YES のレビュー

YES / Drama

1980,UK

YESのスタジオ1980年10thアルバムDrama。

ジョン・アンダーソンとリック・ウェイクマンが脱退したYESでしたが、その大ピンチを救ったのは何とテクノなポップ・グループTHE BUGGLESの2人、トレヴァー・ホーン(Vo)とジェフ・ダウンズ(Key)。前作がシングル・ヒットを狙ったかのようなポップと従来のYESらしさが融合しきらず、まだら模様のような中途半端な作風だったのがウソのように、心機一転、スッキリしたサウンドが耳に心地良いです。

ダークなテーマ・メロディから始まり、ギターのトリッキーな3連フレーズで桃源郷メジャー・サウンドに変貌するオープニング・チューン#1。明暗、動静、緩急、など相反する要素を巧みに織り込み、キャッチーでありつつもプログレッシブな意匠も忘れない見事なトラックです。
神秘的な中にスケール感も感じさせる小曲#2。
ベース・リフに絡むシンフォニックなシンセとタイトなリズム、そこに変拍子のヒネリを加えた#3。
ヴォコーダーと歌メロが醸し出すムードがBUGGLESのようにポップな#4は、そこにYESならではのドラマティックな展開とスティーヴ・ハウ(G)のガチャガチャしたプレイが絶妙に融合したプログレッシブ・ポップな傑作。
ジェフ・ダウンズのカラフルなシンセとスティーヴ・ハウのマンドリンやギターのオブリガードで紡ぐ#5。
ランニングするベース・リフ、THE POLICEのようなシャープなカッティングがリードする#6は、オルガンが鋭く切れ込みバンドが一体となって迫るプログレ・パートがカッコ良いコンパクトなナンバー。

ジョン・アンダーソンのような無垢なフィーリングにはほど遠いながら、なかなか健闘しているトレヴァー・ホーンに、ソツ無くチーム・プレイに徹しつつも各曲で必ず印象的な素晴らしい鍵盤群を聴かせるジェフ・ダウンズ。
クラシック・ラインナップのYESと産業ロック路線で大ヒットした90125YESの狭間にたった1枚で終わったメンツ、と言うことで地味な扱いを受けてますが、キャッチーなプログレという誰も成し得なかった金字塔を打ち立てたエポック・メイキングなアルバムですよ、これは。ジャケット・アートも久しぶりにロジャー・ディーンに回帰しております。

Track List

1. Machine Messiah
2. White Car
3. Does It Really Happen?
4. Into The Lens
5. Run Through The Light
6. Tempus Fugit

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