PAATOS のレビュー

PAATOS / V

2012,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドPAATOSの5thアルバムV。
前作Breathingより約1年半のインターバルは異例の早さ。Mikael Nilzén(Key)が加わり5人編成が復活。

Ricard Huxflux Nettermalm(Dr)のドラミングがカッコ良い、へヴィロックな質感を持つ#1。
邪悪なギター・リフにミステリアスなボーカルメロディが呼応する#2。
軽快なリズムに乗ったキャッチーなメランコリック・ナンバーの#3。淡い叙情メロディはメインストリームでも通用するポテンシャル。サビの「This cold, cold war」の部分でのPetronella Nettermalm(Vo)の歌唱に悶絶。
Ricardのパーカッシブなドラミングが躍動し、エキゾチックなテイストがフックとなった、明るく開放的なナンバー#4。
以上のアルバム前半が新曲。#1,#2,#4など、11月からのヨーロッパツアーを控え、これまでのレパートリーに無かった要素を補完するような新機軸が目立つものの、随所にどこか悲哀を醸すPAATOS節は健在。
ただ、魅惑のウィスパー・ヴォイス率は低下し、従来の作品に漂っていた儚さや非日常感が若干希薄になった印象も。
後半は過去4作品から1曲づつピックアップし新たなアプローチで表現したアンプラグド及びリミックス。
Peter Nylander(G)の深い音楽的素養に裏打ちされたセンス良いアコギのアレンジが光る、アコギとボーカルのアンプラグド・デュオ#5。メロトロン有りの原曲のドラマティックさも素晴らしかったが、素朴な中にもジーンとくるこのシンプルなバージョンもなかなかの出来。
Ricardのミュージカル・ソー(ノコギリ)が幽玄なSEでアクセントとなった#5同様のアコギとボーカルのデュオ#6。
無機質なリズムマシンのビートに、Peterのバンスリ・フルートオーガニックなアナログ楽器の哀愁が融合した#7。
Ricardの個人プロジェクトPucksponyのテイストを反映したエレクトロニカなリミックスが、原曲の沈み込む感じとは打って変わってアッパーなのにボーカルは鬱系というギャップがおもしろい#8。

バンドのキャリアを総括すると共に、漸くメンツも固まり漲る創作意欲を抑えきれない充実感が感じられる、ツアーに向けた嬉しいプレゼンテーション。
この熱とツアーで得られたインスピレーションで、完全な新作を早期に制作して欲しいところです。

Track List

1. Feel
2. Desire
3. Cold War
4. Into The Flames
5. Tea(revisited)
6. In Time(revisited)
7. Precious(remixed)
8. Your Misery(remixed)

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