ハード・ロック のレビュー

JEFFERSON STARSHIP / Freedom At Point Zero

1979,USA

元サイケなJEFFERSON AIRPLANE、後にポップなSTARSHIPとなり大ブレイクするアメリカン・バンド JEFFERSON STARSHIPの1979年作 Freedom At Point Zero。

JEFFERSON STARSHIPとしての5枚目となる本作から、ハイトーンなボーカリスト ミッキー・トーマス(Vo)が参加、爽やかなアメリカン・ハード・ロック路線で大成功を収める。

ハード・ロック然としたギター・リフとボーカルのハイ・トーンでKOされる#1。
爽やか且つキャッチーでギターのメロディが印象的な#2、キャッチーな#3、ドラマティックな8分近い#4・・・何故かこのまま終わるのがちょっと寂しくて永遠に聴き続けたい感じがする#9など、フォークの香り漂うところやエレピ/オルガン/シンセ等キーボードのさりげないアレンジのセンスが良いです。

いわゆる”産業ロック”といわれるサウンドなんでしょうが、そんな一言で済ますには勿体無いくらい素晴らしいです。

Track List

1. Jane
2. Ligtning Rose (Carry the Fire)
3. Things to Come
4. Awakening
5. Girl with the Hungry Eyes
6. Just the Same
7. Rock Music
8. Fading Lady Light
9. Freedom at Point Zero

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THIN LIZZY / Black Rose a Rock Legend

1979,IRELAND

ツイン・ギターの片割れにゲイリー・ムーア(G)が正式加入したTHIN LIZZYの1979年作。

クレイジーに暴れまくってます。しかしそれだけじゃない所がこのアルバムを名盤たらしめた理由。アイリッシュやアメリカンな民謡を織り交ぜつつ各メンバーのルーツを誇らしげに叙事詩的楽曲として昇華したタイトル曲をはじめ、ゲイリーのメロウ・サイドを表した#5などバラエティに富んだ名曲揃い。勿論看板のメロディアスなツイン・リードも、当時のギター・キッズが2人いれば必ずコピーした#4やオープニングの#1、泣きの#8などてんこ盛り。意外とスコット・ゴーハム(G)が弾いたソロが印象に残ってたりするなー(#4や#6の前半など)。ジャケも良い。

Track List

1. Do Anything You Want To
2. Toughest Street in Town
3. S & M
4. Waiting for an Alibi
5. Sarah
6. Got to Give It Up
7. Get Out of Here
8. With Love
9. Róisín Dubh (Black Rose): A Rock Legend

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FOREIGNER / Head Games

1979,UK,USA

FOREIGNERの1979年3rdアルバムHead Games。

当時FMラジオでオンエアされまくっていた。
ソリッドなリフを持つ#1やメランコリックな#2など。前作からエレクトリック度とハード・ロック度がアップ。

Track List

1. Dirty White Boy
2. Love on the Telephone
3. Women
4. I'll Get Even with You
5. Seventeen
6. Head Games
7. The Modern Day
8. Blinded by Science
9. Do What You Like
10. Rev on the Red Line

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TOTO / Hydra

1979,USA

アメリカ西海岸で活躍するスタジオ・ミュージシャン6人によるバンド TOTOの2nd。

神話を題材に都会の孤独を歌ったドラマティックな#1、#2がアメリカのバンドっぽくないシリアスでプログレッシブなムード満点。
ただし、そんな中にもお馴染みTOTOホルンが使用されたり、16ビート風のグルーヴが隠されている所にスタジオ・ミュージシャンの集合体であるTOTOらしいアメリカンなインテリジェンスも感じさせます。
とにかくカッコ良い初期TOTOですが、目玉はやっぱりスティーヴ・ルカサー(G)のハイセンス且つテクニカルなギター・ソロをフィーチャーしたハード・ロック。
端整なピアノとロックするパートの対比がドラマティックな#4。
ストレートなハード・ロック#5。
デヴィッド・ペイチ(Key)のピアノとスティーヴ・ポーカロ(Key)のシンセを効果的に配した、TOTOらしいメロディアスな#7。
これらは意外にも、主にピアノをプレイするデヴィッド・ペイチが作曲。
#3、#6といったTOTOならではのコンテンポラリーAOR路線の楽曲もアクセントとなっています。

多彩なセッション・ワークから得られたであろうソウルやジャズ/フュージョンなどのコンテンポラリーな要素を、ハード・ロックという分かりやすいフォーマットに忍ばせて独自のテイストのサウンドを確立したアルバムです。

Track List

1. Hydra
2. St. George and the Dragon
3. 99
4. Lorraine
5. All Us Boys
6. Mama
7. White Sister
8. Secret Love

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RAINBOW / Down to Earth

1979,UK

RAINBOWの4thアルバムDown to Earth。

ロニー・ジェイムス・ディオを解雇、ジェームス・ディーンのようなルックスの短髪野郎グラハム・ボネット(Vo)が加入、さらに元ARGENTのラス・バラード作曲のポップな#5を収録するなど、アメリカ市場を狙ったリッチー・ブラックモア(G)の作戦は、キャッチーなラヴ・ソングをバンドに導入する事でした。
プロデューサーとして本アルバムに関わり、最終的にメンバーになったDEEP PURPLE時代の盟友ロジャー・グローヴァー(B)とリッチーの共作である#1からして歌詞が、”I wanna love you all night long”ですから、相当気合を入れてのイメージ・チェンジだったわけです。
ところが、単なるポップ・バンドに堕してしまわない所がリッチーの偉いところ。
ポップな楽曲もパワフルに歌いきってしまうグラハムの脅威の歌唱、RAINBOW歴代の名曲に決してひけを取らないドラマティックな#3やスピーディな#8など、ハード・ロックな要素もハイレベルに同居。
新加入のドン・エイリー(Key/元COLOSSEUM II)も#2でのクラシカルかつドラマティックなソロなど存在感あるプレイで曲を印象深いものにしていたり、コージー・パウエル(Dr)が得意のシンコペーションをキメまくる#8など、円熟したメンバーのプレイも最高。

中世風様式美ハード・ロックだけでは無い、ストレートでキャッチーなRAINBOWへと、バンドの可能性を広げたアルバムとなりました。
コージーとグラハムはこれを最後に惜しくも脱退、RAINBOWはさらに変化していきます。

Track List

1. All Night Long
2. Eyes of the World
3. No Time to Lose
4. Makin' Love
5. Since You Been Gone
6. Love's No Friend
7. Danger Zone
8. Lost in Hollywood

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UFO / Stranger in the Night

1979,UK

ロック史に燦然と輝くUFOの1979年発表のライブ。

全編で熱く神がかりなマイケルのプレイが炸裂。Lights Outでの「ロンドン」をライブ録音会場の「シカゴ」と歌詞を変えて歌った際のオーディエンスのリアクションや、ポールがオルガンからギターに持ち替える瞬間などトリ肌ポイント多数。各曲がスタジオ盤の10倍のカッコ良さと感動をもたらします。ヴォリュームを絞った繊細な#4のイントロ、#7や#9のソロ等々、ここに収録された憑かれたようなマイケルのプレイはもはや常人には再現不能な領域に。

Track List

1. Natural Thing
2. Out in the Street
3. Only You Can Rock Me
4. Doctor Doctor
5. Mother Mary
6. This Kid's
7. Love to Love
8. Lights Out
9. Rock Bottom
10. Too Hot to Handle
11. I'm a Loser
12. Let It Roll
13. Shoot Shoot

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LED ZEPPELIN / In Through the Out Door

1979,UK

LED ZEPPELINの8thアルバムIn Through The Out Door。
1977年のツアー中にロバート・プラント(Vo)が息子を失ったことから、バンドは活動を休止。その為、久々のニューアルバムとなったこと、外袋に入れられて中身が見えない6種類のデザイン違いジャケットなどが話題となった。

エキゾチックなイントロを持つ王者の威厳を感じさせるハード・ロック#1。
ピアノがリードするブギ#2。
テンポアップしてのサンバ・パートを内包する、ゆったりとスウィングする#3。
ジミー・ペイジ(G)の拙いピッキングに衰えを感じるカントリー調の#4。
分厚いシンセのリフがリードする2部構成のテクノ調ハード・ロック#5。
ロバート・プラントの亡き息子に捧げられた、シンセ・ソロが印象的な美しいバラード#6。
ロバート・プラントのソウルフルな歌唱が感動的なブルーズ#7。

ジミー・ペイジとジョン・ポール・ジョーンズ(B/Key)の作曲関与が5:6と、ヤマハのポリフォニック・シンセGX-1を操るジョン・ポール・ジョーンズが主導権を握ったアルバム。
従来にない多様な音楽性の楽曲群に、パンク後の80年代を迎えるにあたってバンドが音楽的方向性を試行錯誤していた様子が伺える。
しかし、1980年9月25日にジョン・ボーナム(Dr)が急逝。ドラマー補充によるバンド継続を望まないメンバーの意向によりLED ZEPPELINは終焉を迎える。
デザインはヒプノシス。

Track List

1. In the Evening
2. South Bound Saurez
3. Fool in the Rain
4. Hot Dog
5. Carouselambra
6. All My Love
7. I'm Gonna Crawl

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THIN LIZZY / Chinatown

1980,IRELAND

アイルランドのハード・ロック・バンドTHIN LIZZYの1980年10th。

前作Black Roseリリース後のツアー中に失踪したゲイリー・ムーアに代わり、ピーター・グリーンなどのセッション・ギタリストをしていたスノーウィー・ホワイト(G)が加入。スノーウィーはバンド全員で書いた#2,#4や#6でソング・ライティングに貢献するだけでなく、#6をはじめとしてゲイリーのクレイジーなプレイや相棒スコット・ゴーハム(G)の独特の引っかかりのあるフレージングとも違う、スムーズでメロディアスなプレイを聴かせてくれます。バンドの看板であるツイン・リード・ギターによる美しいハーモニーをイントロ、ギター・ソロ終盤、ボーカル・パートの伴奏、とそこかしこに配した哀愁のハード・ロック・ナンバー#1。シャッフルに乗ったクールな単音リフがリードするタイトル・トラック#2。イントロでのブライアン・ダウニー(Dr)のタム回しが冴える#3は、ツイン・リード、フィル・ライノット(B/Vo)のお経ボーカル、メロディアスなサビ、というTHIN LIZZYの典型的ロックン・ロール。軽快なシンコーペーションのリフと、鋭く切れ込んでくるギターのハーモナイズ・オブリガードが印象的な#4。スリリングなリフから一転してシンプルなバッキングにフィルのマシンガン・ボーカルが乗る、これも典型的パターンのシングル曲#5。スノーウィーとフィルの共作によるキャッチーなナンバー#6。ストレートなハード・ロック#7。フィルの語りかけるような優しい歌唱と美しいギター・ハーモニーをフィーチュアしたバラード#8。ギター・ソロでスコットが激しいラン奏法を聴かせる#9。強烈な個性を持ったギタリストが不在だったり、バンドが解散に向かう時期の作品ということで地味で小ぢんまりとした印象もありますが、ツイン・リードやちょっとワルな感じといったTHIN LIZZYらしさは健在。何よりもバンドの一体感が感じられるところが好感触なアルバム。

Track List

1. We Will Be Strong
2. Chinatown
3. Sweetheart
4. Sugar Blues
5. Killer on the Loose
6. Having a Good Time
7. Genocide (The Killing of the Buffalo)
8. Didn't I
9. Hey You

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G-FORCE / G-Force

1980,UK

ゲイリー・ムーア(G/Vo)がTHIN LIZZY脱退後に結成したハード・ロック・バンドG-FORCEの1980年唯一作。

ハード・ロック然としたカッコ良いリフとキャッチーなサビを持つ代表曲#1は、当時BURRN!誌のラジオCMで使用されていました。ソロのフレーズはジョン・サイクスやジョン・ノーラムら、ゲイリーを師と仰ぐ連中が散々パクってますね。
続く#2は、ライブでのソロ・タイムでもお馴染みメチャ弾き無伴奏ギター・ソロからドライヴィンなロックン・ロールになだれ込むメドレー。
と序盤からパワー全開のところを、ソロでは得意の6連上昇フレーズも飛び出すパワー・バラード#3、ストリングスも交えたコンテンポラリーなコード進行を持つ美しいバラード#4でクール・ダウン。
続く中盤戦、クレイジーなギター・ソロが炸裂する#5、ストリングス・セクションによるデコレイトとドラマティックに構築されたギター・ソロが印象的なマイナー・キーの#6はハード・ポップ路線。
さらにポップな、ギター・ソロのハーモニーが美しい#7、サックス・ソロをフィーチャーした#8を挟みラストは、またもやドライヴィンなロックン・ロール#9で締め。

ゲイリー・ムーアの全カタログ中最もメタリックなギター・トーンと最もポップなメロディが楽しめるハード・ロック作品です。あり得ない程にツブれてコンプレッションの掛かったギター・トーンは多分ライン録りによるものと思われます。

Track List

1. You
2. White Knuckles/Rockin' and Rollin'
3. She's Got You
4. I Look at You
5. Because of Your Love
6. You Kissed Me Sweetly
7. Hot Gossip
8. The Woman's in Love
9. Dancin'

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MSG / The Michael Schenker Group

1980,GERMANY

英国のハード・ロック・バンドUFOから失踪したドイツ人ギタリスト マイケル・シェンカー(G)の1stソロ。

バックを固めるメンツは後々腐れ縁のような付き合いとなるゲイリー・バーデン(Vo)を筆頭に、ドン・エイリー(Key)、モ・フォスター(B)、サイモン・フィリップス(Dr)というかなりセッション的性格の濃い、しかし腕は確かな面々。
主役のマイケルの攻撃的で奔放、そして時に構築的で官能的な素晴らしいギター・ワークが味わえるギター・アルバムの逸品。
でありながら、トイ・ピアノのような音色で奏でられる冒頭のメロディからマイナー・キーのメロディアス・ハード・ロックに展開する#2や、長らくスポーツ番組等でのBGMの定番となった勇壮かつクラシカルな泣きのメロディが凝縮されたインストゥルメンタル#6、ドラマティックなエピック・チューン#9など、ストレートなハード・ロック以外にもバラエティに富んだ名曲が楽しめるHR/HM史に残る名盤でもあります。

UFO時代よりさらにストイックなハード・ロック色を強めた#1やその曲中のバッキング・パターンがメインリフに昇格した#3など、メタリックなイメージの楽曲がNWOBHMブームの影響もあってメタル・ファンの支持を集めると共に、クラシカルな欧州叙情を醸し出すインストゥルメンタル#4、当時みんな弾いたギターキッズのアンセム#6、アコギと繊細なエレキのボトルネック奏法で哀愁のメロディを奏でる#8など、無条件に心を打つ美しいメロディの存在がそれまでHR/HMとは無関係の一般人をも巻き込んだ一種の”現象”を起こしました。フライングⅤやワウ・ペダル=クライ・ベイビーもバカ売れ。購入したワウのポットに噛み合わせるギザギザの位置をずらして(すんません、説明かなり端折ってます)マイケル風トーンの研究に勤しんだりもしましたね。
精神的に問題有りといわれていたマイケルが治療を受けるかのような暗喩に満ちたジャケット・アートはヒプノシス。

Track List

1. Armed and Ready
2. Cry For The Nations
3. Victim Of Illusion
4. Bijou Pleasurette
5. Feels Like A Good Thing
6. Into The Arena
7. Looking Out From Nowhere
8. Tales of Mystery
9. Lost Horizons

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BLACK SABBATH / Heaven and Hell

1980,UK

BLACK SABBATHの1980年9thアルバムHeaven and Hell。

脱退したオジー・オズボーンの後任に迎えられたのは、何とRAINBOWを脱退したロニージェイムズ・ディオ(Vo)。

小気味良くドライブするリフにロニーの堂々としたコブシ回しの歌唱が乗ることで、従来の”おどろおどろしさ”に”気品”や”威厳”が取って代わった事を印象付けるオープニング・チューン#1。
ロニーという新たな水先案内人を得て、リフ・マスター トニー・アイオミ(G)の創造性も大いに刺激されたのか、叙情的なアルペジオとヘヴィなリフによる対比がより鮮やかな#2。
ギーザー・バトラー(B)のベースがうねる、邪悪なリフを持ちながらもコンパクトかつキャッチーに仕上がった#3。
荘厳なリフとクワイヤによる硬軟織り交ぜたサウンド、表現力豊かなロニーの歌唱、スリリングな場面転換、といった最高の要素が完璧な融合を果たし、シンフォニックな様式美BLACK SABBATHの到達点となった#4。
と、アナログA面の完成度は異常な程高いです。
B面は、割とストレートなハード・ロック#5,#7では未だ探り合い状態のような煮え切らなさも感じられますが、疾走するカッコ良いハード・ロックにロニーのクリーンな歌唱を活かした静寂パートを織り交ぜ、ドラマティックな展開を見せる#6や、泣きのギターをフィーチャーしたBLACK SABBATHならではの叙情を感じさせる#8などを擁す事で及第点以上の出来。

それまでのBLACK SABBATHの楽曲に散在していた起伏や静動といった要素が、ロニーの持ち込んだ様式美テイストとのケミストリーによって、明確に構築されたドラマティックなものに進化したHR/HM史に残る名盤。

Track List

1. Neon Knights
2. Children of the Sea
3. Lady Evil
4. Heaven & Hell
5. Wishing Well
6. Die Young
7. Walk Away
8. Lonely is the Word

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WHITESNAKE / READY AN’ WILLING

1980,UK

元DEEP PURPLEのデヴィッド・カヴァーデール(Vo)のソロから発展したブルーズ・ロック/ハード・ロック・バンドWHITESNAKEの3rd。

ブルージーなバーニー・マースデン(G)、スライド・ギターの名手ミッキー・ムーディ(G)のツイン・ギターに、NATIONAL HEALTHやCOLLOSEUM II等ジャズ・ロック畑でお馴染みのニール・マーレイ(B)、そしてジョン・ロード(Key)、イアン・ペイス(Dr)という元PURPLE組を加えての6人編成。
ハード・ロック定番の5度重音リフ、ニールのメロディアスなウォーキング・ベース、マイナー・セブンスの胸を締め付ける響き、そしてメロディアスなバーニーのソロがハイライトとなった代表曲#1。
ツイン・ギターのハーモニーにジョン・ロードのオルガン・ソロをフィーチュアしたゴキゲンなロックン・ロール#2。
クラビネットが細かいスウィング感を醸成、オクターヴァーを掛けた様なメタリックな質感のトーンのミッキー・ムーディ(G)によるソロが印象的なブルーズ・ロック#3。
デイヴィッドの幅広い歌唱が楽しめるリラックスしたムードのソフトなブルーズ・ロック#4。
打って変わって、デイヴィッドの魂の歌唱とバーニーの泣きのソロが胸を打つ、DEEP PURPLEの”Soldier of Fortune”を彷彿させる美しい#5。
アコギのカッティングにマイルドなシンセのメロディが加わって広がりを生む序盤から、イアン・ペイスのスネアを合図にブルージーかつキャッチーに展開する#6。
渋いブルーズ・ロック#7。
場末の酒場でライブ録音されたかのような楽しいロックン・ロール#8。バッキングとソロに活躍するホンキートンク・ピアノ、サビでの一瞬の哀愁が溜まりません。
ブルージーな序盤からアップテンポのハード・ロックに展開する#9。エキセントリックでスペイシーなシンセ・ソロが若干クラシカルなテイストを漂わせているのがジョン・ロードらしいです。

勿論、主役のデイヴィッドの歌が中心で、その主役を引き立たせる的確でタイトなアンサンブルが肝ではありますが、それでいて個性を滲み出させた各メンバーのプレイにチーム・ワークの良さが感じられる好盤であり名盤。

Track List

1. Fool for Your Loving
2. Sweet Talker
3. Ready an' Willing
4. Carry Your Load
5. Blindman
6. Ain't Gonna Cry No More
7. Love Man
8. Black and Blue
9. She's a Woman

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RUSH / Moving Pictures

1981,CANADA

RUSHの1981年作Moving Pictures。

#5以外コンパクトなナンバーで占められているが、それぞれ劇的な展開をしっかり持っており、3ピースであることを忘れさせる巧みなアレンジで必要最低限の厚みを出しているのが凄い。
各パートがお互いをカバーしつつも主張もちゃんとしているので、シンプルなのに濃密という相反する要素が両立する奇跡が体現されている。見習うべきバンドはたくさんあると思う。

Track List

1. Tom Sawyer
2. Red Barchetta
3. YYZ
4. Limelight
5. The Camera Eye
6. Witch Hunt
7. Vital Signs

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THIN LIZZY / Renegade

1981,IRELAND

アイルランドの至宝THIN LIZZYの1981年11th。

フィル・ライノット(B/Vo)、スコット・ゴーハム(G)、これが参加2作目となるスノーウィ・ホワイト(G)、ブライアン・ダウニー(Dr)の正式メンバー4人に鍵盤奏者のダーレン・ウォートンを加えて制作されました。当時注目されたキーボード導入ですが、シンセが目立つ#1もTHIN LIZZYにしては新機軸なヘヴィ・メタリックな部分の方が際立ち、それほど気にならないですね。又、代名詞である美しいツイン・リード・ギターのハーモニーは減ってはいますが、もうひとつの大事な要素である哀愁は#2や#5のサビを始め全編に漂ってます。しかし、名盤Black Roseと最終作の意気込みが強烈なThunder and Lightningに挟まれた影の薄い時期の作品とあって、全体的に地味な印象になってしまっているかも。後半のマイルド路線に迷いも感じられますし、スコットの相棒がブルーズ畑出身のスノーウィというのも、ギター・ヒーロー然としたゲイリー・ムーアやジョン・サイクスと比較するとインパクト的には分が悪いですしね。でも、マンガチックな従来のテイストとは一線を画したジャケット・アートに通ずる序盤#1,#2,#3のシリアスなムードを中心に、何か好きなんですよね。このアルバム。

Track List

1. Angel of Death
2. Renegade
3. The Pressure Will Blow
4. Leave This Town
5. Hollywood (Down on Your Luck)
6. No One Told Him
7. Fats
8. Mexican Blood
9. It's Getting Dangerous

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COZY POWELL / Tilt

1981,UK

RAINBOWを脱退した”渡り鳥”ドラマー コージー・パウエルの2ndソロアルバムTilt。

ジェフ・ベック、ゲイリー・ムーア、バーニー・マースデン、ドン・エイリー等旧知の友を集めて制作。ドラマーのソロだからといって叩きまくってるワケではなく、あくまでも歌やインストのメロディを中心に楽曲が作られていて好感が持てる。
とはいえ最大の目玉はゲイリー”クレイジー”ムーアとの火花散る演奏が聴ける高速ブギーの#5だ。この2人が居てこそ成立するハイ・テンションなムードにガッツ・ポーズ。
反面、ゲイリーによる繊細なトーンに蕩けそうなくらいメロウな#2もGOOD。

Track List

1. Cat Moves
2. Sunset
3. Living a Lie
4. Hot Rock
5. Blister
6. Right Side
7. Jekyll and Hyde
8. Sooner or Later

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カテゴリー: COZY POWELL

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MSG / MSG

1981,GERMANY

ゲイリー・バーデン(Vo)、コージー・パウエル(Dr)、クリス・グレン(B)、ポール・レイモンド(Key)というメンツでの正式なバンド構成となってのマイケル・シェンカー(G)というかMSGの2ndアルバムMSG。

何といってもコージ・パウエル!
#1のドコドコいうフレーズ1発で、ストレートで何の変哲も無いハード・ロックが威厳あるものに。
#1のラストから間髪置かず始まるのがカッコ良いドラマティックなメロディアス・ハード・ロック#2でもマイケルの哀愁メロディに絶妙なフィルで応えるコージー。4拍目ウラのハイハットも”らしい”です。
そしてUFO時代の盟友ポール・レイモンド。いかにも”仕事でやってます”的なソツの無いドン・エイリーも良かったが、やはりマイケルの全てを知り尽くした彼の的確なフレージングやトーン選択がバンドとしてのケミストリーを感じさせてナイスです。
冒頭の霧のようなパッド系トーン、ヴァースでの緊張感を煽るオルガン、サビでのハープシコードの厳かな響きが、コージーのドラミング、マイケルのリフと絡んでこのメンツでしか成し得ないドラマを生み出している#3。勿論マイケルのプレイも最高。艶のあるトーンで印象的なメロディを紡ぎつつ、プレイタイム4:00過ぎのチョーキング時に微妙にワウの加減を変えて少々マイルドに変化させるトーン・コントロールとそのトーンに合わせたスムーズなフレージングでのエモーションが素晴らしいです。
叙情とコージーのドラミングに触発されたかのようなクールでヘヴィな側面が融合した#4。
映画のサウンド・トラックのようなムーディなシンセ・サウンドに繊細なアルペジオとコーラスが絡み静かに幕を開ける#5。バンドインしてからのソリッドなハード・ロックとのギャップで意表を突きつつ、曲中でも叙情とハード・ロックで起伏をつけた巧みな構成がニクイです。ポール・レイモンドのクワイヤやパッド系シンセも楽曲のムード作りに大きく貢献しています。
ピアノとストリングスがリードするバラードも単に甘く終わらず、エモーショナルな泣きから開放的でスケールの大きな展開にもっていく#6。
コージーのツーバス、シンセのオブリガード、そしてマイケルのソリッドなバッキングとエモーショナルなギター・ソロで紡ぎ上げたメロディアス・ハード・ロックの名曲#7。むせび泣くダブル・チョーキングが悶絶必至です。
ゲイリーの抑えたファルセット歌唱によるセンチメンタルなサビがグっと来る#8。

正式なバンドとしてのバックボーンとポール・レイモンドという理解者を得てマイケルの精神状態も安定していたからか、プレイ面では神がかり的なトリ肌ものフレーズを連発。又、作曲面では意外性のあるメロディや起伏あるドラマ性など様々なアイディアに溢れたフックが満載の大名盤。

Track List

1. Ready To Rock
2. Attack Of The Mad Axeman
3. On And On
4. Let Sleeping Dogs Lie
5. But I Want More
6. Never Trust A Stranger
7. Looking For Love
8. Secondary Motion

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TOTO / Turn Back

1981,USA

TOTOの1981年3rd。

ちょっとブランクがあったからなのか、サウンドがアメリカンな感じに変化。快活なハード・ロック・チューン#5では世を席巻したフロイド・ローズならではのフレーズが新鮮だった。今じゃ当たり前ですけどね。中間部のプログレッシブなアンサンブルがカッコ良い。ただ、#3,#4,#6と所謂AORチューンが増えてきた。

Track List

1. Gift with a Golden Gun
2. English Eyes
3. Live for Today
4. A Million Miles Away
5. Goodbye Elenore
6. I Think I Could Stand You Forever
7. Turn Back
8. If It's the Last Night

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RAINBOW / Difficult to Cure

1981,UK

RAINBOWの5thアルバムDifficult to Cure。

脱退したコージー・パウエルの後任にボブ・ロンディネリ(Dr)が加入。後年の関係者インタビューによると、レコーディング中には一時新ボーカリスト ジョー・リン・ターナー(Vo)と前任のグラハム・ボネット(Vo)が同時に在籍するという異常な状況にもなっていたようですが、グラハムがバンドを離れたことで事態は収拾。ジョー、ボブの新加入組とリッチー・ブラックモア(G)、ロジャー・グローバー(B)、ドン・エイリー(Key)の既存メンバーによって制作されました。

前作に続いて元ARGENTのラス・バラード作曲の#1やブライアン・モーラン作曲の#4など、外部ライターのポップな楽曲を採用してますますアメリカ市場進出を狙った本作において、#2のような様式美ハード・ロックからブルージーな#8まで、甘い声質でいながら幅広く歌えるジョーの起用が大当たり。又、#1や#4にしても単に甘ったるいポップスに陥るのでは無く、リッチーの個性を活かしたクラシカルな気品やヨーロッパ的叙情が微かに従来のRAINBOWサウンドとの繋がりを感じさせ、作品としては非常にバラエティに富んだ印象的なアルバムに仕上がってます。
中でもハイライトは名曲ハード・ロック#2。
リフ主体の心地良いドライブ感、クラシカルなフレーズを繰り返すインスト部というRAINBOWの王道様式美にキャッチーな歌メロが加わった時点で既に満足なのに、そこにさらに当時最新鋭のシンセサイザー ヤマハCS-80のリボンコントローラーとポルタメントを駆使したドンによるスリリングなソロが最高のスパイスとして効いています。個人的にはロック界のシンセ・ソロ ベスト3に入ってますね。
ドンによるシンフォニックでクラシカルなアレンジをベースに、美しいボトルネック奏法やエモーショナルなソロでリッチーの独壇場と化した素晴らしい叙情チューン#5、ベートーベンの第九をアレンジした楽しい#9などインストゥルメンタル曲も充実。

Track List

1. I Surrender
2. Spotlight Kid
3. No Release
4. Magic
5. Maybe Next Time
6. Can't Happen Here
7. Freedom Fighter
8. Midtown Tunnel Vision
9. Difficult To Cure (Beethoven's Ninth)

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BLACK SABBATH / Mob Rules

1981,UK

ドラムがオリジナル・メンバーのビル・ワードからヴィニー・アピス(Dr)にチェンジしたBLACK SABBATHの1981年10thアルバムMob Rules。

ヘヴィなドライヴィング・チューン#1。
シンプルなリフでありながらも、ロニー・ジャイムズ・ディオ(Vo)の歌唱によって威厳すら感じさせるソリッドなナンバーに仕上がった#2。
ロニーのクリーンでメロウな歌唱が美しい序盤から一転して、ヘヴィなリフが入りドゥーミーかつドラマティックに展開する#3。
シンセを使った妖しいムードのSE #4。
#4から間を置かず爆発的にスタートする、跳ねるビートのブ厚いリフが超強力なハード・ロック・ナンバー#5。
中盤に往年の名曲Snowblindを想起させるコード進行のメロウなパートを挿入したドラマティックな#6。
トニー・アイオミ(G)とギーザー・バトラー(B)による休符を巧く使ったズ太いユニゾン・リフが、70年代風ロックのようなヘヴィなグルーヴを生み出す#7。
沈み込むバラードからアップテンポのハード・ロックに移行する#8。
悲痛なメロディの歌唱と弾きまくりのギター・ソロが激しく魂を揺さぶる#9。

ロニーが馴染んだこともあってか、前作で一部見られたどっちつかずのロックン・ロールは影を潜め、さらに、ソングライティング面で深く関与したギーザーの影響で荘厳なムードも薄くなり、より妖しくヘヴィ・メタル然とした硬派なムードで統一された作風となっています。

Track List

1. Turn Up the Night
2. Voodoo
3. The Sign of the Southern Cross
4. E5150
5. The Mob Rules
6. Country Girl
7. Slipping Away
8. Falling off the Edge of the World
9. Over & Over

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WHITESNAKE / Come an’ Get It

1981,UK

WHITESNAKEの4th。

メンツは前作同様デイヴィッド・カヴァーデール(Vo)、バーニー・マースデン(G)、ミッキー・ムーディ(G)、ニール・マーレイ(B)、ジョン・ロード(Key)、イアン・ペイス(Dr)。
軽快なノリに余裕を漂わせた#1。
イアン・ペイスのちょっとしたドラム・ソロとジョン・ロードのオルガン・ソロをフィーチュアしたタテ乗りロックン・ロール#2。
オルガンのリフとバーニー・マースデンの哀愁のフギター・ソロが印象的な#3。
哀愁のサビ・メロが堪らないスローテンポのブルーズ・ロック#4。
ジョン・ロードのピアノがリードするロックン・ロール#5。ギタリスト2人による掛け合いソロも含めて楽しいムードが伝わる、この時期のWHITESNAKEの得意とするパターンのひとつです。
ドラマティックな起伏を持つスケールの大きな#6。
シンプルなリフがリードするブルーズ・ロックン・ロール#7。
ファンキーな薫り漂うブルーズ・ロック#8。この手のタイプの曲でジョン・ロードのクラビネットはWHITESNAKEの定番。
ミッキー・ムーディによるトーキング・モジュレーターとスライド・ギターがアクセントとなった#9。
アコギのカッティングにシンセ・ストリングスが絡み、スネア1発でバンド・インするキャッチーなナンバー#10。

等々、ヴェテラン揃いでメンバーの変更も無く制作された事で、悪く言えばマンネリ、良く言えば安定したバンド・アンサンブルを聴かせています。
ロックン・ロールの#5、ドロ臭いブルーズ・ロック#8、アコギが絡む雄大な#10など、前作の焼き直しのような楽曲が中心のラインナップも平均的で特に意外性も無いのが耳障りの良い反面、あっさりし過ぎの感も。

Track List

1. Come An' Get It
2. Hot Stuff
3. Don't Break My Heart Again
4. Lonely Days Lonely Nights
5. Wine, Women An' Song
6. Child Of Babylon
7. Would I Lie To You
8. Girl
9. Hit An' Run
10. Till The Day I Die

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カテゴリー: WHITESNAKE

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