OPETH のレビュー

OPETH / Sorceress

2016,SWEDEN

OPETHの12thアルバムSorceress。

アコギにメロトロンやハープが絡む、ギリシャ神話に登場するゼウスの娘ペルセフォネをタイトルに戴く抒情インストゥルメンタル#1。
跳ねるリズムでオルガンが躍動する70年代風ヘヴィ・ロック#2。屈折したメロディのリフと終盤の静寂パートからの展開にOPETHの真骨頂を見せるも全体的には凡庸。
フレドリック・オーケソン(G)の弾きまくりソロをフィーチュアしたヘヴィなナンバー#3。中間部からはクリーンなパートで神秘性を演出。
ミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)の表現力豊かな歌唱が際立つ、アコギの空気感が美しい絶品のフォーク・チューン#4。
インスト・パートにギターとオルガンのバトルを挿入した、スペイシーなシンセがアクセントとなった古典的ハード・ロック#5。中盤以降はメロウなパートに移行してガラっとムードを変化させるお得意の手法。
抒情的なアコギのアルペジオに対するモーダルな歌メロにセンスを感じさせるフォーク#6。
呪術的なパーカッションと中近東的エキゾチックなヒネリを交えたメロディがLED ZEPPELINのFriendsを彷彿させる暗黒フォークの前半から静謐フォークに劇的転換する#7。
従来のOPETHが持つエッセンスを70年代ロックの手法で再構築した、ムーディなメロウネスと屈折ヘヴィネスが融合した#8。
どこか郷愁を誘うアコギのメロディが印象的なイントロから薄明り射すサビに至る構成が見事なメロディアス・ナンバー#9。
アンビエントなピアノが#9を継承し寂寥感を漂わせるイントロから一転、アップテンポのハード・ロックに移行する#10。
再びアンビエントなピアノと女性のモノローグで締める#11。

バンドの70年代テイスト化を推し進めるミカエル・オーカーフェルトの試みは今作も継続。
特にアコースティック系楽曲において顕著で、良い意味で70年代のカビ臭い本格的なムードを感じる。
一方で、ハードな楽曲では以前は存在したエッジがますます減退。
OPETHならではの奇妙ではあるが冷たく深遠な暗黒ムードはもはや消滅。展開しまくりの奔放で豪快な楽曲構成が魅力の一つでもあったが、今作の各楽曲は尺がコンパクトになったのもあるが、方法論の70年代化とともに全体的に意外性に欠ける予定調和的な展開が目立つ。
結果的にメロウな部分での本格化と引き換えに、デス・ヴォイスをはじめ奇想天外なメロディや豪放な楽曲展開などOPETHの軸ともいえる特長が薄くなってしまった。
それでも本作が駄作かというとそうでも無く、#1、#4、#6、#7、#9など佳曲も多く、趣味を実益に反映させたミカエル・オーカーフェルトの手腕で統一感のある作品に仕上がってはいる。

音楽的な深化・進化は認める。認めるがしかし、幽玄かつ暗黒なメタル度の後退は少々寂しいものがある。。

Track List

1. Persephone
2. Sorceress
3. The Wilde Flowers
4. Will O the Wisp
5. Chrysalis
6. Sorceress 2
7. The Seventh Sojourn
8. Strange Brew
9. A Fleeting Glance
10. Era
11. Persephone (Slight Return)

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