女性ボーカル のレビュー

MR. SO & SO / Truths, Lies & Half Lies

2013,UK

1989年結成の元ポンプ・ロック・バンドMR. So & SOの5thアルバムTruths, Lies & Half Lies。

ビッグな轟音ギター・リフが度肝を抜く#1。ヴァースのエロクトロニックなシーケンスや爽快に突き抜けるキャッチーなサビなどフック満載のオープニング・チューン。
#1に続きギターのリフがリードする#2。グルーヴィなブルーズ・ロックの定番タイプのリフから、小気味良いカッティングに乗る男女ツインボーカルのブリッジを経てキャッチーなサビへと展開。ビッグなグルーヴとアンプの箱鳴りを感じさせるギター・サウンドが気持ち良くて、ついついボリュームを上げてしまう。
幽玄なアコギのアルペジオをバックにミステリアスなムードで進行する#3。サビでのストリングスが醸すムードががどことなく70年代ポップス風でクール。
エキゾチックな意匠を施したソフトなナンバー#4。
ピアノをバックにしたバラード#5。芯のしっかりした歌唱にファルセットを交え様々な表情を見せるシャルロット・エヴァンス(Vo)の歌唱をフィーチュア。
エキゾチックなムードの中に、キメや独特の感触の男女コーラスなど多彩なフックを織り交ぜた#6。
抑えた女性ボーカルが印象的にたゆたうメロディアスで少々メランコリックでもある#7。
再びシャルロットが主役のバラード・ナンバー#8。
中間部に神秘的な桃源郷パートを配した、ズ太いギター・リフを持つシャッフル・ナンバー#9。
テクノっぽいシーケンス・フレーズをベースに、スリリングなパートやシンセのシンフォニック・パートで場面転換しながら進行するネオ・プログレ・ナンバー#10。
クライマックスに向けてじわじわと盛り上がる男女ツインボーカルのバラード#11。

英国的な陰影を忍ばせたキャッチーなメロディラインを軸に、ベテランらしくツボを得た起伏やサウンド・メイキングで楽曲を構成。
メカニカルな部分とオ-ガニックな部分が自然に融合したモダンなウンドに、ユニークな男女ツインボーカルを組み合わせたアイディアが秀逸。新鮮なオリジナリティを感じさせるアルバム。

Track List

1. Paperchase
2. Apophis
3. Truths, Lies & Half Lies
4. House Of Dreams
5. Looking Glass
6. Jingo
7. You're Coming Home
8. Breathe
9. Time For Change
10. Compliance
11. Please

MR. SO & SO / Truths, Lies & Half Lies のレビューを見る

カテゴリー: MR. SO & SO

タグ: ,

フォローもよろしくお願いします!

OPIUM CARTEL / Ardor

2013,NORWAY/SWEDEN

北欧の21世紀プログレを代表するバンド WHITE WILLOWWOBBLERANGLAGARDのメンバーによるプロジェクトOPIUM CARTELの2ndアルバムArdor。

男性ボーカルと可憐な女性ボーカルが時にユニゾン、時にパートを分け合う#1。エレクトロニックなビートにズ太いシンセも交え、ダークでゴシックな世界観が広がる。
ニューウェイブやニューロマンティックを想起させる男性ボーカルがメインのポップ・チューン#2。柔らかいパッド系シンセとエスニックなシーケンス・フレーズを繰り返すマリンバのような音色が印象的。
悲しげなアコギのアルペジオとくすんだフルートをバックに哀愁ボーカルの第一人者ティム・ボウネスが歌う暗黒フォーク#3。
エスニックというかどことなく土着的なムードがするサビのメロディが耳に残る#4。
かわいらしいグロッケンと2本のアコギによる繊細なバックに儚げな女性ボーカルが乗るドリーミーなフォーク・パートと男性ボーカルがリードを取る幽玄な暗黒パートからなる#5。中間部にはメロトロンも。
ボーカル・パートが珍しく終始明るいムードの一方、漆黒のフルートが妖しく舞うインスト・パートとの対比が見事な#6。
女性ボーカルがイコライジングを施した序盤からノーマルに移行するエフェクトが効果的な演出となっている#7。厚いパッド系シンセや滑らかなアナログ・シンセのソロなど、細かい譜割りよりも白玉が目立つアレンジが異色。メロトロンやヴィンテージの香り漂うオルガンが良い感じの空気感を醸成。
アコギとエレキのアルペジオからなる叙情バッキングにウィスパー気味の女性ボーカルが乗るメランコリックな#8。発振させたグラスハープのようなシンセ、滑らかなベースなどが優しく包み込み、暗くも温かみのある北欧ならではの味わい。
イントロのピアノのリフレインをボーカル・パートのバックではグロッケンなどで繰り返し一貫性を持たせつつ、曇天のようなストリングス系シンセ、プログレッシブな様相を呈する7拍子のインスト・パートでの狂おしいサックスなど、器楽系では予想のつかない展開を見せる11分超プログレ・チューン#9。

タイトルのArdor=熱情に反して決して熱くならないクールで幽玄なムードは北欧ならではのもの。
ポップなのに仄暗く、アナログとデジタル的エレクトロニカが融合した独特のサウンド。
男性ボーカルにはゴシックやニューウェイブの薫りも漂い、70年代以降の様々なジャンルの音楽の要素が見え隠れした21世紀的なスタイル。

Track List

1. Kissing Moon
2. When We Dream
3. Then Came the Last Days of May
4. Northern Rains
5. Silence Instead
6. White Wolf
7. The Waiting Ground
8. Revenant
9. Mariner, Come In

OPIUM CARTEL / Ardor のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

RENAISSANCE / Grandine Il Vento

2013,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドRENAISSANCEの2000年作Tuscanyから13年ぶりとなるアルバムGrandine Il Vento。

2009年頃からの70年代ライブ音源や映像作品リリースを発端とし、ツアー活動にEPアルバムThe Mystic and Other Storiesの発表など、他の懐メロ集金バンド達とは一線を画した現役バンドらしい活動を行ってきたRENAISSANCE。全盛期のメンバーはアニー・ハズラム(Vo)とマイケル・ダンフォード(G)のみというのは寂しい部分もあるが、マイケル・ダンフォードが新曲を書きそれをアニー・ハズラムが歌う、というスタンスはこの近年の活動を正統なRENAISSANCEとして認めさせるに充分な説得力を持っていたのは事実。
そして、ツアーを続けながら基金サイトKICKSTARTERで衣装や楽器などお宝グッズと引き換えに基金を募り、新作の制作を進めているという情報も、現役バンドRENAISSANCEの復興に心躍らせる要因であった。
そんな中、2012年11月にマイケル・ダンフォードの悲報が・・・
活動が順調であっただけにショックは大きかったが、そんな苦難を乗り越えて新作を届けてくれた彼らにまずは賛辞を贈りたい。

ミステリアスなヴァースから感動のサビを経てインスト・パートへ至るいかにもマイケル・ダンフォードな進行を見せる12分超のオープニング・チューン#1。オルガンが入る劇的な場面切り替えも効果的で、霞がかかったようなコーラス部分も含め、70年代のヴァイブを見事に現代に蘇らせている。これでピアノがジョン・タウトの繊細なタッチでベースがジョン・キャンプのリッケンバッカーだったら、と思わず夢見てしまう。
アニーの美声をフィーチュアしたまどろみのフォーク#2。
Mother Russiaあたりを想起させる、重厚さと叙情を兼ね備えた#3。
サビのコーラスにAses Are Burningの頃の素朴さが薫る#4。
透明感ある明るいムードがNorthern Lightsを彷彿させる、イアン・アンダーソンがクセのあるフルートで客演の#5。
アコーディオン、タンゴっぽいリズムに男性(ベースの人か)とのデュエットと珍しい取り合わせの#6。
ピアノをバックにアニーとジョン・ウェットンが共演したバラード#7。ジョン・ウェットンが存在感ありすぎ。
先のEPで既におなじみの#8。マイケル・ダンフォードの未だ衰えぬ作曲技術を見せ付けたドラマティックなナンバー。ラストが少々あっさりしているのが惜しい。

事実上のラストアルバムとも言えるだけに、イアン・アンダーソンやジョン・ウェットンの強烈な個性に頼ることなく純粋にマイケルとアニーのRENAISSANCE色を出して欲しかったとの思いもあるが、楽曲自体は円熟の境地を見せるマイケル・ダンフォードの才能に満ち溢れている。

アニーは60代中盤とかなりの高齢にもかかわらず、気合の入った歌唱で高音部の伸びは往時のそれを彷彿させるものとなっている。反面、中低域の弱めの部分では若干ハリや柔らかさに欠ける印象も。しかしこれは、70年代のモヤがかかったような音像での神秘的なイメージと現代デジタル・レコーディングのによる解像度の違いからくるものかもしれない。

Track List

1. Symphony Of Light
2. Waterfall
3. Grandine il Vento
4. Porcelain
5. Cry To The World
6. Air Of Drama
7. Blood Silver Like Moonlight
8. The Mystic & The Muse

RENAISSANCE / Grandine Il Vento のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

ANETTE OLZON / Shine

2014,SWEDEN

元NIGHTWISHの女性シンガー アネット・オルゾン 1stアルバムShineのレビュー。

マシンのビートに乗るストリングス・セクションをバックに透明感ある美声を聴かせる#1。
ブレイク後のストリングスが絡むサビが爽快でキャッチーなポップ寄りゴシック・メタル風ナンバー#2。
北欧フォークロアのテイストを感じさせる柔らかな歌唱のファンタジックなナンバー#3。
魅力的な中音域のヴァースからアルバム中最高音のサビに突き抜けるバラード#4。
宗教的とも言える神秘的なムードの静謐な#5。
気品あるストリングスと張りのある歌唱が印象的な#6。
サビのメジャーセブンスにハッとなる、アルバム中一番ゴシック・メタル寄りなミディアム・スローの#7。
ダークでミステリアスなヴァースとフォークロア風味のサビを持つ#8。
ピアノを中心にシンセ、ストリングスが絡むバラード#9。
幻想的なバッキングに優しい美声のポップなメロディーが乗る#10。

アルバムShineの音楽性は、ギターの歪み度と音量を下げたあまりダークでは無いゴシック・メタルといった印象。ちなみにアネット・オルゾン本人によれば、ポップ・ロック或いはポップ・メタルとのこと。
アネット・オルゾンと共同プロデュースしているブレイン達が優秀なようで、各楽曲が程よくバラエティに富みつつも、アルバム通してムードを統一させた手腕が光る。
彼女の歌唱も、これがソロ1stアルバムと思えないほど完璧。フェミニンな美声と硬軟・強弱で多彩に変化させる表現力が素晴らしい。さすが2000人の応募者から勝ち抜いてNIGHTWISHのボーカリストの座を射止めただけのことはある。

Track List

1. Like a Show Inside My Head
2. Shine
3. Floating
4. Lies
5. Invincible
6. Hear Me
7. Falling
8. Moving Away
9. One Million Faces
10. Watching Me from Afar

ANETTE OLZON / Shine のレビューを見る

カテゴリー: ANETTE OLZON

タグ:

フォローもよろしくお願いします!

PANIC ROOM / Incarnate

2014,UK

英国ウェールズの女性ボーカル・シンフォPANIC ROOMの4thアルバムIncarnate。

ブルーズ・ロック・タイプのギター・リフがリードするミディアム・スローの叙情ナンバー#1。
ストリングスのピチカートによるアルペジオがENYAを想起させる、清涼感のあるポップなナンバー#2。
3音からなるシンプルなアルペジオのリフをベースに、エキゾチックな要素などモーダルな響きを絡めて展開するミステリアスな#3。様々な場面転換がフックとなっている、アルバム中で最もアイディアに満ちた楽曲。
クリーン・トーンのギター・リフとリムショットで淡々と進行するバラード#4。脱退したオリジナル・メンバーのポール・デイヴィスに代わって参加のアダム・オサリバン(G)が渋いギター・ソロを聴かせる。
SUPERTRAMP風のパーカッシブなエレピ(ウーリッツァーか?)がリードするキャッチーな#5。ドラミングもエレピに呼応してタム中心から徐々にスネアを増やして行く良く練ったアレンジとなっている。
モーダルな響きが神秘的なムードを醸成する#6。
メランコリックなロッカバラード#7。ウィスパー気味な序盤から熱唱の大サビまで、アン=マリー・ヘルダー(Vo)のレンジの広いエモーショナルな歌唱が堪能できる。
何となく80年代ポップ風なムードとハーモニカのソロが胸キュンな、軽快なリズムに乗った哀愁チューン#8
仄かに叙情を織り込んだ広がりのあるサウンドのバラード#9。
深遠でミステリアスなムードの#10。

ハード・ロック寄りの派手でエッジの立ったプレイが特徴だったポール・デイヴィスと比較すると、アダム・オサリバンは堅実ながらもやや地味なプレイ・スタイル。
ストリングス・セクション、ポール・デイヴィスによるハードなダイナミズムなどで楽曲をドラマティックに彩った前作のダークさや叙情は後退し、全体的にシンプルで透明感が増した印象。
その結果、PANIC ROOM唯一にして絶対的なセールス・ポイントであるアン=マリー・ヘルダーの歌唱がよりフィーチュアされ、#7などの叙情ナンバーでの扇情力は勿論、#2や#5などの伸びやかでキャッチーなナンバーにおいても彼女の歌声と歌唱の普遍的な魅力が引き出されている。

Track List

1. Velocity
2. Start The Sound
3. Incarnate
4. Nothing New
5. Waterfall
6. Into Temptation
7. All That We Are
8. Searching
9. Close The Door
10. Dust

PANIC ROOM / Incarnate のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

FREQUENCY DRIFT / Over

2014,GERMANY

ドイツのプログレッシブ・ロック・バンドFREQUENCY DRIFTの5thアルバムOverのレビュー。

チェロで幕を開けハープをバックにしたメランコリックなボーカル・パートへ移行、もの悲しいデュクラーなるたて笛の静謐や轟音ギターが唸るヘヴィなインスト・パートを含む#1。
イントロの枯れた味わいのギターによるトレモロから既にメランコリック度満点。清楚なIsa Fallenbacher嬢の歌唱がサビで左右CHに振り分けられで幽玄に迫るロマンティックな#2。
ハープの叙情的なイントロから一転してAgathe Labus嬢の妖艶な歌唱パートへと続く前半部、後半のインスト・パートはハープ、デュクラー、フルートの叙情をフィーチュアした#3。
2人の女性シンガーがそれぞれ好対照な持ち味を出すサビがおもしろい#4。終盤にSEで日本語の鉄道駅構内アナウンスが飛び出してハッとする場面も。
スペイシーなシンセのサウンドスケープ、コンテンポラリーなタッチのボーカル・パート、7拍子のハープ・ソロなどを6分弱に収めた美しいナンバー#5。
Isa Fallenbacher嬢のエンジェリック・ヴォイスがフィーチュアされた耽美なボーカル・パートとフルートがアグレッシブに吹き鳴らされるヘヴィなインスト・パートを対比させた#6。
ハープとボーカルのユニゾンにチェロが加わりメランコリックな陰影を増す#7。
マリンバのシークエンスをアクセントにIsa Fallenbacher嬢のセルフ・ハーモニーが甘美な味わいの#8。
Isa Fallenbacher嬢のクリアな歌声を活かしたキャッチーな歌唱、コルグのWavedrumと思しきパーカッション・ソロ、ハープシコードのクラシカルなソロなど予測不能に展開する#9。
Agathe Labus嬢が歌う静かな中にも官能的なダークネスから、エキゾチックなムードも湛えた不思議なインスト・パートへ移行する#10。
重厚なストリングス・セクション、キャッチーなボーカル・パート、ザクザクしたギターをバックに舞い踊るフルート、7拍子のプログレ然としたシンセ・ソロなどアイディア満載の10分の大作#11。
ハープ、ピアノ、チェロなどで優しく奏でられるバックに切々とした歌唱が乗るもの悲しいバラード#12。

厳かなハープ、クラシカルなストリングス・セクション、浮遊感のあるシンセやエレクトロニカ、メタルの面影を残すギターなどが融合。そこにイノセントなIsa Fallenbacherとジャズの素養があるAgathe Labus(#3、#4、#10)の2人の女性ボーカルが乗り、気品と妖しさ、デジタルな無機質さやアンビエントが渾然一体となったユニークなサウンド。大仰なドラマティックさは無いが、耽美なムードにゴシックの薫りも漂う。
緻密でテクニカルなアンサンブルに支えられたボーカル・パートはメロディアスで取っつき易く、メランコリックな風情にアンニュイな女性ボーカル、エレクトロニカという部分でPAATOSファンにもおすすめ。

Track List

1. Run
2. Once
3. Adrift
4. Them
5. Sagittarius A*
6. Suspended
7. Wave
8. Wander
9. Driven
10. Release
11. Memory
12. Disappeared

FREQUENCY DRIFT / Over のレビューを見る

カテゴリー: FREQUENCY DRIFT

タグ: ,

フォローもよろしくお願いします!

NICK MAGNUS / N’Monix

2014,UK

元スティーヴ・ハケット・バンドのキーボーディスト ニック・マグナスの5thアルバムN’monix。

メロトロンも絡むミステリアスなイントロから、英国らしいヒネリの効いたメロディの歌唱パートに移行する#1。ピーター・ガブリエルが歌うとハマりそうなところを、トニー・パターソン(Vo)が技量は少々物足りないが何とか雰囲気は出している。
厳かなストリングスをバックにケイト・ファバー(Vo)の超美麗ソプラノをフィーチュア、終盤はクワイヤで壮大に盛り上がる#2。
ブラス・セクションのファンファーレとマーチのリズムに乗ったイントロから7拍子の歌唱パートへ、さらにGENESIS風の陰影を付けて展開する#3。
パーカッシブなエレピがリードし、ニック・マグナス自身が歌う#4。
ピート・ヒックス(Vo)の明朗な歌声がマッチした、ポップな中にも洒落た起伏でドラマ性を持たせた#5。伸びやかで構築度の高い間奏と、よりエモーショナルでクリケット奏法などトリッキーな技も忍ばせた後奏でスティーヴ・ハケット(G)が魅力たっぷりに聴かせる。
天性の叙情声シンガー ティム・ボウネス(Vo)が歌う湿り気を帯びた#6。ロブ・タウンゼント(Sax)のサックス・ソロ、スティーヴ・ハケットのギター・ソロが哀愁を駆り立てる。
神秘的なクワイヤとスティーヴ・ハケットのギターによる美しいコラボレーション#7。
ジェイムズ・リーヴス(Vo)が歌う、仄かな叙情を交えた優美なファンタジック・チューン#8。

GENESISのファンタジック面を担っていたスティーヴ・ハケットとの長年の仕事から吸収したと思われる上品で翳りを交えた英国風メロディが冴える、英国の良心を体現したかのような上品でファンタジックな作品。
スティーヴ・ハケットをはじめとしたゲスト陣の丁寧なプロの仕事も印象的。

Track List

1. Time
2. Memory
3. Kombat Kid
4. Headcase
5. Eminent Victorians
6. Broken
7. Shadowland
8. Entropy

NICK MAGNUS / N’Monix のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

陰陽座 / 雷神創世

2014,日本

妖怪ヘヴィ・メタル・バンド陰陽座の12thアルバム雷神創世。

ドラムのビートが雷鳴のように轟くアルバムのイントロダクション的なオープニング#1。瞬火(B/Vo)メインの歌唱に黒猫(Vo)がハーモニーで加わっていく瞬火らしい演出が冴える。
黒猫のファルセットも交えた堂々たる歌いっぷりがメタル・クイーン然とした、ツーバス連打が牽引するメタル・チューン#2。
オールドスクールなハード・ロック寄りのリフを持つ#3。
スラッシーなリフ、瞬火のデス・ヴォイスとギタリスト達の掛け声で押し捲る、陰陽座男子チームのみによる硬質なメタル・チューン#4。
黒猫のコブシが絶品の演歌調歌唱をフィーチュアした#5。
黒猫の歌唱とキー=A(アルバム全曲ドロップDチューニングの為かここではキー=G)というフォーマットに則った忍法帖シリーズ#6。
ユーモラスな歌詞とそれに合わせたチャーミングな黒猫の歌唱が楽しめる招鬼(G)作曲のファンキーな#7。
シンガーとしても進境著しい瞬火の男っぽい歌唱と黒猫のクリアな歌声を対比させたメロディアスなハード・ロック#8。
メロウなパートでのファルセットを交えた透き通った美声、ロックなパートでのメタル・クイーン歌唱、不穏なパートでのおどろおどろしさ等、展開に合せて様々な表情を見せる黒猫の歌唱が素晴らしい12分超のエピック・チューン#9。
雅な和琴をイントロに配し、黒猫がしっとりとした美声を聴かせるバラード#10。
稲妻のようなツインリードのリフがフックとなり、静から動へ徐々に展開する起伏が見事なメタル・チューン#11。
メンバーの出身地愛媛弁で瞬火が歌う陰陽座定番のパーティ・ソング#12。

ドラマティックなオープニング、疾走メタル・チューン、復活した忍法帖シリーズ、黒猫のバラエティ豊かな表現力、そして締めのお祭りと陰陽座の定番パターンをハイクオリティ且つ抜群の安定感で綴る雷神創世。
メンバーの個性を各楽曲の随所に打ち出したプロデュース能力に加え、コンセプト・アルバムの次に2作品同時リリースという驚きのマーケティング戦略。
瞬火の才気はまだまだ尽きることが無いようだ。

Track List

1. 雷神(らいじん)
2. 天獄の厳霊(てんごくのいかづち)
3. 千早振る(ちはやぶる)
4. 人首丸(ひとかべまる)
5. 夜歩き骨牡丹(よあるきかわらぼたん)
6. 神鳴忍法帖(かんなりにんぽうちょう)
7. 天狗笑い(てんぐわらい)
8. 青天の三日月 Rising Mix(せいてんのみかづき)
9. 累(かさね)
10. 蜩(ひぐらし)
11. 而して動くこと雷霆の如し(しこうしてうごくことらいていのごとし)
12. 雷舞(らいぶ)

陰陽座 / 雷神創世 のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

陰陽座 / 風神界逅

2014,日本

妖怪ヘヴィ・メタル・バンド陰陽座の11thアルバム風神界逅。

クリーンなギターのカッティングとメロトロン・フルートの静かなイントロから、壮大で爽やかなシンフォニック・パートに発展する陰陽座としては珍しいタイプのオープニング・チューン#1。
#1からの入り方がメタル王道のカッコ良さを持つ疾走チューン#2。狩姦(G)による構築度の高いクラシカルなリックがカッコ良い。
#2とテンポやキーが同じで一瞬「続き?」と錯覚するも、ハード・ロック寄りなリフとキャッチーなサビに個性を持たせた#3。
瞬火(B)がシャウトするゴリゴリなヘヴィ・メタルに、黒猫(Vo)の和風コブシ歌唱で陰陽座らしいフックを加えた#4。
黒猫のフェミニンな歌声をフィーチュアしたバラード#5。
ブリティッシュ・ハード・ロックの古式に則ったツイン・リード・リフが牽引する、タイトルを具現化したスピード・チューン#6。
単音とハーモニクスを多用したリフに80年代アメリカンHR/HMの薫り漂う、瞬火の歌唱パートも含んだ忍法帖シリーズとしては異色の#7。
ムーディな序盤から3拍子へ変化し、さらに5拍子のパートも交えての複雑な展開をメロディアスにさらりと聴かせる、陰陽座らしいプログレッシブ・バラード#8。
メイン・ストリームでも充分通用するであろう、狩姦作曲のメロディアスなポップ・チューン#9。
シンセストリングスをバックに黒猫の美麗ソプラノが堪能できる、日本的な雅を感じさせるメロディも秀逸な黒猫作曲の雄大なバラード#10。
疾走チューンでありながら、黒猫、瞬火ともにメタル度を抑えたマイルドな歌唱で叙情を印象付けるドラマティックでメロディアスなメタル・ナンバー#11。瞬火歌唱パートに、1オクターブ上でユニゾンする黒猫の歌唱がうっすらとミックスされて神秘的な透明感を演出する手法は陰陽座ならでは。
黒猫の伸びやかでキュートな歌唱をフィーチュアした明るいポップ・ナンバー#12。

同時リリースの雷神創世が剛だとすると、本作風神界逅は柔か。
全曲レギュラー・チューニングによる煌びやかさは、時に疾風の如くあるいは爽やかな風のように、風をモチーフにした楽曲との相性が良く、瞬火のプロデュース能力の高さを改めて証明。
少々キャッチーながらそこは勿論妖怪ヘヴィ・メタルの範疇の話であり、メタル・ファンならガッツ・ポーズ間違いなしの#2、#11など楽曲群は珠玉揃い。
楽曲ダウンロード全盛の時代にあって、瞬火自ら手掛けるアートワークへのこだわりやクレジットでのちょっとした遊び心には、次もCDを買ってみたいと思わせる吸引力がある。
サウンド・プロダクションやギタリスト2人のプレイも、数作前と比較すると格段に向上している。

Track List

1. 風神(ふうじん)
2. 神風(かみかぜ)
3. 然れど偽りの送り火(されどいつわりのおくりび)
4. 一目連(いちもくれん)
5. 蛇蠱(へびみこ)
6. 飆(つむじかぜ)
7. 無風忍法帖(むふうにんぽうちょう)
8. 八百比丘尼(やおびくに)
9. 眼指(まなざし)
10. 雲は龍に舞い、風は鳳に歌う(くもはりゅうにまい、かぜはとりにうたう)
11. 故に其の疾きこと風の如く(ゆえにそのはやきことかぜのごとく)
12. 春爛漫に式の舞う也(はるらんまんにしきのまうなり)

陰陽座 / 風神界逅 のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

TAIKA / Aware

2014,日本

日本のプログレッシブ・ロック・バンドTAIKAの3rdアルバム Aware。

6/8拍子での高橋在也(Pf)のピアノに絡む妙(Vo/Accordion)のアコーディオンというイントロからTAIKAらしさ満点の#1。
Dani(B)のベースが提示する7拍子パターンがリードするミステリアスな#2。曲調が徐々に激しさを増し、それに呼応して谷本朋翼(Dr)がスネアを入れてくるアレンジがカッコ良い。
ベースのハーモニクスと緩い感じのアコーディオンに煌びやかさを少々抑えたピアノのアルペジオが印象的な、TAIKAには珍しい明るい希望的なサビを持つ#3。勿論、7拍子に超絶ベース・ソロとTAIKAの器楽的な魅力も。
ゆったりとした3拍子でトライバルなタム回しがリードする前半から大きなスケールに展開する#4。
6/8拍子の典型的なTAIKAチューン#5。歌メロを継承しながら軽やかに発展させていくピアノ・ソロとそれに続くアコーディオン、静かなパートでの場面転換など多彩なフックで聴き手を引き込む。
寂寥感と優しさが同居したボーカル、柔らかいタッチのピアノ、和音も駆使したベース・ソロが珍しい4拍子に乗るTAIKA風バラード#6。
ダークな序盤から明るさと躍動感へとドラマティックに移行していく#7。2012年の皆既日食にインスパイアされた楽曲だそうで、なるほど納得。
高速5拍子を軸に展開する#8。ボーカルとシンクロしたドラム、間奏前のジャジーなリズム・チェンジ、ファズ・ベースの超絶攻撃的ソロなど聴き所満載のプログレッシブ・チューン。
間奏のオーバーダブしたスキャットや捻った歌メロなど、神秘的なイメージの#9。
ピアノが提示したモチーフにユニゾンで被せていくアコーディオン、静と動のドラマティックな対比、ピアノ・ソロのバックで徐々に手数を増していくリズム隊等々、理想的なTAIKA典型チューンの#10。

シンプルな楽器編成とムードから受ける第一印象を色でたとえると鈍色(にびいろ)といった感じのTAIKAではあるが、変拍子をさらりと聴かせてしまう高度なアレンジ、#8や#10に代表されるスタイリッシュな独特のグルーヴ感、繊細な妙のボーカルなど各要素が絶妙な配合で華を添え、このメンバーのTAIKAとしてでしか出し得ない独自の世界を醸成している。もはや孤高といっても差し支えないだろう。

妙によるライナー・ノーツはこちら

Track List

1. Alive
2. Gate of Abyss
3. 白き光芒
4. Red Ground
5. 風の標
6. Color to Remind ~ 水底の世界II ~
7. eclipse
8. Immortal Fate
9. Deep into the drowse
10. 渡り鳥

TAIKA / Aware のレビューを見る

カテゴリー: TAIKA

タグ: , ,

フォローもよろしくお願いします!

LUNA ROSSA / Secrets & Lies

2014,UK

英国ウェールズの女性ボーカル・シンフォPANIC ROOMに在籍するアン=マリー・ヘルダー(Vo/G)とジョナサン・エドワーズ(Key)によるプロジェクトLUNA ROSSAの2ndアルバムSecrets And Lies。

爽やかなバックにアン=マリーのスキャットが乗る清涼感あるオープニング#1。
トレモロを掛けたエレキ・ギターのソロがアクセントとなった、アコギとピアノをバックに抑えたトーンで歌うメランコリックな#2。
くすんだエレピの渋いトーンにジャストフィットしたディープな歌唱が乗るムーディな#3。
バックのアコギとウッドベースの暖かみあるトーンが印象的なフォーク・ナンバー#4。
流れるようなピアノのアルペジオとロング・トーン中心の歌唱が対をなす神秘的なイメージの#5。
ユーモラスなムードを持つトラッドのダンス・チューン風ナンバー#6。
まろやかなエレピとベースに乗るアン=マリーのハスキー気味な歌唱が胸に刺さる、メランコリックなトッド・ラングレンのカヴァー#7。
ケルティック・ハープの厳かな響きを活かした#8。アン=マリーの美しいハイ・トーンがタイトル通りの飛翔感を演出。
ルナ・ロッサ・ストリング・カルテットなる弦楽四重奏が素晴らしいサポートを見せるランディ・ニューマンのカヴァー#9。
弦楽四重奏の優しく浮遊する白玉とアン=マリーの歌唱が絶妙のハーモニーを醸し出す#10。
ピアノとウッド・ベースのみをバックに従えた5拍子の感動的バラード#11。

PANIC ROOMではハード・ロックから哀愁ナンバーまで、幅広くエモーショナルな歌唱を聴かせるアン=マリーだが、LUNA ROSSAではリラックスした自然体で憂いを含んだ深みのある歌声を披露。楽曲群もアンプラグド寄りのシンプルな音像ゆえ、アン=マリーの魅力がより鮮明に伝わる。
よりシリアスなバンド形態のPANIC ROOM、英国伝統の感触を残すLUNA ROSSAと、明確にテイストの違いを打ち出し、それぞれの活動に良い形でフィードバックさせているようだ。

Track List

1. Aurora
2. Secrets & Lies
3. Disappointment
4. The Black Dog
5. Flowers In My Hair
6. Happy Little Song
7. Tiny Demons
8. Fly Away
9. I've Been Wrong Before
10. The Harmony
11. No Chords Left

LUNA ROSSA / Secrets & Lies のレビューを見る

カテゴリー: LUNA ROSSA

タグ: ,

フォローもよろしくお願いします!

KARNATAKA / Secrets of Angels

2015,UK

アイリッシュ・ダンス方面の活動と平行し2012年に新加入したヘイリー・グリフィス(Vo)をフィーチュアしての初スタジオ作となるKARNATAKAの5thアルバムSecrets of Angels。

厳かなストリングスで幕を開け、シンフォニックな中にエキゾチックなアラビア音階のモチーフを加えたKARNATAKAらしい#1。
ピアノとストリングス・セクション、緊張感あるブリッジ・パートにゴシックの薫り漂う#2。
ゴシカルで荘厳なイントロや重層クワイヤとストリングスを配し、サビでは凛としながらも清涼感あるメロディで開放感を得る#3。
静かなオープニングから一転し、ヘヴィなバッキングが入るパートからゴシック色を増す#4。
端正なストリングのバッキングが彩りを加えるヴァースととキャッチーなサビを対比させた#5。
中音域で情感たっぷりに歌うパートでヘイリー・グリフィスが表現力を発揮するバラード#6。
ポジティブなムードが溢れる優美なシンフォニック・ナンバー#7。
トロイ・ドノックリーのイリアン・パイプをフィーチュアしたトラッド風ケルト・パートとストリングスも交えた壮大なシンフォニック・パートが行き来する20分超の#8。ハープとスキャットの神秘的なコラボ・パートや緩急を交えた展開でドラマティックに聴かせるエピック・チューン。

ここ数作は作品ごとにシンガーが交代するKARNATAKA。音楽性もその都度変化し、今回はリヴ・クリスティン(LEAVES’ EYES、ex.THEATRE OF TRAGEDY)を彷彿させるヘイリー・グリフィスのエンジェリック・ヴォイスにインスパイアされたのか、ゴシック・メタルの作法を大幅に導入。
元々シンフォニックなサウンドとの融和性が高いゴシック・テイストと存在感あるヘイリー・グリフィスの歌唱がKARNATAKAサウンドの幅を広げる効果をもたらしている。

Track List

1. Road To Cairo
2. Because Of You
3. Poison Ivy
4. Forbidden Dreams
5. Borderline
6. Fairytale Lies
7. Feels Like Home
8. Secrets Of Angels

KARNATAKA / Secrets of Angels のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

RENAISSANCE / Academy Of Music 1974

2015,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドRENAISSANCEのライブ・アルバムAcademy Of Music 1974。
FM放送局主催で放送用に企画されたためか、珍しく24人編成のオーケストラを加えた演奏。

バンド全盛期にリリースされたLive at Carnegie Hall以降、90年代末からぽつぽつとリリースされるようになったRENAISSANCEのライブ・アルバム。経費の問題を考えると妥当だが、オーケストラ入りのライブはRENAISSANCEというバンドのイメージ程多くは無く、Live at Carnegie Hall(1975年録音)とAt the Royal Albert Hall(1977年録音)くらいしか無かったところにこの1974年録音のAcademy Of Music。オーケストラ入りということを含めても最初期のライブ盤となり、資料的価値も高い。特に#2、#4はこのAcademy Of Musicでしか聴けない貴重なライブ音源。ただ、オーケストラが24人編成という小規模な為か、管楽器が貧弱なのが惜しい所。しかし逆にマイケル・ダンフォード(G)の美しい12弦アコギがオケに埋もれることなく明瞭に聴こえるという副産物も。

3枚のアルバムからのレパートリーということで、バンドの演奏はこなれたもので、曲間MCでのアニー・ハズラム(Vo)の笑いっぷりにリラックスした感じも伺える。
そのアニーの歌声は後年のライブ音源で聴ける程の艶は無く、このライブの後リリースされるScheherazade and Other StoriesやNovellaといった名作の制作及びそれらアルバムを引っさげてのライブ・ツアーを経て磨かれていったものだろう。

Track List

DISC 1
1. Can You Understand
2. Black Flame
3. Carpet Of The Sun
4. Cold Is Being
5. Things I Don t Understand
6. Running Hard

DISC 2
1. Ashes Are Burning
2. Mother Russia
3. Prologue

RENAISSANCE / Academy Of Music 1974 のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

LONELY ROBOT / Please Come Home

2015,UK

IT BITESFROSTに在席するジョン・ミッチェル(G/Vo)の新プロジェクトLONELY ROBOTの1stアルバムPlease Come Home。
FROSTでの同僚クレイグ・ブランデル(Dr)をはじめ、ゲストとしてFROSTのジェム・ゴドフリー(Key)、スティーヴン・ウィルソンのバンドなどで活躍するニック・ベッグス(B)、MARILLIONのスティーヴ・ホガース(Vo)、GO WESTのピーター・コックス(Vo)、元MOSTLY AUTUMNのヘザー・フィンレイ(Vo)、TOUCHSTONEのキム・セヴィア(Vo)らが参加。

スペイシーで壮大なインストゥルメンタル#1。
ギターのヘヴィな単音リフがリード。#1のムードを引き継いだスペイシーな静寂パートとヘヴィなサビのギャップで聴かせる#2。
ピーター・コックスが歌うIT BITES風ポップ・ナンバー#3。
スティーヴ・ホガースがピアノとバッキング・ボーカルを担当。ジョン・ミッチェルとヘザー・フィンレイのデュエットによる美しいバラード#4。
ジェム・ゴドフリーが参加。クリーンなアルペジオに象徴される歌唱パートや中間部のインスト・パート冒頭の清涼感とFROSTを彷彿させる怒涛のインスト・パートが同居した#5。
神秘的な広がりを見せる思索系チューン#6。
可憐な歌声を聴かせるキム・セヴィアをフィーチュア。スケールの大きなインスト・パートを内包した壮大なバラード#7。
サビでのちょっとした変拍子がフックとなった、IT BITESのGhostを彷彿させるキャッチーなアップテンポ・ナンバー#8。
緊張感あるヴァースと叙情的なサビを持つ#9。
スティーヴ・ホガースの奏でる静寂のピアノをバックに、寂寥感や哀愁など様々な表情を見せるジョン・ミッチェルの歌唱をフィーチュアしたバラード#10。渋いトーンとフレージングのギター・ソロはニック・カーショウ。
アンビエントを効かせた浮遊するピアノをバックに語りかけるように歌う静かな小品#11。

ジョン・ミッチェルのギター/歌唱の安定した実力はもとより、ゲスト達の個性を活かしながらも自身のプロジェクトとしての一貫したカラーを保つソングライティング/アレンジやプロデュース能力の高さを示した好盤。
元々はジョン・ベックがフィッシュのツアーに参加するため、IT BITESの活動に休止期間ができたのがプロジェクト開始のきっかけらしいが、IT BITESの次回作も期待できそうだ。

Track List

1. Airlock
2. God Vs. Man
3. The Boy In The Radio
4. Why Do We Stay?
5. Lonely Robot
6. A Godless Sea
7. Oubliette
8. Construct/Obstruct
9. Are We Copies?
10. Humans Being
11. The Red Balloon

LONELY ROBOT / Please Come Home のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

WHITE WILLOW / Animal Magnetism

2015,NORWAY

ヤコブ・ホルム・ルポ(G/B/Syn)、WOBBLERのラース・フォレデリク・フロイスリー(Syn)、元ANGLAGARDで最近はNECROMONKEYKAUKASUSの活躍が目覚しいマティアス・オルセン(Dr)のWHITE WILLOW及びWHITE WILLOWの派生プロジェクトOPIUM CARTELの中心メンツに、OPIUM CARTELの2ndアルバムArdorに参加していた女性ポップ・シンガー ベンケ・ナッツソン(Vo)とクラリネット奏者を加えたWHITE WILLOW名義でのシングル Animal Magnetism。原曲はSCORPIONSの同名アルバムのタイトル・トラック。有名な発禁ジャケットに登場していた犬と女性をあしらったカヴァー・アートもリスペクトが感じられおもしろい。

原曲の怪しいムードはそのままに、ギターのリフを分厚いアナログ・シンセでカヴァー。特にボーカル・パートの3連バッキング・リフをシンセのシーケンンス・フレーズ風に再構築するクラウト・ロック的解釈が斬新。まるで幻覚を見るかのようなトリップ感を醸し出している。そこにベンケ・ナッツソンの本来可憐な歌声が少々アンニュイに乗ることで浮遊感を演出。さらにソロ・パートでは、サックスかと耳を疑うほどクラリネットがアグレッシブにプレイし非日常感を増強している。

メンバーの重複度からするとWHITE WILLOWよりもOPIUM CARTEL寄りなのだが、音楽性的にプログレ寄りなのでWHITE WILLOW名義なのだろう。
今回はSCORPIONSファンだというヤコブ・ホルム・ルポの趣味から発展したちょっとした企画モノではあるが、仕事熱心な彼らからは今後も目が離せない。

Track List

1. Animal Magnetism

WHITE WILLOW / Animal Magnetism のレビューを見る

カテゴリー: WHITE WILLOW

タグ: ,

フォローもよろしくお願いします!

CHRISTINA / The Light

2015,UK

英国のシンフォ・バンドMAGENTAの女性ボーカリスト クリスチーナのソロ・アルバム The Light。

くぐもったエレピの渋いカラーが支配するブルース風ナンバー#1。
ピアノのアルペジオとチェロのピチカートが滴り落ちる水の雫のようなムードを作り、繊細な管弦セクションがシンフォニックな彩りを加える、神秘性とコンテンポラリーな要素を融合した#2。
クリスチーナの伸びやかな歌声を活かしたオーソドックスな叙情ナンバー#3。
ピアノと管弦セクションをバックに切々と歌う気品溢れる#4。
クラシカルなマイナー・メロディが際立つ、どこかRENAISSANCEを彷彿とさせる#5。モジュレーションをかけたレトロなギター、ストリングス、ブラスなどを適所にピンポイントで使用するアレンジのセンスが素晴らしい。
サビの仄かな叙情が心に染み入る、リラックスした穏やかなフォーク風ナンバー#6。
ピアノをバックした語りかけるようなバラード#7。厳かなチェロも効いている。
スキャトが印象に残るムーディなAOR風ナンバー#8。
雄大なアレンジが施された、タイトル通りポジティブで希望的ムードに溢れる#9。

乳がんの治療から復帰したクリスチーナを祝福するかのように、MAGENTAやKOMPENDIUMなどで良作を連発する才人ロブ・リード(Key/G/B)、同じくMAGENTAの同僚クリス・フライ(G)をはじめ、IT BITESのジョン・ミッチェル(G)、元IQ、元FROSTのアンディ・エドワーズ(Dr)、THE TANGENTのアンディ・ティリソン(Key)、プログレ界で幅広い人脈を持つ売れっ子テオ・トラヴィス(Sax/Fl)など錚々たるメンツが集結。

クリスチーナの個性的な歌声やロブ・リードによるものと思われるアレンジがもたらすムードは、やはりMAGENTA直系の高品質。ただし、MAGENTAの楽曲をエピカルに彩る大仰でドラマティックな展開や時にハードな部分はここには無く、ひたすらクリスチーナの歌唱に焦点を当てた内容となっている。
MAGENTAの名作Seven収録のAngerがそうであったように、バックがシンプルであるほどこの人の地声が持つ叙情が活きるようだ。
ともすれば内省的で地味にも映るが、絶妙に異なるカラーを持たせた楽曲のバラエティもあり飽きさせない。このあたりはロブ・リードの面目躍如といったところ。

Track List

1. Full Stop
2. Stay
3. Legend In The Making
4. Disappeared
5. When The Darkness Falls
6. The Anger In Your Words
7. The Same Old Road
8. Last Breath
9. The Light

CHRISTINA / The Light のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

MIDAS FALL / The Menagerie Inside

2015,UK

英国のポスト・ロック/ゴシック・ロック・バンドMIDAS FALLの3rdアルバムThe Menagerie Inside。

耽美なピアノとシューゲイズなギターに支えられた女性ボーカルを軸に、若干エロクトロニカの要素を加えた冷ややかな質感のゴシック・ロックを展開。
印象的ではあるがシンプルなピアノに対して、アルペジオ、ロングトーン、ミニマルなシーケンス、トレモロ・ピッキングに空間系エフェクトを組み合わせたスペイシーなギターが、八面六臂の活躍でアルバムThe Menagerie Insideの全編を支配。特にトレモロ・ピッキングの出現箇所が楽曲のハイライトとリンクするという独自の様式美が確立されており、聴き手はそのトリップ感溢れるエモーショナルな音像にただただ身を委ねることになる。

フロントを張りながらレコーディングやミキシングのエンジニアとしても活躍するエリザベス・ヒートン(Vo)のメランコリックな歌唱は、#3の浮遊するスキャト、#5のアンニュイな多声コーラスなど、ジュリアンヌ・リーガンを想起させる部分もありALL ABOUT EVEのファンにもおすすめ。
#2のフォーキーな序盤、ストリングスを交えたアコースティックな#4、くすんだ明るさを持つ#9など、楽曲のテイストにもALL ABOUT EVEに通ずるものがある。

Track List

1. Push
2. Afterthought
3. Circus Performer
4. Counting Colours
5. Low
6. The Morning Asked and I Said No
7. Half a Mile Outside
8. Tramadol Baby
9. A Song Built From Scraps of Paper
10. Holes

MIDAS FALL / The Menagerie Inside のレビューを見る

カテゴリー: MIDAS FALL

タグ: ,

フォローもよろしくお願いします!

FREQUENCY DRIFT / Last

2016,GERMANY

作曲にも貢献する女性ハーピスト ネリッサ・シュワルツ(Harp/Mellotron)を擁するドイツのプログレ/ポストロック・バンドFREQUENCY DRIFTの6thアルバムLast。

メタル度こそ低いが古き良きゴシック・メタル風な大仰さとダークネスを施したイントロを持つ#1。ハープをバックにしたエンジェル・ヴォイスのボーカルが入ると一転して深遠な世界へ。
甘美な音色のハープ・ソロがアクセントとなり、さらにストリングスやフルートなどメロトロンが大量投入されたゴシック風#2。
中音域での歌唱が妖しいメロディにマッチした#3。枯れたツイン・ギターによるハーモニー・パートの静とサビにおける動の対比が見事。
ハープとボーカルによる清楚なフォーク風デュオ・パートからシンセやメロトロンがハープと美しく絡むインスト・パートに移行する#4。
サビでのアグレッションが鮮烈なコンテンポラリー・タッチのメランコリック・チューン#5。
穏やかな中にメランコリックを滲ませた変拍子絡みのボーカル・パートから、中間部ではヘヴィな轟音パートと枯れたギターやメロトロンによる寂寥感の対比を経て、ハープをバックにしたソプラノ歌唱パートで美の頂点を極める#6。
ダークな中にも濃淡を演出するメロトロンやハープ、ギター、ピアノ等インスト陣のアレンジが際立つ#7。希望的なメロディによるリフレインが唐突に終わるエンディングも意外性に満ちている。
美声を活かした歌唱と情念を立ち上らせたビターな歌唱を使い分け、美醜による場面転換を演出する#8。

「死」や「終り」を暗示するアルバム・タイトル通りの暗いサウンドと、そこに一筋の光を射す女性ボーカルとハープの神秘的な響きでFREQUENCY DRIFTの個性が確立。
前作で可憐な歌声を聴かせたIsa Fallenbacherに代わり、Melanie Mauが参加。前任者と同等レベルの美しいソプラノに加えダークな中音域もこなし、楽曲に彩りを付加している。

前作からコンテンポラリーなポストロック成分を減じた分、深遠な静謐さと神秘性が増量。適材適所で効果的なメロトロンや引っ掛かりを生むさりげない変拍子といったプログレ要素もバランス良く配合し、美しい女性ボーカルを軸としたダークでメランコリックなサウンドでは突出した存在となった。

Track List

1. Traces
2. Diary
3. Merry
4. Shade
5. Treasured
6. Last Photo
7. Hidden
8. Asleep

FREQUENCY DRIFT / Last のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

ERIKA / Deaf Dumb & Blonde

2016,SWEDEN

1990年リリースの名盤Cold Winter Nightで知られるスウェーデン人シンガー エリカの18年振りとなる6thアルバムDeaf Dumb & Blonde。

へヴィなギターとコンテンポラリーなシンセによる鮮烈な幕開け。続くメロウなパートからコーラスが美しい激情のサビに至る構成が名曲Together Were Lostを彷彿させる#1。
#1同様に扇情的なコーラスが1stのテイストを漂わせる#2。静と動で巧みに歌唱を使い分けるエリカの歌唱は全くブランクを感じさせない。
ギターのザクザクしたリフがカッコ良い王道ハード・ポップ・ナンバー#3。
デュエットの男性ボーカルが暑苦しいパワー・バラード#4。ウィスパーやファルセットも交えた多彩なスタイルで熱唱するエリカ一人に焦点を絞った方が100倍良い。
EUROPEの名バラードCarrieを思わせるクラシカルなコード進行が気品に満ちた美バラード#5。
ポップなシンセが甘口のアクセントとなったアップテンポのハード・ロック・ナンバー#6。
ドラマティックな展開にエリカの表情豊かなボーカルが活きる、サビに往年のムードを纏った#7。
ダウン・チューニングのギターによるヘヴィなリフにパワフルなエリカの歌唱が乗る#8。
ソフトな歌唱が楽しめるメロウな#9。
アップテンポな激情ハード・ロック#10。
エキゾチックなシタールのフレーズがフックとなったミディアム・テンポの#11。
妖艶なムードの#12。

イェスパー・ストロムブラード(G/元IN FLAMES)やミック・ミカエリ(Key/EUROPE)等が脇を固めて作曲とバッキングをサポート。
イントロやエンディングを必要以上に拡張しないコンパクトな構成、3分程度の尺にドラマティックな場面転換を用意した絶妙なアレンジと、エリカありきで彼女の魅力と歌唱力を最大限にフィーチュアしている。
初期のエリカを知る実力者達の献身と、何よりエリカ自身の硬軟織り交ぜた変わらぬ健康的セクシー歌唱により、抒情を帯びたメロディアス・ハード・ポップの佳作に仕上がっている。

Track List

1. Killer
2. Heroes of Heartbreak
3. Suckerpunch
4. Drama
5. Hearts gone bad
6. Sleeping with a memory
7. Once upon A time
8. Go Down
9. Us Fools
10. One for the road
11. Start your engine
12. Warhoney

ERIKA / Deaf Dumb & Blonde のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

陰陽座 / 迦陵頻伽

2016,日本

妖怪ヘヴィ・メタル・バンド陰陽座の13thアルバム迦陵頻伽(かりょうびんが)。

思わず「曲順を間違えたかな」と思わせる意表を突いたバラード風のオープニング・チューン#1。黒猫(Vo)のしっとりとした歌唱をフィーチュアしてメロウに聴かせる。
その#1が絶妙のフリとなって満を持した王道HM/HRでオチを付ける#2。#1の余韻の中、ハイハットのカウントがライヴを彷彿とさせるニクい演出がまさに瞬火(B/Vo)ならでは。マンネリを避けつつもメタル・ファンの心理を知り尽くした粋な計らいで早くも聴き手を引きずり込んでいく。
瞬火のヴォーカルや男性陣による咆哮に加え、低音チューニングでヘヴィネスを演出した序盤から黒猫歌唱の伸びやかなサビに至る#3。
和旋律、琴のオブリガードなど和風なエッセンスを加え、ハードながらも超キャッチーな#4。黒猫の瑞々しい歌唱が楽曲の美しさをより印象的にしている。毎回必ず収録されている「化粧品のCMでも使える楽曲」は、本アルバムではこの楽曲だ。
ワーミーペダルを活かしたトリッキーなサビがフックとなったヘヴィ・チューン#5。
黒猫のセクシーでかわいい歌唱が一度聴いたら耳から離れないファンキーかつグルーヴィな#6。
クラブでは無くディスコだった時代のグルーヴを陰陽座のフィルターで再構築。次々に韻を踏むサビが楽しいダンス・チューン#7。4thアルバム鳳翼麟瞳に収録の飛頭蛮(ろくろくび)の後日談とか。
問答無用のカッコ良さに思わずガッツポーズ!黒猫による扇情力抜群のメタル歌唱が感涙すら誘う珠玉の疾走メタル・チューン#8。
瞬火と黒猫の男女ツイン・ヴォーカルをフーチュアした妖しげなプログレ風ファンタジー・チューン#9。
黒猫の歌唱と瞬火のグロウルとの美醜や緩急など、対比する要素を融合したアレンジの妙が効いている#10。
黒猫の艶やかな美声が堪能できるバラード#11。
#8と並ぶ完成度のシンフォニック・メタル#12。瞬火が歌うサビのバックに流れる黒猫の透明感あるスキャットが繊細にして美麗。
ラスト・チューン#13は恒例のポップなパーティ・ソング。仄かに漂う抒情が新鮮。

コンセプト・アルバムの10th、2作同時リリースの11th,12thと、ここ数作はビジネスマン瞬火らしいマーケティング部分での話題も豊富だったが、本作は純粋に音楽のみで勝負。しかし、メタルにハード・ロックにポップに和風にディスコ!と、幅広い音楽性を軽やかに吞み込んで陰陽座として消化及び昇華させる手腕は見事で、全ての楽曲が水準以上の出来栄えとなっている。
変幻自在の表情を見せる黒猫の歌唱、記名性溢れる各々のソロと時に絶妙のハーモニーで楽曲に彩りとフックを持たせる招鬼(G)と狩姦(G)のツイン・ギター。そしてそれらメンバーの個性を適材適所に発揮させつつ自身も活かす敏腕プロデューサーにして全曲の創造主たる瞬火。
”陰陽座”は、もはや”信頼のブランド”と言っても過言ではないだろう。

Track List

1. 迦陵頻伽
2. 鸞
3. 熾天の隻翼
4. 刃
5. 廿弐匹目は毒蝮
6. 御前の瞳に羞いの砂
7. 轆轤首
8. 氷牙忍法帖
9. 人魚の檻
10. 素戔嗚
11. 絡新婦
12. 愛する者よ、死に候え
13. 風人を憐れむ歌

陰陽座 / 迦陵頻伽 のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

Search

Twitter

Google +

Facebook

Amazon Ranking

Powered by fun9.net

TOP