CATHEDRAL のレビュー

CATHEDRAL / The Ethereal Mirror

1993,UK

英国のドゥーム・メタル・バンドCATHEDRALの1993年2ndアルバムThe Ethereal Mirror。

リー・ドリアン(Vo)による雰囲気重視のヘタウマ・ボーカル、ギャリー・ジェニングス(G/B)のトニー・アイオミを彷彿させるソロ・プレイなど、BLACK SABBATHからの影響が絶大なメタルではありますが、極端にダウン・チューニングしたギターで90年代らしいヘヴィネスも加味しております。

3連暗黒重厚グルーヴに思わず体が揺れる#2。
超ヘヴィで高揚感あるリフと70年代ロックの息吹も感じさせるリズム隊のプレイがうれしい#4。
アコギを絡めてのムーディなパートとサビのリフでの爆発による対比が見事な#5。
等々、印象的なリフが重層的に連なり、場面転換しながら楽曲が紡がれています。
加えて#10をはじめ適所に垣間見せる叙情性も、まさにSABBATH直系で英国的です。ヒエロニムス・ボスの宗教画のような群像劇が描かれたジャケット・アートはデイヴ・パチェット。

Track List

1. Violet Vortex (Intro)
2. Ride
3. Enter the Worms
4. Midnight Mountain
5. Fountain of Innocence
6. Grim Luxuria
7. Jaded Entity
8. Ashes You Leave
9. Phantasmagoria
10. Imprisoned in Flesh

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CATHEDRAL / Carnival Bizarre

1995,UK

CATHEDRALの1995年3rdアルバムCarnival Bizarre。

流動的だったリズム隊が落ち着き、リー・ドリアン(Vo)、ギャリー・ジェニングス(G/B)、レオ・スミー(B)、ブライアン・ディクソン(Dr)というラインナップが完成。前作で完成させたドゥームに止まらない普遍的な王道ヘヴィ・メタル路線を一層突き進めた作風になっています。

勢いのある#1、#2。
BLACK SABBATHのトニー・アイオミがゲスト参加した#3。と飛ばした所で、ミステリアスで不気味なムードがナイスな#4でクールダウン。
再びアップテンポな#5で攻撃再開。
ヘヴィなリフが重層的に連なる#6。
ミディアムテンポに乗った超重金属リフがヘッド・バンギングを誘発する#7。
メロトロンを導入した幽玄なムードの70年代風叙情グルーヴィー・チューン#8。
ドゥーム・メタル#9。
そしてラストはヘヴィな前半部と、シンセのストリングスから静かに始まり、めくるめくリフとソロでギャリーの独壇場となる後半部との組曲風な#10でプログレッシブな薫りを漂わせて締めています。
持ち前のアンダーグラウンド臭や70年代テイストを、普遍的メタルの方法論で咀嚼した独特のサウンドが心地良いです。

Track List

1. Vampire Sun
2. Hopkins (The Witchfinder General)
3. Utopian Blaster
4. Night of the Seagulls
5. Carnival Bizarre
6. Inertia's Cave
7. Fangalactic Supergoria
8. Blue Light
9. Palace of Fallen Majesty
10. Electric Grave

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CATHEDRAL / Caravan Beyond Redemption

1998,UK

英国のドゥーム・メタル・バンドCATHEDRALの1998年5thアルバムCaravan Beyond Redemption。

意表を突いたカーニヴァルのBGM風SEからアルバムはスタート。ギャリー・ジェニングス(G)によるヘヴィで勢いのあるリフが牽引し、中間部にプリミティブで呪術的なパーカッション・パートを含んだオープニング・チューン#1。
#1の勢いを引き継いだ、シンコペーションが効果的なヘドバン・チューン#2。
ピッキング・ノイズがヘヴィネスを増幅するシャッフルのドゥーム・ナンバー#3。
ワウを絡めたジミ・ヘンドリックス風ファンキーなギター・リフがレオ・スミー(B)、ブライアン・ディクソン(Dr)の繰り出すビッグなリズム上で躍動する新機軸なヘヴィ・サイケ・ナンバー#4。
リー・ドリアン(Vo)のヘタウマ・ボーカルがカッコ良いリフに乗る#5では、中間部のメロトロンによる叙情パートと同名のホラー映画から引用したMCがアクセントになっています。
テルミンを使用したスペイシーで破壊的なオープニングからアッと思わせ、邪悪なリフが淡々とのたうちつつ、自然にグルーヴィなパートに変化する#6。
往年のSABBATHのごとくアコギをフィーチュアしたクリーンなインストゥルメンタル#7。
一転してお得意のヘヴィなシャッフル・ナンバー#8で後半戦スタート。
サイケ・ポップ風な#9。
ブ厚いパワーコードからボーカルとのユニゾン単音リフに変化するリフ主体の70年代風ヘヴィ・ロックな#10。
幽玄なフルートが寂寥感を醸し出すゆったりとしたテンポのヘヴィな#11。
曲の進行をリフの展開に託したヘヴィな#12や#13。

ひねりを加えた#1や#5の展開、#1のオープニングや#13ラストに加え曲中でのSEの使用、#7や#9といったアクセントとなる楽曲の配置、などにアレンジやアルバム構成を周到に練りこんだ跡が伺えます。
やりたいことを追求してきた結果、彼らが影響を受けてきた音楽的ルーツがより鮮明に楽曲へ反映されるようになってきました。

Track List

1. Voodoo Fire
2. Unnatural World
3. Satanikus Robotikus
4. Freedom
5. Captain Clegg
6. Earth Messiah
7. Caravan
8. Revolution
9. Kaleidoscope of Desire
10. Heavy Load
11. Omega Man
12. Dust of Paradise

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CATHEDRAL / Endtyme

2001,UK

英国のドゥーム・メタル・バンドCATHEDRALの2001年6thアルバムEndtyme。

王道ヘヴィ・メタルに70年代ロックのヴァイブを持ち込んだここ数作のテイストから一転、原点回帰ともいえる超スロウ&ヘヴィ路線に絞り込んだ本作。沈み込み、苦しげにのたうち回るヘヴィこの上ない暗黒リフで構成された楽曲群の中にも、70年代風ロックのムードを漂わせた#4やメロディアスでメロウなパートを挿入した#5,#9に70年代英国ロック好きなリー・ドリアン(Vo)の趣味が感じられます。
#4のエンディングでの耳障りなノイズや#9でのスペイシーとすら言える不条理ノイズSEには、スタジオ・ワークならではのギミックで新たなものを創造しようとする意図も垣間見れますが、手法としては過去にBLACK SABBATHなんかもやっていた事なので、結局マネっこかよ!と突っ込みたくもなる微笑ましい所がCATHEDRALの魅力だったりしますので困ったものです。
日本盤のジャケット・アートはお馴染みのデイヴ・パチェットによるものですが、海外盤は何だか味気無いイラストになってます。

Track List

1. Cathedral Flames
2. Melancholy Emperor
3. Requiem for the Sun
4. Whores to Oblivion
5. Alchemist of Sorrows
6. Ultra Earth
7. Astral Queen
8. Sea Serpent
9. Templars Arise! (The Return)

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CATHEDRAL / The Garden of Unearthly Delights

2005,UK

英国のドゥーム・メタル・バンドCATHEDRALの2005年8thアルバムThe Garden of Unearthly Delights。

この頃からMySpaceではMetal / Progressive / Experimentalと自称し始めた彼ら。70年代ロック好きなリー・ドリアン(Vo)の趣味が高じてのものなのか、それとも本気なのか。リーのヘタウマ・ムード重視ボーカルを中心に据えた4人編成の限界なのか、わりと似たり寄ったりの楽曲が多いCATHEDRALですが、本作は良く練られてますね。

不気味なSEのオープニング#1から雪崩れ込む#2の音塊がもたらす野蛮なヘヴィ・グルーヴは、思わずヘッド・バンギングを誘発するカッコ良さ。中盤の沈み込む暗鬱パートもナイスです。
オールド・スクールな単音リフが牽引する#3も躍動感たっぷりで序盤から飛ばしてます。ギャズ・ジェニングス(G)が久々に冴えたリフを書き、底辺を支えるレオ・スミー(B)、ブライアン・ディクソン(Dr)のコンビもヘヴィ&グルーヴィ。特にうねるレオのベース・ラインが素晴らしいです。
続く#4はバンド一丸となってブルドーザーのように突き進む得意のシャッフル・ナンバー。今までも良くあったパターンなんですが、馴染みやすいフックが盛りだくさんで楽曲のキャラが立ってますね。
70年代風グルーヴのキャッチーな#5、アコギのアルペジオによるムーディなインスト#6を挟み、超強力な#7が登場。
静かな#6との対比で殺傷力も倍増の3連で刻むリフがカッコ良いアップ・テンポのナンバーです。
典型的CATHEDRALパターンのヘヴィなシャッフルに、生気の欠けた不気味な子供のコーラスを交え新機軸を見せる#8。
そして、女性ボーカルや多彩な展開で26分超!の長尺に挑んだ問題作の#9。
緩急、静動、清濁など様々なムードの小曲が連なる組曲形式。部分部分で思わずハッとする聴き所もあるんですが、全体的な構成度は今イチでしょうか。でも、ベテランとなった今でも新たな境地に挑戦する気概が感じられて嬉しいです。

約5分のブランク後に突如始まる隠しトラックや、青リンゴがデザインされた匂い付きのCDレーベルといった楽しいオマケも最高。さすがリー・ドリアン、ツボを心得てます。

Track List

1. Dearth AD 2005
2. Tree Of Life and Death
3. North Berwick Witch Trials
4. Upon Azrael's Wings
5. Corpsecycle
6. Fields Of Zagara
7. Oro The Manslayer
8. Beneath A Funeral Sun
9. The Garden

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CATHEDRAL / The Guessing Game

2010,UK

英国のメタル/プログレッシブ/エクスペリメンタル・バンドCATHEDRALの2010年9thは怒涛のCD2枚組。

前作The Garden of Unearthly Delightsから顕著になりだしたプログレッシブ&サイケ風味が、いよいよアルバム全体を覆ってきました。もはや出自のドゥームやヘヴィネスも彼らにとっては音楽性の単なる一要素となり、BLACK SABBATH同様に(っていうか本家をマネて)これまでアルバム中の1~2曲で見せてきたメロウであったりグルーヴィであったり70年代風であったり、という実験的なテイストを各楽曲に練りこんだ芳醇な作りになっております。
勿論御大リー・ドリアン(Vo)のヘタウマ歌唱の限界もありますが、そこは、コーラスでDISC1#2及びDISC1#7に参加したMELLOW CANDLEのアリソン・オドネル(Vo)をはじめとした弦やシタール奏者などのゲスト陣、70年代マニアのレオ・スミー(B)のプレイするモーグ・タウラス、ARP、コルグPoli Six等ヴィンテージ・シンセの豊かなサウンドでカヴァー。
さらに、現代のリフ・マスター ギャズ・ジェニングス(G)のリフ・ワークもかなりの冴えを見せており、ヘヴィにドライヴするDISC1#2、引き摺るDISC1#6、典型的CATHEDRALタイプのDISC2#2、抜けの良いコード・ストロークがシャープなDISC2#3、ドゥーミーなDISC2#5、などなどバラエティに富みつつも強力なフックとなる逸品揃い。
又、ヘヴィなリフが溶け合ったDISC1#4、オートハープ等を隠し味にしつつ楽曲全体をリードするインストゥルメンタルDISC1#5などメロトロンも枯れた良い味を出しています。

売れ線狙いとは真逆の、ロックが最高にカッコ良かった70年代の「何やってもOK!」なムード満載のアルバムです。
ジャケット・アートはお馴染みデイヴ・パチェット。12面折のブックレットを広げると、いつもと同様の美しくも妖しく奇妙な異形の世界が広がります。

Track List

DISC 1
1. Immaculate Misconception
2. Funeral Of Dreams
3. Painting In The Dark
4. Death Of An Anarchist
5. The Guessing Game
6. Edwige's Eyes
7. Cats, Incense, Candles & Wine
DISC 2
1. One Dimensional People
2. Casket Chasers
3. Ghost Galleon
4. The Running Man
5. Requiem for the Voiceless
6. Journeys Into Jade

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CATHEDRAL / The Last Spire

2013,UK

既に解散を表明していたCATHEDRALのラスト・アルバム。

嵐、カラスの鳴き声、鐘の音にノイズを加えた不気味極まりないオープニングSEの#1。
超スローなヘヴィ・リフをベースにしたドゥーム・メタルを軸に、女性コーラスや何とも煮え切らない微妙なアコギ・ソロなどの静、テンポアップしての躍動パートによる動を配したCATHEDRALらしい12分超の大作#2。
ギャズ・ジェニングス(G)が次々と繰り出すリフがリードするオーソドックスなCATHEDRALチューンの#3。突如現れるヴィブラフォンのパートが絶妙のアクセントに。
ハイハットのカウントに乗った単音リフのイントロが熱いミディアム・スローの#4。ディレイを掛けたサビがフックとなり印象に残る。
重遅ドゥーム・メタルに幽玄なアコギ・パートと躍動パートを挿入した9分超の#5。
重遅ドゥームにチェロを絡めた前半、適当に弾いているとしか思えないシンセに掠れたメロトロン、更には妖しい女性コーラスも絡む変態プログレ・チューンと化す後半からなる#6。この、まとまりは無いがやりたいことを目いっぱい放り込んだ感じが、懸命にオリジナリティを模索していた70年代B級バンドのようなムードで良い。
#8のイントロSE的な#7。
叙情アコギからのメロウなツイン・リード、儚げなメロトロンなどの静寂パートを挿入した#8。

弦を微妙にベンドしての音程の不安定感により不穏で禍々しい空気を醸成する、ギャズ・ジェニングスの引き摺るようなヘヴィ・リフとブライアン・ディクソン(Dr)の重いグルーヴがアルバム全体をリードし、最初期のようなドゥーム・メタル感が満載。
そこに、70年代ロック・マニアでもあるリー・ドリアン(Vo)の嗜好を反映した、ここ数作共通のアプローチである70年代グルーヴをブレンド。キャリアの集大成とも言える内容になっている。

Track List

1. Entrance to Hell
2. Pallbearer
3. Cathedral of the Damned
4. Tower of Silence
5. Infestation of Grey Death
6. An Observation
7. The Last Laugh
8. This Body, Thy Tomb

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