IT BITES

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IT BITESは1982年に結成された英国の4人組プログレッシブ・ロック・バンド。

フランシス・ダナリー(G/Vo)の特徴的な歌唱とアラン・ホールズワースに影響を受けた変態的バカテク・ギター、シンセを操るジョン・ベック(Key)の最新機材を駆使したセンスの良い音色選択とツボを得た楽曲デコレーションを中心にポップでキャッチーな要素を持つプログレを展開。
1990年にフランシスの脱退を機にオリジナル・ラインナップはスタジオ・アルバム3枚のみで解散。

2006年にARENAやジョン・ベックらと組んだKINOに在籍したジョン・ミッチェル(G/Vo)をフランシスの代わりに加入させ再結成。
IT BITESのファンだったというジョン・ミッチェルの時にフランシスを彷彿させる歌唱とテクニカルなギターは違和感無く溶け込み、相変わらずセンス抜群のジョン・ベックの働きも相まって往年の楽曲にひけを取らない高品質な作品を生み出し続けている。

IT BITES のレビュー

IT BITES / Once Around the World

1988,UK

英国北部カンブリア出身のプログレッシブ・ロック・バンド IT BITESの1988年2ndアルバムOnce Around the World。
#1~#5をスティーヴ・ヒレッジがプロデュース、残りはIT BITESが自らプロデュース。

同時期のポンプ・ロック勢とは明らかに異なるコンパクトでキャッチーな要素を持ち、フランシス・ダナリー(G/Vo)のアラン・ホールズワース並のバカテク・ギターとジョン・ベック(Key)によるシンセのサウンド・メイキングの抜群なセンスで比類無きオリジナリティを確立しております。

#1,#4などコンパクトな楽曲にさりげなく超絶技巧のギター・ソロを挿入したり(ラストの#8もすごいですよ)、プログレが好きだからといって安易にヴィンテージ・シンセの音色にこだわらすに、最先端の機材(ハイブリット・シンセ~デジタル・シンセ、サンプラー等)を使いこなす柔軟な姿勢が好感持てます。
楽曲に自然に溶け込んだ変拍子や#6のキメのブレイクでのポルタメントがかかったシンセのフレーズ、#7でのピーター・ゲイブリエル風な芝居がかったボーカル、コーラス・ハーモニーやオーケストレーションでシンフォニックに展開する#8等、大小の聴き所満載な名盤です。

Track List

1. Midnight
2. Kiss Like Judas
3. Yellow Christian
4. Rose Marie
5. Black December
6. Old Man and the Angel
7. Plastic Dreamer
8. Once Around the World

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IT BITES / Eat Me in St Louis

1989,UK

IT BITESの1989年3rdアルバムEat Me in St Louis。

ドラムの音がよりビッグになるとともに全体的によりハードになった。メロディ・テクニック・アレンジ・グルーヴ・機材の使いこなしが高次元で見事なハーモニーを奏でる名盤。
#2はROLAND社デジタル・シンセの名機D-50のチェイス機能を使用したイントロが印象的。
#8のヴァイオリンは同社サンプラーSシリーズの音、シンセ・ソロは同社シンセのよくあるシンセリード系だろう。YAMAHA等のホイールでは表現できないアーミング的フレーズはROLANDシンセのベンダー特有のものだ。

個人的には#5のZEP的な大きなグルーヴが好き。
#12はフラシス・ダナリー(G/Vo)がディレイを使用した一人二重奏。
ちなみにジャケット・アートはロジャー・ディーンです。

Track List

1. Positively Animal
2. Underneath Your Pillow
3. Let Us All Go
4. Still Too Young to Remember
5. Murder of the Planet Earth
6. People of America
7. Sister Sarah
8. Leaving Without You
9. Till the End of Time
10. Ice Melts Into Water
11. Charlie

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IT BITES / Thank You and Goodnight

1991,UK

解散後の1991年に突如発売されたライブ。あれだけ複雑な曲をライブで完全に再現している。改めてミュージシャンシップの高さを知らしめた好盤。

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IT BITES / The Tall Ships

2008,UK

再結成IT BITESによる2008年4thアルバムThe Tall Ships。

フランシスの不在が懸念されたが、アルバム序盤で解消。ジョン・ミッチェル(G/Vo)、この人10代の頃からIT BITESの大ファンだったというだけあって、鼻にかかったダミ声やサビでのファルセットなどフランシスにそっくり。ギターもテクニカルだ。彼の貢献もあって、IT BITESサウンドは健在。
爽やかなコーラス、エッジの立ったバッキング・ギター、ヘヴィなリズム、そしてもう一つの重要なピースがジョン・ベック(Key)のカラフルなシンセ・サウンド。
IT BITESの音楽性の根本はキャッチーなハード・ロックだが、そこに一捻り加わるのがセンス良く練りこまれたプログレ風味。そのキーマンであるジョン・ベックの奏でるオブリガードやバッキングの音色選択が相変わらず冴えてます。
とにかく、#1冒頭のコーラス・ハーモニーを聴いた瞬間に20年前にタイムトリップしたかのような感覚を味わえます。それに続くドライヴィング・チューン#2で既にノック・アウト!

Track List

1. Oh My God
2. Ghosts
3. Playground
4. Memory Of Water
5. The Tall Ships
6. The Wind That Shakes The Barley
7. Great Disasters
8. Fahrenheit
9. For Safekeeping
10. Lights
11. This Is England
12. When I Fall

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IT BITES / Map of the Past

2012,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドIT BITES再結成第2弾にして通算5thアルバムMap of the Pastは、バンドのキャリア初のコンセプト・アルバム。タイトル曲自体は昨年からライブで披露していたようなので、当時から構想はあったのかもしれません。

ラジオのチューニング・ノイズ~足踏オルガン風の素朴な伴奏から壮大なオーケストレーションに移行する序曲#1。
静・動の起伏、テンポの変化、鮮烈なシンセ・ソロなど、5分弱のコンパクトな中においしい要素が詰まった#2。
トリッキーなスネアの裏打ちが効いたポップかつプレグレッシブな#3。コーラスやカラフルなシンセが織り成す胸キュンなサビのアレンジがIT BITESらしい。
ジェントルなバラード#4。壮大な中間部での移動遊園地風(?)ペーソスのあるキラキラ・シンセのオブリガードがまたもやIT BITESというかジョン・ベック(Key)の真骨頂。
洒落ていながらキャッチーでアップ・テンポな#5。前作ではあえて前任者フランシス・ダナリーに似せていたかのような部分もあったジョン・ミッチェル(G/Vo)も、歌唱やスリリングなギター・ソロで個性を十分に打ち出しています。
ポルタメントがたっぷりかかった転調しまくりなシンセ・ソロが聴き所なミディアム・テンポの#6。
シタールの味付けが印象に残るポップ・チューン#7。オルガン・ソロがGENESIS風のコード進行。
シンフォニックなオーケストレーションを配した#8。屈折したムードがこれまたガブリエル期GENESIS風。
ブ厚いシンセがリードするイントロからボーカルにエフェクトを掛けたミステリアスな序盤、快活な7拍子へのリズム・チェンジ、ジョン・ベックお得意の浮遊シンセを交えたサビ前から壮大なサビへのドラマティックな移行、等々、場面転換の妙が光る#9。
アルバムを静かに締めくくるバラード#10と#11。

相変わらずの音色センスとさりげないが存在感のあるシンセを操るジョン・ベックを中心にして、ポップかつキャッチーながら、英国的屈折と翳りを適度に配合したIT BITESらしいサウンドは健在。特に#7~#9あたりの英国度は高く、アルバム最大のハイライトとなっています。

Track List

1. Man in the Photograph
2. Wallflower
3. Map of the Past
4. Clocks
5. Flag
6. The Big Machine
7. Cartoon Graveyard
8. Send No Flowers
9. Meadow and the Stream
10. The Last Escape
11. Exit Song

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