ハード・ロック のレビュー

GARY MOORE / Corridors of Power

1982,UK

1982年のゲイリー・ムーア最高傑作Corridors of Power。

一般人にもゲイリーの名前が浸透するという信じがたい現象が起こりました。そして初来日公演。オープニングはドン・エイリーのシンセによるイントロから耳をつんざくゲイリーのギター・フレーズが登場!そしてそのまま#6になだれ込むっていう状況が昨日のことのように思い出せるな。

Track List

1. Don't Take Me for a Loser
2. Always Gonna Love You
3. Wishing Well
4. Gonna Break My Heart Again
5. Falling in Love with You
6. End of the World
7. Rockin' Every Night
8. Cold Hearted
9. I Can't Wait Until Tomorrow

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MSG / Assault Attack

1982,GERMANY

MICHAEL SCHENKER GROUPの3rdアルバムAssault Attack。邦題は黙示録。

大物メンバーからなるスーパー・グループへの変貌を画策したマネージメントの策謀によりデイリー・バーデン(Vo)が脱退、コージー・パウエル(Dr)の推薦もあり後釜に元RAINBOWのグラハム・ボネット(Vo)を引っ張ってきたものの今度はそのコージーが抜けクリス・グレン(B)の紹介でテッド・マッケンナ(Dr)が加入、マイケル・シェンカー(G)の理解者ポール・レイモンド(Key)まで脱退と混乱を極める中制作。
そんなバンド状態にマイケルが精神的安定感を欠いたからか、グラハムの歌唱が相変わらず暑苦しいからか、或いはその両方からか、アルバム全体にピリピリとした異常な程のテンションが漲っています。

いきなり緊張感全開でグラハムがパワフルな歌唱を聴かせるマイナー調ハード・ロック#1。中間部のクラシカルなミュート気味の3連アルペジオ部にもどこか危ういムードが。
ブルーズ・ロックの体裁でいながら、首の青筋まで想像できるグラハムの熱唱と、マイケルのハーモニー・フレーズをはじめとするクラシカルなメロディアス・プレイによって全くブルーズ色を感じさせないヘヴィ・ロック・チューン#2。
ポップな意匠の裏に緊張感を感じさせつつもキャッチーに仕上がった#3。
硬質でヘヴィなバッキング・リフに独特な和音感覚のグラハムによるセルフ・ハーモナイズ歌唱が乗るヘヴィ・ロック#4。
ルート音Eをベースにした重音リフに中間部の欧州叙情を加えた#5。緊張感を煽る白玉シンセはゲストのトミー・アイアー(Key)がプレイ。明らかに前任のポール・レイモンドとは異なるセンスです。
空間を活かしたリフにグラハムの息づかいも露な歌唱が乗り、オールド・スクールなグルーヴを醸し出す#6。
マイケル得意のミディアム・テンポ3連でのマイナー・ハード・ロック#7。
細かくスウィングした3連グルーヴを余裕で叩き出すテッド・マッケンナ&クリス・グレンの素晴らしいバッキングに支えられ、マイケルが縦横無尽のフレージングを聴かせるクールなインストゥルメンタル#8。

キーボードのデコレーションが減少し、さながらマイケルVSグラハムのサシ勝負のようなムードの中、前作での魂を開放したかのような伸びやかなフレージングとは打って変わり、美しくも危険な薫り漂うマイケルの鬼気迫るプレイが聴き所です。

Track List

1. Assault Attack
2. Rock You To The Ground
3. Dancer
4. Samurai
5. Desert Song
6. Broken Promises
7. Searching For A Reason
8. Ulcer

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TOTO / IV

1982,USA

TOTOの1982年4thアルバム。

もうここまで来ると完全にAOR。大ヒット・シングル#1のオシャレなスウィング感なんて、もはやハード・ロックとは別次元。#10も大ヒット。

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WHITESNAKE / Saints and Sinners

1982,uk

WHITESNAKEの5th。

アルバム完成時にはギャラ等の問題でメンバー全員がデイヴィッド・カヴァーデール(Vo)に解雇されており、レコーディング・メンバーのクレジットは無いが、メンツは前作同様。一部バッキング・コーラスに後に正式メンバーとなるメル・ギャレイが参加しています。

溌剌とした中に叙情も織り込んだオープニング・ナンバー#1。ミッキー・ムーディ(G)のスライド・ギター・ソロをフィーチュアしたブギ#2。ロックン・ロール・ナンバー#3。ミディアム・テンポの#4。ヘヴィなブルーズ・ロック#5。軽快なシャッフルの#7。ジョン・ロードのピアノがバッキングとソロで活躍するロックン・ロール#8。ギターのハーモニー、オルガン・ソロをフィーチュアした、クラビネットの小気味良い16分刻みがリードする#9。ブルーズ・ロック#10。
等々、楽曲はWHITESNAKEお馴染みの黄金パターンによるブルージーなハード・ロックでソツ無くまとまっており、バンド内の問題を感じさせないヴェテランならではの円熟の出来映え。
そんな中、オルガンの厳かなバッキングからハード・ロックへドラマティックに展開するキャッチーな#6が異彩を放っています。#6は#5と共に後に1987年のWhitesnakeにてリメイクされます。

Track List

1. Young Blood
2. Rough an' Ready
3. Bloody Luxury
4. Victim of Love
5. Crying in the Rain
6. Here I Go Again
7. Love an' Affection
8. Rock an' Roll Angels
9. Dancing Girls
10. Saints an' Sinners

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LED ZEPPELIN / Coda

1982,UK

これまでのアウトテイクをまとめた1982年の編集盤。#5,#8はIn Through the Out Dooのセッション時の曲で、前作にそのまま入っていたらアルバムの評価も又違ったものになっていただろう。

Track List

1. We're Gonna Groove
2. Poor Tom
3. I Can't Quit You Baby
4. Walter's Walk
5. Ozone Baby
6. Darlene
7. Bonzo's Montreux
8. Wearing and Tearing

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FASTWAY / Fastway

1983,UK

MOTORHEADのファスト・エディ・クラーク(G)とUFOのピート・ウェイ(B)が結成したハード・ロック・バンドFASTWAYの1983年1st。ところが、バンド名の片翼を担ったピート・ウェイはデビュー前に脱退。エディ・クラーク、元HUMBLE PIEのジェリーシャーリー(Dr)、シャウトがロバート・プラントを彷彿させる赤毛のアイリッシュ デイヴィッド・キング(Vo)の3人がクレジットされております。もうとにかく#8のプロモ・ビデオが衝撃でしたね。何だこのボーカルは!という感じで。チェカーフラッグをモチーフにしたジャケット・アートそのままのイメージでノリノリのゴキゲンなドライヴィン・ロックン・ロールを展開する#1。アンビエント感溢れるドラミングとデイヴのAH~がセクシーな#3。アコギがリードするバラードからハード・ロックに発展する#4。ミディアム・スローなテンポでヘヴィな#5。3連パートを挿入し凝った展開で起伏を付けた#6。単音リフがファンキーなテイストを醸し出すキャッチーな#7。リフ、ドラミング、歌唱と全てがカッコ良いヒット曲#8。などなど、シンプルながらもリフの音の隙間空間に70年代風グルーヴを感じさせる英国らしいサウンドを聴かせてくれます。

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THIN LIZZY / Thunder and Lightning

1983,IRELAND

アイルランドのハード・ロック・バンドTHIN LIZZYの1983年12thにしてラスト・アルバム。

前作RENEGADEを最後に脱退したスノーウィー・ホワイトに代わり、元TYGERS OF PAN TANGのジョン・サイクス(G)を起用。既にバンドの解散がアナウンスされており、かなりの注目度の中でのリリースとなりました。大抜擢されたジョンはフィルの寵愛もあってか、あくまでもTHIN LIZZYというバンドのフォーマットを尊重しつつも伸び伸びと大活躍。ソング・ライティングでは#5のみながらプレイとサウンドで大きく貢献し、NWOBHMブームにあやかったバンドのヘヴィ・メタル路線を支えています。ザクザクした単音リフと攻撃的なバッキングにフィル・ライノット(B/Vo)のマシンガン・ボーカルが乗るメタリックなオープニング・チューン#1。ソロではオーソドックスなスコット・ゴーハム(G)、ダーレン・ワートン(Key)のシンセ・ソロ、早弾きやピッキング・ハーモニクスを多用した鮮烈なジョンのソロをフィーチュア。新たな血を導入したTHIN LIZZYの名詞代わりの会心の一撃となりました。前ノリで#1の勢いを引き継ぐ哀愁のサビを持つ#2。スコット=右CH、ジョン=左CHとパンニングされたギター・ソロでは、フレージングやトーンにそれぞれの個性が滲み出たギター・バトルが楽しめます。ブライアン・ダウニー(Dr)のリム・ショットが淡々と刻むリズムに、クリーンなギターとシンセがムーディなバッキングを加える叙情ナンバー#3。ロングトーンを活かした官能的なギター・ソロはジョンでしょうか。あのTYGERS OF PAN TANGのジョンが随分大人なプレイをするもんだ、と当時は感心したものです。ツイン・リードでの小刻みなハーモニーと緩急を使い分けたドラマティックなジョンのギター・ソロが印象的な、カッコ良いハード・ロック#4。ジョンとフィルが共作したHM/HRの定番、5度重音リフがリードする#5。バッキング時のアグレッシブなグリッサンドやソロでのライト・ハンド奏法など、自分の曲ということもありジョンが好き放題やっちゃってます。典型的なTHIN LIZZYパターンの楽曲に、おそらくダーレン・ワートンの持ち込んだものと思われる洒落たコード進行や変拍子がプラスされ、コンテンポラリーに仕上がったハード・ロック#6。ジョンのスムーズなフレージングもハマってます。アイディアの引き出しが豊富なジョンのギター・ソロをフィーチュアした、THIN LIZZYらしさが色濃く残る哀愁のシャッフル・ナンバー#7。スコットのメロディアスなギター・ソロをフィーチュアした、スコットとフィルの共作によるキャッチーな#8。途中からハモるツイン・リードがゾクゾクするハード・ロック#9。従来のTHIN LIZZYらしさにジョン・サイクスやダーレン・ワートンといった若い才能のもたらした新機軸が加わり、このメンツでしか成し得ない上質なハード・ロックが展開されています。ラスト・アルバムという付加価値を差し引いても、このアルバムが高品質な事に疑いは無く、THIN LIZZYが、というかフィルが最後の意地を見せつけた感じがしますね。

Track List

1. Thunder and Lightning
2. This Is the One
3. The Sun Goes Down
4. The Holy War
5. Cold Sweat
6. Someday She Is Going to Hit Back
7. Baby Please Don’t Go
8. Bad Habits
9. Heart Attack

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THIN LIZZY / Life Live

1983,IRELAND

THIN LIZZYの1983年ファイナル・ツアー時のライブ。

終盤では歴代ギタリストが次々に登場しスタジオ盤レコーディング時のラインナップで演奏。最後のThe Rockerではエリック・ベル、スコット・ゴーハム、ブライアン・ロバートソン、ゲイリー・ムーア、ジョン・サイクスと5名のギタリストがステージに勢揃い。PA担当者は頭を抱えたであろうが、ファンにはうれしいサプライズだったようだ。各ギタリストが順にコールされると共に音が重ねられ、オーディエンスの熱狂も最高潮。音もワケわかんなくなっている熱いライブ盤だ。

Track List

DISC 1
1. Thunder and Lightning
2. Waiting for an Alibi
3. Jailbreak
4. Baby Please Don't Go
5. The Holy War
6. Renegade
7. Hollywood
8. Got to Give It Up
9. Angel of Death
10. Are You Ready

DISC 2
1. The Boys Are Back in Town
2. Cold Sweat
3. Don't Believe a Word
4. Killer on the Loose
5. The Sun Goes Down
6. Emerald
7. Black Rose
8. Still in Love With You
9. The Rocker

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RAINBOW / Bent Out of Shape

1983,UK

当時のラスト・アルバムとなったRAINBOWの1983年作Bent Out of Shape。

自己主張皆無の完全にコントロールされたバック演奏に乗るジョー・リン・ターナー(Vo)のメロディアスな歌唱とリッチー・ブラックモア(G)のギターがかろうじてRAINBOWであることを思い出させる。とはいえ、高品質なポップ・スタイルRAINBOWの究極の形態が完成。全曲オリジナルで、哀愁の#2や#7がこの形態で目指す音楽の到達点だと思う。Keyのデイヴ・ローゼンタールは歴代のツワモノ達とは違う役割=サウンド全体の調整役として多大に貢献。

Track List

1. Stranded
2. Can't Let You Go
3. Fool for the Night
4. Fire Dance
5. Anybody There
6. Desperate Heart
7. Street of Dreams
8. Drinking with the Devil
9. Snowman
10. Make Your Move

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BLACK SABBATH / Born Again

1983,UK

BLACK SABBATHの1983年11thアルバムBorn Again。

Mob Rulesに伴うツアーを最後にロニー・ジェイムズ・ディオ(Vo)、ヴィニー・アピス(Dr)が脱退、バンドは解散の危機に追い込まれます。ところが、トニー・アイオミ(G)がソロとして制作中だったアルバムにオリジナル・メンバーのビル・ワード(Dr)とボーカルには何とイアン・ギラン(Vo)が参加。事ここに及んで、レコード会社の圧力でBLACK SABBATH名義でのリリースとなった本作。
不気味でナイスなジャケット・アートは医療雑誌からインスパイアされたというか正直パクったみたいです。

SABBATHの典型的パターンのひとつである疾走する爆音リフに、イアン・ギランらしいスクリームが加わり新鮮なイメージとなった#1。
重く陰鬱なリフとパワフルなボーカルが融合した#5。
イアン・ギランの歌い回しによりSABBATH版Highway Starみたいになった#6。
沈み込む暗鬱バラード・パートから一転してヘヴィに突き抜ける場面転換でスクリームを活かした#7。
リフ・マスター トニー・アイオミらしいソリッドなリフ・・・なんだけど、聴き様によってはSABBATH版Smoke on the Waterみたいな#8。
等々、オリジナル・メンバーがやっている事は従来通りなのにもかかわらず、オジー期のドゥームともロニー期の様式美とも違った、イアン・ギランならではのストレートなテイストが前面に出たBLACK SABBATHが味わえます。
不気味なリフに乗せた悪魔の笑い声がおどろおどろしくならず元気な高笑いになってしまった#3、みたいなミスマッチも今となってはHR/HM史に残る貴重な資産。

Track List

1. Trashed
2. Stonehenge
3. Disturbing the Priest
4. Dark
5. Zero the Hero
6. Digital Bitch
7. Born Again
8. Hot Line
9. Keep It Warm

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FASTWAY / All Fired Up

1984,UK

1984年の2nd。やってることは全然変わってない。

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DEEP PURPLE / Perfect Strangers

1984,UK

黄金の第2期メンバーで再結成されたDEEP PURPLEの1984年第一作Perfect Strangers。

イントロのストリングスによるバビロン風フレーズが若干RAINBOWっぽいものの、オルガンとギターのユニゾン・リフにイアン・ギラン(Vo)の声が乗ればやはりDEEP PURPLEな#1。
オルガンのリフにらしさを残しつつも、割とストレートなロックン・ロール#2。
何となくWho Do We Think We Areのヴァイブを感じるブルージーなリフを中心とした#3。
オルガンとギターのユニゾン・リフがリードするシャッフル・ナンバー#4。リッチー・ブラックモア(G)の艶っぽいトーンによるソロが良い感じ。
バビロン風クラシカルなキメが威厳すら感じさせる、ミディアム・テンポのタイトル・トラック#5。このテイストは以前の彼らでは無かった要素ですが、醸し出すムードはやはりDEEP PURPLE以外の何物でも無いのが面白いです。
イアン・ギランの歌唱が活きる上質なGILLANと言った風情のロックなボーカル・パートと、PURPLE王道パターンのオルガンとギターが絡むクラシカルなインスト・パートが融合したノリノリのナンバー#6。
リッチーによる繊細なタッチのギター・ソロをフィーチュアしたメロウなバラード#7。
クラシカルな単音リフと、ボトルネック奏法をアクセントにしたバッキング・ギターの感じがRAINBOWっぽい#8。
テンポ・チェンジがフックとなったメロディアスなハード・ロック#9。
繰り返すシンプルな叙情パターンをバックに、リッチーとジョン・ロード(Key)を中心にジャムったインストゥルメンタル・ナンバー#10。

自身のバンドでの活動を抱えたメンバー本人達の意向よりも、マネージメントやレコード会社など大人の事情を優先させて実現した再結成であることは間違い無いでしょうが、できあがった作品はさすがの出来。
ソフィスティケイトされたブルーズ・ロックを完成させた往年の財産をベースに、メンバーがそれぞれのバンドで培った経験とHR/HMがメインストリームにあった80年代という時代を背景に、ボーカル・メロディをフィーチュアしたキャッチーなハード・ロック作品に仕上がってます。

Track List

1. Knocking At Your Back Door
2. Under The Gun
3. Nobody's Home
4. Mean Streak
5. Perfect Strangers
6. A Gypsy's Kiss
7. Wasted Sunsets
8. Hungry Daze
9. Not Responsible
10. Son Of Alerik

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カテゴリー: DEEP PURPLE

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WHITESNAKE / Slide It In

1984,uk

WHITESNAKEの6th。

前作で一度バンドをリセットしたデイヴィッド・カヴァーデール(Vo)がメンバーを再構成。ミッキー・ムーディ(G)、ジョン・ロード(Key)の出戻り組に、メル・ギャレイ(G)、コリン・ホッジキンソン(B)、MSGを脱退したコージー・パウエル(Dr)を加えたメンツで制作されました。

敏腕のジョン・カロドナー率いるゲフィンに移籍した効果か、サウンドが劇的に変化。前2作で漂っていたブルーズ・ロックをベースとしたソング・ライティング面のマンネリ感が払拭され、開放的で明快なメロディのハード・ロックが満載。メジャー感溢れるリフに乗ってキャッチーなサビを展開する#2,#5,#9,#10は勿論、ミッキー・ムーディのテイストが充満する#6、ロックンロールの#7までもがとにかくゴージャスに仕上がってます。

さらに、後にリリースされたUS盤では、脱退したミッキー・ムーディの代わりに加入した元TYGERS OF PAN TANG/THIN LIZZYのジョン・サイクス(G)のプレイを追加。ミックスもより抜けの良い感じに差し替えられダブル・プラチナの大ヒット。
実際、ジョン・サイクスがレコーディングしたのはバッキング中にワイルドなグリッサンドを追加したりとか、一部のギター・ソロをオリジナルのメロディに倣って弾き直しただけのようですが、これによって楽曲に勢いというか若々しさが加えられました。また、ジョン・サイクスにとっても良質な楽曲の構造を学ぶ機会ともなったようで、次作ではTYGERS OF PAN TANG/THIN LIZZY時代の作品からは想像できないくらいに成熟&充実した高品位な楽曲をデイヴィッドと共に作曲することになります。

Track List

1. Gambler
2. Slide It In
3. Standing In The Shadow
4. Give Me More Time
5. Love Ain't No Stranger
6. Slow An' Easy
7. Spit It Out
8. All Over Nothing
9. Hungry For Love
10. Guilty Of Love

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JOHN NORUM / Total Control

1987,SWEDEN

スウェーデンのメロディアスなHR/HMバンドEUROPEを脱退したジョン・ノーラム(G)の1stソロ1987年作Total Control。

カヴァー以外はジョンとベースで参加したマルセル・ヤコブとの共作となっています。
ジョンのギターは師匠ゲイリー・ムーア譲りのブルージーかつ時々マシンガン・ピッキングに、マイケル・シェンカー風叙情味を加えた全編エモーショナルなプレイで楽しませてくれます。
なかなか上手いボーカルも聴かせていますが、#2、#5、#6はスウェーデンの便利屋シンガー ヨラン・エドマンが素晴らしいハイトーンで頑張ってます。
楽曲はPOPになっていくEUROPEと相反してギター・オリエンテッドで、カッコ良いメロディアス・ハード・ロックが満載。
#2の展開がなんとなくEUROPEのThe Final Countdown風だったり、#7がモロにWHITESNAKEのStill of the Nightなのはご愛嬌でしょうか。
タイトル通り炎のように熱い#5。
ジョン愛用のギターが盗まれてそれを必死で取り戻すまでのストーリーが、単純ながらもギタリストであることを主張して高感度高いビデオクリップとなったVINNY VINCENT INVASIONのカヴァー#6。
抑えたトーンでの枯れたプレイから早弾きと激情の1音半チョーキングなど、欧州的なメロディの叙情インストゥルメンタル#10。
フィル・ライノットそっくりの歌唱と一人ツイン・ギターが良い感じの日本盤ボーナス・トラックのTHIN LIZZYのカヴァー#11。

ギタリスト=ジョン・ノーラムの嗜好をはっきりと主張したアルバムでありながら、自己満足に終わらないクオリティの高さも兼ね備えた良質のハード・ロック・アルバムです。

Track List

1. Let Me Love You
2. Love Is Meant to Last Forever
3. Too Many Hearts
4. Someone Else Here
5. Eternal Flame
6. Back on the Streets
7. Blind
8. Law of Life
9. We'll Do What It Takes Together
10. In Chase of the Wind
11. Wild One

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WHITESNAKE / Whitesnake

1987,UK

前作Slide It Inから参加の元THIN LIZZYのジョン・サイクス(G)が唯一のギタリストとなり、思う存分暴れまくってるWHITESNAKEの1987年作。

サイクスはレコーディング後脱退、MTVで各曲のクリップが流れ出した頃には全然別のメンツになっていた。ベースはニール・マーレイ、派手でヘヴィなドラミングを聴かせるのは元JOURNEYのエインズレー・ダンバーだ。最高のメンツでレコーディングされた最高のハード・ロック・アルバム。ドライヴィング・ハード・ロック・チューン#8はプロ野球好プレー珍プレーの「好プレー」BGMとしてもおなじみ。
他にも永遠の名曲#1,#3,#4,#5,#6など、とにかく名曲揃いな上、各メンバーのプレイが最高。サイクスのソング・ライティングもこの頃がピーク。

Track List

1. Crying in the Rain
2. Bad Boys
3. Still of the Night
4. Here I Go Again
5. Give Me All Your Love
6. Is This Love
7. Children of the Night
8. Straight for the Heart
9. Don't Turn Away

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GARY MOORE / After the War

1989,UK

1989年のゲイリー・ムーアによるハード・ロック最後の作品After the War。

コージー・パウエル(Dr)が参加。当時流行したLED ZEPPELINのクローン・バンドをおちょくった#5でオジー・オズボーン(Vo)も参加してます。#10はTHIN LIZZYのBlack Roseを想起させるアイリッシュ・フレイバーたっぷりの曲。

Track List

1. After the War
2. Speak for Yourself
3. Livin' on Dreams
4. Led Clones
5. The Messiah Will Come Again
6. Running from the Storm
7. This Thing Called Love
8. Ready for Love
9. Blood of Emeralds

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D.A.D / No Fuel Left for the Pilgrims

1989,DENMARK

デンマークのハード・ロック・バンドD.A.Dの1989年3rd。メロディアスな中にもダークなテイストを漂わせたロックンロール。特に#1の印象的なリフと陰のある感じがいいね。アメリカ人には出せないこの感じ。

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STARLESS / Silver Wings

1989,JAPAN

元SCHEHERAZADEの大久保寿太郎(B)を中心に結成されたプログレッシブ・ハード・ロック・バンドSTARLESSの1989年1stアルバム。

シンフォニックなシンセとハード・エッジな中川隆雄(G)のバッキングが融合、サビの5拍子が印象的なSTARLESSの代表曲でアンコールの定番曲でもある大久保作曲の#2。
ディレイを使用したサビのボーカルがカッコ良い#3。
妖しいムードの#4。
NOVELAの五十嵐久勝がコーラスで参加、中間部に分厚いシンセのソロを挿入した#5。
ストレートな美声にウィスパー・ヴォイスやロックな歌唱など宮元佳子(Vo)の様々な魅力が味わえるドラマティックなハード・ロック#6。
オールドスクールなギター・リフに乗ったハード・ロックながらシンフォニックなシンセ・ソロが強烈な印象の#7。
大阪でギター講師もやっていた中川の繊細なクラシック・ギターをイントロに配したハード・ムード歌謡とでも言うべき#8。
シンセのリフが勇壮なライブ終盤の定番#9。

基本はハード・ロックですがシンフォニックなシンセのアレンジやドラマティックな楽曲構成にプログレのテイストも。ハード・ロックにしては線の細い宮元のボーカルですが、それが逆にSTARLESSの個性になっています。
ファンタジックなジャケット・アートはゲーム ファイナル・ファンタジー・シリーズのイラストでお馴染み天野喜孝。NOVELAの平山照継がプロデュースしてます。

Track List

1. Prologue
2. Silver Wings
3. I Look in Your Eyes
4. Aphrodisiac
5. In the End
6. Breath
7. Dazzling Desire
8. Impression
9. Un-Dreaming

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BLUE MURDER / Blue Murder

1989,UK

BLUE MURDERの1989年1st。WHITESNAKEを追い出されたジョン・サイクスがBトニー・フランクリン、Drカーマイン・アピスと結成したトリオ編成のブリティッシュHRバンド。Voはサイクスが兼任、想像以上に歌えている。トニーのフレットレスによるなめらかでメロディアスなBが、WHITESNAKEを彷彿させるスケールの大きな楽曲の中で独特のうねりを醸し出している。サイクスのGは勿論最高。自分のバンドなんで好き放題弾きまくっている。ズ太いグリッサンド、チョーキングから感情の赴くままに揺れの速さをコントロールしたヴィブラート、ピッキング・ハーモニクス、若干トレブリーなレスポール・カスタム・サウンド・・・・ TYGERS OF PAN TANGから苦節ウン年、ここに来て漸く自らの個性を確立した感がある。

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ERIKA / Cold Winter Night

1990,SWEDEN

イングヴェイ・マルムスティーンの元元妻エリカ(Vo)の1stアルバムCold Winter Night。

イングヴェイが#9で参加しているということで、それ聴きたさに軽い気持ちで購入したら、何とABBA MEETS HRとでも表現できそうな透明感ある極上のハード・ポップが全編に渡り展開されており驚愕。
メロディアスな楽曲が粒揃いで、エリカも健康的なセクシー路線で曲調に合わせて硬軟織り交ぜた歌唱を聴かせます。

シンセの重厚なストリングスとギターの刻みにエリカの切ない歌唱が乗るドラマティックなオープニングに期待で胸が高まる序曲#1。
#1を引き継ぐ#2は、早くもアルバムのハイライトと言える叙情ハード・ポップの名曲。クラシカルで端整なコード進行の序盤に漂う静かに凍てついた透明感と、映画STREET OF FIREの主題歌Tonight Is What It Means to Be Youngを思わせる壮大なコーラスで盛り上げるサビの激情とのギャップが堪りません。
キャッチーな#3、伸びやかな歌唱の#4、ムーディなパートの抑えた歌唱もなかなかな#5、と続くポップな佳曲。
吹雪のSEで始まりブ厚いシンセとハード・エッジなギターのリフがリードするハード・ロック#6。サビ・メロで感じる何となくABBAっぽい北欧叙情が最高。
サビの転調にハッとする#7。
アコースティックなタッチを取り入れたバラード#8。
イングヴェイのギター・ソロをフィーチュアした、サックスが奏でるサイレンのようなリフが印象的なアップテンポの#9。曲のムードにぴったり合いつつも、イングヴェイならではの個性を発揮した流麗なギター・ソロが見事です。
マイナーな美メロのバラード#10。そして、#10のフレーズを基に徐々に盛り上がるドラマティックかつ壮大なオーケストレーションでアルバムを締めくくる#11。テーマ・メロディをリフレインするギターのクリーンなトーンに心が洗われるような清涼感が漂います。

#1からマイ・アンセム#2の流れがいつ聴いても完璧。

Track List

1. Prelude
2. Together Were Lost
3. Line Of Fire
4. Hurting So Bad
5. Heavenly
6. Cold Winter Night
7. Living Like A Hurricane
8. Love In Vain
9. Emergency
10. Last Call For Love
11. Postlude

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