく2010年末、新作が2011年初頭リリースであることがアナウンスされた。
レーベルは良質なプログレ・バンドを多数要するドイツのInsideOut MusicからオランダのGlassville Recordsに移籍。このあたりの契約問題もブランクが長かった要因かも。
メンバーは残った3人に新メンバーUlf Rockis Ivarsson(B)を加えた4人体制。
ジャズのバンドや映画音楽の制作などマルチな才能を発揮するPeter Nylanderが鍵盤にトロンボーン、はたまたバンスリ・フルートなる民族楽器までプレイし、専任鍵盤奏者の不在をカバーしています。意外な所ではゲストのチェロ奏者として、イングヴェイ・マルムスティーンのバンドに在籍したこともあるスヴァンテ・ヘンリソンもクレジットされています。

白夜を思わせる醒めた高揚感とメロトロンが絡むサビのメランコリックな叙情が交錯する#1。
マイナー調なのにPetronellaの歌唱が炭火のような温かさをもたらす#2。
穏やかなフォークから、サビとインスト・パートでは一転して悲哀に転ずる#3。
Petronellaの澄んだ美声が楽しめるPAATOSらしいメランコリック・チューン#4。
ピアノ、管、スキャット、チェロなどが断片的なフレーズを絡ませるインスト小品#5。
Ricardの鮮烈なドラミングをフィーチュアした新機軸のプログレッシブ・チューン#6。
ミステリアスなインスト・パートを内包したメランコリックなタイトル・ナンバー#7。
物悲しいフレーズを奏でるアンビエントなピアノを中心としたサウンドスケープをバックに、スウェーデン語で切々と歌われる#8。
意外性のある洒落たコード進行に乗って、瑞々しいメロディが次々に展開していく#9。
オルゴールの小品#10。
Petronellaがチェロでもがんばる、#2同様にマイナーな中に温かみを感じさせる#11。
PAATOSが時折聴かせるスピード感のあるカッコ良いナンバー#12。

長いブランクで心配された音楽性の変化もさほど無く、それどころかバンドが影響を受けたPORTISHEADやBJÖRKなどのテイストをメランコリックな世界に巧みに消化・昇華したお馴染みのPAATOSらしさに、#6や#9など新たなテイストも加えた会心作ですねこれは。
悲哀の中の醒めた感触(あるいはその逆も)とでも表現したらよいのか、彼らにしか成し得ない独特の個性にますます磨きの掛かったアルバムです。

美声ボーカル・ファン、女性ボーカル・ファン必聴作。

Track List

1. Gone
2. Fading Out
3. Shells
4. In That Room
5. Andrum
6. No More Rollercoaster
7. Breathing
8. Surrounded
9. Smärtan
10. Ploing My Friend
11. Precious
12. Over and Out

PAATOS / Breathing のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

PRISCILLA HERNANDEZ / The Underliving

2011,SPAIN

スペインのシンガー・ソングライター兼イラストレーター プリシラ・エルナンデスの2ndアルバムThe Underliving。

音楽性、イラスト、そして自身のコスプレまで全てがファンタジックでゴシック。
神話や伝説などの文学作品、ホラーやファンタジー映画、そしてスタジオジブリ作品からの影響を自らの作品に投影。
ストリングスにハープやイリアン・パイプ系のオーガニックな楽器から、シンセやデジタル・シーケンスのビートも一つの世界観の中で巧みに融合。
音楽に限って言えば、アンビエントな質感とウィスパーから情念ヴォイスまで様々な声を多層で重ねた音像はダークなエンヤといったところ。

繊細で美しくも妖しいベストトラックの#1を筆頭に、シンセを使用してニュー・ウェーブ風なゴシック感を漂わせる#3、軽快なビートに一瞬明るい表情を見せるメロディが切ない#4、風のSEが不気味な#10、心が洗われるかのような聖なるムードを持つ#11、などファンタジーに浸れる秀作が目白押し。

Track List

1. In the Mist
2. The Underliving
3. Feel the Thrill
4. Through the Long Way
5. Don't be Sad
6. In my Mind's Eye
7. Off the Lane
8. Storm
9. The Aftermath
10. The Wind Song
11. Ode to the Silence
12. Northern Lights
13. Morning Light
14. At the Dream's Door
15. One Last Hope

PRISCILLA HERNANDEZ / The Underliving のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

WHITE WILLOW / Terminal Twilight

2011,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・フォーク・バンドWHITE WILLOWの5年ぶりとなる6thアルバムTerminal Twilight。

2nd~4thアルバムに参加していた美声のシルヴィア・エリクセン(Vo)が復帰。サウンドも前作のコンテンポラリー・ポップス路線から、メロディックなプログレ・フォークに素朴で時にダークかつ混沌とした要素を溶け込ませた初期のイメージに近いものに回帰。

シンセによるゆったりとしたアルペジオが神秘的で妖しいムードを醸し出すオープニングや屈折した歌メロが初期のテイストを想起させる#1。終盤にようやくポジティブなメロディの木漏れ日が差し込み、ここまでの暗鬱と対比。
シルヴィアの可憐なボーカルをフィーチュアしたキャッチーなコンテンポラリー・フォーク#2。
色んなところに客演しているゲストのティム・ボウネス(NO-MAN)とバンドの共作でティム自ら枯れた哀愁の歌唱を聞かせるメランコリックなフォーク#3。
シンセの重層的なアンサンブルでシンフォニックに高揚するインスト・パートが圧巻。ボーカル・パートではシルヴィアの素朴で可憐な歌声が楽しめるアルバム前半のハイライト#4。
シンプルなアルペジオにフルートやシンセが絡むイントロ~ボーカル・パートのポジティブなドリーミー感、ヴィンンテージ風オルガンとシンセで少々アヴァンな不条理パートを盛り込みつつも仄かな叙情を感じさせるインスト・パートの対比が見事なプログレ・フォーク#5。
北欧フォークロア風メロディを紡ぐ掠れたメロトロン、シンセを中心としたアンサンブルによるドラマティックなインストゥルメンタル#6。
ドリーミー、叙情、暗鬱と様々な表情を見せるボーカル・パートを、ロックなドラムとメロトロンを始めとした鍵盤群のバックが支える#7。フルートとギターのアルペジオによる寂寥パートから、オルガンのグリッサンドと共になだれ込む激情パートへのドラマティックな場面転換など、起伏に富んだ13分超の長尺曲。
12弦アコギのアルペジオがGENESISっぽい、爽やかでどこか神秘的な余韻でアルバムを締めくくるインスト#8。

優しいメロディがもたらす全体的な暖かみや大作#5,#7でのインスト・パートの構成力、巧みなシンセの音使いなど、垢抜けたメジャー・クラスのアレンジとサウンドに独特の屈折テイストを絶妙に配合したキャリアの集大成にして最高傑作。

Track List

1. Hawks Circle the Mountain
2. Snowswept
3. Kansas Regrets
4. Red Leaves
5. Floor 67
6. Natasha of the Burning Woods
7. Searise
8. A Rumour of Twilight

WHITE WILLOW / Terminal Twilight のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

WITHIN TEMPTATION / The Unforgiving

2011,NETHERLANDS

オランダのゴシック・メタル・バンドWITHIN TEMPTATIONの5thアルバムThe Unforgiving。

試行錯誤の1st、ケルトに活路を見出しスケールの大きなサウンドに進化した2nd、壮麗なオーケストレーションを施し独自のゴシック・メタルを完成させたた3rdとそのスタイルを継承した4th、と順調にキャリアを重ねシーンの頂点に君臨するに至ったWHITHIN TEMPTATION。
前作で感じた「これ以上完璧なモノがまだ創れるのか?」という危惧にも似た疑問に対する回答がこの5thアルバム。
その回答は意外なものでした。
まず商売的には、オリジナルのコミックに基いたストーリー仕立て、という楽曲ダウンロード時代でのCD販売を見据えた斬新なメディアミックス手法。
そして音楽的には、シャロン・デン・アデル(Vo)の異常なまでにしゃくり度合いを増したワイルドな歌唱法や、 これまでは存在すらしないかあってもアレンジされたメロディをなぞる程度だったギター・ソロが大幅増量で個性をアピールするなど、普遍的なHR/HMの様式に則った表現を随所に導入。
特にオケの一部と化し没個性にも感じられた存在からの脱却を果たしたギターの存在感は、前作・前々作でのオケ:ギター比率=7:3から4:6くらいにそのシェアを逆転。
壮麗でスケールの大きさをも感じさせる一方で作り込み感も高かったスタイルから、身近で少々ラフなスタイルへと、サウンドの質感に大きな変化をもたらしています。かといってシャロンの表現力に陰りは無く、メロディの質は相変わらず高いので、もはや質の問題では無く単に好きか嫌いかだけでしょう。
個人的には、溌剌としたシャロンも良いですが、”Forsaken”(The Silent Force)などのような清廉なソプラノ・ヴォイスをもっと聴きたかった。
次はどう出てくるんでしょうか?

Track List

1. Why Not Me
2. Shot In The Dark
3. In The Middle Of The Night
4. Faster
5. Fire And Ice
6. Iron
7. Where Is The Edge
8. Sinéad
9. Lost
10. Murder
11. A Demon's Fate
12. Stairway To The Skies

WITHIN TEMPTATION / The Unforgiving のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

ANNEKE VAN GIERSBERGEN / Everything Is Changing

2012,NETHERLANDS

アネク・ヴァン・ガースバーゲンの4thアルバム Everything Is Changing。

ゴシック・メタル・バンドTHE GATHERING脱退後、バンド名義 Agua de Anniqueで活動。バンド名表記はAnneke van Giersbergen with Agua de Annique、さらにAnneke van Giersbergen & Agua de Anniqueと変遷し、遂にAgua de Anniqueを外して個人名での新作。全面的に押し出したゴージャスなルックスといい(昔は地味な赤毛だっと思いますが・・・)、心境の変化なのか営業的メリットなのかは不明ながら、久々に胸のすくメジャー感溢れるロックなアルバムに仕上がっております。これは売れるでしょう。

サビの歌唱とヘヴィネスにゴシックな薫り漂う#8など今となっては意外な曲調もありますが、ほとんどの楽曲が程よくキャッチー&ヘヴィなハード・ポップでコンパクトに5分以内に収まっています。しかも、それでいてドラマティック。シンセや部分的に挿入されたエレクトロニカなブレイク・ビーツが現代的ヨーロピアンなムードを付加し厚みのあるサウンドに。そのオケに溶け込みつつもしっかり前に出るアネクの声質は天性のものかも知れないが相変わらずの素晴らしさ。
メロディの質そのものには以前とあまり変化を感じないので、やはりこれはアレンジの勝利でしょう。
GATHERING在籍末期~ソロ初期のオーガニック&内省的でシンプルなボーカル曲路線もアーティストの成長という面では理解できても、少々物足りなかったのも事実。

#2、#4、#10などの轟音ギターがドライヴィングするキャッチーなハード・ポップでの元気なキュートさ。
シリアスなバラード#3、#6での絹のような繊細さ。
エモーショナルな#7、#8。
などなど、様々な表情のボーカルがたっぷり楽しめるメジャー感溢れるロックなテイストでこそ、アネクの個性は活きると思います。

Track List

1. Feel Alive
2. You Want to Be Free
3. Everything Is Changing
4. Take Me Home
5. I Wake Up
6. Circles
7. My Boy
8. Stay
9. Hope, Pray, Dance, Play
10. Slow Me Down
11. Too Late
12. 1000 Miles Away from You

ANNEKE VAN GIERSBERGEN / Everything Is Changing のレビューを見る

カテゴリー: ANNEKE VAN GIERSBERGEN

タグ:

フォローもよろしくお願いします!

GATHERING / Disclosure

2012,NETHERLANDS

オランダのアンビエント/ゴシック・ロック・バンドGATHERINGの10thアルバム Disclosure。
ノルウェー人女性シンガー シリェ・ヴェルヘラント(Vo)加入後2作目。

躍動感あるアップテンポのリズムをバックに、語りかけるような中音域から絹のような高温ファルセットまでを自在に操り、メランコリックなメロディを流麗に紡ぎ出す#1。
インダストリアル風リズムに導かれ、ウィスパーな女性ボーカルと男性ボーカルのデュオで進行するGATHERINGでは珍しいパターンのヴァースからシリェ・ヴェルヘラント単独に移行しヨーロピアンな叙情を感じさせるサビを迎えるキャッチーな#2。トランペットによる哀愁のソロを挟んでムードはさらに一変、ウィスパー歌唱とトランペットが切々と迫る静かなパートに。キャッチーさと展開の妙を盛り込んだ傑作です。
A音でチューニングしているかのようなストリングスの清楚なムードを突如突き破り、妖しいブラスのフレーズが登場し一気に無国籍なフレーバーが広がる#3。スローテンポな中、滑らかで優しい歌唱が神秘的にフィーチュアされています。
ストリングス、ルネ・ルッテン(G)によるテルミンとお馴染みの枯れたアルペジオ、フランク・ブーイエン(Key)のシンセなどからなるアンビエントな空間にシリェ・ヴェルヘラントの美声がたゆたうバラードの前半。そして中盤からは左右にパンニングされたマンドリン風なシンセのシーケンス・フレーズが寂寥感と同時にトリップ感を生み出す10分超の#4。時折挿入されるトランペットがペーソス感を増量。
ローファイなエフェクトを掛けたアンニュイな歌唱のヴァースから、サビではバックの盛り上がりと共に透明感あるソプラノに変化する#5。音像こそ違えど、展開や醸し出すムードはゴシック・メタル期のそれに通ずるものも。
ピアノなどによるシンプルなバックに、リラックスしたシリェ・ヴェルヘラントの歌唱をフィーチュアした#6。
淡々としたリズム・パターンに清廉なコーラスを中心に進行する前半から、トライバルな肉弾ビートをバックにテルミンなどによるノイズが渦巻く中、テーマ・メロディを延々リフレインするトリップ/トランス系の#7。
#5のメロディを透明感あるソプラノでリプライズする#8。霧のようなパッド系シンセやストリングス、クリーンなエレキのアルペジオ等、インスト陣も繊細でヘヴィな印象の#5と対照的な面を見せています。

一部ゲストの女性シンガーを起用(シリェ・ヴェルヘラントが作詞していない2曲)したりと様子見感もあった前作から一転、ツアーなどでその実力を充分に把握できたからか、今作はシリェ・ヴェルヘラントの個性を前面に打ち出し、フェミニンな魅力に溢れる新機軸GATHERINGを完成。
もはや完全にオリジナルなサウンドを確立したバンマス ルネ・ルッテンが引き続きプロデュースも行い、バンドの状態を反映した充実した作品を届けてくれました。

Track List

1. Paper Waves
2. Meltdown
3. Paralyzed
4. Heroes For Ghosts
5. Gemini I
6. Missing Seasons
7. I Can See Four Miles
8. Gemini II

GATHERING / Disclosure のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

KOMPENDIUM / Beneath The Waves

2012,UK

英国のフィーメル・シンフォ・プログレ MAGENTAのロブ・リードが企画・プロデュースした、プログレ・シンフォ・プロジェクトKOMPENDIUMのアルバムBeneath The Waves。

ウェールズのケルト/プログレ・シンフォ界隈でお馴染みのイリアン・パイプ奏者トロイ・ドノックリーを始め大御所ス
ティーヴ・ハケットやプログレ人脈の交流が幅広いジャッコ・ジャクスジクから、最近はすっかりプログレの人になり
曲芸スティック・パフォーマンスでも有名な元KAJAGOOGOOのニック・ベッグス、IT BITESの新旧フロントマンであるジョン・ミッチェルとフランシス・ダナリー、PORCUPINE TREEのギャヴィン・ハリソンといった凄腕達が参加。さらに元HATFIELD AND THE NORTHのデイヴ・スチュワートがアレンジを担当したロンドン・セッション・オーケストラが、要所要所で感動を増幅させる素晴らしい管弦を付加。
彼らの紡ぎ出す極上の音楽の語り部は、表現力抜群の男女シンガー、スティーヴ・バルサモとアングハラッド・ブリン。
深みと伸びやかな高音のバルサモ、天使の如き美声を聴かせるブリンとこれだけでもおそろしく高品質なのに、数々の映画音楽や宇多田ヒカルの楽曲にも参加しているコーラス・グループSYNERGY VOCALSの個性的でキャッチーなコーラスがもたらすフックや、重厚で厳かな英国室内合唱団、オペラ歌手が脇を固めてドラマティック度を増強。

この手のオールスターキャスト物でありがちな各ミュージシャンの色が出すぎてバラバラな印象に陥ることなく、
ケルトのエキゾチックや叙情、スリルといった起伏を織り交ぜつつも、一貫したムードで感動の物語を描ききったロブ・リードのマネージメント手腕がもう奇跡的。
勿論、巧みでグルーヴィなニック・ベッグスのスティック、蕩けるようなアングハラッド・ブリンの歌声、ハープをイ
メージした、というやる気満々のスティーヴ・ハケットのクラシック・ギター、等々、各プレイヤーの充実のプレイも聴き所満載。

MAGENTAの最高傑作Sevenをより壮大、ドラマティックにバージョン・アップしたかのような本作は、シンフォ・ファン
にとってのまさに福音とも言える完成度です。

Track List

1. Exordium
2. Lost
3. Lilly
4. Mercy of the Sea
5. The Storm
6. Beneath the Waves
7. Sole Survivor
8. Alone
9. Il Tempo E Giunto
10. A Moment of Clarity
11. One Small Step
12. Reunion

KOMPENDIUM / Beneath The Waves のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

PAATOS / V

2012,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドPAATOSの5thアルバムV。
前作Breathingより約1年半のインターバルは異例の早さ。Mikael Nilzén(Key)が加わり5人編成が復活。

Ricard Huxflux Nettermalm(Dr)のドラミングがカッコ良い、へヴィロックな質感を持つ#1。
邪悪なギター・リフにミステリアスなボーカルメロディが呼応する#2。
軽快なリズムに乗ったキャッチーなメランコリック・ナンバーの#3。淡い叙情メロディはメインストリームでも通用するポテンシャル。サビの「This cold, cold war」の部分でのPetronella Nettermalm(Vo)の歌唱に悶絶。
Ricardのパーカッシブなドラミングが躍動し、エキゾチックなテイストがフックとなった、明るく開放的なナンバー#4。
以上のアルバム前半が新曲。#1,#2,#4など、11月からのヨーロッパツアーを控え、これまでのレパートリーに無かった要素を補完するような新機軸が目立つものの、随所にどこか悲哀を醸すPAATOS節は健在。
ただ、魅惑のウィスパー・ヴォイス率は低下し、従来の作品に漂っていた儚さや非日常感が若干希薄になった印象も。
後半は過去4作品から1曲づつピックアップし新たなアプローチで表現したアンプラグド及びリミックス。
Peter Nylander(G)の深い音楽的素養に裏打ちされたセンス良いアコギのアレンジが光る、アコギとボーカルのアンプラグド・デュオ#5。メロトロン有りの原曲のドラマティックさも素晴らしかったが、素朴な中にもジーンとくるこのシンプルなバージョンもなかなかの出来。
Ricardのミュージカル・ソー(ノコギリ)が幽玄なSEでアクセントとなった#5同様のアコギとボーカルのデュオ#6。
無機質なリズムマシンのビートに、Peterのバンスリ・フルートオーガニックなアナログ楽器の哀愁が融合した#7。
Ricardの個人プロジェクトPucksponyのテイストを反映したエレクトロニカなリミックスが、原曲の沈み込む感じとは打って変わってアッパーなのにボーカルは鬱系というギャップがおもしろい#8。

バンドのキャリアを総括すると共に、漸くメンツも固まり漲る創作意欲を抑えきれない充実感が感じられる、ツアーに向けた嬉しいプレゼンテーション。
この熱とツアーで得られたインスピレーションで、完全な新作を早期に制作して欲しいところです。

Track List

1. Feel
2. Desire
3. Cold War
4. Into The Flames
5. Tea(revisited)
6. In Time(revisited)
7. Precious(remixed)
8. Your Misery(remixed)

PAATOS / V のレビューを見る

カテゴリー: PAATOS

タグ: ,

フォローもよろしくお願いします!

PANIC ROOM / Skin

2012,UK

英国ウェールズの女性ボーカル・シンフォPANIC ROOMの3rdアルバムSkin。
アン・マリー・ヘルダー(Vo)をはじめ元KARNATAKAのメンバーで結成されたこのPANIC ROOM。ケルティックなテイストを残すKARNATAKAと比べると、よりコンテンポラリーで若干ハードなエッジも。

7拍子のメイン・リフを軸に静動の起伏を付けたドラマティックなオープニング・ナンバー#1。切れ込んでくるギターがメタルのエッジなのは同系統バンドとの差別化か。まろやかなフレットレス・ベースとの対比もおもしろいです。
ALL ABOUT EVEの湿り気を帯びたゴシック風味を想起させる#2。
弦楽四重奏の厳かなイントロから、一転してモダンなシンセ・リフに移行する#3。クールなシンセ・リフ部とダイナミックにロックするサビ、ダブルトラッキングのギター・ソロに絡むストリングスなど、異なる要素の融合が巧み。
アコギのカッティングとストリングスがリードするノリの良いフォーク#4。
パーカッションとモーダルなメロディがエキゾチックなムードを醸し出す#5。渋いギターやエレピのソロ、終盤のストリングスが良いフックとなっている。
プログレ然としたシンセ・ソロが印象的なコンテンポラリー・チューン#6。
エレキの爪弾きとアン・マリーのボーカルによる3拍子のデュオ#7。
スネアのスウィングした裏打ちパターンが独特のグルーヴを生み出すフォーク#8。12弦のアルペジオとスキャットが幽玄な空間を生み出しています。
アン・マリーが最高のパフォーマンスを聴かせるタイトル・チューン#9。ウィスパー風のヴァースから切なく歌い上げる感動のサビまでパーフェクト。優しく包み込むストリングス、雫が滴るようなピアノのアルペジオも良い。
メタル風な単音リフ&ハーモニクスで幕を開けるハード・ロック・ナンバー#10。
ボーカルを際立たせた淡々としたヴァースから、ヘヴィ・ロック風なサビに移行する#11。

何か特別に変わったアイディアやアレンジがあるわけではない、やっていることは単なるメロディック・ロック。
どこかで聴いたことのある良くありそうなメロディなのに、なぜか胸を締め付ける独特の翳り。
その鍵を握るのはアン・マリー・ヘルダー。彼女の強弱や音域で表情を変える翳りのある美声と表現力抜群の歌唱が素晴らしい。テクニックや声量を誇示するような野暮なマネは皆無。息継ぎも生々しく収録した、あくまでも自然体の絶品歌唱が楽しめます。
また、弦楽カルテットが絶妙にアレンジの隙間を埋め、楽曲に気品と陰影を与えると共にアルバム全体の統一感ももたらしています。

Track List

1. Song For Tomorrow
2. Chameleon
3. Screens
4. Chances
5. Tightrope Walking
6. Promises
7. Velvet & Stars
8. Freefalling
9. Skin
10. Hiding The World
11. Nocturnal

PANIC ROOM / Skin のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

TAIKA / Pulsate

2012,JAPAN

日本の女性ボーカル・プログレッシブ・ロックバンドTAIKAの1stフルアルバムPulsate。
妙(Vo/Accordion)が全曲の作詞・作曲を手掛けています。

メロディ、リズム、ハーモニーという音楽の3要素の観点からTAIKAの楽曲を表現すると、モーダルで暗く硬質な歌メロ、3拍子をベースにした変拍子の多用、独特のグルーヴを生み出すリズム隊が支えエレガントなピアノとどこか郷愁をさそうアコーディオンが舞うアンサンブル、ということにでもなろうか。

フルアルバムとしては1枚目ながら、既にTAIKA(というか妙)としての個性が確立されており、どの曲にももTAIKAならではのスタイリッシュな演奏と繊細で素朴な歌唱から受けるモノトーンな印象が。

一方で、ある意味パターン化されたスタイルはスケール感や意外性に乏しく、ちょっと油断すると今どの曲を聴いているのか分からなくなることも。

これがTAIKAの世界観なのかもしれないし、高い音楽性を感じさせる人達なので確信的なのかもしれない。
が、個人的な意見としては、時にベタな大甘叙情メロディや他の楽器(ビブラフォンとかなら世界観にも合うと思う)の導入で、少し差し色を加えて目先を変えてみるのもありだと思います。その事で現在の個性もより深みを増すのでは。

Track List

1. Beyond The Promise
2. To The Farthest
3. Mirage
4. Deep Sea
5. In A Different World
6. Spiral Forest
7. Moon And Solitude
8. Awake
9. Meteor

TAIKA / Pulsate のレビューを見る

カテゴリー: TAIKA

タグ: , ,

フォローもよろしくお願いします!

ANNEKE VAN GIERSBERGEN / Drive

2013,NETHERLANDS

アネク・ヴァン・ガースバーゲン(Vo)の、レーベルをInside Out Musicに移しての個人名表記第二弾アルバムDrive。

壮大なギター・ロックで華々しくアルバムの幕を開ける#1。少々落ち着いたヴァースとサビの艶やかな歌唱とのレンジの広さで早くもアネクの魅力が全開。
コケティッシュな序盤から派手にシンバルを打ち鳴らすサビまで徐々に盛り上がる、様々な表情を見せる歌唱が楽しめる#2。
ダニエル・ギブソンなる人物が作曲した#3。これも、バラード調の序盤とロックなサビのダイナミックな起伏が見事。
クリアな歌唱パートを挿入しつつも、少々ダーティにロックな歌唱を聴かせるアルバムタイトル・チューン#4。
ソロ初期の内省的なムードを漂わせたアネクの持ち味の一つであるピュアな美声にフォーカスしたバラード#5。
ヨーロッパ的な叙情を含むロック・チューン#6。
小気味良いリズムに乗せたヴァースが印象的な#7。
Hayko Cepkinなるトルコ人シンガーが唸るエスニックなメロディをフィーチュアした#8。
爽やかなサウンドにアネクの伸びやかな歌唱が乗るポップな#9。
サビ前のブレイクが堪らなくカッコ良い#10。

前作でのバンド形式ロック・スタイルをさらに推し進めつつも、よりキャッチーでポピュラリティを高めた作風。
各曲に必ず耳について離れない個性的で印象的なフックを用意。キャッチーさとギターがドライブするロックな要素が高次元で融合したソロ最高作。
本国オランダやヨーロッパでの評価は良く解らないが、メインストリームでも十分に勝負できるクオリティを持っていると思う。CMとか映画とか、何かのタイアップ的なものがあれば全世界的なブレイクも可能では無いか?

ソロ転向直後の模索段階を経て、いよいよ本格的にシンガーとしての能力を全開放。
GATHERING脱退はショックだったが、もはやそれも過去の出来事。
この才能を単なるゴシック・メタルの枠組みだけに留め置かないで本当に良かったと思える出来。

Track List

1. We Live On
2. Treat Me Like a Lady
3. She
4. Drive
5. My Mother Said
6. Forgive Me
7. You Will Never Change
8. Mental Jungle
9. Shooting For the Stars
10. The Best Is Yet to Come

ANNEKE VAN GIERSBERGEN / Drive のレビューを見る

カテゴリー: ANNEKE VAN GIERSBERGEN

タグ:

フォローもよろしくお願いします!

EDEN HOUSE / Half Life

2013,UK

英国のゴシック・ロック・バンドADORATIONのスティーヴン・キャリー(G/Key)を中心としたゴシック・ロック・プロジェクトTHE EDEN HOUSEの2ndアルバムHalf Life。

モニカ・リチャーズ(Vo)をはじめとする数名の女性シンガーを楽曲に応じて起用。フィル・マンザネラ(G)が#1~3に参加している。

エキゾチックでモーダルなメロディのギターとシンプルなベースのリフをバックに、ウィスパー気味のモニカの歌声がセクシーかつクールに響く#1。サビではサウンドに広がりを出しウィスパー・ヴォイスのハーモニーが聴き手を幻惑。
ジョーダン・レイン(Vo)、ローラ・ベネット(Vo)がコーラス毎にリードわ分け合いサビでクールなハーモニーを聴かせる#2。硬のジョーダン、軟のローラ、正反対の声質を持つ2人の歌唱が互いを補完しつつ融合。
タテ乗りリズムに冷たいシンセ・ストリングス白玉のサビでファルセットを交えた可憐な歌唱に萌える、ローラが1人で歌う#3。
時にハスキーになるクイーニー・モイ(Vo)の切ない歌唱が映える、メランコリック・チューン#4。
ローラが又もや絹のような絶品ファルセットを聴かせる#5。
中音域が特徴的なジョーダンの声質を活かしたミステリアスな#6。ヴァイオリンが荘厳なムードを付加している。
ジョーダン、ローラに、メイアン=ノエル・ペティット(Vo)も加わり、魅惑の多層コーラスが躍動感と緊張感あるリズムに乗る#7。
ANATHEMAのリー・ダグラス(Vo)が客演、シンフォニックな展開も見せる#8。
コケティッシュな声質のフェニックス・J(Vo)が歌うアンニュイな#9。

全編で統一された冷徹でモノトーンな感触、適度にウェットな空間処理。
これらが醸し出す王道ゴシック・サウンドのバックボーンにより、歌い手が変わっても散漫にならずムードが一貫している。
効果的に挿入されるヴァイオリンのさりげない気品も良い。
1stアルバムで話題をさらったジュリアンヌ・リーガンの不参加は残念だが、どのシンガーも素晴らしく、これを機に追っかけてみたくなる魅力を持っている。

Track List

1. Bad Men
2. Indifference
3. Wasted On Me
4. Hunger
5. The Empty Space
6. Butterflies
7. The Tempest
8. City Of Goodbyes
9. First Light

EDEN HOUSE / Half Life のレビューを見る

カテゴリー: EDEN HOUSE

タグ: ,

フォローもよろしくお願いします!

JUDY DYBLE / Flow and Change

2013,UK

ロバート・フリップやイアン・マクドナルドらの参加で話題となった前作Talking with Strangersから4年ぶりのリリースとなる、FAIRPORT CONVENTIONやTRADER HORNEで活躍した女性シンガー ジュディ・ダイブル(Vo)のソロ・アルバムFlow and Change。

SEやスライド・ギターが幽玄な空気を醸し出すフォーク・ロック#1。妖しさとドリーミーなムードの対比がおもしろい。
管弦セクションがクラシカルで厳かな彩りを加える#2。
ストリングスとピアノのバックに控え目なボーカルが乗る、孫娘に捧げられたセンチメンタルなナンバー#3。
ダルシマーのシーケンス・フレーズからクリーンなエレキ・ギターのアルペジオに移行する、エレクトリック・フォークな趣きの#4。
弦楽セクションをバックにした穏やかなフォーク#5。
ジュリアンヌ・リーガンとの共作で、穏やかだが幾分ポップス寄りな#6。少量加えた翳りが心地良いフックとなっている。
ピアノと弦楽セクションをバックにした静謐な#7。途中でドラムも加わるが、パーカッション的なプレイで楽曲の世界観をキープしている。
男性ボーカルとのデュエットを聴かせるエレクトリック・フォーク#8。オーボエが加わる終盤のインスト・パートではドラミングもプロレッシブなアプローチを見せるも残念ながらそのままフェイドアウト。
ピアノと管弦セクションをバックにした端正なバラード#9。
管弦セクションとエレキ/アコギのギターが様々に表情を変えながらも静かに紡ぐ11分超の大作#10。アコギのパートにはトラッドの薫り漂う部分も。

一部に混沌プログレ・パートも存在した前作から打って変わって、管弦を多用した格調高いアレンジがジュディ・ダイブルの儚げな歌声に絶妙にマッチした穏やかなフォーク・ロック。
地味ではあるが、時にはこういう音楽に安らぎを求めたい時もありますね。

Track List

1. Black Dog Dreams
2. Featherdancing
3. Beautiful Child
4. Crowbaby
5. Driftaway
6. Head Full of Stars
7. Silence
8. Letters
9. Wintersong
10. The Sisterhood of Ruralists

JUDY DYBLE / Flow and Change のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

MAGENTA / The Twenty Seven Club

2013,UK

MAGENTAの6thアルバムTwenty Seven Club。

ケルティック・シンフォの傑作KOMPENDIUMでも手腕を発揮したロブ・リードの才能はまだまだ尽きる事の無いようで、本家MAGENTAの新作においてもドラマティックなシンフォニック・ロックを展開している。
アルバム・タイトルは27歳で他界したミュージシャン達の総称で、収録された各曲もそれぞれが故人をテーマにしたものになっており、あまりにもストレートな楽曲タイトルや#2でのクライベイビー、#6でのアコギのスライドギターなど故人のプレイのオマージュにもニヤリとさせられる。

ミステリアスな中近東ムードで幕を開ける#1(ジム・モリソン)。曲調が様々な表情を見せて変貌していき、軽やかな雰囲気のパートを盛り込みながら叙情的に盛り上げる展開の妙が楽しめる。タイトルは爬虫類に関心があったジム・モリソンにちなんで2013年に命名された4000万年前に生息していた巨大トカゲに由来している。
ワウを掛けたギターが主導し、ストリングス・セクションも絡め躍動感あるパートからダークなパートなどを経て大団円を迎える#2。(ジミ・ヘンドリックス)
悲しくくぐもったエレピがリードするバラード#3(ジャニス・ジョプリン)。
シンセが全編で活躍、静動の起伏を付けながら展開し、終盤の切ない叙情が胸に突き刺さる#4。(ブライアン・ジョーンズ)
ゆったりとしたテンポでスケール感あるアレンジで聴かせる#5。(カート・コバーン)後半はスライド・ギターの泣きにストリングス・セクションを絡め怒涛の叙情で畳み掛ける。
転調による場面転換で進行、オマージュとしてアコギのスライドがあしらわれたパートを持つ#6(ロバート・ジョンソン)。

テーマがテーマなだけにハッピーな感じは無いものの、故人の生前の活躍を髣髴させる躍動感あるパートや、魂を鎮めるような叙情パートなど才人ロブ・リードのストーリー・テラー振りにまたしてもやられたという感じ。

Track List

1. The Lizard King
2. Ladyland Blues
3. Pearl
4. Stoned
5. The Gift
6. The Devil at the Crossroads

MAGENTA / The Twenty Seven Club のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

Search

Twitter

Google +

Facebook

Amazon Ranking

Powered by fun9.net

TOP