ハード・ロック のレビュー

RUSH / Clockwork Angels

2012,CANADA

カナダのプログレッシブ・ロック・バンドRUSHの19thアルバムClockwork Angels。

2010年のタイム・マシーン・ツアーで披露されていた#1,#2を含む、スチームパンクと錬金術に基づいたコンセプト・アルバム。

#4,#6,#9などでストリングス・セクションが付加されているものの、ギミックは最小限。ライブでの再現を想定したであろう、リフを中心に構築されたストレートな楽曲が中心となっている。
ただし、リフの音使いは比較的オールド・スクールでありながら、キャッチーな歌メロを軸に、広がりのあるバッキング・ギター、硬質なベースと重いドラムが一体となり、時折挿入される変拍子も交えてソリッドで開放的な現代的RUSHサウンドに昇華している所が素晴らしい。

思索風味が入った#1、スティックでのカウントからバンド一丸となり怒涛のヘヴィ・パートに突入する#3、エキゾチックなムードを交えた#4やスリリングな#10などのエネルギッシュなファスト・チューン等々、インテリジェンスとエモーションのどちらにも訴えるカッコ良さ。

#9に代表される抜群の抜けの良さを持つアレックス・ライフソン(G)のギター、リフで主導する#6やランニングするフレーズが印象的な#10でのゲディ・リー(B/Vo)のベース、様々なフィルとヘヴィなヒットで楽曲を牽引するニール・パート(Dr)のドラムと、個々のプレイにも思わず耳に残るフックが満載。

時刻で2112を暗示したカヴァー・アートはRUSHの他、近年のDREAM THEATER作品などの仕事でも有名なヒュー・サイム。

Track List

1. Caravan
2. BU2B
3. Clockwork Angels
4. The Anarchist
5. Carnies
6. Halo Effect
7. Seven Cities of Gold
8. The Wreckers
9. Headlong Flight
10. BU2B2
11. Wish Them Well
12. The Garden

RUSH / Clockwork Angels のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

BLACK SABBATH / 13

2013,UK

BLACK SABBATHの19thアルバム13。
ビル・ワード以外のオリジナルメンバー、トニー・アイオミ(G)、オジー・オズボーン(Vo)、ギーザー・バトラー(B)に加え、RAGE AGAINST THE MACHINEのブラッド・ウィルク(Dr)でレコーディング。

リフマスター トニー・アイオミ自らが開拓し、フォロワー達によって模倣、拡大再生産されてきたリフの荒野にもはや未開地は残されていないようだ。

拍子やテンポチェンジによる展開の妙は健在ながら、往時のような破天荒な意外性も粗削りなやりっ放し感も無く、全て予定調和の範囲内。
最初とは全く別の惑星に着いたかのような唐突さこそ、彼らの魅力であり他のバンドと一線を画するユニーク性だと信じる自分にとって寂しい部分も。

また、長年の恩讐を乗り越えたリユニオンの背景に透けて見える、シャロンやレコード会社のドライなビジネス的計算などもチラつく。

でも多分本人達は純粋に楽しんだんだろう。
名曲にして全ての始まりでもある1stアルバム収録のBlack Sabbathの再解釈を試みたかのような#1、出自を物語るブルースハープがイカす#7など、ミュージシャンとしてどころか、人生そのものも最後の曲がり角を迎えた彼らが、青春時代を取り戻したような無垢な輝きを垣間見せてくれるのが唯一の救いだ。

アルバム最後を飾る鐘の音に込められたメッセージは何か。
誰しもが、これで最後だと感じるだろう。
でも、オジーにはNo More Tearsリリース後のフェアウェルツアーで一度騙されたからな。
多分、次もあるだろう(笑)

Track List

1. End of the Beginning
2. God Is Dead?
3. Loner
4. Zeitgeist
5. Age of Reason
6. Live Forever
7. Damaged Soul
8. Dear Father

BLACK SABBATH / 13 のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

SPIRITUAL BEGGARS / Sunrise To Sundown

2016,SWEDEN

マイケル・アモット(G)率いるスウェーデンのクラシック・スタイルなHM/HRバンドSPIRITUAL BEGGARSの9thアルバムSunrise To Sundown。アポロ・パパサナシオ(Vo)加入後3作目。

オールド・スクールなリフにアポロ・パパサナシオのパワフルな歌唱が乗るハード・ロック#1。ワウを効かせた叙情ギター・ソロや躍動感あるペル・ヴィバリ(Key)のオルガンも良い。
ジョン・ロード風オルガンをイントロに配した、ソウルのテイストを導入した第三期DEEP PURPLE風チューン#2。
ダークなイントロから調性の曖昧な埃っぽいIRON MAIDEN風リフを経てアップテンポなハード・ロックを展開する#3。インスト・パートは、ジョン・ロード風のクラシカルなオルガン・パートとトニー・カレイやドン・エイリーを彷彿させるスリリングなシンセ・ソロを聴かせるペル・ヴィバリが活躍。全体的な疾走感やメロディアスさはRAINBOW風なカッコ良いナンバー。
シンプルなリフに被さるマイケル・アモットによる叙情オブリガードが印象的な#4。
ルディック・ヴィット(Dr)の叩き出すビートをベースに進行するブルーズ・ロック・タイプの#5。
シズル感溢れるルディック・ヴィットのハイハット・ワークが光るミディアム・スローのドッシリした#6。中間部にはエフェクトを掛けたボーカルやメロトロンが登場するサイケなパートを挿入し、意外性のある展開を見せる。
ルディック・ヴィットによるメロディックかつヘヴィなドラム・シークエンスをフィーチュアした#7。歌メロはメランコリックなバラードだが、このドラムにより強烈に楽曲のキャラが立っている。
ワイルドなカッティングと鋭く切り込むオブリガード、単音リフがカッコ良いギター・オリエンテッドなモダン・ハード・ロック#8。
メロウなハード・ロックにメロトロンの白玉が加わることで70年代英国ロックが薫り立つ#9。シャーリー・ダンジェロ(B)のメロディアスなランニング・ベースが楽曲に深みを与えている。
エネルギッシュなタテ乗りハード・ロック#10。
アポロ・パパサナシオのエモーショナルな歌唱をフィーチュアした渋いブルーズ・ロック#11。

取り立ててスーパー・プレイヤーが存在するわけではないし、やってることはかつてのレジェンドを彷彿させるオーソドックスなハード・ロック。だが、心に残るギターを聴かせるアイケル・アモットをはじめとした各メンバーの個性豊かなプレイとツボを心得たアレンジでSPIRITUAL BEGGARSならではの世界観が表現されている。

Track List

1. Sunrise to Sundown
2. Diamond Under Pressure
3. What Doesn't Kill You
4. Hard Road
5. Still Hunter
6. No Man's Land
7. I Turn to Stone
8. Dark Light Child
9. Lonely Freedom
10. You've Been Fooled
11. Southern Star

SPIRITUAL BEGGARS / Sunrise To Sundown のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

ERIKA / Deaf Dumb & Blonde

2016,SWEDEN

1990年リリースの名盤Cold Winter Nightで知られるスウェーデン人シンガー エリカの18年振りとなる6thアルバムDeaf Dumb & Blonde。

へヴィなギターとコンテンポラリーなシンセによる鮮烈な幕開け。続くメロウなパートからコーラスが美しい激情のサビに至る構成が名曲Together Were Lostを彷彿させる#1。
#1同様に扇情的なコーラスが1stのテイストを漂わせる#2。静と動で巧みに歌唱を使い分けるエリカの歌唱は全くブランクを感じさせない。
ギターのザクザクしたリフがカッコ良い王道ハード・ポップ・ナンバー#3。
デュエットの男性ボーカルが暑苦しいパワー・バラード#4。ウィスパーやファルセットも交えた多彩なスタイルで熱唱するエリカ一人に焦点を絞った方が100倍良い。
EUROPEの名バラードCarrieを思わせるクラシカルなコード進行が気品に満ちた美バラード#5。
ポップなシンセが甘口のアクセントとなったアップテンポのハード・ロック・ナンバー#6。
ドラマティックな展開にエリカの表情豊かなボーカルが活きる、サビに往年のムードを纏った#7。
ダウン・チューニングのギターによるヘヴィなリフにパワフルなエリカの歌唱が乗る#8。
ソフトな歌唱が楽しめるメロウな#9。
アップテンポな激情ハード・ロック#10。
エキゾチックなシタールのフレーズがフックとなったミディアム・テンポの#11。
妖艶なムードの#12。

イェスパー・ストロムブラード(G/元IN FLAMES)やミック・ミカエリ(Key/EUROPE)等が脇を固めて作曲とバッキングをサポート。
イントロやエンディングを必要以上に拡張しないコンパクトな構成、3分程度の尺にドラマティックな場面転換を用意した絶妙なアレンジと、エリカありきで彼女の魅力と歌唱力を最大限にフィーチュアしている。
初期のエリカを知る実力者達の献身と、何よりエリカ自身の硬軟織り交ぜた変わらぬ健康的セクシー歌唱により、抒情を帯びたメロディアス・ハード・ポップの佳作に仕上がっている。

Track List

1. Killer
2. Heroes of Heartbreak
3. Suckerpunch
4. Drama
5. Hearts gone bad
6. Sleeping with a memory
7. Once upon A time
8. Go Down
9. Us Fools
10. One for the road
11. Start your engine
12. Warhoney

ERIKA / Deaf Dumb & Blonde のレビューを見る

フォローもよろしくお願いします!

Search

Twitter

Facebook

TOP