IQ のレビュー

IQ / Ever

1993,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドIQの1993年5thアルバムEver。

一旦脱退したピーター・ニコルス(Vo)が復帰、ベースにジョン・ジョウィト(B)が加入。

ドラムのロールで幕を開け変拍子を交えた緊張感あるプログレッシブなインストゥルメンタル・パートから、爽やかに疾走するボーカル・パートに移行する#1。中間部のインスト・パートも変拍子やポリリズムを導入したアンサンブルで、耳に引っかかりを残す仕掛けが巧み。
キラキラしたシンセのアルペジオとフレットレス・ベースのまろやかな響きに優しいボーカルが乗るバラード調の前半、ダークなインストゥルメンタル・パートの後半という2部構成の#2。
得意の7拍子でタイトに迫るリフを序盤と終盤に配し、キャッチーなボーカル・パートをサンドした#3。
#2とは微妙にレイヤー音色を変えたキラキラ・シンセのアルペジオにパッド系シンセ、フレットレス・ベース、ピーター・ニコルスの切ないボーカルでしっとりとしたムードを醸成する序盤、バンドインしてからのヘヴィなパートを交えてのロックな展開と、起伏で14分超を描いた#4。マーティン・オフォード(Key)のシンセがリードする、GENESISばりのドラマティックなインストゥルメンタル・パートがアルバム随一のハイライトとなっています。
印象的なピアノ+シンセによるメイン・リフ、12弦ギターのアルペジオをパッド系シンセが包み込むむバラード#5。中間部~終盤ではまたもやGENESISをルーツとする7拍子プログレ・パートが登場。ハケット風なライトハンドを聴かせるギターや、単音フレーズを奏でる矩形波っぽいシンセのレトロな響きもナイス。
#5のムードを引継ぎメドレーでエンディング曲#6へ繋がる展開も、4人編成時のGENESISがアルバム終盤でやっていた手法で微笑ましいですね。
偉大な先人に対してのオマージュということでしょうか。

ボーカル・パートはキャッチーに変拍子もさりげなく、楽曲個々の展開やインスト・パートでは思わずニヤッとさせる大小のプログレッシブな技を仕込み、程良い緊張感とともに瑞々しく爽やかなシンフォニック・ロックにまとめあげたアルバムです。

Track List

1. The Darkest Hour
2. Fading Senses:
i) After All
ii) Fading Senses
3. Out Of Nowhere
4. Further Away
5. Leap Of Faith
6. Came Down

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カテゴリー: IQ

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