EUROPE のレビュー

EUROPE / Europe

1983,SWEDEN

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドEUROPEの1983年1stアルバムEurope。

ジョーイ・テンペスト(Vo/Key)、ジョン・ノーラム(G)、ジョン・レヴィン(B)、トニー・レノー(Dr)の4人組。
ジョーイの伸びやかなハイトーンを活かしたメロディアスなハード・ロック/ヘヴィ・メタルは後に北欧メタルの代名詞ともなりました。ジョン・ノーラムのリフやソロのフレージングには多分にマイケル・シェンカーの影響が見て取れます。(マシンガン・ピッキングにはゲイリー・ムーアも)

疾走メタル・チューン#1、3連のリフがカッコ良い#9など、メタルでありつつ北欧ならではの凛と澄み切ったイメージのメロディアス路線は多くのフォロワーを生みました。デビュー・アルバムということで、ジョーイの歌唱は上ずり気味だしアレンジもシンプルだが、その分逆に勢いを感じさせま。
又、端整なピアノのアルペジオで始まる代表曲#3のドラマティックな様式美などに既に大物の予感も漂わせています。

Track List

1. In the Future to Come
2. Farewell
3. Seven Doors Hotel
4. King Will Return
5. Boyazont
6. Children of This Time
7. Words of Wisdom
8. Paradize Bay
9. Memories

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EUROPE / Wings of Tomorrow

1984,SWEDEN

スウェーデンの4人組ヘヴィ・メタル・バンドEUROPEの2ndアルバムWings of Tomorrow。

印象的なテーマ・メロディを軸に端整に仕上げたオーソドックスなハード・ロック#1。
トレブリーなトーンの単音ギター・リフとツー・バスが牽引するアップテンポの#2。
後にリメイクされる、クラシカルなテイストを漂わせたパワーバラード#3。
ジョン・ノーラム(G)が弾きまくる、ブルーズをベースにした#4。手癖風な早弾きで時折ゲイリー・ムーア風フレーズも登場。
ジョン作曲の叙情的なインストゥルメンタル・ナンバー#5。
妖しいムードを漂わせつつメロディアスにまとめた#6。
クラシカルなメロディのハーモナイズ・ギター・ソロがハイライトとなった、勇壮なリフを薄いベールのようなシンセが包み込んだ#7。
疾走するハード・ロック・ナンバー#8。
透明感あるメロディアスなバラード#9。
ジョーイのパワフルな歌唱、ジョンのマシンガン・ピッキングで押し捲る#10。

世界的大ブレイク前夜ということで、楽曲の練り、ジョーイの歌唱、ジョンのフレージングといった部分にまだまだ荒削りな所もありB級な雰囲気も漂いますが、クラシカルな気品に甘い声のキャラクターやギターのテクニックといった素材は既に一級品。あとは、強力な楽曲と程好いキャッチーささえあれば・・・

Track List

1. Stormwind
2. Scream of Anger
3. Open Your Heart
4. Treated Bad Again
5. Aphasia
6. Wings of Tomorrow
7. Wasted Time
8. Lyin' Eyes
9. Dreamer
10. Dance the Night Away

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EUROPE / The Final Countdown

1986,SWEDEN

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドEUROPEの3rdアルバムThe Final Countdown。

ドラマーがイアン・ホーグランド(Dr)に交代、専任鍵盤奏者としてミック・ミカエリ(Key)が加入しバンドは5人編成となりました。
世界中で大ヒットした#1の代名詞とも言えるシンセのテーマ・フレーズや代表曲#2のオルガン、シンセの煌びやかなトーンが楽曲の透明感を強調するバラード#3、#4の渋いオルガン・ソロ、ギターとのユニゾンでのブ厚いリフとクラシカルなメロディのソロを聴かせる#6など、キーボードが効果的に使用され、従来のストレートで硬質なメタル・サウンドから転換。
ジョーイ・テンペスト(Vo)の歌唱もハスキーなハイトーンでパワフルに迫るだけでは無く、レンジの広がった音域をうまく使って時にマイルドな感触も打ち出すようになり、楽曲のポップ化に対応。
『北欧メタル=透明感に程良い叙情フレーバーをまぶしたメロディアスなヘヴィ・メタル』、という一つのジャンルを定義づけたアルバムです。

そんなサウンドの変化に不満を感じたジョン・ノーラム(G)は本作を持ってバンドを脱退しますが、スリリングにまとめた構築性の高い#1のソロ、得意のマシンガン・ピッキングを披露する#2、ヨーロピアンな叙情とエキサイトメントを同居させた#5、モーダルなフレーズから印象的な叙情フレーズを経てペンタトニックの早弾きでまとめたマイケル・シェンカー風な#8、ゲイリー・ムーアのヴァイブを感じさせる#9など、ここぞの場面ではギター・ソロの名演を残しています。
ジョン・ノーラム ファンとして若干残念なのは、バッキング時のギターの音量が全体的に心持ち小さ目なところですかね。

Track List

1. The Final Countdown
2. Rock The Night
3. Carrie
4. Danger On The Track
5. Ninja
6. Cherokee
7. Time Has Come
8. Heart Of Stone
9. On The Loose
10. Love Chaser

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EUROPE / Out of this World

1988,SWEDEN

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドEUROPEの4thアルバムOut of this World。

脱退したジョン・ノーラムの後任にキー・マルセロ(G)が加入。#1での譜割りのキッチリとしたクリアな早弾き、緩急とタッピングでメロディとテクニックを高次元で融合した#2、フラッシーなフレーズをサラリと聴かせきってしまう#4など、ジョン・ノーラム同様に構築性は高いが、前任者のようなロックな熱さよりもクールでモダンかつテクニカルなプレイがバンドの新しいサウンドにジャスト・フィット。
オリジナルのどこか素朴な叙情性がゴージャスなバラードに変身した、2ndアルバムWings of Tomorrow収録曲のリメイク#3に顕著なように、産業ロック化が進むバンド・サウンドに最適なギタリストといえるでしょう。
楽曲のスタイルとしては1st~2ndの頃に近い#6での斬新なプレイ、従来のEUROPEに無かったタイプのスケールの大きな#8での変幻自在のフレージングなど、耳を引くプレイがてんこ盛り。

シンセがリードする#4、ピアノにオルガン、パッド系、キラキラ系と多彩な音色をセンス良く使い分けた#7、ギターとのバトルを繰り広げた#10、などミック・ミカエリ(Key)の功績も大。

ポップ化が進んだということで世間の評価はあまり高くないようですが、キー・マルセロの超絶プレイやミック・ミカエリのナイスな装飾をはじめとして、楽曲のクオリティ・メロディ・バンドとしての一体感など、EUROPEの最高到達地点と言っても良いと思います。

Track List

1. Superstitious
2. Let The Good Times Rock
3. Open Your Heart
4. More Than Meets The Eye
5. Coast To Coast
6. Ready Or Not
7. Sign Of The Times
8. Just The Beginning
9. Never Say Die
10. Lights And Shadows
11. Tower's Callin'
12. Tomorrow

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EUROPE / Prisoners in Paradise

1991,SWEDEN

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドEUROPEの5thアルバムPrisoners in Paradise。

前作Out of this Worldが思うようなセールスを上げる事ができず、正念場を迎えたバンドはレコード会社の提案を受け入れることに。
それはRATT等でお馴染みのプロデューサー ボー・ヒルの起用と外部ライターとの楽曲共作でした。
冒頭#1~#3と#10が共作ですが、単にアメリカンで凡庸な楽曲。ジョーイ・テンペスト(Vo)ら、メンバー自身のペンになる楽曲も方向性はほぼ同様なので、バンドにも焦りがあったのかも知れません。
空間処理も前作での適度なウェット感が取り払われ、カラっとドライに。キー・マルセロ(G)のギターもエッジが立ったようなサウンドに変わり、ミック・ミカエリ(Key)のキーボードも大幅に減少しました。
これがポップ過ぎた前作の反省に基づくものだとすると、それはあまりにも単純というか早計というか、ともかくこの路線変更により、ヨーロピアンな叙情とか気品といった従来のEUROPEらしさまで失われてしまいました。

それでも、QUEENばりのギター・オーケストレーションがドラマティックかつメロディアスな#7や緊張感ある展開からメロディアスなサビに繋がる#12など、素晴らしい楽曲も存在しているだけに、路線変更ミスが惜しい1枚。
バンドはこの後1992年に活動停止。事実上の解散状態に陥ってしまいます。

Track List

1. All Or Nothing
2. Halfway To Heaven
3. I'll Cry For You
4. Little Bit Of Lovin'
5. Talk To Me
6. Seventh Sign
7. Prisoners In Paradise
8. Bad Blood
9. Homeland
10. Got Your Mind In The Gutter
11. 'Til My Heart Beats Down Your Door
12. Girl From Lebanon
13. Government Man
14. A Long Time Comin'

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EUROPE / Bag of Bones

2012,SWEDEN

スウェーデンのロック・バンドEUROPEの9thアルバムBag of Bones。
2004年の再結成からだと4作目。

イントロのワウを掛けたリフで予感させた通りのベーシックなブルーズ・ロック#1。ジョン・ノーラム(G)のギター・ソロはゲイリー・ムーア・フレーズも飛び出すエネルギッシュなフレージング。平凡な楽曲の中で鮮烈な印象を残している。
中近東メロディのフック入りミディアム・テンポのブルーズ・ロック#2。
緊張感ある攻撃的なイントロからフリジアン・メジャーを使った浮遊感のあるボーカル・パートを経てビッグなサビに至る#3。シタール風な音をまぶした中近東風な中間部トリップ・パートから抑えの効いたギター・ソロへ移行するインスト・パートを含め、アルバム中で最もアイディアが詰まった楽曲。
アコギのアルペジオとスライド・ギターをバックにしたシブい序盤、うっすら聴こえるトレモロを掛けた70年代風なエレピがトリップ感をもたらす#4。
ピアノが提示するリフがギターに引き継がれヘヴィに展開する#6。ヘヴィになってからのダーティなオルガンが良い感じ。
冒頭のオルガンのグリッサンドがカッコ良い。サビがメロディアスな#7。
LED ZEPPELINのフレーバーを感じさせるアコースティック・チューン#8。
定番リフに乗せた#9。ダイナミックなサビがWHITESNAKEのよう。
ハード・ロックンロールの#10。オルガンのチープなサイケ調オブリガードが良い。終盤のシンセ・ブラスのヒットは蛇足か。
メロウなバラードの#11。

寄る年波かそれともルーツへの回帰か、ブルージーなリフを軸にしたオーソドックスでオールドスクルールな楽曲が中心。ヘアバンドと揶揄されつつもMTVを席巻したかつてのEUROPEはもはや存在しない。

しかしさすがEUROPE。キャッチーなサビや円熟味を増したジョーイ・テンペスト(Vo)の歌唱にEUROPEらしい個性は健在。ツボを心得た起伏ある展開で、ここぞという場面で炸裂させる早弾きが効果的なジョン・ノーラムのギター・ソロ。主にオルガンをプレイ、グリッサンドやレズリーの回転数チェンジなどロック・オルガンの基本に忠実なプレイが好感なミック・ミカエリ(Key)など。脇を固めるプレイヤーも自然体でロックしている姿勢に今のバンドの良好な状態が伺えます。

Track List

1. Riches to Rags
2. Not Supposed to Sing the Blues
3. Firebox
4. Bag of Bones
5. Requiem
6. My Woman My Friend
7. Demon Head
8. Drink And A Smile
9. Doghouse
10. Mercy You Mercy Me
11. Bring It All Home

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